説明

歯のホワイトニング物質に対する軟組織の保護のためのシステム

本器具は、導電性繊維毛を持つブラシヘッドを含み、該導電性繊維毛により電位が印加されて、歯の近傍において過酸化物のような歯用ホワイトニング物質を電気化学的に活性化させる。インピーダンスによる器具システム62又は光学的な器具システム27は、該導電性繊維毛が歯に隣接しているか歯肉領域に隣接しているかに関する情報を提供する。インピーダンスによるシステムは、該繊維を通る電気信号を用いて、歯又は歯肉表面を含む回路のインピーダンスを決定する。該インピーダンスは、歯が該回路中にあるか歯肉の表面が該回路中にあるかに依存して異なる。光学的なシステムは、導電性繊維を通って口腔内の表面に向けられる光ビームを生成し、戻り光の色が、該表面が歯であるか歯肉領域であるかを示唆する。歯であると決定された場合には、歯用ホワイトニング物質が当該毛において活性化されるが、歯肉組織であると決定された場合には、歯用ホワイトニング物質は当該毛において活性化されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には歯のホワイトニングのためのハンドヘルド型器具に関し、更に詳細には、ホワイトニング工程の間、口腔内の軟組織のための保護を提供する斯かる器具に関する。
【背景技術】
【0002】
歯のホワイトニング(whitening)用システム及び器具は、特にプロフェッショナル領域で一般に知られている。ホワイトニングシステムは一般に、電子化学的な活性化又はUV青色光の活性化と併せて、過酸化物又はカルバミドのペースト物質/製剤を使用する。しかしながら、ホワイトニング製剤の腐食性により、特に消費者市場において、口腔内の軟組織、特に歯肉領域に対する損害を防止するための、ホワイトニング製品の強度に対する制約が存在する。しかしながら該制約は、ホワイトニング処置の効能を制限してしまう。
【0003】
プロフェッショナル領域においては、より効き目のあるホワイトニング製剤が認可され使用されているが、歯肉を保護するために保護装置がプロフェッショナルによって使用されている。一般に該保護は、歯肉にフィットする物理的な遮蔽、又は歯肉を被覆するように直接に塗布される歯科用パテの形をとる。プロフェッショナルにより使用される、より効き目のあるホワイトニング製剤は、ホワイトニング工程の効能を増大させるとともに、処置時間を低減させる。しかしながら、ホワイトニング物質の適切な使用のためには、プロフェッショナル領域におけるトレーニングが必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、消費者領域におけるホワイトニング製剤はしばしば不便であり、使用は難しくなくても、非常に効果的というわけではない。更に、かなりの程度の配慮がないと、ホワイトニング製剤において使用される過酸化物及び他の薬剤が歯肉領域に接触して損傷を引き起こし得る。斯かる歯肉組織との接触はプロフェッショナル領域においても起こり得るが、消費者領域においてより一般的に起こる。
【0005】
それ故、歯のホワイトニングに効果的であり、且つ軟組織即ち歯肉に対する信頼性高い保護をも提供する、ホワイトニング製剤を用いることが可能な器具が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、過酸化物又はその他の歯用ホワイトニング物質若しくは製剤のユーザの歯に対する塗布を制御するための器具は、前記器具のブラシヘッドからの導電性繊維及び前記導電性繊維により接触された歯又は歯肉領域を含む回路のインピーダンスを測定し、前記測定されたインピーダンスが歯を含むか歯肉領域を含むかを決定するためのシステムと、前記測定されたインピーダンスが歯肉領域を含む場合には、前記繊維の近傍において前記過酸化物又はその他の歯用ホワイトニング物質若しくは製剤の活性化又は生成を防止し、前記測定されたインピーダンスが歯を含む場合には、前記歯用ホワイトニング物質若しくは製剤を活性化又は生成するための制御回路と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ホワイトニングを実現するため、ユーザの歯に対して配置された歯科器具のブラシヘッド部分を示す模式的な図である。
