歯の脱灰病変を検出するための染料組成物及び方法
本発明は、脱灰病変を検出するための口腔ケア組成物であって:組成物の約0.1重量%〜約10重量%の青色染料及びその混合物を含む第1相(又は第1の組成物);組成物の約0.1重量%〜約10重量%の赤色染料若しくは黄色染料又はこれらの混合物を含む第2相(第2の組成物);安全且つ有効な量の溶媒であって、該染料が該溶媒に可溶性である;並びに所望により安全且つ有効な量の香料を含み、該組成物が脱灰病変の検出に有効である、口腔ケア組成物に関する。本発明は、脱灰病変を歯の表面で視覚的に強調する方法又は歯の脱灰の状態を検出する方法であって、さらに上記染料組成物が、それを必要とするヒト又は動物被験者の口腔又は歯に適用される方法に関する。1つの実施形態では、第1の染料組成物及び第2の染料組成物が、それを必要とするヒト又は動物被験者の口腔又は歯に、逐次的に適用され、その際染料組成物が適用された後、染料によって着色された脱灰病変を評価するために歯が視覚的に観察される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年9月11日に出願された米国仮出願番号60/502,152の利益を主張する。
【0002】
本発明は、脱灰病変を検出する方法に関する。本発明は、選択された青色及び赤色又は黄色染料システムを含む、早期虫歯病変(例えば、白斑)、虫歯病変、歯牙侵食、及び/又は歯科矯正で誘発される(orthodontically-induced)脱灰のような脱灰病変を検出するための組成物にも関する。
【背景技術】
【0003】
虫歯率は、種々の地域にわたって過去40年間で低下してきたが、世界規模での虫歯は、依然として歯の損失の主原因である優勢な疾患のままである。地域共同水のフッ素添加及びフッ素入り歯磨剤を通じて送達されるフッ化物は、歯のう蝕を防止するための最も経済的な公衆衛生機構であることが証明された。しかし、フッ化物の入手は依然として世界的に問題である。地域共同飲料水のフッ素添加が1945年に開始された米国では、40%もの高い割合の人口が最適濃度のフッ化物を有する飲料水の入手手段をまだ持たない。さらに、過度の砂糖の食事摂取及び口腔衛生習慣に乏しいことが、脱灰病変及び明白な虫歯の発生のさらなる一因となりうる。このように、世界的な虫歯の発生率はまだかなりのものである。
【0004】
先行技術は、虫歯病変検出のための視覚的触覚法の使用、特定の染料の使用、及びX線の使用を教示している。例えば、染料の使用による虫歯検出は、以下の参照で考察されている:US6,084,005(フクニシ(Fukunishi)ら、2000年7月4日発行)(穿孔及び修復の間の、歯の感染部分の除去を促進するため);US4,347,233(ヤマウチ(Yamauchi)ら、1982年8月31日発行)(健康な歯と歯の虫歯感染部分とを区別するための染料の使用を教示);及び虫歯検出染料−新規化合物類の生体外評価(Caries detector dyes-An in vitro assessment of some new compounds)、アンサリ(Ansari)ら、オーラルリハビリテーション誌(J.of Oral Rehabilitation)、1999年、26、453〜458頁(染料は虫歯検出剤としての特異性に欠ける)。
【0005】
歯科専門家は、歯科医院で、虫歯病変の検出を補助するために視覚的方法、触覚的方法、及びX線を使用することがある。
【0006】
染料の使用を包含するこれらの手段の全てが、脱灰病変及び白斑のような脱灰病変の早期徴候を認識するための特異性に欠け、並びに健康な歯と歯の虫歯感染部分との適切な区別において特異性に欠ける。虫歯検出のためのX線の使用に対する、より安全な代替法を提供する診断法の必要性もある。このように、改善された虫歯予防又は治療製品及び治療レジメンに対してだけでなく、脱灰病変を選択的に検出するための診断法に対しても必要性がなお存在する。
【0007】
本発明は、歯の「脱灰の状態」又は歯の脱灰の程度を検出するための簡単で、即座の、また安価な手段を提供する。被験者は、フッ化物含有歯磨剤又は改善された口腔衛生技法の使用のような再石灰化治療の進行をより頻繁に監視するための自己診断手段として本発明を使用できる。一旦脱灰が発見されると、また再石灰化剤の適用後、被験者は、どれだけの歯が治療後に再石灰化しているかを監視するために、本発明を所望の頻度で再適用することができる。本発明は使用が簡単であり安価であることから、被験者は、特に重大な脱灰が存在する場合に、進行をより頻繁に監視することができる。さらに、早期虫歯病変の検出は、症状の多少の逆転又は再石灰化が可能かもしれない時点で、再石灰化剤での早期治療を可能にする。早期虫歯検出は、治療のより早い開始を可能にする。脱灰の程度が広すぎない場合、再石灰化剤での病変の治療が明白な虫歯病変の形成を防止することがある。したがって、病変が元に戻らなくなる前に治療を開始すれば、穿孔、歯牙構造の除去、及び病変の充填(例えば修復)を最小限に抑える又は避けられることがある。
【0008】
さらに、本発明は、歯科専門家を、歯牙構造のどれだけを除去及び修復するかの決定並びに歯の健康な部分の除去の回避において修復中に手引きすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、視覚的観察のみを必要とし、脱灰病変を強調するためにレーザー、その他の種類の増強された光源又はX線の使用を必要としないことから、より安全及び安価であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、脱灰病変を検出するための口腔ケア染料組成物であって:組成物の約0.1重量%〜約10重量%の青色染料又はその混合物を含む第1相(又は第1の組成物);組成物の約0.1重量%〜約10重量%の赤色染料若しくは黄色染料又はこれらの混合物を含む第2相(又は第2の組成物);安全且つ有効な量の溶媒であって、染料が該溶媒に可溶である;及び所望により安全且つ有効な量の香料を含み、該組成物が脱灰病変の検出に有効である、口腔ケア染料組成物に関する。本発明は、脱灰病変を歯の表面で視覚的に強調する方法又は歯の脱灰の状態を検出する方法であって、さらに上記染料組成物が、それを必要とするヒト又は動物被験者の口腔又は歯に適用される方法に関する。実施形態の1つでは、第1の染料組成物及び第2の染料組成物が、それを必要とするヒト又は動物被験者の口腔又は歯に、逐次的に適用される。染料組成物が適用された後、染料によって着色された脱灰病変を評価するために歯が視覚的に観察される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書は、本発明を特に指摘し、明確に請求する請求項で完結するが、本発明は、同様の参照番号が同一の要素を表す添付図面を伴う実施形態についての以下の説明から、よりよく理解されると考えられる。本口腔ケア染料組成物は一体型キャリアと共に使用されてもよい。一体型キャリアは、材料のストリップ、デンタルトレイ、スポンジ材料、及びこれらの混合物を包含する。本発明の1つの実施形態では、一体型キャリアは材料のストリップを含む。材料のストリップは、組成物を介して又は一体型キャリアの一部である取り付け手段を介して歯に取り付けられ、例えば一体型キャリアは、所望により、一旦適用されると、該一体型キャリアが口腔軟組織と重なって歯の表面のより多くが口腔ケア染料組成物との接触に利用できるようにするのに十分な大きさ及び/又は幅であってもよく、また十分な接着性を有してもよい。
【0012】
本発明を制限しようとするものではないが、材料のストリップの実施形態は以下により詳細に記載される。
【0013】
(定義)
本明細書で使用する時、「抗結石」又は「抗歯石」剤は、結石又は歯石形成に関連する鉱物(例えば、リン酸カルシウム)の付着を低減、制御、抑制、予防及び/又は最小化するのに有効な材料を意味する。
【0014】
本明細書で使用する時、「脱灰病変」は、平滑な、咬合する歯の表面又は歯根を包含する任意の歯の表面における、早期虫歯病変、虫歯病変、明白な虫歯病変(臨床的に関連する病変)、DMFS又はDMFT採点法によるD1、D2、D3及びD4病変、歯牙侵食、歯科矯正で誘発される脱灰病変を包含する。用語「脱灰病変」は、本明細書で使用する時、歯垢及び歯石を包含しない。
【0015】
「早期虫歯病変」は、本明細書で使用する時、白斑を意味し、これは可逆性の歯の脱灰領域であり、例えば歯の表面が再石灰化剤で又は被験者の口腔衛生慣行を改善することによって修復され得る。
【0016】
「虫歯病変」は、本明細書で使用する時、DMFS又はDMFT評点のD2、D3及びD4で特徴づけられる歯のエナメル質及び象牙質の進行性脱石灰である、歯のう触を意味する。
【0017】
「歯牙侵食」は、本明細書で使用する時、細菌作用によって引き起こされる表面下の脱灰又は虫歯と対照的に、外因性(酸性飲料又は果汁のような食事性酸類の経口消費及び空気浮遊汚染物質又はプールでの酸性水への暴露のような環境要因)又は内因性の要因(胃で生産され、嘔吐、吐出又は逆流の過程中に歯と接触する内因性の酸類)によって引き起こされる、表面からの歯質の永久的損失を意味する。
【0018】
「歯科矯正で誘発される脱灰病変」は、本明細書で使用する時、被験者がマウスガード、ブレース、リテーナ等のような歯科矯正装置を着用することによって引き起こされる早期虫歯病変、虫歯病変、明白な虫歯病変、歯牙侵食、又はその他の種類の歯の脱灰を意味する。
【0019】
「歯の脱灰の状態」は、本明細書で使用する時、歯の鉱物含有量のレベル若しくは脱灰病変の存在及び広がりによる鉱物不在の程度、又はその他の脱灰の状態を意味する。
【0020】
「視覚−触覚的虫歯評価」は、口腔、具体的には歯又は歯の表面の完全性を調べるために個人の歯又は歯の表面で実施される検査である。該検査は、白斑又は開放病変の位置を特定するための視覚的評価と、歯若しくは歯の表面のう触、軟化又は「べたっとした」病変の位置を特定するための歯科用器具又は探針を用いる触覚的評価とを含む。精密な視覚的虫歯評価が実施される場合、触覚評価は実施されない。DMFS又はDMFTは、視覚−触覚的虫歯評価で使用される一般的な採点法である。
【0021】
用語「DMFS」は、本明細書で使用する時、ヒト被験者の視覚−触覚的虫歯評価において歯の表面を評価するために使用される採点法を示す。この採点法では、健康でない歯の表面のそれぞれは、う触(decay)を示す「D」、喪失(missing)を示す「M」、又は充填済み(filled)を示す「F」のいずれかの評点がつけられる。「S」は(歯の)表面(surface)を意味する。評点「D」は、さらにD1、D2、D3及びD4に分類され、各々が虫歯の重篤さに関連する異なる診断閾値を示す。D1は、表面が無傷である臨床的に検出可能なエナメル病変を表す。D2は、エナメルに限定された臨床的に検出可能な「穴」を表す。D3は、開いた又は閉じた、臨床的に検出可能な象牙質の病変を表す。D4は、歯髄内に広がった病変を表す。ADAガイドラインに従い、う触と採点された表面は、臨床的に関連する虫歯病変を持つという証拠がなければならない。視覚及び/又は触覚的な歯牙構造の損失を示す表面のみが、臨床的に関連する虫歯病変を反映すると考えられる。したがって、本発明の1つの実施形態において、D2、D3又はD4によって特徴づけられる病変のみが、歯の表面をう触として特定するために使用される。1つの実施形態において、エナメル構造の損失を示す触覚的変化がなく脱灰の証拠を示す表面、D1は健全である(初期病変、白斑病変及び低石灰化した無傷の表面を包含する)。DMFS採点では、各歯の表面につき1つの評点が与えられる。臼歯1本につき5つの表面、具体的には頬側、舌側、咬合面、近心及び遠心、並びに前歯1本につき4つの表面、具体的には頬側、舌側、近心及び遠心が採点される。各被験者に合計のDMFS評点が与えられ、その数値はう触、喪失又は充填済みの歯の表面の総数を示す。
【0022】
用語「DMFT」は、本明細書で使用する時、視覚−触覚評価が歯に実施された時に用いられてもよい別の採点法である。DMFT採点において、「D」、「M」及び「F」はそれぞれ、う触、喪失及び充填済みを示す。「T」は歯(tooth)を示す。本発明において、歯は、上述のようにD1、D2、D3及びD4にさらに分類される。DMFT採点では、独立して採点された個々のそれぞれの歯の表面ではなく、1本の歯全体に対して1つの評点のみが与えられる。各被験者に与えられたDMFT評点の合計は、う触、喪失又は充填済みの歯の総数を反映する。
【0023】
用語「虫歯予防又は治療製品」は、本明細書で使用する時、虫歯効力の可能性のあるいかなる製品も意味し、例えば、虫歯予防剤類の全身投与の目的で故意に飲み込まれるのでなく、歯の表面の全てに接触させるのに十分な時間、歯の表面に保持される製品を意味する。該製品はいかなる所望の形態であってもよい。1つの実施形態において、虫歯予防又は治療製品は、フッ化物イオン源を含有する練り歯磨き形態の歯磨剤製品である。
【0024】
用語「修復歯科学」は、本明細書で使用する時、歯の表面を修復する、又は1本の歯若しくは全歯及び隣接組織を置き換えるいかなる治療、材料又は装置も意味する。
【0025】
「口腔ケア染料組成物」又は「口腔ケア組成物」とは、本明細書で使用する時、剤類又は治療薬類の全身投与の目的で故意に飲み込まれるのではなく、一部の又は実質的に全ての硬質な歯の表面に接触させるのに十分な時間、口腔内に保持される製品を意味する。さらにこの用語は、故意に飲み込まれてもよいが、剤類又は治療薬類の全身投与の目的で飲み込まれるのではない製品を意味し得る。
【0026】
本明細書で使用する時、「安全且つ有効な量」とは、健全な医学/歯学的判断の範囲内で、治療すべき状態を著しく(よい方向に)改変するのに、又は所望の結果をもたらすのに十分であるが、重篤な副作用を回避できるほど低い(妥当な利益/危険比で)、構成成分の量を意味する。構成成分の安全且つ有効な量は、治療される特定の状態(例えば、診断虫歯(diagnosis caries)等)、治療される患者の年齢及び身体状態、状態の重症度、治療期間、併用療法の性質、使用する特定の形態、並びに構成成分を適用するための特定のビヒクルによって変わる。
【0027】
「歯の表面」とは、本明細書で使用する時、歯の咬合面窩(pits)、裂溝(fissures)、咬合(occlusal)面、裂け目(cleft)、凹部(crevices)、溝(grooves)、陥凹(depressions)、間隙(interstices)、不整(irregularities)、歯の間及び/若しくは歯肉線に沿った隣接歯間、歯の平滑面、並びに/又は歯の破砕(grinding)面若しくは噛合(biting)面を意味する。
【0028】
本明細書の以下で用いる全ての百分率及び比率は、特に指示がない限り、組成物全体の重量を基準とする。
【0029】
本明細書で言及する全ての測定は、他に明示されない限り25℃で行なわれる。
【0030】
特に指示がない限り、本明細書で言及する成分の百分率、比率及び濃度は全て成分の実際の量に基づき、市販製品としてその成分に混合されていることがある溶媒、充填剤、又はその他の物質を包含しない。
【0031】
本明細書に記載された全ての出版物、特許出願、及び発行された特許は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる。いかなる参照文献の引用も、特許請求する本発明に対する従来技術としての有用性の決定に関する容認ではない。
【0032】
(染料)
本発明の染料は、脱灰病変を選択的に着色し、これらの病変を可視光線波長にて「裸眼」で見えるようにする。本組成物の染料濃度は、一般に、約0.001重量%〜約10重量%、別の実施形態では約0.01重量%〜約3重量%、更に別の実施形態では約0.1重量%〜約1重量%の範囲である。第1相(又は第1の染料組成物)はいかなる青色染料をも含み、第2相(又は第2の組成物)はいかなる赤色染料又は黄色染料をも含む。1つの実施形態では、第1相及び第2相は一般に混合されず、本明細書の組成物内で分離したままである。
【0033】
1つの実施形態では、青色染料は、表1に列挙されているもの(及びこれらの混合物)から成る群から選択される。
【0034】
【表1−1】
【0035】
【表1−2】
別の実施形態において、青色染料は、アシッドブルー9、食用青色1号、食用青色2号及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0036】
1つの実施形態において、赤色染料又は黄色染料は、表2に列挙されたものから成る群から選択される(塩類、ナトリウム塩類、カリウム塩類、遊離酸類、遊離塩基類、そのレーキ類、及びこれらの混合物を包含する)1:
【0037】
【表2−1】
【0038】
【表2−2】
1.CTFA国際カラーハンドブック(International Color Handbook)、第2版、米国化粧品工業会(The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association,Inc.)、1985年、1992年(185〜201頁を含む)を参照。食品、医薬品及び化粧品の着色(Coloring of Food,Drugs,and Cosmetics)、G.オッテルスタッター(Otterstatter)、マーセル・デッカー社(Marcel Dekker,Inc.)、1999年(第9章222〜236頁を含む)も参照。
2.シグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich)製品番号35,882−7:C2OH10N2O9。
【0039】
別の実施形態では、赤色染料又は黄色染料はC.I.アシッドレッド52である。
【0040】
(溶媒)
本発明の組成物は、安全且つ有効な量の溶媒をさらに含む。溶媒は、組成物の約30重量%〜約99.999重量%、別の実施形態では約60重量%〜約98重量%、さらに別の実施形態では約70重量%〜約95重量%の濃度で存在する。
【0041】
本発明の組成物の溶媒は、染料が溶媒に可溶性であるように選択されなければならない。溶媒は、汚染された象牙質への組成物の浸透を促進するための組成物の粘度をもたらすようにも選択される。溶媒は、いかなる比率でも水に容易に混和し、均質溶液にする水混和性の溶媒を包含する。
【0042】
1つの実施形態において、溶媒は、2〜10個の炭素原子を有する有機モノ−、ジ−又はトリ−ヒドロキシ化合物類から成る群から選択される。好適なモノヒドロキシ化合物類の例としては、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−ヘキサノール、1−ヘプタノール、ノニルアルコール及びデシルアルコールのような一価アルコール類が挙げられる。溶媒としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル及びテトラエチレングリコールモノエチルエーテルのような二価アルコール類のモノエーテル類も挙げられる。溶媒としては、エチレングリコールモノアセテート及びジエチレングリコールモノアセテートのような二価アルコール類のモノエステル類も挙げられる。好適なジヒドロキシ化合物類の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール及びジプロピレングリコールのような二価アルコール類、並びにグリセリンモノメチルエーテル及びグリセリンモノアセテート、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテートのような三価アルコール類のモノエーテル類及びモノエステル類が挙げられる。好適なトリヒドロキシ化合物類の例としては、グリセロール及びペンタグリセロールが挙げられる。その他の溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、アセトン及びジメトキシエタン等が挙げられる。上記の溶媒の混合物も使用できる。別の実施形態において、溶媒は、1,3−プロピレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びこれらの混合物から成る群から選択される。別の実施形態において、溶媒はプロピレングリコールである。
【0043】
(一体型キャリアと染料組成物との組み合わせ)
1つの実施形態において、本発明は一体型キャリアと共に使用される本発明の口腔ケア染料組成物を含むデリバリーシステムに関する。1つの実施形態では、一体型キャリアは、材料のストリップ、デンタルトレイ、スポンジ材料及びこれらの混合物から成る群から選択される。1つの実施形態では、デリバリーシステムは、ストリップ材料の第1層;上記口腔ケア染料組成物を含む第2層を含み、それによって染料が組成物及び/又はストリップ材料に放出可能に結合する。
【0044】
I.第1層
