説明

残ガス廃棄機構

【課題】 取扱い性に優れた残ガス廃棄機構を提供する。
【解決手段】 エアゾール缶本体11の頂部のステム13に押ボタン15を連結し、該押ボタンの外周を覆う肩カバー18をエアゾール式缶本体に設ると共に、前記肩カバーを覆うキャップ19を備えたエアゾール容器の残ガス廃棄機構において、前記押ボタンの外周に180度対称に一対の突起21を設けるとともに、押ボタンの頂部にスリット22を設け、前記肩カバーの内周の一部に、前記一対の突起を案内する案内面25を設け、前記キャップの一部に前記スリットに係合して前記押ボタンを押込んで前記案内面に沿って回転させる係合片19aを分離可能に形成した残ガス廃棄機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押ボタンを押圧することによりエアゾール式缶内のガスを噴射するエアゾール容器の残ガス廃棄機構に関する。
【背景技術】
【0002】
エアゾール缶の頂部に備えた押ボタンを押圧することにより、エアゾール式缶内のガスを噴射するエアゾール容器が使用されている。
このエアゾール容器は、一般に、使い切った場合でも、使用済みエアゾール容器に内容物放出用のガスが残っていることが多い。このため、使用済みのエアゾール容器を廃棄する際に、残留ガスを簡単な手間で放出できる残ガス廃棄機構が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−168356号公報
【0003】
上記特許文献の残ガス廃棄機構によれば、押ボタンと一体に形成したガス抜きモード設定用レバーをキャップの外周面に露出させ、このガス抜きモード設定用レバーを少し押し下げてから反時計回り方向に回動することにより、ガス抜きモード設定用レバーの梁状片部がテーパ面に案内されてガス抜きモード設定用レバーが容器本体に向けて移動する。
これにより、ガス抜きモード設定用レバーとともに、押ボタンが容器本体に向けて移動し、押ボタンでステムを容器本体内に押し下げて容器本体内の残留ガスを放出する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献の残ガス廃棄機構では、ガス抜きモード設定用レバーがキャップの外周面に露出している。
このため、通常の使用時に、ガス抜きモード設定用レバーが邪魔になる場合や、誤操作を起こす場合があり、取扱い性の観点から改良の余地が残されていた。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、残ガスの廃棄の際にドライバーやコイン等を必要としない優れた残ガス廃棄機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の残ガス廃棄機構は、エアゾール缶本体の頂部のステムに押ボタンを連結し、該押ボタンの外周を覆う肩カバーをエアゾール式缶本体に設ると共に、前記肩カバーを覆うキャップを備えたエアゾール容器の残ガス廃棄機構において、前記押ボタンの外周に180度対称に一対の突起を設けるとともに、押ボタンの頂部にスリットを設け、前記肩カバーの内周の一部に前記一対の突起を案内する案内面を設け、前記キャップの一部に前記スリットに係合して前記押ボタンを押込んで前記案内面に沿って回転させる係合片を分離可能に形成したことを特徴とする。
【0007】
スリットに係合する係合片をキャップの一部に前記スリットに係合して前記押ボタンを押込んで前記案内面に沿って回転させる係合片を分離可能に形成したことにより、キャップから係合片を分離(打ち抜き)してスリットに係合させて、押ボタンを回して突起を案内面に沿って案内して押ボタンをエアゾール式缶本体に向けて押し込む操作がコインが無い場所でもできる。
【0008】
なお、キャップに形成されている係合片でなく、コイン等をスリットに差し込んで、押ボタンを簡単に回すことも可能である。
【0009】
また、本発明の残ガス廃棄機構は、前記押ボタンを前記エアゾール缶本体に向けて押し込んだ状態に突起を保持する戻り防止手段を、前記案内面の少なくとも一方に備えたことを特徴とする。
【0010】
案内面に戻り防止手段を備えることで、戻り防止手段で突起が案内面に沿ってエアゾール缶本体から離れる方向に移動することを防ぐ。
これにより、突起を、残留ガスを放出する位置に確実に保持することが可能になり、取扱い性のより一層の向上を図ることができる。
【0011】
