説明

歯漂白用光照射装置

【課題】歯髄または周辺の歯肉などに熱作用による疼痛や炎症などを起こすことなしに安全に、より短い時間で、漂白中に長時間、開口を避けられ、トレーを作成することなしに即日漂白を可能とし、被施術者間の相互感染を防ぐ安全性が確保された光照射装置とする。
【解決手段】レーザまたはLEDの照射部に温度センサーを有し、また照射装置内の冷却部により光源の発熱を除熱し、光照射による歯の温度上昇を制御できるマウスピース型の光照射装置と、それに装着される歯型がとれる低硬度の水性ジェルを含んだ交換容易な光照射装置に装着される光透過性のジェルパックである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯漂白を促進するマウスピース型の光照射装置であり、口腔審美に属する歯漂白の技術に関するものである。
【0002】
【特許文献1】特許公開2006−21040
【特許文献2】特許公開2003−227974
【背景技術】
【0003】
過酸化水素、過酸化尿素などの漂白剤を含むジェルなどによる医院での、または家庭での歯の漂白は国内外で行われている。こられの漂白剤が塗布された歯にUV,ブルー、赤外の波長の光を照射することにより漂白が促進されより短い時間で施術が完了することもよく知られている。その促進の機序は歯の着色部が光を吸収し発熱し酸化反応が促進されるとことによる。したがって光強度が高いほど漂白はより促進されるが歯の温度が高すぎると歯髄または周辺の歯肉などに対して熱作用による疼痛や炎症をおこすこともありうる。通常の漂白用の照射装置には口腔外から照射する装置が普及しているが漂白中に長時間、開口器で口をあけている状態が強いられる。照射前に印象材で歯型をとり歯型にあうトレーを作成しそのトレーに漂白剤を充填して歯にはめこみ酸化漂白をおこなう。したがってトレーを作成する手間がかかり漂白の手順の複雑化とコスト高を招いている。マウスピースタイプのものでは個人用であればよいが医院用であればマウスピースが口腔内に留置されるためマウスピースを滅菌するか、マウスピースを覆う使い捨てのドレープなどで被施術者間の相互感染を防いでいる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第一に歯髄または周辺の歯肉などに熱作用による疼痛や炎症などを起こすことなしに安全に、より短い時間で歯の漂白を可能とする。第二に漂白中に長時間、開口器で口をあけている状態を避けマウスピース型の光照射装置とする。第三にトレーを作成することなしに即日漂白を可能とさせる。第4に患者間の相互感染を防ぐ安全性が確保された光照射装置とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するための第一の発明は、歯漂白のためのレーザまたはLEDによるマウスピース型の光照射装置において熱伝導性のよい透光性樹脂、あるいはゴムで充填された照射部に温度センサーを有し、また照射装置内に冷却チャンバーを有し、チャンバーに冷却液体が循環することによりレーザまたはLEDの発熱を除熱し、光照射による歯の温度上昇を制御できるマウスピース型の光照射装置である。
第二の発明はマウスピース型の光照射装置を滅菌することなしに光を透過、散乱し、熱伝導性がよく、歯型がとれ、その形状が保持できる程度の低硬度の水性ジェルを含んだ交換容易なジェルパックである。
【発明の効果】
【0006】
第一に歯髄または周辺の歯肉などに熱作用による疼痛あるいは炎症を起こすことなしに安全に、より短い時間で漂白を可能とし漂白の施術コストを削減し被施術者の施術快適性を向上させることができる。第二に漂白中に長時間、開口器で口をあけている状態を避け施術コストを削減し被施術者の施術快適性を向上させることができる。第三にトレーを作成することなしに即日漂白を可能とし手順を単純にして施術コストと施術の利便性を向上させることが可能となる。第四に被施術者間の相互感染を防ぎマウスピース型の光照射装置の滅菌作業をさけることで安全性と施術準備を単純にすることができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
マウスピース型の光照射装置は歯面側に1の青色のLED光源と3の温度センサーを有し2の熱伝導性のよい透光性ゴムで充填され機密性を有している。LED光源、温度センサーの電源ケーブル、センサーケーブルは6のチューブで12の温度制御装置と13の光源電源に接続されている。
マウスピース型の光照射装置は、7の冷却チャンバーを有する。冷却チャンバーには5のチューブを経由して冷却液体が循環されている。冷却液体は14のラジエータ、15のファンにより冷却される。16の循環させるポンプは温度制御器により冷却液体の循環のON・OFFい温度制御を行う。マウスピース型の光照射装置に覆って取り付けられるジェルパックは8の水性ジェルコンパートメントとマウスピース型の光照射装置を覆う9の袋部から構成されている。水性ジェルは水溶液性の増粘剤により低硬度に調整されており、噛むことで形状変化し、保持できる硬度を有している。ジェルパックの袋部にマウスピース型の光照射装置を挿入することで簡単に着脱できる。9の袋状の部位がマウスピース型の光照射装置に覆いかぶされ、8の水性ジェルコンパートメント部が11の歯で噛まれて変形し歯型がとれる。この歯型の部位に10の漂白剤が充填され再び口腔内に留置され光照射による漂白が施術される。ジェルパックは口腔内で舌の動きを妨げないテーパー上の形状となっている。
