説明

歯科用治療椅子

【課題】歯科診療状態における患者の脚部圧迫部位の負担を軽減する歯科用治療椅子を提供する。
【解決手段】バックレスト、座面、レッグレスト及びヘッドレストを備えた前折れタイプの歯科用治療椅子において、レッグレストクッション材質より低硬度材質のクッションをレッグレスト先端部近傍に凸状に設けたことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科診療状態における患者脚部の圧迫部位の負担を軽減する歯科用治療椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者が歯科用治療椅子の乗り降りのし易い高さは床からの座面最低位が450mm前後である。そのため、座面最低位を確保するために前折れタイプの歯科用治療椅子はレッグレストが短くなっている。
【0003】
歯科診療状態において、診療のために患者7を歯科用治療椅子5に着座させバックレスト1をX方向へ倒すことで、連動してレッグレスト3がY方向へ回動し図5の診療状態となるが、レッグレストが短いため、図5に示すように患者7の身長が170cmと仮定すると患者7の踵8はレッグレスト3から飛び出した状態となる。患者自身の脚部の重みは先端部ほど重く、レッグレストが短く患者の踵8がレッグレスト3から飛び出していると先端部での圧迫が大きくなり、苦痛を伴う事がある。
また、レッグレスト3から患者脚部が飛び出すことにより脚部が不安定になっていた。そのためレッグレストを伸縮自在に長さ調節できる歯科用治療椅子が提供されている。
【特許文献1】実開昭58−95823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1ではレッグレストを伸縮させるために油圧シリンダ等の駆動機構を設ける必要があり、高価となっていた。
また、既に歯科医院に設置されている歯科用治療椅子には適用することができず、歯科医師は歯科用治療椅子を買い直さなければならなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明について記載する。
請求項1に係る発明はバックレスト、座面、レッグレスト及びヘッドレストを備えた前折れタイプの歯科用治療椅子において、レッグレストクッション材質より低硬度材質のクッションをレッグレスト先端部近傍に凸状に設けたことを特徴としている。
【0006】
請求項2に係る発明は請求項1において、クッションをレッグレストに着脱自在とすることを特徴としている。
【0007】
請求項3に係る発明は請求項1から請求項2において、クッションが高弾性材質からなることを特徴としている。
【0008】
請求項4に係る発明は請求項1から請求項2において、クッションが低反発材質からなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レッグレストクッション材質よりも低硬度材質のクッションをレッグレスト先端部近傍に凸状に設けることにより、低硬度材質のクッションが沈み込みながら患者脚部のふくらはぎから踵の部分に接触することで患者脚部荷重を分散して支えることになり、脚部にかかる圧迫を軽減することが可能となる。
【0010】
さらに、クッションがレッグレストクッション材質よりも低硬度材質であるため、患者脚部にそってクッションが沈み込むことで、患者脚部を左右から支えるため、レッグレストから踵が飛び出していても脚部を安定させることができる。
【0011】
また、レッグレストを伸縮させる駆動機構を必要とせず、廉価であり、さらにレッグレストクッション材質よりも低硬度材質のクッションをレッグレストに着脱自在に取り付けることが可能となるため、従来からある歯科用治療椅子にも適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明の最良の形態について図面に基づき説明する。
第1の実施形態について説明する。
図1に示すように、バックレスト1、座面2、レッグレスト3及びヘッドレスト4を備えた前折れタイプの歯科用治療椅子5の患者導入時の図である。
床面6から座面2までの高さは最低座位の450mm前後となっており患者が歯科用治療椅子5に側方または前方から着座しやすいようになっている。
【0013】
図4に示すようにレッグレスト3の先端部近傍10にクッション11を一体となるように凸状に形成させる。
前記クッション11の硬度は耐圧分布計測に基づき、レッグレスト3のクッション13の材質よりも低硬度材質のクッション、ここでは低硬度の高弾性材質のクッション11とし、患者7のふくらはぎから足首の荷重がレッグレスト3のクッション13と低硬度の高弾性材質のクッション11に分散してあたるよう設定する。
【0014】
診療のために患者7を歯科用治療椅子5に着座させバックレスト1をX方向へ倒すことで、連動してレッグレスト3がY方向へ回動し図2の診療状態となる。
この時、前記凸状形状の低硬度の高弾性材質のクッション11部分が沈み込みながら患者のふくらはぎから足首まで患者脚部の荷重を支えることができ、図5に示した圧迫されていた患者7の足首部分9が保護され苦痛を軽減できる。
さらに、患者が脚部を動かした場合でも、低硬度の高弾性材質のクッションが患者脚部の動きに沿って動くため、患者脚部の安定性がよくなる。
【0015】
第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態に用いた低硬度の高弾性材質のクッション11のかわりに、低硬度の低反発材質からなるクッションとすることで、安定性はやや劣るが、低硬度の低反発材質のクッション部分が患者のふくらはぎから足首までの荷重を足に沿ってより均一に受けるため、圧迫による苦痛は更に軽減する。
【0016】
第3の実施形態について説明する。
図3に示すように低硬度材質のクッション11は装着用ベルト12を設け、レッグレスト3に装着する。
【0017】
レッグレスト3にクッション11を装着する方法は、レッグレスト先端部近傍10に着脱自在なクッション11を置き、ゴム状に伸縮自在な装着ベルト12をレッグレスト3の後方へまわしこみ固定することで可能となる。
なお、固定方法は上記に限定されず、例えばマジックテープのような面ファスナやマグネット等を用いてもよい。
また、本実施例のクッション11断面形状は縦断面が半円形状であったがこれに限定されず、半楕円、台形、四角形、三角形、患者脚部形状に沿った曲線からなる断面形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の患者導入時の歯科用治療椅子を示す概略構成図。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す概略構成図。
【図3】本発明の第3の実施形態を示すクッション設置部拡大図。
【図4】本発明の第1の実施形態を示すクッション設置部拡大図。
【図5】従来の歯科用治療椅子を示す概略構成図。
【符号の説明】
【0016】
1 バックレスト
2 座面
3 レッグレスト
4 ヘッドレスト
5 歯科用治療椅子
6 床面
7 患者
8 患者の踵
9 圧迫部位
10 レッグレスト先端部
11 クッション
12 装着ベルト
13 レッグレストのクッション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックレスト、座面、レッグレスト及びヘッドレストを備えた前折れタイプの歯科用治療椅子において、レッグレストクッション材質よりも低硬度材質のクッションをレッグレスト先端部近傍に凸状に設けたことを特徴とする歯科用治療椅子。
【請求項2】
前記クッションをレッグレストに着脱自在とすることを特徴とする請求項1記載の歯科用治療椅子。
【請求項3】
前記クッションが高弾性材質からなることを特徴とする請求項1乃至請求項2記載の歯科用治療椅子。
【請求項4】
前記クッションが低反発材質からなることを特徴とする請求項1乃至請求項2記載の歯科用治療椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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