【図2】本器具において使用される毛の簡略化された図である。
【図3】一実施例の軟組織の保護のためのブラシヘッド及びブラシ器具の上面図である。
【図4(A)】図3の実施例についての繊維構造の変形例を示す簡略化された断面図である。
【図4(B)】図3の実施例についての繊維構造の変形例を示す簡略化された断面図である。
【図4(C)】図3の実施例についての繊維構造の変形例を示す簡略化された断面図である。
【図5】図3の実施例の構造及び動作を示す図である。
【図6】軟組織の保護のための第2の実施例についてのブラシヘッド構造を示す、ホワイトニングのための歯科器具の上面図である。
【図7】図6のブラシヘッドの一部をより詳細に示す図である。
【図8】図6の実施例の一動作例の図を示す。
【図9】図6の実施例についての電気回路図である。
【図10】ホワイトニング工程と複数の毛による軟組織の保護との両方を含む、図6の実施例を示す図である。
【図11】図6の実施例についての回路実装を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
消費者向け及びプロフェッショナル用の両方において効果的な歯のホワイトニングシステムは、歯に対する歯用ホワイトニング製剤を供給するための器具と組み合わせて、歯用のホワイトニング物質/製剤(以下、一般的に製剤と呼ぶ)による接触に対して、特に歯肉領域を含む歯の軟組織を保護するための構成を含む。一般に、1%乃至10%の強度を持つ過酸化物又はカルバミドのような歯用ホワイトニング物質は、ユーザによって又は器具によって、ゲル剤の形で歯の領域に供給される。歯に対してホワイトニング製剤を供給するには、種々の方法がとられ得る。本発明の保護構成は、種々のホワイトニング製剤供給システムに有用である。
【0009】
図1は、毛のセット12を含む、歯ブラシのような器具のブラシヘッド部10を示す。図1においては、ユーザの歯14に対して動作可能に毛が配置されている。ゲル剤の形をとる過酸化物のようなホワイトニング剤(15で示される)は、一例においては、電気化学的に活性化/生成されても良い。このことは、−2乃至2ボルトの範囲の電極対間の電圧で、該ブラシヘッドにおける金属又は炭素繊維により実行されても良い。金属又は炭素繊維及び陽極繊維が、ブラシヘッド10内に存在する。一本の斯かる繊維が、図2に示されている。金属又は炭素(導電性)繊維20は通常、長さ方向の殆どに亘って、毛を形成する高分子のシース22により絶縁され、好適には白金若しくはその他の金属のような金属又は炭素の先端23が約1mmだけ露出しているが、この距離は変更されても良い。代替としては、該シース部分は、該金属/炭素繊維の先端を僅かに越えて延在しても良く、ことによると金属又は炭素要素に対して該シースを通って横穴のアクセスを付加的に使用しても良く、それにより陰極繊維と陽極繊維との間の電流が、ホワイトニング製剤の望ましい電気化学的活性化をもたらし得る。代替としては、ホワイトニング製剤の最初の又は増強された局所化された作用を得るため、透明な毛繊維を通るUV光が使用されても良い。
【0010】
以上に議論されたように、歯のホワイトニングにおける重大な問題の1つは、ホワイトニングされるべき歯にのみ歯用ホワイトニング製剤の接触を維持すること、及び歯肉(及びその他の)組織との該製剤の接触を防止することである。従って、ブラシヘッド又はブラシヘッドの一部が歯の表面の近くにあるか歯肉表面の近くにあるかを迅速に且つ正確に決定することが可能であることが重要である。特に家庭用(非商用)の、歯用ホワイトニング器具の当該重要な目的を達成するための2つの構成がここで示され説明されるが、これら構成は商用(プロフェッショナル)器具にも使用されることができる。
【0011】
