説明

段ボール製梱包材用連結部材

【課題】 天蓋や底蓋などの段ボール製梱包材を、組立て前の基材シートの状態で出荷し、梱包現場において簡単に組み立てることが出来る、新規な段ボール製梱包材用連結部材を提供する。
【解決手段】 段ボール製梱包材の基材シート100における基板101外周縁の折線102に沿ってそれぞれの周壁板103を立ち上げた後、隣合せる周壁板同士の一方の周壁板の上縁部に一方の嵌着部1aを嵌着し、他方の周壁板の上縁部に他方の嵌着部1bを嵌着する。それぞれの嵌着部の差込片6が各周壁板103の厚み内に差し込まれ、隣合せる周壁板の折り曲げ状態(立ち上げ状態)が維持されて、箱状の段ボール製梱包材が組み立てられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール製梱包材用の連結部材に関し、詳しくは、基材シート(段ボールシート)からなる天蓋や底蓋などの梱包材の組立てに用いる連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば段ボール製スリーブの上面開口部や下面開口部を天蓋(キャップ)や底蓋などで塞いでなる段ボール製の梱包体が知られている。
これら天蓋や底蓋は、例えば特許文献1(実開昭50−123678号公報)の第1図,第2図に示されるように、基板の外周縁に連設された周壁板(立上り壁)を折線に沿って立ち上げて、下面若しくは上面が開放する箱状に組み立てられる。隣合せる周壁板同士は、ステーブル止め、ステッチ止め、テープ貼り、接着などの手段により相互に連結され、これにより、天蓋,底蓋の組立て状態が維持されるようになっている。
前記したスリーブや天蓋,底蓋などからなる梱包体は、基材シートによって段ボール工場において製造され、被梱包物の梱包現場に出荷される。
スリーブとしては、上面開放型、下面開放型、上下面開放型などの各種構造のものがあり、それに合わせて、天蓋、底蓋が適宜用いられる。
【0003】
【特許文献1】実開昭50−123678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
処で、前述の梱包体のうち、スリーブは扁平状に折り畳んで搬送することができるが、天蓋や底蓋は前記したように、隣合せる周壁板同士をステーブル止め、ステッチ止め、テープ貼り、接着などの手段により固定して箱状に組み立てた状態で搬送されるので、出荷に際し非常に嵩張り、搬送コストが高騰するという問題が生じていた。
搬送コストを軽減するには、組立て前の基材シートの状態で出荷し、梱包現場において箱状に組み立てることも考えられるが、この場合、前述したように、基板外縁の周壁板(立上り壁)を折り曲げた後、隣合せる周壁板同士を、ステーブル止め、ステッチ止め、テープ貼り、接着などの手段により相互に連結する必要があるので、梱包作業が面倒になるという不具合が生じる。
【0005】
本発明はこのような従来事情に鑑みて成されたもので、その目的とする処は、天蓋や底蓋などの段ボール製梱包材を、組立て前の基材シートの状態で出荷し、梱包現場において簡単に組み立てることが出来る、新規な段ボール製梱包材用連結部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するために、本発明に係る段ボール製梱包材用連結部材は、
基板の外周縁に折線を介して周壁板が立ち上がる箱状の段ボール製梱包材における隣り合せて立ち上がる前記周壁板同士を連結する連結部材であって、
一方の周壁板の上縁部に嵌着せる一方の嵌着部と、他方の周壁板の上縁部に嵌着せる他方の嵌着部とを、折曲げ自在な薄肉部で並列状に連設してなり、
前記それぞれの嵌着部は、前記周壁板の外面に沿う外側板と、内面に沿う内側板と、上端面に沿う上縁板からなる断面コ字状を呈して前記周壁板の上縁部に嵌着自在に形成され、且つ前記外側板と内側板の間に、前記上縁板から垂下し前記周壁板の厚み内に差し込まれる差込片を有することを特徴とする。
【0007】
このような連結部材を用いることで、段ボール製梱包材の基材シート(段ボールシート)における基板外周縁の折線に沿ってそれぞれの周壁板(立上り壁)を立ち上げた後、隣合せる周壁板同士の一方の周壁板の上縁部に一方の嵌着部を嵌着し、他方の周壁板の上縁部に他方の嵌着部を嵌着すれば、それぞれの嵌着部の差込片が各周壁板の厚み内に差し込まれ、隣合せる周壁板の折り曲げ状態(立ち上げ状態)が維持されて、箱状の段ボール製梱包材が組み立てられる。すなわち、それぞれの周壁板を、ステーブル止め、ステッチ止め、テープ貼り、接着などの固定手段により相互に連結する手間を要することなく、極めて簡便且つ確実に、段ボール製梱包材を箱状に組み立てることができる。よって、天蓋や底蓋などの段ボール製梱包材を、組立て前の基材シートの状態で出荷し、梱包現場において簡単に組み立てることが出来るようになる。
【0008】
嵌着部を周壁板に嵌着する際の作業性、操作性などを考慮すれば、前記差込片は先端が鋭角状に形成されていることが好ましい。また、周壁板に対する嵌着部の嵌着状態を維持する為に、前記差込片に、前記周壁板の内部に係合する抜け止め用の係止段部が形成されていることが好ましい。
