説明

歯車研削盤

【課題】メンテナンス性の向上及び小型化を図ることができる歯車研削盤を提供する。
【解決手段】ねじ状砥石17とワークWとを噛み合せた状態で回転させて、ワークWに研削加工を行う歯車研削盤であって、回転駆動してねじ状砥石17にドレッシングを行うディスクドレッサ66を、ねじ状砥石17をドレス可能なドレス位置P2と研削時にドレス位置P2から退避した退避位置P1との間で、ワークWのワーク回転軸であるC1軸と平行で、且つ、ねじ状砥石17のワークWへの送り方向と直交するC2軸周りに旋回させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工歯車を砥石により研削加工する歯車研削盤に関し、特に、砥石をドレッシングするドレッシング機能を有する歯車研削盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、熱処理後の被加工歯車であるワークに対し、研削工具である砥石を用いて研削し、ワークの歯面を効率良く仕上げ加工するものとして、歯車研削盤が提供されている。このような歯車研削盤では、研削加工を行っていくと、砥石が磨耗して切れ味が低下するため、所定数量のワークを研削した後には、磨耗した砥石に対し、ドレッシングを行って鋭い刃面に再生させることが必要となる。
【0003】
これにより、従来の歯車研削盤には、磨耗した砥石をドレッサによりドレッシングするドレッシング機能が備えられている。このような、ドレッシング機能を備えた歯車研削盤は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−111600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の歯車研削盤では、砥石に対向して立設させたカウンタコラムの外周に、旋回リングを旋回可能に支持し、更にこの旋回リングに、ワークを把持可能な一対のグリッパと、この一対のグリッパ間に配置されるドレッサとを設けている。そして、ワークを保持可能な回転テーブルに対し、グリッパを旋回して対向させることにより、ワークの搬入及び搬出を可能とする一方、砥石に対し、ドレッサを旋回して対向させることにより、ドレッシングを可能としている。
【0006】
しかしながら、このような従来の構成では、グリッパ及びドレッサの両方が旋回リングに設けられているため、研削またはドレッシングのいずれか一方の加工を行っている場合には、他方のメンテナンスを行うことができない。また、通常、ドレッサにはこれを回転駆動させるドレッサ駆動手段等が付設されているため、ドレッサは重量物となる場合が多い。このような重いドレッサを支持するためには、旋回リングも大きくしなくてはならない。更に、旋回リングを大きくすると、これを旋回させるための大きな駆動力が必要となり、旋回リングを旋回させる旋回リング駆動手段も大きくなってしまう。この結果、歯車研削盤の大型化に繋がるおそれがある。
【0007】
従って、本発明は上記課題を解決するものであって、メンテナンス性の向上及び小型化を図ることができる歯車研削盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する第1の発明に係る歯車研削盤は、
砥石と被加工歯車とを噛み合せた状態で回転させて、前記被加工歯車に研削加工を行う歯車研削盤であって、
回転駆動して前記砥石にドレッシングを行うドレッサと、
前記ドレッサを、前記砥石をドレス可能なドレス位置と研削時に前記ドレス位置から退避した退避位置との間で、被加工歯車のワーク回転軸と平行で、且つ、前記砥石の被加工歯車への送り方向と直交する旋回軸周りに旋回させるドレッサ旋回手段を備える
ことを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決する第2の発明に係る歯車研削盤は、
第1の発明に係る歯車研削盤において、
前記ドレッサ旋回手段は、
前記ドレッサを回転可能に支持すると共に、前記旋回軸を中心に回転する回転部と、
前記回転部を回転可能に支持する固定部と、