ここで図面、より具体的には図1及び2を参照すると、本発明の第1の実施形態が示され、全体を10として表示しており、染料を歯に送達するためのデリバリーシステムを表す。デリバリーシステム10は、材料のストリップ12を有し、これは実質的に平らで、好ましくは角に丸みがある。
【0045】
前記材料のストリップ12の上に放出可能に適用されているのは、第2層組成物14である。第2層組成物14は、1つの実施形態において、均質であり、図3に示されるように、材料のストリップ12の上に均一且つ連続的にコーティングされてもよい。しかし、第2層組成物14は、別の方法としては組成物の積層体又は別々の層(その際、1つの層は第1の染料組成物を含み、第2層は第2の染料組成物を含む)、第1及び/若しくは第2の染料組成物を含む別々のストリップ若しくはスポット又はその他のパターン、あるいは材料のストリップ12の一部の長手方向軸に沿った第2層組成物14の連続コーティングを包含するこれらの構造体の組み合わせであってもよい。
【0046】
図4に示すように、別の実施形態では、材料のストリップ12は、その中に形成された浅いポケット18を有してもよい。第2層組成物14が材料のストリップ12の上にコーティングされると、追加の第2層組成物14は、存在する場合、浅いポケット18を埋めて第2層組成物14のリザーバを提供する。
【0047】
図5及び6は、1本の歯及び複数個の隣接する歯の表面に適用された本発明のデリバリーシステム24を示す。隣接軟組織20に埋め込まれているのは、複数個の隣接する歯22である。隣接軟組織は、本明細書で、歯牙構造を囲む軟組織表面と定義され、歯乳頭、辺縁歯肉、歯肉の小溝、歯間歯肉、並びにパレット上の粘膜−歯肉接合部までの及びこれを包含する舌側面及び頬側面上の歯肉構造を包含する。
【0048】
図5及び6のいずれにおいても、デリバリーシステム24は材料のストリップ12及び第2層組成物14を表し、ストリップ材料12の側の第2層組成物14は歯22に面している。第2層組成物14は材料のストリップ12に予め適用、すなわち歯への適用の前にユーザーによって材料のストリップ12に適用されてもよい。別の実施形態において、第2層組成物は、ユーザーによって歯22に直接適用され、その後材料のストリップ12によって覆われてもよい。いかなる場合も、材料のストリップ12は、歯22の輪郭表面及び隣接軟組織20に適合できるような厚さ及び曲げ剛性を有する。1つの実施形態において、材料のストリップは、口腔表面の輪郭の形状になるのに十分な柔軟性を有し、該表面は複数個の隣接する歯である。材料のストリップは、デリバリーシステムが適用された時に永久的な変形なく歯の表面及び歯の隙間の空間(interstitial tooth spaces)に容易に適合することもできる。デリバリーシステムは、大きな圧力なしに適用できる。
【0049】
図7及び8は、複数個の隣接する歯22並びに隣接軟組織20の前後両表面に適用された本発明のデリバリーシステム24を示す。デリバリーシステム24は材料のストリップ12及び第2層組成物14を表し、材料のストリップ12の側の第2層組成物14は歯22に面している。
【0050】
図9及び10は、任意の剥離ライナー27を示す。剥離ライナー27は、第2層組成物14によって材料のストリップ12に取り付けられる。第2層組成物14は、ストリップ材料12の剥離ライナー27に面する側にある。この側は、剥離ライナー27が取り外されると、歯及び歯肉表面に適用される。
【0051】
1つの実施形態において、本発明のデリバリーシステムの第1層は材料のストリップで構成される。このような第1層材料は、米国特許第6,136,297号、第6,096,328号、第5,894,017号、第5,891,453号、及び第5,879,691号(全てセイゲル(Sagel)ら、及び全てプロクター&ギャンブル社(Procter & Gamble Company)に譲渡)、並びに米国特許第5,989,569号及び第6,045,811号(両方共ダークシング(Dirksing)ら、及び両方共プロクター&ギャンブル社に譲渡)に、より詳細に記載されている。
【0052】
該ストリップは染料の保護バリヤーとして機能する。ストリップは、例えば着用者の舌、唇、及び唾液による、第2層の浸出及び/又は腐蝕を防止する。これにより、第2層組成物は、本明細書に記載されている適切な暴露時間の間、口腔の硬質面上で作用できる。
【0053】
ストリップ材料は、ポリマー類、天然及び合成の織布材料類、不織布材料、ホイル、紙、ゴム、発泡体、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。ストリップ材料は、材料の単一層であってもよく、又は1を超える層の積層体であってもよい。層の数にかかわらず、材料のストリップは実質的に非水溶性である。ストリップは、不透水性でもあってもよい。1つの実施形態において、材料は、必要な曲げ剛性を満たし組成物と適合性のある種類のポリマー又はポリマー類の組み合わせである。好適なポリマー類としては、ポリエチレン、エチルビニルアセテート、ポリエステル類、エチルビニルアルコール及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ポリエステル類の例としては、マイラー(Mylar)(登録商標)、及びテフロン(Teflon)(登録商標)のようなフルオロプラスチック類(いずれもデュポン(Dupont)が製造)が挙げられる。1つの実施形態において、材料はポリエチレンである。材料のストリップは、一般に厚さ約1mm(ミリメートル)未満であり、1つの実施形態においては厚さ約0.05mm未満、さらに別の実施形態においては厚さ約0.001〜約0.03mmである。ポリエチレンの材料のストリップは、一般に厚さ約0.1mm未満であり、1つの実施形態においては厚さ約0.005〜約0.02mmである。
【0054】
1つの実施形態において、材料のストリップの形は、所望の口腔硬組織表面を被覆する任意の形状及び大きさである。1つの実施形態において、ストリップは、口腔の軟組織の刺激を避けるため、丸みのある角を持つ。「丸みのある角」は、いかなる鋭角又は鋭利な突端も持たないことを意味する。1つの実施形態において、ストリップ材料の長さは、上又は下の歯全てを被覆するような長さであり、別の実施形態においては約2cm(センチメートル)〜約12cm、他の実施形態においては約4cm〜約9cmである。ストリップ材料の幅も、被覆する歯の範囲の数に依存する。ストリップの幅は、一般に約0.5cm〜約4cmであり、1つの実施形態においては約1cm〜約2cmである。さらに別の実施形態において、ストリップは、局部的状態を監視するために1本又は数本の歯に貼付剤として着用されてもよい。1つの実施形態において、第2層組成物は、口腔軟組織との接触を避ける方法で一体型キャリアに適用される。
【0055】
ストリップ材料は浅いポケットを含有してもよい。組成物が材料のストリップ上にコーティングされると、該組成物又は追加の化粧及び治療用口腔ケア活性物質が浅いポケットを満たし、これらの構成成分のリザーバを提供する。さらに、浅いポケットは、デリバリーシステムに質感をもたらすのに役立つ。1つの実施形態において、ストリップ材料は並んだ多数の浅いポケットを有する。一般に、浅いポケットは幅がおよそ0.4mmであり深さが約0.1mmである。材料のストリップに浅いポケットが含まれ、組成物類が様々な厚さでそこに適用される時、デリバリーシステムの全厚は約1mm未満である。1つの実施形態において、全厚は約0.5mm未満である。
【0056】
曲げ剛性は、ストリップの厚さ、幅及び材料の弾性率の組み合わせの関数である材料特性である。この試験は、ポリオレフィンフィルム及びシートの剛性を測定する方法である。それは、水平梁の末端に固定されたひずみゲージを用いて、試料の曲げに対する抵抗力を測定する。梁の反対側の末端が、試料のストリップ全体を押して、ストリップの一部を試料が置かれている水平台の垂直な溝の中に押し入れる。ひずみゲージに配線されたマイクロアンメータを、たわみ力に関して較正する。試料の剛性はマイクロアンメータから直接読み取られ、試料ストリップの幅1cm当りのg数として表される。本発明では、材料のストリップは、ペンシルベニア州フィラデルフィアのスイング・アルバート・インスツルメント社(Thwing-Albert Instrument Company)より入手可能なハンドル−O−メータ(Handle-O-Meter)、モデル#211−300で試験方法ASTM D2923−95によって測定する場合に、約5g/cm未満の曲げ剛性を有する。1つの実施形態において、ストリップの曲げ剛性は約3g/cm未満であり、別の実施形態では約2g/cm未満、さらに別の実施形態では約0.1〜約1g/cmである。一般に、材料のストリップの曲げ剛性は、実質的に一定であり、通常の使用の間に変化しない。例えば、材料のストリップは上に指定した範囲の低い曲げ剛性を達成するためにストリップを水和する必要がない。
【0057】
この比較的低い剛性により、材料のストリップは口腔表面の輪郭を非常に小さい力を用いて被覆することができる。すなわち、材料のストリップを口腔表面への適用の直前の形状、すなわち実質的に平坦に戻す原因となる残留力がストリップ内にほとんどないことから、着用者の口の口腔表面の輪郭への適合性が維持される。この材料のストリップの柔軟性は、硬組織又は軟組織への刺激のない接触を可能にする。材料のストリップは、口腔表面への保持のために連続的圧力を必要としない。
【0058】
1つの実施形態において、材料のストリップは本組成物が提供する接着剤による取り付けによって口腔表面の適切な位置に保持される。1つの実施形態において、乾燥表面に対する本組成物の粘度及び一般的粘着性により、ストリップが、話したり飲んだり等の間に材料のストリップを摩擦する唇、歯、舌及びその他の口腔表面によって生じる摩擦力からの実質的な滑りなく口腔表面に接着的に取り付けられる。しかし、この口腔表面への接着は、材料のストリップが、着用者が指を用いて単に引き剥がすことによって容易に取り外されるほど十分に低い。デリバリーシステムは、機器、化学溶媒若しくは剤の使用又は過度の摩擦なしに口腔表面から容易に取り外すことができる。
【0059】
別の実施形態において、材料のストリップは、一体型キャリア自体が提供する、接着剤による取り付けによって、口腔表面の適切な位置に保持される。1つの実施形態において、材料のストリップは、口腔軟組織に延伸、取り付け、また接着することができる。別の方法としては、デリバリーシステムを口腔軟組織に取り付ける材料のストリップの部分に接着剤を適用することができる。1つの実施形態において、第2層組成物は口腔軟組織に接触しない。
【0060】
(第2層)
1つの実施形態において、第2層は、本明細書に記載される安全且つ有効な量の口腔ケア染料組成物を含む。
【0061】
(任意の剥離ライナー)
1つの実施形態において、剥離ライナーは、第2層組成物がそれ自体に対して及び第1層の材料のストリップに対して示すよりも少ない親和性を第2層組成物に対して示すいかなる材料から形成されてもよい。剥離ライナーは、ポリエチレン、紙、ポリエステル、又は後に非粘着型材料でコーティングされる他の材料のような、材料の剛性シートを含んでもよい。剥離ライナーは、材料のストリップと実質的に同じ大きさ及び形状に切断されてもよく、又は剥離ライナーは、材料のストリップより大きく切断されて、剥離ライナーをストリップから分離するために容易に利用できる手段を提供してもよい。剥離ライナーはストリップを曲げた時に亀裂が入る脆性材料から、又は複数の片の材料から、又は切れ目の付いた材料から形成されてもよい。あるいは、剥離ライナーは、典型的な絆創膏のデザインのような、二片が重なり合ったものであってもよい。剥離剤として適した物質の記述は、カーク・オスマー(Kirk-Othmer)の、工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第4版、21巻、207〜218頁に見出される。
【0062】
(軟質/剛直デンタルトレイ又はスポンジ材料(発泡体)と染料組成物との組み合わせ)
口腔ケア染料組成物は、デンタルトレイ、例えば美白技術分野において周知の種類のデンタルトレイと組み合わせて使用してもよい。デンタルトレイ調整の一般的方法は、当該技術分野において既知である。例えば、全ての歯の表面に歯肉縁を加えたものを残したアルギネート印象材が作製され、該印象材で直ちに模型(stone cast)が作製される。リザーバが望まれる場合、治療すべき特定の歯の表面で模型上に剛体材料の層を構築することによって調製される。続いて、従来技術を使用して修正された模型からデンタルトレイを真空成形する。形成された後、トレイは好ましくは頬側及び舌側の両面で歯肉縁のわずかに内側に切り取られる。トレイ周辺部の仕上げ及び面取り時に、歯の全てが、確実に歯肉の境界の約1/4〜約1/3mm以内まで被覆されるように十分なトレイ材料を残すべきである。1つの実施形態においては、完成したトレイが歯間乳頭を被覆しないようにその上及び周囲を波形にすることができる。唇及び舌が縁部の隆起を感じないように、全てのトレイの縁は好ましくは平滑にされる。得られるトレイは、1つの実施形態においては、患者の歯に完全に適合し、模型上の剛体材料が置かれた場所に位置するリザーバ又は空間を所望により伴う。デンタルトレイは、予備成形厚さが約0.1cm(約0.04インチ)〜約0.15cm(約0.06インチ)の軟質の透明なビニル材料を含んでもよい。軟質材料は、患者が装着するのにより快適である。より硬質な材料(又はより厚いプラスチック)も、トレイを構築するために使用してもよい。
【0063】
本明細書で有用なその他のトレイ又は発泡体としては、患者の歯列弓に精密に適合する剛性の器具が挙げられる。第2の種類の剛性の特注歯科用器具は、「大きめの」剛性の特注歯科用器具である。剛性の、特注歯科用器具の製造は、患者の歯列弓の印象材模型の製造、並びに患者の歯列弓の模型に対応する熱可塑性シートの加熱及び真空成形を必要とする。熱可塑性フィルムは、剛性又は半剛性シート状で販売されており、種々の大きさ及び厚さで入手できる。大きめの剛性歯科用器具のための歯科実験製作技術は、模型上の歯の表面(facial surfaces)を、ダイスペーサー又は光硬化したアクリル類のような材料で増大する(augmenting)ことを必要とする。次に、熱可塑性シートを加熱し、その後増大した歯列弓の模型の周囲に真空成形する。この方法の正味の効果により、「大きめの」剛性の特注歯科用器具が得られる。
【0064】
剛性の特注歯科用器具の第3の種類は、軟質多孔質発泡体から剛性の多孔性でないフィルムまでの範囲の材料の積層体から製造される、剛性の二層特注歯科用器具である。これらの二層歯科用器具の、多孔性でない剛性の熱可塑性シェルは、軟質多孔性発泡体の内層を収容及び支持する。
【0065】
デンタルトレイの第4の種類は、剛性の特注歯科用器具を使い捨てのU字形軟質発泡体トレイで置き換えたもので、これは個別に包装されてもよく、予め測定された量の本発明の組成物で飽和されてもよい。軟質発泡体材料は、一般に連続気泡のプラスチック材料である。このような装置は、カリフォルニア州オックスナードのキャドコ・デンタル・プロダクツ(Cadco Dental Products)よりバイタルホワイト(VitalWhite)(商標)の商品名で市販されている。1つの実施形態において、これらの軟質発泡体トレイは、装置から口腔への染料の溶離を最小限にして、軟組織の着色、患者による摂取及び/又は口腔組織の刺激を最小限にするため、裏当て材(例えば、独立気泡プラスチック裏当て材)を含む。別の実施形態では、軟質発泡体トレイは多孔性でない可撓性ポリマーに収容される。別の実施形態では、連続気泡発泡体は歯科用器具の前部内壁に取り付けられ、及び/又は連続気泡発泡体は歯科用器具の後部内壁に取り付けられる。
【0066】
1つの実施形態において、本発明の口腔ケア染料組成物は、発泡体の連続気泡構造の間から簡単に出ないように十分濃くなければならないが、連続気泡発泡体を容易に通過するために十分薄くなければならない。換言すれば、連続気泡発泡体材料は、組成物を吸収し組成物が通過するのを可能にするため、組成物の粘度に関連した大きさの内部構造の空隙部を有する。
【0067】
独立気泡材料の一例は、厚さが0.8mm(1/32”)〜3.2mm(1/8”)である、マサチューセッツ州ローレンスのセキスイ・アメリカ・コーポレーション(Sekisui America Corporation)のボルテック(Voltek)事業部より商標名ボロラ(Volora)で販売されている独立気泡ポリオレフィンフォームである。独立気泡材料は、可撓性高分子材料から構成されてもよい。
【0068】
連続気泡材料の一例は、厚さが1.6mm(1/16”)〜9.5mm(3/8”)である、マサチューセッツ州ハイアニスのパッケージング・インダストリーズ・グループ社(Packaging Industries Group,Inc.)のセンチネル・フォーム・プロダクツ(Sentinel Foam Products)事業部より商標名オプセル(Opcell)で販売されている連続気泡ポリエチレンフォームである。本明細書で有用なその他の連続気泡発泡体としては、ヒドロゲルポリマー類(例えば、ニュージャージー州(J.J.)ブランチバーグのハイドロマー社(Hydromer,Inc.)より入手可能なメディセル(Medicell)(商標)フォーム)のような親水性連続発泡体材料が挙げられる。連続気泡発泡体は、種々の剤を化学的に吸収したポリウレタン又はポリビニルピロリドンのような、流体類の高度な吸収を付与するために剤を吸収した親水性連続発泡体材料であってもよい。
【0069】
上記の種類の器具は、米国特許第5,980,249号(M.G.フォンテノット(M.G.Fontenot))、及び米国特許第5,575,654号(M.G.フォンテノット)にさらに記載されている。
【0070】
上記の歯科用器具類は、使い捨て又は再使用可能であるように設計されることができる。本明細書で使用できるさらなるデンタルトレイ類は、米国特許第6,368,576号(スティーブン D.ジェンセン(Steven D.Jensen)、2002年4月9日発行);米国特許第6,309,625号(ジェンセンら、2001年10月30日発行);米国特許第6,183,251号(ダン E.フィッシャー(Dan E.Fischer)、2001年2月6日発行);米国特許第6,036,943号(ダン E.フィッシャー、2000年3月14日発行);米国特許第5,985,249号(ダン E.フィッシャー、1999年11月16日発行);米国特許第5,846,058号(ダン E.フィッシャー、1998年12月8日発行);米国特許第6,382,979号(シェリル F.リンドクイスト(Sherrill F.Lindquist)、2002年5月7日発行);米国特許第5,098,303号(フィッシャー、1992年3月24日発行)、及び米国特許第5,855,870号(ダン E.フィッシャー、1999年1月5日発行)に開示されている。
【0071】
(任意成分)
(薄膜破壊剤)
本明細書の組成物及び方法は、安全且つ有効な量の薄膜(又は生物膜)破壊剤を所望により含むことができる。本明細書で使用する時、用語「薄膜(又は生物膜)破壊剤」は、唾液及び歯肉溝滲出液からのタンパク質類、脂質類及び糖脂質類から形成される歯の上の薄膜又は生物膜の除去又は最小化に有効な剤を意味する。薄膜破壊剤は、1つの実施形態では、本明細書の染料組成物に安全且つ有効な量で含まれ、別の実施形態では約0.01〜約20重量%の濃度、他の実施形態では組成物の約0.1重量%〜約10重量%で含まれる。このような剤としては、本明細書に記載されている抗結石剤、プロテアーゼ類、エラスターゼ類、ハロゲン化フラノン類のような酵素類等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
薄膜は、音波処理、軽石磨き、電気歯ブラシ処理、研磨練り歯磨きでのブラシ処理等で、物理的除去により除去することもできる。
【0073】
(増粘剤)
1つの実施形態において、本組成物はゲルを含む。本明細書のゲルの調製においては、幾らかの増粘材料を添加して組成物の所望の濃度をもたらし、使用の際の所望の放出特性をもたらし、貯蔵安定性をもたらし、また組成物の安定性をもたらすこと等が一般的に必要であり得る。1つの実施形態では、増粘剤は、カルボキシビニルポリマー類、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、ラポナイト並びにカルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムのようなセルロースエーテル類の水溶性の塩類を含む群から選択される。カラヤゴム、キサンタンガム、アラビアゴム及びトラガカントゴムなどの天然ゴムも使用することができる。更に質感を改善するために、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウム又は超微粒子状シリカを、増粘剤の一部として使用することができる。
