説明

歯科補綴を製造する方法

【課題】
セラミック材料による歯補綴の幅広いスペクトルを一度に可能とするシステムを基礎とする方法を提案すること。
【解決手段】
セラミック材料からブリッジ架台、キャップ、インプラントなどのような歯科補綴を製造する方法では、製造は少なくとも一つのCAD/CAM−加工ステーションによって実施される。加工すべきセラミック材料は焼結されていない或いは最終焼結されていない未加工品(3)から成り、歯科補綴への未加工品の加工は未加工品の平行な或いはほぼ平行な面と直角に或いはほぼ直角に行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、請求項1と14の上位概念による歯科補綴(再構成)を製造する方法に関する。この発明は、請求項15の上位概念による歯科補綴を製造する加工ステーション並びに請求項17の未加工品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(国際特許出願公開第99/47065号明細書)から、少なくとも一つの予め準備された歯残根に適合できる人工歯冠及び/又は歯ブリッジを製造する方法と未加工品が公知になっていた。歯冠及び/又は歯ブリッジの基礎架台の正モデルの三次元内外表面は走査されて計数化される。検出されたデータは焼結収縮を正確に補償する要因だけあらゆる立体方向に直線的に増大され、制御電子部において多孔性セラミックから未加工品を加工する少なくとも一つの加工機械に伝達され、それから適した工具路に引き出される。工具用の制御指令によって計数化により時間的に離脱された材料は、正モデルの増大された実施形態が形成するまで、未加工品から取り去られる。この増大された基礎架台は直接最終寸法をもつ基礎架台に焼結される。この場合には、未加工品の製造のために粉末或いはコロイドはセラミック成形の公知の方法によって生の未加工品に加工される。さらに、この印刷物は、未加工品の仕上げ技術的理由から、シリンダ或いは直方体のような幾何学的に簡単な構成形態が準備されることをさらに強調する。
【0003】
首尾一貫して、技術的取扱いに対する教示はこの印刷物から二つの軸間に回転可能に装着されるシリンダ状或いは直方体状未加工品に基づいている。これら未加工品は製造理由から短い長さを有するので、それら未加工品は単に若干の部材から成る若干の歯補綴のためにのみ良好であるよう適している。さらに、ここで、加工はこのシリンダ状或いは直方体状未加工品の長手方向軸線と垂直な面にて行われ、それは、特に未加工品がシリンダ状形状であるときに、セラミック材料の膨大な解体や加工工具の摩耗を必然的に生じることが明白である。さらに、そのような未加工品の加工がより大きいフライス時間を必要とする。そのような重要な制限は著しい程度にここに提案された技術の受け入れを低下させる。
【特許文献1】国際特許出願公開第99/47065号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、この発明は解決策を提供する。この発明の課題は、請求項において特徴とするように、前記欠点をみんな一緒に且つ持続的に除去できる方法を提案することである。特に、課題としてここで、セラミック材料による歯補綴の幅広いスペクトルを一度に可能とするシステムを基礎とする方法を提案することが取り扱われ、この場合にはこの歯補綴は方法に付属するソフトウエアとハードウエアの最も簡単な操作によって低い原価にて製造されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのように見て、この発明の第一接合装置は、歯科補綴に加工するセラミック材料の用意に関し、その構成がまさに先行技術を制限する可能性を除去できる。この発明によるセラミック材料は円板或いはパック状未加工品から成り、その未加工品は一方では完全等静止或いはほぼ等静止プレスにおいて生じるプレス加工品から得られる。完全等静止或いはほぼ等静止プレスによって得られたプレス加工品は、円筒状或いはほぼ円筒状形状であり、比較的大きい直径、特に50mmより大きい場合には、その軸線と直角により多い数の異なる厚さの円筒状未加工品が平行切断技術で分離されることができるように、比較的大きい長さを有する。本来、未加工品は可変直径と厚さの丸い或いはほぼ丸い円板或いは可変外部寸法と厚さのその他の幾何学外形から成り立つ。
【発明の効果】
【0006】
完全等静止プレス加工品は、あらゆる方面の圧力は、即ち円筒状或いはシリンダ状プレス加工品への方向に及ぼされ、それによってセラミック材料の最大均質内部密度が全加工面上に達成されることを特徴とする。この価値の高い均質性は、次の最終焼結処理が製造された歯補綴では、歯補綴が未加工品のどの領域に由来するの否かとは無関係に、正確に予定できる収縮を特徴とする利点を有し、この収縮は最終製品の正確な寸法安定性を下げる。
【0007】