さらに、前記外側板または前記内側板または前記差込片のうちの少なくとも一つ以上に、前記嵌着部の高さ方向(周壁板に対し嵌着部を嵌着する方向)に伸びて前記周壁板に食い込む突条が形成されていることが好ましい。
【0009】
また、前記それぞれの嵌着部、薄肉部、差込片が硬質合成樹脂により一体成形されており、且つそれぞれの嵌着部における外側板が、前記周壁板の上縁角部を覆う形状に形成されていることが好ましい。
この場合、箱状に組み立てられた段ボール製梱包材の上面開口または下面開口の四隅部分をそれぞれの連結部材で保護して、該梱包材の耐久性や強度の向上を図ることができる。
【0010】
本発明に係る連結部材の使用対象である段ボール製梱包材として、例えば、段ボール製スリーブの上面開口部を塞ぐ箱状の天蓋、又は下面開口部を塞ぐ箱状の底蓋をあげることができる。
【0011】
また、本発明は、基板の外周縁に折線を介して周壁板が連設された基材シートの要所の折曲げにより、上面または下面が開口する箱状に組み立てられる段ボール製梱包材であって、前記折線を介して立ち上げた隣合せる周壁板同士を、前述した本発明に係る連結部材で連結して箱状に組み立てられている段ボール製梱包材を包含するものである。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明は、ステーブル止め、ステッチ止め、テープ貼り、接着などの特別な固定手段を用いることなく、基板外周縁に立ち上げた隣合せる周壁板に嵌着部を嵌着するだけで、天蓋、底蓋などの段ボール製梱包材を、極めて簡単に、箱状に組み立てることができる。したがって、天蓋や底蓋などの段ボール製梱包材を、組立て前の基材シートの状態で出荷し、梱包現場において容易に組み立てることが可能になるので、段ボール製梱包体の搬送コストを大幅に低減し得、ひいては、段ボール製梱包体の低コスト化にも寄与し得るなど、多くの効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、実施形態の一例を図1〜図7を参照して説明する。
本例に係る段ボール製梱包材用の連結部材Aは、図7に示すように、基板101の外周縁に折線102を介して周壁板103を連設した基材シート(段ボールシート)100を箱状に組み立てる際に、折線102に沿って立ち上げた隣合せる周壁板103,103同士を連結するもので、図1〜図4に示すように、一方の周壁板103の上縁部に嵌着せる一方の嵌着部1aと、他方の周壁板103の上縁部に嵌着せる他方の嵌着部1bとを、折曲げ自在な薄肉部2で並列状に連設してなる。
【0014】
それぞれの嵌着部1a,1bは、前記周壁板103の外面に沿う外側板3と、内面に沿う内側板4と、上端面に沿う上縁板5からなる断面コ字状を呈し、前記周壁板103の上縁部に嵌着自在に形成されている。また、各嵌着部1a,1bは、前記外側板3と内側板4の間に、前記上縁板5から垂下し前記周壁板103の厚み内に差し込まれる差込片6を一体に有している。
【0015】
それぞれの差込片6は、先端が鋭角状となる楔形状に形成されている。また、各差込片6における表側の面(内側板4と対向する面)と、裏側の面(外側板3と対向する面)には、図5に示すように、前記周壁板103の内部に係合する抜け止め用の係止段部7,8が形成されている。
【0016】
内側板4における周壁板103内面と摺接する面の左右両側と、それぞれの差込片6における前記表側の面の中央には、嵌着部1a,1bの高さ方向(周壁板103に対し嵌着部1a,1bを嵌着する方向)に伸びて周壁板103に食い込む突条9,10が形成されており、前述した係止段部7は、突条10の中高部位に形成されている。
【0017】
前記したそれぞれの嵌着部1a,1b、薄肉部2、差込片6,6などは、硬質合成樹脂により一体成形されており、薄肉部2のみ、左右の嵌着部1a,1bをほぼ直角に位置し得るよう折り曲げ自在な厚みをもって成形されている。
外側板3と上縁板5における差込片6の近傍箇所には、差込片6に所望の弾性を発揮させるための開口11,12が形成されている。
【0018】
また、それぞれの嵌着部1a,1bにおける外側板3は、前記周壁板103の上縁角部を覆うことができる形状をもって形成され、箱状に組み立てられた段ボール製梱包材の上面開口または下面開口の四隅部分をそれぞれの連結部材Aで保護し得るようになっている。
【0019】
本例の連結部材Aで組立てられる段ボール製梱包材としては、段ボール製スリーブの上面開口部を塞ぐ天蓋、又は下面開口部を塞ぐ底蓋などをあげることができる。
これら梱包材は前述したように、基板101の外周縁に折線102を介して周壁板103が連設された基材シート(段ボールシート)100の要所の折曲げにより、上面または下面が開口する箱状に組み立てられる段ボール製梱包材であって、隣合せる周壁板103,103同士を、前述の連結部材Aで連結して箱状に組み立てられたものである。
【0020】