【0074】
増粘剤は、高分子ポリエーテル化合物、例えば、炭素原子1〜18個を含有するアルキル又はアシル基で末端保護されたポリエチレン又はポリプロピレンオキシド(M.W.300〜1,000,000)を包含することができる。
【0075】
1つの実施形態において、増粘剤又はゲル化剤としては、ペンタエリスリトールのアルキルエーテル若しくはスクロースのアルキルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー類の部類、又はカルボマー類が挙げられる。カルボマー類は、B.F.グッドリッチ(B.F.Goodrich)からカーボポール(Carbopol)(登録商標)シリーズとして市販されている。特に好ましいカーボポール類としては、カーボポール(Carbopol)934、940、941、956、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0076】
組成物全体の約0.1重量%〜約15重量%、別の実施形態では約0.2重量%〜約6重量%、更に別の実施形態では、約0.4重量%〜約5重量%の増粘剤を本明細書で使用することができる。
【0077】
(緩衝剤)
本発明は、組成物の約0.01重量%〜約10重量%、別の実施形態では約0.1重量%〜約3重量%、他の実施形態では約0.3〜約2.5重量%の緩衝剤の濃度で、所望により緩衝剤を含む。本明細書で使用する時、緩衝剤とは、組成物のpHをpH約6.5〜pH約10の範囲に調整するために用いることができる剤を指す。これらの剤としてはアルカリ金属水酸化物類、炭酸塩類、セスキ炭酸塩類、ホウ酸塩類、珪酸塩類、ホスフェート類、イミダゾール及びこれらの混合物が挙げられる。具体的な緩衝剤には、リン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸ニ水素ナトリウム、リン酸一ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属炭酸塩類、炭酸ナトリウム、イミダゾール、ピロホスフェート塩類、クエン酸、クエン酸ナトリウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0078】
(着香剤)
着香剤も、組成物に添加されてよい。添加された染料の一部が不快な味を生じることから、香料は、本組成物の味及び審美性を強化する。さらに、香料は、歯の脱灰病変への染料の浸透も強化することがある。好適な着香剤としては、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、クローブの芽の油、メントール、アネトール、サリチル酸メチル、ユーカリプトール、1−メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、オランダセリ油、オキサノン(oxanone)、α−イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、桂皮、バニリン、チモール、リナロール、CGAとして知られるシンナムアルデヒドグリセロールアセタール、及びこれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態において、香料は、スペアミントの油、桂皮、オイゲノール、ペパーミント及びこれらの混合物から成る群から選択される。着香剤は、一般に、組成物の約0.001重量%〜約20重量%、別の実施形態では約0.1重量%〜約3重量%、更に別の実施形態では約0.8重量%〜約2重量%の濃度で組成物に使用される。
【0079】
(口腔ケア活性剤)
本発明は、抗結石剤、フッ化物イオン源、抗菌剤、象牙質減感剤、麻酔剤、抗真菌剤、抗炎症剤、選択的H−2拮抗剤、虫歯予防剤及びこれらの混合物から成る群から選択される、安全且つ有効な量の口腔ケア活性剤を含む。
【0080】
口腔ケア活性剤は、好適な量で本組成物及び方法に存在することができる。これらの濃度は当業者には既知となり、以下に開示されている。
【0081】
(虫歯予防剤及びフッ化物イオン源)
本組成物は、安全且つ有効な量の虫歯予防剤類を含んでもよい。一実施形態では、虫歯予防剤は、キシリトール、フッ化物イオン源及びこれらの混合物から成る群から選択される。フッ化物イオン源は、組成物の使用中に遊離フッ化物イオン類を提供する。一実施形態では、口腔ケア活性剤は、フッ化ナトリウム、フッ化第1スズ、フッ化インジウム、アミンフッ化物のような有機フッ化物類及びモノフルオロリン酸ナトリウムから成る群から選択される、フッ化物イオン源である。フッ化ナトリウムは、別の実施形態におけるフッ化物イオンである。米国特許第2,946,725号(ノリス(Norris)ら、1960年7月26日発行)及び米国特許第3,678,154号(ウィダー(Widder)ら、1972年7月18日発行)は、このようなフッ化物塩類、並びにフッ化物イオン源として使用できるその他のものを開示している。本組成物は、約50ppm〜約3500ppm、別の実施形態では約100ppm〜約3000ppm、他の実施形態では約200ppm〜約2,800ppm、また別の実施形態では約500ppm〜約1,500ppmの遊離フッ化物イオンを含んでもよい。
【0082】
(抗結石剤)
本発明の組成物は、安全且つ有効な量の少なくとも1つの抗結石剤を含んでもよい。この量は、一般には組成物の約0.01重量%〜約40重量%、別の実施形態では約0.1重量%〜約25重量%、さらに別の実施形態では約4.5重量%〜約20重量%、さらに別の実施形態では組成物の約5重量%〜約15重量%である。抗結石剤はさらに、本質的には組成物のその他の構成成分と適合性である必要がある。
【0083】
抗結石剤は、ポリホスフェート類及びそれらの塩類;ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)及びその塩類;ポリオレフィンスルホネート類及びそれらの塩類;ポリビニルホスフェート類及びそれらの塩類;ポリオレフィンホスフェート類及びそれらの塩類;ジホスホネート類及びそれらの塩類;ホスホノアルカンカルボン酸及びその塩類;ポリホスホネート類及びそれらの塩類;ピロホスフェート類及びそれらの塩類;ポリビニルホスホネート類及びそれらの塩類;ポリオレフィンホスホネート類及びそれらの塩類;ポリペプチド類;並びにこれらの混合物から成る群から選択される。一実施形態では、塩類はアルカリ金属塩類である。別の実施形態では、抗結石剤は、ポリホスフェート類及びそれらの塩類;ジホスホネート類及びそれらの塩類;並びにこれらの混合物から成る群から選択される。別の実施形態では、抗結石剤は、ピロホスフェート、ポリホスフェート及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0084】
(ポリホスフェート)
本発明の一実施形態では、抗結石剤はポリホスフェートである。ポリホスフェートには、いくつかの環状誘導体が存在する場合もあるが、主として直鎖状構造に配置された2つ以上のホスフェート分子から成ると一般に理解されている。直鎖状ポリホスフェート類は、(XPO3)nに相当し、式中、nは約2〜約125であり、好ましくはnは4よりも大きく、Xは、例えばナトリウム、カリウムなどである。(XPO3)nについては、nが少なくとも3である場合、そのポリホスフェート類の性質はガラス質である。これらのホスフェート類の対イオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、C2〜C6アルカノールアンモニウム及び塩の混合物であってよい。ポリホスフェート類は、一般には、カリウム塩類、ナトリウム塩類、アンモニウム塩類、及びこれらの混合物のような、全体的に又は部分的に中和されたそれらの水溶性アルカリ金属塩類として使用される。これらの無機ポリホスフェート塩類には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)トリポリホスフェート、テトラポリホスフェート、二酸ジアルキル金属(例えば、二ナトリウム)、一酸トリアルキル金属(例えば、三ナトリウム)、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウム、及びアルカリ金属(例えば、ナトリウム)ヘキサメタホスフェート、並びにこれらの混合物が挙げられる。テトラポリホスフェートよりも大きいポリホスフェート類は、普通は非晶性ガラス状物質として生じる。一実施形態では、ポリホスフェート類は、FMC社(FMC Corporation)により製造され、ソダフォス(Sodaphos)(n≒6)、ヘキサフォス(Hexaphos)(n≒13)、及びグラスH(Glass H)(n≒21)、として商業上知られているもの、並びにこれらの混合物である。本組成物は典型的に、組成物の約0.5重量%〜約20重量%、一実施形態では約4重量%〜約15重量%、さらに別の実施形態では約6重量%〜約12重量%のポリホスフェートを含む。
【0085】
上記のホスフェート源は、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)著、工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第4版、18巻、ワイリー−インターサイエンス・パブリッシャーズ(Wiley-Interscience Publishers)(1996年)、685〜707頁に更に詳細に記載されており、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)に組み込まれた全ての参考文献を含めて、それらの全てを本明細書に参考として組み込む。
【0086】
一実施形態では、ポリホスフェートは次式を有する直鎖「ガラス状」ポリホスフェート類(polyposphates)である:
XO(XPO3)nX
式中、Xはナトリウム又はカリウムであり、nの平均は約6〜約125である。
【0087】
一実施形態では、上記のポリホスフェートの式のいずれかにおいてnが少なくとも2である場合、抗結石剤の濃度は組成物の約4.5重量%〜約40重量%、別の実施形態では約5重量%〜約25重量%、さらに別の実施形態では約8重量%〜約15重量%である。ポリホスフェート類は、米国特許第4,913,895号にさらに開示されている。
【0088】
(ピロホスフェート)
本組成物に有用なピロホスフェート塩類としては、アルカリ金属ピロホスフェート類、ジ−、トリ−、及びモノ−カリウム又はナトリウムピロホスフェート、ジアルカリ金属ピロホスフェート塩類、テトラアルカリ金属ピロホスフェート塩類、並びにこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、ピロホスフェート塩は、ピロリン酸三ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム(Na2H2P2O7)、ピロリン酸二カリウム、ピロリン酸四ナトリウム(Na4P2O7)、ピロリン酸四カリウム(K4P2O7)及びこれらの混合物から成る群から選択される。ピロホスフェート塩は、米国特許第4,515,772号(パラン(Parran)ら、1985年5月7日発行)、及び米国特許第4,885,155号、(パランら、1989年12月5日発行)に記載されており、その全体並びにそれらに開示される参照文献を参考として本明細書に組み込む。ピロホスフェート塩は、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)著、工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第3版、17巻、ワイリー−インターサイエンス・パブリッシャーズ(Wiley-Interscience Publishers)(1982年)、685〜707頁に更に詳細に記載されており、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)に引用される全ての参照文献を含めて、その全体に参考として本明細書に組み込む。
【0089】
一実施形態では、本発明の組成物は、ピロリン酸四ナトリウムを含む。ピロリン酸四ナトリウムは、無水塩の形態若しくは十水和物の形態、又は本組成物中で固体形態で安定な他のいかなる種類であってもよい。塩はその固体粒子状形態にあるが、その結晶性及び/又は非晶性状態であってもよく、その塩の粒径は、好ましくは審美的に受け入れ可能であるように、また使用時に容易に溶解するように十分小さい。
【0090】
本発明の組成物におけるピロホスフェート塩の濃度は、任意の安全且つ有効な量であり、一般には組成物の約1.5重量%〜約15重量%、別の実施形態では約2重量%〜約10重量%、さらに別の実施形態では約3重量%〜約8重量%である。
【0091】
ピロホスフェート塩に代えて、又はピロホスフェート塩と組み合わせて使用する任意の剤としては、ポリアクリレート類、及び無水マレイン酸又はマレイン酸とメチルビニルエーテル(例えばガントレツ(Gantrez))とのコポリマーを含めて、例えば米国特許第4,627,977号(ガファル(Gaffar)ら)に記載のような合成アニオン性ポリマーとして知られる材料(この開示はその全体が参考として本明細書に組み込まれる)、並びに、例えばポリアミノプロパンスルホン酸(polyamino propoane sulfonic acid)(AMPS)、クエン酸亜鉛三水和物、ポリホスフェート類(例えば、トリポリホスフェート、ヘキサメタホスフェート)、ジホスホネート類(例えば、EHDP、AHP)、ポリペプチド類(ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸など)及びこれらの混合物が挙げられる。
【0092】
(抗菌剤)
抗菌性坑歯垢剤もまた、所望により本組成物に存在してもよい。そのような剤には、これらに限定されないが、トリクロサン、メルクインデックス(Merck Index)、11版(1989年)、1529頁(項目番号9573)、米国特許第3,506,720号、及び欧州特許出願第0,251,591号(ビーカム(Beecham)グループ、PLC、1988年1月7日公開)に記載のような5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−フェノール;クロルヘキシジン(メルクインデックス、番号2090);アレキシジン(メルクインデックス、番号222);ヘキセチジン(メルクインデックス、番号4624);サンギナリン(メルクインデックス、番号8320);塩化ベンザルコニウム(メルクインデックス、番号1066);サリチルアニリド(メルクインデックス、番号8299);臭化ドミフェン(メルクインデックス、番号3411);塩化セチルピリジニウム(CPC)(メルクインデックス、番号2024);塩化テトラデシルピリジニウム(TPC);N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロライド(TDEPC);オクテニジン;デルモピノール、オクタピノール(octapinol)及びその他のピペリジノ誘導体類;効果的な抗菌量の精油類及びそれらの組み合わせ、例えば、シトラール、ゲラニアール、及びメントールとユーカリプトールとチモールとサリチル酸メチルとの組み合わせ;抗菌性金属類及びそれらの塩類、例えば、亜鉛イオン類、スズイオン類、銅イオン類、及び/又はこれらの混合物を与えるもの;ビスビグアニド類(bisbiguanides)又はフェノール樹脂類;オーグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン及びメトロニダゾールのような抗生物質類;並びに上記の抗菌性抗歯垢剤の類似体類及び塩類;カンジダアルビカンスの治療のためのもののような抗真菌剤を挙げることができる。存在する場合、これらの剤は一般に、安全且つ有効な量で、例えば本発明の組成物の約0.1重量%〜約5重量%の量で存在する。
【0093】
(抗炎症剤)
抗炎症剤も、本発明の口腔用組成物中に存在してよい。このような剤には、アスピリン、ケトロラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、アスピリン、ケトプロフェン、ピロキシカム及びメクロフェナム酸、COX−2阻害剤、例えばバルデコキシブ、セロコキシブ及びロフェコキシブ、並びにこれらの混合物などの、非ステロイド性抗炎症剤を挙げることができるが、これらに限定されない。存在する場合には、抗炎症剤は一般に、本発明の組成物の約0.001重量%〜約5重量%含まれる。ケトロラクは、米国特許第5,626,838号(1997年5月6日発行)に記載されている。
【0094】
(H−2拮抗薬)
本発明は、米国特許第5,294,433号(シンガー(Singer)ら、1994年3月15日発行)に開示されている化合物を含めた、安全且つ有効な量の選択的H−2拮抗剤も含んでよい。
【0095】
(界面活性剤)
本組成物は、好適な界面活性剤も所望により含有してよい。界面活性剤は、口腔内で本組成物のより良好な分散を提供することができる。界面活性剤としては、非イオン性、アニオン性、両性、カチオン性、双極性、合成洗剤、及びこれらの混合物が挙げられる。多くの好適な非イオン性及び両性界面活性剤類が、米国特許第3,988,433号(ベネディクト(Benedict))、米国特許第4,051,234号(1977年9月27日発行)に記載されており、多くの好適な非イオン性界面活性剤類が、米国特許第3,959,458号(アグリコーラ(Agricola)ら、1976年5月25日発行)に開示されている。
【0096】
本組成物は、典型的には、安全且つ有効な量の界面活性剤を含み、別の実施形態では組成物の約0.001重量%〜約20重量%、別の実施形態では約0.05重量%〜約9重量%、さらに別の実施形態では約0.1重量%〜約5重量%の界面活性剤を含む。
【0097】
(甘味剤、冷却剤、加温剤、及び唾液分泌剤)
所望により使用できる甘味剤としては、スクラロース、スクロース、グルコース、サッカリン、デキストロース、果糖、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、フルクトース、マルトース、キシリトール、サッカリン塩類、タウマチン、アスパルテーム、D−トリプトファン、ジヒドロカルコン類、アセスルファム及びシクラメート塩類、特にシクラミン酸ナトリウム及びサッカリンナトリウム、並びにこれらの混合物が挙げられる。組成物は、好ましくはこれらの剤を組成物の約0.1重量%〜約10重量%、別の実施形態では約0.1重量%〜約1重量%、さらに別の実施形態では約0.5〜約2重量%含有する。
【0098】
本発明の組成物では、任意成分として、着香剤及び甘味剤に加え、冷却剤、唾液分泌剤、加温剤及び局部麻酔剤を使用することができる。これらの剤類は、組成物の約0.001重量%〜約10重量%、別の実施形態では約0.1重量%〜約3重量%、さらに別の実施形態では約0.5〜約2重量%の濃度で組成物中に存在する。
【0099】
冷却剤は、様々な物質のいかなるものであることもできる。このような物質としては、カルボキサミド類、メントール、ケタール類、ジオール類、及びこれらの混合物が挙げられる。本組成物に好ましい冷却剤は、「WS−3」として商業的に既知であるN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、「WS−23」として既知であるN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタナミド、及びこれらの混合物などの、パラメンタンカルボキシアミド剤である。追加の好ましい冷却剤は、メントール、高砂(Takasago)製のTK−10として既知である3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、ハーマン・アンド・ライマー(Haarmann and Reimer)製のMGAとして既知であるメントングリセロールアセタール及びハーマン・アンド・ライマー製のフレスコラト(Frescolat)(登録商標)として既知であるメンチルラクテートから成る群から選択される。本明細書で使用する時、メントール及びメンチルという用語には、これらの化合物の右旋性異性体及び左旋性異性体、並びにこれらのラセミ混合物が包含される。TK−10については、米国特許第4,459,425号(アマノ(Amano)ら、1984年7月10日発行)に記載されている。WS−3及び他の剤は、米国特許第4,136,163号(ワトソン(Watson)ら、1979年1月23日発行)に記載されている。
【0100】
