説明

段積設備

【課題】 本発明は、段積設備において、育苗箱の積付姿勢ひいては移載精度を良好に維持しながら、作業能率向上を図ることを課題とする。
【解決手段】 段積された育苗箱Cを把持して横移動し所定の積付枚数に積付ける積付装置118は、前記段積枚数に段積された育苗箱Cを上側に重ねて複数回積付けることにより、育苗箱Cを前記積付枚数に積付ける構成とし、横方向に可動して育苗箱Cを把持する可動アーム126と、該可動アーム126と共に横方向に可動すると共に該可動アーム126の先端よりも下位まで下動することにより、既に積付けた育苗箱Cの側面と可動アーム126が把持する育苗箱Cの側面に接触して育苗箱Cの位置を規制する規制具125を設けた段積設備とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段積設備に関する。
【背景技術】
【0002】
育苗箱搬送コンベヤで搬送される育苗箱を下方から持ち上げて所定の段積枚数に段積する段積装置と、該段積装置で段積された育苗箱を把持して横移動し所定の積付枚数に積付ける積付装置と、該積付装置で育苗箱が積付けられる受け台と、受け台上から積付装置で積付けられた育苗箱を持ち上げて載せる積付アームと、該積付アームを上下移動及び横移動させて台車の所定位置に移載する移載機構を設け、積付装置は、前記段積枚数に段積された育苗箱を上側に重ねて複数回積付けることにより、育苗箱を前記積付枚数に積付ける構成とし、横方向に可動して育苗箱を把持する可動アームを設けた段積設備が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4326352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記背景技術によると、積付装置は、前記段積枚数に段積された育苗箱を上側に重ねて複数回積付けることにより、育苗箱を前記積付枚数に積付けるので、先に積付けた育苗箱とその上に積付ける育苗箱を揃えて育苗箱の積付姿勢を高精度で適正に維持しなければならない。
【0005】
本発明は、段積設備において、育苗箱の積付姿勢ひいては移載精度を良好に維持しながら、作業能率向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決するべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、育苗箱搬送コンベヤ(103)で搬送される育苗箱(C)を下方から持ち上げて所定の段積枚数に段積する段積装置(117)と、該段積装置(117)で段積された育苗箱(C)を把持して横移動し所定の積付枚数に積付ける積付装置(118)と、該積付装置(118)で積付けられた育苗箱(C)を載せる積付アーム(119)と、該積付アーム(119)を上下移動及び横移動させて所定位置に移載する移載機構(120)を設け、積付装置(118)は、前記段積枚数に段積された育苗箱(C)を上側に重ねて複数回積付けることにより、育苗箱(C)を前記積付枚数に積付ける構成とし、横方向に可動して育苗箱(C)を把持する可動アーム(126)と、該可動アーム(126)と共に横方向に可動すると共に該可動アーム(126)の先端よりも下位まで下動することにより、既に積付けた育苗箱(C)の側面と可動アーム(126)が把持する育苗箱(C)の側面に接触して育苗箱(C)の位置を規制する規制具(125)を設けた段積設備とした。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、可動アーム(126)が育苗箱(C)側へ可動して段積された育苗箱(C)を把持し、その後可動アーム(126)が育苗箱(C)を把持した状態で上動すると共に横移動し、その後規制具(125)が下動して既に積付けた育苗箱(C)の側面と可動アーム(126)が把持する育苗箱(C)の側面に接触し、その後可動アーム(126)及び規制具(125)が下動して可動アーム(126)が把持する育苗箱(C)を積付け、その後可動アーム(126)及び規制具(125)が育苗箱(C)とは反対側へ可動し、その後可動アーム(126)及び規制具(125)が上動して積付けられた育苗箱(C)から退避する構成とした請求項1に記載の段積設備とした。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、積付装置(118)により段積された育苗箱(C)を上側に重ねて複数回積付けるうちの1回目の積付け時には、規制具(125)が下動しない構成とした請求項1又は請求項2に記載の段積設備とした。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、可動アーム(126)の先端部には把持する育苗箱(C)を下方から支えるための突出部(164)を設け、該突出部(164)を可動アーム(126)の基部に対して上下に移動自在に支持し、突出部(164)を可動アーム(126)の基部に対して下側に付勢する突出部付勢具(167)を設けた請求項1から請求項3の何れか1項に記載の段積設備とした。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、把持する育苗箱(C)の側面に接する可動アーム(126)の側面の接触面を板材の端面で構成し、把持する育苗箱(C)の底面に接する突出部(164)の接触面を板材の表面で構成し、可動アーム(126)の側面の前記接触面と突出部(164)の前記接触面の位置を調節可能に構成し、可動アーム(126)の側面の接触面に対して突出部(164)を着脱できる構成とした請求項4に記載の段積設備とした。
【0011】
また、請求項6に係る発明は、積付アーム(119)は、通常位置(H)から往行程の横移動で段積された育苗箱(C)を前記所定位置にある台車(111)の載台(111a)上へ移動し、下動して段積された育苗箱(C)を載台(111a)上へ移載し、前記下動した状態のままの復行程の横移動で載台位置から退避する構成とし、後方から押して前記所定位置へ台車(111)を搬送する搬送押出具(168)と、該搬送押出具(168)により搬送される台車(111)に前側から接触して該台車(111)を前記所定位置へ保持する台車ストッパ(171)を設け、該台車ストッパ(171)を前後に移動自在に設け、台車ストッパ(171)を台車側となる後側へ付勢する台車付勢具(171c)と、台車ストッパ(171)に台車(111)が接触したことを検出する台車検出具(171d)を設け、該台車検出具(171d)が台車ストッパ(171)に台車(111)が接触したことを検出してから所定時間後まで搬送押出具(168)を搬送作動させる構成とした請求項5に記載の段積設備とした。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によると、規制具(125)が下動することにより、既に積付けた育苗箱(C)の側面と可動アーム(126)が把持する育苗箱(C)の側面に接触して育苗箱(C)の位置を規制するので、先に積付けた育苗箱(C)とその上に積付ける育苗箱(C)を揃えて育苗箱(C)の積付姿勢を高精度で適正に維持でき、育苗箱(C)の積付姿勢ひいては移載精度を良好に維持でき、積付けられた育苗箱(C)の搬送速度を速くしても該育苗箱(C)が崩れないようにでき、作業能率向上が図れる。特に、木箱等、上下で嵌り合わない育苗箱を積付けるとき、上下の育苗箱を高精度で適正に維持でき、作業能率向上が図れる。
【0013】
請求項2の発明によると、請求項1の発明の効果に加えて、可動アーム(126)が育苗箱(C)を把持して横移動した後、規制具(125)が下動して既に積付けた育苗箱(C)の側面と可動アーム(126)が把持する育苗箱(C)の側面に接触するので、育苗箱(C)を積付ける直前に規制具を下動させるため、下動させた規制具(125)が可動アーム(126)により育苗箱(C)を把持するときや横移動するときに邪魔にならず、ひいては育苗箱(C)の把持や横移動に伴う可動アーム(126)の移動経路の短縮化が図れ、作業能率向上が図れる。また、可動アーム(126)が把持する育苗箱(C)を積付ける前に、規制具(125)が下動して既に積付けた育苗箱(C)と可動アーム(126)が把持する育苗箱(C)を揃えるので、積付ける育苗箱(C)を円滑に揃えることができる。更に、可動アーム(126)が下動して把持する育苗箱(C)を積付けるときも規制具(125)が育苗箱(C)に作用し、育苗箱の積付姿勢を高精度で適正に維持できる。そして、規制具(125)は育苗箱(C)とは反対側へ可動して育苗箱(C)から退避するので、規制具(125)の退避動作で育苗箱(C)の積付姿勢を悪化させるようなことが抑えられ、育苗箱(C)の積付姿勢を高精度で適正に維持できる。
【0014】
請求項3の発明によると、請求項1又は請求項2の発明の効果に加えて、1回目の積付け時には規制具(125)が下動しないので、規制具(125)が邪魔にならずに前記1回目の積付けを円滑に行え、作業能率向上が図れる。
【0015】
請求項4の発明によると、請求項1から請求項3の何れか1項の発明の効果に加えて、可動アーム(126)の下動で育苗箱(C)を積付けるとき、既に積付けた育苗箱(C)に突出部(164)が接触しても該突出部(164)が突出部付勢具(167)に抗して上動するため、突出部(164)の損傷を防止すると共に、既に積付けた育苗箱(C)の積付姿勢が悪化するようなことが抑えられ、育苗箱(C)の積付姿勢を高精度で適正に維持できる。逆に言えば、可動アーム(126)の下動で把持する育苗箱(C)を、既に積付けた育苗箱(C)に近づけてから可動アーム(126)を育苗箱(C)とは反対側へ可動して落下供給することができ、育苗箱(C)の落差を小さくできるため、育苗箱(C)の積付姿勢を高精度で適正に維持できる。特に、異なる種類の育苗で該育苗箱の上下の厚みの相違や、育苗箱に充填される培土の量や均平状態の相違等により、所定の段積枚数に段積された育苗箱(C)全体の高さや所定の積付枚数に積付けられた育苗箱(C)全体の高さが相違することで、既に積付けた育苗箱(C)に突出部(164)が接触するのに対応できる。
【0016】
請求項5の発明によると、請求項4の発明の効果に加えて、把持する育苗箱(C)の側面に接する可動アーム(126)の側面の接触面を板材の端面で構成したので、前記接触面の育苗箱(C)への接触面積を小さくでき、前記接触面への土の付着を抑えることができる。また、可動アーム(126)の側面の前記接触面と突出部(164)の前記接触面の位置を調節可能に構成したので、育苗箱(C)の種類に応じて、例えば育苗箱(C)のリブの部分に可動アーム(126)の側面や突出部(164)が接触して育苗箱(C)を不安定に支持するようなことを回避でき、育苗箱(C)を安定的に支持できて育苗箱(C)の積付姿勢を高精度で適正に維持できる。更に、突出部(164)の摩耗や苗箱の種類に応じて、突出部(164)を交換できる。
【0017】
