説明

歩行型電動耕耘機

【課題】安全性の向上した歩行型電動耕耘機を提供する。
【解決手段】モータの駆動を操作するレバー(操作手段)12dを備えたハンドル12と、耕耘部とを備え、レバー12dを操作してモータの駆動を伝達し耕耘作業を行う、歩行型電動耕耘機において、ハンドル12にスイッチ本体18bを設け、そのスイッチ本体18bがONされ、かつ、レバー12dが操作状態にあるときのみモータが駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの駆動を操作する操作手段を備えたハンドルと、耕耘部とを備え、前記操作手段を操作して前記モータの駆動を伝達し耕耘作業を行う歩行型電動耕耘機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動モータを駆動源とする歩行型電動耕耘機は、たとえば、メインスイッチをONにして電動モータに電力を導通させ、操作手段であるアクセルレバーを操作して電動モータの駆動を耕耘部に伝達して耕耘作業をする(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−169602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような歩行型電動耕耘機では、アクセルレバーの操作を停止して耕耘作業を停止している場合にもメインスイッチはONのままであり、作業者が誤ってアクセルレバーを操作してしまった場合に、電動モータが駆動して耕耘部を回転させてしまい、危険であるという問題があった。
そこでこの発明の目的は、安全性の向上した歩行型電動耕耘機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため請求項1に記載の発明は、モータの駆動を操作する操作手段を備えたハンドルと、耕耘部とを備え、前記操作手段を操作して前記モータの駆動を伝達し耕耘作業を行う歩行型電動耕耘機において、
前記ハンドルにスイッチを設け、該スイッチがONされ、かつ、前記操作手段が操作状態にあるときのみ前記モータが駆動することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の歩行型電動耕耘機において、前記スイッチが前記操作手段によってON・OFFされることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の歩行型電動耕耘機において、前記操作手段および前記スイッチをそれぞれ左右に1つずつ設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の歩行型電動耕耘機において、前記モータに電力を供給するメインスイッチを備え、該メインスイッチがONされたときに通報する通報手段を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の歩行型電動耕耘機において、前記通報手段が表示によって視覚的に通報する表示通報手段であることを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の歩行型電動耕耘機において、前記通報手段が音によって聴覚的に通報する音声通報手段であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、ハンドルにスイッチを設け、そのスイッチがONされ、かつ、操作手段が操作状態にあるときのみモータが駆動するので、作業者が誤って操作手段を操作してしまった場合に、モータが駆動して耕耘部を回転させてしまう恐れがなく、誤作動を防止し安全性の向上した歩行型電動耕耘機を提供することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、スイッチが操作手段によってON・OFFされるので、操作手段にてモータの駆動を操作をするとともに、スイッチのON・OFFも行い、構成部材を減らすことができ、簡単な構成の歩行型電動耕耘機を提供することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、操作手段およびスイッチをそれぞれ左右に1つずつ設けたので、両手で2つの操作手段を操作してそれぞれのスイッチをONにすることによってのみモータが駆動して、より誤作動を防止し安全性の向上した歩行型電動耕耘機を提供することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