本発明の唾液分泌剤としては、高砂(Takasago)製のジャンブ(Jambu)(登録商標)が挙げられる。加温剤としては、トウガラシ、及びベンジルニコチネートのようなニコチネートエステル類が挙げられる。局部麻酔剤としては、ベンゾカイン、リドカイン、クローブの芽の油、エタノール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0101】
(感応剤/麻酔剤)
止痛(anti-pain)又は減感剤も、本発明の組成物中に安全且つ有効な量で存在できる。鎮痛剤は、意識を撹乱させることなく、又はその他の感覚様相を変えることなく、痛みの閾値を上げるように中枢的に作用することによって痛みを緩和する剤である。こうした剤には、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、アセトアニリド、フェナセチン、アセルトファン(acertophan)、チオルファン、スピラドリン、アスピリン、コデイン、テバイン、レボルフェノール(levorphenol)、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、フェナゾシン、フェンタニル、ブプレノルフィン、ブタファノール、ナルブフィン、ペンタゾシン、天然の薬草、例えば没食子、アサルム、クベビン(Cubebin)、ガランガ、スクテラリア、リアングミアンツェン(Liangmianzhen)、ビャクシ(Baizhi)などが挙げられるが、これらに限定されない。アセトアミノフェン、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸トロラミン、リドカイン及びベンゾカインのような麻酔剤又は局所鎮痛剤も存在してよい。これらの鎮痛活性剤は、カーク・オスマー(Kirk-Othmer)、工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第4版、2巻、ワイリー−インターサイエンス・パブリッシャーズ(Wiley-Interscience Publishers)(1992年)、729〜737頁に、詳細に記載されている。
【0102】
(組成物の使用)
本発明は、脱灰病変を検出するための改善された診断法及び組成物に関する。本発明は、以下の利点を提供する。第一に、本発明は現在利用できる診断手順のいくつかに、より安全及び安価な代替法を提供する。本発明は、可視光線での視覚的観察のみを必要とし、脱灰病変を強調するために、(所望により使用できるが)レーザー、その他の種類の増強された光源又はX線の使用を必要としない。本発明は使用に便利でもあり、家庭で消費者によって又は歯科医院で歯科専門家によってのどちらでも使用されることができる。本発明は、種々の虫歯(予防又は治療)製品の臨床試験中に脱灰病変を検出するための手段としても機能できる。さらに、本発明は、修復中に、歯科専門家が、歯の表面のどれだけを除去するかを決定するのを補佐するために明白な虫歯病変を選択的に検出することができ、歯の健康な部分の除去を防ぐ。さらに、本発明は、早期虫歯病変の検出を提供し、症状の多少の逆転又は再石灰化が可能かもしれない時点で、再石灰化剤での早期治療を可能にする。脱灰の程度が広すぎない場合、例えば可逆である場合、病変の治療が明白な虫歯病変の形成を防止することがある。重要なことに、本発明は、フッ化物イオン類を含有する任意の口腔ケア製品の使用のような再石灰化治療の進行をより頻繁に監視するための手段として使用できる。再石灰化剤の適用又は被験者による口腔衛生技法の改善(例えば、ブラッシングの改善、デンタルフロス使用等)の後に歯のどれだけが再石灰化されているかを監視することができる。
【0103】
最後に、本発明は被験者が良好な口腔衛生技法を遵守する誘因を提供する。本発明は、進行を監視する、並びに再石灰化治療レジメンでの改善及び成功を示す「消費者に優しい」方法を提供する。これはさらに、被験者に療法の継続及び治療への準拠継続の動機を与えることができる。より良好な準拠は、不可逆の病変への進行を防ぎ、並びに穿孔、歯牙構造の除去及び病変の充填(例えば修復)を避けることができる。
【0104】
本発明の組成物及び方法は、ゲル(歯の上でブラッシングされるか又はアプリケーター若しくは指で塗布される)、粉末、スプレー、ムース、エアゾール、一体型キャリア(例えば不溶性裏材ストリップ)と共に使用される組成物、錠剤、咀しゃく錠、カプセル、液体が中心に充填された咀しゃく形態、素早く溶ける円板又は錠剤、チューイングガム、食用フィルム、口内洗浄剤、溶液などが挙げられるがこれらに限定されない、いかなる所望の形態でも、製品が歯の表面に適用される口腔に適用されてよい。リンス類、溶液類、ゲル類は、ブラシ、スポンジ、綿棒、ピペット、指、又は均一用量の組成物を送達できるその他の装置を用いて、1以上の歯の表面に適用されてもよい。
【0105】
1つの実施形態において、第1相及び第2相は1本以上の歯に同時に又は逐次的に適用される。
【0106】
逐次投与では、被験者は第1相(又は第1の染料組成物)を1本以上の歯又は口腔に、適用又は投与する。暴露が長すぎる場合、選択的着色が達成されない場合がある。そのため被験者は第1相を口腔表面、特に歯に、少なくとも5秒〜約1分、別の実施形態では約6秒〜約30秒、さらに別の実施形態では約10秒〜約20秒の間接触させる。その後、被験者は組成物を口腔から吐き出し、所望により口腔を水ですすぐ(30秒〜1分間口の中ですすぎ、その後吐き出す)。続いて被験者は第2相(又は第2の染料組成物)を口腔に適用し、該組成物を口腔表面、特に歯に、少なくとも5秒〜約1分、別の実施形態では約6秒〜約30秒、さらに別の実施形態では約10秒〜約20秒の間接触させる。その後、被験者は組成物を口腔から吐き出す。続いて被験者は口腔を水で約15秒〜約1分間すすぎ、その後吐き出す。その後、被験者又は歯科専門家が歯を視覚的に観察し、歯の脱灰病変又は脱灰の状態の程度を観察する。この手順は、治療の有効性を監視するため必要に応じて被験者又は歯科医が繰り返すことができる。一般に、使用頻度は約毎日〜約12ヶ月に1度であり、別の実施形態では約毎週〜約6ヶ月毎である。観察後、染料は一般に、ブラッシング又は例えば水でのすすぎによって歯又はその他の口腔軟組織から除去される。
【0107】
別の実施形態では、第2相が最初に適用され、第1相がそれに続いてもよいことを除き、上記の手順に従う。
【0108】
同時投与の場合、被験者は、被験者が第1相の適用後に第1相を吐き出す又は口腔をすすぐことをしない点を除き、上記の手順に従う。
【0109】
あるいは、同時投与の場合、被験者は第1相と第2相とを一緒に混合し、その後該混合物を1本以上の歯又は口腔に適用する。続いて被験者は組成物を口腔から吐き出し、約15秒〜約1分間水ですすぐ。続いて、上記のように、視覚的に観察を行う。
【0110】
各歯に対し、被験者は一般に、第1相及び第2相の各々を約1.27μm(約0.05mil)〜約127μm(約5mil)、別の実施形態では約2.54μm(約0.1mil)〜約25.4μm(約1mil)、他の実施形態では約3.81μm(約0.15mil)〜約7.62μm(約0.3mil)の量で使用する。
【0111】
1つの実施形態では、第1相(又は第1の染料組成物)を適用する前に、被験者は本明細書に記載されている方法又は剤類により、歯から歯垢又は歯石を除去する。
【0112】
食用フィルム組成物及びその製造法は、米国特許第6,419,903号(スー(Xu)ら、2002年7月16日発行、コルゲート・パルモリブ社(Colgate Palmolive Company));米国特許出願第2003/0053962号(ゼルベ(Zerbe)ら、LTSローマン(LTS Lohmann)、2003年3月20日公開);PCT国際公開特許WO02/02085A2、LTSローマン・セラピーシステム社(LTS Lohmann Therapie-Systeme AG)、2002年1月10日公開);米国特許出願第2001/022964号(ロング(Leung)ら、ワーナー・ランバート社(Warner-Lambert Company)、2001年9月20日公開);US2002/0131990(ウィリアム・リグレー・ジュニア社(Wm.Wrigley Jr.Company)、2002年9月19日公開);US2003/0054039(ジック(Zyck)ら、2003年3月20日公開、ウィリアム・リグレー・ジュニア社);及びUS2002/0127254(ラビファーム(Lavipharm));米国特許第5,948,430号、米国特許第6,284,264B1号、米国特許第6,177,096B1号(LTSローマン)に開示されている。
【0113】
菓子及びチューインガム組成物並びにその製造方法は、米国特許第5,702,687号(チャーチ&ドワイト(Church & Dwight));米国特許第4,170,632号(ゼネラル・ミルズ(General Mills));米国特許第4,151,270号(ウィリアム・リグレー・ジュニア(Wm.Wrigley Jr.));米国特許第5,306,519号(ユニバーサル・フーズ(Universal Foods));米国特許第5,194,288号(ユニバーサル・フーズ);米国特許第5,958,472号(ワーナー・ランバート(Warner Lambert));米国特許第4,931,295号(ウィリアム・リグレー・ジュニア);米国特許第5,017,385号(P&G);米国特許第5,158,789号(ICAアメリカズ(ICA Americas));米国特許第4,976,972号(ウィリアム・リグレー・ジュニア);EP453,402(ワーナー・ランバート);米国特許第4,997,654号(ワーナー・ランバート);米国特許第4,513,012号(ワーナー・ランバート);米国特許第4,513,012号(ワーナー・ランバート);米国特許出願第2003/00728 41−A1号(P&G、2003年4月17日公開)に開示されている。
【0114】
1つの実施形態において、剤形は、ゲル類、溶液類、リンス類、一体型キャリア(例えば不溶性裏材ストリップ)と組み合わされたゲル類、口腔粘膜の軟組織への染料組成物の暴露を最小限に抑えながら1本以上の歯への直接適用を提供する形態及びこれらの混合物から成る群から選択される。これらの剤形類は、1本以上の歯に直接適用されてもよい。
【0115】
不溶性裏材ストリップ類上のゲル類及びその製造方法は上に開示されている。
【0116】
本発明の組成物は、ヒト及び動物(例えば、ペット、動物園の動物、又は家畜)の両方への適用に有用である。
【実施例】
【0117】
以下の非限定的な実施例により、本発明の範囲内の実施形態についてさらに説明する。本発明の範囲から逸脱することなく、これらの例の多くの変形形態が可能である。
【0118】
(実施例I(溶液))
【0119】
【表3】
1アシッドブルー9、食用青色1号、又は食用青色2号
2アシッドレッド52
3黄色染料5
4香料は、スペアミント、オイゲノール、ペパーミント及び/又は桂皮から選択される。
【0120】
(実施例II(ゲル))
【0121】
【表4】
1アシッドブルー9、食用青色1号、又は食用青色2号
2アシッドレッド52
3黄色染料5
4香料は、スペアミント、オイゲノール、ペパーミント及び/又は桂皮から選択される。
5BFグッドリッチ(BF Goodrich)より入手可能
【0122】
上記の実施例において、第1相及び第2相は等しい部数で使用される。上記の溶液類及びゲル類は、アプリケーターブラシ、使い捨てピペット、スポンジ、綿棒、又は均一用量の組成物を送達できるその他の装置を用いて、歯の全てに塗られる。
【0123】
染料の逐次投与:
ヒト被験者は、分析する歯の各々に約2.54〜5.08μm(約0.1〜0.2mil)の第1相を分与し、それを約10〜20秒間放置する。続いて、被験者は余分な溶液又はゲルを口腔から吐き出し、所望により口腔を水で約45秒間すすぐ。被験者はその後、分析する歯の各々に2.54〜5.08μm(0.1〜0.2mil)の第2相を分与し、約10〜20秒間待つ。続いて、被験者は余分な溶液又はゲルを口腔から吐き出し、所望により口腔を水で約45秒間すすぐ。最後に、被験者は全ての歯の表面を視覚的に観察し、染料で着色された歯の表面の脱灰病変の程度を評価する。続いて、フッ化物イオンを存在させているクレスト(Crest)(登録商標)口腔保護(Cavity protection)のようなフッ化物練り歯磨きで1日に2回歯を磨いた後、被験者は該方法を6ヶ月毎に繰り返す。該方法は、治療前対治療後の脱灰病変の数を観察する手段を提供する。
【0124】
染料の同時投与:
別の方法としては、ヒト被験者は、分析する歯の各々に約2.54〜5.08μm(約0.1〜0.2mil)の第1相を分与する。被験者は第1相を歯の上に約10〜20秒間放置し、その後第1相で処置された同じ歯に約2.54〜5.08μm(約0.1〜0.2mil)の第2相を分与する。被験者は第2相を歯の上に約10〜約20秒間放置し、その後口腔を水で約45秒間すすぐ。
【0125】
次に被験者は全ての歯の表面を視覚的に観察し、染料で着色された歯の表面の脱灰病変の程度を評価する。続いて、フッ化物イオンを存在させているクレスト(Crest)(登録商標)口腔保護(Cavity protection)のようなフッ化物練り歯磨きで1日に2回歯を磨く。被験者はこの方法を6ヶ月毎に繰り返す。脱灰病変の数が減少する。該方法は、治療前対治療後の歯の脱灰病変の数の減少を観察する手段を提供する。
【0126】
「発明を実施するための最良の形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれているが、どの文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であるとの容認と解釈されるべきではない。
【0127】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】丸みのある角を有する実質的に平坦な材料のストリップの斜視図。
【図2】本明細書に記載の口腔ケア染料組成物を含む第2層組成物がストリップ上にあり、染料が一体型キャリア及び/又は本染料組成物に放出可能に結合している図1のストリップを開示する、本発明の1つの実施形態の斜視図。
【図3】材料のストリップ上にコーティングされた第2層の厚さよりも薄い材料のストリップの例を示す、図2の断面線3−3に沿って取られた断面図。
【図4】材料のストリップの浅いポケットを示す、本発明の別の実施形態を示す断面図。この浅いポケットは、ストリップにコーティングされる追加量の第2層のリザーバとして作用する。
【図5】材料のストリップを隣接する歯に適合させ、歯と材料のストリップとの間に位置する第2層組成物によって歯に接着的に取り付けられた、第2層組成物を隣接する歯に適用するための別の実施形態を示す断面平面図。
【図6】歯に適合し、歯と材料のストリップとの間に位置する第2層組成物によって歯に接着的に取り付けられた、本発明の材料のストリップを示す、図5の断面線6−6に沿って取られた歯の横断立面図。
【図7】歯及び隣接する軟組織に適合し、歯と材料のストリップとの間に位置する第2層組成物によって歯の両側に接着的に取り付けられた、本発明の材料のストリップを示す、図5に類似した断面平面図。
【図8】歯及び隣接する軟組織の両方に適合し、歯と材料のストリップとの間に位置する第2層組成物によって歯の両側に接着的に取り付けられた、本発明の材料のストリップを示す、図7の断面線8−8に沿って取られた横断立面図。
【図9】歯及び隣接する軟組織を治療するための、剥離ライナーを有する図2の第2層組成物でコーティングされた材料のストリップを開示する、本発明の別の実施形態の斜視図。
【図10】材料のストリップ上の第2層組成物によって材料のストリップに取り付けられた剥離ライナーを示す、図9の断面線10−10に沿って取られた本発明の別の実施形態の断面図。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年9月11日に出願された米国仮出願番号60/502,152の利益を主張する。
【0002】
本発明は、脱灰病変を検出する方法に関する。本発明は、選択された青色及び赤色又は黄色染料システムを含む、早期虫歯病変(例えば、白斑)、虫歯病変、歯牙侵食、及び/又は歯科矯正で誘発される(orthodontically-induced)脱灰のような脱灰病変を検出するための組成物にも関する。
【背景技術】
【0003】
虫歯率は、種々の地域にわたって過去40年間で低下してきたが、世界規模での虫歯は、依然として歯の損失の主原因である優勢な疾患のままである。地域共同水のフッ素添加及びフッ素入り歯磨剤を通じて送達されるフッ化物は、歯のう蝕を防止するための最も経済的な公衆衛生機構であることが証明された。しかし、フッ化物の入手は依然として世界的に問題である。地域共同飲料水のフッ素添加が1945年に開始された米国では、40%もの高い割合の人口が最適濃度のフッ化物を有する飲料水の入手手段をまだ持たない。さらに、過度の砂糖の食事摂取及び口腔衛生習慣に乏しいことが、脱灰病変及び明白な虫歯の発生のさらなる一因となりうる。このように、世界的な虫歯の発生率はまだかなりのものである。
【0004】
先行技術は、虫歯病変検出のための視覚的触覚法の使用、特定の染料の使用、及びX線の使用を教示している。例えば、染料の使用による虫歯検出は、以下の参照で考察されている:US6,084,005(フクニシ(Fukunishi)ら、2000年7月4日発行)(穿孔及び修復の間の、歯の感染部分の除去を促進するため);US4,347,233(ヤマウチ(Yamauchi)ら、1982年8月31日発行)(健康な歯と歯の虫歯感染部分とを区別するための染料の使用を教示);及び虫歯検出染料−新規化合物類の生体外評価(Caries detector dyes-An in vitro assessment of some new compounds)、アンサリ(Ansari)ら、オーラルリハビリテーション誌(J.of Oral Rehabilitation)、1999年、26、453〜458頁(染料は虫歯検出剤としての特異性に欠ける)。
【0005】
歯科専門家は、歯科医院で、虫歯病変の検出を補助するために視覚的方法、触覚的方法、及びX線を使用することがある。
【0006】
染料の使用を包含するこれらの手段の全てが、脱灰病変及び白斑のような脱灰病変の早期徴候を認識するための特異性に欠け、並びに健康な歯と歯の虫歯感染部分との適切な区別において特異性に欠ける。虫歯検出のためのX線の使用に対する、より安全な代替法を提供する診断法の必要性もある。このように、改善された虫歯予防又は治療製品及び治療レジメンに対してだけでなく、脱灰病変を選択的に検出するための診断法に対しても必要性がなお存在する。
【0007】
本発明は、歯の「脱灰の状態」又は歯の脱灰の程度を検出するための簡単で、即座の、また安価な手段を提供する。被験者は、フッ化物含有歯磨剤又は改善された口腔衛生技法の使用のような再石灰化治療の進行をより頻繁に監視するための自己診断手段として本発明を使用できる。一旦脱灰が発見されると、また再石灰化剤の適用後、被験者は、どれだけの歯が治療後に再石灰化しているかを監視するために、本発明を所望の頻度で再適用することができる。本発明は使用が簡単であり安価であることから、被験者は、特に重大な脱灰が存在する場合に、進行をより頻繁に監視することができる。さらに、早期虫歯病変の検出は、症状の多少の逆転又は再石灰化が可能かもしれない時点で、再石灰化剤での早期治療を可能にする。早期虫歯検出は、治療のより早い開始を可能にする。脱灰の程度が広すぎない場合、再石灰化剤での病変の治療が明白な虫歯病変の形成を防止することがある。したがって、病変が元に戻らなくなる前に治療を開始すれば、穿孔、歯牙構造の除去、及び病変の充填(例えば修復)を最小限に抑える又は避けられることがある。
【0008】