図3、4A乃至4C及び5は、歯用ホワイトニング物質が、軟(歯肉)組織に接触することを防止するための、光学構成器具27を示す。図3は、ブラシヘッド28と、持ち手31に接続された、歯ブラシの歯ブラシ柄部分30を示す。ブラシヘッド28は、複数の活性32を含む。各活性毛32は、外側シース33を備えた光ファイバ34を含む。該活性毛32は典型的には、例えば過酸化物又はその他のホワイトニング物質のようなホワイトニング製剤を活性化するための電子化学活性領域35をも含んでも良いし、又は電子化学的活性化が隣接する繊維により実現されても良い。ブラシヘッドの周囲にある複数の不活性毛33(一部が示されている)は、ブラシヘッドの側面における組織が歯用ホワイトニング製剤と接触することから保護するために利用され得る。不活性毛はまた、歯を磨くために利用されても良い。光学信号を搬送するための繊維38、及びホワイトニング製剤を活性化するための電気信号を搬送するための電線40は、ブラシヘッド毛繊維を、歯ブラシの持ち手における光検出器及びマイクロプロセッサコントローラ37に接続する。ここでもまた、光学的機能及び製剤活性化は、単一の繊維において実現されても良い。
【0012】
図4A乃至4Cは、光ファイバを含む毛32についての3つの代替例を示す。図4Aは、高分子シース44により囲まれた単一の光ファイバ42を示す。本構成においては、典型的には0.1mmの直径を持ち、0.2乃至1mmのシース径を持つ光ファイバ42が、歯又は歯肉の表面に接触する。電気化学活性領域が、毛において又は別個の毛において備えられても良い。該器具の動作の間、光源からの光が下向きにファイバ42を進み、歯又は歯肉の表面に接触し、幾分かの光がファイバ42に反射されて戻され、次いで柄を通って光検出器に進み、該光検出器が該戻り光信号を電気信号に変換し、該電気信号が制御マイクロプロセッサ37により解析される。該構成は、単一のファイバ(チャネル)を使用する。しかしながら、幾つかの場合においては、光は該単一のファイバへと後方散乱することを防がれ得る。
【0013】
図4Bに示された別の実施例においては、単一の毛シース46において2本の光ファイバ45、45Aが使用され、これらファイバは該シースの自由端からは一定の距離をおいて終結している。しかしながら、該毛シースは戻り光を遮断し得、路室されたシースの空間46A内に捕捉された歯磨き粉も戻り光を遮断し得る。
【0014】
図4Cの構成は、二重光ファイバ構成47、47Aと、電気化学活性領域を含み得るシース48とを備えた毛を示す。しかしながら、本構成においては、殆どの後方散乱光が捕捉されない。従って、図4Aが最も望ましい光学的構成であると考えられる。
【0015】
図5は、図3の器具の光検出構造37を更に詳細に示す。白色LED光源50が、歯ブラシの持ち手に備えられる。光源50からの光は、該光を平行化するレンズ52を通って方向付けられる。平行化された光は次いでビームスプリッタ54に進み、該光の50%が集束レンズ51に向けられ、該集束レンズは図3及び4A乃至4Cに示された個々の毛における光ファイバ53へと該光を向ける。ビームスプリッタ54からの光の残りは失われる。歯又は歯肉の表面からの反射光は、レンズ56を通るように戻り、ビームスプリッタ54を通り、該ビームスプリッタが該光の50%を分散光学素子60、レンズ61及び底部画素係数CCD素子62へと送る。本構成においては、ブラシヘッドに光ビームを透過させる8本のファイバがある場合、32?32画素のCCDについて、各ファイバは16個の画素を持つ。
【0016】
光が歯の表面に当たると戻り光は白色となるが、光が歯肉表面に当たると戻り光は赤色となる。CCDは該色の差を認識する。CCDからの出力信号はマイクロプロセッサに供給され、該マイクロプロセッサは、光が戻されてきた毛により又は別個の毛によりもたらされる電気化学活性化を制御する。戻り光が赤色である場合、電気化学工程を実現するための毛の能力がスイッチオフされ、活性毛の近隣における過酸化物又はその他の歯用ホワイトニング製剤が活性化されず、活性化されたホワイトニング製剤が軟組織に接触して損傷を与えることを防止する。戻り光が白色である場合、活性毛の能力がスイッチオンされる。
【0017】
図6乃至11は、口腔内において過酸化物製剤又はその他の歯用ホワイトニング製剤を、口腔内の特定の領域、特に歯の表面への塗布を制御し、活性化されたホワイトニング製剤が歯肉に接触することを防止するための、他の構成を示す。該構成は、歯の表面又は歯肉の表面と接触するブラシヘッド上の導電性繊維間を区別するための、インピーダンスに基づく手法である。該構成は、過酸化物又はその他の歯用ホワイトニング製剤の生成に対する、正確な空間的制御を可能とする。
【0018】
