説明

歯の侵食を処置するための医薬液状組成物

【課題】歯の侵食に対して有効な低pHの医薬液状組成物を提供する。
【解決手段】 歯の侵食に対して有効な低pHの医薬液状組成物であって;該飲料組成物は次の構造を有する化合物を含む医薬液状組成物。
【化1】


(式中、nは、約7から約100の、整数の平均値であり、M、M’及びM’’はそれぞれ、独立して、ナトリウム及びカリウムからなる群から選択される。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、原出願(特願2001−552845)の分割出願であり、特に歯の侵食を処置するための医薬液状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料組成物、例えば、清涼飲料(例:コーラ飲料)や果汁飲料は、飲料消費者に歯の侵食を経験させる可能性を有する。このような歯の侵食は、飲料組成物の性質が酸性、即ちpHが約5以下である場合に結果として起こり得る。加えて、成人と比較して、子供は容積に対してエナメル表面の比が小さいことから歯の侵食が起こり易いので、このような飲料の消費は、子供たちに特に関連があり得る。従って、多くの消費者が酸性飲料組成物を毎週、毎日、またはそれ以上頻繁に摂取しているので、歯の侵食から保護する飲料組成物を見つけ出すことは有益であろう。
pH、フッ化物、カルシウム、更にはリン酸濃度のような要因が、歯の侵食、及び/又はう蝕症に影響を及ぼし得ると、当技術は示唆している。例えば、酸性pH、特に約5以下のpHは、通常(エナメル表面への酸の直接作用によって引き起こされる)歯の侵食を悪化させると考えられている。例として、ラッシ(Lussi)らの、う蝕症調査Vol.29「数種の飲料による侵食可能性の予測(Prediction of the Erosive Potential of Some Beverages)」の349〜354ページ(1995年)(非特許文献1)において、全てpHが5未満の多くの飲料組成物の侵食可能性が調査されている。
更に、ボルググレーブン(Borggreven)らの、「ヒト歯のエナメル質における、生体外でう蝕損傷を形成する種々の両親媒性リン酸塩の影響(The Influence of Various Amphiphilic Phosphates on in vitro Caries Lesion Formation in Human Dental Enamel)」う蝕調査Vol.26、84〜88ページ(1992年)(非特許文献2)において、pHが5.5未満のレベルのある種のリン酸塩の存在するところでのエナメル質の軟化を示唆している。ボルググレーブン(Borggreven)らの87ページを参照。
当技術は、歯の侵食、及び/又はう蝕症について、さらなる要因が重要であると示唆している。ラッシ(Lussi)らは(本明細書で上述)、フッ化物濃度が歯の侵食に対して効果のあるさらなる要因であると示唆している。例えば、ラッシ(Lussi)らによって調査された飲料組成物の中で、最も高いフッ化物濃度を有する組成物は、最小のエナメル質の表面軟化を示す。しかしながら、リン酸塩の最高濃度は必ずしもエナメル質の表面軟化の減少と相関しない。例えば、試験された他の多くの飲料組成物に比べて、やや高いリン酸塩濃度を持つリンゴジュースもまた、最も侵食性が高いと試験された飲料組成物である。ラッシ(Lussi)らの352〜353ページを参照。
更に、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩を包含する、いくつかのリン酸塩について歯の健康、特にう蝕症の領域における実験がなされている。例えば、スタドラー(Stadtler)らの、「トリメタリン酸ナトリウムのう蝕症に対する影響:3年間の医療用練り歯磨き試験(The Effect of Sodium Trimetaphosphate on Caries:A3-Year Clinical Toothpaste Trial)」う蝕調査Vol.30、418〜422ページ(1996年)(非特許文献3)は、トリメタリン酸塩(環式リン酸塩)は、う蝕症に対して効果的であり得る、と示唆している。しかしながら、スタドラー(Stadtler)らは、より酸性度の高い練り歯磨き製剤よりむしろ、中性に近いpHを有する製剤を使用した。他の研究で、う蝕症に対してポリリン酸塩を包含する、ある種のリン酸塩を使用することの有効性が示唆されているが、しかしこのような研究は通常、中性に近いpHをもつ構造(formation)を使用して実施された。例:マクガウニー(McGaughey)らの「HAの溶解度と鉱化作用のポリリン酸塩の効果:う蝕予防活動のための論理的根拠に関して(Effects of Polyphosphates on the Solubility and Mineralization of HA:Relevance to a Rationale for Anticaries Activity)」、歯科調査ジャーナル(Journal of Dental Research)、579〜587ページ、1977年6月(非特許文献4)、及びシバタ(Shibata)らの「ハムスターにおけるう蝕菌及び実験的う蝕に対する濃縮リン酸塩の抗菌作用(Antibacterial Action of Condensed Phosphates on the Bacterium Streptococcus Mutans and Experimental Caries in the Hamster)」口腔生態学の記録Vol.27、809〜816ページ(1982年)(非特許文献5)を参照。
別の研究では、低いpHの粉末飲料組成物におけるリン酸モノカルシウムの大臼歯の侵食防止における有効性を示唆した。レウスナー(Reussner)らの、「酸含有飲料中のリン酸の歯の侵食に対する効能(Effects of Phosphates in Acid-Containing Beverages on Tooth Erosion)」、歯科調査ジャーナル、365〜370ページ、1975年3月〜4月(非特許文献6)を参照。しかしながら、この同じ研究は更に、ヘキサメタリン酸ナトリウムを含むその他のリン酸塩を補充した飲料組成物が、大臼歯の侵食に対して重要な保護的効果は生じないと示唆した。レウスナー(Reussner)らの367ページを参照。
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,705,691号
【特許文献2】米国特許第2,661,349号
【特許文献3】米国特許第3,455,838号
【特許文献4】米国特許第4,460,617号
【特許文献5】米国特許第4,705,690号
【特許文献6】米国特許出願第08/606,907号
【特許文献7】米国特許第4,946,701号
【特許文献8】米国特許第5,427,806号
【特許文献9】米国特許第5,433,965号
【特許文献10】米国特許第4,411,925号
【特許文献11】米国特許第4,399,163号
【特許文献12】米国特許第4,338,346号
【特許文献13】米国特許第4,423,029号
【特許文献14】欧州特許出願第168,112号
【特許文献15】WO99/30576号
【特許文献16】米国特許第4,863,898号
【特許文献17】米国特許第4,830,716号
【特許文献18】米国特許第4,559,152号
【特許文献19】米国特許第4,786,510号
【特許文献20】米国特許第4,786,518号
【特許文献21】米国特許第4,737,375号
【非特許文献1】ラッシ(Lussi)らの、「数種の飲料による侵食可能性の予測(Prediction of the Erosive Potential of Some Beverages)」う蝕症調査Vol.29、349〜354ページ(1995年)
【非特許文献2】ボルググレーブン(Borggreven)らの、「ヒト歯のエナメル質における、生体外でう蝕損傷を形成する種々の両親媒性リン酸塩の影響(The Influence of Various Amphiphilic Phosphates on in vitro Caries Lesion Formation in Human Dental Enamel)」う蝕調査Vol.26、84〜88ページ(1992年)
【非特許文献3】スタドラー(Stadtler)らの、「トリメタリン酸ナトリウムのう蝕症に対する影響:3年間の医療用練り歯磨き試験(The Effect of Sodium Trimetaphosphate on Caries:A3-Year Clinical Toothpaste Trial)」う蝕調査Vol.30、418〜422ページ(1996年)
【非特許文献4】マクガウニー(McGaughey)らの「HAの溶解度と鉱化作用のポリリン酸塩の効果:う蝕予防活動のための論理的根拠に関して(Effects of Polyphosphates on the Solubility and Mineralization of HA:Relevance to a Rationale for Anticaries Activity)」、歯科調査ジャーナル(Journal of Dental Research)、579〜587ページ、1977年6月
