説明

歯付きベルト

【課題】歯付きベルトの屈曲性を維持しつつ、歯元部の耐久性を向上する。
【解決手段】歯付きベルト10は、歯ゴム層11と背ゴム層12を有する。歯ゴム層11には、歯部14および歯底部がベルトの長手方向に沿って交互に形成されている。歯ゴム層11は歯表面側に設けられる表面歯ゴム層16と、背ゴム層12側に設けられる接着ゴム層17とから成る。接着ゴム層17と背ゴム層12との間には、心線30が長手方向に延在し、かつ幅方向において離間して埋設される。接着ゴム層17の一部は、心線30の間から背ゴム層12側にはみ出すように形成され、はみ出し部18を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、高負荷環境下で使用される歯付きベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関や一般産業用途の各種装置において、動力を伝達するためのベルトとして歯付きベルトが広く使用されている。内燃機関や各種装置は近年小型化され、それに伴い歯付きベルトも小型化されつつあり、これにより、歯付きベルトは、高い負荷が作用されるようになってきている。歯付きベルトは、高い負荷が作用されると、歯元部分に高い応力が作用され、その歯元部分を基点に早期に歯欠けが生じる問題がある。
【0003】
従来、例えば特許文献1に記載されるように、歯ゴム層と背ゴム層の間に接着ゴム層を設け、その接着ゴム層に心線を埋設させた歯付きベルトが知られている。この歯付きベルトにおいては、接着ゴム層に短繊維が混入されており、それにより歯元部分の剛性が高められ、早期の歯欠けが防止されている。
【0004】
上記歯付きベルトを製造するときには、予め歯形に成形された帆布に、歯ゴムシートを接合した予成形帆布が用意される。そして、加硫釜のモールドに、予成形帆布、心線、接着ゴムシート、背ゴムシートを順に巻いた後、加圧・加熱により加硫成型されて歯付きベルトが製造される。この製造過程において、接着ゴムシートは、背面側から内側に向けて加圧されることにより、心線間を通って内側に流入して、歯ゴム層に一体的に接着されると共に、その内部に心線を埋設させる。
【特許文献1】特開2005−180486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載される歯付きベルトによれば、接着ゴム層は、背面側から押されて歯ゴム層側に流れ込んでいるので、心線より背面側における接着ゴム層の厚さが比較的厚くなる。そのため、背面側のベルト剛性が高くなり、ベルトの柔軟性が損なわれるおそれがある。
【0006】
特に、接着ゴム層は、心線より背面側においてその厚さが均一に形成されるので、歯部及び歯底部のいずれにおいても、その厚さが大きくなり、歯部の歯元部分のみならず、歯底部分も柔軟性が悪くなる。しかし、ベルトは、屈曲させられるとき、比較的薄肉の歯底部が大きく曲げられることとなるので、歯底部の柔軟性が低いと、その歯底部にクラックが生じやすくなる。
【0007】
そこで、本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、ベルトの歯元部分の剛性を高めつつ、高い屈曲性を有する歯付きベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る歯付きベルトは、一方の面にベルトの長手方向に沿って歯部および歯底部が交互に形成される歯ゴム層と、歯ゴム層の他方の面に設けられる背ゴム層と、背ゴム層と歯ゴム層との境界部分において、ベルトの長手方向に延在し、かつ幅方向において離間して埋設される心線とを備え、歯ゴム層の一部は、心線の間から背ゴム層側にはみ出すように形成され、はみ出し部を構成することを特徴とする。
【0009】
はみ出し部のベルト長手方向に沿う単位長当たりの体積は、歯底部において相対的に小さくなると共に、歯部において相対的に大きくなることが好ましい。また、はみ出し部は、心線の間隔より大きく膨らんで形成され、背ゴム層側において、心線の表面に密着していることが好ましい。
【0010】
歯ゴム層は、一方の面側に設けられる表面歯ゴム層と、背ゴム層側に設けられる接着ゴム層とを備えていたほうが良い。この場合、接着ゴム層の少なくとも一部がはみ出し部を構成する。
【0011】
接着ゴム層のモジュラスは表面歯ゴム層のモジュラスより大きいほうが良い。また、例えば、接着ゴム層には、短繊維が混入されている。さらには、表面歯ゴム層には、接着ゴム層に混入される短繊維よりモジュラスの小さい短繊維が混入されていたほうが良い。
【0012】