さらに、この発明によると、円板状未加工品が歯科補綴へのその加工前に定義された焼結されていない形態に形成するか、或いは所定の基準により、最終焼結されていない未加工品として加工されるように、まず最初に熱的に処理される。未加工品の均質に形成された物理的構造は、この最終焼結処理がセラミック材料の絶対比重までに導かれるか、或いは必要に応じてその下に留まることと無関係に、収縮が最終焼結処理では製造された歯補綴との関係で正確に前もって確定していると仮定できる。
【0008】
この発明の本質的利点は、未加工品の大きい面が難なく14部材のブリッジ架台にまでに達する大きい歯科補綴を収容でき、多くの補綴の加工的収容が一度で可能であるので、そのような未加工品によってより長いフライス作業が材料交換なしに可能であることが明らかであることである。装備変更時間が多数の補綴に分割され、それはそれぞれにこの製品の製造価格に極度に積極的に影響を与えることが明らかである。
【0009】
この発明の別の本質的利点は、行うべき加工の最適計画がいつも、未加工品の既にかなり加工された場合にて追加としても、可能であるように、未加工品の最大直径が弓形領域にて材料をより良く利用できることにある。
【0010】
この発明の別の本質的利点は、再構成に応じて種々の未加工品の厚さが使用されることができる、例えば薄い未加工品はキャップに、厚い未加工品はブリッジ架台に使用されることにある。
【0011】
この発明の別の本質的利点は、未加工品の等級によって最終焼結処理において期待すべき収縮についての正確な予想が成されることにある。
【0012】
基本的に、この発明の本質的利点は、上記に既に示されたように、加工が今や円筒状或いは直方体状未加工品の範囲にて行われなく、むしろこの発明による円板状未加工品の板状面において実施され、それによってこの発明による未加工品の場合には、円筒状或いは直方体状未加工品と比べて僅かな材料しか取り除かれる必要がないから、より短い加工時間(フライス時間)となる。
【0013】
この発明による課題の解決策の好ましく目的に適った実施態様は別の請求項に記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、図面に基づいてこの発明の実施例は詳細に説明される。この発明の直接的理解のためのあらゆる本質的でない要素は省略されている。同じ要素は異なる図面において同じ符号を備えている。
【実施例】
【0015】
図1は未加工品3の加工における機械技術的レイアウトを示す。既に上記に数回記載されるように、この未加工品3は円板の形状を有し、少なくとも一つのCAD/CAM−加工ステーション内部で保持装置4にて垂直に固定されて、それによりスピンドルモータ1はそれに付属するフライス2により未加工品3の面を水平方向に加工する。未加工品3は保持装置4において軸線5を介して回転可能に固定され、この場合には未加工品3は周辺方向において保持装置4が力一様に作用する集中的ねじ込み部6を有する。未加工品3のこの水平加工は、それぞれの歯補綴の閉鎖的且つ窪み状形状が加工されるように、決定されている。このために、最適に制御された作業レイアウトが予め決定されて変換される。未加工品の加工は、さらに、CAD/CAMによる他に、他の切り屑除去システムによって遂行されることができる。この加工に先行する経過は、短く次のように書き換えられ得る:
【0016】
ギプスモデルにて、プラスチック材料により歯肉が形成される。蝋により結合ウエブを備える中間部材(このために図3を参照)は、簡単に取り除きできるように、形成される。複数の中間部材を備えるブリッジ架台は同様に行われる。まず最初に、形成されたギプスモデルはレーザーにより読み取られ、ソフトウエア工具によってデータが切削され、この際にこれらデータがCADに読み取られる。壁厚とセメント隙間の入力の他に、別の構造的作用は必要ない。引き続いて、保持ウエブが植え込まれる。およそ100mmの直径をもつ未加工品の場合には、20個までのユニットが加工される(このために図2を参照)。数値制御フライスデータは自動的に生成される。無論、そのために有用なソフトウエアが使用され、連続して改良処理を受けられる。全システムは簡単に特殊な顧客の要望を補充できる。完全等静止或いはほぼ等静止プレスにおける製造に該当して並びに焼結されていない或いは最終焼結されていない状態を含めた未加工品のこの発明による加工において、既に上記のことがこの発明の開示の下に詳細に行われた。完全等静止或いはほぼ等静止プレスにより製造されたプレス加工品は、円板状に未加工品に切削される前に、必要に応じて円板状完全体に早送りされる。無論、未加工品が水平に配置されて、スピンドルモータが垂直に作動されるCAD/CAM−加工ステーションも紹介されることができる。
【0017】
図2は、自由に加工された面7をもつ未加工品3を示し、その面にはフライスされた補綴8並びに既に外へ分離されたブリッジ架台10とキャップ9が認め得る。
【0018】
