説明

段ボールシート製造装置

【課題】後続の段ボールの先端が第1の切断部から加工部まで搬送される間における先行する段ボールの搬送速度の加速度をカットオフ装置の限界加速度以下に決定することにより、不良な段ボールシートの発生を低減する。
【解決手段】カットオフ装置40は、段ボールを切断するための回転体の回転速度が限界加速度MUA以下で加速可能な構成を有する。第1および第2の駆動部は、先行する段ボールおよび後続の段ボールを搬送する。搬送制御部は、先行する段ボールと後続の段ボールとの間にギャップGP1が生じるように両駆動部を制御する。搬送制御部は、ロータリーシャ20とスリッタスコアラ30との間の距離L4、ギャップの長さ、および後続の段ボールの搬送速度VF1に基づいて、後続の段ボールの先端が距離L4だけ搬送される間に先行する段ボールの搬送速度を加速する搬送加速度αを限界加速度以下に決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の異なるオーダを連続して実行するために、オーダ変更時点で、連続した段ボールを幅方向に切断してリーダとトレーラとをギャップを設けて形成し、このギャップがスリッタスコアラおよびカットオフ装置などの加工装置の配置位置を通過する間に加工装置の加工位置を切り替える段ボールシート製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スリッタスコアラなどの加工装置は、各オーダに応じて幅方向の切断位置および罫線位置などの加工位置を切り替える必要がある。この加工位置の切り替えが、段ボールが搬送されている間に行われると、加工位置の切り替えの間に搬送された段ボールは、不良品となる。この不良な段ボールの発生を抑えるために、前オーダの段ボールであるリーダと後オーダの段ボールであるトレーラとの間にギャップを設け、このギャップが通過する間に加工装置の加工位置を切り替える装置が、特許文献1などにより提案され、よく知られている。
【0003】
特許文献1に記載の段ボールシート製造装置においては、ロータリーシャは、段ボールの搬送路に沿って、カットオフ装置より所定の距離だけ上流側に配置されていることから、まず、ロータリーシャがオーダ変更位置において段ボールをリーダとトレーラとに切断する。ギャップを設けるために、ロータリーシャにより段ボールが切断された後に、リーダの搬送速度がトレーラの搬送速度に対して加速される。所定のギャップが設けられた後に、この加速されたリーダの搬送速度は維持されて、前オーダにおける加工が実行される。その後、リーダの搬送速度は加速前の元の搬送速度にまで減速される。カットオフ装置は、前オーダに応じた所定のシート長さにリーダを順次切断していく。
【0004】
一般に、カットオフ装置は、段ボールの搬送路の上下に、一対のナイフシリンダを備え、両シリンダを駆動モータにより回転させる構成であり、特許文献2などに記載され、よく知られている。両ナイフシリンダは、段ボールを所定のシート長さに切断するために、段ボールの搬送速度と同期した回転速度で駆動される。特許文献1に記載の装置において、リーダの搬送速度が加速されるときには、両ナイフシリンダの回転速度も同期して加速される必要がある。また、所定のシート長さにリーダを順次切断するために、両ナイフシリンダは、前のシートを切断した後に、次のシートを切断するために所定の回転開始位置に戻る必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−76250号公報
【特許文献2】特許第3749755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
両ナイフシリンダの回転軸方向の長さは、切断可能な段ボールの横方向の最大幅より、長い。また、両ナイフシリンダは、段ボールを切断する際に変形しないように大きな剛性を有する必要がある。このため、両ナイフシリンダは、段ボールシート製造装置において比較的重い回転部材である。両ナイフシリンダと、そのシリンダに連結された歯車伝達機構などの部材とを含む回転部分全体の慣性モーメントは、相当大きくなる。この結果、両ナイフシリンダの回転速度をリーダの搬送速度の加速度に合わせて加速することができる加速度は、回転部分全体の慣性モーメントと、ナイフシリンダの駆動用に使用するモータの容量(性能)とに基づく限界加速度として、自ずと制限される。
【0007】
特許文献1に記載の段ボールシート製造装置において、ギャップを設けるためにリーダの搬送速度が急激に加速され、その搬送速度の加速度がカットオフ装置の上記限界加速度を超える場合には、両ナイフシリンダの回転速度はリーダの搬送速度と同期することができなくなる。この結果、カットオフ装置は、各オーダに応じた所定のシート長さにリーダを切断することができず、不良な段ボールシートが発生する。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、後続の段ボールの先端が第1の切断部から加工部まで搬送される間における先行する段ボールの搬送速度の加速度をカットオフ装置の限界加速度以下の加速度に決定することにより、不良な段ボールシートの発生を低減することができる段ボールシート製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明態様は、段ボール生産ラインから搬送方向に搬送された連続する段ボールに対して、各オーダに応じた加工を行うと共に所定のシート長さに切断して段ボールシートを製造する段ボールシート製造装置において、オーダが変更されるときに前記搬送方向と直交する幅方向に段ボールを切断する第1の切断部と、前記搬送方向において前記第1の切断部より下流側に配置され、各オーダに応じたスリットおよび罫線の加工を段ボールに施す加工部と、前記搬送方向において前記加工部より下流側に配置され、前記幅方向に段ボールを切断するために回転可能な回転体を含み、この回転体の回転速度が所定の限界加速度以下の加速度で加速可能な構成を有する第2の切断部と、連続する段ボールから前記第1の切断部により切断され前記搬送方向において先行する段ボールを搬送する第1の駆動部と、後続の段ボールを搬送する第2の駆動部とを有する搬送部と、前記第1の切断部により切断される前の連続する段ボールが搬送された搬送長さを測定し、前記第1の切断部により切断された後の前記先行する段ボールが搬送された搬送長さを測定する測定部と、前記測定部により測定された搬送長さに基づいて、連続する段ボール上でのオーダ変更位置を決定して前記第1の切断部を作動させ、前記測定部により測定された搬送長さに基づいて、各オーダに応じた所定のシート長さに前記先行する段ボールを切断するために前記第2の切断部を作動させる切断制御部と、前記第1の切断部の作動後に、前記先行する段ボールと前記後続の段ボールとの間に所定のギャップが生じるように前記第1および第2の駆動部の搬送速度を制御する搬送制御部とを備え、前記搬送制御部が、前記第1の切断部と前記加工部との間の距離、前記所定のギャップの長さ、および前記後続の段ボールを加工するオーダに応じて定められた段ボールの搬送速度に基づいて、前記後続の段ボールの先端が前記第1の切断部から前記加工部まで搬送される間に前記先行する段ボールの搬送速度を加速する搬送加速度を前記所定の限界加速度以下に決定し、その決定された搬送加速度で加速されるように前記第1の駆動部の搬送速度を制御する構成である。
【0010】
本発明態様の搬送制御部は、後続の段ボールの先端が第1の切断部から加工部まで搬送される間において、先行する段ボールの搬送速度を所定の限界加速度以下で加速するのであれば、等しい加速度で加速する構成でも、変化する加速度で加速する構成でも良い。本発明態様の搬送制御部は、後続の段ボールの先端が加工部に到達した後も、先行する段ボールの搬送速度の加速を所定の期間継続する構成でも良い。または、本発明態様の搬送制御部は、後続の段ボールの先端が加工部に到達した後に、先行する段ボールの搬送速度を、維持する構成でも、減速する構成でも良い。
【0011】
本発明態様の搬送制御部は、搬送加速度を決定するために、後続の段ボールを加工するオーダに応じて定められた段ボールの搬送速度として、後続の段ボールの先端が第1の切断部から搬送されて加工部まで到達する間における搬送速度を表すのであれば、後続の段ボールを加工するオーダに応じて予め定められた段ボールの搬送速度を使用する構成でも、または、第1の切断部が段ボールを切断する前において第1の切断部の上流側または下流側に位置する段ボールの搬送速度を検出し、その検出された搬送速度を使用する構成でも良い。さらには、第1の切断部が段ボールを切断した直後において第1の切断部の上流側に位置する段ボールの搬送速度を検出し、その検出された搬送速度を使用する構成でも良い。
【0012】
本発明態様の搬送制御部は、所定のギャップがオーダ変更の際に加工部の加工位置を正確に位置決めすることができる長さであれば、搬送加速度を決定するために、オーダに応じて長さが変更されるギャップを使用する構成でも、段ボールの最高搬送速度に従って予め定められた一定の長さのギャップを使用する構成でも良い。
【0013】
本発明態様の加工部は、1台の加工部でも、搬送方向に配列された2台の加工部でも良い。2台の加工部を使用する場合、搬送制御部は、搬送加速度を決定するために、第1の切断部と加工部との間の距離として、第1の切断部と上流側に配列された加工部との距離を使用する。また、本発明態様の加工部は、スリットおよび罫線を施す複数の加工具が加工可能な状態と待機状態との間で一斉に上下動する構成でも、独立して上下動する構成でも良い。
【0014】
本発明態様の第2の切断部の所定の限界加速度は、通常、第2の切断部の回転体の慣性モーメントに応じて定められる。しかし、その回転体に連結された動力伝達機構の回転部材、および駆動モータのロータの慣性モーメントが、第2の切断部の回転体の加速に大きく影響する場合には、回転体と、それに連結された回転部材およびロータとの合計の慣性モーメントに応じて、所定の限界加速度が定められる。
【0015】
請求項2に係る具体的態様において、前記搬送制御部により決定された搬送加速度が、前記後続の段ボールの先端が前記第1の切断部から前記加工部まで搬送される間において等加速度である。
【0016】
請求項3に係る具体的態様において、前記段ボール生産ラインのダブルフェーサにおいて搬送される段ボールの搬送速度を検出する速度検出部を備え、前記搬送制御部が、前記第1の切断部と前記加工部との間の距離、前記所定のギャップの長さ、および前記速度検出部により検出された段ボールの搬送速度に基づいて、前記搬送加速度を算出する。
【0017】
具体的態様の速度検出部は、連続する段ボール上のオーダ変更位置に対応する部分がダブルフェーサから搬出された後であって第1の切断部が段ボールを切断する前に、ダブルフェーサにおいて搬送されている段ボールの搬送速度を検出する構成でも、第1の切断部が段ボールを切断した後であって先行する段ボールの搬送速度が加速される前に、ダブルフェーサにおいて搬送されている段ボールの搬送速度を検出する構成でも良い。
【0018】
請求項4に係る具体的態様において、前記第1の駆動部が、前記第1の切断部と前記加工部との間に配置された第1のコンベアを駆動する第1の搬送モータと、前記加工部と前記カットオフ装置との間に配置された第2のコンベアを駆動する第2の搬送モータと、前記カットオフ装置より下流側に配置された第3のコンベアを駆動する第3の搬送モータとを含み、前記先行する段ボールの後端が前記第1のコンベア、前記第2のコンベア、および前記カットオフ装置の各々を通過したことを検出する通過検出部を備え、前記搬送制御部が、前記先行する段ボールの後端が前記第1および第2のコンベアの各々を通過したことが前記通過検出部により検出されたときに、その後端が通過したコンベアを駆動する搬送モータの搬送速度を前記速度検出部により検出された搬送速度まで減速し、前記先行する段ボールの後端が前記カットオフ装置を通過したことが前記通過検出部により検出されたときに、前記第3のコンベアを駆動する第3の搬送モータの搬送速度を前記速度検出部により検出された搬送速度まで減速する。
【0019】
具体的態様の加工部が、搬送方向に配列された2台の加工部である場合には、第1の駆動部は、2台の加工部の間に配置されたコンベアを駆動する搬送モータを含む構成でも良い。この場合にも、搬送制御部は、先行する段ボールの後端が2台の加工部の間に配置されたコンベアを通過したことが通過検出部により検出されたときに、その後端が通過したコンベアを駆動する搬送モータの搬送速度を速度検出部により検出された搬送速度まで減速する。
【0020】
請求項5に係る具体的態様において、前記搬送制御部により算出された搬送加速度が前記所定の限界加速度を超えるか否かを判断する判断部を備え、前記搬送制御部が、前記算出された搬送加速度が前記所定の限界加速度以下であると前記判断部により判断されたときに、前記第2の駆動部の搬送速度を前記速度検出部により検出された搬送速度に維持すると共に、前記第1の駆動部の搬送速度を前記算出された搬送加速度で加速し、前記算出された搬送加速度が前記所定の限界加速度を超えると前記判断部により判断されたときに、前記第2の駆動部の搬送速度を前記速度検出部により検出された搬送速度から減速すると共に、前記第1の駆動部の搬送速度を前記所定の限界加速度で加速する。