【非特許文献5】シバタ(Shibata)らの「ハムスターにおけるう蝕菌及び実験的う蝕に対する濃縮リン酸塩の抗菌作用(Antibacterial Action of Condensed Phosphates on the Bacterium Streptococcus Mutans and Experimental Caries in the Hamster)」口腔生態学の記録Vol.27、809〜816ページ(1982年)
【非特許文献6】レウスナー(Reussner)らの、「酸含有飲料中のリン酸の歯の侵食に対する効能(Effects of Phosphates in Acid-Containing Beverages on Tooth Erosion)」、歯科調査ジャーナル、365〜370ページ、1975年3月〜4月
【非特許文献7】バージニア州アーリントン(Arlington)のAOAC発行の公式分析方法(Official Methods of Analysis)、627〜628ページ(14版、1984年)
【非特許文献8】ラグ−グン(Rugg-Gunn)らによる、「口腔内器具使用の4種の飲料によるエナメル質の侵食比較(Comparison of Erosion of Dental Enamel by Four Drinks Using an Intra-Oral Appliance)」う蝕調査Vol.32、337〜343ページ(1998年)
【非特許文献9】ウッドルーフ及びフィリップス(woodroof and Phillips)による、飲料:炭酸及び非炭酸、AVI パブリッシング社(AVI Publishing Co.)、1981年改訂
【非特許文献10】トーナー及びヘルツバーグ(Thorner and Herzberg)による、非アルコール食品業界飲料ハンドブック(Non-Alcoholic Food Service Beverage Handbook)、AVI パブリッシング社(AVI Publishing Co.)、1978年、第2版
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、歯の侵食に対して有効な低pH飲料組成物を見つけることが引き続いて必要である。当技術の見解では、本発明者は、意外にも、より詳細に本明細書に記載されているような、特定のポリリン酸塩を含む低pH飲料組成物が歯の侵食に対して有効であることを見出した。本発明者は、更に、このような効果が骨と歯の健康に有益であるとして知られるカルシウムで置換された、このようなポリリン酸塩を有する同様の組成物を上回り得る効果を有することまでも見出した。それゆえ、本発明者は、特定の飲料組成物及び飲料組成物を含むキットを使用する歯の侵食を処置する方法を本明細書に記載する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、pHが約5未満の飲料組成物の哺乳動物(好ましくはヒト)への経口投与を含む歯の侵食を処置する方法を対象とする;ここで、飲料組成物は次のような構造を持つ化合物を含む飲料組成物である:式中、nは、約7から約100の、整数の平均値であり、M、M’及びM’’は、それぞれ独立してナトリウム、及びカリウムからなる群から選択される。
【化1】

【0006】
本発明は更に、前述の飲料組成物を含むキット、及び飲料組成物の使用が歯の侵食を処置を提供する情報を対象とする。
【0007】
本発明の方法及びキットについては、本明細書の以下により詳細に記載される。
本発明は、飲料組成物の哺乳動物、好ましくはヒトへの経口投与を含む歯の侵食を処置する方法を対象とする。本発明は更に、飲料組成物を含むキット及び飲料組成物の使用が歯の侵食を処置を提供するという情報を対象とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本開示全般にわたり、出版物及び特許を参照する。本明細書中で引用された全ての参考文献は、参考のため、本明細書に組み込まれる。
パーセント及び比率は全て、他に指示しない限り、質量で計算されている。パーセント及び比率は全て、他に指示しない限り、総組成物量で計算されている。構成成分又は組成物の値は、全てその構成成分又は組成物の活性値を参照しており、不純物、例えば商業的に入手可能な供給物中に存在している可能性がある残存溶媒又は副生成物は除外されている。
本明細書に参照の構成成分の商品名は、特定の炭水化物、フレーバ、及びその他の構成成分等があるが、これに限定されるものではない。本明細書で、発明者は特定の商品名の材料に限定する意図は持たない。それら参照の商品名の材料と同等の材料(例えば、異なる出所から異なる名称又はカタログ(参照)番号で入手されるもの)は、本明細書の組成物、キット及び方法に置き換え、利用してもよい。
本発明の説明において、種々の実施態様及び/又は個々の特徴が開示される。通常、熟練の開業医には明らかであろうが、これらの実施態様及び特徴のあらゆる組み合わせが、本発明の好ましい実行において可能であり、生じ得る。
本明細書の組成物、方法及びキットは、本明細書に記載のいずれの構成要素を包含本質的に構成、構成してもよい。
【0009】
定義
本明細書で使用する時、「歯の侵食(dental erosion)」という用語は、哺乳類の歯の構成要素の破壊、軟化及び/又は脱鉱質化と定義する(即ち、通常このようなエナメル質の溶解を伴う歯のエナメル質の脱鉱質化)。好ましくは、このような歯の構成要素の破壊は、酸が歯の構成要素に直接作用することで引き起こされる。このような酸は、例えば、自然にか、慢性的吐き戻し(例えば、神経性食欲不振症、神経性過食症及び/又は胃腸撹乱)により、及び/又は酸性(即ち、pH約5未満を有する)食品、飲料、薬剤調合剤(店頭販売、処方箋を含む)及び/又は栄養調剤の投与により、口腔内の窩洞に存在する。例:ラッシ(Lussi)らの、「数種の飲料による侵食可能性の予測(Prediction of the Erosive Potential of Some Beverages)」う蝕調査Vol.29、349〜354ページ(1995年)(非特許文献1)を参照。好ましくは、このような化学工程は、より典型的に窩洞の形成を引き起こすバクテリアの活動(即ち、う蝕)と直接関係しない。歯の侵食は、上述のエナメル質の破壊、又は軟化、及び脱鉱質化を引き起こし得る。
【0010】
本明細書で「歯の侵食」という用語に関連して「処置(treating)」という用語を、本飲料組成物のユーザーに関する歯の侵食に対する抑制(部分的に、又は完全に)、復帰、及び/又は保護と定義する。最も好ましくは、「歯の侵食」という用語に関連して「処置」という用語を、本飲料組成物のユーザーに関する歯の侵食に対する抑制(部分的に、又は完全に)及び/又は保護と定義する。歯の侵食が「処置される」という場合、例えば、エナメル質の軟化、脱鉱質化、及び/又は窩洞形成等といった状態は、抑制、復帰、及び/又は保護され得る。
【0011】
本発明の方法
本発明の方法は、飲料組成物が本明細書において後で説明する明示された構造を有するポリリン酸塩化合物を含む飲料組成物である時、pHが約5未満の飲料組成物の哺乳動物への経口投与を含む歯の侵食の処置を対象にしている。意外にも、本発明者は、低pH飲料組成物にもかかわらず、本飲料組成物は歯の侵食に対する処置を提供することを見出した。本明細書において、発明者は更に、飲料組成物がしばしば歯の侵食の処置に関連付けられる成分、即ち、フッ化物及び/又はカルシウムを実質的に含まない場合においてさえも、このような処置がもたらされることを感動的に見出した。本発明者は更に、飲料組成物が本明細書で定義されるポリリン酸塩化合物以外にも、1以上の化合物から得られるリン酸塩を実質的に含まない場合においてさえ、このような処置がまた提供されることを発見した。
【0012】
本発明の方法に従い、歯の侵食は、pH約5未満を有する本明細書で明確に定義されたポリリン酸塩化合物を含む飲料組成物を、哺乳動物、好ましくはヒトへ経口投与することによって処置される。本明細書で使用する時、哺乳動物(好ましくはヒト)に関連して「経口投与」という用語は、哺乳動物が1以上の本発明の飲料組成物を(好ましくは、歯の侵食に対する処置のために)摂取する、又は摂取するよう導かれることを意味する。哺乳動物が1以上の飲料組成物を摂取するよう導かれる場合、ユーザーに飲料組成物の使用によって歯の侵食に対する処置がもたらされ得る、及び/又はもたらされるということを教え、及び/又は知らせる指導をしてもよい。例えば、そのような指導は口頭指導(例:例えば、医師、歯科専門家、専門販売員、又は協会による口頭での指示、及び/又はラジオやテレビ媒体(即ち、広告))、又は書面での指導(例:例えば、医師又は歯科専門家(例:手書きメモ)、専門販売員、又は協会(例:広告用チラシ、パンフレット、その他教育的備品を通じて)、文字媒体(例:インターネット、電子メール、その他コンピュータ関連媒体)、及び/又は飲料組成物に関連のパッケージ(例:飲料組成物を収容するパッケージ上のラベル)による書面での指示)でもよい。本明細書で使用する時、「書面での(written)」という用語は、文字、絵、記号、及び/又はその他の目で見る説明を意味する。このような説明は、「歯の」及び/又は「侵食」といった実際の語を用いる必要はなく、むしろそれと同一、又は類似の意味を伝達する語、絵、記号等の使用が本発明の範囲内で考慮される。