、モータに電力を供給するメインスイッチを備え、そのメインスイッチがONされたときに通報する通報手段を備えるので、メインスイッチの切り忘れを防止することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、通報手段が表示によって視覚的に通報する表示通報手段であるので、視覚的にメインスイッチのON・OFFが認識でき、騒音のある場所での操作性を向上させることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、通報手段が音によって聴覚的に通報する音声通報手段であるので、聴覚的にメインスイッチのON・OFFが認識でき、太陽光の反射などによって視覚的な認識が困難な状況における操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。
図1は、本発明の歩行型電動耕耘機の一例を示す正面図であり、図2は側面図である。
この例の歩行型電動耕耘機11は、金属製パイプを略U字状に形成したハンドル12と、そのハンドル12から下方に連続して設けられた棒状の金属製パイプからなるフレーム20とそのフレーム20の下端に取り付けられた金属製パイプを略コの字型に形成したフレーム13、そのフレーム13の間に取り付けられた耕耘部19などからなる。なお、フレーム20の下部にはケース21を取付台22に載置して取り付ける。
【0018】
ハンドル12の両端にはグリップ12aを取り付ける。そのグリップ12a下方には、図3(a)に示すように、取付部12bを介してレバー(操作手段)12dがピン12cを介して回動自在に取り付けられている。取付部12bは金属製で、ハンドル12に溶接などで固設される。また、レバー12dは、例えばアルミなど加工しやすい金属製、または硬質樹脂製で形成されその先端には、接触部18aを当接させる。この接触部18aは圧縮バネを介してスイッチ本体18bと組み合わされてスイッチ手段18を構成している。したがって、レバー12dを握ると接触部18aは圧縮バネによってスイッチ本体18bから突出してスイッチ手段18がONになり、レバー12dを離すとレバー12dにより接触部18aが圧縮バネに抗してスイッチ本体18b内に押し込まれてスイッチ手段18がOFFになる。なお、レバー12dは図中時計回りに不図示のバネにて付勢されている。
また、グリップ12a、取付部12b、ピン12c、レバー12dの位置関係および取付は、自転車のハンドルのグリップおよびブレーキレバーとの位置関係および取付に類似している。
さらに、ハンドル12の内側には、図3(b)に示すように、操作板23を設ける。操作板23には、メインスイッチ24とそのメインスイッチ24がONのときに点灯するインジケータ(通報手段:表示通報手段)25を備える。
【0019】
一方、ハンドル12の中央部はフレーム20の一端を溶接などで固設する。また、フレーム20の他端にはフレーム13の中央部を溶接などで固設する。また、フレーム13の中央の水平部分には取付台22を固設し、その取付台22にはケース21を載置して不図示の固定部材で固定する。このケース21は開閉自在になっており、内部にはバッテリーBおよび制御部Cなどを備える。
フレーム13の両端13aはそれぞれ平坦につぶされた後、切り欠いて取付開口部が形成される。
【0020】
耕耘部19は、ドラム状のロータ14と、そのロータ14の周面に取付部15aを介して突設されたスクリュ状の耕耘爪15とで構成される。
ロータ14は、ロータ14を回転させるためのモータが内設された円筒14bと、その円筒14bを側方より閉塞する円板状の閉塞部材17とを有する。この閉塞部材17は円筒14bを密閉するのではなく、閉塞部材17の外周とロータ円筒14bの内周面とが一定の隙間を持って設けられる。しがたって、閉塞部材17を固定した状態で円筒14bはモータの回転軸14aを中心として回転自在である。
そして、閉塞部材17の円心部分よりモータの回転軸14aを外側に向かって固定して突設し、回転軸14aをフレーム13の下端の取付開口部に嵌め付けた後、ナット16にてネジつけて固設する。なお、回転軸14aの先端には雄ネジが形成されている。
【0021】
歩行型電動耕耘機11は、図4に示すように電気的に接続されている。すなわち、ケース21内に備えられたバッテリーBの陽極は、インジケータ25、メインスイッチ24、主クラッチとしてのスイッチ本体18b,18bをそれぞれ介して制御部Cに配線される。一方、バッテリーBの陽極は、直接、制御部Cとも接続される。そして、制御部Cは一方を接地するとともに、他方をモータMに配線する。