【0021】
具体的態様の搬送制御部は、後続の段ボールの先端が第1の切断部から加工部まで搬送される間において、第2の駆動部の搬送速度を速度検出部により検出された搬送速度から減速するのであれば、等しい加速度で減速する構成でも、変化する加速度で減速する構成でも良い。
【0022】
請求項6に係る具体的態様において、前記段ボール生産ラインのダブルフェーサにおいて搬送される段ボールの搬送速度の加速を指令するために操作可能な操作部を備え、前記搬送制御部が、前記操作部が操作されたときに、その操作に従い前記第2の駆動部の搬送速度を加速し、前記算出された搬送加速度が前記所定の限界加速度を超えると前記判断部により判断されたときに、前記第2の駆動部の搬送速度を前記速度検出部により検出された搬送速度から減速する間、前記操作部の操作に従う前記第2の駆動部の搬送速度の加速を禁止する。
【0023】
請求項7に係る具体的態様において、前記算出された搬送加速度が前記所定の限界加速度を超えると前記判断部により判断されたときに、前記搬送制御部が、予め定められた減速用加速度で前記第2の駆動部の搬送速度を前記速度検出部により検出された搬送速度から減速する減速時間を、前記第1の切断部と前記加工部との間の距離、前記所定のギャップの長さ、前記速度検出部により検出された搬送速度、および前記減速用加速度に基づいて、決定する。
【0024】
具体的態様の予め定められた減速用加速度は、速度検出部により検出された搬送速度から減速する間、等しい加速度でも、変化する加速度でも良い。減速用加速度は、段ボールが蛇行して搬送されないように、段ボールを折り返して搬送する構成などダブルフェーサの機械的構成に応じて、予め定められる。また、搬送制御部は、一定の演算式に従って減速時間を算出する構成でも、テ−ブルなどのメモリから読み出して決定する構成でも良い。
【0025】
請求項8に係る具体的態様において、前記算出された搬送加速度が前記所定の限界加速度を超えると前記判断部により判断されたときに、前記第2の駆動部の搬送速度を前記速度検出部により検出された搬送速度から減速する加速度が、前記後続の段ボールの先端が前記第1の切断部から前記加工部まで搬送される間において等加速度である。
【0026】
請求項9に係る具体的態様において、前記搬送制御部が、前記後続の段ボールの先端が前記第1の切断部から前記加工部まで搬送される間に前記第2の駆動部の搬送速度を前記速度検出部により検出された搬送速度から減速した後に、前記第2の駆動部の搬送速度を所定期間だけ一定の速度に制御し、前記所定期間の経過後、予め定められた増速用加速度で前記第2の駆動部の搬送速度を前記速度検出部により検出された搬送速度まで加速する。
【0027】
具体的態様において第2の駆動部の搬送速度を一定の速度に制御する所定期間は、後続の段ボールに過剰な張力が加わらないように決められるのであれば、予め定められた一定の期間でも、後続の段ボールの種類、および、その搬送速度の加速度の変化量に応じて算出される期間でも良い。増速用加速度は、段ボールが蛇行して搬送されず、かつ過剰な張力が段ボールにかからないように、段ボールを折り返して搬送する構成などダブルフェーサの機械的構成、および後続の段ボールの種類に応じて、予め定められる。
【0028】
請求項10に係る具体的態様において、前記第1の切断部と前記加工部との間の距離が、前記所定のギャップの長さ、前記第2の駆動部の最高搬送速度、および前記所定の限界加速度に基づいて、定められた距離である。
【0029】
具体的態様の第2の駆動部の最高搬送速度は、搬送部のうちで、第2の駆動部により駆動される部分が段ボールの加工に支障がない状態で段ボールを搬送することができる最高の搬送速度である。
【発明の効果】
【0030】
請求項1に係る発明態様において、搬送制御部が、第1の切断部と加工部との間の距離、所定のギャップの長さ、および先行する段ボールを加工するオーダに応じて定められた段ボールの搬送速度に基づいて、後続の段ボールの先端が第1の切断部から加工部まで搬送される間に先行する段ボールの搬送速度を加速する搬送加速度を所定の限界加速度以下に決定し、その決定された搬送加速度で加速されるように第1の駆動部の搬送速度を制御する。この結果、第2の切断部の回転体の回転速度が、所定のギャップを設ける際に加速制御される段ボールの搬送速度に追従することができ、第2の切断部はオーダに応じた所定のシート長さに先行する段ボールを正確に切断することができる。これにより、不良な段ボールシートの発生を低減することができる
【0031】
請求項2に係る具体的態様において、搬送制御部により決定された搬送加速度が、後続の段ボールの先端が第1の切断部から加工部まで搬送される間において等加速度である。この結果、後続の段ボールの先端が第1の切断部から加工部まで搬送される間において、搬送加速度が変化する場合、例えば一旦大きくなってから小さくなる場合に比べ、搬送加速度を小さく決定することができ、第2の切断部の回転体の回転速度が、先行する段ボールの搬送速度に一層確実に追従することができる。
【0032】
請求項3に係る具体的態様において、搬送制御部が、第1の切断部と加工部との間の距離、所定のギャップの長さ、および速度検出部により検出された段ボールの搬送速度に基づいて、搬送加速度を算出する。この結果、搬送制御部は、オーダ変更の際の段ボールの実際の搬送速度に基づいて搬送加速度を算出することから、後続の段ボールの先端が加工部に到達するときに、先行する段ボールと後続の段ボールとの間のギャップを所定の長さに正確に設定することができる。
【0033】
請求項4に係る具体的態様において、搬送制御部が、先行する段ボールの後端が各コンベアまたはカットオフ装置を通過したことが通過検出部により検出されたときに、その後端が通過したコンベア、またはカットオフ装置より下流側の第3のコンベアを駆動する搬送モータの搬送速度を速度検出部により検出された搬送速度まで減速する。この結果、先行する段ボールの後端が第1乃至第3のコンベアの全てのコンベアを通過した後に第1乃至第3の搬送モータの搬送速度を速度検出部により検出された搬送速度まで減速する構成に比べ、後続の段ボールの先端が加工部に到達する前の早い段階で、第1のコンベアにより後続の段ボールを速度検出部により検出された搬送速度で搬送することができる。これにより、後続の段ボールを安定した搬送速度で搬送しながら加工部により精度良く加工することができる。
【0034】
請求項5に係る具体的態様において、搬送制御部が、算出された搬送加速度が所定の限界加速度を超えると判断部により判断されたときに、第2の駆動部の搬送速度を速度検出部により検出された搬送速度から減速すると共に、第1の駆動部の搬送速度を所定の限界加速度で加速する。この結果、算出された搬送加速度が所定の限界加速度を超えるときでも、第2の駆動部の搬送速度を速度検出部により検出された搬送速度から減速することから、第2の切断部により先行する段ボールを所定のシート長さに正確に切断することができると共に、後続の段ボールの搬送を一旦停止することなく続行することができ、後続の段ボールの加工も効率良く実行することができる。
【0035】
請求項6に係る具体的態様において、操作部が操作されたときに、その操作に従い第2の駆動部の搬送速度を加速し、前記算出された搬送加速度が所定の限界加速度を超えると判断部により判断されたときに、第2の駆動部の搬送速度を速度検出部により検出された搬送速度から減速する間、操作部の操作に従う第2の駆動部の搬送速度の加速を禁止する。この結果、操作部の操作に影響されることなく、第2の駆動部の搬送速度を確実に減速することができ、所定の長さのギャップを正確に設けることができる。
【0036】
請求項7に係る具体的態様において、搬送制御部が、予め定められた減速用加速度で第2の駆動部の搬送速度を速度検出部により検出された搬送速度から減速する減速時間を、第1の切断部と加工部との間の距離、所定のギャップの長さ、速度検出部により検出された搬送速度、および減速用加速度に基づいて、算出する。この結果、減速時間を容易かつ正確に決定することができ、所定の長さのギャップを正確に設けることができる。
【0037】
請求項8に係る具体的態様において、算出された搬送加速度が所定の限界加速度を超えると判断部により判断されたときに、第2の駆動部の搬送速度を速度検出部により検出された搬送速度から減速する加速度が、後続の段ボールの先端が第1の切断部から加工部まで搬送される間において等加速度である。この結果、後続の段ボールの先端が第1の切断部から加工部まで搬送される間において、減速する加速度が変化する場合、例えば一旦大きくなってから小さくなる場合に比べ、減速する加速度を小さく決定することができ、第2の駆動部の搬送速度を精度良く減速して後続の段ボールに急激な応力を加えることなくその搬送を安定化させることができる。
【0038】
請求項9に係る具体的態様において、搬送制御部が、後続の段ボールの先端が第1の切断部から加工部まで搬送される間に第2の駆動部の搬送速度を速度検出部により検出された搬送速度から減速した後に、第2の駆動部の搬送速度を所定期間だけ一定の速度に制御する。この結果、第2の駆動部の搬送速度を速度検出部により検出された搬送速度から減速した後に、直ちに、第2の駆動部の搬送速度を速度検出部により検出された搬送速度まで加速する場合に比べ、後続の段ボールに急激な張力を加えることなくその搬送を安定化させることができる。
【0039】
請求項10に係る具体的態様では、第1の切断部と加工部との間の距離が、所定のギャップの長さ、第1の駆動部の最高搬送速度、および所定の限界加速度に基づいて、定められた距離である。この結果、段ボールの搬送加速度が所定の限界加速度を超えない状態で、第1の切断部と加工部との間の距離を可能な限り小さくすることができ、段ボールシート製造装置全体の搬送方向の長さを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係るコルゲートマシン1の加工エンドの全体的構成を示す正面図である。
【図2】本実施形態に係る加工エンドの各装置、および検出器の配置関係を説明するための説明図である。
【図3】本実施形態に係るコルゲートマシン1の加工エンドに関係する電気的構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係るコルゲートマシン1の管理装置100の主制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】本実施形態における両面段ボールの搬送状態SF1〜SF7の変化を説明するための説明図である。
【図6】本実施形態に係るコルゲートマシン1の速度指令装置170の速度指令ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】本実施形態に係るコルゲートマシン1のダブルフェーサ10の搬送速度を一定速度に維持した状態において加工エンドの各装置を駆動する駆動モータM1〜M11の速度変化と時間との関係を説明するための説明図である。
【図8】本実施形態に係るダブルフェーサ10の搬送速度を減速した状態において加工エンドの各装置を駆動する駆動モータM1〜M5の速度変化と時間との関係を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
[実施形態]
本発明の段ボールシート製造装置をコルゲートマシンに適用した一実施形態について、添付図面を参照して以下に説明する。一般に、コルゲートマシンは、連続する両面段ボールを生産する生産エンドと、両面段ボールを加工する加工エンドとを備える。生産エンドは、ミルロールスタンド、シングルフェーサおよびダブルフェーサなどの多数の生産装置のラインから構成され、加工エンドは、ロータリーシャ、スリッタスコアラ、カットオフ装置およびスタッカ装置などの多数の加工装置のラインから構成される。コルゲートマシンの構成は、特開2009−160797号公報などにより公知であるので、その詳細な説明は省略する。本実施形態のコルゲートマシン1については、段ボールの搬送方向FDにおいて、ダブルフェーサ10より下流側に配置された加工エンドのみを図1に示して説明する。本明細書および図面において、上下方向および左右方向は図1に矢印で示す方向を示し、搬送方向FDは、図1において、右側から左側に搬送される方向を表す。
【0042】
《全体的構成》
図1は、本実施形態のコルゲートマシン1における多数の加工装置の全体的構成を示す正面図である。図1において、コルゲートマシン1の加工エンドは、ダブルフェーサ10の出口から下流側に延びる搬送路に沿って、ロータリーシャ20、スリッタスコアラ30、カットオフ装置40、およびスタッカ装置50を備える。ダブルフェーサ10は、シングルフェーサにより生産された片面段ボールに表ライナを貼り合わせて両面段ボールを形成する。ダブルフェーサ10は、上部ベルト11および下部ベルト12を備え、両ベルトにより両面段ボールを上下から挟持して搬送する。上部ベルト11および下部ベルト12は、駆動モータM1に連結された上部プーリ13および下部プーリ15によりそれぞれ駆動される。本実施形態の駆動モータM1は、本発明の第2の駆動部の一例であり、本発明の搬送部の一部に相当する。