【0013】
本発明に従って、本明細書に記載のように哺乳動物は1種以上の組成物を摂取するか、又は摂取するよう導かれる。このような摂取、又は摂取の指導は、典型的には少なくとも月1度、より典型的には少なくとも週1度、最も好ましくは少なくとも1日1度、行われる。侵食性の飲料組成物、例えば、本明細書に記載のように、ポリリン酸塩化合物を含まない低pH飲料組成物等又は炭酸飲料の代わりに、このような摂取又は指導が行われるのが好ましい。加えて、歯の健康上の問題に対する最適な処置は通常更に、例えば、う蝕症等の一般的な歯の問題の予防を意図した練り歯磨き及び/又は口腔用リンス剤の使用等、標準的な方法によって標準的な歯磨き剤の使用等を包含する、標準的な歯のケアを伴う。
【0014】
前述の様に本方法は、pHが約5未満の飲料組成物の哺乳動物(好ましくはヒト)への経口投与を含む歯の侵食の処置に関する;ここで、飲料組成物は、次の構造を有するポリリン酸塩を含む:(式中、nは、約7から約100の、整数の平均値であり、M、M’及びM’’は、それぞれ独立してナトリウム、及びカリウムからなる群から選択される。)
【0015】
【化2】

【0016】
本飲料組成物は、飲料組成物の質量において、好ましくは、約0.001%〜約0.5%、より好ましくは、約0.03%〜約0.3%、更により好ましくは約0.05%〜約0.2%、最も好ましくは、約0.05%〜約0.1%の化合物を含む。
【0017】
また、好ましくはnは、約10から約30の、整数の平均値であり、より好ましくは約13から約25の、整数の平均値であり、最も好ましくは約19から約25の、整数の平均値である。最も好ましくは、nは、整数の平均値で約21である。
また好ましくは、M、M’及びM’’のそれぞれはナトリウムである。
本明細書の本飲料組成物は、pH約5未満を有し、好ましくはpH約2〜約4.5であり、最も好ましくは、pH約2.7〜約3.5を有する。飲料組成物の酸性度は、例えば、食品グレードの酸性化剤、及び/又は緩衝液の使用等、既知の従来の方法によって必要な範囲に調整され、維持されることができる。適切なpHへの調整及び維持に利用される成分は、本発明にとって重要ではない。しかし、制限はされないが、例えば、有機並びに無機食用酸は、飲料組成物のpHの調整に使用されてよい。酸は、その解離していない形状、又はそのそれぞれの塩として存在してもよい;例えば、リン酸水素カリウム又はナトリウム、又はリン酸二水素カリウム又はナトリウムの塩。好ましい酸は、食用有機酸である。より好ましい酸は、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、リン酸、グルコン酸、酒石酸、アスコルビン酸、酢酸、リン酸、及びこれらの混合物等である。最も好ましい酸は、クエン酸とリンゴ酸である。
【0018】
更に感動的なことに、飲料組成物がしばしば歯の侵食の処置と関連付けられる化合物、即ち、フッ化物及びカルシウムを実質的に含まない場合においてさえ、飲料組成物の使用によって歯の侵食の処置がもたらされることを見出した。本発明者は更に、このような処置はまた、本明細書で定義されるポリリン酸塩化合物以外の化合物から得られるリン酸塩を、実質的に含まない飲料組成物においてさえも提供されることを発見した。それ故に、本明細書における好ましい、しかし必須ではない実施態様は、本明細書で定義されたポリリン酸塩化合物以外の1以上の化合物から取り出されたフッ化物、カルシウム、及び/又はリン酸塩を実質的に含まない飲料組成物である。本明細書で使用する時、「実質的にフッ化物を含まない」等は、組成物が全て質量において飲料組成物の約0.1%未満のフッ化物(構成要素としてイオン形状も包含する)、好ましくは約0.075%未満のフッ化物、より好ましくは約0.05%のフッ化物、また最も好ましくは約0.025%のフッ化物を含むことを意味する。本明細書で使用する時、「実質的にカルシウムを含まない」等は、組成物が全て質量において飲料組成物の約0.1%未満のカルシウム(構成要素としてイオン形状も包含する)、好ましくは約0.075%未満のカルシウム、より好ましくは約0.05%未満のカルシウム、最も好ましくは約0.025%未満のカルシウムを飲料組成物中に包含することを意味する。本明細書で使用する時、「本明細書で定義されたポリリン酸塩化合物以外の1以上の化合物から誘導したリン酸塩を実質的に含まない」等は、組成物が全て質量において飲料組成物の約0.1%未満のこのような他のリン酸塩(構成要素としてイオン形状も包含する)、好ましくは約0.075%未満のこのような他のリン酸塩、より好ましくは約0.05%未満のこのような他のリン酸塩、最も好ましくは約0.025%未満のそのような他のリン酸塩を含むことを意味する。
本方法によると、更に意外にも、1以上の甘味料を飲料組成物中に包含しても歯の侵食の処置が保たれる。このような甘味料は、飲料組成物の任意の構成成分として本明細書の以下に記す。
【0019】
本発明のキット
本発明は更に、本明細書に記載の飲料組成物を含むキット、及び歯の侵食に対する処置をもたらす飲料組成物の使用の情報に関する。例えば、このような情報は、キットの一部として普及された口頭での情報でもよいが、書面による情報、通常は飲料組成物に関連のパッケージ(例:飲料組成物を収容するパッケージ上にあるラベル、又はキット中に包含されるパッケージ挿入物)上にあるのが好ましい。本明細書で使用する時、「書面で」とは、文字、絵、記号、及び/又はその他の目で見る情報を意味する。このような情報は、「歯の」及び/又は「侵食」といった実際の語を使用する必要はなく、むしろそれと同一又は類似の意味を伝達する語、絵、記号等の使用が本発明の範囲内で考慮される。一般的な歯の健康及び歯の健康の良識、及び特に歯の侵食に対する処置に関する情報を含むような情報が、ユーザーにとって重要である。
【0020】
本キットと方法において用いられる飲料組成物の任意成分
本発明のキットと方法において用いられる組成物は、例えば、その安定度、官能試験特性、及び/又は栄養的側面を強化するための追加的な任意成分を包含してもよい。例えば、水、飲料用エマルション、増粘剤、甘味料、着色剤、栄養剤、炭酸化成分、可溶性繊維、防腐剤等を本明細書の組成物中に包含してもよい。このような任意成分は、本組成物中に分散、溶解してもよいし、またはさもなければ混合してもよい。これらの成分は、実質上飲料組成物の特性を妨げなければ、本明細書の組成物に加えられてもよい。本明細書に用いるのに好適な任意成分の非限定的な例を以下に挙げる。
【0021】

本組成物は飲料組成物であるので、水は通常本発明の方法及びキットに利用される。本明細書で使用する時、「水」という用語は、組成物中に存在する水の全量を包含する。従って「水」には、フレーバ剤、シュガーシロップ剤、及びその他の源(例:ゴム溶液)からの水が包含される。組成物中に存在するあらゆる固形物の水和物水もまた包含される。水が包含される場合に、製品の重量の約0.1%〜約99.999%、好ましくは約5%〜約99%、更に好ましくは約50%〜約99%、より更に好ましくは約70%〜約95%、最も好ましくは約85%〜約93%の値で水が包含される。
【0022】
本明細書で用いられる化合物はまた、飲料組成物中に用いられる時には防腐剤として活性を持ってもよいが、防腐剤活性に対し最適である組成物の使用がしばしば好まれていることは、一般的な一技術により認識理解される。その結果、最近の明細書を基に更に理解されるように、水の硬度は本明細書で使用されている化合物の最適な防腐剤活性に適合され得る。水に関しての「硬度」という用語は、一般的に水中の陽イオンの存在に関連する。本発明の目的のために、追加された水成分の硬度は、バージニア州アーリントン(Arlington)のAOAC発行の公式分析方法(Official Methods of Analysis)、627〜628ページ(14版、1984年)(非特許文献7)において説明される、公式分析化学協会(the Association of Official Analytical Chemists, AOAC)の基準に従って計算される。AOAC基準によると、硬度は水中の炭酸カルシウム当量(mg/L)の総計であり、総計は因子によって水中で以下に挙げる陽イオンの濃度(mg/L)を乗じて求められる(下記の表1を参照)。
【0023】
【表1】

【0024】
水に多価の陽イオンを与える他の化合物もまた硬度を付与するが、水に硬度を付与する化合物は、主としてマグネシウム、及び炭酸カルシウム、重炭酸塩、硫酸塩、塩化物、硝酸塩である。水は、硬度に基づいて標準的に軟水(水硬度0〜60ppm)、やや硬水(水硬度61〜120ppm)、かなり硬水(180ppmより上)として分類される。本明細書において、組成物が硬度約0ppmから約120ppmの水を有するのが好ましく、より好ましくは約0ppmから約60ppm、最も好ましくは0ppmから約30ppmである。例えば、本明細書における組成物が実質的にカルシウムを含まないのが特に好ましいように、比較的低い水の硬度(やや硬水、又は軟水)についての優位は、本発明と一致している。