すなわちこの発明の歩行型電動耕耘機11は、モータMの駆動を操作するレバー(操作手段)12dを備えたハンドル12と、耕耘部19とを備え、レバー12dを操作してモータMの駆動を伝達し耕耘作業を行う。ハンドル12にはスイッチ本体18bを設け、スイッチ本体18bがONされ、かつ、レバー12dが操作状態にあるときのみモータMが駆動する。したがって、スイッチ本体18bがレバー12dによってON・OFFされる。
また、レバー12dおよびスイッチ本体18bをハンドル12のそれぞれ左右に1つずつ設ける。さらに、モータMに電力を供給するメインスイッチ24を備え、そのメインスイッチ24がONされたときに通報する通報手段を備え、その通報手段が表示によって視覚的に通報するインジケータ(表示通報手段)25であることを特徴とする。
【0022】
このように構成された歩行型電動耕耘機11を用いて耕耘作業を行う方法について、図1〜4を参照しつつ、図5のフローチャートを用いて説明する。
まず、S1にて、メインスイッチ24を右に回動してONにする。すると、インジケータ25が点灯し、主電源がONとなっていることを表示する。
次に、両手でハンドル12の両側にあるレバー12dをそれぞれ握ってグリップ12a側に引き付ける。すると、両側の接触部18aがレバー12d側に引かれて、それぞれのスイッチ本体18bをON(操作状態)にする。
S2にて、制御部Cはスイッチ(CL1)18bがONになっているかを確認する。なお、この例ではスイッチ(CL1)18bは右手側とする。このスイッチ(CL1)18bがONになっている場合はS3に進む。スイッチ(CL1)18bがONになっていない場合はS2に戻る。
【0023】
S3にて、スイッチ(CL2)18bがONになっているかを確認する。この例ではスイッチ(CL2)18bは左手側とする。このスイッチ(CL2)18bがONになっている場合はS4に進む。スイッチ(CL2)18bがONになっていない場合はS2に戻る。
S4にて、モータMに電力を供給してモータMを回転させ、耕耘部19を回転させて耕耘作業を開始する。なお、この例ではモータMが回転を開始したら、左右いずれかのスイッチ(CL1)18bまたはスイッチ(CL2)18bのみがONになっていればモータMに電力が供給されるように制御されており、逆側のレバー12dは離してもよい。
そして、S5にて、スイッチ(CL1)18bがまだONになっているかを確認する。スイッチ(CL1)18bがONのときはS4に戻って、モータMの回転を継続する。一方、スイッチ(CL1)18bがOFFとなっているときは、S6に進む。
S6にて、スイッチ(CL2)18bがまだONになっているかを確認する。スイッチ(CL2)18bがONのときはS4に戻って、モータMの回転を継続する。一方、スイッチ(CL2)18bがOFFとなっているときは、S7に進んで、モータMの回転を停止する。
したがって、耕耘作業を停止するときは、S4にてモータMが回転した状態で、両手のレバー12dを離す。すると、右側のスイッチ(CL1)18bおよび左側のスイッチ(CL2)18bがともにOFFになり、制御部CによってモータMの回転を停止するようになっている。
【0024】
なお、スイッチ本体18bがレバー12dを操作することによってON・OFFされるように構成したが、この発明はこれに限定されるものではなく、スイッチ本体18bを別に備える操作部材で操作するとともに、レバー12dによってモータMへの電力の供給を操作するようにしてもよい。
また、ハンドル12は図6に示すように構成してもよい。すなわち、グリップ12a1をタッチセンサで形成し、両手でグリップ12a1,12a1を握ると電気的にスイッチがONとなるように構成し、スイッチ本体18bを省略してもよい。この場合、レバー12dは右手側にのみ設け、両手でグリップ12a1,12a1を握った状態でレバー12dを手前に引くとモータMが回転するようになっている。モータMが回転し始めたら、左手は離して作業してもよい。このタッチセンサの技術は、エレベータの押しボタンなどに用いられている既知の技術を適用するものとする。
【0025】
また、ハンドル12は、図7(a)に示すように、棒状の金属製パイプで形成してもよい。なお、ハンドル121の形状以外の構成、作用は、図3に示したものと同様であるので説明を省略する。