さらに、本発明は、歯科専門家を、歯牙構造のどれだけを除去及び修復するかの決定並びに歯の健康な部分の除去の回避において修復中に手引きすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、視覚的観察のみを必要とし、脱灰病変を強調するためにレーザー、その他の種類の増強された光源又はX線の使用を必要としないことから、より安全及び安価であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、脱灰病変を検出するための口腔ケア染料組成物であって:組成物の約0.1重量%〜約10重量%の青色染料又はその混合物を含む第1相(又は第1の組成物);組成物の約0.1重量%〜約10重量%の赤色染料若しくは黄色染料又はこれらの混合物を含む第2相(又は第2の組成物);安全且つ有効な量の溶媒であって、染料が該溶媒に可溶である;及び所望により安全且つ有効な量の香料を含み、該組成物が脱灰病変の検出に有効である、口腔ケア染料組成物に関する。本発明は、脱灰病変を歯の表面で視覚的に強調する方法又は歯の脱灰の状態を検出する方法であって、さらに上記染料組成物が、それを必要とするヒト又は動物被験者の口腔又は歯に適用される方法に関する。実施形態の1つでは、第1の染料組成物及び第2の染料組成物が、それを必要とするヒト又は動物被験者の口腔又は歯に、逐次的に適用される。染料組成物が適用された後、染料によって着色された脱灰病変を評価するために歯が視覚的に観察される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書は、本発明を特に指摘し、明確に請求する請求項で完結するが、本発明は、同様の参照番号が同一の要素を表す添付図面を伴う実施形態についての以下の説明から、よりよく理解されると考えられる。本口腔ケア染料組成物は一体型キャリアと共に使用されてもよい。一体型キャリアは、材料のストリップ、デンタルトレイ、スポンジ材料、及びこれらの混合物を包含する。本発明の1つの実施形態では、一体型キャリアは材料のストリップを含む。材料のストリップは、組成物を介して又は一体型キャリアの一部である取り付け手段を介して歯に取り付けられ、例えば一体型キャリアは、所望により、一旦適用されると、該一体型キャリアが口腔軟組織と重なって歯の表面のより多くが口腔ケア染料組成物との接触に利用できるようにするのに十分な大きさ及び/又は幅であってもよく、また十分な接着性を有してもよい。
【0012】
本発明を制限しようとするものではないが、材料のストリップの実施形態は以下により詳細に記載される。
【0013】
(定義)
本明細書で使用する時、「抗結石」又は「抗歯石」剤は、結石又は歯石形成に関連する鉱物(例えば、リン酸カルシウム)の付着を低減、制御、抑制、予防及び/又は最小化するのに有効な材料を意味する。
【0014】
本明細書で使用する時、「脱灰病変」は、平滑な、咬合する歯の表面又は歯根を包含する任意の歯の表面における、早期虫歯病変、虫歯病変、明白な虫歯病変(臨床的に関連する病変)、DMFS又はDMFT採点法によるD1、D2、D3及びD4病変、歯牙侵食、歯科矯正で誘発される脱灰病変を包含する。用語「脱灰病変」は、本明細書で使用する時、歯垢及び歯石を包含しない。
【0015】
「早期虫歯病変」は、本明細書で使用する時、白斑を意味し、これは可逆性の歯の脱灰領域であり、例えば歯の表面が再石灰化剤で又は被験者の口腔衛生慣行を改善することによって修復され得る。
【0016】
「虫歯病変」は、本明細書で使用する時、DMFS又はDMFT評点のD2、D3及びD4で特徴づけられる歯のエナメル質及び象牙質の進行性脱石灰である、歯のう触を意味する。
【0017】
「歯牙侵食」は、本明細書で使用する時、細菌作用によって引き起こされる表面下の脱灰又は虫歯と対照的に、外因性(酸性飲料又は果汁のような食事性酸類の経口消費及び空気浮遊汚染物質又はプールでの酸性水への暴露のような環境要因)又は内因性の要因(胃で生産され、嘔吐、吐出又は逆流の過程中に歯と接触する内因性の酸類)によって引き起こされる、表面からの歯質の永久的損失を意味する。
【0018】
「歯科矯正で誘発される脱灰病変」は、本明細書で使用する時、被験者がマウスガード、ブレース、リテーナ等のような歯科矯正装置を着用することによって引き起こされる早期虫歯病変、虫歯病変、明白な虫歯病変、歯牙侵食、又はその他の種類の歯の脱灰を意味する。
【0019】
「歯の脱灰の状態」は、本明細書で使用する時、歯の鉱物含有量のレベル若しくは脱灰病変の存在及び広がりによる鉱物不在の程度、又はその他の脱灰の状態を意味する。
【0020】
「視覚−触覚的虫歯評価」は、口腔、具体的には歯又は歯の表面の完全性を調べるために個人の歯又は歯の表面で実施される検査である。該検査は、白斑又は開放病変の位置を特定するための視覚的評価と、歯若しくは歯の表面のう触、軟化又は「べたっとした」病変の位置を特定するための歯科用器具又は探針を用いる触覚的評価とを含む。精密な視覚的虫歯評価が実施される場合、触覚評価は実施されない。DMFS又はDMFTは、視覚−触覚的虫歯評価で使用される一般的な採点法である。
【0021】
用語「DMFS」は、本明細書で使用する時、ヒト被験者の視覚−触覚的虫歯評価において歯の表面を評価するために使用される採点法を示す。この採点法では、健康でない歯の表面のそれぞれは、う触(decay)を示す「D」、喪失(missing)を示す「M」、又は充填済み(filled)を示す「F」のいずれかの評点がつけられる。「S」は(歯の)表面(surface)を意味する。評点「D」は、さらにD1、D2、D3及びD4に分類され、各々が虫歯の重篤さに関連する異なる診断閾値を示す。D1は、表面が無傷である臨床的に検出可能なエナメル病変を表す。D2は、エナメルに限定された臨床的に検出可能な「穴」を表す。D3は、開いた又は閉じた、臨床的に検出可能な象牙質の病変を表す。D4は、歯髄内に広がった病変を表す。ADAガイドラインに従い、う触と採点された表面は、臨床的に関連する虫歯病変を持つという証拠がなければならない。視覚及び/又は触覚的な歯牙構造の損失を示す表面のみが、臨床的に関連する虫歯病変を反映すると考えられる。したがって、本発明の1つの実施形態において、D2、D3又はD4によって特徴づけられる病変のみが、歯の表面をう触として特定するために使用される。1つの実施形態において、エナメル構造の損失を示す触覚的変化がなく脱灰の証拠を示す表面、D1は健全である(初期病変、白斑病変及び低石灰化した無傷の表面を包含する)。DMFS採点では、各歯の表面につき1つの評点が与えられる。臼歯1本につき5つの表面、具体的には頬側、舌側、咬合面、近心及び遠心、並びに前歯1本につき4つの表面、具体的には頬側、舌側、近心及び遠心が採点される。各被験者に合計のDMFS評点が与えられ、その数値はう触、喪失又は充填済みの歯の表面の総数を示す。
【0022】
用語「DMFT」は、本明細書で使用する時、視覚−触覚評価が歯に実施された時に用いられてもよい別の採点法である。DMFT採点において、「D」、「M」及び「F」はそれぞれ、う触、喪失及び充填済みを示す。「T」は歯(tooth)を示す。本発明において、歯は、上述のようにD1、D2、D3及びD4にさらに分類される。DMFT採点では、独立して採点された個々のそれぞれの歯の表面ではなく、1本の歯全体に対して1つの評点のみが与えられる。各被験者に与えられたDMFT評点の合計は、う触、喪失又は充填済みの歯の総数を反映する。
【0023】
用語「虫歯予防又は治療製品」は、本明細書で使用する時、虫歯効力の可能性のあるいかなる製品も意味し、例えば、虫歯予防剤類の全身投与の目的で故意に飲み込まれるのでなく、歯の表面の全てに接触させるのに十分な時間、歯の表面に保持される製品を意味する。該製品はいかなる所望の形態であってもよい。1つの実施形態において、虫歯予防又は治療製品は、フッ化物イオン源を含有する練り歯磨き形態の歯磨剤製品である。
【0024】
用語「修復歯科学」は、本明細書で使用する時、歯の表面を修復する、又は1本の歯若しくは全歯及び隣接組織を置き換えるいかなる治療、材料又は装置も意味する。
【0025】
「口腔ケア染料組成物」又は「口腔ケア組成物」とは、本明細書で使用する時、剤類又は治療薬類の全身投与の目的で故意に飲み込まれるのではなく、一部の又は実質的に全ての硬質な歯の表面に接触させるのに十分な時間、口腔内に保持される製品を意味する。さらにこの用語は、故意に飲み込まれてもよいが、剤類又は治療薬類の全身投与の目的で飲み込まれるのではない製品を意味し得る。
【0026】
本明細書で使用する時、「安全且つ有効な量」とは、健全な医学/歯学的判断の範囲内で、治療すべき状態を著しく(よい方向に)改変するのに、又は所望の結果をもたらすのに十分であるが、重篤な副作用を回避できるほど低い(妥当な利益/危険比で)、構成成分の量を意味する。構成成分の安全且つ有効な量は、治療される特定の状態(例えば、診断虫歯(diagnosis caries)等)、治療される患者の年齢及び身体状態、状態の重症度、治療期間、併用療法の性質、使用する特定の形態、並びに構成成分を適用するための特定のビヒクルによって変わる。
【0027】
「歯の表面」とは、本明細書で使用する時、歯の咬合面窩(pits)、裂溝(fissures)、咬合(occlusal)面、裂け目(cleft)、凹部(crevices)、溝(grooves)、陥凹(depressions)、間隙(interstices)、不整(irregularities)、歯の間及び/若しくは歯肉線に沿った隣接歯間、歯の平滑面、並びに/又は歯の破砕(grinding)面若しくは噛合(biting)面を意味する。
【0028】
本明細書の以下で用いる全ての百分率及び比率は、特に指示がない限り、組成物全体の重量を基準とする。
【0029】
本明細書で言及する全ての測定は、他に明示されない限り25℃で行なわれる。
【0030】
特に指示がない限り、本明細書で言及する成分の百分率、比率及び濃度は全て成分の実際の量に基づき、市販製品としてその成分に混合されていることがある溶媒、充填剤、又はその他の物質を包含しない。
【0031】
本明細書に記載された全ての出版物、特許出願、及び発行された特許は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる。いかなる参照文献の引用も、特許請求する本発明に対する従来技術としての有用性の決定に関する容認ではない。
【0032】
(染料)
本発明の染料は、脱灰病変を選択的に着色し、これらの病変を可視光線波長にて「裸眼」で見えるようにする。本組成物の染料濃度は、一般に、約0.001重量%〜約10重量%、別の実施形態では約0.01重量%〜約3重量%、更に別の実施形態では約0.1重量%〜約1重量%の範囲である。第1相(又は第1の染料組成物)はいかなる青色染料をも含み、第2相(又は第2の組成物)はいかなる赤色染料又は黄色染料をも含む。1つの実施形態では、第1相及び第2相は一般に混合されず、本明細書の組成物内で分離したままである。
【0033】
1つの実施形態では、青色染料は、表1に列挙されているもの(及びこれらの混合物)から成る群から選択される。
【0034】
【表1−1】
【0035】
【表1−2】
別の実施形態において、青色染料は、アシッドブルー9、食用青色1号、食用青色2号及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0036】
1つの実施形態において、赤色染料又は黄色染料は、表2に列挙されたものから成る群から選択される(塩類、ナトリウム塩類、カリウム塩類、遊離酸類、遊離塩基類、そのレーキ類、及びこれらの混合物を包含する)1:
【0037】
【表2−1】
【0038】
【表2−2】
1.CTFA国際カラーハンドブック(International Color Handbook)、第2版、米国化粧品工業会(The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association,Inc.)、1985年、1992年(185〜201頁を含む)を参照。食品、医薬品及び化粧品の着色(Coloring of Food,Drugs,and Cosmetics)、G.オッテルスタッター(Otterstatter)、マーセル・デッカー社(Marcel Dekker,Inc.)、1999年(第9章222〜236頁を含む)も参照。
2.シグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich)製品番号35,882−7:C2OH10N2O9。
【0039】
別の実施形態では、赤色染料又は黄色染料はC.I.アシッドレッド52である。
【0040】
(溶媒)
本発明の組成物は、安全且つ有効な量の溶媒をさらに含む。溶媒は、組成物の約30重量%〜約99.999重量%、別の実施形態では約60重量%〜約98重量%、さらに別の実施形態では約70重量%〜約95重量%の濃度で存在する。
【0041】
本発明の組成物の溶媒は、染料が溶媒に可溶性であるように選択されなければならない。溶媒は、汚染された象牙質への組成物の浸透を促進するための組成物の粘度をもたらすようにも選択される。溶媒は、いかなる比率でも水に容易に混和し、均質溶液にする水混和性の溶媒を包含する。
【0042】
1つの実施形態において、溶媒は、2〜10個の炭素原子を有する有機モノ−、ジ−又はトリ−ヒドロキシ化合物類から成る群から選択される。好適なモノヒドロキシ化合物類の例としては、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−ヘキサノール、1−ヘプタノール、ノニルアルコール及びデシルアルコールのような一価アルコール類が挙げられる。溶媒としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル及びテトラエチレングリコールモノエチルエーテルのような二価アルコール類のモノエーテル類も挙げられる。溶媒としては、エチレングリコールモノアセテート及びジエチレングリコールモノアセテートのような二価アルコール類のモノエステル類も挙げられる。好適なジヒドロキシ化合物類の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール及びジプロピレングリコールのような二価アルコール類、並びにグリセリンモノメチルエーテル及びグリセリンモノアセテート、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテートのような三価アルコール類のモノエーテル類及びモノエステル類が挙げられる。好適なトリヒドロキシ化合物類の例としては、グリセロール及びペンタグリセロールが挙げられる。その他の溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、アセトン及びジメトキシエタン等が挙げられる。上記の溶媒の混合物も使用できる。別の実施形態において、溶媒は、1,3−プロピレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びこれらの混合物から成る群から選択される。別の実施形態において、溶媒はプロピレングリコールである。
【0043】
(一体型キャリアと染料組成物との組み合わせ)
1つの実施形態において、本発明は一体型キャリアと共に使用される本発明の口腔ケア染料組成物を含むデリバリーシステムに関する。1つの実施形態では、一体型キャリアは、材料のストリップ、デンタルトレイ、スポンジ材料及びこれらの混合物から成る群から選択される。1つの実施形態では、デリバリーシステムは、ストリップ材料の第1層;上記口腔ケア染料組成物を含む第2層を含み、それによって染料が組成物及び/又はストリップ材料に放出可能に結合する。
【0044】
I.第1層
ここで図面、より具体的には図1及び2を参照すると、本発明の第1の実施形態が示され、全体を10として表示しており、染料を歯に送達するためのデリバリーシステムを表す。デリバリーシステム10は、材料のストリップ12を有し、これは実質的に平らで、好ましくは角に丸みがある。
【0045】
前記材料のストリップ12の上に放出可能に適用されているのは、第2層組成物14である。第2層組成物14は、1つの実施形態において、均質であり、図3に示されるように、材料のストリップ12の上に均一且つ連続的にコーティングされてもよい。しかし、第2層組成物14は、別の方法としては組成物の積層体又は別々の層(その際、1つの層は第1の染料組成物を含み、第2層は第2の染料組成物を含む)、第1及び/若しくは第2の染料組成物を含む別々のストリップ若しくはスポット又はその他のパターン、あるいは材料のストリップ12の一部の長手方向軸に沿った第2層組成物14の連続コーティングを包含するこれらの構造体の組み合わせであってもよい。
【0046】
図4に示すように、別の実施形態では、材料のストリップ12は、その中に形成された浅いポケット18を有してもよい。第2層組成物14が材料のストリップ12の上にコーティングされると、追加の第2層組成物14は、存在する場合、浅いポケット18を埋めて第2層組成物14のリザーバを提供する。
【0047】
図5及び6は、1本の歯及び複数個の隣接する歯の表面に適用された本発明のデリバリーシステム24を示す。隣接軟組織20に埋め込まれているのは、複数個の隣接する歯22である。隣接軟組織は、本明細書で、歯牙構造を囲む軟組織表面と定義され、歯乳頭、辺縁歯肉、歯肉の小溝、歯間歯肉、並びにパレット上の粘膜−歯肉接合部までの及びこれを包含する舌側面及び頬側面上の歯肉構造を包含する。
【0048】
図5及び6のいずれにおいても、デリバリーシステム24は材料のストリップ12及び第2層組成物14を表し、ストリップ材料12の側の第2層組成物14は歯22に面している。第2層組成物14は材料のストリップ12に予め適用、すなわち歯への適用の前にユーザーによって材料のストリップ12に適用されてもよい。別の実施形態において、第2層組成物は、ユーザーによって歯22に直接適用され、その後材料のストリップ12によって覆われてもよい。いかなる場合も、材料のストリップ12は、歯22の輪郭表面及び隣接軟組織20に適合できるような厚さ及び曲げ剛性を有する。1つの実施形態において、材料のストリップは、口腔表面の輪郭の形状になるのに十分な柔軟性を有し、該表面は複数個の隣接する歯である。材料のストリップは、デリバリーシステムが適用された時に永久的な変形なく歯の表面及び歯の隙間の空間(interstitial tooth spaces)に容易に適合することもできる。デリバリーシステムは、大きな圧力なしに適用できる。
【0049】
図7及び8は、複数個の隣接する歯22並びに隣接軟組織20の前後両表面に適用された本発明のデリバリーシステム24を示す。デリバリーシステム24は材料のストリップ12及び第2層組成物14を表し、材料のストリップ12の側の第2層組成物14は歯22に面している。
【0050】
図9及び10は、任意の剥離ライナー27を示す。剥離ライナー27は、第2層組成物14によって材料のストリップ12に取り付けられる。第2層組成物14は、ストリップ材料12の剥離ライナー27に面する側にある。この側は、剥離ライナー27が取り外されると、歯及び歯肉表面に適用される。
【0051】
1つの実施形態において、本発明のデリバリーシステムの第1層は材料のストリップで構成される。このような第1層材料は、米国特許第6,136,297号、第6,096,328号、第5,894,017号、第5,891,453号、及び第5,879,691号(全てセイゲル(Sagel)ら、及び全てプロクター&ギャンブル社(Procter & Gamble Company)に譲渡)、並びに米国特許第5,989,569号及び第6,045,811号(両方共ダークシング(Dirksing)ら、及び両方共プロクター&ギャンブル社に譲渡)に、より詳細に記載されている。
【0052】
該ストリップは染料の保護バリヤーとして機能する。ストリップは、例えば着用者の舌、唇、及び唾液による、第2層の浸出及び/又は腐蝕を防止する。これにより、第2層組成物は、本明細書に記載されている適切な暴露時間の間、口腔の硬質面上で作用できる。
【0053】
ストリップ材料は、ポリマー類、天然及び合成の織布材料類、不織布材料、ホイル、紙、ゴム、発泡体、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。ストリップ材料は、材料の単一層であってもよく、又は1を超える層の積層体であってもよい。層の数にかかわらず、材料のストリップは実質的に非水溶性である。ストリップは、不透水性でもあってもよい。1つの実施形態において、材料は、必要な曲げ剛性を満たし組成物と適合性のある種類のポリマー又はポリマー類の組み合わせである。好適なポリマー類としては、ポリエチレン、エチルビニルアセテート、ポリエステル類、エチルビニルアルコール及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ポリエステル類の例としては、マイラー(Mylar)(登録商標)、及びテフロン(Teflon)(登録商標)のようなフルオロプラスチック類(いずれもデュポン(Dupont)が製造)が挙げられる。1つの実施形態において、材料はポリエチレンである。材料のストリップは、一般に厚さ約1mm(ミリメートル)未満であり、1つの実施形態においては厚さ約0.05mm未満、さらに別の実施形態においては厚さ約0.001〜約0.03mmである。ポリエチレンの材料のストリップは、一般に厚さ約0.1mm未満であり、1つの実施形態においては厚さ約0.005〜約0.02mmである。
【0054】