極端な硬水は、既知の従来の方法によって適切な値まで硬度を減少させて、処置又は軟化させてもよい。従って、水を処置する場合、この処置した水をその後、飲料製品に追加される水成分として使用できる。
【0025】
飲料エマルション
本明細書に使用される飲料組成物は任意に、しかしながら好ましくは、約0.2%から約5%、好ましくは約0.5%から約3%、最も好ましくは約0.8%から約2%の飲料エマルション含む。この飲料エマルションは、クラウドエマルションでもフレーバエマルションでもよい。
クラウドエマルションについて、クラウディング剤は、好適な食品グレード乳化剤を使用する水中油型エマルションとして1以上の安定した脂肪、又は油脂を含み得る。脂肪又は油脂は、食品及び/又は飲料への使用に好適であるならば、あらゆる多様な脂肪又は油脂をクラウディング剤として利用することができる。それらの脂肪、及び油脂は精製され、漂白され、フレーバを取り去るために臭気を除去されるのが好ましい。クラウディング剤として使用するには、官能検査で中性である脂肪が特に好適である。これらは、次の原料からの脂肪を包含する:大豆、とうもろこし、サフラワー、ひまわり、綿実、キャノーラ、セイヨウアブラナ等、植物性油脂;ココナッツ、パーム、パームの実(palm kernel)等のナッツ油脂;及び合成油脂。例:クッパー(Kupper)らに1987年11月10日に発行された、好適な脂肪、又は油脂のクラウディング剤についての米国特許第4,705,691号(特許文献1)を参照。
【0026】
水中油型エマルションとして脂肪又は油脂クラウディング剤を安定させ得るあらゆる好適な食品グレードの乳化剤が使用できる。好適な乳化剤は、アラビアゴム、変性食品デンプン(例:アルケニルコハク酸変性食品デンプン(alkenylsuccinate modified food starches))、セルロースから得られるアニオン性ポリマー(例:カルボキシメチルセルロース)、ガッチゴム、変性ガッチゴム、キサンタンゴム、トラガカントゴム、グアーゴム、イナゴマメゴム、ペクチン、及びこれらの混合物を含む。例:クッパー(Kupper)らに1987年11月10日に発行された、米国特許第4,705,691号(特許文献1)を参照。コールドウェル(Caldwell)らの米国特許第2,661,349号(特許文献2)に記載されているような、疎水性及び親水性基を含むよう処置された変性デンプンは、本明細書で使用の乳化剤として好ましい。マロッタ(Marotta)らの米国特許第3,455,838号(特許文献3)、及びバーンド(Barndt)らの米国特許第4,460,617号(特許文献4)に記載されているようなオクテニルコハク酸(OCS)変性デンプンは、特に乳化剤として好ましい。
【0027】
クラウディング剤は、分離して上層部に浮き上がることなく、飲料に全部又は一部に不透明度を付与する飲料乳白剤を提供する加重剤と結合し得る。飲料乳白剤は、消費者に果汁含有飲料の外観を提供する。あらゆる好適な加重油脂は飲料乳白剤中に使用することができる。通常加重油脂は、臭素化された植物油、ウッドロジンのグリセロールエステル(エステルゴム)、スクロースアセテートイソブチレート(SAIB)、及びその他のスクロースエステル、ゴムダマール、ロジン、ゴムエレミ、又はその他当業者に既知のものを包含する。その他の好適な加重剤には、消化されない臭素化された液状ポリオールポリエステル等がある。例:ブランド(Brand)らに1987年11月10日に発行された米国特許第4,705,690号(特許文献5)を参照。
クラウディング剤を加重剤(乳白剤エマルション用)、乳化剤、水と混ぜ合わせてクラウディング/乳白剤エマルションは調整される。通常エマルションは、約0.1%から約25%のクラウディング剤、約1%から約20%の加重油脂剤(乳白剤エマルションの場合)、約1%から約30%の乳化剤、及び約25%から約97.9%の水(又は十分の量)を含有する。
【0028】
エマルションの水不溶性成分の粒度は、当技術で既知の好適な装置を使用することで減少される。乳化剤の懸濁液中に油脂を収容する能力が粒度に比例することから、直径約0.1〜約3.0ミクロンの粒子のエマルションが好適である。好ましくは、直径約2.0ミクロン又はそれ以下の粒子である。最も好ましいのは、実質的に全粒子が直径1.0ミクロン又はそれ未満のエマルションである。ホモジナイザー、コロイド粉砕機、又はタービン形攪拌機を混合物が通過することによって、粒度は減少される。通例、1回又は2回の通過で十分である。例:クッパー(Kupper)らに1987年11月10日に発行された米国特許第4,705,691号(特許文献1)を参照。
【0029】
本発明の飲料製品に有効なフレーバエマルションは、飲料中にフレーバ剤として使用される当業者に既知の1以上の好適なフレーバ油脂、抽出物、含油樹脂、精油等を含む。この成分はまた、果実等の天然製品の濃縮物から得られるようなフレーバ濃縮物も含み得る。テルペンを含有しない柑橘オイル及びエッセンスもまた、本明細書において使用されることができる。好適なフレーバの例としては、例えば、オレンジ、レモン、ライム等のフルーツフレーバ、コーラフレーバ、ティーフレーバ、コーヒーフレーバ、チョコレートフレーバ、乳製品フレーバ等がある。これらのフレーバは、精油や抽出物等の天然の原料から抽出することができるし、又は合成で調製することもできる。フレーバエマルションは通常、多様なフレーバの混合物を含み、エマルション、アルコール性抽出物、又は噴霧乾燥等の形状で用いることができる。フレーバエマルションはまた、前述のように、加重剤を伴う、又は伴わないクラウディング剤を包含することもできる。例:クッパー(Kupper)らに、1987年11月10日に発行された米国特許第4,705,691号(特許文献1)を参照。
フレーバエマルションは通常、クラウド/乳白剤エマルションと同様の方法で、1種以上のフレーバ油脂(約0.001%〜約20%)を乳化剤(約1%〜約30%)、及び水と混ぜ合わせて調製される。(油状クラウディング剤もまた存在し得る。)直径約0.1から約3.0ミクロンの粒子のエマルションが好適である。直径約2.0ミクロン以下の粒子が好ましい。直径約1.0ミクロン以下の粒子が最も好ましい。乳化剤は、特殊化されたフレーバ油脂を覆って、癒着を防ぎ、適切な分散性の維持を補助する。フレーバエマルションの粘度と比重は、飲料最終品との融和性を持つよう調節されている。例:クッパー(Kupper)らに1987年11月10日に発行された米国特許第4,705,691号(特許文献1)を参照。
【0030】
フレーバ剤
本明細書で使用される飲料組成物は、フルーツジュース、ティーソリッド、乳ソリッド、果実フレーバ、植物性フレーバ、及びこれらの混合物から選択された、1種以上のフレーバ剤を含んでもよい。フルーツジュースが包含される時、本発明の飲料は、約0.1%〜約40%、好ましくは約1%〜約20%、より好ましくは約2%〜約10%、最も好ましくは約3%〜約6%のフルーツジュースを含むことができる(本明細書での測定は、フルーツジュースの質量のパーセントは、シングルストレングスの糖度約2度から16度のフルーツジュースを基にしている。)フルーツジュースは、ピューレ、粉末、又はシングルストレングス又は濃縮果汁として飲料中に含まれることができる。糖度約20度から約80度の固形内容物(主に砂糖の固形として)を伴う濃縮物としてのフルーツジュースを含むのが特に好ましい。
【0031】
フルーツジュースは、希釈果汁飲料への使用が知られている、いずれの柑橘果汁、柑橘以外の果汁、又はそれらの混合物でもあり得る。ジュースは、例えば、リンゴ、クランベリー、洋ナシ、桃、プラム、アンズ、ネクタリン、ぶどう、さくらんぼ、アカスグリ、ラズベリー、スグリ、ニワトコ、ブラックベリー、ブルーベリー、イチゴ、レモン、ライム、マンダリン、オレンジ、グレープフルーツ、クプアク(cupuacu)、ジャガイモ、トマト、レタス、セロリ、ほうれん草、キャベツ、クレソン、タンポポ、ダイオウ、ニンジン、ビート、キュウリ、パイナップル、ココナッツ、ザクロ、キウイ、マンゴ、パパイヤ、バナナ、スイカ、パッションフルーツ、タンジェリン、マスクメロン等から得ることができる。リンゴ、洋ナシ、レモン、ライム、マンダリン、グレープフルーツ、クランベリー、オレンジ、イチゴ、タンジェリン、ぶどう、キウイ、パイナップル、パッションフルーツ、マンゴ、グアヴァ、ラズベリー、さくらんぼから得られるジュースが好ましい。柑橘果汁、好ましくは、グレープフルーツ、オレンジ、レモン、ライム、マンダリンのジュース、並びにマンゴ、リンゴ、パッションフルーツ、グアヴァから得られるジュース、並びにそれらのジュースの混合物は最も好ましい。
【0032】