請求項6の発明によると、請求項5の発明の効果に加えて、所定位置で台車ストッパ(171)と搬送押出具(168)で圧力を与えながら台車(111)を挟んでずれないように確実に保持でき、積付アーム(119)により台車(111)の適正な位置に育苗箱(C)を供給でき、育苗箱(C)の移載精度を良好に維持でき、作業能率向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】播種施設のレイアウト図
【図2】播種設備の全体側面図
【図3】段積設備の平面図
【図4】段積設備の側面図
【図5】段積設備の正面図
【図6】偏心カム及び支持板を示す図(A:正面図、B:側面図)
【図7】突出部周辺を示す正面図
【図8】衝撃吸収シリンダ及び戻し用シリンダを示す図
【図9】積付アームに複数回に分けて積付ける状態を判りやすく示す斜視図
【図10】育苗箱を出芽台車に載置する状態を示す斜視図(A:奥側の載置位置への供給形態、B:手前側の載置位置への供給形態)
【図11】栽培施設の第一例を示す図
【図12】栽培施設の第二例の特徴部分を示す図
【図13】暖房配管を横移動させる構成を示す図(A:正面図、B:平面図)
【図14】栽培施設の第三例の特徴部分を示す図(A:通常栽培時、B:作業時)
【図15】遮光カーテンの開閉機構の一部を示す側面図
【図16】遮光カーテンの開閉機構の一部を示す平面図
【図17】温湯消毒設備の一部を示す平面図
【図18】温湯消毒設備の一部を示す側面図
【図19】移送装置及び下降装置の一部を示す側面図
【図20】上昇装置の一部を示す側面図
【図21】上昇装置の一部及び戻り装置の一部を示す側面図
【図22】種子袋供給位置を示す側面図
【図23】反転カム及びガイド板を示す側面図
【図24】冷却槽を示す断面側面図
【図25】冷却槽を示す平面図
【図26】水切り装置を示す側面図
【図27】温湯及び冷却水の供給経路を示す図
【図28】乾燥・出荷工程の工程図
【図29】乾燥装置の内部を説明する側面図
【図30】作業台車を示す正面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。尚、以下の実施の形態は、あくまで実施の一形態であって、特許請求の範囲を拘束するものではない。
図1は、播種施設の平面レイアウト図である。この播種育苗施設は、2階が育苗箱置場となっており、その育苗箱置場の育苗箱Cが育苗箱供給装置101によって1階に設置した播種設備102に1枚ずつ順次供給される。播種設備102は図2に示す構成で、育苗箱Cを一定方向に搬送する育苗箱搬送コンベヤ103に沿って、育苗箱に床土を入れて鎮圧・均平する床土供給装置104、水稲用の灌水装置105、床土の上に種籾を播種する播種装置106、覆土を施す覆土供給装置107、野菜用の灌水装置108が設けられている。尚、床土供給装置104の育苗箱搬送下手側部分には、育苗箱に供給された床土を均平する均平部109を備えている。尚、野菜の種子を播種するときには、野菜用の灌水装置108を作動させ、覆土供給装置107により覆土した後に灌水するようになっている。播種設備102によって播種等を施された育苗箱は、段積設備110によってパレット又は台車111の上に所定段数ずつ段積みされる。そして、段積みされた育苗箱を出芽室112に搬入して出芽させる。出芽室112で出芽させた段積状の育苗箱は育苗箱積替装置113で緑化台車146に棚積みされ、該緑化台車146ごと温度管理された緑化室200へ搬入して所定の大きさに苗が成育するまで育苗する。尚、前記出芽室112及び緑化室200は、それぞれ3室設けられている。
【0020】
播種設備102の播種装置106の貯留する種籾の減少に伴って、種籾コンテナ114から自動的に該播種装置106へ種籾を供給する種籾供給コンベア115を設けている。この播種育苗施設には浸種水槽116を複数個(5個)設けており、水を張った該浸種水槽116内へ種籾を収容した状態の種籾コンテナ114を沈めて浸種して種子の芽出しを促進した後、その種子を播種装置106へ供給するようになっている。浸種水槽116へ供給される水は電気分解により生成される電解水(消毒液)であり、この浸種行程において種子の消毒も行う。従って、浸種水槽116は、浸種設備並びに種子消毒設備を構成している。前記電解水として生成される強酸性水と強アルカリ水とは、所望の温度に維持するべく共通の緑化室200に設けた酸性水タンク201及びアルカリ水タンク202に貯留されている。浸種水槽116へ供給する水は、前記タンク201,202内の貯留量等に応じて強酸性水か強アルカリ水か適宜選択することができるが、複数個備える浸種水槽116ごとに強酸性水と強アルカリ水とを振り分けて供給し、浸種行程が終わると各浸種水槽116内の強酸性水と強アルカリ水とを混合させて中和し、中和された水を排水するのが理想的である。尚、この播種育苗施設には種籾コンテナ114ごと収容できる催芽設備204も備えており、種籾コンテナ114内で種子を催芽させることもできる。
【0021】
次に、段積設備110について説明する。この段積設備110は、育苗箱搬送コンベヤ113の終端部に配置され、該育苗箱搬送コンベヤ113で搬送される育苗箱Cを下方から持ち上げて段積する段積装置117と、該段積装置117で段積された育苗箱Cを把持して横移動し積付ける積付装置118と、該積付装置118で育苗箱Cが積付けられる積付アーム119と、該積付アーム119を上下移動及び横移動させて所定位置に移載する移載機構120とを備えている。
【0022】
育苗箱搬送コンベヤ103の搬送終端部には、搬送されてくる育苗箱Cを減速して停止させる空気圧式の衝撃吸収シリンダ156を設けている。搬送されてくる育苗箱Cが衝撃吸収シリンダ156のシリンダロッド156aに当たって該シリンダロッド156aが押し込まれながら搬送の衝撃が吸収されて育苗箱Cの搬送速度が徐々に低下し、シリンダロッド156aの作動ストローク終端で育苗箱Cが停止する。これにより、育苗箱C内の培土の土寄りを防止しながら育苗箱Cの搬送を停止できる。衝撃吸収シリンダ156の空気圧回路は、シリンダロッド156aと一体で作動するピストン156bの一方側と他方側のシリンダ室156cをエア配管157で繋いだ閉回路となっており、エア配管157には空気の流量を制限する流量絞り弁158を設けている。該流量絞り弁158による抵抗力を受けながら押し込まれたシリンダロッド156aは、別途設けた空気圧式の戻し用シリンダ159で作動する戻しロッド159aにより突出する初期状態に戻される。尚、コンプレッサ160からの空気圧が電磁式空気圧切替弁161を介して戻し用シリンダ159に供給されて戻しロッド159aが作動する。戻しロッド159aの先端に設けたU字型の戻し部材159bがシリンダロッド156aの先端部156dを押すことにより、強制的にシリンダロッド156aを戻す。戻しロッド159aは、シリンダロッド156aを戻せば直ぐに元の位置に戻り、育苗箱Cの搬送によるシリンダロッド156aの押込を阻害しない。従って、育苗箱搬送コンベヤ103で搬送される次の育苗箱Cを、シリンダロッド156aが受け止めることができる。衝撃吸収シリンダ156の空気圧回路は閉回路であるため、空気圧回路の圧抜き(大気開放)をしてシリンダロッド156aを初期位置に戻すのに比較して、空気圧回路又は衝撃吸収シリンダ156に空気中の水分が蓄積されにくくなるので、水分により衝撃吸収シリンダ156の作動不良が発生するのを抑え、衝撃吸収シリンダ156の耐久性を向上させながら、戻しロッド159aによりシリンダロッド156aを初期位置に戻すことができる。
【0023】
段積装置117は、育苗箱搬送コンベヤ103で搬送され衝撃吸収シリンダ156で受け止められた育苗箱Cの底面に接触して該育苗箱Cを持ち上げる偏心カム121と、該偏心カム121で持ち上げられた育苗箱Cの縁部を支える支持板122とを備えている。偏心カム121は、偏心した回動軸123で駆動する円板であり、持ち上げる育苗箱Cの前後左右に計4個設けられている。4個の偏心カム121は、同じ移送で駆動回転し、同時に育苗箱Cを持ち上げる。支持板122は、左右に2枚設けられ、スプリングで左右外側に付勢され、偏心カム121の回動軸123と一体回転する駆動カム124の駆動により、駆動カム124の突部124aに押されて育苗箱C側(左右内側)へ向けて移動する。従って、支持板122は、左右外側から育苗箱C側(左右内側)へ向けて移動して育苗箱Cの縁部の下方に突出する構成となっている。
【0024】
積付装置118は、所定の段積枚数(10枚)に段積された育苗箱Cをまとめて把持して移動する構成であり、一対の可動アーム126で育苗箱Cを把持する。積付装置118は、積付アーム119上に、前記段積枚数(10枚)に段積された育苗箱Cを順に上側に重ねて複数回(計3回)繰り返して積付けることにより、育苗箱Cを所定の積付枚数(計30枚)に積付ける構成となっている。一対の可動アーム126は、育苗箱Cの長辺側となる側面に接触する構成であり、前後に2組設けられている。また、育苗箱Cの前後左右計4箇所に、育苗箱Cの長辺側となる側面に接触して育苗箱Cの位置を規制する規制板である規制具125を設けている。該規制具125は、前後方向において前後に2組設けられた可動アーム126の間に配置される。可動アーム126は、上下移動用モータ127により上下動し、横移動用モータ128により駆動する積付用ラック129を介して横移動し、空気圧アクチュエータ162により上部の前後方向の回動軸126a回りに横方向に回動する構成となっている。規制具125は、上下移動用モータ127、横移動用モータ128及び空気圧アクチュエータ162により、可動アーム126と共に上下動、横移動及び回動する構成となっている。更に、規制具125は、可動アーム126を介して取り付けた下動用空気圧シリンダ163により、下端が可動アーム126の先端よりも下位まで下動する構成となっている。尚、下動用空気圧シリンダ163により下動しない状態では、可動アーム126の下端よりも規制具125の下端が若干上位となる。
【0025】