本発明に係る歯付きベルトの製造方法は、外周に歯溝が周方向に複数並べられることにより、歯形に形成された歯付きモールドに、歯形に沿うように予め成形されたジャケットに歯ゴムシートが接合された予成形ジャケットを歯付きモールドに取り付ける予成形ジャケット取付工程と、歯ゴムシート上に心線が、隣接する心線同士が互いに離間するように周方向に巻き付けられる心線巻付工程と、心線の上に背ゴムシートを取り付けるゴム取付工程と、背ゴムシート側から内側に向けて圧力を付勢するとともに、少なくとも歯ゴムシートおよび背ゴムシートを加熱することにより、これらを加硫してベルトスリーブを成型する加硫工程を備え、その加硫工程において、歯ゴムシートの一部を隣接する心線同士の間から、心線に対して相対的に外側に流れ出させ、はみ出し部を形成することを特徴とする。
【0013】
歯ゴムシートは、帆布に接合される表面歯ゴムシートと、表面歯ゴムシートの上に取り付けられる接着ゴムシートとを含んでいたほうが良く、この場合、接着ゴムシートによってはみ出し部が形成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、歯ゴム層側から背ゴム層側にはみ出して形成されるはみ出し部を設けることにより、ベルトの歯元部分の剛性を高めつつ、高い屈曲性を有する歯付きベルトを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る歯付きベルト10を示す。歯付きベルト10は無端状ベルトであり、歯ゴム層11及び背ゴム層12により一体的にベルト本体13が形成される。
【0016】
歯ゴム層11は、その一方の面(歯表面11A)側に長手方向に沿って歯部14および歯底部15が交互に形成されている。歯ゴム層11の歯表面11Aは帆布20によって覆われる。背ゴム層12は、歯ゴム層11の他方の面側に歯ゴム層11に密着して設けられる。歯ゴム層11と背ゴム層12との境界部分には、スパイラル状に巻かれて、ベルトの長手方向に延在する心線30が埋設される。
【0017】
歯ゴム層11は、歯表面11A側に設けられる表面歯ゴム層16と、他方の面側(背ゴム層12側)に設けられる接着ゴム層17とを備え、これらは一体的に形成され、表面歯ゴム層16は接着ゴム層17を介して背ゴム層12に接着される。表面歯ゴム層16は、歯部14の中央部において、歯表面11A側に向けて凹んでおり、その凹んだ部分には接着ゴム層17が充填されている。また、接着ゴム層17は、その一部が心線30を越えて、背ゴム層12側にはみ出してはみ出し部18を形成している。
【0018】
表面歯ゴム層16、接着ゴム層17、及び背ゴム層12は、所定のゴム成分に適宜添加物が配合されたものが加硫して得られたものである。ゴム成分としては、例えば水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)、ミラブルウレタン、フッ素ゴム、シリコンゴム、又はこれらの混合物等が使用されるが、H−NBRが使用されることが好ましい。各ゴム層16、17、12のゴム成分には、同じものが使用されても良いし、異なるものが使用されても良い。また、各ゴム層のゴム成分に配合される添加物も同じものが使用されても良いし、異なるものが使用されても良い。
【0019】
表面歯ゴム層16及び接着ゴム層17には、それぞれ、短繊維40、41が略均等に無数に混入される一方、背ゴム層12には短繊維は混入されない。表面歯ゴム層16に混入される短繊維40は、接着ゴム層17に混入される短繊維41よりモジュラスが低い短繊維であって、例えばナイロン短繊維、好ましくは変性ナイロンミクロファイバーである。変性ナイロンミクロファイバーは、例えば、ナイロン繊維にポリオレフィンをグラフト共重合した共重合体から成る。接着ゴム層17に混入される短繊維41は、例えばアラミド短繊維である。
【0020】
但し、短繊維40、41は、上述した種類以外の短繊維も使用することが可能であって、例えばガラス繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維、また綿等の天然繊維を用いることも可能である。また、表面歯ゴム層16には短繊維が混入されていなくても良い。
【0021】
表面歯ゴム層16に混入される短繊維40が変性ナイロンミクロファイバーである場合、短繊維40は、表面歯ゴム層16において、ランダムに配向される。但し、短繊維40がその他の種類の短繊維である場合、所定の方向に配向されていても良い。一方、接着ゴム層17に混入される短繊維41は、実質的にベルトの厚さ方向に沿って配向される。
【0022】