果実フレーバもまた使用してもよい。フレーバエマルションについて上述したように、果実フレーバは、精油及び抽出物等の天然の源から抽出してもよいし、合成で調製することも可能である。果実フレーバは、加工、特に濃縮することによって果実から得てもよい。フルーツジュースが濃縮、又は蒸発される場合、取り去られた水、又は凝縮物は、果実のフレーバを含む揮発性物質を含有する。しばしばこのようなフレーバは、果汁濃縮物にそのフレーバを高めるために加えられる。凝縮物もまた、「ニアウォーター(near water)」(かすかに香り付けされた水)のフレーバ付けに用いられてもよい。
植物性フレーバもまた、使用されてもよい。本明細書で使用する時、「植物性フレーバ」という用語は、果実ではなく植物の一部、即ち、ナッツ、樹皮、根、及び/又は葉から得られるフレーバのことを言う。「植物性フレーバ」という用語の中にはまた、天然の源から取り出された植物性フレーバをまねて作られた合成のフレーバも含まれる。植物性フレーバは、精油、及び抽出物等の天然の源から得ることもできるし、又は合成的に調製することもできる。好適な植物性フレーバは、ジャマイカ(jamaica)、コーラノキ、マリゴールド、キク、カミツレ、ショウガ、カノコソウ、ヨヒンビン、ホップ、エリオディクチョン(eriodictyon)、ヤクヨウニンジン、コケモモ、米、赤ワイン、マンゴ、ボタン、西洋ヤマハッカ、ナッツゴール(nut gall)、オークチップ、ラベンダ、クルミ、リンドウ、ルオハングオ(luo han guo)、シナモン、アンゼリカ、アロエ、キンミズヒキ、セイヨウノコギリソウ、及びこれらの混合物等である。
【0033】
タンニン酸、又は他の類似の酸は、飲料に渋みを提供するのに使用することができる。約0.001%から約10%のタンニン酸が使用される。他のフレーバ強化剤も、チョコレートやバニラ等のフレーバ剤と並んで使用することができる。
ティーソリッドが包含される場合、本発明の飲料は質量において飲料製品の約0.01%から約1.2%、好ましくは約0.05%から約0.8%のティーソリッドを含み得る。本明細書で使用する時、「ティーソリッド」という用語は、中国種(C.sinensis)及びアッサム種(C.assaimica)を包含するツバキ属から得られる、それらの材料を包含する茶材料から抽出される固形物を意味する。例えば、鮮度良く収穫された茶葉、収穫後直ちに乾燥された新鮮な緑茶の葉、あらゆる酵素の存在を不活性化するため乾燥前に熱処理された新鮮な緑茶の葉、非発酵茶、インスタント緑茶、一部発酵茶葉等である。緑茶材料は、茶葉、茶茎部、紅茶を作る実質的な発酵を経ない、関連のその他の植物材料である。カギカズラ属(genus Phyllanthus)の植物、ビンロウガンビール(Catechu gambir)、及びカギカズラ科の茶木もまた、使用することができる。非発酵、及び一部発酵茶の混合物もまた、使用することができる。
【0034】
本発明の飲料に使用のティーソリッドは、周知の一般的なティーソリッド抽出方法によって得ることができる。特に好ましい緑茶ソリッドの源は、エカナヤク(Ekanayake)らに1996年2月26日に記録された米国特許出願第08/606,907号(特許文献6)に記載の方法によって得ることができる。そうして得られたティーソリッドは、通常カフェイン、テオブロミン、タンパク質、アミノ酸、ミネラル、炭水化物を含む。ティーソリッドを含む好適な飲料は、ツァイ(Tsai)らに1990年8月7日に発行された、米国特許第4,946,701号(特許文献7)によって処方することができる。本発明に使用の緑茶ソリッドの好適な源について、エカナヤク(Ekanayake)らに1995年6月26日に発行された、米国特許第5,427,806号(特許文献8)も参照。
本明細書で用いられる飲料組成物はまた、乳ソリッドを含んでもよい。これらの乳ソリッドは、全乳、脱脂乳、練乳、乾燥粉乳等を含む多様な源から取り出すことができる。本明細書で使用する時、「乳(milk)」という用語は、(全乳又は脱脂乳の)流体、又は無脂肪紛乳、又は、水で希釈された練乳等の乳ソリッドの水和分散物を表現するのに使用する。含まれる乳の量は通常、約5%〜約99.8%の、好ましくは約5%〜約75%の、より好ましくは約5%〜約40%、最も好ましくは約5%〜約15%の範囲である。乳ソリッドのこれらの値に相互関連する無脂肪乳ソリッドの量は、それぞれ飲料の約0.5%〜約8.2%、約0.5%〜約6.2%、約0.5%〜約3.3%、約0.5%〜1.2%の範囲である。
【0035】
増粘剤
本明細書に使用の飲料組成物、特に希釈果汁飲料及びティーソリッドは、更に、キサンタンゴム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、ゲランゴム(gellan gum)、グアーゴム、ペクチン、トラガカントゴム、アラビアゴム(gum acacia)、イナゴマメゴム、アラビアゴム(gum arabic)、ゼラチン、並びにこれら増粘剤の混合物等の増粘剤を含んでもよい。これらの増粘剤は通常、特定の増粘剤と望ましい粘度効果によって、約0.1%までの値で本発明の飲料に包含される。
【0036】
甘味料
本明細書で使用の飲料組成物は、有効量の炭水化物甘味料、及び天然及び/又は人工のノンカロリー/低カロリー甘味料等の1種以上の甘味料を含有することができるし、、通常は含有する。本明細書に前述のように、意外にも、本明細書に記載の飲料組成物に使用する際に、1種以上の甘味料を含有しても歯の侵食の処置を害することはないことが見出された。本発明の飲料に使用される甘味料の量は通常、使用される特定の甘味料と望ましい甘味強度によって決まる。ノンカロリー/低カロリー甘味料について、この量は、特定の甘味料の甘味強度によって変化する。
本発明の飲料は、いかなる炭水化物甘味料、好ましくは単糖類及び/又はニ糖類によって甘味付けすることができる。甘味付けられた飲料は通常、約0.1%〜約20%、最も好ましくは約6%〜約14%の甘味料を含む。これらの糖は、飲料中に固形、又は液体の形状で含有され得るが、通常、好ましくはシロップ剤、最も好ましくは高フルクトースコーンシロップ剤のような濃縮シロップ剤として混合される。本発明の飲料を調製するためには、これらの糖甘味料は、例えば、フルーツジュース成分及び/又はフレーバ等の飲料のその他の構成成分によって、ある程度まで提供され得る。
【0037】
本発明の飲料製品に使用する好ましい糖甘味料は、スクロース、フルクトース、ブドウ糖、及びこれらの混合物である。フルクトースは、液体フルクトース、高フルクトースコーンシロップ剤、乾燥フルクトース、又はフルクトースシロップ剤として得ることができ、又は提供され得るが、好ましくは高フルクトースコーンシロップ剤として提供される。高フルクトースコーンシロップ剤(HFCS)は、HFCS‐42、HFCS‐55、HFCS‐90として購入することができ、それぞれその中にフルクトースとしての糖ソリッドを質量において42%、55%及び90%含む。他の自然に生じる甘味料、又はグリシルリシン、タンパク質甘味料タウマシン、例えば、フィッシャー(Fischer)らに、1995年7月18日に発行された米国特許第5,433,965号(特許文献9)等で開示された、ルオハングオ(Luo Han Guo)果汁等、それらの精製した抽出物等もまた、本発明の飲料に使用することができる。
【0038】
好適なノンカロリー/低カロリー甘味料は、サッカリン、チクロ、アセスルファームK(サネット(登録商標))、L−アスパルチル−L−フェニルアラニン低アルキルエステル甘味料(例:アスパルテーム)、ブレナン(Brennan)らに米国特許第4,411,925号(特許文献10)で開示されたL−アスパルチル−D‐アラニンアミド;ブレナン(Brennan)らに米国特許第4,399,163号(特許文献11)で開示された、L−アスパルチル−D−セリンアミド;ブランド(Brand)に米国特許第4,338,346号(特許文献12)で開示されたL−アスパルチル−L−1−ヒドロキシメチルアルカンアミド甘味料;リッジ(Rizzi)に米国特許第4,423,029号(特許文献13)で開示された、L−アスパルチル−1−ヒドロキシエチルカンアミド甘味料;1986年1月15日にジャヌズ(Janusz)に発行され、欧州特許出願第168,112号(特許文献14)で開示された、Lアスパルチル−D−フェニルグリシンエステル、及びアミド甘味料;1999年6月24日にガーラット(Gerlat)らに発行され、ヌートラスイート社(The Nutrasweet Co.)へ譲渡され、WO99/30576号(特許文献15)で開示された、N−[N−3,3−ジメチルブチル)−L−α−アスパルチル]−L−フェニルアラニン1−メチルエステル甘味料等、及びそれらの混合物を包含する。特に好ましい低カロリー甘味料は、アスパルテームである。
【0039】
着色剤