前記固定部に対して前記回転部の回転を位置決めする位置決め手段と、
前記固定部に設けられ、てこの作用により前記位置決め手段による位置決めを解除する位置決め解除手段と、
前記位置決め解除手段が作動したときに、前記回転部を回転可能にする回転手段とを有する
ことを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決する第3の発明に係る歯車研削盤は、
第2の発明に係る歯車研削盤において、
前記位置決め解除手段は、
前記固定部に形成されるシリンダ部と、
前記シリンダ部内に旋回軸方向に摺動可能に収納されるピストン部材と、
前記回転部に形成される環状の溝部と、
基端部が前記固定部に揺動可能に支持される一方、先端部が前記ピストン部材に保持されるてこレバーと、
前記溝部に嵌合すると共に、前記てこレバーに回転可能に支持されるころと、
前記シリンダ部に対して圧力を給排して前記ピストン部材を摺動可能にする圧力給排手段とを有する
ことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決する第4の発明に係る歯車研削盤は、
第3の発明に係る歯車研削盤において、
前記てこレバーに形成される貫通孔内に、前記溝部を配置し、
前記貫通孔の内周面に、前記ころを回転可能に支持する
ことを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決する第5の発明に係る歯車研削盤は、
第3の発明に係る歯車研削盤において、
二股状に形成した前記てこレバーの先端部間に、保持ピンを支持し、
前記ピストン部材に、前記保持ピンを保持する保持溝を形成する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
従って、本発明に係る歯車研削盤によれば、回転駆動して砥石にドレッシングを行うドレッサを、砥石をドレス可能なドレス位置と研削時にドレス位置から退避した退避位置との間で、被加工歯車のワーク回転軸と平行で、且つ、砥石の被加工歯車への送り方向と直交する旋回軸周りに旋回させることにより、メンテナンス性の向上及び小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る歯車研削盤について図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例に係る歯車研削盤の斜視図、図2はドレッサ旋回装置の斜視図、図3はドレッサ旋回装置の平面図、図4は図3のA−A矢視断面図、図5は図4のB−B矢視断面図である。
【0015】
図1に示すように、歯車研削盤1のベッド11上には、コラム12が水平なX軸方向(送り方向)に移動可能に支持されている。コラム12には、サドル13が鉛直なZ軸方向に昇降可能に支持されており、このサドル13には、旋回ヘッド14が水平なA軸周りに旋回可能に支持されている。旋回ヘッド14には、スライドヘッド15が水平なY軸方向に移動可能に支持されており、このスライドヘッド15には、砥石ヘッド16が設けられている。そして、砥石ヘッド16には、樽形のねじ状砥石17が着脱可能で、且つ、鉛直なB軸周りに回転可能に支持されており、このねじ状砥石17は、砥石ヘッド16に内蔵された図示しない砥石駆動モータにより回転駆動するようになっている。
【0016】
また、ベッド11上におけるコラム12の正面には、回転テーブル18が鉛直なC1軸(ワーク回転軸)周りに回転可能に設けられている。回転テーブル18の上面には、円筒状の取付治具19が取り付けられており、この取付治具19の上端内周面には、内歯車素材であるワーク(被加工歯車)Wが着脱可能に取り付けられている。そして、回転テーブル18の側方には、ドレッサ旋回装置(ドレッサ旋回手段)20が設けられており、このドレッサ旋回装置20には、詳細は後述するが、ねじ状砥石17をドレッシングするディスクドレッサ66がC2軸(旋回軸)周りに旋回可能に支持されている。
【0017】