図3は、二つの端側キャップ11、中間部材12と二つの中間ウエブ13から成る加工された加工された三部材ブリッジ架台10を示す。ブリッジ架台は未加工品からの外方分離後に最終焼結処理を受ける。ここで最適処理精度を保証するために、再生可能な高精度に基づいて最適選定を意味する高温管炉が使用される。4KWを越える出力と+/−2℃の再生可能な精度によってこの焼結炉は生産方法の最終行程を形成する。酸化ジルコンから製造された補綴は、最も内部で1500°Cを越えて16時間において遅滞なく6.075g/mm3 の達成可能な絶対比重に焼結される。この達成可能な絶対比重は歯補綴において何かある理由から得ようと努められるべきでないならば、温度と滞留時間は焼結炉において適切に適合される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】未加工品の加工における最も重要な特徴を示す。
【図2】未加工品からの歯補綴の製造を示す。
【図3】三部材ブリッジ架台を示す。
【符号の説明】
【0020】
1.....スピンドルモータ
2.....フライス
3.....未加工品
4.....保持装置
5.....軸線
6.....ねじ込み部
7.....加工された面
8.....補綴
9.....キャップ
10....ブリッジ架台
11....端側キャップ
12....中間部材
13....中間ウエブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック材料からブリッジ架台、キャップ、インプラントなどのような歯科補綴を製造する方法であって、この場合に、製造が少なくとも一つのCAD/CAM−加工ステーションによって実施される方法において、加工すべきセラミック材料は焼結されていない或いは最終焼結されていない未加工品(3)から成り、歯科補綴(8)への未加工品の加工は未加工品の平行な或いはほぼ平行な面と直角に或いはほぼ直角に行われることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の円板状未加工品(3)を製造する方法において、セラミック材料の完全等静止或いはほぼ等静止プレスによって円筒状或いはほぼ円筒状プレス加工品が形成され、そのように形成されたプレス加工品からその軸線と直角に異なる厚さの多数の円板状未加工品(3)が分離されることを特徴とする方法。
【請求項3】
プレス加工品の外周が円筒状に早送りされることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
未加工品(3)が50mmより大きい直径を有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
完全等静止プレスの際に少なくとも80mm直径の未加工品(3)が製造されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
未加工品(3)が10mmより大きい厚さを有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
最終焼結されていないセラミック材料は、この材料の絶対比重より低い状態にある焼入れ部を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
歯科補綴は次の加工後に焼結されていない未加工品並びに最終焼結されていない未加工品(3)の際に適切なセラミック材料の絶対的或いはほぼ絶対比重を達成するまで最終焼結処理を受けることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
未加工品(3)はCAD/CAM−加工ステーションの保持工具(4)に力一様に装着する手段(6)を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
未加工品(3)は周辺方向においてCAD/CAM−加工ステーションの保持工具(4)に力一様に装着する少なくとも一つの集中的ねじ込み部(6)を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
セラミック材料は酸化ジルコンから成ることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
酸化ジルコンにおける絶対比重の達成を含めて請求項8或いは11に記載の方法において、最終焼結処理は1500°Cにおいて16時間の範囲の期間中に実施されることを特徴とする方法。
【請求項13】
この最終焼結処理では、6.075g/mm3 の絶対比重が達成されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
セラミック材料からブリッジ架台、キャップ、インプラントなどのような歯科補綴を製造する方法であって、この場合に、製造が少なくとも一つの切り屑除去加工ステーションによって実施される方法において、加工すべきセラミック材料は焼結されていない或いは最終焼結されていない未加工品(3)から成り、歯科補綴(8)への未加工品の加工は未加工品の平行な或いはほぼ平行な面と直角に或いはほぼ直角に行われることを特徴とする方法。