本明細書の飲料組成物中には、少量の着色剤が使用されてもよい。FD&C染料(例:黄色5号、青色2号、赤色40号)、及び/又はFD&Cレーキの使用が好ましい。レーキを他の粉末成分に加えることによって、全粒子、特に着色鉄化合物については、完全に、そして一様に着色された飲料混合物ができあがる。本発明に使用されてもよい好ましいレーキ染料は、赤色40号、黄色6号、青色1号レーキ等、米国食品医薬品局が認可したレーキである。加えて、FD&C染料、又はFD&Cレーキ染料の混合物は、他の従来の食品、及び食品用着色料と組み合わせて使用してもよい。リボフラビン、及びβ−カロチンもまた使用してもよい。使用している着色料の正確な量は、使用の着色剤と最終製品におけるその望ましい強度によって変化する。量は、当業者によって容易に決定され得る。使用する場合は、一般的に着色料は、質量において製品の約0.0001%〜約0.5%、好ましくは約0.001%〜約0.1%、最も好ましくは約0.004%〜約0.1%の値で存在するべきである。
【0040】
栄養剤
本明細書の組成物は、任意に、しかし好ましくは1種以上の栄養剤、特に1種以上のビタミン、及び/又はミネラルで補強される。国立科学学会−国立調査審議会、推奨日常食物配当量−食物及び栄養局において、ビタミン、及びミネラルについての米国推奨日常摂取量(The U.S.Recommended Daily Intake)(USRD)が、定義され、説明されている。
本明細書で特に指定しない限りは、組成物中に一定のミネラルが存在する場合、組成物は通常このようなミネラルについてのUSRDIの少なくとも約1%、好ましくは少なくとも約5%、より好ましくは約10%〜約200%、更により好ましくは約40%〜約150%、最も好ましくは約60%〜約125%を含む。本明細書で特に指定しない限りは、組成物中に一定のミネラルが存在する場合、組成物はこのようなミネラルについてのUSRDIの少なくとも約1%、好ましくは少なくとも約5%、より好ましくは約10%〜約200%、更により好ましくは約20%〜約150%、最も好ましくは約25%〜約120%を含む。
【0041】
そのようなビタミン及びミネラルの非限定的な例として、ナイアシン、チアミン、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、クロム、モリブデン等がある。好ましくは、ビタミン、又はミネラルが使用される場合、ビタミン又はミネラルは、ナイアシン、チアミン、葉酸、ヨウ素、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンE、鉄、亜鉛の中から選択される。好ましくは、少なくとも1つのビタミンが、ビタミンC、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、パントテン酸、ナイアシン、ビオチンの中から選択される。
【0042】
商業的に入手できるビタミンA源もまた、本組成物中に含まれてもよい。ビタミンAは、例えば、ビタミンAパルミテート(レチノールパルミテート)及び/又はβ−カロチンとして提供されることができる。ビタミンAには、例えば、油脂、ビードレット、又はカプセルの形状等がある。本明細書で使用する時、「ビタミンA」という用語は、ビタミンA、β−カロチン、レチノールパルミテート、レチノールアセテートを包含するが、それに限定されるものではない。本明細書の組成物中にビタミンAが存在する場合、製品はこのようなビタミンについてのUSRDIの少なくとも約1%、好ましくは少なくとも約5%、より好ましくは約10%〜約200%、更により好ましくは約15%〜約150%、最も好ましくは約20%〜約120%を含む。本明細書の組成物中にビタミンAが存在する場合、ビタミンAについてのUSRDIの約25%を含むことが特に好ましい。加えられるビタミンAの量は、加工状態及び保管後のビタミンAの望ましい配出量によって決まる。本組成物中にビタミンAが含まれる場合、組成物は質量において製品の、好ましくは約0.0001%〜約0.2%、より好ましくは約0.0002%〜約0.12%、また好ましくは約0.0003%〜約0.1%、より更に好ましくは約0.0005%〜約0.08%、最も好ましくは約0.001%〜約0.06%のビタミンAを含む。
【0043】
商業的に入手可能なビタミンB2(リボフラビンともいう)源を、本発明の組成物に使用してもよい。本明細書の組成物中にビタミンB2が存在する場合、製品はこのようなビタミンについてのUSRDIの少なくとも約1%、好ましくは少なくとも約5%、より好ましくは約5%〜約200%、更により好ましくは約10%〜約150%、最も好ましくは約10%〜約120%を含む。本明細書の組成物中にビタミンB2が存在する場合、ビタミンB2についてのUSRDIの約15%〜約35%を含むのが特に好ましい。
商業的に入手できるビタミンC源は、本明細書に使用することができる。カプセル化されたアスコルビン酸及びアスコルビン酸の食用塩もまた使用できる。本明細書の組成物中にビタミンCが存在する場合、製品はこのようなビタミンについてのUSRDIの少なくとも約1%、好ましくは少なくとも約5%、より好ましくは約10%〜約200%、更により好ましくは約20%〜約150%、最も好ましくは約25%〜約120%を含有する。本明細書の組成物中にビタミンCが存在する場合、ビタミンCについてのUSRDIの約100%を含むことが特に好ましい。加えられるビタミンCの量は、加工状態及び保管後のビタミンCの望ましい配出量によって決まる。本組成物中にビタミンCが含まれる場合、組成物は質量において製品の、好ましくは約0.005%〜約0.2%、より好ましくは、約0.01%〜0.12%、また好ましくは、約0.02%〜約0.1%、更により好ましくは約0.02%〜約0.08%、最も好ましくは約0.03%〜約0.06%のビタミンCを含む。
【0044】
市販のヨウ素源、好ましくはカプセル化されたヨウ素は、本明細書において使用してもよい。その他のヨウ素源は、ヨウ素含有塩、例えば、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ素酸カリウム、ヨウ素酸ナトリウム、又はそれらの混合物等である。これらの塩は、カプセル化されていてもよい。
本明細書に混合されてもよい他のビタミンの栄養的に追加された量は、ビタミンB6、及びビタミンB12、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビタミンD、ビタミンEを包含するが、これらに限定されるものではない。製品がこれらのビタミンのうち一つを含む場合、好ましくは製品は、そのようなビタミンについてのUSRDIの少なくとも5%、好ましくは少なくとも25%、最も好ましくは少なくとも35%を含む。
【0045】
本明細書の組成物中に任意に含まれてもよいミネラルは、例えば、マグネシウム、亜鉛、ヨウ素、鉄、銅等である。食用組成物に含まれるのに好適なこれらのミネラルのあらゆる可溶性塩、例えば、クエン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、ヨウ化カリウム、硫酸銅、グルコン酸銅、クエン酸銅等は、使用され得る。
鉄もまた、本発明の組成物及び方法に用いられてもよい。鉄の容認可能な形状は、当技術で周知である。製品中に混入される鉄化合物の量は、最終製品に望まれる栄養補給の値と、対象となる消費者によって大きく変化するであろう。本発明の鉄強化組成物は通常、鉄についてのUSRDIの約5%〜約100%、好ましくは約15%〜約50%、最も好ましくは約20%〜約40%を含有する。
第一鉄は通常、第ニ鉄よりも身体用により良く利用される。本発明の摂取可能な組成物中に使用可能である、高度に生物学的に利用可能な第一鉄塩は、硫酸第一鉄、フマル酸第一鉄、コハク酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、乳酸第一鉄、酒石酸第一鉄、クエン酸第一鉄、アミノ酸キレート第一鉄、並びにそれら第一鉄塩の混合物等である。第一鉄は通常、より生物学的に利用可能である、ある種の第ニ鉄塩もまた、高度に生物学的に利用可能な鉄源を提供できる。本発明の食品、又は飲料組成物中に使用の高度に生物学的に利用可能な第二鉄塩は、糖酸第二鉄(ferric saccharate)、アンモニアクエン酸第二鉄、クエン酸第二鉄、硫酸第二鉄、並びにそれら第二鉄塩の混合物等である。高度に生物学的に利用可能な第一鉄及び第二鉄塩の組み合わせ又は混合物は、これらの食用ミックス及び直ちに提供可能な形での飲料に使用することができる。高度に生物学的に利用可能な好ましい鉄源は、フマル酸第一鉄、及びアミノ酸キレート第一鉄である。
【0046】
本発明に使用の高度に生物学的に利用可能な鉄源としてのアミノ酸キレート第一鉄は、少なくとも2:1の配位子対金属比率を有するものである。例えば、配位子対金属モル比率2を有する好適なアミノ酸キレート第一鉄は、以下の式である:
Fe(L)2