図1及び図2に示すように、ドレッサ旋回装置20は、ベース部31とこのベース部31の上部に設けられる旋回部32とから構成されている。ベース部31はベッド11上に設けられており、旋回部32はそのベース部31の上面中央部にC2軸周りに旋回可能に支持されている。
【0018】
図3乃至図5に示すように、ベース部31は固定部41及び回転部42を備えている。固定部41はベッド11上に固定されており、回転部42はその固定部41の中央部において回転可能に支持されている。
【0019】
回転部42は、C2軸と同軸に配置されており、円形の回転板42a及び軸状の軸部42bを有している。回転部42の回転板42aと固定部41との間には、ギヤカップリング(位置決め手段)43が介在されており、回転板42aの下面には、ギヤカップリング43の上ギヤ部43aが設けられる一方、固定部41の上面には、ギヤカップリング43の下ギヤ部43bが設けられている。また、軸部42bの軸方向中間部には、キー44が設けられており、軸部42bの下端には、円筒状のフランジ部材45が嵌入されている。そして、軸部42bの下端とフランジ部材45の外周面及びフランジ部45aとにより、軸部42bの外周面よりも凹んだ環状の溝部46が形成されている。
【0020】
固定部41の側部には、水平旋回駆動用モータ(回転手段)47が設けられており、固定部41内の高さ方向中間部には、駆動ギヤ48、中間ギヤ49、及び、従動ギヤ50が回転可能に支持されている。駆動ギヤ48と中間ギヤ49とが噛み合い、中間ギヤ49と従動ギヤ50とが噛み合っており、駆動ギヤ48は水平旋回駆動用モータ47の出力軸に嵌合されると共に、従動ギヤ50は回転部42の軸部42bの外側に配置されている。そして、従動ギヤ50の内周面には、キー溝50aが形成されており、このキー溝50aには、軸部42bのキー44がC2軸方向に摺動可能に支持されている。
【0021】
固定部41内の下方には、てこレバー51が収納されている。てこレバー51は、幅が狭い基端部51aと二股状の先端部51bとを有しており、基端部51aは揺動ピン52を介して固定部41内に揺動可能に支持される一方、先端部51bはその間に保持ピン53を支持している。更に、てこレバー51には貫通孔51cが形成されており、この貫通孔51cには軸部42bのフランジ部材45が貫通されている。そして、貫通孔51cの内周面には、ころ54が回転可能に支持されており、このころ54は溝部46に嵌合されている。
【0022】
また、てこレバー51の先端部51bの間には、シリンダ部55が形成されており、このシリンダ部55内には、ピストン部材56がC2軸方向に摺動可能に収納されている。ピストン部材56のてこレバー51側の側壁には、その幅方向において凹状の保持溝56aが形成されており、この保持溝56aには、先端部51bの保持ピン53が保持されている。そして、シリンダ部55の上部及び下部には、油圧通路57a,57bが連通されており、この油圧通路57a,57bは油圧給排装置(圧力給排手段)58に接続している。即ち、油圧給排装置58によって、油圧が油圧通路57a,57bを介してシリンダ部55内に給排されるようになっている。
【0023】
なお、溝部46、てこレバー51、ころ54、シリンダ部55、ピストン部材56、及び、油圧給排装置58等は、位置決め解除手段を構成するものである。
【0024】
一方、図2及び図3に示すように、旋回部32は本体部61及びモータ収納部62を備えている。本体部61はその基端がベース部31の回転板42a上に固定されており、モータ収納部62は筒状に形成されて本体部61の先端に設けられている。
【0025】
モータ収納部62内には、垂直旋回駆動用モータ63が内蔵されている。この垂直旋回駆動用モータ63の出力軸は、水平なB2軸周りに回転駆動するものであって、回転板64とモータ収納部62の外側において接続している。また、回転板64には、ドレッサ回転駆動用モータ65が設けられている。このドレッサ回転駆動用モータ65の出力軸は、C3軸周りに回転駆動するものであって、円盤状のディスクドレッサ66を着脱可能に装着している。
【0026】