【0043】
〈加工エンドの構成〉
ロータリーシャ20は、ダブルフェーサ10の下流側に配置されており、オーダ変更時に、両面段ボールを搬送方向FDと直交する幅方向に全幅切断する。ロータリーシャ20は、上下に対向配置されたナイフシリンダ21、22と備える。それぞれのナイフシリンダ21、22の周面には、幅方向に延びる上ナイフおよび下ナイフが設けられる。両シリンダ21、22が回転すると、上ナイフと下ナイフとが係合して両面段ボールが幅方向に切断される。ロータリーシャ20は、両面段ボールを送出する送出側コンベア23を備える。出口コンベア23は駆動モータM2により駆動される。本実施形態のロータリーシャ20は、本発明の第1の切断部の一例である。本実施形態の送出側コンベア23および駆動モータM2は、本発明の搬送部の一部に相当する。
【0044】
スリッタスコアラ30は、所定の幅を持つように両面段ボールを搬送方向FDに切断すると共に、搬送方向FDに延びる罫線を施す。スリッタスコアラ30は、搬送方向FDに沿って配列された第1のユニット30Aと第2のユニット30Bとから構成される。第1および第2のユニット30A、30Bは、一方が稼動中に、他方は、オーダ変更のために幅方向の加工位置の切り替えなどの準備作業を行うように構成される。
【0045】
第1のユニット30Aは、搬送方向FDに沿って配列された罫線ロール対31Aおよび罫線ロール対32Aを備える。各罫線ロール対は、上下に対向配置された上罫線ロールと下罫線ロールとの組を幅方向に多数組有する。上罫線ロールおよび下罫線ロールはそれぞれ幅方向および上下方向に移動可能に構成される。罫線ロール対31A、32Aは、駆動モータM4により駆動される。
【0046】
罫線ロール対32Aの下流側には、スリッタナイフ対33Aが配置される。スリッタナイフ対33Aは、上下に対向配置された上スリッタナイフと下スリッタナイフとの組を幅方向に多数組有する。上スリッタナイフおよび下スリッタナイフはそれぞれ幅方向および上下方向に移動可能に構成される。スリッタナイフ対33Aは、駆動モータM5により駆動される。
【0047】
各オーダに従う所定幅に両面段ボールを切断するために多数組のスリッタナイフ対の中の複数組のスリッタナイフ対が選択的に作動され、幅方向において位置決めされる。また、各オーダに従う幅方向の間隔で罫線を加工するために多数の罫線ロール対の中の複数の罫線ロール対が選択的に作動され、幅方向において位置決めされる。各罫線ロール対は、各オーダ通りの深さの罫線を加工するために上下方向においても位置決めされる。罫線ロール対31A、32Aおよびスリッタナイフ対33Aが回転すると、各オーダに応じて位置決めされた幅方向の所定位置に、切断および罫線の加工が両面段ボールに施される。
【0048】
第2のユニット30Bも、第1のユニット30Aと同様に構成され、2組の罫線ロール対31B、32Bと、スリッタナイフ対33Bとを備える。罫線ロール対31B、32Bは、駆動モータM7により駆動される。スリッタナイフ対33Bは、駆動モータM8により駆動される。図1では、第2のユニット30Bが準備状態にあり、上下の罫線ロールおよび上下のスリッタナイフが互いに離間する。本実施形態のスリッタスコアラ30は、本発明の加工部の一例である。
【0049】
カットオフ装置40は、スリッタスコアラ30によって搬送方向FDに切断された両面段ボールを幅方向に切断し、板状の段ボールシートを形成する。カットオフ装置40は、上下に対向配置された上ナイフシリンダ41および下ナイフシリンダ42を有する。両ナイフシリンダ41、42が回転してナイフが噛合うことにより、両面段ボールが幅方向に切断される。上ナイフシリンダ41および下ナイフシリンダ42は、特許文献2などに記載され、公知の構成であり、両面段ボールを切断するために、両面段ボールの幅方向の長さを超える長さを有し、切断時に変形しないようにスチールなどの剛性を有する材料から成形される。このため、各ナイフシリンダは大きな慣性モーメントを有し、各ナイフシリンダの回転速度を加速することができる加速度には、その慣性モーメントにより限界がある。以下、カットオフ装置40の限界の最大加速度を限界加速度MUAと記す。
【0050】
カットオフ装置40は、供給側コンベア43および送出側コンベア44を有する。供給側コンベア43は、連続する両面段ボールを両ナイフシリンダ41、42に供給し、送出側コンベア44は両ナイフシリンダのナイフにより切断された段ボールシートを送出する。供給側コンベア43は、駆動モータM10により駆動される。送出側コンベア44は、駆動モータM11により駆動される。本実施形態のカットオフ装置40は、本発明の第2の切断部の一例であり、上ナイフシリンダ41および下ナイフシリンダ42は、本発明の回転体の一例である。本実施形態の供給側コンベア43、送出側コンベア44、および駆動モータM10、M11は、本発明の搬送部の一部に相当する。本実施形態において送出側コンベア44を駆動する駆動モータM11は、本発明の第1の駆動部の一例である。
【0051】
限界加速度MUAは、カットオフ装置40の上ナイフシリンダ41および下ナイフシリンダ42の慣性モーメント、両ナイフシリンダに動力を伝達する歯車伝達機構などの慣性モーメント、両ナイフシリンダを回転させる駆動モータM10の出力容量、駆動モータM10のロータの慣性モーメント、およびカットオフ装置40の所定の切断寸法許容範囲などに基づいて、定められる。たとえば、コンベア23、43、44および後述のコンベアユニット61A〜63Aが所定の搬送速度で両面段ボールを搬送している状態において、駆動モータM10を回転させてカットオフ装置40が両面段ボールを所定のシート長さに切断するときに両ナイフシリンダの回転速度の加速度を算出する。両ナイフシリンダの一方のシリンダの回転軸にタコジェネレータを取り付け、そのタコジェネレータの出力信号を微分することにより、加速度が算出される。所定の搬送速度を徐々に高くした場合に、カットオフ装置40により切断された両面段ボールシートの長さが所定のシート長さの切断寸法許容範囲内にあるのか否かを確認する。両面段ボールシートの長さが切断寸法許容範囲から外れる直前の状態において算出された加速度が、限界加速度MUAである。なお、所定の切断寸法許容範囲は、両面段ボールの種類、およびその用途に応じて予め定められる。切断されたシート長さが切断寸法許容範囲内にあるのか否かを確認する方法として、カットオフ装置40により実際に切断されたシート長さを計測してもよい。この実際に切断する方法に代えて、両面段ボールを実際に搬送することを行わずに、両面段ボールの搬送速度に対応した周波数を有する擬似的なパルス信号をカットオフ装置40に入力する。両ナイフシリンダが所定のシート長さに対応した回転動作をする間に入力されたパルス信号を計数することにより、切断されたシート長さを擬似的に計測してもよい。この方法の場合には、擬似的なパルス信号を用いるため、両面段ボールシートを実際に切断することを要しない。
【0052】
スタッカ装置50は、送出側コンベア44から搬送コンベア51により搬送された段ボールシートを積み上げ、製品として機外に排出する。スタッカ装置50は、各オーダに従うサイズの段ボールシートを積載するために最適なパレットを自動的に選択するように構成される。
【0053】
〈サクションコンベアの構成〉
ロータリーシャ20からカットオフ装置40までの間において、連続する両面段ボールを搬送するためにサクションコンベア群60が配置される。サクションコンベア群60は、第1ないし第3のサクションコンベア61、62、63からなる。第1のサクションコンベア61は、ロータリーシャ20とスリッタスコアラ30の第1のユニット30Aとの間に配置され、第2のサクションコンベア62は、スリッタスコアラ30の第1および第2のユニット30A、30Bの間に配置され、第3のサクションコンベア63は、第2のユニット30Bとカットオフ装置40の供給側コンベア43との間に配置される。第1のサクションコンベア61は、コンベアユニット61Aと、ブロアユニット61Bとを有する。コンベアユニット61Aは、連続する両面段ボールを搬送方向FDに搬送する構成であり、ブロアユニット61Bは、コンベアユニット61Aにより搬送される両面段ボールを下方に吸引して両面段ボールをコンベアユニット61Aの搬送表面に吸着させる作用を有する。この吸着作用により、両面段ボールの湾曲および蛇行を抑制することができる。第2および第3のサクションコンベア62、63も、第1のサクションコンベア61と同様に構成され、コンベアユニット62A、63Aと、ブロアユニット62B、63Bとを有する。コンベアユニット61A、62A、63Aは、駆動モータM3、M6、M9により個別に駆動され、各駆動モータの回転により、両面段ボールを搬送する。本実施形態のサクションコンベア群60および駆動モータM3、M6、M9は、本発明の搬送部の一部に相当する。本実施形態の送出側コンベア23およびコンベアユニット61Aが、本発明の第1のコンベアの一例であり、コンベアユニット62A、63Aおよび供給側コンベア43が、本発明の第2のコンベアの一例であり、送出側コンベア44が、本発明の第3のコンベアの一例である。本実施形態の駆動モータM2、M3が、本発明の第1の搬送モータの一例であり、駆動モータM6、M9、M10が、本発明の第2の搬送モータの一例であり、駆動モータM11が、本発明の第3の搬送モータの一例である。
【0054】
〈パルスジェネレータおよび検出器の構成〉
両面段ボールが搬送方向FDに搬送された搬送長さ、および両面段ボールの搬送速度を測定するために第1および第2のパルスジェネレータPG1、PG1が設けられる。第1のパルスジェネレータPG1は、ダブルフェーサ10から送出される両面段ボールの搬送長さおよび搬送速度を検出するために、駆動モータM1の出力軸に連結される。第2のパルスジェネレータPG2は、カットオフ装置40に向かって供給される両面段ボールの搬送長さおよび搬送速度を検出するために、駆動モータM10の出力軸に連結される。各パルスジェネレータは、連結された駆動モータの回転速度に比例した周波数のパルス信号を発生する。各パルスジェネレータからのパルス信号が後述の制御装置の追跡処理により積算されることにより、両面段ボールの搬送長さが測定される。また、各パルスジェネレータからのパルス信号の周波数が後述の制御装置の測定処理により算出されることにより、両面段ボールの搬送速度が測定される。
【0055】
両面段ボールの有無を検出するために検出器DTが、供給側コンベア43の上方に配置される。検出器DTは、作動子を有するマイクロスイッチまたは光学センサから構成される。検出器DTが光学センサから構成される場合、光学センサは、その照射面から供給側コンベア43に向けて光線を照射し、両面段ボールが供給側コンベア43上に存在するときに、両面段ボールの表面から反射された光線を受光面で受ける。光学センサは、受光した光量に応じて、両面段ボールの有無を表す検出信号を発生する。
【0056】
〈加工エンドにおける各装置の配置関係〉
図2は、コルゲートマシン1の加工エンドに配置された各装置および検出器などの配置関係を説明するための説明図である。位置P1は、ロータリーシャ20のナイフシリンダ21、22が両面段ボールを切断する切断位置を示す。位置P2は、送出側コンベア23から両面段ボールへの搬送力の付与が終了する送出側コンベア23の下流側端部の位置を示し、距離L1は、位置P1と位置P2との間の距離を示す。位置P3は、コンベアユニット61Aから両面段ボールへの搬送力の付与が終了するコンベアユニット61Aの下流側端部の位置を示し、距離L2は、位置P1と位置P3との間の距離を示す。位置P4は、両面段ボールが罫線ロール対31Aによる加工可能な領域に入る直前の位置を示し、距離L3は、位置P1と位置P4との間の距離を示す。位置P5は、両面段ボールが罫線ロール対32Aによる加工可能な領域から抜ける位置を示し、距離L4は、位置P1と位置P5との間の距離を示す。位置P6は、両面段ボールがスリッタナイフ対33Aによる加工可能な領域から抜ける位置を示し、距離L5は、位置P1と位置P6との間の距離を示す。
【0057】
位置P7は、コンベアユニット62Aから両面段ボールへの搬送力の付与が終了するコンベアユニット62Aの下流側端部の位置を示し、距離L6は、位置P1と位置P7との間の距離を示す。位置P8は、両面段ボールが罫線ロール対32Bによる加工可能な領域から抜ける位置を示し、距離L7は、位置P1と位置P8との間の距離を示す。位置P9は、両面段ボールがスリッタナイフ対33Bによる加工可能な領域から抜ける位置を示し、距離L8は、位置P1と位置P9との間の距離を示す。位置P10は、コンベアユニット63Aから両面段ボールへの搬送力の付与が終了するコンベアユニット63Aの下流側端部の位置を示し、距離L9は、位置P1と位置P10との間の距離を示す。位置P11は、検出器DTの配置位置を示す。位置P12は、供給側コンベア43から両面段ボールへの搬送力の付与が終了する供給側コンベア43の下流側端部の位置を示し、距離L10は、位置P1と位置P12との間の距離を示す。位置P13は、カットオフ装置40の上ナイフシリンダ41および下ナイフシリンダ42が両面段ボールを切断する切断位置を示し、距離L11は、位置P1と位置P13との間の距離を示す。距離L12は、位置P11と位置P13との間の距離を示す。これらの位置P1〜P13、および距離L1〜L12は、加工エンドの構成から予め決められる。