可動アーム126の先端部には、把持する育苗箱Cを下方から支えるための育苗箱C側に突出する突出部164を設けている。該突出部164は、鉛直方向部分164aと水平方向部分164bからなる正面視L字型の板材で構成され、水平方向部分164bの上面(表面)が把持する育苗箱Cの底面に接する接触面となる。突出部164は、平面視でコの字型で上下に長いスライド部材165の下端に前記鉛直方向部分164aを介して締付ボルトにより固着されている。従って、締付ボルトを外して突出部164をスライド部材165から取り外すことができる。スライド部材165は、四角形状の挿通孔を有する上下に長いスライドガイド166に上下にスライド移動自在に挿通され、下部はスライドガイド166から露出している。尚、スライドガイド166が、可動アーム126の基部となる。スライドガイド166からの露出部分におけるスライド部材165の適宜位置には、スライド部材165の外周を囲むスライド部材側スプリング受け板165aを固着し、スライドガイド166の下部の適宜位置には、スライドガイド166の外周を囲むスライドガイド側スプリング受け板166aを固着し、スライド部材側スプリング受け板165aとスライドガイド側スプリング受け板166aの間でスライド部材165及びスライドガイド166の外周には、圧縮スプリングである突出部付勢具167を設けている。従って、突出部付勢具167により、スライド部材165すなわち突出部164はスライドガイド166に対して下側に付勢されている。よって、突出部164及びスライド部材165は、突出部付勢具167に抗して上動し得る。尚、スライドガイド166に設けた上下方向の案内孔に、スライド部材165の上部に設けたストッパ部分165bを挿入しており、スライド部材165が下限よりも下がらないように規制している。また、スライド部材165の前記露出部分には、上下に延びる側面接触用板165cを2本固着(溶接)している。この側面接触用板165cの端面が、可動アーム126で把持する育苗箱Cの側面に接する可動アーム126の側面の接触面となる。可動アーム126は、回動軸126aに沿って前後に移動調節できる構成となっており、側面接触用板165cの端面(可動アーム126の側面の育苗箱Cへの接触面)と突出部164(突出部164の育苗箱Cへの接触面)の位置を調節できる。
【0026】
可動アーム126及び規制具125は、先ず上下移動用モータ127により下動し、空気圧アクチュエータ162により内側に回動して段積された育苗箱Cを把持し、把持した育苗箱Cを上動して持ち上げる。また、横移動用モータ128により横移動して把持した育苗箱Cを積付アーム119上へ移動する。その後、育苗箱Cを積付けるべき位置より若干上位まで可動アーム126及び規制具125を下動する。その後、積付アーム119上に既に積付けた育苗箱Cがある場合、すなわち積付アーム119上に複数回(計3回)繰り返して積付けるうちの1回目以外(2回目と3回目)の積み付けをする場合は、下動用空気圧シリンダ163により、規制具125の下端が積付アーム119上に既に積付けた最上の育苗箱Cの高さとなるまで該規制具125を下動させ、規制具125が前記最上の育苗箱Cの側面に接触することにより該最上の育苗箱Cを適正な位置に規制する。尚、積付アーム119上に複数回(計3回)繰り返して積付けるうちの1回目の積み付けをする場合は、下動用空気圧シリンダ163は作動せず規制具125は通常の上動位置のままである。そして、可動アーム126及び規制具125を外側へ回動して育苗箱Cの把持を解除し、把持していた育苗箱Cを既に積付けた育苗箱C上に落下供給する。その後、上下移動用モータ127により可動アーム126及び規制具125が上動し、更に下動用空気圧シリンダ163により規制具125が上動し、可動アーム126及び規制具125が積付けられた育苗箱Cから上方に退避する。
【0027】
積付アーム119は、前後2本のアーム体119aと、該アーム体119aの先端部に各々設けた載せ板119bとを備え、左右移動用モータ192により駆動する移載用ラック129を介して左右移動し、下方に設けたパンタグラフ機構130により上下移動する。そして、積付装置118が3回に分けて上下に重ねて計30枚の育苗箱Cを積付アーム119に積付けると、左右移動用モータ192の駆動により積付アーム119が往行程の横移動をして待機する台車111内まで移動し、パンタグラフ機構130により積付アーム119が下動して育苗箱Cを台車111の桟状の載台111aへ移し、その後、左右移動モータ128の駆動により積付アーム119が復行程の横移動をして退避位置まで移動し、パンタグラフ機構130により退避位置から元の通常位置へ上動する。台車111は、前後左右計4箇所の載置位置に段積された育苗箱Cを載置する構成となっており、前記載置位置が積付アーム119に対向する位置にくるべく適宜移動する。従って、積付アーム119は、該積付アーム119の手前側の載置位置と奥側の載置位置とに育苗箱Cを積付ける。尚、台車111は、育苗箱搬送コンベヤ103に沿って並行に設けた台車走行レール131上を走行する構成となっている。
【0028】
積付アーム119は、前記奥側の載置位置に積付けるときは、通常位置Hから往行程の横移動で段積された育苗箱Cを奥側の載置位置の載台上へ移動し、下動して段積された育苗箱Cを載台上へ移載する。復行程の横移動の途中で奥側の載置位置の育苗箱Cから外れ且つ台車111内の位置に到達したことを検出する横移動センサ132を、積付アーム119の移動経路に沿う位置に設けている。復行程の横移動の途中で横移動センサ132が上述の位置に到達したことを検出すると、横移動しながらパンタグラフ機構130により上動して通常位置へ戻る。また、手前側の載置位置に積付けるときは、通常位置Hから往行程の横移動で段積された育苗箱Cを手前側の載置位置の載台上へ移動し、下動して段積された育苗箱Cを載台上へ移載し、復行程の横移動で退避位置Iへ移動する。
【0029】
この退避位置Iに積付アーム119がある状態で、積付装置118が最初の計10枚の育苗箱Cを積付アーム119に直接積付ける。その後、積付装置118が2回目の積付を行う前に、積付アーム119が退避位置Iから通常位置Hへ上動する。従って、積付装置118が2回目及び3回目の積付を行うときは、積付アーム119は通常位置にある。
【0030】
積付装置118から積付アーム119に最初(1回目)に積付けるとき、段積された育苗箱Cを把持する把持位置Jよりも退避位置Iにある積付アーム119は下位の位置となる。従って、積付装置118の可動アーム126は、育苗箱Cを把持してから把持位置Jから若干浮上し、横移動して積付アーム119上へ移動し、前記退避位置Iまで下動し、可動アーム126を外側へ可動して育苗箱Cの把持を解除する。積付装置118から積付アーム119に2回目の育苗箱Cを積付けるとき、把持位置Jと積付アーム119上の1回目の育苗箱Cの上面とは略同じ高さとなる。従って、積付装置118の可動アーム126は、育苗箱Cを把持して把持位置Jから若干浮上し、横移動して積付アーム119上へ移動し、前記1回目の育苗箱Cの上面まで若干下動し、可動アーム126を外側へ可動して育苗箱Cの把持を解除する。積付装置118から積付アーム119に3回目の育苗箱Cを積付けるとき、把持位置Jよりも積付アーム119上の2回目の育苗箱Cの上面が高くなる。
【0031】
従って、積付装置118の可動アーム126は、育苗箱Cを把持して把持位置Jから前記2回目の育苗箱Cの上面よりも若干高い位置まで上動し、横移動して積付アーム119上へ移動し、前記2回目の育苗箱Cの上面まで若干下動し、可動アーム126を外側へ可動して育苗箱Cの把持を解除する。
【0032】
積付アーム119により育苗箱Cを移載する所定位置へ台車111を後方から押して搬送する搬送押出具168を、前後に設けている。尚、本段落を含め、台車111の搬送に関する説明は、台車111の搬送下手側を前側とし、台車111の搬送上手側を後側として説明する。前後の搬送押出具168は、各々搬送用モータ169の駆動が伝動チェーン等の伝動機構を介して伝動されることにより、前後方向に延びる前後各々の案内レール170に沿って前後に移動する。前側の搬送押出具168が台車111を前記所定位置へ搬送する構成となっており、前側の搬送押出具168により搬送される台車111に前側から接触して該台車111を前記所定位置へ保持する台車ストッパ171を、前後に設けている。すなわち、後側の台車ストッパ171により台車111が保持されるときは、台車111の前後左右計4箇所の載置位置のうちの前側2箇所の載置位置へ積付アーム119が育苗箱Cを積み付ける状態となり、前側の台車ストッパ171により台車111が保持されるときは、台車111の前後左右計4箇所の載置位置のうちの後側2箇所の載置位置へ積付アーム119が育苗箱Cを積み付ける状態となる。台車ストッパ171は、プレートに固着した取付ボルト171aの頭部に台車111の前端部が接触して台車111の位置を保持する構成であり、前記プレートが上下方向のストッパ回動軸171b回りに回動して前後に移動自在に構成され、ダンパーである台車付勢具171cにより台車111側となる後側へ回動付勢されている。前記取付ボルト171aの近くの前記プレート部分には、台車111が取付ボルト171aに接触したことを検出するための磁気式の近接スイッチである台車検出具171dを設けている。後側の搬送押出具168は、前側の搬送押出具168が台車111を育苗箱Cを移載する所定位置よりも前側にまで搬送して前記所定位置に台車111が存在しないとき、次の台車111を前後左右計4箇所の載置位置のうちの前側2箇所の載置位置が前記所定位置へ到達する直前まで搬送する。
【0033】
すなわち、後側の搬送押出具168が台車111を前後左右計4箇所の載置位置のうちの前側2箇所の載置位置が前記所定位置へ到達する直前まで搬送すると、前側の搬送押出具168が台車111を引き継いで搬送し、制御装置により後側の台車ストッパ171に台車111の前端が接触したことを台車検出具171dが検出してから所定時間後まで前側の搬送押出具168の搬送動作を継続してから該搬送動作を停止する。これにより、台車111が後側の台車ストッパ171を前側に押しながら移送され、ダンパーである台車付勢具171cが伸長して後側の台車ストッパ171が台車111を後側へ付勢する状態となり、従って、後側の台車ストッパ171と前側の搬送押出具168で台車111を加圧して挟んだ状態となり、台車111を所望の位置で確実に保持できる。そして、積付アーム119により前記所定位置への育苗箱Cの移載が終わると、前側の搬送押出具168で台車111を搬送する。すると、後側の台車ストッパ171が前側に回動しながら台車111の搬送経路から退避し、更に搬送していくと前側の台車ストッパ171に台車111の前端が到達する。制御装置により前側の台車ストッパ171に台車111の前端が接触したことを台車検出具171dが検出してから所定時間後まで前側の搬送押出具168の搬送動作を継続してから該搬送動作を停止する。これにより、台車111が前側の台車ストッパ171を前側に押しながら移送され、ダンパーである台車付勢具171cが伸長して前側の台車ストッパ171が台車111を後側へ付勢する状態となり、従って、前側の台車ストッパ171と前側の搬送押出具168で台車111を加圧して挟んだ状態となり、台車111を所望の位置で確実に保持できる。そして、積付アーム119により前記所定位置への育苗箱Cの移載が終わると、前側の搬送押出具168で台車111を前記所定位置から完全に抜け出すまで搬送する。すると、前側の搬送押出具168が台車111を育苗箱Cを移載する所定位置よりも前側にまで搬送して前記所定位置に台車111が存在しない状態となるから、後側の搬送押出具168が次の台車111を前後左右計4箇所の載置位置のうちの前側2箇所の載置位置が前記所定位置へ到達する直前まで搬送する。以下、上述した搬送行程を繰り返して、台車111を順次搬送していく。尚、搬送押出具168の作動における前記所定時間は、制御装置に入力される調節スイッチにより調節できる構成となっている。
【0034】