即ち、油圧給排装置58から油圧通路57bを介してシリンダ部55の下部に油圧を供給することにより、ピストン部材56が上方に摺動する。これにより、てこレバー51の先端部51bが、揺動ピン52を中心にして、ピストン部材56と共に上方に揺動することになり、これに伴って、ころ54が溝部46の上面を押圧する。この結果、固定部41に対して回転部42が上方(図4の2点鎖線で示す位置)に持ち上げられることになり、固定部41と回転部42との間のギヤカップリング43の噛み合いが解除される。つまり、固定部41に対する回転部42の位置決めが解除されることになる。
【0027】
また逆に、このように回転部42が持ち上げられた状態で、油圧給排装置58から油圧通路57aを介してシリンダ部55の上部に油圧を供給することにより、ピストン部材56が下方に摺動する。これにより、てこレバー51の先端部51bが、揺動ピン52を中心にして、ピストン部材56と共に下方に揺動することになり、これに伴って、ころ54が溝部46の下面を押圧する。この結果、回転部42が固定部41内の最下位(図4の実線で示す位置)に降下されることになり、固定部41と回転部42との間のギヤカップリング43が噛み合わされる。つまり、固定部41に対して回転部42が位置決めされることになる。
【0028】
更に、回転部42が持ち上げられた状態で、水平旋回駆動用モータ47を駆動させることにより、その駆動力が駆動ギヤ48、中間ギヤ49、従動ギヤ50と順に伝達され、回転部42がC2軸周りに回転する。このとき、ころ54の回転によって溝部46が滑らかに摺動するため、持ち上げられた回転部42がスムーズに回転する。これにより、旋回部32のディスクドレッサ66がC2軸周りに旋回することになり、このディスクドレッサ66が後述する退避位置P1とドレス位置P2との間で旋回されることになる(図2及び図3参照)。
【0029】
そして、ドレス位置P2においてディスクドレッサ66がギヤカップリング43に位置決めされた状態で、垂直旋回駆動用モータ63を駆動させることにより、ディスクドレッサ66がB2軸周りに旋回されると共に、ドレッサ回転駆動用モータ65を駆動させることにより、ディスクドレッサ66がC3軸周りに回転駆動する。これにより、ディスクドレッサ66が対向したねじ状砥石17をドレッシングすることになる。
【0030】
従って、歯車研削盤1を用いてワークWに研削加工を行う場合には、先ず、ワークWを取付治具19に装着する。次いで、コラム12、サドル13、旋回ヘッド14、スライドヘッド15を駆動して、ねじ状砥石17を、X,Y,Z軸方向に移動させると共に、ワークWのねじれ角に応じてA軸周りに旋回させて、ワークWの内側に配置させる。そして、砥石ヘッド16を駆動して、ねじ状砥石17をB軸周りに回転駆動させると共に、回転テーブル18を駆動して、ワークWをC1軸周りに回転駆動させた後、この状態で、コラム12を駆動して、ねじ状砥石17をX軸方向(図1の左側方向)に移動させてワークWに噛み合わせる。次いで、更に、コラム12及びサドル13を駆動して、ねじ状砥石17をX軸方向に移動させながら、Z軸方向に揺動させる。これにより、ねじ状砥石17がワークWに切り込んで、ねじ状砥石17の刃面によりワークWの歯面が研削されることになる。
【0031】
ここで、ねじ状砥石17を用いて所定数量のワークWを研削すると、その刃面が磨耗して切れ味が低下するため、定期的にディスクドレッサ66を旋回させて、ねじ状砥石17のドレッシングを行う。
【0032】
そこで、ねじ状砥石17をディスクドレッサ66によりドレッシングする場合には、先ず、油圧給排装置58から油圧通路57bを介してシリンダ部55の下部に油圧を供給し、ピストン部材56を上方に摺動させる。これにより、ベース部31において、てこレバー51のてこ作用によって、固定部41に対して回転部42が持ち上げられ、ギヤカップリング43の噛み合いが解除される(図4の2点鎖線で示す位置)。即ち、旋回部32が上方に持ち上げられ、退避位置P1のディスクドレッサ66の位置決めが解除される。次いで、水平旋回駆動用モータ47を駆動して、ベース部31の回転部42を回転させ、旋回部32を所定角度で旋回させる。これにより、図2及び図3に示すように、ディスクドレッサ66は、退避位置P1からドレス位置P2に旋回されることになる。なお、本実施例においては、ディスクドレッサ66を90°旋回させている。