1つの実施形態において、材料のストリップの形は、所望の口腔硬組織表面を被覆する任意の形状及び大きさである。1つの実施形態において、ストリップは、口腔の軟組織の刺激を避けるため、丸みのある角を持つ。「丸みのある角」は、いかなる鋭角又は鋭利な突端も持たないことを意味する。1つの実施形態において、ストリップ材料の長さは、上又は下の歯全てを被覆するような長さであり、別の実施形態においては約2cm(センチメートル)〜約12cm、他の実施形態においては約4cm〜約9cmである。ストリップ材料の幅も、被覆する歯の範囲の数に依存する。ストリップの幅は、一般に約0.5cm〜約4cmであり、1つの実施形態においては約1cm〜約2cmである。さらに別の実施形態において、ストリップは、局部的状態を監視するために1本又は数本の歯に貼付剤として着用されてもよい。1つの実施形態において、第2層組成物は、口腔軟組織との接触を避ける方法で一体型キャリアに適用される。
【0055】
ストリップ材料は浅いポケットを含有してもよい。組成物が材料のストリップ上にコーティングされると、該組成物又は追加の化粧及び治療用口腔ケア活性物質が浅いポケットを満たし、これらの構成成分のリザーバを提供する。さらに、浅いポケットは、デリバリーシステムに質感をもたらすのに役立つ。1つの実施形態において、ストリップ材料は並んだ多数の浅いポケットを有する。一般に、浅いポケットは幅がおよそ0.4mmであり深さが約0.1mmである。材料のストリップに浅いポケットが含まれ、組成物類が様々な厚さでそこに適用される時、デリバリーシステムの全厚は約1mm未満である。1つの実施形態において、全厚は約0.5mm未満である。
【0056】
曲げ剛性は、ストリップの厚さ、幅及び材料の弾性率の組み合わせの関数である材料特性である。この試験は、ポリオレフィンフィルム及びシートの剛性を測定する方法である。それは、水平梁の末端に固定されたひずみゲージを用いて、試料の曲げに対する抵抗力を測定する。梁の反対側の末端が、試料のストリップ全体を押して、ストリップの一部を試料が置かれている水平台の垂直な溝の中に押し入れる。ひずみゲージに配線されたマイクロアンメータを、たわみ力に関して較正する。試料の剛性はマイクロアンメータから直接読み取られ、試料ストリップの幅1cm当りのg数として表される。本発明では、材料のストリップは、ペンシルベニア州フィラデルフィアのスイング・アルバート・インスツルメント社(Thwing-Albert Instrument Company)より入手可能なハンドル−O−メータ(Handle-O-Meter)、モデル#211−300で試験方法ASTM D2923−95によって測定する場合に、約5g/cm未満の曲げ剛性を有する。1つの実施形態において、ストリップの曲げ剛性は約3g/cm未満であり、別の実施形態では約2g/cm未満、さらに別の実施形態では約0.1〜約1g/cmである。一般に、材料のストリップの曲げ剛性は、実質的に一定であり、通常の使用の間に変化しない。例えば、材料のストリップは上に指定した範囲の低い曲げ剛性を達成するためにストリップを水和する必要がない。
【0057】
この比較的低い剛性により、材料のストリップは口腔表面の輪郭を非常に小さい力を用いて被覆することができる。すなわち、材料のストリップを口腔表面への適用の直前の形状、すなわち実質的に平坦に戻す原因となる残留力がストリップ内にほとんどないことから、着用者の口の口腔表面の輪郭への適合性が維持される。この材料のストリップの柔軟性は、硬組織又は軟組織への刺激のない接触を可能にする。材料のストリップは、口腔表面への保持のために連続的圧力を必要としない。
【0058】
1つの実施形態において、材料のストリップは本組成物が提供する接着剤による取り付けによって口腔表面の適切な位置に保持される。1つの実施形態において、乾燥表面に対する本組成物の粘度及び一般的粘着性により、ストリップが、話したり飲んだり等の間に材料のストリップを摩擦する唇、歯、舌及びその他の口腔表面によって生じる摩擦力からの実質的な滑りなく口腔表面に接着的に取り付けられる。しかし、この口腔表面への接着は、材料のストリップが、着用者が指を用いて単に引き剥がすことによって容易に取り外されるほど十分に低い。デリバリーシステムは、機器、化学溶媒若しくは剤の使用又は過度の摩擦なしに口腔表面から容易に取り外すことができる。
【0059】
別の実施形態において、材料のストリップは、一体型キャリア自体が提供する、接着剤による取り付けによって、口腔表面の適切な位置に保持される。1つの実施形態において、材料のストリップは、口腔軟組織に延伸、取り付け、また接着することができる。別の方法としては、デリバリーシステムを口腔軟組織に取り付ける材料のストリップの部分に接着剤を適用することができる。1つの実施形態において、第2層組成物は口腔軟組織に接触しない。
【0060】
(第2層)
1つの実施形態において、第2層は、本明細書に記載される安全且つ有効な量の口腔ケア染料組成物を含む。
【0061】
(任意の剥離ライナー)
1つの実施形態において、剥離ライナーは、第2層組成物がそれ自体に対して及び第1層の材料のストリップに対して示すよりも少ない親和性を第2層組成物に対して示すいかなる材料から形成されてもよい。剥離ライナーは、ポリエチレン、紙、ポリエステル、又は後に非粘着型材料でコーティングされる他の材料のような、材料の剛性シートを含んでもよい。剥離ライナーは、材料のストリップと実質的に同じ大きさ及び形状に切断されてもよく、又は剥離ライナーは、材料のストリップより大きく切断されて、剥離ライナーをストリップから分離するために容易に利用できる手段を提供してもよい。剥離ライナーはストリップを曲げた時に亀裂が入る脆性材料から、又は複数の片の材料から、又は切れ目の付いた材料から形成されてもよい。あるいは、剥離ライナーは、典型的な絆創膏のデザインのような、二片が重なり合ったものであってもよい。剥離剤として適した物質の記述は、カーク・オスマー(Kirk-Othmer)の、工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第4版、21巻、207〜218頁に見出される。
【0062】
(軟質/剛直デンタルトレイ又はスポンジ材料(発泡体)と染料組成物との組み合わせ)
口腔ケア染料組成物は、デンタルトレイ、例えば美白技術分野において周知の種類のデンタルトレイと組み合わせて使用してもよい。デンタルトレイ調整の一般的方法は、当該技術分野において既知である。例えば、全ての歯の表面に歯肉縁を加えたものを残したアルギネート印象材が作製され、該印象材で直ちに模型(stone cast)が作製される。リザーバが望まれる場合、治療すべき特定の歯の表面で模型上に剛体材料の層を構築することによって調製される。続いて、従来技術を使用して修正された模型からデンタルトレイを真空成形する。形成された後、トレイは好ましくは頬側及び舌側の両面で歯肉縁のわずかに内側に切り取られる。トレイ周辺部の仕上げ及び面取り時に、歯の全てが、確実に歯肉の境界の約1/4〜約1/3mm以内まで被覆されるように十分なトレイ材料を残すべきである。1つの実施形態においては、完成したトレイが歯間乳頭を被覆しないようにその上及び周囲を波形にすることができる。唇及び舌が縁部の隆起を感じないように、全てのトレイの縁は好ましくは平滑にされる。得られるトレイは、1つの実施形態においては、患者の歯に完全に適合し、模型上の剛体材料が置かれた場所に位置するリザーバ又は空間を所望により伴う。デンタルトレイは、予備成形厚さが約0.1cm(約0.04インチ)〜約0.15cm(約0.06インチ)の軟質の透明なビニル材料を含んでもよい。軟質材料は、患者が装着するのにより快適である。より硬質な材料(又はより厚いプラスチック)も、トレイを構築するために使用してもよい。
【0063】
本明細書で有用なその他のトレイ又は発泡体としては、患者の歯列弓に精密に適合する剛性の器具が挙げられる。第2の種類の剛性の特注歯科用器具は、「大きめの」剛性の特注歯科用器具である。剛性の、特注歯科用器具の製造は、患者の歯列弓の印象材模型の製造、並びに患者の歯列弓の模型に対応する熱可塑性シートの加熱及び真空成形を必要とする。熱可塑性フィルムは、剛性又は半剛性シート状で販売されており、種々の大きさ及び厚さで入手できる。大きめの剛性歯科用器具のための歯科実験製作技術は、模型上の歯の表面(facial surfaces)を、ダイスペーサー又は光硬化したアクリル類のような材料で増大する(augmenting)ことを必要とする。次に、熱可塑性シートを加熱し、その後増大した歯列弓の模型の周囲に真空成形する。この方法の正味の効果により、「大きめの」剛性の特注歯科用器具が得られる。
【0064】
剛性の特注歯科用器具の第3の種類は、軟質多孔質発泡体から剛性の多孔性でないフィルムまでの範囲の材料の積層体から製造される、剛性の二層特注歯科用器具である。これらの二層歯科用器具の、多孔性でない剛性の熱可塑性シェルは、軟質多孔性発泡体の内層を収容及び支持する。
【0065】
デンタルトレイの第4の種類は、剛性の特注歯科用器具を使い捨てのU字形軟質発泡体トレイで置き換えたもので、これは個別に包装されてもよく、予め測定された量の本発明の組成物で飽和されてもよい。軟質発泡体材料は、一般に連続気泡のプラスチック材料である。このような装置は、カリフォルニア州オックスナードのキャドコ・デンタル・プロダクツ(Cadco Dental Products)よりバイタルホワイト(VitalWhite)(商標)の商品名で市販されている。1つの実施形態において、これらの軟質発泡体トレイは、装置から口腔への染料の溶離を最小限にして、軟組織の着色、患者による摂取及び/又は口腔組織の刺激を最小限にするため、裏当て材(例えば、独立気泡プラスチック裏当て材)を含む。別の実施形態では、軟質発泡体トレイは多孔性でない可撓性ポリマーに収容される。別の実施形態では、連続気泡発泡体は歯科用器具の前部内壁に取り付けられ、及び/又は連続気泡発泡体は歯科用器具の後部内壁に取り付けられる。
【0066】
1つの実施形態において、本発明の口腔ケア染料組成物は、発泡体の連続気泡構造の間から簡単に出ないように十分濃くなければならないが、連続気泡発泡体を容易に通過するために十分薄くなければならない。換言すれば、連続気泡発泡体材料は、組成物を吸収し組成物が通過するのを可能にするため、組成物の粘度に関連した大きさの内部構造の空隙部を有する。
【0067】
独立気泡材料の一例は、厚さが0.8mm(1/32”)〜3.2mm(1/8”)である、マサチューセッツ州ローレンスのセキスイ・アメリカ・コーポレーション(Sekisui America Corporation)のボルテック(Voltek)事業部より商標名ボロラ(Volora)で販売されている独立気泡ポリオレフィンフォームである。独立気泡材料は、可撓性高分子材料から構成されてもよい。
【0068】
連続気泡材料の一例は、厚さが1.6mm(1/16”)〜9.5mm(3/8”)である、マサチューセッツ州ハイアニスのパッケージング・インダストリーズ・グループ社(Packaging Industries Group,Inc.)のセンチネル・フォーム・プロダクツ(Sentinel Foam Products)事業部より商標名オプセル(Opcell)で販売されている連続気泡ポリエチレンフォームである。本明細書で有用なその他の連続気泡発泡体としては、ヒドロゲルポリマー類(例えば、ニュージャージー州(J.J.)ブランチバーグのハイドロマー社(Hydromer,Inc.)より入手可能なメディセル(Medicell)(商標)フォーム)のような親水性連続発泡体材料が挙げられる。連続気泡発泡体は、種々の剤を化学的に吸収したポリウレタン又はポリビニルピロリドンのような、流体類の高度な吸収を付与するために剤を吸収した親水性連続発泡体材料であってもよい。
【0069】
上記の種類の器具は、米国特許第5,980,249号(M.G.フォンテノット(M.G.Fontenot))、及び米国特許第5,575,654号(M.G.フォンテノット)にさらに記載されている。
【0070】
上記の歯科用器具類は、使い捨て又は再使用可能であるように設計されることができる。本明細書で使用できるさらなるデンタルトレイ類は、米国特許第6,368,576号(スティーブン D.ジェンセン(Steven D.Jensen)、2002年4月9日発行);米国特許第6,309,625号(ジェンセンら、2001年10月30日発行);米国特許第6,183,251号(ダン E.フィッシャー(Dan E.Fischer)、2001年2月6日発行);米国特許第6,036,943号(ダン E.フィッシャー、2000年3月14日発行);米国特許第5,985,249号(ダン E.フィッシャー、1999年11月16日発行);米国特許第5,846,058号(ダン E.フィッシャー、1998年12月8日発行);米国特許第6,382,979号(シェリル F.リンドクイスト(Sherrill F.Lindquist)、2002年5月7日発行);米国特許第5,098,303号(フィッシャー、1992年3月24日発行)、及び米国特許第5,855,870号(ダン E.フィッシャー、1999年1月5日発行)に開示されている。
【0071】
(任意成分)
(薄膜破壊剤)
本明細書の組成物及び方法は、安全且つ有効な量の薄膜(又は生物膜)破壊剤を所望により含むことができる。本明細書で使用する時、用語「薄膜(又は生物膜)破壊剤」は、唾液及び歯肉溝滲出液からのタンパク質類、脂質類及び糖脂質類から形成される歯の上の薄膜又は生物膜の除去又は最小化に有効な剤を意味する。薄膜破壊剤は、1つの実施形態では、本明細書の染料組成物に安全且つ有効な量で含まれ、別の実施形態では約0.01〜約20重量%の濃度、他の実施形態では組成物の約0.1重量%〜約10重量%で含まれる。このような剤としては、本明細書に記載されている抗結石剤、プロテアーゼ類、エラスターゼ類、ハロゲン化フラノン類のような酵素類等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
薄膜は、音波処理、軽石磨き、電気歯ブラシ処理、研磨練り歯磨きでのブラシ処理等で、物理的除去により除去することもできる。
【0073】
(増粘剤)
1つの実施形態において、本組成物はゲルを含む。本明細書のゲルの調製においては、幾らかの増粘材料を添加して組成物の所望の濃度をもたらし、使用の際の所望の放出特性をもたらし、貯蔵安定性をもたらし、また組成物の安定性をもたらすこと等が一般的に必要であり得る。1つの実施形態では、増粘剤は、カルボキシビニルポリマー類、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、ラポナイト並びにカルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムのようなセルロースエーテル類の水溶性の塩類を含む群から選択される。カラヤゴム、キサンタンガム、アラビアゴム及びトラガカントゴムなどの天然ゴムも使用することができる。更に質感を改善するために、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウム又は超微粒子状シリカを、増粘剤の一部として使用することができる。
【0074】
増粘剤は、高分子ポリエーテル化合物、例えば、炭素原子1〜18個を含有するアルキル又はアシル基で末端保護されたポリエチレン又はポリプロピレンオキシド(M.W.300〜1,000,000)を包含することができる。
【0075】
1つの実施形態において、増粘剤又はゲル化剤としては、ペンタエリスリトールのアルキルエーテル若しくはスクロースのアルキルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー類の部類、又はカルボマー類が挙げられる。カルボマー類は、B.F.グッドリッチ(B.F.Goodrich)からカーボポール(Carbopol)(登録商標)シリーズとして市販されている。特に好ましいカーボポール類としては、カーボポール(Carbopol)934、940、941、956、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0076】
組成物全体の約0.1重量%〜約15重量%、別の実施形態では約0.2重量%〜約6重量%、更に別の実施形態では、約0.4重量%〜約5重量%の増粘剤を本明細書で使用することができる。
【0077】
(緩衝剤)
本発明は、組成物の約0.01重量%〜約10重量%、別の実施形態では約0.1重量%〜約3重量%、他の実施形態では約0.3〜約2.5重量%の緩衝剤の濃度で、所望により緩衝剤を含む。本明細書で使用する時、緩衝剤とは、組成物のpHをpH約6.5〜pH約10の範囲に調整するために用いることができる剤を指す。これらの剤としてはアルカリ金属水酸化物類、炭酸塩類、セスキ炭酸塩類、ホウ酸塩類、珪酸塩類、ホスフェート類、イミダゾール及びこれらの混合物が挙げられる。具体的な緩衝剤には、リン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸ニ水素ナトリウム、リン酸一ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属炭酸塩類、炭酸ナトリウム、イミダゾール、ピロホスフェート塩類、クエン酸、クエン酸ナトリウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0078】
(着香剤)
着香剤も、組成物に添加されてよい。添加された染料の一部が不快な味を生じることから、香料は、本組成物の味及び審美性を強化する。さらに、香料は、歯の脱灰病変への染料の浸透も強化することがある。好適な着香剤としては、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、クローブの芽の油、メントール、アネトール、サリチル酸メチル、ユーカリプトール、1−メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、オランダセリ油、オキサノン(oxanone)、α−イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、桂皮、バニリン、チモール、リナロール、CGAとして知られるシンナムアルデヒドグリセロールアセタール、及びこれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態において、香料は、スペアミントの油、桂皮、オイゲノール、ペパーミント及びこれらの混合物から成る群から選択される。着香剤は、一般に、組成物の約0.001重量%〜約20重量%、別の実施形態では約0.1重量%〜約3重量%、更に別の実施形態では約0.8重量%〜約2重量%の濃度で組成物に使用される。
【0079】
(口腔ケア活性剤)
本発明は、抗結石剤、フッ化物イオン源、抗菌剤、象牙質減感剤、麻酔剤、抗真菌剤、抗炎症剤、選択的H−2拮抗剤、虫歯予防剤及びこれらの混合物から成る群から選択される、安全且つ有効な量の口腔ケア活性剤を含む。
【0080】
口腔ケア活性剤は、好適な量で本組成物及び方法に存在することができる。これらの濃度は当業者には既知となり、以下に開示されている。
【0081】
(虫歯予防剤及びフッ化物イオン源)
本組成物は、安全且つ有効な量の虫歯予防剤類を含んでもよい。一実施形態では、虫歯予防剤は、キシリトール、フッ化物イオン源及びこれらの混合物から成る群から選択される。フッ化物イオン源は、組成物の使用中に遊離フッ化物イオン類を提供する。一実施形態では、口腔ケア活性剤は、フッ化ナトリウム、フッ化第1スズ、フッ化インジウム、アミンフッ化物のような有機フッ化物類及びモノフルオロリン酸ナトリウムから成る群から選択される、フッ化物イオン源である。フッ化ナトリウムは、別の実施形態におけるフッ化物イオンである。米国特許第2,946,725号(ノリス(Norris)ら、1960年7月26日発行)及び米国特許第3,678,154号(ウィダー(Widder)ら、1972年7月18日発行)は、このようなフッ化物塩類、並びにフッ化物イオン源として使用できるその他のものを開示している。本組成物は、約50ppm〜約3500ppm、別の実施形態では約100ppm〜約3000ppm、他の実施形態では約200ppm〜約2,800ppm、また別の実施形態では約500ppm〜約1,500ppmの遊離フッ化物イオンを含んでもよい。
【0082】
(抗結石剤)
本発明の組成物は、安全且つ有効な量の少なくとも1つの抗結石剤を含んでもよい。この量は、一般には組成物の約0.01重量%〜約40重量%、別の実施形態では約0.1重量%〜約25重量%、さらに別の実施形態では約4.5重量%〜約20重量%、さらに別の実施形態では組成物の約5重量%〜約15重量%である。抗結石剤はさらに、本質的には組成物のその他の構成成分と適合性である必要がある。
【0083】