尚、前後の搬送押出具168は互いに干渉しないように上下位置を異ならせてあり、前後の案内レール170も互いに上下位置を異ならせてある。前後の案内レール170は、前後の搬送押出具168が引き継いで台車111を搬送できるよう、一部の前後方向における位置が重なり合う。台車ストッパ171は、搬送される台車111に押されて台車111の搬送経路から退避する構成であるが、搬送押出具168も同様に上下方向の押出具回動軸回りに前側へ回動可能に設けられ、台車搬送後の搬送押出具168が後側へ戻り動作するときに搬送経路上にある次の台車111に干渉することになるが、搬送押出具168が前側へ回動することで前記搬送経路から退避する構成となっている。
【0035】
以上により、この段積設備110は、育苗箱搬送コンベヤ103で搬送される育苗箱Cを下方から持ち上げて段積する段積装置117と、該段積装置117で段積された育苗箱Cを把持して横移動し積付ける積付装置118と、該積付装置118で育苗箱Cが積付けられる積付アーム119と、該積付アーム119を上下移動及び横移動させて所定位置に移載する移載機構120を設けている。よって、積付装置118で育苗箱Cを直接積付アーム119に積付けるので、移載精度を良好に維持しながら、作業能率向上が図れる。
【0036】
また、積付装置118は、段積された育苗箱Cを複数回に分けて上下に重ねて積付アーム119へ積付ける構成とし、前記複数回の積付は、段積された育苗箱Cを把持する把持位置Jよりも下位の位置へ積付ける形態と、把持位置Jよりも上位の位置へ積付ける形態とを有し、前記下位の位置へ積付ける形態では段積された育苗箱Cを把持位置Jから下降行程を介して積付け、前記上位の位置へ積付ける形態では段積された育苗箱Cを把持位置Jから上昇行程を介して積付ける構成としている。よって、下位の位置へ積付ける形態では段積された育苗箱Cを把持位置Jから下降行程を介して積付け、前記上位の位置へ積付ける形態では段積された育苗箱Cを把持位置Jから上昇行程を介して積付ける構成としたので、複数回の積付における積付位置の高さが把持位置Jの高さに極力近くなり、複数回の積付の移送経路を全体的に短縮化でき、作業能率向上が図れる。
【0037】
また、積付アーム119は、通常位置から往行程の横移動で段積された育苗箱Cを前記所定位置にある載台111a上へ移動し、下動して段積された育苗箱Cを載台111a上へ移載し、前記下動した状態のままの復行程の横移動で載台位置から退避位置Jへ退避する構成とし、積付装置118は、積付アーム119に最初に育苗箱Cを積付けるとき、前記退避位置Jにある積付アーム119に直接積付け、次の育苗箱Cを積付アーム119に積付ける前に、積付アーム119を通常位置Hへ上動する構成としている。よって、積付アーム119に最初に育苗箱Cを積付けるときは、退避位置Jにある積付アーム119に直接積付けるので、積付アーム119が退避位置Jから通常位置Hに上動するのを待たずして育苗箱Cを積付けることができ、作業能率の向上が図れる。尚、段積装置117が計10枚の育苗箱Cを段積して積付装置118が最初の育苗箱Cを積付アーム119に積付けるまでの所要時間は、積付アーム119が通常位置Hから育苗箱Cを台車111の手前側の載置位置に載置して退避位置Iに戻るまでの所要時間と略同等である。
【0038】
また、積付アーム119は、該積付アーム119の手前側と奥側の位置に育苗箱Cを積付ける構成とし、前記奥側の位置に積付けるときは、通常位置Hから往行程の横移動で段積された育苗箱Cを前記所定位置にある載台111a上へ移動し、下動して段積された育苗箱Cを載台111a上へ移載し、復行程の横移動で上動しながら通常位置Hへ復帰し、前記手前側の位置に積付けるときは、通常位置Hから往行程の横移動で段積された育苗箱Cを前記所定位置にある載台111a上へ移動し、下動して段積された育苗箱Cを載台111a上へ移載し、復行程の横移動で退避位置Iへ移動し、退避位置Iから通常位置Hへ上動する構成としている。よって、奥側の位置に積付けるときは、積付アーム119が復行程の横移動で上動しながら通常位置Hへ復帰するので、積付アーム119の通常位置Hへの復帰を早めることができ、作業能率の向上が図れる。
【0039】
そして、段積設備110は、育苗箱搬送コンベヤ103で搬送される育苗箱Cを下方から持ち上げて所定の段積枚数に段積する段積装置117と、該段積装置117で段積された育苗箱Cを把持して横移動し所定の積付枚数に積付ける積付装置118と、該積付装置118で積付けられた育苗箱Cを載せる積付アーム119と、該積付アーム119を上下移動及び横移動させて所定位置に移載する移載機構120を設け、積付装置118は、前記段積枚数に段積された育苗箱Cを上側に重ねて複数回積付けることにより、育苗箱Cを前記積付枚数に積付ける構成とし、横方向に可動して育苗箱Cを把持する可動アーム126と、該可動アーム126と共に横方向に可動すると共に該可動アーム126の先端よりも下位まで下動することにより、既に積付けた育苗箱Cの側面と可動アーム126が把持する育苗箱Cの側面に接触して育苗箱Cの位置を規制する規制具125を設けている。
【0040】
よって、規制具125が下動することにより、既に積付けた育苗箱Cの側面と可動アーム126が把持する育苗箱Cの側面に接触して育苗箱Cの位置を規制するので、先に積付けた育苗箱Cとその上に積付ける育苗箱Cを揃えて育苗箱Cの積付姿勢を高精度で適正に維持でき、育苗箱Cの積付姿勢ひいては移載精度を良好に維持でき、積付けられた育苗箱Cの搬送速度を速くしても該育苗箱Cが崩れないようにでき、作業能率向上が図れる。特に、木箱等、上下で嵌り合わない育苗箱を積付けるとき、上下の育苗箱を高精度で適正に維持でき、作業能率向上が図れる。
【0041】
また、可動アーム126が育苗箱C側へ可動して段積された育苗箱Cを把持し、その後可動アーム126が育苗箱Cを把持した状態で上動すると共に横移動し、その後規制具125が下動して既に積付けた育苗箱Cの側面と可動アーム126が把持する育苗箱Cの側面に接触し、その後可動アーム126及び規制具125が下動して可動アーム126が把持する育苗箱Cを積付け、その後可動アーム126及び規制具125が育苗箱Cとは反対側へ可動し、その後可動アーム126及び規制具125が上動して積付けられた育苗箱Cから退避する構成としている。
【0042】
よって、可動アーム126が育苗箱Cを把持して横移動した後、規制具125が下動して既に積付けた育苗箱Cの側面と可動アーム126が把持する育苗箱Cの側面に接触するので、育苗箱Cを積付ける直前に規制具を下動させるため、下動させた規制具125が可動アーム126により育苗箱Cを把持するときや横移動するときに邪魔にならず、ひいては育苗箱Cの把持や横移動に伴う可動アーム126の移動経路の短縮化が図れ、作業能率向上が図れる。また、可動アーム126が把持する育苗箱Cを積付ける前に、規制具125が下動して既に積付けた育苗箱Cと可動アーム126が把持する育苗箱Cを揃えるので、積付ける育苗箱Cを円滑に揃えることができる。更に、可動アーム126が下動して把持する育苗箱Cを積付けるときも規制具125が育苗箱Cに作用し、育苗箱の積付姿勢を高精度で適正に維持できる。そして、規制具125は育苗箱Cとは反対側へ可動して育苗箱Cから退避するので、規制具125の退避動作で育苗箱Cの積付姿勢を悪化させるようなことが抑えられ、育苗箱Cの積付姿勢を高精度で適正に維持できる。
【0043】
また、積付装置118により段積された育苗箱Cを上側に重ねて複数回積付けるうちの1回目の積付け時には、規制具125が下動しない構成とした。
よって、1回目の積付け時には規制具125が下動しないので、規制具125が邪魔にならずに前記1回目の積付けを円滑に行え、作業能率向上が図れる。
【0044】
また、可動アーム126の先端部には把持する育苗箱Cを下方から支えるための突出部164を設け、該突出部164を可動アーム126の基部に対して上下に移動自在に支持し、突出部164を可動アーム126の基部に対して下側に付勢する突出部付勢具167を設けた。
【0045】
よって、可動アーム126の下動で育苗箱Cを積付けるとき、既に積付けた育苗箱Cに突出部164が接触しても該突出部164が突出部付勢具167に抗して上動するため、突出部164の損傷を防止すると共に、既に積付けた育苗箱Cの積付姿勢が悪化するようなことが抑えられ、育苗箱Cの積付姿勢を高精度で適正に維持できる。逆に言えば、可動アーム126の下動で把持する育苗箱Cを、既に積付けた育苗箱Cに近づけてから可動アーム126を育苗箱Cとは反対側へ可動して落下供給することができ、育苗箱Cの落差を小さくできるため、育苗箱Cの積付姿勢を高精度で適正に維持できる。特に、異なる種類の育苗で該育苗箱の上下の厚みの相違や、育苗箱に充填される培土の量や均平状態の相違等により、所定の段積枚数に段積された育苗箱C全体の高さや所定の積付枚数に積付けられた育苗箱C全体の高さが相違することで、既に積付けた育苗箱Cに突出部164が接触するのに対応できる。
【0046】
また、把持する育苗箱Cの側面に接する可動アーム126の側面の接触面を板材の端面で構成し、把持する育苗箱Cの底面に接する突出部164の接触面を板材の表面で構成し、可動アーム126の側面の前記接触面と突出部164の前記接触面の位置を調節可能に構成し、可動アーム126の側面の接触面に対して突出部164を着脱できる構成とした。
【0047】
よって、把持する育苗箱Cの側面に接する可動アーム126の側面の接触面を板材の端面で構成したので、前記接触面の育苗箱Cへの接触面積を小さくでき、前記接触面への土の付着を抑えることができる。また、可動アーム126の側面の前記接触面と突出部164の前記接触面の位置を調節可能に構成したので、育苗箱Cの種類に応じて、例えば育苗箱Cのリブの部分に可動アーム126の側面や突出部164が接触して育苗箱Cを不安定に支持するようなことを回避でき、育苗箱Cを安定的に支持できて育苗箱Cの積付姿勢を高精度で適正に維持できる。更に、突出部164の摩耗や苗箱の種類に応じて、突出部164を交換できる。
【0048】
また、積付アーム119は、通常位置Hから往行程の横移動で段積された育苗箱Cを前記所定位置にある台車111の載台111a上へ移動し、下動して段積された育苗箱Cを載台111a上へ移載し、前記下動した状態のままの復行程の横移動で載台位置から退避する構成とし、後方から押して前記所定位置へ台車111を搬送する搬送押出具168と、該搬送押出具168により搬送される台車111に前側から接触して該台車111を前記所定位置へ保持する台車ストッパ171を設け、該台車ストッパ171を前後に移動自在に設け、台車ストッパ171を台車側となる後側へ付勢する台車付勢具171cと、台車ストッパ171に台車111が接触したことを検出する台車検出具171dを設け、該台車検出具171dが台車ストッパ171に台車111が接触したことを検出してから所定時間後まで搬送押出具168を搬送作動させる構成とした。
【0049】