【0058】
《電気的構成》
本実施形態のコルゲートマシン1の電気的構成について、添付図面を参照して以下に説明する。図3は、コルゲートマシン1の電気的構成を示すブロック図である。図3において、管理装置100は、両面段ボールシートを生産するために、生産エンドおよび加工エンドの各装置の動作全般を監視して、連続する複数のオーダについて両面段ボールシートの生産数量を管理する装置である。生産エンドの各装置の制御動作は、すでに公知であり、本発明と関係しないことから、生産エンドの各装置を制御する制御装置の構成について、その説明を省略し、図3には示されていない。
【0059】
〈メモリの構成〉
プログラムメモリ110は、管理装置100がコルゲートマシン1を制御するために図4に示す主制御ルーチンプログラムなどを固定記憶するメモリである。作業メモリ120は、管理装置100が主制御ルーチンプログラムを実行する際に処理した演算処理結果を一時記憶するメモリである。データメモリ130は、連続する複数のオーダの生産管理計画、および所定の設定値などを書き換え可能に固定記憶するメモリであり、ハードディスクから構成される。たとえば、所定の設定値は、コルゲートマシン1の構成などから定まる固有の設定値であり、加工エンドの各装置などの配置関係に関する図2に示す距離L1〜L12、および、図5に示す搬送状態SF5において形成される所定のギャップGP1の長さなどである。管理装置100は、プログラムメモリ110および作業メモリ120などの記憶手段と共にコンピュータを構成する。
【0060】
〈制御装置および駆動装置の構成〉
ダブルフェーサ10、ロータリーシャ20、スリッタスコアラ30、カットオフ装置40、およびスタッカ装置50を駆動または停止すると共に、その駆動速度を個別に制御するために、ダブルフェーサ制御装置140、ロータリーシャ制御装置141、スリッタスコアラ制御装置142、カットオフ制御装置143、およびスタッカ制御装置144が備えられる。また、サクションコンベア群60、および、その他のコンベア23、43、44を駆動または停止すると共に、その駆動速度を個別に制御するために、コンベア制御装置145が備えられる。これらの制御装置140〜145は、管理装置100からの指令に従って制御動作を行うと共に、現在の制御状態を管理装置100に通知するために管理装置100にそれぞれ接続される。ダブルフェーサ駆動装置150、ロータリーシャ駆動装置151、スリッタスコアラ駆動装置152、カットオフ駆動装置153、スタッカ駆動装置154、およびコンベア駆動装置155は、制御装置140〜145からの制御命令に従って、ダブルフェーサ10、ロータリーシャ20、スリッタスコアラ30、カットオフ装置40、スタッカ装置50、サクションコンベア群60およびコンベア23、43、44をそれぞれ駆動するもので、駆動モータおよび位置決めサーボモータを備える。ダブルフェーサ駆動装置150は、上部プーリ14および下部プーリ15を駆動する駆動モータM1を備える。スリッタスコアラ駆動装置152は、罫線ロール対31A、32A、31B、32Bを駆動する駆動モータM4、M7を備えると共に、スリッタナイフ対33A、33Bを駆動する駆動モータM5、M8を備える。コンベア駆動装置155は、コンベア23、43、44、およびコンベアユニット61A、62A、63Aを駆動する駆動モータM2、M3、M6、M9〜M11を備える。
【0061】
ダブルフェーサ制御装置140は、ダブルフェーサ10において両面段ボールの搬送速度を増速するために操作可能な増速ボタン146と、その両面段ボールの搬送速度を減速するために操作可能な減速ボタン147とを備える。ダブルフェーサ制御装置140は、増速ボタン146が作業者により操作されたときに、ダブルフェーサ10において搬送されている両面段ボールの現在の搬送速度が、予め定められた増速用加速度UAで増速されるようにダブルフェーサ駆動装置150に指令する。一方、ダブルフェーサ制御装置140は、減速ボタン147が作業者により操作されたときに、ダブルフェーサ10において搬送されている両面段ボールの現在の搬送速度が、予め定められた減速用加速度DAで減速されるようにダブルフェーサ駆動装置150に指令する。増速用加速度UAは、両面段ボールの蛇行搬送および過剰な張力の付与が生じないように、両面段ボールの折り返し搬送経路などのダブルフェーサ10の機械的構成、および両面段ボールの種類を考慮して、予め定められる。また、減速用加速度DAは、両面段ボールの蛇行搬送が生じないように、両面段ボールの折り返し搬送経路などのダブルフェーサ10の機械的構成、および両面段ボールの種類を考慮して、予め定められる。本実施形態の増速ボタン146が、本発明の操作部の一例である。
【0062】
ロータリーシャ制御装置141は、管理装置100からの追跡指令に従って両面段ボール上のオーダ変更位置を追跡するために、第1および第2のパルスジェネレータPG1、PG2と接続される。カットオフ制御装置143は、管理装置100からの追跡指令に従って、各オーダに応じたシート長さの搬送を追跡すると共に、ロータリーシャ20により切断された両面段ボールの搬送を追跡するために、第1および第2のパルスジェネレータPG1、PG2とそれぞれ接続される。本実施形態のロータリーシャ制御装置141およびカットオフ制御装置143が、本発明の切断制御部の一例である。本実施形態において、第1および第2のパルスジェネレータPG1、PG2と、両制御装置141、143の追跡処理との組み合わせが、本発明の測定部の一例である。本実施形態において、第1のパルスジェネレータPG1と、ロータリーシャ制御装置141のパルス周波数の算出処理との組み合わせが、本発明の速度検出部の一例である。
【0063】
検出器DTは、管理装置100と接続され、両面段ボールの有無に関する検出信号を管理装置100に供給する。検出信号が、両面段ボールの無いことを表す信号状態から、両面段ボールの有ることを表す信号状態へ変化したときに、管理装置100は、両面段ボールの先端が検出器DTを通過したと認識する。
【0064】
操作パネル160は、管理装置100と接続され、距離L1〜L12、および所定のギャップGP1の長さなどの種々の設定値を管理装置100に供給する。管理装置100は、供給された設定値をデータメモリ130に記憶させる。
【0065】
〈速度指令装置の構成〉
ダブルフェーサ10の搬送速度および加工エンド全体の搬送速度を指令するために、速度指令装置170が備えられる。速度指令装置170は、管理装置100と接続され、各オーダに応じた設定速度指令と、加工エンドの各装置の増減速指令とを管理装置100から受け取るように構成される。速度指令装置170の主な機能は、両面段ボールがロータリーシャ20により切断された後に、先行する両面段ボールと後続の両面段ボールとの間に所定のギャップGP1が形成されるようにダブルフェーサ10の搬送速度および加工エンド全体の搬送速度を指令することである。具体的には、速度指令装置170は、図6に示す速度指令ルーチンプログラムを実行するコンピュータを備える。速度指令装置170は、管理装置100からの指示に従って、ダブルフェーサ制御装置140に制御指令SC1を供給し、スリッタスコアラ制御装置142、スタッカ制御装置144、およびコンベア制御装置145に制御指令SC2をそれぞれ供給する。制御指令SC1、SC2は、各装置の搬送速度を増速または減速するための加速度、増速または減速する時間、増速または減速の許可および禁止などを指令する制御情報である。本実施形態の管理装置100および速度指令装置170が、本発明の搬送制御部の一例である。
【0066】
《動作および作用》
本実施形態のコルゲートマシン1の動作および作用について、図4ないし図8を参照して以下に説明する。
【0067】
〈主制御ルーチンの制御処理〉
先ず、管理装置100の主制御ルーチンの制御動作について、図4を参照して説明する。図4は、コルゲートマシン1における管理装置100の主制御ルーチンの制御処理を示すフローチャートである。管理装置100を含めて、コルゲートマシン1の電源が投入されると、管理装置100は、プログラムメモリ110から主制御ルーチンプログラムを読み出し、主制御ルーチンの実行を開始する。なお、図4に示す各ステップの動作は、管理装置100により実行される。
【0068】
初期設定が実行され、作業メモリ120の記憶内容がクリアされる(S1)。最初に実行されるオーダ1の生産計画に関するデータが、データメモリ130から読み込まれ、作業メモリ120の内部に記憶される(S2)。生産計画に関するデータは、オーダ1における段ボールシートの生産計画枚数、ダブルフェーサ10の設定搬送速度、段ボールの紙質、フルートの種類、段ボールシートのシート長さなどに関するデータである。
【0069】
ダブルフェーサ10の設定搬送速度に従って、速度指令を発生するための指示が速度指令装置170に供給される(S3)。速度指令装置170は、管理装置100からの指示に従って、制御指令SC1、SC2を制御装置140、142、144、145にそれぞれ供給する。ダブルフェーサ制御装置140は、制御指令SC1に従って駆動モータM1を駆動し、ダブルフェーサ10の搬送速度が設定搬送速度になるように制御する。また、コンベア制御装置145は、制御指令SC2に従って駆動モータM2、M3、M6、M9〜M11を駆動し、コンベア23、43、44の搬送速度、およびサクションコンベア群60の搬送速度が設定搬送速度になるように制御する。スリッタスコアラ制御装置142およびスタッカ制御装置144は、供給された制御指令SC2に従って、各装置が設定搬送速度に同期した動作速度で動作できるように動作状態を設定する。たとえば、スリッタスコアラ制御装置142は、設定搬送速度に同期した速度で両面段ボールに加工を実行することができるように罫線ロール対およびスリッタナイフ対の回転速度パターンを設定する。速度指令装置170の詳細な動作については、後述する。
【0070】
オーダ1に応じた段ボールシートのシート長さSS1および生産計画枚数が、カットオフ制御装置143に指令される(S4)。カットオフ制御装置143は、指令に従ってシート長さSS1および生産計画枚数を内部に記憶する。
【0071】
先端追跡長さが、カットオフ制御装置143に指令される(S5)。先端追跡長さは、図5において、位置P11と位置P13との間の距離L12と、各オーダのシート長さとを合計した長さであり、オーダ1については、距離L12とシート長さSS1とを合計した長さとなる。この先端追跡長さ(L12+SS1)が、カットオフ制御装置143に指令され、制御装置143の内部に記憶される。
【0072】
両面段ボールの先端が、検出器DTにより検出されたか否かが判断される(S6)。両面段ボールの先端が検出されない場合(S6:NO)、ステップS6の判断が繰り返される。図5において、両面段ボールの搬送状態SF1は、両面段ボールの先端、すなわちオーダ1の1枚目のシート部分の先端が、検出器DTの配置位置P11に到達した状態を示す。この搬送状態SF1において、両面段ボールの先端が検出されたと判断され(S6:YES)、次のステップS7が実行される。
【0073】
カットオフの許可が、カットオフ制御装置143に供給される(S7)。カットオフ制御装置143は、カットオフの許可を受けた後は、カットオフ装置40を作動させる切断指令をカットオフ駆動装置153に供給することが許可される。
【0074】
パルスジェネレータの設定が、ロータリーシャ制御装置141およびカットオフ制御装置143にそれぞれ指令される(S8)。これらの制御装置141、143は、設定の指令に従って、第1のパルスジェネレータPG1からの測定結果に基づく追跡動作を行うように設定される。
【0075】
先端追跡が、カットオフ制御装置143に指令される(S9)。カットオフ制御装置143は、先端追跡指令に従って、第1のパルスジェネレータPG1からの測定結果に基づいてオーダ1の1枚目シート部分の先端を追跡する。カットオフ制御装置143が、第1のパルスジェネレータPG1からの測定結果に基づいて、1枚目シート部分の先端が先端追跡長さ(L5+SS1)だけ搬送されたことを判断すると、カットオフ装置4を作動させる切断指令をカットオフ駆動装置153に供給する。また、カットオフ制御装置143は、切断指令の発生を管理装置100に通知する。図5において、両面段ボールの搬送状態SF2は、1枚目シート部分の先端が先端追跡長さだけ搬送され、1枚目シート部分の後端が位置P13に到達した状態を示す。カットオフ装置40は、第1のパルスジェネレータPG1から発生されるパルスの周波数に基づいて決定された両面段ボールの実際の搬送速度に同期した回転速度で、所定の回転開始位置から上ナイフシリンダ41および下ナイフシリンダ42を回転させ、1枚目シート部分の後端を切断する。