式中、Lはα−アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、又はテトラペプチド(quadrapeptide)の配位子である。このようにLは、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、オルニチン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリン;又はこれらα−アミノ酸の組み合わせによって形成される、ジペプチド、トリペプチド、又はテトラペプチド(quadrapeptide)から選択された、自然発生のα−アミノ酸であるいずれかの配位子で有り得る。例:全てを参考として組み込む、アッシュミード(Ashmead)らに1989年9月5日に発行された米国特許第4,863,898号(特許文献16);アッシュミード(Ashmead)に1989年5月16日に発行された米国特許第4,830,716号(特許文献17)、アッシュミード(Ashmead)に1986年7月8日に発行された米国特許第4,559,152号(特許文献18)を参照。特に好ましいアミノ酸キレート第一鉄は、グリシン、リシン、ロイシンが反応する配位子であるところのものである。商品名フェローシェル(Ferrochel)(登録商標)(アルビオン研究所(Albion Laboratories)、ユタ州ソルトレークシティ)で販売されている、グリシンがその配位子であるアミノ酸キレート第一鉄が最も好ましい。
【0047】
これらの高度に生物学的に利用可能な第一鉄及び第二鉄塩に加えて、その他の生物学的に利用可能な鉄源は、本発明の食品及び飲料組成物中に含まれ得る。本発明の組成物を強化するのに特に好適なその他の鉄源には、ある種の鉄−糖−カルボキシレート錯体が包含される。これらの鉄−糖−カルボン酸錯体において、カルボキシレートは、(好ましくは)第一鉄、又は第二鉄の対イオンを提供する。これらの鉄−糖−カルボキシレート錯体の全般的な合成は、水性媒体中のカルシウム−糖部分の形成を伴うもので、例えば、糖と水酸化カルシウムの反応、鉄−糖部分を提供するため水性媒体中で、(硫酸アンモニウム第一鉄のような)鉄源とカルシウム−糖部分との反応、そして望ましい鉄−糖−カルボキシレート錯体を提供するため反応系をカルボン酸(「カルボキシ対イオン」)で中和することによる。カルシウム−糖部分を作るのに使用可能な糖は、グルコース、スクロース、フルクト−ス、マンノース、ガラクトース、ラクト−ス、マルトース等のあらゆる摂取可能な糖質材料及びそれらの混合物を包含し、スクロース及びフルクトースを伴うものはより好ましい。「カルボキシレート対イオン」を提供するカルボン酸は、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、プロピオン酸等、並びにそれら酸の混合物等の摂取可能なカルボン酸であり得る。
これら鉄−糖−カルボキシレート錯体は、例えば、参考として組み込まれている、ナケル(Nakel)らに1988年11月22日に発行された米国特許第4,786,510号(特許文献19)及び第4,786,518号(特許文献20)の両明細書に記載の方法で調製され得る。これらの材料は、「錯体」として引用されるが、複雑化された高水和保護コロイドとして溶液中に存在してもよい;「錯体」という用語は、単純化する目的で用いる。
【0048】
亜鉛もまた、本発明の組成物、及び方法に用いられてもよい。亜鉛の許容可能な形状は、当技術で周知である。本発明の亜鉛強化組成物は通常、亜鉛についてのUSRDIの約5%〜約100%、好ましくは約15%〜約50%、最も好ましくは約25%〜約45%を含有する。本発明に使用可能の亜鉛化合物は、、例えば、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、グルコン酸亜鉛(zinc gluconate)、アスコルビン酸亜鉛(zinc ascorbate)、クエン酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛(zinc picolinate)、アミノ酸キレート亜鉛、酸化亜鉛等一般的に用いられる形状であればどのようなものでもあり得る。グルコン酸亜鉛及びアミノ酸キレート亜鉛は、特に好ましい。
【0049】
炭酸化成分
二酸化炭素は、炭酸化を得るため、飲料シロップ剤と混ぜ合わせる水に、又は希釈後の飲料組成物中に注入することができる。炭酸飲料は、ビン又はカン等の容器へ収容することができ、その後密封される。従来の炭酸化の方法はどれでも、この発明の炭酸飲料製品を作るのに用いられてもよい。飲料へ注入される二酸化炭素の量は、用いられる特定のフレーバ系、及び望ましい炭酸化量によって決まる。
【0050】
可溶性繊維
1種以上の可溶性繊維もまた、任意に本明細書の組成物中に包含されてもよい。本発明の全実施態様中に、単独で又は組み合わせて用いられ得る可溶性繊維は、ペクチン、プシリウム(psyllium)、グアーゴム、キサンタン、アルギン酸塩、アラビアゴム、フルクトオリゴ糖類、イヌリン、寒天、カラゲナン等を包含するが、これらに限定されるものではない。これら可溶性繊維もまた、本発明の多様な実施態様において安定剤として利用できる。
ペクチンとフルクトオリゴ糖類は、本明細書の可溶性繊維として好ましい。ペクチンとフルクトオリゴ糖が組み合わせて用いられるのが、更により好ましい。ペクチンとフルクトオリゴ糖の好ましい比率は、質量において組成物の約3:1から約1:3である。好ましいペクチンは、約65%より高いエステル化度を有する。
好ましいフルクトオリゴ糖は、スクロース分子と結合したフルクトース分子鎖から構成されるフルクトオリゴ糖の混合物である。最も好ましくは、組成物は、ナイストース(nystose)、ケストース(kestose)、フルクトシルナイストース(fructosyl-nystose)の比率が、質量において約40:50:10を有する。好ましいフルクトオリゴ糖は、例えば、フランス、ヌイリー−サー−セインのベギン−メイジ インダストリー(Beghin-Meiji Industries,Neuilly-sur-Seine,France)より商業的に入手可能なスクロースのフラクトシル転移酵素の酵素反応によって得てもよい。
【0051】
好ましいペクチンは、柑橘類の皮から熱酸性抽出物により得られ、また例えば、デンマーク、ブラバンド(Braband,Denmark)のデニスコ社(Danisco Co.)から得てもよい。
可溶性繊維が用いられる場合、本発明の本組成物にとっての望ましい可溶性食用繊維の総量の値は通常、約0.01%〜約15%、好ましくは約0.1%〜約5%、最も好ましくは約0.1%〜約2%である。可溶性食用繊維の総量には、いずれの追加された可溶性食用繊維でも、並びに本発明のいかなる他の構成成分中に自然に存在する、いずれの可溶性食用繊維でも包含される。
【0052】
防腐剤
任意に1種以上の防腐剤が、本明細書において追加的に使用されてもよい。好ましい防腐剤には、例えば、ソルビン酸塩、及び安息香酸塩等がある。本明細書に上記のポリリン酸塩化合物もまた、防腐剤として非常に有用である。
好ましくは、本ポリリン酸塩化合物以外の防腐剤が本明細書において使用される場合、1種以上のソルビン酸塩、又は安息香酸塩の防腐剤(又はそれらの混合物)が使用される。本発明への使用に好適なソルビン酸塩、及び安息香酸塩の防腐剤には、ソルビン酸、安息香酸、及びそれらの塩が包含され、それらはまた、ソルビン酸カルシウム(calcium sorbate)、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム(potassium sorbate)、安息香酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、及びそれらの混合物を包含しているが、それに限定されるものではない。ソルビン酸塩防腐剤は、特に好ましい。ソルビン酸カリウムは、本発明での使用に特に好ましい。
【0053】
製品がソルビン酸塩及び/又は安息香酸塩を含む場合、本発明の組成物は、質量において組成物の、好ましくは約0.0005%〜約0.04%のソルビン酸塩及び/又は安息香酸塩を、より好ましくは約0.001%〜約0.035%のソルビン酸塩及び/又は安息香酸塩を、最も好ましくは約0.003%〜約0.03%のソルビン酸及び/又は安息香酸塩を含む。組成物が1種以上のソルビン酸塩及び/又は安息香酸塩の混合物を含む場合、そのような防腐剤の全体的な濃度は、これらの範囲に維持されることが好ましい。
【0054】
分析方法
飲料組成物、例えば、清涼飲料水(例:コーラ飲料)及びフルーツジュース飲料は、飲料消費者に歯の侵食を経験させ得る。このような歯の侵食は、飲料組成物が本質的に酸性(pHが約5以下を示す)である場合に引き起こされる。このように、本明細書で定義された通常の飲料及び飲料組成物の侵食性(又はその欠如)を測定することは重要である。歯の侵食は、標準的方法を用いて判断してもよいが、ラグ−グン(Rugg-Gunn)らによる、「口腔内器具使用の4種の飲料によるエナメル質の侵食比較(Comparison of Erosion of Dental Enamel by Four Drinks Using an Intra-Oral Appliance)」う蝕調査Vol.32、337〜343ページ(1998年)(非特許文献8)に記載の方法でもよい。この方法を、次の通り一般的に要約する。
【0055】