抗結石剤は、ポリホスフェート類及びそれらの塩類;ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)及びその塩類;ポリオレフィンスルホネート類及びそれらの塩類;ポリビニルホスフェート類及びそれらの塩類;ポリオレフィンホスフェート類及びそれらの塩類;ジホスホネート類及びそれらの塩類;ホスホノアルカンカルボン酸及びその塩類;ポリホスホネート類及びそれらの塩類;ピロホスフェート類及びそれらの塩類;ポリビニルホスホネート類及びそれらの塩類;ポリオレフィンホスホネート類及びそれらの塩類;ポリペプチド類;並びにこれらの混合物から成る群から選択される。一実施形態では、塩類はアルカリ金属塩類である。別の実施形態では、抗結石剤は、ポリホスフェート類及びそれらの塩類;ジホスホネート類及びそれらの塩類;並びにこれらの混合物から成る群から選択される。別の実施形態では、抗結石剤は、ピロホスフェート、ポリホスフェート及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0084】
(ポリホスフェート)
本発明の一実施形態では、抗結石剤はポリホスフェートである。ポリホスフェートには、いくつかの環状誘導体が存在する場合もあるが、主として直鎖状構造に配置された2つ以上のホスフェート分子から成ると一般に理解されている。直鎖状ポリホスフェート類は、(XPO3)nに相当し、式中、nは約2〜約125であり、好ましくはnは4よりも大きく、Xは、例えばナトリウム、カリウムなどである。(XPO3)nについては、nが少なくとも3である場合、そのポリホスフェート類の性質はガラス質である。これらのホスフェート類の対イオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、C2〜C6アルカノールアンモニウム及び塩の混合物であってよい。ポリホスフェート類は、一般には、カリウム塩類、ナトリウム塩類、アンモニウム塩類、及びこれらの混合物のような、全体的に又は部分的に中和されたそれらの水溶性アルカリ金属塩類として使用される。これらの無機ポリホスフェート塩類には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)トリポリホスフェート、テトラポリホスフェート、二酸ジアルキル金属(例えば、二ナトリウム)、一酸トリアルキル金属(例えば、三ナトリウム)、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウム、及びアルカリ金属(例えば、ナトリウム)ヘキサメタホスフェート、並びにこれらの混合物が挙げられる。テトラポリホスフェートよりも大きいポリホスフェート類は、普通は非晶性ガラス状物質として生じる。一実施形態では、ポリホスフェート類は、FMC社(FMC Corporation)により製造され、ソダフォス(Sodaphos)(n≒6)、ヘキサフォス(Hexaphos)(n≒13)、及びグラスH(Glass H)(n≒21)、として商業上知られているもの、並びにこれらの混合物である。本組成物は典型的に、組成物の約0.5重量%〜約20重量%、一実施形態では約4重量%〜約15重量%、さらに別の実施形態では約6重量%〜約12重量%のポリホスフェートを含む。
【0085】
上記のホスフェート源は、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)著、工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第4版、18巻、ワイリー−インターサイエンス・パブリッシャーズ(Wiley-Interscience Publishers)(1996年)、685〜707頁に更に詳細に記載されており、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)に組み込まれた全ての参考文献を含めて、それらの全てを本明細書に参考として組み込む。
【0086】
一実施形態では、ポリホスフェートは次式を有する直鎖「ガラス状」ポリホスフェート類(polyposphates)である:
XO(XPO3)nX
式中、Xはナトリウム又はカリウムであり、nの平均は約6〜約125である。
【0087】
一実施形態では、上記のポリホスフェートの式のいずれかにおいてnが少なくとも2である場合、抗結石剤の濃度は組成物の約4.5重量%〜約40重量%、別の実施形態では約5重量%〜約25重量%、さらに別の実施形態では約8重量%〜約15重量%である。ポリホスフェート類は、米国特許第4,913,895号にさらに開示されている。
【0088】
(ピロホスフェート)
本組成物に有用なピロホスフェート塩類としては、アルカリ金属ピロホスフェート類、ジ−、トリ−、及びモノ−カリウム又はナトリウムピロホスフェート、ジアルカリ金属ピロホスフェート塩類、テトラアルカリ金属ピロホスフェート塩類、並びにこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、ピロホスフェート塩は、ピロリン酸三ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム(Na2H2P2O7)、ピロリン酸二カリウム、ピロリン酸四ナトリウム(Na4P2O7)、ピロリン酸四カリウム(K4P2O7)及びこれらの混合物から成る群から選択される。ピロホスフェート塩は、米国特許第4,515,772号(パラン(Parran)ら、1985年5月7日発行)、及び米国特許第4,885,155号、(パランら、1989年12月5日発行)に記載されており、その全体並びにそれらに開示される参照文献を参考として本明細書に組み込む。ピロホスフェート塩は、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)著、工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第3版、17巻、ワイリー−インターサイエンス・パブリッシャーズ(Wiley-Interscience Publishers)(1982年)、685〜707頁に更に詳細に記載されており、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)に引用される全ての参照文献を含めて、その全体に参考として本明細書に組み込む。
【0089】
一実施形態では、本発明の組成物は、ピロリン酸四ナトリウムを含む。ピロリン酸四ナトリウムは、無水塩の形態若しくは十水和物の形態、又は本組成物中で固体形態で安定な他のいかなる種類であってもよい。塩はその固体粒子状形態にあるが、その結晶性及び/又は非晶性状態であってもよく、その塩の粒径は、好ましくは審美的に受け入れ可能であるように、また使用時に容易に溶解するように十分小さい。
【0090】
本発明の組成物におけるピロホスフェート塩の濃度は、任意の安全且つ有効な量であり、一般には組成物の約1.5重量%〜約15重量%、別の実施形態では約2重量%〜約10重量%、さらに別の実施形態では約3重量%〜約8重量%である。
【0091】
ピロホスフェート塩に代えて、又はピロホスフェート塩と組み合わせて使用する任意の剤としては、ポリアクリレート類、及び無水マレイン酸又はマレイン酸とメチルビニルエーテル(例えばガントレツ(Gantrez))とのコポリマーを含めて、例えば米国特許第4,627,977号(ガファル(Gaffar)ら)に記載のような合成アニオン性ポリマーとして知られる材料(この開示はその全体が参考として本明細書に組み込まれる)、並びに、例えばポリアミノプロパンスルホン酸(polyamino propoane sulfonic acid)(AMPS)、クエン酸亜鉛三水和物、ポリホスフェート類(例えば、トリポリホスフェート、ヘキサメタホスフェート)、ジホスホネート類(例えば、EHDP、AHP)、ポリペプチド類(ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸など)及びこれらの混合物が挙げられる。
【0092】
(抗菌剤)
抗菌性坑歯垢剤もまた、所望により本組成物に存在してもよい。そのような剤には、これらに限定されないが、トリクロサン、メルクインデックス(Merck Index)、11版(1989年)、1529頁(項目番号9573)、米国特許第3,506,720号、及び欧州特許出願第0,251,591号(ビーカム(Beecham)グループ、PLC、1988年1月7日公開)に記載のような5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−フェノール;クロルヘキシジン(メルクインデックス、番号2090);アレキシジン(メルクインデックス、番号222);ヘキセチジン(メルクインデックス、番号4624);サンギナリン(メルクインデックス、番号8320);塩化ベンザルコニウム(メルクインデックス、番号1066);サリチルアニリド(メルクインデックス、番号8299);臭化ドミフェン(メルクインデックス、番号3411);塩化セチルピリジニウム(CPC)(メルクインデックス、番号2024);塩化テトラデシルピリジニウム(TPC);N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロライド(TDEPC);オクテニジン;デルモピノール、オクタピノール(octapinol)及びその他のピペリジノ誘導体類;効果的な抗菌量の精油類及びそれらの組み合わせ、例えば、シトラール、ゲラニアール、及びメントールとユーカリプトールとチモールとサリチル酸メチルとの組み合わせ;抗菌性金属類及びそれらの塩類、例えば、亜鉛イオン類、スズイオン類、銅イオン類、及び/又はこれらの混合物を与えるもの;ビスビグアニド類(bisbiguanides)又はフェノール樹脂類;オーグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン及びメトロニダゾールのような抗生物質類;並びに上記の抗菌性抗歯垢剤の類似体類及び塩類;カンジダアルビカンスの治療のためのもののような抗真菌剤を挙げることができる。存在する場合、これらの剤は一般に、安全且つ有効な量で、例えば本発明の組成物の約0.1重量%〜約5重量%の量で存在する。
【0093】
(抗炎症剤)
抗炎症剤も、本発明の口腔用組成物中に存在してよい。このような剤には、アスピリン、ケトロラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、アスピリン、ケトプロフェン、ピロキシカム及びメクロフェナム酸、COX−2阻害剤、例えばバルデコキシブ、セロコキシブ及びロフェコキシブ、並びにこれらの混合物などの、非ステロイド性抗炎症剤を挙げることができるが、これらに限定されない。存在する場合には、抗炎症剤は一般に、本発明の組成物の約0.001重量%〜約5重量%含まれる。ケトロラクは、米国特許第5,626,838号(1997年5月6日発行)に記載されている。
【0094】
(H−2拮抗薬)
本発明は、米国特許第5,294,433号(シンガー(Singer)ら、1994年3月15日発行)に開示されている化合物を含めた、安全且つ有効な量の選択的H−2拮抗剤も含んでよい。
【0095】
(界面活性剤)
本組成物は、好適な界面活性剤も所望により含有してよい。界面活性剤は、口腔内で本組成物のより良好な分散を提供することができる。界面活性剤としては、非イオン性、アニオン性、両性、カチオン性、双極性、合成洗剤、及びこれらの混合物が挙げられる。多くの好適な非イオン性及び両性界面活性剤類が、米国特許第3,988,433号(ベネディクト(Benedict))、米国特許第4,051,234号(1977年9月27日発行)に記載されており、多くの好適な非イオン性界面活性剤類が、米国特許第3,959,458号(アグリコーラ(Agricola)ら、1976年5月25日発行)に開示されている。
【0096】
本組成物は、典型的には、安全且つ有効な量の界面活性剤を含み、別の実施形態では組成物の約0.001重量%〜約20重量%、別の実施形態では約0.05重量%〜約9重量%、さらに別の実施形態では約0.1重量%〜約5重量%の界面活性剤を含む。
【0097】
(甘味剤、冷却剤、加温剤、及び唾液分泌剤)
所望により使用できる甘味剤としては、スクラロース、スクロース、グルコース、サッカリン、デキストロース、果糖、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、フルクトース、マルトース、キシリトール、サッカリン塩類、タウマチン、アスパルテーム、D−トリプトファン、ジヒドロカルコン類、アセスルファム及びシクラメート塩類、特にシクラミン酸ナトリウム及びサッカリンナトリウム、並びにこれらの混合物が挙げられる。組成物は、好ましくはこれらの剤を組成物の約0.1重量%〜約10重量%、別の実施形態では約0.1重量%〜約1重量%、さらに別の実施形態では約0.5〜約2重量%含有する。
【0098】
本発明の組成物では、任意成分として、着香剤及び甘味剤に加え、冷却剤、唾液分泌剤、加温剤及び局部麻酔剤を使用することができる。これらの剤類は、組成物の約0.001重量%〜約10重量%、別の実施形態では約0.1重量%〜約3重量%、さらに別の実施形態では約0.5〜約2重量%の濃度で組成物中に存在する。
【0099】
冷却剤は、様々な物質のいかなるものであることもできる。このような物質としては、カルボキサミド類、メントール、ケタール類、ジオール類、及びこれらの混合物が挙げられる。本組成物に好ましい冷却剤は、「WS−3」として商業的に既知であるN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、「WS−23」として既知であるN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタナミド、及びこれらの混合物などの、パラメンタンカルボキシアミド剤である。追加の好ましい冷却剤は、メントール、高砂(Takasago)製のTK−10として既知である3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、ハーマン・アンド・ライマー(Haarmann and Reimer)製のMGAとして既知であるメントングリセロールアセタール及びハーマン・アンド・ライマー製のフレスコラト(Frescolat)(登録商標)として既知であるメンチルラクテートから成る群から選択される。本明細書で使用する時、メントール及びメンチルという用語には、これらの化合物の右旋性異性体及び左旋性異性体、並びにこれらのラセミ混合物が包含される。TK−10については、米国特許第4,459,425号(アマノ(Amano)ら、1984年7月10日発行)に記載されている。WS−3及び他の剤は、米国特許第4,136,163号(ワトソン(Watson)ら、1979年1月23日発行)に記載されている。
【0100】
本発明の唾液分泌剤としては、高砂(Takasago)製のジャンブ(Jambu)(登録商標)が挙げられる。加温剤としては、トウガラシ、及びベンジルニコチネートのようなニコチネートエステル類が挙げられる。局部麻酔剤としては、ベンゾカイン、リドカイン、クローブの芽の油、エタノール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0101】
(感応剤/麻酔剤)
止痛(anti-pain)又は減感剤も、本発明の組成物中に安全且つ有効な量で存在できる。鎮痛剤は、意識を撹乱させることなく、又はその他の感覚様相を変えることなく、痛みの閾値を上げるように中枢的に作用することによって痛みを緩和する剤である。こうした剤には、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、アセトアニリド、フェナセチン、アセルトファン(acertophan)、チオルファン、スピラドリン、アスピリン、コデイン、テバイン、レボルフェノール(levorphenol)、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、フェナゾシン、フェンタニル、ブプレノルフィン、ブタファノール、ナルブフィン、ペンタゾシン、天然の薬草、例えば没食子、アサルム、クベビン(Cubebin)、ガランガ、スクテラリア、リアングミアンツェン(Liangmianzhen)、ビャクシ(Baizhi)などが挙げられるが、これらに限定されない。アセトアミノフェン、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸トロラミン、リドカイン及びベンゾカインのような麻酔剤又は局所鎮痛剤も存在してよい。これらの鎮痛活性剤は、カーク・オスマー(Kirk-Othmer)、工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第4版、2巻、ワイリー−インターサイエンス・パブリッシャーズ(Wiley-Interscience Publishers)(1992年)、729〜737頁に、詳細に記載されている。
【0102】
(組成物の使用)
本発明は、脱灰病変を検出するための改善された診断法及び組成物に関する。本発明は、以下の利点を提供する。第一に、本発明は現在利用できる診断手順のいくつかに、より安全及び安価な代替法を提供する。本発明は、可視光線での視覚的観察のみを必要とし、脱灰病変を強調するために、(所望により使用できるが)レーザー、その他の種類の増強された光源又はX線の使用を必要としない。本発明は使用に便利でもあり、家庭で消費者によって又は歯科医院で歯科専門家によってのどちらでも使用されることができる。本発明は、種々の虫歯(予防又は治療)製品の臨床試験中に脱灰病変を検出するための手段としても機能できる。さらに、本発明は、修復中に、歯科専門家が、歯の表面のどれだけを除去するかを決定するのを補佐するために明白な虫歯病変を選択的に検出することができ、歯の健康な部分の除去を防ぐ。さらに、本発明は、早期虫歯病変の検出を提供し、症状の多少の逆転又は再石灰化が可能かもしれない時点で、再石灰化剤での早期治療を可能にする。脱灰の程度が広すぎない場合、例えば可逆である場合、病変の治療が明白な虫歯病変の形成を防止することがある。重要なことに、本発明は、フッ化物イオン類を含有する任意の口腔ケア製品の使用のような再石灰化治療の進行をより頻繁に監視するための手段として使用できる。再石灰化剤の適用又は被験者による口腔衛生技法の改善(例えば、ブラッシングの改善、デンタルフロス使用等)の後に歯のどれだけが再石灰化されているかを監視することができる。
【0103】
最後に、本発明は被験者が良好な口腔衛生技法を遵守する誘因を提供する。本発明は、進行を監視する、並びに再石灰化治療レジメンでの改善及び成功を示す「消費者に優しい」方法を提供する。これはさらに、被験者に療法の継続及び治療への準拠継続の動機を与えることができる。より良好な準拠は、不可逆の病変への進行を防ぎ、並びに穿孔、歯牙構造の除去及び病変の充填(例えば修復)を避けることができる。
【0104】
本発明の組成物及び方法は、ゲル(歯の上でブラッシングされるか又はアプリケーター若しくは指で塗布される)、粉末、スプレー、ムース、エアゾール、一体型キャリア(例えば不溶性裏材ストリップ)と共に使用される組成物、錠剤、咀しゃく錠、カプセル、液体が中心に充填された咀しゃく形態、素早く溶ける円板又は錠剤、チューイングガム、食用フィルム、口内洗浄剤、溶液などが挙げられるがこれらに限定されない、いかなる所望の形態でも、製品が歯の表面に適用される口腔に適用されてよい。リンス類、溶液類、ゲル類は、ブラシ、スポンジ、綿棒、ピペット、指、又は均一用量の組成物を送達できるその他の装置を用いて、1以上の歯の表面に適用されてもよい。
【0105】
1つの実施形態において、第1相及び第2相は1本以上の歯に同時に又は逐次的に適用される。
【0106】
逐次投与では、被験者は第1相(又は第1の染料組成物)を1本以上の歯又は口腔に、適用又は投与する。暴露が長すぎる場合、選択的着色が達成されない場合がある。そのため被験者は第1相を口腔表面、特に歯に、少なくとも5秒〜約1分、別の実施形態では約6秒〜約30秒、さらに別の実施形態では約10秒〜約20秒の間接触させる。その後、被験者は組成物を口腔から吐き出し、所望により口腔を水ですすぐ(30秒〜1分間口の中ですすぎ、その後吐き出す)。続いて被験者は第2相(又は第2の染料組成物)を口腔に適用し、該組成物を口腔表面、特に歯に、少なくとも5秒〜約1分、別の実施形態では約6秒〜約30秒、さらに別の実施形態では約10秒〜約20秒の間接触させる。その後、被験者は組成物を口腔から吐き出す。続いて被験者は口腔を水で約15秒〜約1分間すすぎ、その後吐き出す。その後、被験者又は歯科専門家が歯を視覚的に観察し、歯の脱灰病変又は脱灰の状態の程度を観察する。この手順は、治療の有効性を監視するため必要に応じて被験者又は歯科医が繰り返すことができる。一般に、使用頻度は約毎日〜約12ヶ月に1度であり、別の実施形態では約毎週〜約6ヶ月毎である。観察後、染料は一般に、ブラッシング又は例えば水でのすすぎによって歯又はその他の口腔軟組織から除去される。