【0076】
オーダ1の1枚目シート部分の後端がカットオフ装置40により切断されたか否かが判断される(S10)。切断されていないと判断されれば(S10:NO)、切断されたと判断されるまでステップS10の判断が繰り返される。1枚目シート部分の後端を切断する切断指令が発生されたことがカットオフ制御装置143から通知されると、1枚目が切断されたと判断され(S10:YES)、次のステップS11が実行される。カットオフ制御装置143は、切断枚数をカウントする内部カウンタを有しており、1枚目シート部分の切断指令を発生したとき、その内部カウンタの内容を「1」だけ増加させる。カットオフ制御装置143は、1枚目シート部分の後端を切断するための切断指令を発生した後は、第1のパルスジェネレータPG1からの測定結果に基づいて、内部に記憶されたシート長さSS1だけ両面段ボールが搬送されたと判断する度に、切断指令を発生してカットオフ駆動装置153を駆動し、カットオフ装置40に切断動作をさせる。これと同時に、カットオフ制御装置143は、切断指令を発生する度に、内部カウンタの内容を「1」ずつ増加させる。
【0077】
後端追跡長さが、ロータリーシャ制御装置141に指令される(S11)。ロータリーシャ制御装置141は、指令に従って、後端追跡長さを内部に記憶する。後端追跡長さは、半端長さである。半端長さは、カットオフ装置40がオーダ1の特定のシート部分の後端を切断したときにオーダ1の最後のシート部分が位置P1に位置していたと仮定した場合、最後のシート部分の後端と位置P1との間の距離であり、各オーダに応じて予め定められる。たとえば、図5に示す両面段ボールの搬送状態SF3において、オーダ1の89枚目シート部分の後端がカットオフ装置40により切断されたときに、オーダ1の最後のシート部分である100枚目シート部分が位置P1に位置している場合、半端長さは、位置P1と100枚目シート部分の後端との間の距離SE1である。100枚目シート部分の後端は、オーダ変更位置PCに相当する。
【0078】
オーダの残り1枚が、位置P1に位置しているか否かが判断される(S12)。オーダの残り1枚、すなわち最後のシート部分が位置P1に位置していなければ(S12:NO)、ステップS12の判断が繰り返される。最後のシート部分が位置P1に位置していれば(S12:YES)、次のステップS13が実行される。図5に示す両面段ボールの搬送状態SF3は、オーダ1の最後のシート部分である100枚目シート部分が、位置P1に位置している状態を表す。
【0079】
パルスジェネレータの切り替えが、ロータリーシャ制御装置141およびカットオフ制御装置143にそれぞれ指令される(S13)。これらの制御装置141、143は、切り替え指令に従って、第1のパルスジェネレータPG1から第2のパルスジェネレータPG2に切り替えて追跡動作が可能なように設定される。
【0080】
後端追跡が、ロータリーシャ制御装置141に指令される(S14)。ロータリーシャ制御装置141は、後端追跡指令に従って、第2のパルスジェネレータPG2からの測定結果に基づいて、最後のシート部分の後端の搬送長さを測定して最後のシート部分の後端の位置を追跡する動作を開始する。ロータリーシャ制御装置141は、その測定された搬送長さが内部に記憶された後端追跡長さに一致するか否かを判断する。
【0081】
オーダ1の最後のシート部分の後端がロータリーシャ20により切断されたか否かが判断される(S15)。最後のシート部分の後端が切断されていなければ(S15:NO)、切断されたと判断されるまでステップS15の判断が繰り返される。最後のシート部分の後端が切断されたと判断されれば(S15:YES)、次のステップS16が実行される。たとえば、図5に示す両面段ボールの搬送状態SF4において、オーダ1の最後のシート部分である100枚目シート部分の後端、すなわちオーダ変更位置PCが、後端追跡長さだけ搬送された結果として、位置P1に到達したとき、ロータリーシャ制御装置141は先端追跡長さだけ両面段ボールが搬送されたと判断し、切断指令を発生してロータリシャ駆動装置151を駆動し、ロータリーシャ20に切断動作をさせる。ロータリーシャ20は、第2のパルスジェネレータPG2から発生されるパルスの周波数に基づいて決定された両面段ボールの実際の搬送速度に同期した回転速度で、所定の回転開始位置からナイフシリンダ21、22を回転させ、オーダ変更位置PCで両面段ボールを切断する。
【0082】
最後のシート部分の後端が切断されたと判断されると、後端切断完了が、速度指令装置170に通知される(S16)。速度指令装置170は、後端切断完了の通知を受け取ると、オーダ1の両面段ボールの後端と、オーダ2の両面段ボールの先端との間に所定のギャップGP1が生ずるように、駆動モータM1〜M11の回転速度を指令する。速度指令装置170による駆動モータの詳細な速度指令動作については、後述する。
【0083】
図5に示す両面段ボールの搬送状態SF5は、オーダ2の1枚目シート部分の先端が位置P4に到達し、オーダ1の最後のシート部分である100枚目シート部分の後端との間で所定のギャップGP1が形成されている状態を示す。所定のギャップGP1は、ダブルフェーサ10の搬送速度が両面段ボールを正確に搬送することができる最高の搬送速度に設定された場合でも、スリッタスコアラ30およびカットオフ装置40がオーダ変更のために加工位置を正確に位置決めすることができる充分な間隔である。
【0084】
オーダ1の最後のシート部分の後端が位置P9を通過したか否かが判断される(S17)。最後のシート部分の後端が位置P9を通過していなければ(S17:NO)、通過したと判断されるまでステップS17の判断が繰り返される。最後のシート部分の後端が位置P9を通過したと判断されれば(S17:YES)、次のステップS18が実行される。ステップS17の判断を行うために、管理装置100は、プログラムメモリ110に設定値として記憶された位置P1と位置P9との間の距離L8を読み出し、カットオフ制御装置143が第2のパルスジェネレータPG2からの測定結果に基づいて追跡している最後のシート部分の後端の搬送長さをカットオフ制御装置143から受け取る。そして、管理装置100は、最後のシート部分の搬送長さが距離L8に達したか否かを判断し、両者が一致すれば、最後のシート部分の後端が位置P9を通過したと判断する。図5に示す両面段ボールの搬送状態SF6は、オーダ1の最後のシート部分である100枚目シート部分の後端が位置P9に到達した状態を示している。
【0085】
オーダ1の残り2枚目のシート部分の後端が、カットオフ装置40により切断されたか否かが判断される(S18)。切断されていないと判断されれば(S18:NO)、切断されたと判断されるまでステップS18の判断が繰り返される。残り2枚目が切断されたと判断されれば(S18:YES)、次のステップS19が実行される。カットオフ制御装置143は、切断枚数を内部カウンタによりカウントしていることから、管理装置100は、カットオフ制御装置143から切断指令発生の通知を受けたときに内部カウンタの内容を監視することにより、ステップS18の判断を実行する。すなわち、内部カウンタの内容が残り2枚目に相当する切断枚数を表す「99」になったか否かが判断されることにより、ステップS18の判断が実行される。図5に示す両面段ボールの搬送状態SF7は、オーダ1の99枚目シート部分の後端が、カットオフ装置40により切断された状態を示す。
【0086】
カットオフの禁止が、カットオフ制御装置143に供給される(S19)。カットオフ制御装置143は、カットオフの禁止を受けた後は、カットオフ装置40の作動を禁止する。本実施形態では、オーダ1の最後のシート部分である100枚目シート部分の後端は、ロータリーシャ20によりすでに切断されていることから、カットオフ装置40が100枚目シート部分の後端を再度切断することが禁止される。
【0087】
ステップS19が実行された後は、制御処理はステップS2に戻り、ステップS2〜S18の制御処理がオーダ2について実行される。本実施形態では、管理装置100は、多数の連続するオーダを順次実行することから、各オーダ変更において、ロータリーシャ20による切断、両面段ボールの搬送速度の増減速制御、この増減速制御によるギャップの形成が実行される。
【0088】
〈速度指令御ルーチンの制御処理〉
次に、速度指令装置170の制御処理について、図6ないし図8を参照して説明する。図6は、速度指令装置170の速度指令ルーチンの制御処理を示すフローチャートである。コルゲートマシン1の電源が投入されると、速度指令装置170は、その内部プログラムメモリから速度指令ルーチンプログラムを読み出し、RAMなどの内部メモリに記憶する。図4に示すステップS3において、速度指令発生が管理装置100により指示されると、速度指令装置170は、速度指令ルーチンの実行を開始する。なお、図6に示す各ステップの動作は、速度指令装置170のコンピュ−タにより実行される。
【0089】
(ロータリーシャによる切断前の制御処理)
後端切断完了が、管理装置100から通知されたか否かが判断される(SV1)。後端切断完了が通知されていないと判断されれば(SV1:NO)、ステップSV2、SV3が実行される。すなわち、両面段ボールが図5に示す搬送状態SF4となるまで搬送されていない場合、ステップSV2、SV3が繰り返し実行される。
【0090】
ステップSV2の実行により、各オーダに応じて定められた設定搬送速度が指令され、設定搬送速度での定速搬送を表す制御指令SC1がダブルフェーサ制御装置140に供給される。また、ステップSV3の実行により、各オーダに応じて定められた設定搬送速度が指令され、設定搬送速度での定速搬送を表す制御指令SC2が制御装置142、144、145にそれぞれ供給される。制御指令SC1に従って、ダブルフェーサ制御装置140は、ダブルフェーサ10における上部ベルト11および下部ベルト12の搬送速度が設定搬送速度になるように駆動モータM1の回転速度を制御する。制御指令SC2に従って、コンベア制御装置145は、コンベア23、43、44の搬送速度およびコンベアユニット61A、62A、63Aの搬送速度が設定搬送速度になるように駆動モータM2、M3、M6、M9〜M11の回転速度を制御する。また、制御指令SC2に従って、スリッタスコアラ制御装置142およびスタッカ制御装置144は、設定搬送速度に同期して加工動作を実行することができるように動作状態を設定する。たとえば、スリッタスコアラ制御装置142は、両面段ボールに加工を行う罫線ロール対31A、32Aおよびスリッタナイフ対33Aの回転速度が設定搬送速度に同期した速度となるように駆動モータM4、M5の回転速度を制御する。
【0091】
(ロータリーシャによる切断後の制御処理)
ステップSV1において、後端切断完了が通知されたと判断されたとき(SV1:YES)、後端追跡が管理装置100を介してカットオフ制御装置143に指令される(SV4)。この後端追跡指令に従って、カットオフ制御装置143は、第2のパルスジェネレータPG2からの測定結果に基づいて、ロータリーシャ20により切断された先行する両面段ボールの後端がロータリーシャ20の切断位置P1から搬送された搬送長さを測定する測定動作を開始する。
【0092】
ダブルフェーサ10における両面段ボールの現在の搬送速度の測定が、ロータリーシャ制御装置141に指令される(SV5)。この測定指令に従って、ロータリーシャ制御装置141は、第1のパルスジェネレータPG1からのパルスの周波数に基づいて、ダブルフェーサ10において駆動モータM1の駆動により搬送される両面段ボールの現在の搬送速度を測定する。
【0093】
測定された現在の搬送速度が、速度指令装置170の内部メモリに記憶される(SV6)。具体的には、ロータリーシャ制御装置141により測定された現在の搬送速度は、管理装置100を介して速度指令装置170に供給され、RAMなどの内部メモリに記憶される。この測定された現在の搬送速度は、ロータリーシャ20により両面段ボールが切断される際のダブルフェーサ10における両面段ボールの搬送速度であり、この現在の搬送速度を以下に搬送速度VF1と記す。
【0094】
図7は、ダブルフェーサ10から搬出された両面段ボールのオーダ変更位置PC、すなわち図5に示すオーダ1の最後のシート部分である100枚目シート部分の後端が、ロータリーシャ20の切断位置P1からカットオフ装置40の切断位置P13まで搬送される間に、駆動モータM1〜M11によりそれぞれ駆動されるコンベアおよび罫線ロール対などの加工具の速度変化と、時点T1〜T11との関係を示す。たとえば、図7において、記号「M1」が付された速度変化は、駆動モータM1により駆動されるベルト13、14の搬送速度の変化である。その他の記号「M2」〜「M11」が付された速度変化は、駆動モータM2〜M11により駆動されるコンベアの搬送速度の変化、および加工具の回転速度の変化である。時点T1は、ロータリーシャ20がオーダ変更位置PCで両面段ボールを切断する時点である。スリッタスコアラ30において、第1のユニット30Aが加工可能な状態にあり、第2のユニット30Bが準備状態にある場合、駆動モータM1〜M6、M9〜M11は、時点T1までは、搬送速度VF1に相当する速度で回転する。準備状態にある第2のユニット30Bの駆動モータM7、M8は停止状態にある。