接着ゴム層17は、モジュラスの高い短繊維が配合されることにより、そのモジュラスが表面歯ゴム層16及び背ゴム層12のモジュラスよりも高くなり、そのモジュラスは例えば8MPa以上である。背ゴム層12は、短繊維が混入されていないため、表面歯ゴム層16よりモジュラスが低くなり、そのモジュラスは例えば4MPa未満である。なお、表面歯ゴム層16のモジュラスは、例えば1〜9MPaである。なお、各ゴム層のモジュラスとは、後述する各ゴムシートを歯付きベルトの製造方法と同様の温度・時間条件で加硫して得られた測定用サンプルについて、例えばJIS−K6251に準拠して測定した20%モジュラスのことをいう。なお、各ゴム層において短繊維が所定の方向に配向されている場合には、モジュラスとは、そのサンプルにおいても短繊維を一方向に配向させ、その配向方向にサンプルを引っ張って測定したときの値である。
【0023】
図2は、図1におけるII−II線、図3は図1におけるIII−III線上における断面図である。図2、3に示すように、スパイラル状に巻かれた心線30は、幅方向において、隣接する心線30と離間している。また、接着ゴム層17の一部は、その幅方向に隣接する心線30の間から、背ゴム層12側にはみ出すように形成され、はみ出し部18を構成している。各はみだし部18は、隣接する心線30の間隔Wより大きく幅方向に膨らんでおり、心線30の表面の一部に密着しつつ心線30の一部を取り巻いている。これにより、各心線30は、その一部分がはみ出し部18と接着ゴム層17によって挟まれることとなる。
【0024】
図1に示すように、各はみ出し部18のベルト長手方向に沿う単位長当たりのはみ出し体積は、歯底部15において相対的に小さくなると共に、歯部14において相対的に大きくなる。すなわち図2、3に示すように、はみ出し部18は、その厚さLが歯部14において相対的に大きくなると共に歯底部15において相対的に小さくなり、歯部14の中央部において最も背面側にはみ出す。
【0025】
図4〜7は、本実施形態に係る歯付きベルトの製造方法を示すための図である。歯付きベルト10の製造においては、まず予成形ドラム51が用いられて、予成型ジャケット50が作製される。
【0026】
図4に示すように、予成形ドラム51の外周には周方向に交互に歯溝52及び凸部55が設けられ、その外周の一部には歯付きローラ53が係合させられる。歯付きローラ53には予成形ドラム51の歯溝52と協働する歯部54が設けられる。予成形ドラム51及び歯付きローラ53はそれぞれ矢印A及びBに示す方向に回転させられる。
【0027】
帆布20は予成形ドラム51の外周の一部を取り巻くように予成形ドラム51に供給されて歯付きローラ53との係合領域に導入される。ここで、帆布20は双方の凸部55及び歯部54の協働作用により凹部20Aと凸部20Bが交互に形成されたコルゲート状に予成形される。
【0028】
図5に示すように、予成形ドラム51の外周の一部にはスチールバンド57が適当な押圧力で予成形ドラム51の周速度と同じ速度で走行させられる。予成形ドラム51とスチールバンド57との間には表面歯ゴムシート16’、接着ゴムシート17’が重ねられて、歯ゴムシート11’として供給される。また、予成形後の帆布20も、予成形ドラム51の外周に取り巻いた状態で、スチールバンド57の下側まで供給される。
【0029】
予成形ドラム51とスチールバンド57との間において、歯ゴムシート11’は、予成形後の帆布20の上に積層されて一体化され、帆布20に歯ゴムシート11’が接合された予成形ジャケット50が得られる。なお、表面歯ゴムシート16’、接着ゴムシート17’それぞれは、加硫成型後歯付きベルト10において、表面歯ゴム層16、接着ゴム層17に成る。表面歯ゴムシート16’には短繊維40がランダムに配向されて混入されると共に、接着ゴムシート17’には短繊維41が周方向に沿って配向されている。
【0030】
上記スチールバンド57の押圧により、予成形ジャケット50において、ゴムシート16’、17’は、帆布20の凹凸に沿って変形し、凹部20A内部において相対的に厚く、凸部20B上において相対的に薄くなる。これにより、予成形ジャケット50には歯部14’と歯底部15’とが交互に形成されている。
【0031】
また、歯表面ゴムシート16’は、歯部14’の中央部において、帆布20の形状に沿うように、ドラムの内側に凹んで凹部16Aを形成する。そして、その凹部16Aの内部には、接着ゴムシート17’が、ドラムの周方向に対して内側に傾けられるように変形して、凹部内部に充填される。したがって、接着ゴムシート17’の内部に混入された多数の短繊維41は、その傾きに合わせて周方向に対して内側に傾いて配向され、凹部16A内部の先端部近傍においては周方向に対して略垂直(ベルトの厚さ方向)に配向される。
【0032】