【0033】
そして、油圧給排装置58から油圧通路57aを介してシリンダ部55の上部に油圧を供給し、ピストン部材56を下方に摺動させる。これにより、ベース部31において、てこレバー51のてこ作用によって、回転部42が固定部41内の最下位に降下され、ギヤカップリング43が噛み合わされる(図4の実線で示す位置)。即ち、旋回部32が下方に押され、ドレス位置P2のディスクドレッサ66が位置決めされる。次いで、垂直旋回駆動用モータ63を駆動して、ディスクドレッサ66をねじ状砥石17のねじれ角に応じてB2軸周りに旋回させる。
【0034】
一方、コラム12、サドル13、スライドヘッド15を駆動して、ねじ状砥石17をX,Y,Z軸方向に移動させて、ドレス位置P2に配置されたディスクドレッサ66に対向させる。なお、上述したねじ状砥石17の移動時においては、旋回ヘッド14の駆動により、ねじ状砥石17は、その軸心が鉛直方向に配置されるように(旋回角0°)に旋回される。
【0035】
そして、ドレッサ回転駆動用モータ65を駆動して、ディスクドレッサ66をC3軸周りに回転駆動させた後、この状態で、スライドヘッド15を駆動して、ねじ状砥石17をY軸方向に移動させて、ドレス位置P2に配置されたディスクドレッサ66に噛み合わせる。次いで、更に、サドル13及びスライドヘッド15を駆動して、ねじ状砥石17をY軸方向に移動させながら、Z軸方向に揺動させる。これにより、ねじ状砥石17がディスクドレッサ66に切り込まれることになり、ディスクドレッサ66の刃面によりねじ状砥石17の刃面がドレッシングされることになる。このドレッシング動作は、ねじ状砥石17の刃溝の数量分行われることになる。
【0036】
このように、ドレッシング動作が終了すると、ディスクドレッサ66をドレス位置P2から退避位置P1に旋回させて、待機状態とする一方、ドレッシングされたねじ状砥石17により所定数量のワークWが研削される。そして、このような一連の動作が繰り返し行われることになる。
【0037】
なお、本実施例においては、本発明に係る歯車研削盤を、内歯車素材のワークを研削する内歯車研削盤に適用したが、外歯車素材のワークを研削する外歯車研削盤に適用しても構わない。
【0038】
従って、本発明に係る歯車研削盤によれば、ディスクドレッサ66を、退避位置P1とドレス位置P2との間で、ワークWの回転軸であるC1軸と平行で、且つ、ねじ状砥石17のワークWへの送り方向(X軸方向)と直交するC2軸周りに旋回させることにより、ドレッサ旋回装置20を、ねじ状砥石17を支持するコラム12及びワークWが取り付けられる回転テーブル18よりも、幅方向(Y軸方向)外側へ配置することができる。これにより、退避位置P1に配置されたディスクドレッサ66は、研削加工やワーク交換作業と干渉することがなくなり、このディスクドレッサ66に対して機外からのアプローチが容易になるので、ドレッサ交換作業等のメンテナンス性を向上させることができる。しかも、ディスクドレッサ66を旋回させるように構成したことにより、ねじ状砥石17に対してディスクドレッサ66を省スペースで進退させることができるので、歯車研削盤1の小型化を図ることができる。
【0039】
また、退避位置P1及びドレス位置P2において、ギヤカップリング43によってディスクドレッサ66を位置決めすることにより、退避位置P1及びドレス位置P2におけるディスクドレッサ66を、常に同じ位置に配置させることができると共に、高い剛性を有して支持することができる。これにより、ドレス位置P2に配置されたディスクドレッサ66の再現性が向上されるので、ドレッシング精度が向上されるだけでなく、一定の品質を保つことができる。
【0040】