【0095】
増速する加速度が算出される(SV7)。すなわち、ロータリーシャ20により切断された先行する両面段ボールの後端と、後続の両面段ボールの先端との間に、所定のギャップGP1を形成するために、その先行する両面段ボールの搬送速度を現在の搬送速度VF1から増速するための加速度が、以下の演算式(1)に従って算出される。
【0096】
【数1】

【0097】
αは、増速する加速度(メートル/分/秒)を表し、Vは、現在の搬送速度VF1(メートル/分)を表し、βは、所定のギャップGP1(センチメートル)の長さを表し、Lは、距離L4(メートル)を表す。現在の搬送速度VF1として、ステップSV6で記憶された搬送速度が使用され、所定のギャップGP1および距離L4として、データメモリ130に記憶されたデータが使用される。
【0098】
算出された加速度αが限界加速度MUAを超えるか否かが判断される(SV8)。すなわち、その加速度αが、カットオフ装置40が両面段ボールの搬送速度に同期して両面段ボールを切断することができるナイフシリンダ21、22の回転速度の最大加速度である限界加速度MUAを超えるか否かが、判断される。加速度αが限界加速度MUAを超えないと判断されると(SV8:NO)、ステップSV9、SV10が実行される。加速度αが限界加速度MUAを超えると判断されると(SV8:YES)、ステップSV16が実行される。本実施形態の速度指令装置170およびステップSV8の判断処理が、本発明の判断部の一例である。
【0099】
(限界加速度を超えない場合の制御処理)
加速度αが限界加速度MUAを超えない場合の制御処理について、図7を参照して説明する。加速度αが限界加速度MUAを超えない場合には、先行する両面段ボールの搬送速度のみが可変速制御され、後続の両面段ボールの搬送速度は現在の搬送速度VF1に維持される。詳細な制御処理について以下に説明する。
【0100】
ダブルフェーサ10において両面段ボールの搬送速度が、記憶された現在の搬送速度VF1に維持されるように、現在の搬送速度での定速搬送がダブルフェーサ制御装置140に指令される(SV9)。ダブルフェーサ制御装置140は、現在の搬送速度での定速搬送を表す制御指令SC1を受け取り、図7に示す時点T1以降も駆動モータM1が現在の搬送速度VF1に相当する回転速度で回転するように制御する。
【0101】
加工エンドのコンベアの搬送速度および加工具の回転速度が、記憶された現在の搬送速度VF1に相当する速度から増速されるように、増速搬送および増速加工がコンベア制御装置145、スリッタスコアラ制御装置142、およびスタッカ制御装置144に指令される(SV10)。コンベア制御装置145は、現在の搬送速度VF1から加速度αで搬送速度を増速する増速搬送を表す制御指令SC2を受け取り、駆動モータM2、M3、M6、M9〜M11が図7に示す時点T1から増速する可変搬送速度VF2〜VF4に相当する回転速度で回転するように制御する。可変搬送速度VF2〜VF4は、同じ加速度αで増速することから、同じ速度上昇の傾きを有するが、増速する期間の終了時点が異なる。可変搬送速度VF2の終了時点は、先行する両面段ボールの後端が送出側コンベア23の下流側端部の位置P2を通過する時点T2である。可変搬送速度VF3の終了時点は、先行する両面段ボールの後端がコンベアユニット61Aの下流側端部の位置P3を通過する時点T3である。可変搬送速度VF4の終了時点は、後続の両面段ボールの先端が罫線ロール対31Aの加工可能な領域に入る直前の位置P4に到達した時点T4である。本実施形態では、時点T4において、先行する両面段ボールの後端は、罫線ロール対31Aの配置位置と罫線ロール対32Aの配置位置との間に位置するものとする。
【0102】
スリッタスコアラ30において、第1のユニット30Aが加工可能な状態にあり、第2のユニット30Bが準備状態にあることから、スリッタスコアラ制御装置142は、現在の搬送速度VF1に相当する速度から加速度αで加工速度を増速する増速加工を表す制御指令SC2を受け取り、加工可能な状態にある第1のユニット30Aの駆動モータM4、M5が時点T1から増速する可変搬送速度VF4に相当する可変回転速度で回転するように制御する。一方、スリッタスコアラ制御装置142は、準備状態にある第2のユニット30Bの駆動モータM7、M8を停止状態に維持する。また、スタッカ制御装置144は、現在の搬送速度VF1に相当する速度から加速度αで動作速度を増速する増速動作を表す制御指令SC2を受け取り、スタッカ装置50が時点T1から増速する可変搬送速度VF4に相当する可変動作速度で動作するように制御する。
【0103】
カットオフ制御装置143により測定された先行する両面段ボールの後端の搬送長さが、距離L1、L2、L4〜L10のいずれかの距離と一致するか否かが判断される(SV11)。カットオフ装置143は、ステップSV4において速度指令装置170から供給された後端追跡指令に従って、先行する両面段ボールの後端が位置P1から搬送された搬送長さの測定を開始している。速度指令装置170は、測定された搬送長さをカットオフ装置143から受け取り、その搬送長さがデータメモリ130に記憶された距離L1、L2、L4〜L10のいずれかと一致するか否かを判断する。
【0104】
測定された搬送長さが距離L1、L2、L4〜L10のいずれかと一致すると判断されると(SV11:YES)、ステップSV12が実行され、一致すると判断されないとき(SV11:NO)、ステップSV13が実行される。
【0105】
先行する両面段ボールの後端が送出側コンベア23の下流側端部の位置P2に時点T2で到達したとき、ステップSV11において、測定された搬送長さが距離L2と一致すると判断される。この判断の結果、内部メモリに記憶された現在の搬送速度VF1に向かって送出側コンベア23の搬送速度を減速することがコンベア制御装置145に指令される(SV12)。コンベア制御装置145は、送出側コンベア23の減速指令を表す制御指令SC2を受け取り、駆動モータM2が時点T2から現在の搬送速度VF1に向かって減速する可変搬送速度VF5に相当する可変回転速度で回転するように制御する。可変搬送速度VF5の減速する加速度は、送出側コンベア23の機械的構成に基づいて定められる最大の加速度である。先行する両面段ボールの後端が送出側コンベア23を通過した直後に、送出側コンベア23の搬送速度が現在の搬送速度VF1まで減速されることから、後続の両面段ボールをダブルフェーサ10の搬送速度に早期に一致させ、後続の両面段ボールを安定して搬送することができる。
【0106】
ステップSV11、SV12の実行後に、測定された先行する両面段ボールの後端の搬送長さが、データメモリ130に記憶された距離L3および所定のギャップGP1の長さの合計値と一致するか否かが判断される(SV13)。測定された搬送長さが合計値と一致すると判断されると(SV13:YES)、ステップSV14が実行され、一致すると判断されないとき(SV13:NO)、ステップSV15が実行される。
【0107】
ステップSV13、SV14の実行後に、測定された先行する両面段ボールの後端の搬送長さが、データメモリ130に記憶された距離L11と一致するか否かが判断される(SV15)。測定された搬送長さが距離L11と一致すると判断されないとき(SV15:NO)、ステップSV11、SV13の判断が繰り返し実行される。測定された搬送長さが距離L11と一致すると判断されると(SV15:YES)、ステップSV16が実行される。ステップSV15の判断処理のために、カットオフ制御装置143は、先行する両面段ボールの後端が供給側コンベア43の下流側端部の位置P12を通過した後に搬送される長さを推測することにより、先行する両面段ボールの後端が位置P1から搬送された搬送長さを測定する。具体的には、カットオフ制御装置143は、先行する両面段ボールの後端が位置P12を通過した時点で第2のパルスジェネレータPG2が発生しているパルスの周波数に基づいて、先行する両面段ボールの後端が位置P12から搬送される長さを推測する。
【0108】
先行する両面段ボールの後端がコンベアユニット61Aの下流側端部の位置P3に時点T3で到達したとき、ステップSV11において、測定された搬送長さが距離L2と一致すると判断される。この判断の結果、内部メモリに記憶された現在の搬送速度VF1に向かってコンベアユニット61Aの搬送速度を減速することがコンベア制御装置145に指令される(SV12)。コンベア制御装置145は、コンベアユニット61Aの減速指令を表す制御指令SC2を受け取り、駆動モータM3が時点T3から現在の搬送速度VF1に向かって減速する可変搬送速度VF6に相当する可変回転速度で回転するように制御する。可変搬送速度VF6の減速する加速度は、コンベアユニット61Aの機械的構成に基づいて定められる最大の加速度である。
【0109】
後続の両面段ボールの先端が、図5に示す搬送状態SF5のように、加工可能な状態にある第1のユニット30Aの罫線ロール対31Aが加工可能な領域の直前の位置P4に時点T4で到達したとき、本実施形態では、先行する両面段ボールの後端は罫線ロール対31A、32Aの両配置位置の間に位置する。この時点T4で、ステップSV13において、測定された搬送長さが距離L3および所定のギャップGP1の長さの合計値と一致すると判断される。この判断の結果、増速終了がコンベア制御装置145、スリッタスコアラ制御装置142およびスタッカ制御装置144に指令される(SV14)。スリッタスコアラ制御装置142は、罫線ロール対31A、32Aおよびスリッタナイフ対33Aの増速終了指令を表す制御指令SC2を受け取り、駆動モータM4、M5が時点T4から増速を終了して一定搬送速度VF7、VF8に相当する一定回転速度で回転するように制御する。コンベア制御装置145は、コンベアユニット62A、63Aおよびコンベア43、44の増速終了指令を表す制御指令SC2を受け取り、駆動モータM6、M9〜M11が時点T4から増速を終了して一定搬送速度VF9〜VF12に相当する一定回転速度で回転するように制御する。また、スタッカ制御装置144も、スタッカ装置50の増速終了指令を表す制御指令SC2を受け取り、スタッカ装置50が時点T4から増速を終了して一定動作速度で動作するように制御する。駆動モータM4〜M6、M9〜M11が、現在の搬送速度VF1より高い一定搬送速度VF7〜VF12に相当する一定回転速度で回転することから、図5に示す搬送状態SF6、SF7において、先行する両面段ボールの後端と後続の両面段ボールの先端との間に形成されるギャップGPは、搬送状態SF5において形成された所定のギャップGP1より大きくなる。先行する両面段ボールがカットオフ装置40に向かって下流側に搬送されるに伴い、ギャップGPは所定のギャップGP1より徐々に大きくなることから、第1のユニット30Aの加工具の準備状態への上昇、および第2のユニット30Bの加工具の加工可能な状態への下降が、より早い段階で実行されることが可能となる。各ユニットの罫線ロール対などの加工具が独立して上下動可能に構成されている場合には、罫線ロール対32Aおよびスリッタナイフ対33Aは、罫線ロール対31Aが準備状態への上昇を開始した後に、より早い段階で加工可能な状態から準備状態へ上昇することができる。
【0110】
先行する両面段ボールの後端が罫線ロール対32Aの加工可能な領域から抜けた位置P5に時点T5で到達したとき、ステップSV11において、測定された搬送長さが距離L4と一致すると判断される。この判断の結果、内部メモリに記憶された現在の搬送速度VF1に相当する速度に向かって罫線ロール対31A、32Aの回転速度を減速することがスリッタスコアラ制御装置142に指令される(SV12)。スリッタスコアラ制御装置142は、両罫線ロール対の減速指令を表す制御指令SC2を受け取り、駆動モータM4が時点T5から現在の搬送速度VF1に向かって減速する可変搬送速度VF13に相当する可変回転速度で回転するように制御する。可変搬送速度VF13の減速する加速度は、両罫線ロール対31A、32Aの慣性モーメントなどの機械的構成に基づいて定められる最大の加速度である。同様に、先行する両面段ボールの後端がスリッタナイフ対33Aの加工可能な領域から抜けた位置P6に時点T6で到達したとき、ステップSV11において、測定された搬送長さが距離L5と一致すると判断される。この判断の結果、現在の搬送速度VF1に相当する速度に向かってスリッタナイフ対33Aの回転速度を減速することがスリッタスコアラ制御装置142に指令される(SV12)。スリッタスコアラ制御装置142は、減速指令を表す制御指令SC2を受け取り、駆動モータM5が時点T6から現在の搬送速度VF1に向かって減速する可変搬送速度VF14に相当する可変回転速度で回転するように制御する。可変搬送速度VF14の減速する加速度は、スリッタナイフ対33Aの慣性モーメントなどの機械的構成に基づいて定められる最大の加速度である。