【0008】
<他の実施形態>
光源として半導体レーザが使用できる。半導体レーザはLEDと同様、マウスピース型の光照射装置に設置できる小型の発振器が望ましい。また口腔外の唇、顔などに照射する場合、光照射装置の形状はマウスピース型とは異なる形状となる。ジェルパックは歯の漂白では覆いかぶせる袋部を有する必要はなく水性ジェルコンパートメント部のみでよい。水性ジェルコンパートメント部はマウスピース型の光照射装置に取り付けられるものとは異なる形状となる。水性ジェルの硬度は唇、顔の軟組織に合わせマウスピース型の光照射装置に取り付けられるものより低硬度となる。
【実施例】
【0009】
LEDは1個あたり450ナノメータの青色波長で1500mwの出力を有する。4個の青LEDと白金温度センサーは熱伝導性接着剤によりマウスピース型の光照射装置にマウントされている。LEDの発熱はマウスピース型の光照射装置が冷却されると除熱される。これらLEDと白金温度センサーは熱伝導性のよい透光性シリコンゴムで充填され光照射部は防水の機密性を有している。温度センサーは歯面温度を反映する温度をモニターし、歯面の温度制御をしながら光照射を可能としている。歯面温度が安全な42度Cを超えないような温度設定がされている。LED光源、温度センサーの電源ケーブル、センサーケーブルは耐水チューブで温度制御装置と光源電源に接続されている。
LED光源およびマウスピース型の光照射装置全体は熱伝導性が高いアルミニウム製であり、内部の冷却チャンバーにより冷却される。冷却チャンバーには冷却液体が循環されている。冷却液体はラジエータ、ファンにより冷却される。ポンプは温度制御器により設定温度を保つように冷却液体の循環のONとOFFを行う。マウスピース型の光照射装置に覆って取り付けられるジェルパックは伸縮性のあるポリエチレンの薄膜材質からなり、内部に水性ジェルコンパートメントを有している。ジェルパックのジェルコンパートメントは水性ジェルが漏れないよう溶着シールされている。水性ジェルはジェル化したときに光を透過するカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの増粘剤を使用する。ジェルは光透過性、熱伝導率の良好な石英、サファイア粉末を重量で1%未満を含有している。粉末は光を反射し水性ジェルに均一に分散させるため光の波長より長い1−10ミクロンの粒子径である。マウスピース型の光照射装置に装着された水性ジェルパックの水性ジェルコンパートメント部が噛まれて変形し歯型がとれる。ジェルパックが装着されたマウスピース型の光照射装置は一度取り出され、歯型の部位に過酸化水素、過酸化尿素などの漂白剤が充填され再び口腔内に留置され歯型部位に歯をはめ込み、光照射による漂白が施術される。ジェルパックは口腔内で舌の動きを妨げないテーパー上の形状となっている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】マウスピース型の光照射装置の外観図である。
【図2】マウスピース型の光照射装置の透視図である。
【図3】マウスピース型の光照射装置が口腔内に設置された様子である。
【図4】ジェルパックの外観図である。
【図5】マウスピース型の光照射装置を稼働させるための電気、流体の系統図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯漂白のためのレーザまたはLEDによるマウスピース型の光照射装置において熱伝導性のよい透光性樹脂、あるいはゴムで充填された照射部に温度センサーを有し、また照射装置内に冷却チャンバーを有し、冷却液体の循環によりレーザまたはLEDの発熱を除熱し、光照射による歯の温度上昇を制御できるマウスピース型の光照射装置
【請求項2】
上記請求項1の装置に覆いかぶせることができ、光マウスピースを滅菌することなしに光を透過、散乱し、熱伝導性が良く、噛んだときに歯型がとれる程度の硬度を有する水性ジェルを有するジェルパック
【請求項3】
上記請求項2のジェルパックにおいて水溶性で光透過性の高い増粘剤、水、光透過性があり熱伝導率の高い無機結晶粉末からなる水性ジェル材質

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−217983(P2011−217983A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91096(P2010−91096)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(304042009)ナノオプテック有限会社 (6)
【Fターム(参考)】