また、本発明の残ガス廃棄機構は、前記押ボタンを前記エアゾール式缶本体に向けて押し込んだ状態に突起を保持する係止突起を、前記案内面の少なくとも一方に備えたことを特徴とする。
【0012】
案内面に係止突起を備えることで、係止突起で突起が案内面に沿ってエアゾール式缶本体から離れる方向に移動することを防ぐ。
これにより、突起を、残留ガスを放出する位置に確実に保持することが可能になり、取扱い性のより一層の向上を図ることができる。
【0013】
また、本発明の残ガス廃棄機構は、通常の使用状態において、突起が案内面に侵入することを防ぐ誤操作防止突起を、前記案内面に備えたことを特徴とする。
【0014】
案内面に誤操作防止突起を備えることで、通常の使用時に、突起が案内面側に侵入することを防ぐ。
これにより、通常の使用時に、押ボタンを円滑に押し下げることが可能になり、取扱い性のより一層の向上を図ることができる。
【0015】
また、本発明の残ガス廃棄機構は、通常の使用状態において、突起が肩カバーから抜け出すことを防ぐ抜け防止部を、前記キャップに備えたことを特徴とする。
【0016】
肩カバーに抜け防止部を備えることで、通常の使用時に、押ボタンが上方に抜け出すことを防ぎ、取扱い性のより一層の向上を図ることができる。
加えて、抜け防止部で突起を覆うことが可能になり、意匠性の向上を図ることができる。
【0017】
また、本発明の残ガス廃棄機構は、前記スリットは両端部のうちの、一端部に矢印が形成されたことを特徴とする。
【0018】
スリットの一端部に矢印を形成することで、この矢印を、例えば押ボタンの噴出口に合わせることで、矢印で噴出口の位置を確認することが可能になり、取扱い性のより一層の向上を図ることができる。
【0019】
また、本発明の残ガス廃棄機構は、前記スリットは、側断面の溝形状が湾曲状または角形状に形成されたことを特徴とする。
【0020】
スリットの溝形状を湾曲状または角形状とすることで、例えば、スリットに、キャップから分離した係合片を差し込んだ際にコインの外周がスリットの底部に当接する。
これにより、係合片の外周をスリットの底部で確実に支え、係合片で押ボタンを簡単に回すことが可能になり、取扱い性のより一層の向上を図ることができる。
【0021】
また、本発明の残ガス廃棄機構は、前記突起の形状は断面形状が略丸形であることを特徴とする。
【0022】
突起の断面形状を略丸形にすることで、突起を案内面に沿って円滑に移動し、押ボタンを簡単に回すことが可能になり、取扱い性のより一層の向上を図ることができる。
【0023】
また、本発明の残ガス廃棄機構は、前記肩カバーと押ボタンとをブリッジで連結した状態に一体形成し、形成後にブリッジを切断して肩カバーと押ボタンを切り離したことを特徴とする。
【0024】
肩カバーと押ボタンを一体形成することで、設備を一つに纏めることが可能になり、設備費を抑えることができる。
加えて、肩カバーと押ボタンを一体形成することで、生産性の向上を図ることができる。
【0025】
また、本発明の残ガス廃棄機構は、ブリッジを切断して前記肩カバーと押ボタンとを切り離した際に、押ボタンに残ったブリッジの一部を、前記一対の突起として用いたことを特徴とする。
【0026】
肩カバーと押ボタンを切り離した際に押ボタンに残ったブリッジの一部を、突起として用いることで、押ボタンに突起を設ける必要がなく、成形型の簡素化を図ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、エアゾール缶本体の頂部のステムに押ボタンを連結し、該押ボタンの外周を覆う肩カバーをエアゾール式缶本体に設ると共に、前記肩カバーを覆うキャップを備えたエアゾール容器の残ガス廃棄機構において、前記押ボタンの外周に180度対称に一対の突起を設けるとともに、押ボタンの頂部にスリットを設け、前記肩カバーの内周の一部に、前記一対の突起を案内する案内面を設け、前記キャップの一部に前記スリットに係合して前記押ボタンを押込んで前記案内面に沿って回転させる係合片を分離可能に形成したことによって、スリットに係合させる係合片をキャップから分離させて使用できるので、コイン等の無い場所でも容易に残ガスを廃棄することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1及び図2を用いて、本発明の残ガス廃棄機構の第1の実施の形態の説明をする。
図1は本発明の残ガス廃棄機構の第1の実施の形態における残ガス廃棄前の状態を示す図であり、図2は本発明の残ガス廃棄機構の第1の実施の形態における残ガス廃棄時の状態を示す図である。