【0111】
先行する両面段ボールの後端が、コンベアユニット62A、63Aおよび供給側コンベア43の下流側端部の位置P7、P10、P12に時点T7、T10、T11で順番に到達したとき、ステップSV11において、測定された搬送長さが距離L6、L9、L10と一致すると順番に判断される。この判断の結果、現在の搬送速度VF1に向かってコンベアユニット62A、63Aおよび供給側コンベア43の搬送速度を減速することがコンベア制御装置145に指令される(SV12)。コンベア制御装置145は、減速指令を表す制御指令SC2を受け取り、駆動モータM6、M9、M10が時点T7、T10、T11から現在の搬送速度VF1に向かって減速する可変搬送速度VF15、VF16、VF17に相当する可変回転速度で回転するように制御する。可変搬送速度VF15、VF16、VF17の減速する加速度は、コンベアユニット62A、63Aおよび供給側コンベア43の機械的構成に基づいて定められる最大の加速度である。本実施形態では、先行する両面段ボールの後端が、準備状態にある第2のユニット30Bの罫線ロール対32Bおよびスリッタナイフ対33Bの加工可能な領域から抜けた位置P8、P9に時点T8、T9で到達したとき、ステップSV11において、測定された搬送長さが距離L7、L8と一致すると判断され、ステップSV12において、第2のユニット30Bの減速がスリッタスコアラ制御装置142に指令される。しかし、スリッタスコアラ制御装置142は、第2のユニット30bが準備状態にあることから、駆動モータM7、M8の停止状態を維持する。
【0112】
測定された搬送長さが距離L11と一致すると判断されると(SV15:YES)、現在の搬送速度VF1に向かって送出側コンベア44の搬送速度を減速することがコンベア制御装置145に指令される(SV16)。コンベア制御装置145は、減速指令を表す制御指令SC2を受け取り、駆動モータM11が時点T12から現在の搬送速度VF1に向かって減速する可変搬送速度VF18に相当する可変回転速度で回転するように制御する。可変搬送速度VF18の減速する加速度は、送出側コンベア44の機械的構成に基づいて定められる最大の加速度である。ステップSV16の実行後に、速度指令ルーチンは終了する。
【0113】
(限界加速度を超える場合の制御処理)
加速度αが限界加速度MUAを超える場合の制御処理について、図8を参照して説明する。図8は、ダブルフェーサ10の搬送速度を減速した状態において加工エンドの各装置を駆動する駆動モータM1〜M5の速度と時間との関係を説明するための説明図である。加速度αが限界加速度MUAを超える場合には、先行する両面段ボールの搬送速度と、後続の両面段ボールの搬送速度とが可変速制御される。詳細な制御処理について以下に説明する。
【0114】
算出された加速度αが限界加速度MUAを超えると判断されると(SV8:YES)、減速時間TDが決定される(SV17)。減速時間TDは、後続の両面段ボールの先端が罫線ロール対31Aの加工可能な領域に入る直前の位置P4に到達したときに、先行する両面段ボールの後端と後続の両面段ボールの先端との間に所定の長さのギャップGP1が形成されるように、先行する両面段ボールの搬送速度を現在の搬送速度VF1から限界加速度MUAに相当する加速度で増速する場合に、ダブルフェーサ10の両ベルト11、12の搬送速度を現在の搬送速度VF1から減速用加速度DAで減速する時間である。減速用加速度DAは、ダブルフェーサ10において段ボールが蛇行して搬送されないように、段ボールを折り返して搬送する構成などダブルフェーサの機械的構成に応じて、予め定められる。減速時間TDは、以下の演算式(2)および演算式(3)に従って算出される。
【0115】
【数2】

【数3】

【0116】
tは、減速時間TD(秒)を表し、αは、限界加速度MUA(メートル/分/秒)を表し、βは、所定のギャップGP1(センチメートル)の長さを表し、γは、減速用加速度DA(メートル/分/秒)を表す。Tは、時点T1から時点T4までの時間(分)を表し、Vは、現在の搬送速度VF1(メートル/分)を表し、Lは、距離L4(メートル)を表す。現在の搬送速度VF1として、ステップSV6で記憶された搬送速度が使用され、限界加速度MUA、減速用加速度DA、所定のギャップGP1および距離L4として、データメモリ130に記憶されたデータが使用される。
【0117】
ダブルフェーサ10において両面段ボールの搬送速度が、記憶された現在の搬送速度VF1から減速用加速度DAで、算出された減速時間だけ減速されるように、ダブルフェーサ制御装置140に指令される(SV18)。ダブルフェーサ制御装置140は、減速指令を表す制御指令SC1を受け取り、駆動モータM1が時点T1から減速時間TDの間だけ減速用加速度DAで減速する可変搬送速度VF19に相当する可変回転速度で回転するように制御する。
【0118】
加工エンドのコンベアの搬送速度および加工具の回転速度が、記憶された現在の搬送速度VF1に相当する速度から増速されるように、増速搬送および増速加工がコンベア制御装置145、スリッタスコアラ制御装置142、およびスタッカ制御装置144に指令される(SV19)。コンベア制御装置145は、現在の搬送速度VF1から限界加速度MUAで搬送速度を増速する増速搬送を表す制御指令SC2を受け取り、駆動モータM2、M3、M6、M9〜M11が図8に示す時点T1から増速する可変搬送速度VF20〜VF22に相当する可変回転速度で回転するように制御する。スリッタスコアラ制御装置142は、現在の搬送速度VF1に相当する速度から限界加速度MUAで加工速度を増速する増速加工を表す制御指令SC2を受け取り、加工可能な状態にある第1のユニット30Aの駆動モータM4、M5が時点T1から増速する可変搬送速度VF22に相当する可変回転速度で回転するように制御する。また、スタッカ制御装置144は、現在の搬送速度VF1に相当する速度から限界加速度MUAで動作速度を増速する増速動作を表す制御指令SC2を受け取り、スタッカ装置50が時点T1から増速する可変搬送速度VF22に相当する可変動作速度で動作するように制御する。可変搬送速度VF20〜VF22は、同じ限界加速度MUAで増速することから、同じ速度上昇の傾きを有するが、増速する期間の終了時点が異なる。可変搬送速度VF20の終了時点は、先行する両面段ボールの後端が送出側コンベア23の下流側端部の位置P2を通過する時点T2である。可変搬送速度VF21の終了時点は、先行する両面段ボールの後端がコンベアユニット61Aの下流側端部の位置P3を通過する時点T3である。可変搬送速度VF22の終了時点は、後続の両面段ボールの先端が罫線ロール対31Aの加工可能な領域に入る直前の位置P4に到達した時点T4である。本実施形態では、時点T4において、先行する両面段ボールの後端は、罫線ロール対31Aの配置位置と罫線ロール対32Aの配置位置との間に位置するものとする。増速する加速度が限界加速度MUAを超える場合における駆動モータM6〜M11の速度変化は、図7に示す速度変化と同様であるので、図8には示されていない。
【0119】
ステップSV18において、ダブルフェーサ10における両面段ボールの搬送速度が減速されると共に、ステップSV19において、加工エンドにおけるコンベアの搬送速度および加工具の加工速度が限界加速度MUAで増速されることにより、後続の両面段ボールの先端が罫線ロール対31Aの加工可能な領域に入る直前の位置P4に到達した時点T4で、所定の長さのギャップGP1を正確に形成することができる。
【0120】
減速時間TDが経過したか否かが判断される(SV20)。経過したと判断されないとき(SV20:NO)、ステップSV21が実行され、経過したと判断されれば(SV20:YES)、ステップSV27が実行される。
【0121】
減速時間TDが経過したと判断されないとき(SV20:NO)、ダブルフェーサ10の増速ボタン146が作業者により操作されたか否かが判断される(SV21)。操作されたと判断されないとき(SV21:NO)、ステップSV20が繰り返し実行される。操作されたと判断されると(SV21:YES)、ステップSV22が実行される。
【0122】
増速ボタン146の操作に従う増速搬送を禁止することがダブルフェーサ制御装置140に指令される(SV22)。ダブルフェーサ制御装置140は、禁止指令を表す制御指令SC1を受け取り、減速時間TDの間だけ駆動モータM1の増速を禁止し、駆動モータM1が可変搬送速度VF19に相当する可変回転速度で減速することを維持するように制御する。
【0123】
ステップSV21、SV22の実行後に、測定された先行する両面段ボールの後端の搬送長さが、距離L1または距離L2と一致するか否かが判断される(SV23)。一致すると判断されると(SV23:YES)、前述のステップSV12と同様に、記憶された現在の搬送速度VF1に向かって送出側コンベア23またはコンベアユニット61Aの搬送速度を減速することがコンベア制御装置145に指令される(SV24)。一致すると判断されないとき(SV23:NO)、前述のステップSV13と同様に、測定された先行する両面段ボールの後端の搬送長さが、距離L3および所定のギャップGP1の長さの合計値と一致するか否かが判断される(SV25)。一致すると判断されると(SV25:YES)、前述のステップSV14と同様に、増速終了がコンベア制御装置145、スリッタスコアラ制御装置142およびスタッカ制御装置144に指令される(SV26)。一致すると判断されないとき(SV25:NO)、ステップSV20に戻って制御処理が実行される。本実施形態において、速度指令装置170およびステップSV11、SV23の判断処理が、本発明の通過検出部の一例である。
【0124】
減速時間TDが経過したと判断されると(SV20:YES)、ダブルフェーサ10において両面段ボールの搬送速度が、所定時間だけ一定の速度に維持されるように、ダブルフェーサ制御装置140に指令される(SV27)。ダブルフェーサ制御装置140は、速度維持指令を表す制御指令SC1を受け取り、駆動モータM1が減速時間TDの経過時点から所定時間だけ一定搬送速度VF23に相当する回転速度で回転するように制御する。所定時間は、減速時間TDの経過後に急速に搬送速度を増速するときに両面段ボールに過剰な張力が付与されるのを防止することができる時間であり、本実施形態では1〜2秒に設定される。
【0125】
所定時間の経過後に、ダブルフェーサ10において両面段ボールの搬送速度が、記憶された現在の搬送速度VF1に向かって増速用加速度UAで増速するように、ダブルフェーサ制御装置140に指令される(SV28)。ダブルフェーサ制御装置140は、増速指令を表す制御指令SC1を受け取り、駆動モータM1が所定時間の経過時点から可変搬送速度VF24に相当する可変回転速度で回転するように制御する。増速用加速度UAは、ダブルフェーサ10において段ボールが蛇行して搬送されず、かつ過剰な張力が段ボールにかからないように、段ボールを折り返して搬送する構成などダブルフェーサの機械的構成、および後続の段ボールの種類に応じて、予め定められる。
【0126】
ステップSV28の実行後に、ステップSV11〜SV16が同様に実行され、制御装置140、142、144、145は、可変搬送速度および一定搬送速度に相当する回転速度で駆動モータが回転するように制御する。図8において、減速する可変搬送速度および一定搬送速度に相当する速度で駆動モータが回転するときの速度変化は、図7に示す速度変化と同様であるので、同様な速度変化には同一の記号が付されている。
【0127】
本実施形態において、ロータリーシャ20による切断後に、ダブルフェーサ10の両ベルト11、12を駆動する駆動モータM1は、後続の両面段ボールを搬送するために駆動され、送出側コンベア44を駆動する駆動モータM11は、先行する両面段ボールを搬送するために駆動される。一方、送出側コンベア23、供給側コンベア43、コンベアユニット61A〜63Aを駆動する駆動モータM2、M3、M6、M9、M10は、先行する両面段ボールの位置に応じて、先行する両面段ボールまたは後続の両面段ボールを搬送するために駆動される。このため、本実施形態において、駆動モータM1および駆動モータM11は、本発明の第2の駆動部および第1の駆動部の一例であるが、駆動モータM2、M3、M6、M9、M10は、位置P1から位置P13までの間における先行する両面段ボールの位置に応じて、本発明の第1の駆動部として機能を果たす期間と、本発明の第2の駆動部として機能を果たす期間とが存在する。
【0128】
[変形例]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で当業者であれば種々の変形を加えることができる。
【0129】