前述の取り外し可能な口腔器具は、洗浄器と口蓋の正中線の両側のどちらかに1つのスラブを有し、1人以上のヒトでの試験対象用に構成されている。スラブは、2つのスラブが実験期間中、試験する飲料の中に同時に浸される様に組み立てられている。スラブは、ヒトの大臼歯の抽出物から得られるようなヒトのエナメル質(圧熱滅菌器によって殺菌済)から構成される。スラブは、表面プロファイラ(サーフォメータ(Surfometer)SF220、プラナープロダクツ社(Planer Products Ltd.))を使用して分布測定される。各々のスラブは、6日間の実験期間の前と後に分布測定される。各々の分布の記録が計数化され、エナメル質の平均表面から洗浄器の表面に結合する線までが計算される。この距離は、各エナメル質スラブについて3つの分布を平均して求める。6日間の実験期間の最後の時点の平均距離から、基本ラインでの平均距離を差し引いて、実験期間中のエナメル質破壊の平均の深さを求める。
【0056】
6日間の実験期間中、各テスト課題はスラブつき器具をすり減らす。器具は、食事の間は取り外され、標準的歯磨き剤で1日1回、軽く歯磨きされるか、またはすすがれる。1日4回、各スラブの2側面は15分間予め決められた飲料組成物中に挿入される。各側面は、異なる飲料組成物中に挿入される;いずれか1つのスラブが挿入される飲料組成物は、実験期間6日間一定のままである。エナメル質が平均して変化した深さは、試験対象毎に計算される。各飲料の侵食の可能性は、この分析方法において、このような計算に基づいて決定される。
【0057】
上記の一般化された手順を用いて、次のような観察がなされる:
(a)本明細書で定義されたポリリン酸塩化合物を含有せず、約5未満のpHを有するフルーツジュース組成物は、蒸留水よりもエナメルの侵食性が高い;
(b)本明細書で定義されたポリリン酸塩化合物を含有せず、約5未満のpHを有するフルーツジュース組成物は、標準的なコーラ(炭酸)飲料とほぼ同じ侵食性である;
(c)本明細書で定義されたポリリン酸塩化合物を含有せず、約5未満のpHを有するフルーツジュース組成物は、カルシウムで補った同様のフルーツジュース組成物よりも侵食性が高い;
(d)本明細書で定義されたポリリン酸塩化合物を含有しないが、カルシウムで補った約5未満のpHを有するフルーツジュース組成物は、蒸留水より侵食性が高い;
(e)本明細書で定義されたポリリン酸塩化合物を含有せず、約5未満のpHを有するフルーツジュース組成物は、本明細書で定義されたポリリン酸塩で補った同様のフルーツジュース組成物より侵食性が高い;及び
(f)本明細書で定義されたポリリン酸塩化合物で補った、約5未満のpHを有するフルーツジュース組成物は、蒸留水と同様に侵食性がない。
【0058】
本明細書に使用される飲料組成物の作成方法
本明細書に使用される飲料組成物は、当技術の標準的な方法に従って作られる。例えば、本明細書に使用される飲料組成物は、希釈ジュース飲料の一般的な配合方法によって作られる。そのような一般的な方法は、熱パッキング、又は殺菌処理パッキング操作を伴う。
希釈ジュースを作る方法は、例えば、ナケル(Nakel)らの米国特許第4,737,375号(特許文献21)に記載されている。飲料組成物を作る方法はまた、ウッドルーフ及びフィリップス(woodroof and Phillips)による、飲料:炭酸及び非炭酸、AVI パブリッシング社(AVI Publishing Co.)、1981年改訂(非特許文献9);及び、トーナー及びヘルツバーグ(Thorner and Herzberg)による、非アルコール食品業界飲料ハンドブック(Non-Alcoholic Food Service Beverage Handbook)、AVI パブリッシング社(AVI Publishing Co.)、1978年、第2版(非特許文献10)に記載されている。
【0059】
本明細書の飲料組成物を作る一つの方法は、飲料濃縮物を作成し、その濃縮物を本明細書で定義されたポリリン酸塩化合物を含有するシュガーシロップ剤に加え、その後、必要な酸味と材料組成物を得るための、水、シュガーシロップ剤、飲料濃縮物の混合物の調整仕上げを伴う。このような調製に使用される加えられる水は全て、望ましい硬度に調整される。このような方法において、飲料濃縮物は、例えば、酸味剤、又は酸性緩衝液、ビタミン、フレーバ剤、防腐剤等を水に混合することによって調製されてもよい。飲料組成物に不透明度、及び質感をもたらす水中油型エマルションは、濃縮物に加えられることができる。飲料組成物の調合に使用のシュガーシロップ剤は、シュガーシロップ剤(例:高フルクトースコーンシロップ剤)を水に加えること、その後(例えば)、アスコルビン酸、ポリリン酸塩化合物、及び濃厚化剤成分をそのシロップ剤に加えることにより別々に調合される。結果として生じるシュガーシロップ剤に追加の防腐剤を加えてもよい。シュガーシロップ剤と濃縮物は、結合して飲料組成物を形成する。飲料組成物は、追加される水、シュガーシロップ剤、及び飲料濃縮物によって仕上げられることができ、必要な酸味と本明細書に利用される飲料組成物の組成物を作り上げる。非限定的な例としての前述の利用と、その他の方法が本明細書の飲料組成物を調製するのに利用されても良いことが理解されるべきである。従って、その他の周知の前述の従来型の変形は、本明細書の飲料組成物の調合に利用することができる。
【実施例】
【0060】
(実施例)
本発明の方法及びキットに有利に使用されてもよい飲料組成物(及び、それらの調合過程)の特定の実施態様を以下に提供する。これらの特定の実施態様は、本明細書に使用の組成物の例示であり、これに限定する意図はない。
各組成物の構成成分は通常、本明細書に現れる順序で混合される。各組成物についてのヘキサメタリン酸ナトリウムは通常、溶解度を保証するために高度のせん断をかけて混合しながら、通常混和する。
【0061】
実施例1
【0062】
【表2】

【0063】
*55%のフルクトースを含有する高フルクトースコーンシロップ剤
【0064】
上記の化合物を含有する飲料組成物を、7歳の男児が12週間の間毎日摂取する。この期間に先立ち、7歳の男児は、同様の年齢のヒトと比較して平均的な歯の健康を有している。この期間中、この7歳の男児は、本明細書に記載のようなポリリン酸塩化合物を含まない典型的な低pH飲料を摂取する同様の年齢のヒトと比較して、エナメル質の侵食によって判断される、減退した歯の侵食を経験する。
【0065】
実施例2
【0066】
【表3】

【0067】
上記の化合物を含有する飲料組成物を、24歳のヒトが2週間の間、毎日摂取する。この期間に先立ち、24歳のヒトは同様の年齢のヒトと比較して平均的な歯の健康を有する。この期間中、24歳のヒトは、本明細書に記載のようなポリリン酸塩化合物を含まない低pHのコーラ飲料を摂取する同様の年齢のヒトと比較して、エナメル質の侵食によって判断される、減退した歯の侵食を経験する。
【0068】
実施例3*
【0069】
【表4】

【0070】
*組成物のpHが約2.9から約3.3
【0071】
実施例4
【0072】
【表5】

【0073】
上述の実施例3、又は実施例4のいずれかの飲料組成物を、5歳のヒトの子供が3週間の間、毎日摂取する。この期間に先立ち、ヒト5歳児は、同様の年齢のヒトと比較して平均的な歯の健康を有する。この期間中、ヒト5歳児は、本明細書に記載のようなポリリン酸塩化合物を含まない低pHフルーツジュース飲料を摂取する同様の年齢のヒトと比較して、エナメル質の侵食によって計測される、減退した歯の侵食を経験する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯の侵食を処置するためのpHが5未満の医薬液状組成物であって;
次の構造を有する化合物を含み、
【化1】

(式中、nは、7から100の、整数の平均値であり、M、M’及びM’’はそれぞれ、独立して、ナトリウム及びカリウムからなる群から選択される。)
カルシウム及びフッ化物を実質的に含まない医薬液状組成物。
【請求項2】
前記医薬液状組成物が2から4.5のpHを有する請求項1記載の医薬液状組成物。
【請求項3】
M、M’及びM’’は、それぞれナトリウムである請求項1または2のいずれかに記載の医薬液状組成物。
【請求項4】
nは、10から30の、整数の平均値である請求項1〜3のいずれかに記載の医薬液状組成物。
【請求項5】
前記医薬液状組成物は2.7から3.5のpHを有する請求項1〜4のいずれかに記載の医薬液状組成物。
【請求項6】
(a)請求項1〜5のいずれかに記載の医薬液状組成物、及び
(b)前記医薬液状組成物の使用が歯の侵食に対する処置を提供するという情報
によって特徴付けられるキット。
【請求項7】
前記医薬液状組成物は2から4.5のpHを有する請求項6に記載のキット。
【請求項8】
nは、10から30の、整数の平均値である請求項7に記載のキット。

【公開番号】特開2008−143916(P2008−143916A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43117(P2008−43117)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【分割の表示】特願2001−552845(P2001−552845)の分割
【原出願日】平成13年1月22日(2001.1.22)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】