【0029】
図1及び図2において、エアゾール容器10は、エアゾール式缶本体11の頂部中央(頂部)12からバルブ(図示せず)のステム13を突出させ、ステム13に押ボタン15を連結し、押ボタン15の頂部15aに窪み15bを形成し、押ボタン15の外周16を覆う肩カバー18をエアゾール式缶本体11の頂部外周19に備えると共に、該肩カバー18を覆うキャップ19が設けられている。
【0030】
このエアゾール容器10は、エアゾール式缶本体11の残ガスを放出する手段として、第1実施の形態に係るエアゾール容器の残ガス廃棄機構20を備える。
該残ガス廃棄機構20は、前記押ボタン15の外周に180度対称に設けられた一対の突起21と、押ボタンの頂部に設けられたスリット22と、前記肩カバーの内周の一部に前記一対の突起を案内するように設けられた一対の案内面25で構成されている。
また、前記キャップ19には、前記スリット22に係合する係合片19aが、分離可能に形成されている。
係合片19aをキャップ19から分離可能に形成する手段としては、図1では係合片の周囲を薄くする手段が示されているが、破線状にする等の他の手段でも良い。
【0031】
図1では残ガス廃棄機構を構成する一対の突起21が、案内面25に案内されていな状態を示しているが、図2ではスリット22に係合片29aを係合させて押しながら回転させることによって、残ガス廃棄機構を構成する一対の突起21が、案内面25に案内されて押ボタンが押されてその状態で固定されている状態が示されている。
【0032】
次に、図3及び図4を用いて本発明の残ガス廃棄機構の第2の実施の形態の説明をする。
図3では、エアゾール容器10は、エアゾール式缶本体11の頂部中央(頂部)12からバルブ(図示せず)のステム13を突出させ、ステム13に押ボタン15を連結し、押ボタン15の頂部15aに窪み15bを形成し、押ボタン15の外周16を覆う肩カバー18をエアゾール式缶本体11の頂部外周19に備える。
押ボタン15の頂部15aに窪み15bを形成することで、押ボタン15の頂部15aが押圧し易くなる。
【0033】
このエアゾール容器10は、エアゾール式缶本体11の残ガスを放出する手段として、前記第1実施の形態と同様にエアゾール容器の残ガス廃棄機構20を備える。
【0034】
エアゾール容器の残ガス廃棄機構20は、図4に示すように、押ボタン15の外周16に180度対称に一対の突起21(図3も参照)を設けるとともに、押ボタン15の頂部15aにスリット22(図3も参照)を設け、肩カバー18の内周18aに、一対の突起21を案内する傾斜状の案内面25(図5も参照)をそれぞれ設け、スリット22を用いて押ボタン15を回して一対の突起21を各案内面25に沿って案内することにより、押ボタン15をエアゾール式缶本体11(図3参照)に向けて押し込むように構成したものである。
【0035】
突起21は、図5に示すように、断面形状が略丸形に形成されている。
また、スリット22は、図3に示すように、押ボタン15の噴出口15cの上方に一端部22aが位置し、噴出口15cからのガスの噴き出し方向と平行に形成されている(図2も参照)。
さらに、案内面25は、図5に示すように、上端25aが鉛直ガイド溝26に臨み、上端25aから下端25bに向けて徐々に下降するように、下り勾配に形成されている。
【0036】
図3に示すエアゾール容器10によれば、通常の使用状態において、エアゾール式缶本体11に向けて押ボタン15の頂部15aを上方から押圧することにより、一対の突起21が鉛直ガイド溝26に沿って矢印A方向(図5参照)に下降する。
【0037】
これにより、ステム13を、待機位置(図1の位置)に保持する復元用のばね部材(図示せず)のばね力に抗してエアゾール式缶本体11内に押し込む。
ステム13のガス噴射口13aからエアゾール式缶本体11内のガスを噴射し、噴射したガスを押ボタン15の流路15aを経て噴出口15cから外部に噴き出す。
【0038】
一方、エアゾール容器10を廃棄する際には、残ガス廃棄機構20を用いてエアゾール式缶本体11内の残留ガスを放出する。以下、残ガス廃棄機構20の使用例について説明する。
先ず、図5に示すように、スリット22に、キャップ19から分離した係合片を差し込み、係合片19aの外周をスリット22の底部22bに当接する。
【0039】