該インピーダンスを用いる実施例は、歯は周囲の軟歯肉組織と比べて高いインピーダンスを持つという既知の事実を利用する。図6において、インピーダンス測定毛64を備えたブラシヘッド63を含む歯ブラシ器具62が示され、該インピーダンス測定毛64は該ブラシヘッドの領域に亘って離隔され、電気接続導線66のセットを通して持ち手における測定及び制御アセンブリ65に電気的に接続されている。インピーダンス測定毛64は典型的には、ブラシヘッド63の領域に亘って過酸化物又はその他の歯用ホワイトニング製剤の活性化の適切な空間的制御を提供するため、ブラシヘッドの周縁部に又は周縁部の近くに配置される。電気回路インピーダンスは、表面に接触する毛における導電性繊維のインピーダンスを含む。測定及び制御回路中のオン/オフ電気フィードバックループは、導電性繊維を含む毛の電気化学的部分の先端における毛用ホワイトニング製剤の活性化能力の適用を制御する。
【0019】
オン/オフ活性化に対する代替としては、過酸化物又はその他のホワイトニング製剤の割合を制御するためにパルス幅変調(PVM)制御回路が利用されても良い。長い「オン」パルスを持つデューティサイクルは高い割合の製剤活性化/生成に対応し、短い「オン」パルスは低い割合の活性化に対応する。
【0020】
典型的には、測定回路インピーダンスに用いられる導電性繊維は、過酸化物製剤を電気化学的に活性化させるための要素を含む同一の毛に含まれ、斯くしてどこで過酸化物生成されるか及びどの表面に過酸化物が接触するかの局所化された制御を提供する。毛の導電性繊維先端が軟歯肉組織と接触する場合においては、典型的には50kΩのオーダーの低い電気的インピーダンスが測定されることとなり、歯の表面が接触される場合には、典型的には50kΩのオーダーの高いインピーダンスが測定される。低いインピーダンスが測定された場合には、フィードバックコントローラ65が導電性繊維の先端における機能を低減又はスイッチオフし、近隣の過酸化物の活性化を防ぐ。代替としては、過酸化物又はその他のホワイトニング製剤の生成が反転させられても良いし、又はシステムが他方の電気化学モードに切り替えられても良い。
【0021】
インピーダンスを用いる構成における繊維/毛は、所定の流速で歯に対して酸素化された歯用ホワイトニングゲルを供給する微小管に挿入されても良い。電気化学的作用は、該繊維における下部位置において実現され、インピーダンス感知機能は、該管から突出する繊維の先端により実現される。このことは、感知作用と電気化学的作用との間で該繊維の機能を切り換えることにより単一の繊維/毛によって実現されても良いし、又は双方の機能が該管内の別個の繊維により実現されても良い。銀又は白金であり得る別個の基準繊維が、該管内に必要となり得る。単一の管内で、一方が金属で他方が炭素である、2つの繊維電極が利用されても良く、各繊維は長さ方向におけるどこかの位置において部分的に絶縁される。代替としては、該管内が炭素であるか、又は該管が炭素でつくられ、部分的に絶縁された金属毛が内部にあっても良い。
【0022】
本構成においては、唾液は口腔内における短絡を防ぐ種々の電解質を含むが、一般に非常に導電性ではない。インピーダンス測定繊維は、以上に議論され図7に示されたように、ブラシヘッドじゅうに分散されても良いし、又はより大きな面に亘ってより効率的な歯のホワイトニングを提供するように群で配置されても良い。該繊維が歯に接触している場合に測定されるインピーダンスは、該繊維が軟歯肉組織に接触している場合よりもかなり大きく、電気化学的反応の制御のために2つの状況を区別する信頼性高い閾値インピーダンスを確立するのに困難はない。図7は、毛/繊維の幾つかの詳細を示す。活性毛は、シース72を持つ導電性繊維70を含む。導電性繊維70は、インピーダンス測定/感知機能、及び電気化学的活性化機能の両方のために使用されても良く、以上に議論されたように過酸化物のような歯用ホワイトニング製剤を活性化するために、約−2乃至2ボルトの小さな電位が利用される。これら2つの機能は、別個の繊維により実現されても良い。インピーダンス測定値が小さいことは、導電性繊維が歯肉表面に接触していることを示しており、この場合には、電気化学的活性化のための電位が制御フィードバック回路によりスイッチオフされる。