予成形ジャケット50は所定長さに順次切断された後、図6に示すように、帆布20側が内側を向くように円筒状の歯付きモールド60の外周に巻きつけられる。歯付きモールド60は、その外周面に歯溝61が、周方向に等間隔で複数並べられて歯形に形成される。予成形ジャケット50は、歯付きモールド60の歯形に沿うように予成形されている。したがって、予成形ジャケット50は、歯付きモールド60に巻き付けられるとき、その歯部14’が歯溝61内に配置されると共に、歯底部15’が歯溝61間の凸部62の上に配置される。なお、歯部14’の体積は、ベルト成型に使用される部分の歯溝61内部の体積より大きく、歯部14’は歯溝61内部から外周側に溢れ出ている。
【0033】
続いて、予成形ジャケット50(すなわち、接着ゴムシート17’)の上に心線30が、隣接する心線30同士が所定の隙間を置くように、スパイラル状に周方向に沿って巻き付けられる。次に、心線30の上にさらに、加硫成型後背ゴム層12と成る背ゴムシート12’が巻き付けられる。
【0034】
これらのゴムシート等が取り付けられた歯付きモールド60は、加硫釜(図示せず)内に収容される。加硫釜内は、例えば蒸気により所定温度に加熱した状態に保たれるとともに、加硫釜内に設けられた加硫バッグ等によってモールド60の外周側から内周側に向けて圧力が付勢される。上記蒸気加熱によりゴムシート11’、12’は流動性を増し、また、帆布20、ゴムシート11’、12’及び心線30は加圧により内側に押圧される。したがって、帆布30は、歯付きモールド60の外周形状に一致した形状に成形されると共に、歯ゴムシート11’もその帆布30に沿うように内側に流入される。
【0035】
ここで、予成形ジャケット50における、各歯部14’の体積は、各歯溝61内部の体積より大きく、接着ゴムシート17’は歯溝61内から溢れている。したがって、心線30が加圧により内側に移動すると、接着ゴムシート17’の一部は、歯溝61内に入ることができず、隣接する心線30の間に形成された隙間から、心線30に対して相対的に外側に向けて流れ出ることとなる。この流れ出た接着ゴムシート17’の一部は、図7に示すように、はみ出し部18を形成することとなる。
【0036】
なお、上述したように、歯部14’における接着ゴムシート17’は、歯底部15’における接着ゴムシート17’より厚い。したがって、心線30の外側に向けて流れ出す接着ゴムシート17’の量は、歯部14’において相対的に多くなると共に、歯底部に15’においては相対的に少なくなる。したがって、はみ出し部18の厚さLは、歯部14’において相対的に大きくなる一方、歯底部15’において相対的に小さくなる。
【0037】
また、接着ゴムシート17’が相対的に外側に流れ出るとき、短繊維41も外側に流れ出され、接着ゴムシート17’の流れに合わせて、その短繊維41の長手方向がその流れ出る方向に向けられる。したがって、接着ゴムシート17’において、すでにベルトの厚さ方向に配向されていた凹部16A先端部付近の短繊維41以外の短繊維41も、この流入時にゴムシート17’のベルトの厚さ方向に配向させられる。
【0038】
加圧加熱が進むと、ゴムシート16’、17’、12’は、加硫させられ、表面歯ゴムシート16’および背ゴムシート12’は、接着ゴムシート17’を介して加硫接着させられる。これと共に、表面歯ゴムシート16’が帆布20に加硫接着され、これにより加硫成型されたベルトスラブ10’が得られる。ベルトスラブ10’は、歯付きドラム60から取り外され研磨後裁断されることにより、歯付きベルト10(図1参照)が得られる。
【0039】
以上のように、本実施形態においては、歯付きベルト10において、心線30が相対的に剛性の高い接着ゴム層17によって取り囲まれている。したがって、歯付きベルトの歯元部の強度が向上し、歯付きベルトの歯欠け等による破断は有効に防止される。また、相対的に剛性の高い接着ゴム層17は、歯部14においては厚肉に、歯底部15においては薄肉に形成され、歯底部15の柔軟性が相対的に良好になる。したがって、ベルトはプーリに装着されるとき屈曲されて装着され、それに伴いベルトの歯底部15が大きく曲げられるが、その曲げられたことによって、歯底部15にクラック等が生じることはない。
【0040】
また、接着ゴム層の短繊維が配向するベルトの厚さ方向は、ベルト回転時、ベルトの歯元部に作用する負荷方向と同一であるので、それによりベルトの耐久性が向上する。さらに、背ゴム層には短繊維が混入されていないので、背ゴムからのクラックは生じにくい。さらには、本実施形態では、高モジュラスの接着ゴム層で、心線が取り巻かれているので、アンカー効果により接着ゴム層と心線との接着強度を高めることができる。一方、表面歯ゴム層のモジュラスは、相対的に低いので、歯表面でのクラックの発生、及びプーリとの噛み合い時における騒音の発生も防止される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る一実施形態に係る歯付きベルトの側面図である。