よって、所定位置で台車ストッパ171と搬送押出具168で圧力を与えながら台車111を挟んでずれないように確実に保持でき、積付アーム119により台車111の適正な位置に育苗箱Cを供給でき、育苗箱Cの移載精度を良好に維持でき、作業能率向上が図れる。
【0050】
緑化室200での育苗の他、温室等の栽培施設150において植物を栽培することができる。第一例として栽培施設150について説明すると、この栽培施設150は、例えばトマトを栽培する複数の栽培ベッド151を列状に配置して栽培条152を複数形成し、各々の栽培条間に通路153を設けている。尚、通路153は、任意の栽培条間にのみ設ける構成としてもよい。通路153上には温湯を流して栽培施設150内を暖房する暖房配管154を設け、この暖房配管154に暖房用ボイラから温湯が供給される暖房装置を設けている。暖房配管154は、作業台車172の走行レールを兼用している。各々の栽培ベッド151は、ロックウールで構成され、2〜3個のロックウールキューブを載置し、該ロックウールキューブに1株ずつ植物を移植して複数株(2〜3株)の植物を栽培する構成となっている。栽培ベッド151は、天井から吊下ワイヤ(吊下具)155を介して吊り下げ支持される。各々の栽培ベッド151の下方には地下ピット173を設けており、吊下昇降用モータ174の駆動により吊下ワイヤ155を下降させて栽培ベッド151を地下ピット173に収容できる構成としている。これにより、栽培管理作業時や室温の高い日中などは栽培ベッド151を地上に位置させ、夜間等の室温が低いときは栽培ベッド151を地下ピット173内に位置させて地下の保温効果を得ることができる。また、地下ピット173は、各々の栽培ベッド151ごとに設けて小型にしたので、従来の温室全体が地下である構造に比較して、保温効果を高めることができ、暖房のランニングコストの削減が図れる。逆に、夏場等で冷却効果を得たい場合に、地下の冷却効果を利用するべく栽培ベッド151を地下ピット173に位置させることができる。このとき、地上の温室部分は天窓の開放や換気ファンの駆動等により換気性を上げ、冷房のランニングコストを抑えつつ更なる冷却効果を得ることもできる。尚、地下ピット173内に太陽光等の栽培光が供給されるように栽培施設150を構成することが望ましい。また、炭酸ガスを植物に供給するとき、栽培ベッド151ひいては植物を地下ピット173に収容し、地下ピット173内にのみ炭酸ガスを供給すれば、炭酸ガスの使用量を抑えつつ高濃度の炭酸ガスを植物へ供給でき、ランニングコストの削減及び植物への適確な炭酸ガス施用が図れる。
【0051】
また、上記第一例とは一部が異なる第二例の栽培施設150について、相違点のみを説明すると、栽培条間に通路を形成せず、温室内の栽植面積を増加させて栽培物の増収を図る構成とすることができる。暖房配管154は、下方に地下ピット173がない地面上で且つ栽培ベッド151の下方に配置される。そして、作業者が栽培管理作業を行うときには、少なくとも一つの栽培条152の栽培ベッド151を地下ピット173内に収容することにより当該栽培ピット173の上方に作業空間220を形成し、その作業空間220を利用して作業台車172を走行させながら作業を行うことができる。尚、栽培ベッド151の昇降は、吊下ワイヤ155を支持する支持枠221ごと行うことにより、作業空間220を形成できる構成となっている。
【0052】
また、植物の生長点を冷暖房する生長点冷暖房配管225を栽培ベッド151の上方に設け、生長点冷暖房配管225の上方及び左右を有孔フィルムからなる保温カバー226で覆い、生長点の局所の冷暖房効果を高めることができる。保温カバー226は、前記局所が高湿度となって病害が発生するのを抑制するために有孔フィルムで構成している。そして、生長点冷暖房配管225及び保温カバー226は、植物の成育に伴う生長点の高さの変化に応じて生長点用昇降モータにより共に昇降する。これにより、生長点の高さの変化に応じて適確に生長点への冷暖房効果を得ることができる。尚、夏場は生長点冷暖房配管225に冷水を流して冷却し、冬場は生長点冷暖房配管225に温水を流して暖房することができる。
【0053】
また、追加例として、温室の両端部に栽培条152と交差する方向に左右2本の暖房配管154を左右移動させる左右移動レール222を設け、暖房配管154を通路153等の任意の位置に移動できる構成として、暖房配管154の削減を図ることができる。暖房配管154を左右移動させるときは、暖房配管154上の作業台車172を左右移動レール222の上方位置に移動させて作業台車172が栽培ベッド151に干渉しないようにする。これにより、暖房配管154の施工コストが削減できると共に、温室内で暖房が必要な局所を暖房することができてランニングコストの削減が図れる。尚、暖房配管154を冷房用として使用する場合も、同様の効果が得られる。吊下式の栽培ベッド151であるから、栽培ベッド151下方の空間を利用して暖房配管154を左右移動させることができるのである。尚、左右移動する暖房配管154として説明したが、冷暖房機能のない作業台車の走行レールを左右移動する構成としてもよい。
【0054】
また、上記第一例とは一部が異なる第三例の栽培施設150について、相違点のみを説明すると、吊下ワイヤ155を設けず、栽培ベッド151を架台223で下方から支持する構成とし、地下ピット173に設けたパンタグラフ式の昇降機構224により架台223を昇降させて栽培ベッド151を地下ピット173内に位置させる構成としている。
【0055】
尚、温室の天井部には遮光カーテン227を各区画毎に複数設け、各々の遮光カーテン227ごとに開閉及び開度の制御を行うようにし、太陽高度に応じた遮光あるいは局所の遮光を行うことができる。すなわち、太陽の位置によって直射日光が当たらず遮光する必要がない位置は採光性を向上するために遮光カーテン227を閉じないようにしたり、栽培領域の局所で温度を上げたくない場合にその局所に日光が当たらないように遮光したりできる。各々の遮光カーテン227は、一端が温室の一側にあるラチス228に固定され、他端が開閉用モータ229の駆動で作動する開閉用ワイヤ230に取り付けられている。開閉用モータ229の駆動軸231に開閉用ワイヤ230が巻きかけられているのであるが、駆動軸231と開閉用ワイヤ230の間には磁気式のクラッチ232を各々の開閉用ワイヤ230に対応して設け、クラッチ232を断つことで開閉用モータ229が駆動しても開閉用ワイヤ230が駆動しない構成としている。これにより、各々のクラッチ232を制御することで、共通の開閉用モータ229及び駆動軸231により各々の遮光カーテン227の開閉を独立して行うことができる。
【0056】
最後に作業台車183について説明すると、この作業台車183は、作業者が搭乗する作業台184を作物の高さに応じて昇降させることができる。従って、高所で作業をするとき、作業台184を上昇させると重心が高くなり、その状態で作業者が身を乗り出して作業をしようとすると、作業台車183が転倒しやすくなる。そこで、温湯パイプ175の下方に転倒防止フック185を突出させ、作業台車183が転倒しようとすると、転倒防止フック185が温湯パイプ175に引っ掛かって転倒を阻止する構成としている。この転倒防止フック185は、作業台184に設けたフットスイッチ(走行スイッチ)186と連動し、電磁ソレノイド187により回動して、作業台車183が走行するときは収納され、作業台車183が停止したときに突出する構成となっている。
【0057】
ところで、播種設備102の播種装置106で播種する種子は、種子消毒設備により事前に消毒される。この種子消毒設備は、前工程から後工程の順に温湯消毒装置A、種子冷却装置B、乾燥装置Oを順次設けている。温湯消毒装置Aは、箱型の温湯槽となる温湯消毒槽1を設け、温湯消毒槽1の上方には多数の種子バケット2を循環移送する温湯用移送装置となる循環移送装置3を設けている。尚、前記温湯消毒槽1は、11個の種子バケット2を連ねて収容できる構成となっている。また、種子バケット2には、所定量ごとに種子を収容する網状の種子袋Pを入れるようになっている。
【0058】
循環移送装置3は移送始端側にあって多数の孔を形成する種子バケット2を下降させて温湯消毒槽1内の温湯に浸漬させる下降装置3dと、温湯消毒槽1内を浸漬した状態で種子バケット2を移送する移送装置3aと、移送終端側にあって温湯消毒槽1内を浸漬した種子バケット2を上昇させる上昇装置3bと、上昇装置3bで上昇させた種子バケット2を下降装置3dまで戻す戻し装置3cとを備えている。
【0059】
移送装置3aは、種子バケット2の上端に設けた縁部2aを左右下側から受ける案内レール部4を備え、移送始端部には種子バケット2を移送させるためのチェン式の移送コンベア5を左右に設けている。移送コンベア5は、周回経路の適宜位置に種子バケット2を移送させる押し用突起5aを備え、該押し用突起5aが種子バケット2の縁部の左右に固着した左右方向の固着軸2bを移送方向に押すことで当該種子バケット2を移送し、移送下手側の種子バケット2が順次移送上手側の種子バケット2に押されて温湯消毒槽1内で種子バケット2が移送されていく構成となっている。
【0060】
上昇装置3bは、案内レール部4の終端(移送終端)にある種子バケット2の固着軸2bが引っ掛かる持上げ用突起6aを備えるチェン式の上昇コンベア6を左右に設けている。従って、該上昇コンベア6の駆動により、案内レール部4の終端(移送終端)にある種子バケット2の固着軸2bが持上げ用突起6aに持上げられ、種子バケット2が上昇する構成となっている。上昇コンベア6は、持上げ用突起6aが固着軸2bに引っ掛かる上昇始端位置から種子バケット2を上昇させるにつれて移送装置3aの移送方向に移動させる斜めの移動経路(周回経路)を備えた側面視で三角形状の周回経路で周回する。そして、前記斜めの移動経路の途中で種子バケット2を反転させる反転カム7を左右に設けており、種子バケット2の上昇で前記反転カム7が種子バケット2の縁部2aにおける固着軸2bの一方側(移送装置3aの移送方向側、種子冷却装置B側)に上側から接触して押し下げることにより、固着軸2bを支点に種子バケット2をその上部の開口部が種子冷却装置B側に向くように反転させ、種子バケット2内の種子袋Pを種子冷却装置Bの冷却バケット8へ排出する構成となっている。尚、温湯消毒槽1の上端から反転カム7の位置にかけて、上昇あるいは反転する種子バケット2から垂れ落ちる温湯を温湯消毒槽1へ案内するガイド板9を設けている。このガイド板9により、種子バケット2から垂れ落ちる温湯を温湯消毒槽1へ戻して温湯消毒槽1内の熱の放出を抑えると共に、前記温湯が種子冷却装置Bの冷却槽10に垂れ落ちることによる冷却効率の低下を防止できる。
【0061】