更に、てこレバー51のてこ作用を利用して、ギヤカップリング43の噛み合い及びその解除、即ち、固定部41に対する回転部42の昇降を行うことにより、小さな駆動力でディスクドレッサ66の位置決め動作及び位置決め解除動作を行うことができる。これにより、シリンダ部55及びこれに収納されるピストン部材56や油圧給排装置58を小さくすることができる。この結果、固定部41の高さを抑えることができるので、ドレッサ旋回装置20の小型化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、非研削時におけるドレッシング動作の高速化を図る歯車研削盤に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施例に係る歯車研削盤の斜視図である。
【図2】ドレッサ旋回装置の斜視図である。
【図3】ドレッサ旋回装置の平面図である。
【図4】図3のA−A矢視断面図である。
【図5】図4のB−B矢視断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 歯車研削盤
11 ベッド
12 コラム
13 サドル
14 旋回ヘッド
15 スライドヘッド
16 砥石ヘッド
17 ねじ状砥石
18 回転テーブル
19 取付治具
20 ドレッサ旋回装置
31 ベース部
32 旋回部
41 固定部
42 回転部
43 ギヤカップリング
46 溝部
47 水平旋回駆動用モータ
51 てこレバー
52 揺動ピン
53 保持ピン
54 ころ
55 シリンダ部
56 ピストン部材
57 油圧通路
58 油圧給排装置
63 垂直旋回駆動用モータ
65 ドレッサ回転駆動用モータ
66 ディスクドレッサ
W ワーク
P1 退避位置
P2 ドレス位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砥石と被加工歯車とを噛み合せた状態で回転させて、前記被加工歯車に研削加工を行う歯車研削盤であって、
回転駆動して前記砥石にドレッシングを行うドレッサと、
前記ドレッサを、前記砥石をドレス可能なドレス位置と研削時に前記ドレス位置から退避した退避位置との間で、被加工歯車のワーク回転軸と平行で、且つ、前記砥石の被加工歯車への送り方向と直交する旋回軸周りに旋回させるドレッサ旋回手段を備える
ことを特徴とする歯車研削盤。
【請求項2】
請求項1に記載の歯車研削盤において、
前記ドレッサ旋回手段は、
前記ドレッサを回転可能に支持すると共に、前記旋回軸を中心に回転する回転部と、
前記回転部を回転可能に支持する固定部と、
前記固定部に対して前記回転部の回転を位置決めする位置決め手段と、
前記固定部に設けられ、てこの作用により前記位置決め手段による位置決めを解除する位置決め解除手段と、
前記位置決め解除手段が作動したときに、前記回転部を回転可能にする回転手段とを有する
ことを特徴とする歯車研削盤。
【請求項3】
請求項2に記載の歯車研削盤において、
前記位置決め解除手段は、
前記固定部に形成されるシリンダ部と、
前記シリンダ部内に旋回軸方向に摺動可能に収納されるピストン部材と、
前記回転部に形成される環状の溝部と、
基端部が前記固定部に揺動可能に支持される一方、先端部が前記ピストン部材に保持されるてこレバーと、
前記溝部に嵌合すると共に、前記てこレバーに回転可能に支持されるころと、
前記シリンダ部に対して圧力を給排して前記ピストン部材を摺動可能にする圧力給排手段とを有する
ことを特徴とする歯車研削盤。
【請求項4】
請求項3に記載の歯車研削盤において、
前記てこレバーに形成される貫通孔内に、前記溝部を配置し、
前記貫通孔の内周面に、前記ころを回転可能に支持する
ことを特徴とする歯車研削盤。
【請求項5】
請求項3に記載の歯車研削盤において、
二股状に形成した前記てこレバーの先端部間に、保持ピンを支持し、
前記ピストン部材に、前記保持ピンを保持する保持溝を形成する
ことを特徴とする歯車研削盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−29950(P2010−29950A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191699(P2008−191699)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】