【図2】図1におけるII−II線上に沿う横断面図である。
【図3】図1におけるIII−III線上に沿う横断面図である。
【図4】帆布が予成形される様子を示す縦断面図である。
【図5】予成形された帆布に歯ゴムシートが接合される様子を示す縦断面図である。
【図6】歯付きモールドに予成形ジャケット、心線、背ゴムシートが取り付けられたときの様子を示す縦断面図である。
【図7】加硫成型後の歯付きモールドの様子を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0042】
10 歯付きベルト
11 歯ゴム層
12 背ゴム層
14 歯部
15 歯底部
16 表面歯ゴム層
17 接着ゴム層
18 はみ出し部
20 帆布(ジャケット)
30 心線
40、41 短繊維
50 予成形ジャケット
11’ 歯ゴムシート
12’ 背ゴムシート
16’ 表面歯ゴムシート
17’ 接着ゴムシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面にベルトの長手方向に沿って歯部および歯底部が交互に形成される歯ゴム層と、
前記歯ゴム層の他方の面に設けられる背ゴム層と、
前記背ゴム層と歯ゴム層との境界部分において、ベルトの長手方向に延在し、かつ幅方向において離間して埋設される心線とを備え、
前記歯ゴム層の一部は、前記心線の間から背ゴム層側にはみ出すように形成され、はみ出し部を構成することを特徴とする歯付きベルト。
【請求項2】
前記はみ出し部のベルト長手方向に沿う単位長当たりの体積は、前記歯底部において相対的に小さくなると共に、前記歯部において相対的に大きくなることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
【請求項3】
前記はみ出し部は、前記心線の間隔より大きく膨らんで形成され、前記背ゴム層側において、前記心線の表面に密着していることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
【請求項4】
前記歯ゴム層は、前記一方の面側に設けられる表面歯ゴム層と、前記背ゴム層側に設けられる接着ゴム層とを備え、
前記接着ゴム層の少なくとも一部が前記はみ出し部を構成することを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
【請求項5】
前記接着ゴム層のモジュラスが前記表面歯ゴム層のモジュラスより大きいことを特徴とする請求項4に記載の歯付きベルト。
【請求項6】
前記接着ゴム層には、短繊維が混入されることを特徴とする請求項5に記載の歯付きベルト。
【請求項7】
前記表面歯ゴム層には、前記接着ゴム層に混入される短繊維よりモジュラスの小さい短繊維が混入されることを特徴とする請求項6に記載の歯付きベルト。
【請求項8】
外周に歯溝が周方向に複数並べられることにより、歯形に形成された歯付きモールドに、前記歯形に沿うように予め成形されたジャケットに歯ゴムシートが接合された予成形ジャケットを前記歯付きモールドに取り付ける予成形ジャケット取付工程と、
前記歯ゴムシート上に心線が、隣接する心線同士が互いに離間するように前記周方向に巻き付けられる心線巻付工程と、
前記心線の上に背ゴムシートを取り付けるゴム取付工程と、
前記背ゴムシート側から内側に向けて圧力を付勢するとともに、少なくとも前記歯ゴムシートおよび背ゴムシートを加熱することにより、これらを加硫してベルトスリーブを成型する加硫工程を備え、
前記加硫工程において、前記歯ゴムシートの一部を前記隣接する心線同士の間から、前記心線に対して相対的に外側に流れ出させ、はみ出し部を形成することを特徴とする歯付きベルトの製造方法。
【請求項9】
前記歯ゴムシートは、前記帆布に接合される表面歯ゴムシートと、前記表面歯ゴムシートの上に取り付けられる接着ゴムシートとを含み、前記接着ゴムシートによって前記はみ出し部を形成することを特徴とする請求項8に記載の歯付きベルトの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−127816(P2009−127816A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306315(P2007−306315)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000115245)ゲイツ・ユニッタ・アジア株式会社 (101)
【Fターム(参考)】