戻し装置3c及び下降装置3dは、種子バケット2の固着軸2bが引っ掛かる搬送用突起11aを備えるチェン式の戻しコンベア11を左右に備えて構成されている。尚、前記搬送用突起11aは、戻しコンベア11の周回方向の前後に対向して配置され、前後の突起11aで固着軸2bを挟むようにして保持する構成となっている。従って、上昇装置3bの上昇コンベア6でその上端部に上昇した種子バケット2を、前記戻しコンベア11が、受け継いで移送装置3aの移送始端側に横移動した後、下降させてその下降経路の途中の種子袋供給位置rで待機させる。この種子袋供給位置rで、種子バケット2は温湯消毒槽1の上方に位置しており、作業者が当該種子バケット2に種子袋Pを供給するようになっている。そして、移送装置3aが作動して移送始端部に種子バケット2を収容するスペースができると、戻しコンベア11を作動させて前記種子袋供給位置rにある種子バケット2を下降させ、種子バケット2を戻しコンベア11の下端から温湯消毒槽1へ落下して供給する。尚、種子袋供給位置rで待機する種子バケット2は、下部の前側が温湯消毒槽1に取り付けたガイド12に接触し、上部の開口部が前側に向くように傾く。これにより、作業者が種子バケット2に種子(種子袋P)を容易に供給できる。更に、種子バケット2が傾いている分、種子バケット2が温湯消毒槽1の温湯に浸されない高さで且つ当該種子バケット2の前記開口部の高さを極力低く設定することができるため、種子バケット2への種子(種子袋P)の供給が容易である。
【0062】
また、種子袋供給位置rにある種子バケット2を下降させて戻しコンベア11の下端から温湯消毒槽1へ落下するとき、種子バケット2の縁部2aが案内レール部4に衝突することにより騒音が発生したり衝撃で縁部2aを変形させるおそれがある。そこで、種子バケット2の縁部2aが案内レール部4に衝突する前に種子バケット2の底部が温湯消毒槽1の底面に接触するよう、温湯消毒槽1の底面の一部に隆起させた隆起部を設け、該隆起部に落下する種子バケット2の底部が先ず接触する構成とすれば、衝突する部分が水中であるので衝撃音を抑えられ、また縁部2aの変形を防止して循環移送装置3による種子バケット2の移送の適正化が図れる。
【0063】
尚、移送装置3a、上昇装置3b、戻し装置3c及び下降装置3dは種子バケット2を同時に間欠的に移送する構成であるが、移送装置3aは複数の種子バケット2を同時に移送し、上昇装置3b、戻し装置3c及び下降装置3dは各々単一の種子バケットを移送する構成であり、移送装置3a、上昇装置3b、戻し装置3c及び下降装置3dで各々の移送ピッチが異なる構成となっている。尚、下降装置3dは種子バケット2を種子袋供給位置rに移送した状態で停止する。従って、戻し装置3c及び下降装置3dの移送速度が移送装置3aの移送速度より速く設定されており、空の種子バケット2の数を減らすことにより、コストダウンが図れると共に、温湯消毒槽1の上方の空の種子バケット2の数が少ないため、作業者が温湯消毒槽1内の消毒状況や運転状況を視認するときに空の種子バケット2が邪魔になりにくい。
【0064】
また、移送装置3aで間欠的に移送される種子バケット2の移送は、移送中の時間より移送停止状態の時間の方が長くなるように設定されている。従って、温湯消毒槽1内の後述する温水噴出口13の上方に種子バケット2を長く滞留させることができ、種子の殺菌効果を高めることができる。また、移送装置3aの移送停止時間を長くすることで、これに連動する上昇装置3b及び下降装置3dの停止時間を長く設定することができるので、種子袋供給位置rでの種子バケット2の停止時間を長く設定でき、停止している種子バケット2に種子(種子袋P)を容易に供給できる。また、前記移送装置3aの移送停止時間を調節する切替装置となる調節ダイヤル89により長時間加温状態と短時間加温状態とに切り替えできる構成となっており、この移送停止時間の切替により同一の種子バケット2が温湯消毒槽1に浸漬される総時間を変更できる。尚、短時間加温状態のときの種子バケット2の間欠的な移送時間の周期は、長時間加温状態のときの2分の1に設定される。従って、種子の品種に応じて種子の消毒時間を変更することができる(例えば、うるち米の種籾は10分間浸漬し、もち米の種籾は6分間浸漬する等)。これにより、移送装置3aの移送中の移送速度を変えずに容易に浸漬時間を変えることができる。尚、移送装置3a、上昇装置3b、戻し装置3c及び下降装置3dは、共通の駆動源であるモータ90により作動する。従って、調節ダイヤル89からの信号により制御部43を介してモータ90へ出力される構成となっている。
【0065】
また、種子消毒作業中に装置の故障や点検等のために非常停止したときは、その非常停止時間を計測して前記の消毒時間に加算する制御がなされる。従って、非常停止した分、移送装置3aで間欠移送の停止時間が短くなる。このとき、非常停止中に設定の消毒時間に達した場合は、ランプ等の警報手段により警報する。よって、種子を必要以上に長く温湯に浸漬することにより、種子割れ等の種子の損傷を防止できる。
【0066】
温湯消毒槽1内の底部には所定間隔毎に温水噴出口13を配設し、間欠移送されながら停止している種子バケット2の停止位置下方に温水噴出口13を位置させ、種子バケット2に向けて温水を噴出し、温水が種子バケット2の孔を通過し網状の種子袋Pに収容する種子(種籾)に作用する構成としている。なお、温湯消毒槽1の底部を前後方向中間部に向けて下り傾斜に構成し、中間部に排水溝14を構成している。
【0067】
尚、全ての温水噴出口13を前側(種子投入側)に向けるようにすれば、温湯消毒槽1内の前側(種子投入側)部分の温湯の温度を高くでき、種子バケット2にて温湯消毒槽1内に種子を投入するときにこの投入部周辺の温湯の温度低下を抑えることができ、温湯消毒槽1内の温湯の温度の均一化が図れる。
【0068】
温湯消毒槽1の後工程には供給シュート15を介して種子冷却装置Bを設けている。この種子冷却装置Bには、供給シュート15の後側に前後方向に長い種子冷却槽10を設け、この種子冷却槽10には前側から後側に向けて複数の冷却バケット8を設けている。冷却バケット8は多数の孔を形成し、左右方向の軸8aにより横軸心回動自在に支持している。そして、冷却バケット8が軸8aを軸心に回動反転すると冷却バケット8内に収容する種子袋Pが次の冷却バケット8に収容される構成である。従って、冷却バケット8及び軸8a等により、冷却用移送装置を構成している。尚、冷却バケット8は、反転時に小さく2度回動して種子袋Pの排出を確実に行うようにしている。冷却槽10内には各冷却バケット8の収容部ごとに槽内を仕切る仕切り壁16を設けており、この仕切り壁16は種子の排出側(排出シュート17側)のものほど高くなっている。そして、冷却槽10に新たな水を供給する冷却用給水口18が種子冷却槽10内において種子の排出側(排出シュート17側)の端部の位置で給水する構成となっており、冷却用給水口18からの冷却水は冷却槽10内において仕切り壁16で仕切られる前記排出側の区画から順次供給されていくことになる。
【0069】
尚、種子バケット2が上昇装置3bで上昇して反転カム7で反転する直前に到達したことをセンサで検出すると、最も温湯消毒装置Aに近い冷却バケット8が反転してから元に戻り、その後種子バケット2が上昇して反転カム7で反転する構成となっている。これにより、種子バケット2から冷却バケット8に種子を供給する直前に当該冷却バケット8の種子を次の冷却バケット8に供給することができ、冷却バケット8による種子の冷却時間を長くすることができて冷却効果を高めることができる。
【0070】
また、種子バケット2の容積より冷却バケット8の容積が大きく設定されている。よって、種子バケット2の容積が小さいので、温湯消毒槽1内の種子バケット2が供給されない不要な部分を小さくして温湯を効率良く使用できる。また、冷却バケット8の容積が大きいので、後述する空気噴出口19からの空気により種子の攪拌が容易になり、冷却効果が高まる。
【0071】
また、冷却槽10の冷却バケット8の下方には、空気噴出管20をそれぞれ設け、ブロワ21により空気噴出口19に空気を供給し、浸漬中の冷却バケット8に向けて空気を噴出する構成としている。また、温湯消毒槽1にも空気噴出管19を設けており、この空気噴出管19は、温水噴出口13を備える温水管22の上側で平面視で交差(直交)するように配置されている。温水管22は温湯消毒槽1の長手方向(前後方向)に延び、温水噴出口13が左右に温湯を噴出するので、温湯消毒槽1の短手方向(左右方向)の対流が前後方向の全体にわたって均等に発生し、温湯消毒槽1内の温度むらを抑えることができる。空気噴出管19は、停止する各種子バケット2の下方に位置しており、各種子バケット2へ向けて空気を噴出することにより全ての種子を均等に攪拌できる。
【0072】
前記ブロア21は冷却槽10用と温湯消毒槽1用とで共通であり、温湯消毒槽1の空気噴出管19へは温湯消毒槽1の外面(側面)で接触する前後に長い接触管23を介して空気が供給される。この接触管23により、温湯消毒槽1へ供給する空気の温度を上昇させることができ、温湯消毒槽1内の温度低下を防止している。
【0073】
次に種子消毒の工程について説明する。
下降装置3dの途中の種子袋供給位置rに停止している種子バケット2に種子を収容した網状の種子袋Pを供給する。そして種子袋供給位置rから温湯消毒槽1内まで下降装置3dで種子バケット2を下降して温湯に浸漬する。
【0074】
温湯消毒槽1内では種子バケット2は移送装置3aで移送され、移送装置3aは間欠駆動する。そして、種子バケット2は温水噴出口13に対向する位置に停止し、停止した状態で噴出する温水に晒され、種子袋P内の種子の消毒作用を促進するものである。
【0075】
各温水噴出口13毎に設定時間停止しながら移送された種子バケット2は移送終端側で上昇装置3bによって引き上げられる。そして上昇装置3bの途中にある反転装置7で種子バケット2が反転し、種子バケット2内の種子袋Pは排出され、供給シュート15を通過して冷却槽10の始端側の冷却バケット8内に供給される。
【0076】
空になった種子バケット2は上昇装置3bで引き続いて上方に移送され、次いで、戻し装置3cで移送始端側に向けて温湯消毒槽1の上方を間欠移送され、下降装置3dで再度種子袋供給位置rに循環移送される。
【0077】
なお、循環移送装置3は間欠駆動の代わりに低速で連続的に駆動するように構成してもよい。
冷却槽10の冷却バケット8に供給された種子袋Pは冷却水により冷却される。冷却バケット8は循環移送装置3の間欠駆動と連動する構成とし、温湯消毒槽1から種子冷却槽10へ次の種子袋Pが供給される前に回動反転して次の冷却バケット8へ種子袋Pを供給し、温湯消毒槽1からの種子袋Pを受け入れる。すなわち、冷却終端側の冷却バケット8から順次回動反転することで種子袋Pを順に次の冷却バケット8に移送すると共に、冷却始端側の冷却バケット8に温湯消毒槽1からの種子袋Pを受け入れるようにしている。
【0078】