【0023】
図8乃至11を参照すると、一実施例においては、測定インピーダンス回路は、毛中の導電性繊維76、78で示される歯又は歯肉表面、ユーザの頭部80、ユーザの腕82、及び該器具の持ち手における基準電極パッド86に触れるユーザの手84を含む。ここでもまた、該インピーダンス測定値が100kΩ又はそれ以上のオーダーと大きい場合には、歯表面との接触が示唆され、インピーダンスが典型的には50kΩまたはそれ以下のオーダーと比較的小さい場合には、毛による歯肉表面との接触が示唆される。図9は2つの接触回路を示し、歯85及び該歯のインピーダンス85A並びに身体のインピーダンス89、又は歯肉87及び身体のインピーダンス89が表されている。
【0024】
図10は、導電性繊維を含むブラシヘッド中の全ての毛を利用する、多重アセンブリ91の簡略化された回路図を示す。インピーダンス測定制御アセンブリ90は、スイッチ92a乃至nを順次閉じ、ここでブラシヘッド中の各導電性繊維に対して1つのスイッチがある。このとき、インピーダンス測定は、各繊維について順に実行される。これらスイッチは、フィードバック線95を用いて、電気化学電圧駆動ユニット94へと順次切り換えられ、電気化学的反応のための活性化電圧を該繊維に印加し、活性化された過酸化物又はその他の歯用ホワイトニング製剤を生成する。
【0025】
簡略化された回路実装が、図11に示されている。例えば、10kHz、100mVのAC信号98がインピーダンス回路に印加され、該インピーダンス回路は、感知抵抗100、導電性要素による歯又は歯肉表面の接点104、持ち手における基準パッド106、身体のインピーダンス107、及び108により表される歯又は歯肉のインピーダンスを含む。インピーダンス108が高い場合には、歯の表面が示唆され、電圧が導電性チップを通して印加されて電気化学的反応を開始させる一方、インピーダンス108が低い場合には、軟歯肉組織との接触が示唆され、電圧が印加されない。
【0026】
別の実施例においては、2つの別個の導電性毛要素間でインピーダンス測定が実行され、ここではインピーダンス回路は、第1の導電性毛要素1、歯の表面又は歯肉の表面のインピーダンス、及び第2の導電性毛要素を有する。ここでもまた、歯肉接触と歯接触との間の総インピーダンスの差はかなり大きく、プローブのための電気化学的な能力が信頼性高くオンにされホワイトニング製剤を活性化するか、又は斯かる活性化を防ぐためにオフにされることができる。
【0027】
斯くして、歯に対してホワイトニングを行うために使用される過酸化物又はその他の物質による接触から、歯肉のような軟組織を略するように構成された器具が開示された。このことは、ブラシヘッドの毛が接触している面を識別するようなブラシヘッドの毛を用いることにより実現される。このことは、光学的手法又はインピーダンス手法により実行される。いずれの場合においても、どの面に毛が接触しているかの決定が為され、過酸化物又はその他の歯用ホワイトニング製剤を活性化させるための能力がオン又はオフにされ、それにより軟組織を保護する。
【0028】
好適な実施例が説明の目的のために開示されたが、請求項において定義された本発明の精神から逸脱することなく、該好適な実施例において種々の変更及び修正並びに置換が為され得ることは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過酸化物又はその他の歯用ホワイトニング物質若しくは製剤のユーザの歯に対する塗布を制御するための器具であって、前記器具は、
前記器具のブラシヘッドからの導電性繊維及び前記導電性繊維により接触された歯又は歯肉領域を含む回路のインピーダンスを測定し、前記測定されたインピーダンスが歯を含むか歯肉領域を含むかを決定するためのシステムと、
前記測定されたインピーダンスが歯肉領域を含む場合には、前記繊維の近傍において前記過酸化物又はその他の歯用ホワイトニング物質若しくは製剤の活性化又は生成を防止し、前記測定されたインピーダンスが歯を含む場合には、前記歯用ホワイトニング物質若しくは製剤を活性化又は生成するための制御回路と、
を有する器具。
【請求項2】