(1)本実施形態では、駆動モータM1が、図8に示す時点T1から減速時間TDの間だけ可変搬送速度VF19に相当する可変回転速度で回転する構成であるが、この構成に限定されない。減速時間TDの算出処理を行わずに、図8に二点鎖線で示すように、駆動モータM1が、時点T1から時点T4まで減速用加速度DAで減速する可変搬送速度VF25、一定搬送速度VF26、および現在の搬送速度VF1に向かって増速用加速度UAで増速する可変搬送速度VF27に相当する回転速度で回転する構成でも良い。この構成において、時点T4は、後続の両面段ボールの先端が位置P4に到達し、先行する両面段ボールの後端との間に所定のギャップGP1が形成された時点である。また、図6に示すステップSV19においては、限界加速度MUAに代えて、増速する新たな加速度を決定する必要がある。具体的には、駆動モータM1が可変搬送速度VF25に相当する可変回転速度で回転するときに、時点T4にて所定のギャップGP1が形成されるように、先行する両面段ボールの搬送速度を増速する加速度が、上記の新たな加速度であり、距離L4、所定のギャップGP1の長さ、減速用加速度DA、および現在の搬送速度VF1に基づいて決定される。
【0130】
(2)本実施形態では、先行する両面段ボールが、図7に示す時点T4以降、一定搬送速度VF7〜VF12で搬送される構成であるが、スリッタスコアラ30などにより加工が行われる両面段ボールの搬送状態が減速により乱されることがなければ、時点T4の直後に現在の搬送速度VF1に向かって減速される構成でも良い。
【0131】
(3)本実施形態では、スリッタスコアラ30は第1および第2のユニット30A、30Bを備える構成であるが、1台のユニットのみを備えるスリッタスコアラを使用しても良い。この場合、ギャップの長さは、先行する両面段ボールの後端が1台のユニットの各加工具を通過してから、そのユニットがオーダ変更のために加工位置の切り替えを完了するのに充分な間隔である。
【0132】
(4)本実施形態では、第1および第2のユニット30A、30Bのスリッタナイフ対33A、33Bを駆動するために、2つの駆動モータM5、M8が使用される構成であるが、準備状態にあるスリッタナイフ対を回転させても両面段ボールを損傷させることがないことから、両スリッタナイフ対を1つの駆動モータで駆動する構成でも良い。
【0133】
(5)本実施形態では、図8に示す時点T1でロータリーシャ20が両面段ボールを切断した後に、図7に示すステップSV10、SV19において、初めて先行する両面段ボールの搬送速度が算出された加速度αで増速される構成であるが、時点T1の後であって算出された加速度αでの増速の前に、両面段ボールの搬送速度を僅かに増速するステップが付加されても良い。この増速ステップを付加することにより、ロータリーシャ20による切断直後に、先行する両面段ボールの後端に後続の両面段ボールの先端が衝突することを防止することができる。
【0134】
(6)本実施形態では、減速時間TDが演算式(2)および演算式(3)に従って決定される構成であるが、演算処理時間を省略するために、減速時間TDが現在の搬送速度VF1に対応して予め記憶されたテーブルを使用する構成でも良い。減速時間TDは、限界加速度MUA、減速用加速度DA、距離L4、および所定のギャップGP1の長さが予め定められた固定値であるので、測定された現在の搬送速度VF1に応じて変化する。
【0135】
(7)本実施形態では、先行する両面段ボールの後端が加工エンドの各装置を通過したときに、ステップSV12、SV16、SV24において、駆動モータが減速する可変搬送速度VF5〜VF12に相当する可変回転速度で減速される構成であるが、先行する両面段ボールの後端が加工エンドの各装置を通過した時点から、所定距離だけ一定搬送速度で搬送した後に、駆動モータを可変回転速度で減速する構成でも良い。所定距離は、第2のパスルジェネレータPG2からのパルス数に基づいて測定される搬送長さと実際の搬送長さとの差分である測定誤差を補正するために設定される距離である。
【0136】
(8)本実施形態では、カットオフ装置40の両ナイフシリンダ41、42はスチールから形成されるが、軽量化を図るためにスチール以外の炭素繊維複合材料などの材料から形成されても良い。
【0137】
(9)本実施形態では、図4に示すステップA19において、カットオフ装置40がオーダ1の最後のシート部分である100枚目のシート部分の後端を再度切断することが禁止されるが、この構成に限定されない。通常、両面段ボールの搬送長さの測定誤差などからカットオフ装置40により切断される最後のシート部分の長さが所定のシート長さより短くなることがある。この問題を解消するために、ロータリーシャ20は、最後のシート部分の後端の位置であるオーダ変更位置PCから所定の長さ上流側の位置で両面段ボールを切断するように制御される構成でもよい。この変形例の構成においては、カットオフ装置40は、オーダ1の最後のシート部分の後端を切断するために動作する構成となる。
【符号の説明】
【0138】
1 コルゲートマシン
10 ダブルフェーサ
20 ロータリーシャ
23 送出側コンベア
30 スリッタスコアラ
40 カットオフ装置
43 供給側コンベア
44 送出側コンベア
60 サクションコンベア群
100 管理装置
140 ダブルフェーサ制御装置
141 ロータリーシャ制御装置
143 カットオフ制御装置
145 コンベア制御装置
146 増速ボタン
170 速度指令装置
M1〜M11 駆動モータ
PG1 第1のパルスジェネレータ
PG2 第2のパルスジェネレータ
GP1 所定のギャップ
MUA 限界加速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボール生産ラインから搬送方向に搬送された連続する段ボールに対して、各オーダに応じた加工を行うと共に所定のシート長さに切断して段ボールシートを製造する段ボールシート製造装置において、
オーダが変更されるときに前記搬送方向と直交する幅方向に段ボールを切断する第1の切断部と、
前記搬送方向において前記第1の切断部より下流側に配置され、各オーダに応じたスリットおよび罫線の加工を段ボールに施す加工部と、
前記搬送方向において前記加工部より下流側に配置され、前記幅方向に段ボールを切断するために回転可能な回転体を含み、この回転体の回転速度が所定の限界加速度以下の加速度で加速可能な構成を有する第2の切断部と、
連続する段ボールから前記第1の切断部により切断され前記搬送方向において先行する段ボールを搬送する第1の駆動部と、後続の段ボールを搬送する第2の駆動部とを有する搬送部と、
前記第1の切断部により切断される前の連続する段ボールが搬送された搬送長さを測定し、前記第1の切断部により切断された後の前記先行する段ボールが搬送された搬送長さを測定する測定部と、
前記測定部により測定された搬送長さに基づいて、連続する段ボール上でのオーダ変更位置を決定して前記第1の切断部を作動させ、前記測定部により測定された搬送長さに基づいて、各オーダに応じた所定のシート長さに前記先行する段ボールを切断するために前記第2の切断部を作動させる切断制御部と、
前記第1の切断部の作動後に、前記先行する段ボールと前記後続の段ボールとの間に所定のギャップが生じるように前記第1および第2の駆動部の搬送速度を制御する搬送制御部とを備え、
前記搬送制御部は、前記第1の切断部と前記加工部との間の距離、前記所定のギャップの長さ、および前記後続の段ボールを加工するオーダに応じて定められた段ボールの搬送速度に基づいて、前記後続の段ボールの先端が前記第1の切断部から前記加工部まで搬送される間に前記先行する段ボールの搬送速度を加速する搬送加速度を前記所定の限界加速度以下に決定し、その決定された搬送加速度で加速されるように前記第1の駆動部の搬送速度を制御する段ボールシート製造装置。
【請求項2】
前記搬送制御部により決定された搬送加速度は、前記後続の段ボールの先端が前記第1の切断部から前記加工部まで搬送される間において等加速度であることを特徴とする請求項1に記載の段ボールシート製造装置。
【請求項3】
前記段ボール生産ラインのダブルフェーサにおいて搬送される段ボールの搬送速度を検出する速度検出部を備え、
前記搬送制御部は、前記第1の切断部と前記加工部との間の距離、前記所定のギャップの長さ、および前記速度検出部により検出された段ボールの搬送速度に基づいて、前記搬送加速度を算出することを特徴とする請求項2に記載の段ボールシート製造装置。
【請求項4】
前記第1の駆動部は、前記第1の切断部と前記加工部との間に配置された第1のコンベアを駆動する第1の搬送モータと、前記加工部と前記カットオフ装置との間に配置された第2のコンベアを駆動する第2の搬送モータと、前記カットオフ装置より下流側に配置された第3のコンベアを駆動する第3の搬送モータとを含み、
前記先行する段ボールの後端が前記第1のコンベア、前記第2のコンベア、および前記カットオフ装置の各々を通過したことを検出する通過検出部を備え、
前記搬送制御部は、
前記先行する段ボールの後端が前記第1および第2のコンベアの各々を通過したことが前記通過検出部により検出されたときに、その後端が通過したコンベアを駆動する搬送モータの搬送速度を前記速度検出部により検出された搬送速度まで減速し、
前記先行する段ボールの後端が前記カットオフ装置を通過したことが前記通過検出部により検出されたときに、前記第3のコンベアを駆動する第3の搬送モータの搬送速度を前記速度検出部により検出された搬送速度まで減速することを特徴とする請求項3に記載の段ボールシート製造装置。
【請求項5】
前記搬送制御部により算出された搬送加速度が前記所定の限界加速度を超えるか否かを判断する判断部を備え、
前記搬送制御部は、
前記算出された搬送加速度が前記所定の限界加速度以下であると前記判断部により判断されたときに、前記第2の駆動部の搬送速度を前記速度検出部により検出された搬送速度に維持すると共に、前記第1の駆動部の搬送速度を前記算出された搬送加速度で加速し、
前記算出された搬送加速度が前記所定の限界加速度を超えると前記判断部により判断されたときに、前記第2の駆動部の搬送速度を前記速度検出部により検出された搬送速度から減速すると共に、前記第1の駆動部の搬送速度を前記所定の限界加速度で加速することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の段ボールシート製造装置。
【請求項6】
前記段ボール生産ラインのダブルフェーサにおいて搬送される段ボールの搬送速度の加速を指令するために操作可能な操作部を備え、
前記搬送制御部は、
前記操作部が操作されたときに、その操作に従い前記第2の駆動部の搬送速度を加速し、
前記算出された搬送加速度が前記所定の限界加速度を超えると前記判断部により判断されたときに、前記第2の駆動部の搬送速度を前記速度検出部により検出された搬送速度から減速する間、前記操作部の操作に従う前記第2の駆動部の搬送速度の加速を禁止することを特徴とする請求項5に記載の段ボールシート製造装置。
【請求項7】
前記算出された搬送加速度が前記所定の限界加速度を超えると前記判断部により判断されたときに、前記搬送制御部は、予め定められた減速用加速度で前記第2の駆動部の搬送速度を前記速度検出部により検出された搬送速度から減速する減速時間を、前記第1の切断部と前記加工部との間の距離、前記所定のギャップの長さ、前記速度検出部により検出された搬送速度、および前記減速用加速度に基づいて、決定することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の段ボールシート製造装置。
【請求項8】
前記算出された搬送加速度が前記所定の限界加速度を超えると前記判断部により判断されたときに、前記第2の駆動部の搬送速度を前記速度検出部により検出された搬送速度から減速する加速度は、前記後続の段ボールの先端が前記第1の切断部から前記加工部まで搬送される間において等加速度であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の段ボールシート製造装置。
【請求項9】
前記搬送制御部は、
前記後続の段ボールの先端が前記第1の切断部から前記加工部まで搬送される間に前記第2の駆動部の搬送速度を前記速度検出部により検出された搬送速度から減速した後に、前記第2の駆動部の搬送速度を所定期間だけ一定の速度に制御し、
前記所定期間の経過後に、予め定められた増速用加速度で前記第2の駆動部の搬送速度を前記速度検出部により検出された搬送速度まで加速することを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の段ボールシート製造装置。
【請求項10】
前記第1の切断部と前記加工部との間の距離は、前記所定のギャップの長さ、前記第2の駆動部の最高搬送速度、および前記所定の限界加速度に基づいて、定められた距離であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の段ボールシート製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−152937(P2012−152937A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11849(P2011−11849)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000139931)株式会社ISOWA (39)
【Fターム(参考)】