そして、複数の冷却バケット8を順次通過した種子袋Pは排出シュート17から排出され、水切り装置234へ供給される。水切り装置234は、前後に配列される計3枚の反転板235と、該反転板235を作動させる小型カム236及び大型カム237を備え、種子袋Pの水を切る構成となっている。反転板235は、種子袋Pの搬送下手側の端部に設けた反転回動軸235a回りに上側へ回動する構成となっている。最も搬送上手側(搬送始端)の反転板235が通常の水平状態のとき、終端の冷却バケット8が作動するタイミングに設定されており、種子袋Pが排出シュート17を介して搬送始端の反転板235上に供給される。種子袋Pが載った反転板235は、先ず該反転板235と一体で回動する小型カム236により15度程度の小さい角度だけ上側に回動して種子袋Pを揺動させて衝撃で水を切り、次に反転板235と一体で回動する大型カム237により90度程度の大きい角度で上側に回動して種子袋Pを隣接する水平状態の次の反転板235上に反転させて載せ、水を切る。以下、各々の反転板235が同様に作動することで、種子袋Pは順次搬送され搬送終端の反転板235の大きい角度の回動で排出される。反転板235の反転回動軸235a寄りの適宜位置には、反転板235から垂直に立ち上がる立ち上がり壁235bを設けており、反転板235が大きい角度で上側に回動するとき、種子袋Pを立ち上がり壁235bが受け止めることで種子袋Pの反転を促す。尚、立ち上がり壁235bは、反転板235上に反転回動軸235aから離れる側(反転板235に載せられる種子袋P側)に傾いて立ち上がる構成とすれば、反転時に種子袋Pが受け止められ易くなって種子袋Pの反転の確実化が図れる。反転板235は、冷却バケット8ひいては種子バケット2の作動タイミングに対応した所定のタイミングで作動し、水切り装置234は、温湯消毒槽1及び冷却槽10の種子袋Pの処理能力に合わせて種子袋Pを搬送して処理していく。従って、反転板235は、冷却バケット8の作動周期に合わせて種子袋Pを反転して間欠的に搬送するので、種子袋Pが載置される時間を確保でき、水切りの確実化が図れる。尚、反転用モータ238の駆動により小型用反転用チェーン239及び大型用反転用チェーン240が駆動回転し、小型用反転用チェーン239設けた小型カム作動用ピンが小型カム236に接触して小型カム236を作動させ、大型用反転用チェーン240に設けた大型カム作動用ピンが大型カム237に接触して大型カム237を作動させる。この水切り装置234により、冷却後の種子を簡易に水切りすることができ、残留する水による不衛生になって消毒後の種子に病害が発生するようなことを防止できる。水切り装置234から排出された種子袋Pは、次工程の乾燥装置Oで乾燥される。
【0079】
尚、反転板235を下方から押し上げる押し上げシリンダ241を設け、該押し上げシリンダ241の作動により水平状態の反転板235を小さい作動周期で上下に振動させれば、水切り効果を向上させることができる。
【0080】
この種子消毒装置は、温湯を貯留する温湯槽1と、冷却水を貯留する冷却槽10と、温湯槽1内において種子を複数の種子バケット2内に収容して冷却槽10側へ順次移送した後、種子を冷却槽10の冷却バケット8へ順次供給する温湯用移送装置3と、冷却槽10において種子を前記冷却バケット8により排出側へ順次移送する冷却用移送装置とを設け、温湯用移送装置3による各種子バケット2の冷却バケット8への種子の供給時間間隔を、冷却用移送装置による冷却バケット8の排出側への種子の移送時間間隔と同一となる長時間加温状態と、冷却用移送装置による冷却バケット8の排出側への種子の移送時間間隔の複数分の1となる短時間加温状態とに切り替える切替装置89を設けている。
【0081】
従って、種子バケット2内に収容した種子は、温湯用移送装置3により温湯槽1内において冷却槽10側へ順次移送されながら処理され、種子バケット2は、最終的に種子を冷却槽10の冷却バケット8へ供給する。冷却バケット8は、冷却槽10において種子を排出側へ順次移送しながら種子を冷却する。そして、切替装置89を長時間加温状態に切り替えると、各種子バケット2が冷却バケット8へ種子を供給する度に、冷却バケット8は種子を排出側へ移送する。切替装置89を短時間加温状態に切り替えると、複数の種子バケット分の種子を同じ冷却バケット8へ供給し、種子バケット2から冷却バケット8へ種子を複数回供給する度に、冷却バケット8は種子を排出側へ移送する。従って、温湯槽1での加温時間の変更に拘らず、冷却槽10での冷却時間は一定になる。
【0082】
よって、種子を温湯槽1及び冷却槽10で連続的に移送させて高能率化を図ると共に、加温可能な時間が短い品種では切替装置89を短時間加温状態に切り替え、加温可能な時間が長い品種では切替装置89を長時間加温状態に切り替えることにより、加温により種子の発芽障害や消毒不足を防止しながら、加温時間の変更に拘らず冷却時間を一定にして適正な冷却効果を得ることができ、冷却不足による発芽障害や処理能率の低下を防止できる。
【0083】
この種子消毒装置によると、前後に長い温湯消毒槽1により複数の種子バケット2を移送しながら連続的に能率的に温湯消毒することができ、また、温湯消毒装置Aから種子冷却装置Bに種子袋Pを簡単に供給することができる。
【0084】
また、循環移送装置3が設定時間毎に間欠駆動するため、一つの種子バケット2が温湯に浸漬する時間を一定にすることができ、かつ停止毎に温水にさらされるため、多数の種子袋Pに均一な消毒を効率よく行うことができる。そして、冷却バケット8と循環移送装置3は連動して駆動するため、種子袋Pを冷却水に浸漬する時間をも一定にすることができ多数の種子袋Pに均一な冷却を行なうことができる。
【0085】
また、温水噴出口13を温湯消毒槽1内全体にわたって設定間隔毎に配置することで、温湯消毒槽1内の温度むらを防止し、種子バケット2内の種子袋Pの種子に温湯の浸透が均等化し、温湯殺菌効果を高めることができる。また、種子バケット2を温湯消毒槽1内で間欠移送することにより、種子の浸漬、離水が迅速になり、浸漬殺菌時間が正確となり、殺菌効果を高めることができる。すなわち、本実施の形態では1つの種子バケット2は10箇所の温水噴出口13毎にその上方で停止して浸漬される。
【0086】
また、冷却槽10内に空気を噴出させることで、冷却槽10内の冷却水の温度上昇を低減する防止することができ、冷却効果を大きくすることができる。
また、冷却バケット8を所定時間毎に駆動反転させ、冷却水内で種子袋Pを所定時間停止冷却しながら移送するので、冷却効果を高めることができる。
【0087】
次に、温湯消毒槽1及び冷却槽10に使用する温湯及び冷却水の供給経路について説明する。
温湯消毒槽1内には温湯オーバーフロー樋24を設け、温湯オーバーフロー樋24にオーバーフローした温湯は外部に排出される。また、温湯消毒槽1内には温湯オーバーフロー樋24とは別の温湯排出口25を設け、該温湯排出口25から戻り経路となる温湯戻り路26を介して切替弁27に供給される。従って、前記切替弁27の切替により、前記温湯排出口25から温湯を排出する状態に切り替える構成となっている。
【0088】
そして、温湯戻り路26からの温湯は、切替弁27を介して給湯経路となる給湯路28に供給される。該給湯路28には、ポンプ29及びヒータとなるインラインヒータ30を設けている。尚、前記インラインヒータ30は、ボイラ31から各種バルブを備える蒸気供給路32を介して水蒸気が供給され、熱量を得る構成である。この給湯路28を介して温湯が温水噴出口13から温湯消毒槽1へ供給される。尚、温湯消毒槽1内の温湯の温度は温湯用水温センサ33により約60℃になるよう制御する。
【0089】
また、冷却槽10からオーバーフローした冷却水を、冷却水オーバーフロー樋34、冷却水オーバーフロー経路となる還流路35を経由して回収槽36に還流するように構成している。回収槽36内の冷却水は、給水経路となる給水路37へ供給される。該給水路37は、開閉弁38を備え、前記切替弁27へ水を供給する構成となっている。そして、切替弁27の切替により、給水路37の水を給湯路28に供給する構成となっている。
【0090】
従って、切替弁27は、給水路37からの水を給湯路28へ供給する水補給状態と、温湯戻り路26からの温湯を給湯路28へ供給する温湯循環状態とに切り替わる構成となっている。また、温湯消毒槽1には、水位計39と前述した温湯用水温センサ33とを設けている。よって、水位計39の検出により温湯消毒槽1内の水位が設定値より低いことが制御部40に入力されると、制御部40からの出力により、開閉弁38が開き、前記水補給状態に切替弁27が切り替えられ、ポンプ29が作動し、ボイラ31が作動してインラインヒータ30が作動し、回収槽36内の水を加温しながら温湯消毒槽1に補給するよう制御される。このとき、温湯用水温センサ33の検出により温湯消毒槽1内の温湯の温度が所望の温度に達している場合は、ボイラ29並びにインラインヒータ30を停止して、回収槽36内の水を加温せずに温湯消毒槽1に補給するようになる。水位計39の検出により温湯消毒槽1内の水位が設定値に達したことが制御部40に入力されると、制御部40からの出力により、開閉弁38が閉じ、ボイラ29並びにインラインヒータ30を停止して、水の補給を停止する。温湯消毒槽1内の水位が設定値に達している場合に、温湯用水温センサ33の検出により温湯消毒槽1内の温湯の温度が所望より低いことが制御部40に入力されると、制御部40からの出力により、前記温湯循環状態に切替弁27が切り替えられ、ポンプ29が作動し、ボイラ31が作動してインラインヒータ30が作動して、温湯消毒槽1内の温湯を循環しながら加熱し温湯が所望の温度(約60℃)となるよう制御される。
【0091】
また、前記切替弁27は、給水路37からの水と温湯戻り路26からの温湯とを混合して給湯路28へ供給する混合状態に切り替えることができる構成となっている。更に、前記混合状態において、給水路37からの水と温湯戻り路26からの温湯との混合割合を変更して調節できるようになっている。これにより、温湯消毒槽1内の水位や水温に応じて、所望の水位及び水温に精度良く制御することができるようにしている。また、温湯消毒槽1内の水位が設定値に達している場合でも、温湯消毒槽1内の温湯が種子により汚れているときには、給水路37からの水を温湯消毒槽1内に供給するようにし、汚れた温湯を温湯オーバーフロー樋24からオーバーフローさせて外部に排出することができる。よって、温湯消毒槽1内の温湯が汚れている場合に種子消毒作業を中断して前記温湯を入れ替えるようなことをせずに、種子消毒作業をしながら温湯消毒槽1内の温湯を入れ替えることができ、種子消毒の連続作業が行えて作業能率の向上が図れる。
【0092】
この構成によると、熱効率の向上をはかり、使用水量の削減を図ることができる。特に、回収槽36に貯留する水は、次回の種子消毒作業開始時に温湯消毒槽1に水を張り込むのに使用でき、あるいは非作業時に洗浄用の水として温湯消毒槽1に張り込むことができる。
【0093】
尚、温湯オーバーフロー樋24からオーバーフローする温湯は二方向切替弁91に供給され、一方に切り替えるとそのまま排出され、他方に切り替えると暖房用ポンプ92を介して放熱管93に供給されてから排出される。この放熱管93は温湯消毒槽1の前側に配置されているので、種子袋供給位置rで種子バケット2へ種子袋Pを供給する作業者用の暖房となり、作業者の足冷えを防止し作業環境の改善が図れる。