前記測定される回路は、前記導電性繊維、歯又は歯肉、ユーザの頭部、前記ユーザの腕、及び前記器具の持ち手における基準電極パッドと接触する前記ユーザの手を含む、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記回路は、2つの隣接する導電性繊維毛及び前記導電性繊維毛間の歯又は歯肉組織を含む、請求項1に記載の器具。
【請求項4】
前記インピーダンスを測定するため及び前記歯用ホワイトニング物質を活性化又は生成するために同一の導電性繊維毛が使用される、請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記ブラシヘッドにおける複数の導電性繊維毛について回路インピーダンスを順次決定するための多重アセンブリを含む、請求項4に記載の器具。
【請求項6】
歯を含む前記回路のインピーダンスは、歯肉領域を含む前記回路のインピーダンスよりも大きい、請求項1に記載の器具。
【請求項7】
前記インピーダンスを決定するシステムは、約100mVの電圧を持つ約10kHzの測定信号の使用を含む、請求項1に記載の器具。
【請求項8】
前記器具は、ブラシヘッドの領域に亘って配置された複数の導電性繊維毛を含むブラシヘッドを含み、前記毛のそれぞれは3乃至5mmの範囲内の距離だけ離隔された、請求項4に記載の器具。
【請求項9】
前記歯用ホワイトニング物質は電気化学的反応により活性化される、請求項1に記載の器具。
【請求項10】
前記電気化学的反応は、前記導電性繊維において電位を生成することにより引き起こされる、請求項9に記載の器具。
【請求項11】
前記歯用ホワイトニング物質は過酸化物である、請求項1に記載の器具。
【請求項12】
前記歯用ホワイトニング物質はカルバミドである、請求項1に記載の器具。
【請求項13】
前記歯用ホワイトニング製剤の活性化は、高パスル又はオンパルスの長さが前記歯用ホワイトニング物質の活性化の割合に対応するようなデューティサイクルを持つ、パルス幅変調回路により制御される、請求項1に記載の器具。
【請求項14】
過酸化物又はその他の歯用ホワイトニング物質のユーザの歯に対する塗布を制御するための器具であって、前記器具は、
光源と、
前記光源からの光を、前記器具のブラシヘッドにおける導電性繊維を通して、歯又は歯肉領域のいずれかである口腔内の面へと向けさせるためのシステムと、
口腔内の表面からの戻り反射光の選択された特性を決定するための検出システムであって、前記特性の一方の態様は前記光が歯から反射されたことを示し、前記特性の他方の態様は前記光が歯肉表面から反射されたことを示す、検出システムと、
前記特性が前記一方の態様である場合には前記歯用ホワイトニング物質を活性化させ、前記戻り光が前記他方の態様である場合には前記歯用ホワイトニング物質を活性化させないための制御回路と、
を有する器具。
【請求項15】
前記特性は色である、請求項14に記載の器具。
【請求項16】
一方の色は白色であり、他方の色は赤色である、請求項15に記載の器具。
【請求項17】
前記器具は、ビームスプリッタと、複数のレンズと、前記導電性繊維に光を向けてフォーカシングする検出器であって、前記検出器は次いで戻り光の少なくとも一部を、光信号を電気信号に変換するため前記検出器に向ける検出器と、を含む、請求項14に記載の器具。
【請求項18】
前記ブラシヘッドは、複数の導電性繊維毛と前記ブラシヘッドの周辺における複数の不活性毛とを含む、請求項14に記載の器具。
【請求項19】
前記歯用ホワイトニング物質は過酸化物である、請求項14に記載の器具。
【請求項20】
前記歯用ホワイトニング物質はカルバミドである、請求項14に記載の器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2013−515546(P2013−515546A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545491(P2012−545491)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055555
【国際公開番号】WO2011/077299
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】