次に、図4に示すように、係合片19aで押ボタン15を矢印B方向に回して突起21を案内面25の上端25aから下端25bまで案内面25に沿って矢印C方向(図5も参照)に案内する。
突起21を案内面25に沿って下端25bまで案内することで(図5参照)、押ボタン15をエアゾール式缶本体11に向けて押し込み、ステム13を噴射位置まで押し込む。
【0040】
この状態において、前記復元用のばね部材(図示せず)のばね力で、一対の突起21を案内面25の下端25bに押し付ける。
突起21と案内面25の下端25bとに摩擦力が生じ、この摩擦力で、一対の突起21を案内面25の下端25bに保持できる。
これにより、ステム13を噴射位置まで押し込んだ状態に保持し、エアゾール式缶本体11内の残留ガスを放出する。
【0041】
ここで、スリット22は、側断面の溝形状が湾曲状(図3参照)または角形状(図6参照)に形成されている。
これにより、例えば、図3、図6に示すように、スリット22に係合片19aを差し込んだ際に、係合片19aの外周がスリット22の底部22bに当接する。
係合片19aの外周をスリット22の底部22bで確実に支え、係合片19aで押ボタン15を簡単に回すことが可能になる。
【0042】
加えて、突起21は、図5に示すように、断面形状が略丸形に形成されている。突起21の断面形状を略丸形にすることで、突起21を案内面に沿って円滑に移動し、押ボタン15をより一層簡単に回すことが可能になる。
【0043】
また、スリット22は、図7に示すように、凹状の溝に形成することによって、押ボタン15の頂部15aに設けても、通常の使用状態において、押ボタン15を押し下げる際に邪魔になることがなく、さらに、誤操作を起こす虞もない。
【0044】
次に、残ガス廃棄機構20の製造方法について説明する。
残ガス廃棄機構20としては、肩カバー18と押ボタン15とを個別に形成することが第1の製造方法である。
また、第2の製造方法として、肩カバー18と押ボタン15とを、複数個(図では3個)のブリッジ28(図2参照)で連結した状態に一体形成し、形成後にブリッジ28を切断して肩カバー18と押ボタン15を切り離すことも可能である。
【0045】
肩カバー18と押ボタン15を一体形成することで、設備を一つに纏めることが可能になり、設備費を抑えることができる。
加えて、肩カバー18と押ボタン15を一体形成することで、生産性の向上を図ることができる。
【0046】
さらに、ブリッジ28を切断して肩カバー18と押ボタン15とを切り離した際に、押ボタン15側に残ったブリッジ28の一部を、一対の突起15として用いることも可能である。
これにより、押ボタン15に、個別に突起15を設ける必要がなく、成形型の簡素化を図ることができる。
【0047】
変形例
第2実施の形態の残ガス廃棄機構20は、スリット22を平面視において直線上に形成した例について説明したが、図8に示すように、スリット22の両端部のうちの、押ボタン15の噴出口15c(図3も参照)の上方に位置する一端部22aに矢印29を形成することも可能である。
【0048】
第2実施の形態の変形例によれば、スリット22の一端部22aに矢印29を形成することで、この矢印29を、例えば押ボタン15の噴出口15cに合わせることで、矢印29で噴出口15cの位置を確認することが可能になり、取扱い性のより一層の向上を図ることができる。
【0049】
次に、第3〜第7実施の形態を図9〜図13に基づいて説明する。なお、第3〜第7実施の形態において、第2実施の形態と同一類似部材については同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
第3実施の形態
図9(A),(B)に示す第2実施の形態の残ガス廃棄機構40は、案内面25の下端25b近傍に戻り防止手段41を備えた点で第1実施の形態の残ガス廃棄機構20と異なるだけで、その他の構成は第1実施の形態の残ガス廃棄機構20と同じである。
【0051】
戻り防止手段41は、案内面25の下端25bに、案内面25に対して逆方向に傾斜された部位である。
戻り防止手段41を設けることで、突起21を案内面25の下端25bまで移動したとき、突起21を案内面25の下端25bに保持する。
これにより、押ボタン15をエアゾール式缶本体11(図3参照)に向けて押し込んだ状態に確実に保つことができる。
【0052】
以上説明したように、第3実施の形態の残ガス廃棄機構40によれば、案内面25の下
端25a近傍に戻り防止手段41を備えることで、突起21を、残留ガスを放出する位置に確実に保持することが可能になる。