【0094】
尚、上記とは別に、温湯消毒槽1に新たな水を供給するための給水手段となる消毒用給水口41を設けている。また、前述のように、冷却槽10に新たな水を供給するための給水手段となる冷却用給水口18を設けている。冷却用給水口18は、冷却槽10内の水温を検出する冷却用の水温センサ42の検出に基づいて、水温が所定温度より高いときに制御部43からの信号により自動的に開いて給水する構成となっている。これにより、冷却槽10内の水温を所望の温度に維持することができ、冷却効果を高めることができる。尚、冷却用給水口18は冷却槽10内において種子の排出側(排出シュート17側)の端部の位置で給水する構成となっているので、冷却用給水口18からの冷却水は冷却槽10内において仕切り壁16で仕切られる前記排出側の区画から順次供給され、前記排出側の区画ほど水温を低くして種子が順次水温が低い区画に搬送されていく構成にでき、冷却効果を高めることができる。また、冷却槽10の水を循環させながら冷却するチラー94も備えている。
【0095】
また、作業開始時に温湯消毒槽1及び冷却槽10へ水を供給するときは、先ず制御部43からの信号により消毒用給水口41を開き、回収槽36に水があるときはポンプ29及びインラインヒータ30を作動させ、温湯消毒槽1内に水を充填し、インラインヒータ30により温湯消毒槽1内の水を加温しながら制御部43からの信号により冷却用給水口18を開いて冷却槽10へ水を供給する。これにより、温湯消毒槽1内の水を加温するのと同時に冷却槽10へ水を供給するので、作業開始までの準備時間を短縮でき、作業能率を向上させることができる。
【0096】
尚、温湯消毒槽1及び冷却槽10から水を抜いて空にするための排水口98を各々設けている。制御装置は、運転終了スイッチを操作して全作業を終了すると、前記排水口98が開き、温湯消毒槽1及び冷却槽10を空にする。これにより、配管内の凍結による機器の故障や配管をはじめ温湯消毒槽1及び冷却槽10の残水による雑菌の繁殖を防止する。温湯消毒槽1及び冷却槽10には、各々の水の有無を検知する水有無センサ99を設けている。運転開始スイッチを操作して作業を開始し、各々の水有無センサ99が残水がないことを検出すると、排水口98を閉じてから、消毒用給水口41及び冷却用給水口18を自動的に開く。これにより、排水口98の閉め忘れによる作業開始時間の遅れや無駄な水の発生を防止し、省エネ効率の良い無人運転が可能となる。
【0097】
また、給湯路28においてポンプ29及びインラインヒータ30の下手側の分岐点で分岐されるチラー洗浄用路95を設けている。このチラー洗浄用路95は、更に二又に分岐してチラー94の吸込側経路と吐出側経路とに連通している。給湯路28の分岐点よりも下手側に温湯槽用弁96を設け、チラー94の吸込側経路と吐出側経路に各々洗浄用弁97を設けている。従って、作業終了後等、チラー94を洗浄するとき、温湯槽用弁96を閉じ、一方の洗浄用弁97を開き、ポンプ29を駆動することによって、チラー94に温湯を供給して該チラー94の内部配管等を洗浄できる。尚、洗浄用温湯の温度が低いときには、インラインヒータ30を作動させればよい。また、開く洗浄用弁97を切り替えることにより、正洗と逆洗との双方が行える。これにより、種籾のボウが詰まりやすく清掃が頻繁に必要なチラー94を良好に洗浄できる。
【0098】
次に、乾燥及び保管工程について説明する。冷却装置Bの排出シュート17から取り出した種子袋Pを、脱水機51で脱水し、次いで、網コンテナ46に段積みし、網コンテナ46で水切りし乾燥装置Oまたは乾燥室52に送り込んで乾燥する。次いで、放冷室53に網コンテナ46を送り込んで放冷し、低温貯蔵庫53に送り込み貯蔵する。この構成によると、網コンテナ46に種子袋Pを段積みしたままで連続して乾燥、放冷、貯蔵をすることができ、作業時間を短縮し作業能率を高めることができる。
【0099】
次に、乾燥装置Oについて説明する。
乾燥室55の一側には乾燥受け台56を設け、他側には送風ファン57、出芽用暖房機58を設けている。乾燥室55の底部には温風通路44を設け、温風通路44を経由して暖房機58で温めた空気を送風ファン57で送り、乾燥受け台56に送り込むように構成している。
【0100】
また網コンテナ46にコンテナシート48を敷き込んで多数の種子袋Pを段積みし、この網コンテナ46を乾燥受け台56に載置する。そして、網コンテナ46の上部にはダクトフード47を載置し、ダクトフード47の下部とコンテナシート48の上部とを、例えばファスナ49により密閉状に接続して簡易乾燥室を構成し、ダクトフード47の上部と送風ファン57とを循環通路45により接続し、乾燥風を循環するように構成している。
【0101】
また、乾燥受け台56には、下側が狭く上側の網コンテナ46下部全面に向かって順次拡がる乾燥風路56aを仕切り板56bにより仕切り構成し、温風通路44から網コンテナ46に向けて乾燥風を均等に送り込み、段積み種子袋Pを均等に乾燥するように構成している。前記構成によると、網コンテナ46には下側から上側へ向けて均等な乾燥風が流れ、種子袋Pを均等に能率的に乾燥することができる。
【0102】
尚、冷却水オーバーフロー樋34すなわち冷却水のオーバーフロー口を、冷却槽10内において種子の投入側(温湯消毒装置A側)の端部の位置に設けても良い。これにより、冷却槽10において冷却用給水口18とオーバーフロー口とを互いに対向する端部に配置することになり、種子を冷却することにより温度上昇した水をオーバーフロー口から効率良く排出しながら、冷却用給水口18からの水をオーバーフローさせずに冷却槽10内に効率良く供給することができるので、種子の冷却効果を高めることができる。また、温度上昇した水をオーバーフロー口から効率良く回収槽36に回収できるので、回収槽36から給水路37を介して給湯路28へ供給される水の温度を高めることになり、ヒータ30による加熱量を抑えることができ、ボイラ31の燃費の削減が図れてランニングコストの低減が図れる。また、仕切り壁16により冷却槽10の種子投入側の区画ほど水温が高くなるようにしているので、温度上昇した水をオーバーフロー口から効率良く排出できる。更に、各区画を経た上澄みの水をオーバーフロー口から回収できるので、きれいな水を温湯用として再利用することができる。
【符号の説明】
【0103】
103:育苗箱搬送コンベヤ、110:段積設備、111:台車、111a:載台、117:段積装置、118:積付装置、119:積付アーム、120:移載機構、125:規制具、126:可動アーム、164:突出部、167:突出部付勢具、168:搬送押出具、171:台車ストッパ、171c:台車付勢具、171d:台車検出具、C:育苗箱、H:通常位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
育苗箱搬送コンベヤ(103)で搬送される育苗箱(C)を下方から持ち上げて所定の段積枚数に段積する段積装置(117)と、該段積装置(117)で段積された育苗箱(C)を把持して横移動し所定の積付枚数に積付ける積付装置(118)と、該積付装置(118)で積付けられた育苗箱(C)を載せる積付アーム(119)と、該積付アーム(119)を上下移動及び横移動させて所定位置に移載する移載機構(120)を設け、積付装置(118)は、前記段積枚数に段積された育苗箱(C)を上側に重ねて複数回積付けることにより、育苗箱(C)を前記積付枚数に積付ける構成とし、横方向に可動して育苗箱(C)を把持する可動アーム(126)と、該可動アーム(126)と共に横方向に可動すると共に該可動アーム(126)の先端よりも下位まで下動することにより、既に積付けた育苗箱(C)の側面と可動アーム(126)が把持する育苗箱(C)の側面に接触して育苗箱(C)の位置を規制する規制具(125)を設けた段積設備。
【請求項2】
可動アーム(126)が育苗箱(C)側へ可動して段積された育苗箱(C)を把持し、その後可動アーム(126)が育苗箱(C)を把持した状態で上動すると共に横移動し、その後規制具(125)が下動して既に積付けた育苗箱(C)の側面と可動アーム(126)が把持する育苗箱(C)の側面に接触し、その後可動アーム(126)及び規制具(125)が下動して可動アーム(126)が把持する育苗箱(C)を積付け、その後可動アーム(126)及び規制具(125)が育苗箱(C)とは反対側へ可動し、その後可動アーム(126)及び規制具(125)が上動して積付けられた育苗箱(C)から退避する構成とした請求項1に記載の段積設備。
【請求項3】
積付装置(118)により段積された育苗箱(C)を上側に重ねて複数回積付けるうちの1回目の積付け時には、規制具(125)が下動しない構成とした請求項1又は請求項2に記載の段積設備。
【請求項4】
可動アーム(126)の先端部には把持する育苗箱(C)を下方から支えるための突出部(164)を設け、該突出部(164)を可動アーム(126)の基部に対して上下に移動自在に支持し、突出部(164)を可動アーム(126)の基部に対して下側に付勢する突出部付勢具(167)を設けた請求項1から請求項3の何れか1項に記載の段積設備。
【請求項5】
把持する育苗箱(C)の側面に接する可動アーム(126)の側面の接触面を板材の端面で構成し、把持する育苗箱(C)の底面に接する突出部(164)の接触面を板材の表面で構成し、可動アーム(126)の側面の前記接触面と突出部(164)の前記接触面の位置を調節可能に構成し、可動アーム(126)の側面の接触面に対して突出部(164)を着脱できる構成とした請求項4に記載の段積設備。
【請求項6】
積付アーム(119)は、通常位置(H)から往行程の横移動で段積された育苗箱(C)を前記所定位置にある台車(111)の載台(111a)上へ移動し、下動して段積された育苗箱(C)を載台(111a)上へ移載し、前記下動した状態のままの復行程の横移動で載台位置から退避する構成とし、後方から押して前記所定位置へ台車(111)を搬送する搬送押出具(168)と、該搬送押出具(168)により搬送される台車(111)に前側から接触して該台車(111)を前記所定位置へ保持する台車ストッパ(171)を設け、該台車ストッパ(171)を前後に移動自在に設け、台車ストッパ(171)を台車側となる後側へ付勢する台車付勢具(171c)と、台車ストッパ(171)に台車(111)が接触したことを検出する台車検出具(171d)を設け、該台車検出具(171d)が台車ストッパ(171)に台車(111)が接触したことを検出してから所定時間後まで搬送押出具(168)を搬送作動させる構成とした請求項5に記載の段積設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−95547(P2012−95547A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243773(P2010−243773)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】