【請求項15】
セラミック材料からブリッジ架台、チャップ、インプラントなどのような歯科補綴を製造し、この場合に、加工ステーションが切り屑を除去するよう案内された及び/又はCAD/CAM−のようなシステムによって構成される加工ステーションにおいて、加工ステーションは実質的に回転可能な保持装置(4)と少なくとも一つのフライス工具(2)を備えていて、この保持工具はセラミック或いは他の材料から成る未加工品(3)の力一様に装着する手段を有し、未加工品(3)の平行な或いはほぼ平行な加工面は直角に或いはほぼ直角にフライス工具によって加工できることを特徴とする加工ステーション。
【請求項16】
未加工品の材料は酸化亜鉛から成ることを特徴とする請求項15に記載の加工ステーション。
【請求項17】
未加工品は可変の直径と厚さの丸い或いはほぼ丸い円板或いは可変の外部寸法と厚さのそのような幾何学外形から成ることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の方法を実施する未加工品及び/又は加工ステーション用未加工品(3)としての未加工品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック材料から成る未加工品から少なくとも一つの削りくず除去過程において一つの加工ステーションでブリッジ架台、キャップ、インプラントなどのような歯科補綴が製造される、この未加工品を製造する方法において、セラミック材料の完全等静止或いはほぼ等静止プレスによって円筒状、ほぼ円筒状或いは多角形状プレス加工品が形成され、プレス加工品の外周は必要に応じて加工され、そしてそのように仕上げられたプレス加工品からその軸線と直角に異なる厚さの多数の円板状未加工品(3)が切断されることを特徴とする方法。
【請求項2】
未加工品(3)が50mmより大きい直径を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
完全等静止プレスの際に少なくとも80mm直径の未加工品(3)が製造されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
未加工品(3)が10mmより大きい厚さを有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の歯科補綴を製造するセラミック材料製未加工品において、未加工品(3)の歯科補綴への加工は焼結されていない並びに最終焼結されていない状態で行われることを特徴とする未加工品。
【請求項6】
製造された歯科補綴は、セラミック材料の絶対或いはほぼ絶対比重が達成されるまで最終焼結されることを特徴とする請求項5に記載の未加工品。
【請求項7】
セラミック材料としての酸化ジルコンでは、歯科補綴の最終焼結処理は少なくとも1500°Cにおいておよそ16時間中に行われることを特徴とする請求項5或いは6に記載の未加工品。
【請求項8】
この最終焼結処理では、6.075g/mm3 の絶対比重が達成できることを特徴とする請求項7に記載の未加工品。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の未加工品から歯科補綴を製造する加工ステーションであって、加工ステーションが切り屑を除去する及び/又はCAD/CAM−案内されたシステムによって構成される加工ステーションにおいて、加工ステーションは実質的に回転可能な保持装置(4)と少なくとも一つのフライス工具(2)を備えていて、この保持工具は未加工品(3)の力一様に装着する手段を有し、未加工品(3)の平行な或いはほぼ平行な加工面は直角に或いはほぼ直角にフライス工具によって加工できることを特徴とする加工ステーション。
【請求項10】
回転可能な保持装置(4)は歯科補綴の閉塞且つ空洞形態の機能を有することを特徴とする請求項9に記載の加工ステーション。
【請求項11】
未加工品(3)は丸い横断面では周辺方向に少なくとも一つの集中的ねじ込み部を有し、ねじ込み部によって保持装置(4)への力一様な装着が行われることを特徴とする請求項9に記載の加工ステーション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−521842(P2006−521842A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504167(P2006−504167)
【出願日】平成16年4月3日(2004.4.3)
【国際出願番号】PCT/CH2004/000212
【国際公開番号】WO2004/086999
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(505363581)クサヴェクス・アクチエンゲゼルシャフト (2)
【Fターム(参考)】