【0053】
第4実施の形態
図10(A),(B)に示す第3実施の形態の残ガス廃棄機構50は、案内面25の下端25b近傍に係止突起51を備えた点で第1実施の形態の残ガス廃棄機構20と異なるだけで、その他の構成は第1実施の形態の残ガス廃棄機構20と同じである。
【0054】
係止突起51は、案内面25の下端25b近傍に、案内面25から下方に突出させた凸部である。
係止突起51は、突起21を案内面25の下端25bまで移動する際に、突起21が乗り越えるように形成されている。
【0055】
係止突起51を設けることで、突起21を案内面25の下端25bまで移動したとき、突起21を係止突起51を超えて案内面25の下端25bに保持する。
これにより、押ボタン15をエアゾール式缶本体11(図3参照)に向けて押し込んだ状態に確実に保つことができる。
【0056】
以上説明したように、第4実施の形態の残ガス廃棄機構50によれば、案内面25の下端25a近傍に係止突起51を備えることで、突起21を、残留ガスを放出する位置に確実に保持することが可能になる。
【0057】
第5実施の形態
図11(A),(B)に示す第4実施の形態の残ガス廃棄機構60は、案内面25の上端25aに誤操作防止突起61を備えた点で第2実施の形態の残ガス廃棄機構40と異なるだけで、その他の構成は第4実施の形態の残ガス廃棄機構40と同じである。
【0058】
誤操作防止突起61は、案内面25の上端25aに、案内面25から下方に突出させた凸部である。
誤操作防止突起61を設けることで、通常の使用状態において、押ボタン15を押圧して突起21を、鉛直ガイド溝26に沿って矢印A方向に下降させた際に、突起21が案内面25に簡単には侵入することを防ぐことができる。
【0059】
第5実施の形態の残ガス廃棄機構60によれば、案内面25の上端25aに誤操作防止突起61を備えることで、通常の使用時に、押ボタン15を円滑に押し下げることが可能になる。
【0060】
第6実施の形態
第5実施の形態の残ガス廃棄機構60では、第3実施の形態の残ガス廃棄機構40に誤操作防止突起61を備えた例について説明したが、図12に示す第5実施の形態の残ガス廃棄機構70のように、第4実施の形態の残ガス廃棄機構50に誤操作防止突起61を備えることも可能である。
【0061】
第6実施の形態の残ガス廃棄機構70によれば、第5実施の形態の残ガス廃棄機構60と同様に、案内面25の上端25aに誤操作防止突起61を備えることで、通常の使用時に、押ボタン15を円滑に押し下げることが可能になる。
【0062】
第7実施の形態
図13(A),(B)に示す第7実施の形態の残ガス廃棄機構80は、鉛直ガイド溝26の上端26aに抜け防止部81を備えた点で第1実施の形態の残ガス廃棄機構20と異
なるだけで、その他の構成は第2実施の形態の残ガス廃棄機構20と同じである。
【0063】
抜け防止部81は、キャップ18に形成した鉛直ガイド溝26の上端26aに設けることで、通常の使用状態において、突起21が矢印D方向に上昇した際に、突起21がキャップ18から抜け出すことを防ぐ部材である。
【0064】
第7実施の形態の残ガス廃棄機構80によれば、鉛直ガイド溝26の上端26aに抜け防止部81を備えることで、通常の使用時において、取扱い性の向上が図れる。
加えて、外部から突起21が見えないように、抜け防止部81で突起21を隠すことが可能になり、意匠性が向上する。
【0065】
なお、前記実施の形態では、突起21の断面形状を略丸形に形成した例について説明したが、これに限らないで、その他の例として、四角形、三角形や半円弧形にすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の残ガス廃棄機構は、押ボタンを押圧することによりエアゾール式缶内のガスを噴射するエアゾール容器への適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は本発明の残ガス廃棄機構の第1の実施の形態における残ガス廃棄前の状態を示す図である。
【図2】図2は本発明の残ガス廃棄機構の第1の実施の形態における残ガス廃棄時の状態を示す図である。
【図3】本発明に係る第2実施の形態の残ガス廃棄機構を示す断面図である。
【図4】第2実施の形態に係る残ガス廃棄機構を示す平面図である。
【図5】図4のX1−Y1線断面図である。
【図6】第2実施の形態に係る残ガス廃棄機構のその他の例を示す説明図である。