すなわち、基材シート100における基板101外周縁の折線102に沿ってそれぞれの周壁板103を立ち上げた後、隣合せる周壁板同士の一方の周壁板103の上縁部に一方の嵌着部1aを嵌着し、他方の周壁板103の上縁部に他方の嵌着部1bを嵌着すれば、それぞれの嵌着部の差込片6,6が各周壁板103の厚み内に差し込まれ、隣合せる周壁板103,103の折り曲げ状態(立ち上げ状態)が維持されて、箱状の段ボール製梱包材が組み立てられる(図6参照)。よって、ステーブル止め、ステッチ止め、テープ貼り、接着などの固定手段を要することなく、極めて簡便且つ確実に、段ボール製梱包材を箱状に組み立てることができる。
【0021】
差込片6は先端が鋭角状であるから、周壁板103の厚み内に容易に差し込むことが出来、且つ、前記した各突条9,10が、周壁板103に対する嵌着部1a,1bの嵌着(嵌め込み)をガイドする。
また、それぞれの突条9,10及び係止段部7,8が周壁板103の内面又は厚み内に食い込んで、周壁板103に対し嵌着部1a,1bがしっかりと固定され、段ボール製梱包材の組み立て状態を維持することができる。
さらに、箱状に組み立てられた段ボール製梱包材の上面開口または下面開口の四隅部分をそれぞれの連結部材Aで保護して、該梱包材の耐久性や強度の向上を図ることができるなど、多くの効果を奏する。
【0022】
以上、本発明に係る段ボール製梱包材用連結部材およびこれを用いて組み立てられた段ボール製梱包材の実施形態の一例を図面に基づいて説明したが、本発明は図示例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において各種の変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る段ボール製梱包材用連結部材の実施形態の一例を示す斜視図。
【図2】図1に示す連結部材の正面図。
【図3】図1に示す連結部材の背面図。
【図4】図1に示す連結部材の底面図で、使用状態を仮想線で表す。
【図5】図1に示す連結部材の要部を拡大して表す縦断側面図。
【図6】図1に示す連結部材の使用状態を示す斜視図。
【図7】本発明に係る段ボール製梱包材の基材シートの一例を示す平面図。
【符号の説明】
【0024】
A:連結部材
1a,1b:嵌着部
2:薄肉部
3:外側板
4:内側板
5:上縁板
6:差込片
7,8:係止段部
9,10:突条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の外周縁に折線を介して周壁板が立ち上がる箱状の段ボール製梱包材における隣り合せて立ち上がる前記周壁板同士を連結する連結部材であって、
一方の周壁板の上縁部に嵌着せる一方の嵌着部と、他方の周壁板の上縁部に嵌着せる他方の嵌着部とを、折曲げ自在な薄肉部で並列状に連設してなり、
前記それぞれの嵌着部は、前記周壁板の外面に沿う外側板と、内面に沿う内側板と、上端面に沿う上縁板からなる断面コ字状を呈して前記周壁板の上縁部に嵌着自在に形成され、且つ前記外側板と内側板の間に、前記上縁板から垂下し前記周壁板の厚み内に差し込まれる差込片を有することを特徴とする段ボール製梱包材用連結部材。
【請求項2】
前記差込片に、前記周壁板の内部に係合する抜け止め用の係止段部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の段ボール製梱包材用連結部材。
【請求項3】
前記外側板または前記内側板または前記差込片のうちの少なくとも一つ以上に、前記嵌着部の高さ方向に伸びて前記周壁板に食い込む突条が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の段ボール製梱包材用連結部材。
【請求項4】
前記それぞれの嵌着部、薄肉部、差込片が硬質合成樹脂により一体成形されており、且つそれぞれの嵌着部における外側板が、前記周壁板の上縁角部を覆う形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の段ボール製梱包材用連結部材。
【請求項5】
前記段ボール製梱包材が、段ボール製スリーブの上面開口部を塞ぐ天蓋、又は下面開口部を塞ぐ底蓋であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の段ボール製梱包材用連結部材。
【請求項6】
基板の外周縁に折線を介して周壁板が連設された基材シートの要所の折曲げにより、上面または下面が開口する箱状に組み立てられる段ボール製梱包材であって、
前記折線を介して立ち上げた隣合せる周壁板同士を、請求項1〜5のいずれかに記載の連結部材で連結して箱状に組み立てられていることを特徴とする段ボール製梱包材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−143530(P2008−143530A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330187(P2006−330187)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000110332)王子インターパック株式会社 (17)
【出願人】(598102546)南真化学工業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】