【0107】
別の実施形態では、第2相が最初に適用され、第1相がそれに続いてもよいことを除き、上記の手順に従う。
【0108】
同時投与の場合、被験者は、被験者が第1相の適用後に第1相を吐き出す又は口腔をすすぐことをしない点を除き、上記の手順に従う。
【0109】
あるいは、同時投与の場合、被験者は第1相と第2相とを一緒に混合し、その後該混合物を1本以上の歯又は口腔に適用する。続いて被験者は組成物を口腔から吐き出し、約15秒〜約1分間水ですすぐ。続いて、上記のように、視覚的に観察を行う。
【0110】
各歯に対し、被験者は一般に、第1相及び第2相の各々を約1.27μm(約0.05mil)〜約127μm(約5mil)、別の実施形態では約2.54μm(約0.1mil)〜約25.4μm(約1mil)、他の実施形態では約3.81μm(約0.15mil)〜約7.62μm(約0.3mil)の量で使用する。
【0111】
1つの実施形態では、第1相(又は第1の染料組成物)を適用する前に、被験者は本明細書に記載されている方法又は剤類により、歯から歯垢又は歯石を除去する。
【0112】
食用フィルム組成物及びその製造法は、米国特許第6,419,903号(スー(Xu)ら、2002年7月16日発行、コルゲート・パルモリブ社(Colgate Palmolive Company));米国特許出願第2003/0053962号(ゼルベ(Zerbe)ら、LTSローマン(LTS Lohmann)、2003年3月20日公開);PCT国際公開特許WO02/02085A2、LTSローマン・セラピーシステム社(LTS Lohmann Therapie-Systeme AG)、2002年1月10日公開);米国特許出願第2001/022964号(ロング(Leung)ら、ワーナー・ランバート社(Warner-Lambert Company)、2001年9月20日公開);US2002/0131990(ウィリアム・リグレー・ジュニア社(Wm.Wrigley Jr.Company)、2002年9月19日公開);US2003/0054039(ジック(Zyck)ら、2003年3月20日公開、ウィリアム・リグレー・ジュニア社);及びUS2002/0127254(ラビファーム(Lavipharm));米国特許第5,948,430号、米国特許第6,284,264B1号、米国特許第6,177,096B1号(LTSローマン)に開示されている。
【0113】
菓子及びチューインガム組成物並びにその製造方法は、米国特許第5,702,687号(チャーチ&ドワイト(Church & Dwight));米国特許第4,170,632号(ゼネラル・ミルズ(General Mills));米国特許第4,151,270号(ウィリアム・リグレー・ジュニア(Wm.Wrigley Jr.));米国特許第5,306,519号(ユニバーサル・フーズ(Universal Foods));米国特許第5,194,288号(ユニバーサル・フーズ);米国特許第5,958,472号(ワーナー・ランバート(Warner Lambert));米国特許第4,931,295号(ウィリアム・リグレー・ジュニア);米国特許第5,017,385号(P&G);米国特許第5,158,789号(ICAアメリカズ(ICA Americas));米国特許第4,976,972号(ウィリアム・リグレー・ジュニア);EP453,402(ワーナー・ランバート);米国特許第4,997,654号(ワーナー・ランバート);米国特許第4,513,012号(ワーナー・ランバート);米国特許第4,513,012号(ワーナー・ランバート);米国特許出願第2003/00728 41−A1号(P&G、2003年4月17日公開)に開示されている。
【0114】
1つの実施形態において、剤形は、ゲル類、溶液類、リンス類、一体型キャリア(例えば不溶性裏材ストリップ)と組み合わされたゲル類、口腔粘膜の軟組織への染料組成物の暴露を最小限に抑えながら1本以上の歯への直接適用を提供する形態及びこれらの混合物から成る群から選択される。これらの剤形類は、1本以上の歯に直接適用されてもよい。
【0115】
不溶性裏材ストリップ類上のゲル類及びその製造方法は上に開示されている。
【0116】
本発明の組成物は、ヒト及び動物(例えば、ペット、動物園の動物、又は家畜)の両方への適用に有用である。
【実施例】
【0117】
以下の非限定的な実施例により、本発明の範囲内の実施形態についてさらに説明する。本発明の範囲から逸脱することなく、これらの例の多くの変形形態が可能である。
【0118】
(実施例I(溶液))
【0119】
【表3】
1アシッドブルー9、食用青色1号、又は食用青色2号
2アシッドレッド52
3黄色染料5
4香料は、スペアミント、オイゲノール、ペパーミント及び/又は桂皮から選択される。
【0120】
(実施例II(ゲル))
【0121】
【表4】
1アシッドブルー9、食用青色1号、又は食用青色2号
2アシッドレッド52
3黄色染料5
4香料は、スペアミント、オイゲノール、ペパーミント及び/又は桂皮から選択される。
5BFグッドリッチ(BF Goodrich)より入手可能
【0122】
上記の実施例において、第1相及び第2相は等しい部数で使用される。上記の溶液類及びゲル類は、アプリケーターブラシ、使い捨てピペット、スポンジ、綿棒、又は均一用量の組成物を送達できるその他の装置を用いて、歯の全てに塗られる。
【0123】
染料の逐次投与:
ヒト被験者は、分析する歯の各々に約2.54〜5.08μm(約0.1〜0.2mil)の第1相を分与し、それを約10〜20秒間放置する。続いて、被験者は余分な溶液又はゲルを口腔から吐き出し、所望により口腔を水で約45秒間すすぐ。被験者はその後、分析する歯の各々に2.54〜5.08μm(0.1〜0.2mil)の第2相を分与し、約10〜20秒間待つ。続いて、被験者は余分な溶液又はゲルを口腔から吐き出し、所望により口腔を水で約45秒間すすぐ。最後に、被験者は全ての歯の表面を視覚的に観察し、染料で着色された歯の表面の脱灰病変の程度を評価する。続いて、フッ化物イオンを存在させているクレスト(Crest)(登録商標)口腔保護(Cavity protection)のようなフッ化物練り歯磨きで1日に2回歯を磨いた後、被験者は該方法を6ヶ月毎に繰り返す。該方法は、治療前対治療後の脱灰病変の数を観察する手段を提供する。
【0124】
染料の同時投与:
別の方法としては、ヒト被験者は、分析する歯の各々に約2.54〜5.08μm(約0.1〜0.2mil)の第1相を分与する。被験者は第1相を歯の上に約10〜20秒間放置し、その後第1相で処置された同じ歯に約2.54〜5.08μm(約0.1〜0.2mil)の第2相を分与する。被験者は第2相を歯の上に約10〜約20秒間放置し、その後口腔を水で約45秒間すすぐ。
【0125】
次に被験者は全ての歯の表面を視覚的に観察し、染料で着色された歯の表面の脱灰病変の程度を評価する。続いて、フッ化物イオンを存在させているクレスト(Crest)(登録商標)口腔保護(Cavity protection)のようなフッ化物練り歯磨きで1日に2回歯を磨く。被験者はこの方法を6ヶ月毎に繰り返す。脱灰病変の数が減少する。該方法は、治療前対治療後の歯の脱灰病変の数の減少を観察する手段を提供する。
【0126】
「発明を実施するための最良の形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれているが、どの文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であるとの容認と解釈されるべきではない。
【0127】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】丸みのある角を有する実質的に平坦な材料のストリップの斜視図。
【図2】本明細書に記載の口腔ケア染料組成物を含む第2層組成物がストリップ上にあり、染料が一体型キャリア及び/又は本染料組成物に放出可能に結合している図1のストリップを開示する、本発明の1つの実施形態の斜視図。
【図3】材料のストリップ上にコーティングされた第2層の厚さよりも薄い材料のストリップの例を示す、図2の断面線3−3に沿って取られた断面図。
【図4】材料のストリップの浅いポケットを示す、本発明の別の実施形態を示す断面図。この浅いポケットは、ストリップにコーティングされる追加量の第2層のリザーバとして作用する。
【図5】材料のストリップを隣接する歯に適合させ、歯と材料のストリップとの間に位置する第2層組成物によって歯に接着的に取り付けられた、第2層組成物を隣接する歯に適用するための別の実施形態を示す断面平面図。
【図6】歯に適合し、歯と材料のストリップとの間に位置する第2層組成物によって歯に接着的に取り付けられた、本発明の材料のストリップを示す、図5の断面線6−6に沿って取られた歯の横断立面図。
【図7】歯及び隣接する軟組織に適合し、歯と材料のストリップとの間に位置する第2層組成物によって歯の両側に接着的に取り付けられた、本発明の材料のストリップを示す、図5に類似した断面平面図。
【図8】歯及び隣接する軟組織の両方に適合し、歯と材料のストリップとの間に位置する第2層組成物によって歯の両側に接着的に取り付けられた、本発明の材料のストリップを示す、図7の断面線8−8に沿って取られた横断立面図。
【図9】歯及び隣接する軟組織を治療するための、剥離ライナーを有する図2の第2層組成物でコーティングされた材料のストリップを開示する、本発明の別の実施形態の斜視図。
【図10】材料のストリップ上の第2層組成物によって材料のストリップに取り付けられた剥離ライナーを示す、図9の断面線10−10に沿って取られた本発明の別の実施形態の断面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱灰病変を検出するための口腔ケア組成物であって:
a.該組成物の0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜3重量%の青色染料又はその混合物を含む第1相;
b.該組成物の0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜3重量%の赤色染料若しくは黄色染料又はこれらの混合物を含む第2相;
c.安全且つ有効な量の溶媒であって、該染料が該溶媒に可溶性である;及び
d.安全且つ有効な量の香料
を含み、該組成物が脱灰病変の検出に有効であり、その際好ましくは該青色染料がアシッドブルー9、食用青色1号、食用青色2号及びこれらの混合物から成る群から選択され、好ましくは該赤色又は黄色染料がC.I.アシッドレッド52である、口腔ケア組成物。
【請求項2】
脱灰病変を歯の表面で視覚的に強調する方法又は歯の脱灰の状態を検出する方法であって、請求項1の染料組成物が、それを必要とするヒト又は動物被験者の口腔又は歯に適用される、方法。
【請求項3】
以下:
1)第1の染料組成物及び第2の染料組成物を、逐次的に、
それを必要とするヒト又は動物被験者の口腔又は歯に適用することであって、その際:
a.第1の染料組成物が該組成物の0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜3重量%の青色染料又はその混合物を含み;
b.第2の染料組成物が該組成物の0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜3重量%の赤色染料若しくは黄色染料又はこれらの混合物を含み;そして
2)染料によって着色された脱灰病変を評価するために歯を視覚的に観察することであって、その際好ましくは青色染料がアシッドブルー9、食用青色1号、食用青色2号及びこれらの混合物から成る群から選択され、好ましくは赤色又は黄色染料がC.I.アシッドレッド52である、
により脱灰病変を歯の表面で視覚的に強調する方法又はそれを必要とする被験者で歯の脱灰の状態を検出する方法。
【請求項4】
以下:
a)
1.組成物の0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜3重量%の青色染料又はその混合物を含む第1相;
2.組成物の0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜3重量%の赤色染料若しくは黄色染料又はこれらの混合物を含む第2相;
3.その際該第1相及び該第2相が安全且つ有効な量の溶媒を含み、該染料が該溶媒に可溶性であり、好ましくは該第1相及び該第2相が別々の組成物である、
を含む染料組成物;
b)歯の脱灰病変を検出するため又は再石灰化治療の有効性を監視するための使用説明書を含む脱灰病変を検出するための口腔ケアキットであって、その際好ましくは青色染料がアシッドブルー9、食用青色1号、食用青色2号及びこれらの混合物から成る群から選択され、好ましくは赤色又は黄色染料がC.I.アシッドレッド52である、
キット。
【請求項5】
前記溶媒が、プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2‐プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びこれらの混合物から成る群から選択され、好ましくは前記溶媒がプロピレングリコールである、請求項1又は4のいずれか一項に記載のキット。
【請求項6】
前記使用説明書が、前記第1相の適用前に歯から歯垢又は歯石を除去することを包含する、請求項4に記載のキット。
【請求項7】
前記組成物が、安全且つ有効な量の薄膜破壊剤、口腔ケア活性剤、緩衝剤システム、界面活性剤、及びこれらの混合物を追加的に含む、請求項1又は4のいずれか一項に記載のキット。
【請求項8】
前記使用説明書が、虫歯予防又は治療製品の使用を包含する、請求項4に記載のキット。
【請求項9】
a)
1.組成物の0.001〜10重量%の青色染料及びその混合物;
2.安全且つ有効な量の溶媒であって、該染料が該溶媒に可溶性である;
3.一体型キャリア
を含む第1の組成物、並びに
b)
1.組成物の0.001〜10重量%の赤色又は黄色染料及びこれらの混合物;
2.安全且つ有効な量の溶媒であって、該染料が該溶媒に可溶性である;及び
3.一体型キャリアであって、好ましくは該一体型キャリアが材料のストリップ又はトレイである、
を含む第2の組成物、
を含むデリバリーシステムキット。
【請求項10】
a)染料組成物
i.該組成物の0.001重量%〜10重量%の青色染料又はその混合物を含む第1相;
ii.該組成物の0.001重量%〜10重量%の赤色染料若しくは黄色染料又はそれらの混合物を含む第2相;
b)歯の脱灰病変の検出のための使用説明書
c)一体型キャリアであって、好ましくは該一体型キャリアが材料のストリップ又はトレイである、
を含むデリバリーシステムキット。
【請求項1】
脱灰病変を検出するための口腔ケア組成物であって:
a.該組成物の0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜3重量%の青色染料又はその混合物を含む第1相;
b.該組成物の0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜3重量%の赤色染料若しくは黄色染料又はこれらの混合物を含む第2相;
c.安全且つ有効な量の溶媒であって、該染料が該溶媒に可溶性である;及び
d.安全且つ有効な量の香料
を含み、該組成物が脱灰病変の検出に有効であり、その際好ましくは該青色染料がアシッドブルー9、食用青色1号、食用青色2号及びこれらの混合物から成る群から選択され、好ましくは該赤色又は黄色染料がC.I.アシッドレッド52である、口腔ケア組成物。
【請求項2】
脱灰病変を歯の表面で視覚的に強調する方法又は歯の脱灰の状態を検出する方法であって、請求項1の染料組成物が、それを必要とするヒト又は動物被験者の口腔又は歯に適用される、方法。
【請求項3】
以下:
1)第1の染料組成物及び第2の染料組成物を、逐次的に、
それを必要とするヒト又は動物被験者の口腔又は歯に適用することであって、その際:
a.第1の染料組成物が該組成物の0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜3重量%の青色染料又はその混合物を含み;
b.第2の染料組成物が該組成物の0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜3重量%の赤色染料若しくは黄色染料又はこれらの混合物を含み;そして
2)染料によって着色された脱灰病変を評価するために歯を視覚的に観察することであって、その際好ましくは青色染料がアシッドブルー9、食用青色1号、食用青色2号及びこれらの混合物から成る群から選択され、好ましくは赤色又は黄色染料がC.I.アシッドレッド52である、
により脱灰病変を歯の表面で視覚的に強調する方法又はそれを必要とする被験者で歯の脱灰の状態を検出する方法。
【請求項4】
以下:
a)
1.組成物の0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜3重量%の青色染料又はその混合物を含む第1相;
2.組成物の0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜3重量%の赤色染料若しくは黄色染料又はこれらの混合物を含む第2相;
3.その際該第1相及び該第2相が安全且つ有効な量の溶媒を含み、該染料が該溶媒に可溶性であり、好ましくは該第1相及び該第2相が別々の組成物である、
を含む染料組成物;
b)歯の脱灰病変を検出するため又は再石灰化治療の有効性を監視するための使用説明書を含む脱灰病変を検出するための口腔ケアキットであって、その際好ましくは青色染料がアシッドブルー9、食用青色1号、食用青色2号及びこれらの混合物から成る群から選択され、好ましくは赤色又は黄色染料がC.I.アシッドレッド52である、
キット。
【請求項5】
前記溶媒が、プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2‐プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びこれらの混合物から成る群から選択され、好ましくは前記溶媒がプロピレングリコールである、請求項1又は4のいずれか一項に記載のキット。
【請求項6】
前記使用説明書が、前記第1相の適用前に歯から歯垢又は歯石を除去することを包含する、請求項4に記載のキット。
【請求項7】
前記組成物が、安全且つ有効な量の薄膜破壊剤、口腔ケア活性剤、緩衝剤システム、界面活性剤、及びこれらの混合物を追加的に含む、請求項1又は4のいずれか一項に記載のキット。
【請求項8】
前記使用説明書が、虫歯予防又は治療製品の使用を包含する、請求項4に記載のキット。
【請求項9】
a)
1.組成物の0.001〜10重量%の青色染料及びその混合物;
2.安全且つ有効な量の溶媒であって、該染料が該溶媒に可溶性である;
3.一体型キャリア
を含む第1の組成物、並びに
b)
1.組成物の0.001〜10重量%の赤色又は黄色染料及びこれらの混合物;
2.安全且つ有効な量の溶媒であって、該染料が該溶媒に可溶性である;及び
3.一体型キャリアであって、好ましくは該一体型キャリアが材料のストリップ又はトレイである、
を含む第2の組成物、
を含むデリバリーシステムキット。
【請求項10】
a)染料組成物
i.該組成物の0.001重量%〜10重量%の青色染料又はその混合物を含む第1相;
ii.該組成物の0.001重量%〜10重量%の赤色染料若しくは黄色染料又はそれらの混合物を含む第2相;
b)歯の脱灰病変の検出のための使用説明書
c)一体型キャリアであって、好ましくは該一体型キャリアが材料のストリップ又はトレイである、
を含むデリバリーシステムキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2007−509033(P2007−509033A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526171(P2006−526171)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/028466
【国際公開番号】WO2005/025528
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/028466
【国際公開番号】WO2005/025528
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
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