図7(a)に示すレバー12d、スイッチ本体18bは、図7(b)に示すように構成してもよい。すなわち、レバー12d1をフレーム20の端部にガイド20aを介して取り付ける。このガイド20aはレバー12d1をフレーム20に沿って矢印方向に平行移動させるためのものである。そして、ハンドル121中央部のフレーム20取付部付近の内部には、突起を備えたスイッチ本体18b1を設ける。
このように構成されたレバー12d1を両手で掴んで矢印方向に引くと、レバー12d1に形成された操作片がスイッチ本体18b1の突起に当接して突起を図中手前に押し込む。すると、スイッチ本体18b1がONになり、電力がモータMに供給されてモータMの駆動が耕耘部19に伝達される。耕耘作業を停止するときは、レバー12d1から手を離す。すると、スイッチ本体18b1が押し戻されてOFFになり、モータMへの電力の供給が停止する。
【0026】
ところで、上述の例では、通報手段の一例として、表示によって視覚的に通報するインジケータ(表示通報手段)25を用いたが、この発明はこれに限定されるものではなく、メインスイッチ24をONにした際に、音によって聴覚的に通報するスピーカ(音声通報手段)などであってもよい。
また、図3において、レバー12dの先端に、接触部18aを当接させる。この接触部18aは圧縮バネを介してスイッチ本体18bと組み合わされてスイッチ手段18を構成したが、この発明はこれに限定されるものではなく、レバー12dを握ると接触部18aは圧縮バネによってスイッチ本体18bから突出してスイッチ手段18がOFFになり、レバー12dを離すとレバー12dにより接触部18aが圧縮バネに抗してスイッチ本体18b内に押し込まれてスイッチ手段18がONになるようにスイッチ手段18を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の歩行型電動耕耘機の一例を示す正面図である。
【図2】図1に示す歩行型電動耕耘機の側面図である。
【図3】(a)はグリップ付近の拡大側面図、(b)はハンドルの平面図である。
【図4】図1に示す歩行型電動耕耘機の電気的接続を示す回路図である。
【図5】制御部の制御フローを示すフローチャートである。
【図6】本発明の歩行型電動耕耘機の別の例のハンドルの平面図である。
【図7】(a),(b)は本発明の歩行型電動耕耘機のさらに別の例のハンドルの平面図である。
【符号の説明】
【0028】
11 歩行型電動耕耘機
12,121 ハンドル
12a、12a1 グリップ
12b,15a 取付部
12c ピン
12d,12d1 レバー(操作手段)
13,20 フレーム
13a 両端
14 ロータ
14a 回転軸
14b 円筒
15 耕耘爪
18 スイッチ手段
18a 接触部
18b,18b1 スイッチ本体
19 耕耘部
20a ガイド
21 ケース
22 取付台
23 操作板
24 メインスイッチ
25 インジケータ(通報手段:表示通報手段)
B バッテリー
C 制御部
M モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの駆動を操作する操作手段を備えたハンドルと、耕耘部とを備え、前記操作手段を操作して前記モータの駆動を伝達し耕耘作業を行う歩行型電動耕耘機において、
前記ハンドルにスイッチを設け、該スイッチがONされ、かつ、前記操作手段が操作状態にあるときのみ前記モータが駆動することを特徴とする、歩行型電動耕耘機。
【請求項2】
前記スイッチが前記操作手段によってON・OFFされることを特徴とする、請求項1に記載の歩行型電動耕耘機。
【請求項3】
前記操作手段および前記スイッチをそれぞれ左右に1つずつ設けたことを特徴とする、請求項2に記載の歩行型電動耕耘機。
【請求項4】
前記モータに電力を供給するメインスイッチを備え、該メインスイッチがONされたときに通報する通報手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の歩行型電動耕耘機。
【請求項5】
前記通報手段が表示によって視覚的に通報する表示通報手段であることを特徴とする、請求項4に記載の歩行型電動耕耘機。
【請求項6】
前記通報手段が音によって聴覚的に通報する音声通報手段であることを特徴とする、請求項4に記載の歩行型電動耕耘機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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