【図7】第2実施の形態に係る残ガス廃棄機構のスリットを示す断面図である。
【図8】第2実施の形態に係る残ガス廃棄機構の変形例を示す説明図である。
【図9】(A)は第3実施の形態に係る残ガス廃棄機構を示す平面図、(B)は(A)のX2−Y2線断面図である。
【図10】(A)は第4実施の形態に係る残ガス廃棄機構を示す平面図、(B)は(A)のX3−Y3線断面図である。
【図11】(A)は第5実施の形態に係る残ガス廃棄機構を示す平面図、(B)は(A)のX4−Y4線断面図である。
【図12】第6実施の形態に係る残ガス廃棄機構を示す断面である。
【図13】(A)は第7実施の形態に係る残ガス廃棄機構を示す平面図、(B)は(A)のX5−Y5線断面図である。
【符号の説明】
【0068】
10 エアゾール容器
11 エアゾール式缶本体
12 エアゾール式缶本体の頂部中央(頂部)
13 ステム
13a ガス噴射口
15 押ボタン
16 押ボタンの外周
15a 押ボタンの頂部
18 肩カバー
18a 肩カバーの内周
19 キャップ
19a 係合片
20,40,50,60,70,80 残ガス廃棄機構
21 突起
22 スリット
22a 一端部
25 案内面
28 ブリッジ
29 矢印
41 戻り防止手段
51 係止突起
61 誤操作防止突起
81 抜け防止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール缶本体の頂部のステムに押ボタンを連結し、該押ボタンの外周を覆う肩カバーをエアゾール式缶本体に設ると共に、前記肩カバーを覆うキャップを備えたエアゾール容器の残ガス廃棄機構において、
前記押ボタンの外周に180度対称に一対の突起を設けるとともに、押ボタンの頂部にスリットを設け、
前記肩カバーの内周の一部に、前記一対の突起を案内する案内面を設け、
前記キャップの一部に前記スリットに係合して前記押ボタンを押込んで前記案内面に沿って回転させる係合片を分離可能に形成した、
ことを特徴とする残ガス廃棄機構。
【請求項2】
前記キャップは頂部に平坦部を有し、該平坦部には前記スリットに係合する略円形の係合片を分離可能に一体形成されていることを特徴とする請求項1記載の残ガス廃棄機構。
【請求項3】
前記押ボタンを前記エアゾール缶本体に向けて押し込んだ状態に突起を保持する戻り防止手段を、前記案内面の少なくとも1方に備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の残ガス廃棄機構。
【請求項4】
前記押ボタンを前記エアゾール缶本体に向けて押し込んだ状態に突起を保持する係止突起を、前記案内面の少なくとも一方に備えたことを特徴とする請求項3記載の残ガス廃棄機構。
【請求項5】
通常の使用状態において、突起が案内面に侵入することを防ぐ誤操作防止突起を、前記案内面の少なくとも一方に備えたことを特徴とする請求項3記載の残ガス廃棄機構。
【請求項6】
通常の使用状態において、突起が案内面から抜け出すことを防ぐ抜け防止部を、前記肩カバーに備えたことを特徴とする請求項3記載の残ガス廃棄機構。
【請求項7】
前記スリットは両端部のうちの、一端部に矢印が形成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の残ガス廃棄機構。
【請求項8】
前記スリットは、側断面の溝形状が湾曲状または角形状に形成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の残ガス廃棄機構。
【請求項9】
前記突起の形状は断面形状が略丸形であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の残ガス廃棄機構。
【請求項10】
前記肩カバーと押ボタンとをブリッジで連結した状態に一体形成し、形成後にブリッジを切断して肩カバーと押ボタンを切り離すことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の残ガス廃棄機構。
【請求項11】
ブリッジを切断して前記肩カバーと押ボタンとを切り離した際に、押ボタンに残ったブリッジの一部を、前記一対の突起として用いることを特徴とする請求項10記載の残ガス廃棄機構。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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