説明

段間シール、タービンブレード、およびガスタービンエンジンの冷却されるロータとステータとの間におけるインタフェースシール

【課題】別個のシール支持部を必要としないブレード−ベーン間インタフェースシールを提供する。
【解決手段】ガスタービンエンジン10の低圧タービン20において、冷却空気38は、ボアキャビティ80から連結部84の開口部86を通りリムキャビティ88に導かれる。キャビティ88内の空気38は、ブレード50とベーン52のインタフェースを冷却する。空気38の一部は、スロット90を通って軸方向後方に導かれ、ルート56とディスク54のインタフェースを冷却し、他の部分は、径方向外側に導かれ、ブレード50とベーン52のインタフェースを冷却する。シール92により、ブレードとベーンのインタフェースから空気38が漏出しなくなる。プラットフォーム58により形成されるリング94は、径方向に延びかつ傾斜するランナ98を備える。リング94がランド96と協動して、キャビティ88から空気38が漏出しなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンに関し、より詳細には、そのようなエンジンのブレードとベーンとの間に配設された冷却流体シール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、2005年7月7日に出願された同時係属の米国特許出願「HAMMERHEAD FLUID SEAL」(第11/146,801号)、「COMBINED BLADE ATTACHMENT AND DISK LUG FLUID SEAL」(第11/146,798号)、および「BLADE NECK SEAL」(第11/146,660号)に関連した出願である。
【0003】
ガスタービンエンジンは、前方の圧縮機で周囲空気を圧縮して、燃料を噴射し、中央の燃焼器内で混合気を燃焼し、燃焼のエネルギーを推進力に変換することによって動作する。燃焼ガスは、環状ダクトを通って燃焼器から流出し、周方向に配設されたタービンブレードの1つまたは複数の軸方向の段を駆動させる。各ブレード段は、長手方向の中央シャフトに取り付けられたロータに燃焼ガスエネルギーを伝達する。ロータブレード段の間には、ロータを囲む径方向外側のケーシング構造に固定されたステータベーンの段が配設されている。2つ以上のロータが、同心のシャフトを介して、互いに独立した異なる速度で作動する。ガスタービンエンジンは、一般に、航空機、船舶、発電機に動力を供給するために使用される柔軟性のある動力プラントである。
【0004】
恒常的に2000°F(約1093℃)を越える燃焼ガス温度および400psia(約2757.90kPa)を越える圧力に耐えるために、ブレード、ベーン、シールなどのタービン構成要素は、より温度が低く、より圧力が高い冷却空気で冷却される。冷却空気は、圧縮機から抽気され、燃焼器を完全に迂回して、タービン構成要素に向けてロータの軸方向後方かつ径方向内側に導かれる。タービンに導かれた冷却空気の大部分は、回転するロータの遠心力により、ブレード、ベーン、シールに向かって径方向外側に送られる。冷却空気による最大限の熱除去を得るために、ロータブレード段とステータベーン段との間におけるインタフェースを効果的にシールしなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロータブレード段とステータベーン段と間のインタフェースは、ロータおよびケースの熱膨張および遠心膨張の差により、シールすることが特に困難である。また、高い相対速度や、極めて高い温度/圧力のため、タービンにおけるシール設計が困難となる。過去には、設計者は、ロータブレード段とステータベーン段との間のインタフェースをシールしようと試みてきたが、その成功度は様々であった。
【0006】
そのようなタービンシールの一例は、ラビリンスシールである。典型的なブレードとベーンとの間のインタフェースにおいては、静止したランドと、回転するランナつまりナイフエッジと、を備える多段型のラビリンスシールにより、冷却空気が径方向外側に向かって燃焼ガス内に漏出しないように防止される。ランナは、環状の支持部から突出しており、この環状支持部は、典型的には、ボルト式フランジまたはスナップばめの少なくとも一方を用いてロータに締結される。この支持部は独立した構成部品であるため、製造コストが増すとともに、タービンの構成がより複雑になる。また、この支持部により、ロータに付加的な回転質量が加わるため、エンジン動作効率が低下してしまう。また、この支持部とロータとの間におけるインタフェースの取付構造により、冷却空気の付加的な漏出流路が生じ得る。この支持部は、隣接する構成要素の影響を受けるため、通常、冷却空気を最適に分配しない。
【0007】
別個のシール支持構成部品を必要せず、またシールに対する冷却空気の分配を改善するブレードとベーンとの間におけるインタフェースシールが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、冷却空気の漏出を制限するとともに、シールに対する冷却空気の分配を改善するロータとステータと間のインタフェースシールが提供される。
【0009】
したがって、タービンロータは、周方向に配設されたブレードの第1および第2段を備える。前記ブレード段は、該ブレード段間にチャンバを形成するように、ブレードの径方向内側に位置する環状の連結部(カップリング)によって互いに軸方向に離間されている。前記ブレード段間にステータベーン段が配設される。ベーン段は、径方向内側に面するランドを備える。第1および第2のブレード段からベーン段に向かって、軸方向にリングが突出している。リングは、ランドと径方向に協動して、ブレードとベーンとの間におけるインタフェースシールを形成する。連結部は、シールの冷却に使用される冷却空気をチャンバに向けて径方向に導く開口部を備える。
【0010】
本発明によるインタフェースシールの他の実施形態では、タービンロータは、周方向に配設されたブレードの第1および第2段を備える。前記ブレード段は、該ブレード段間にチャンバを形成するように、ブレードの径方向内側に位置する環状の連結部によって互いに軸方向に離間されている。前記ブレード段間にステータベーン段が配設される。ベーン段は、径方向内側に面するランドを備える。ブレード段からベーン段に向かって、リングが軸方向に突出している。リングは、ランドと径方向に協動する。連結部は、径方向外側に突出してランドと径方向に協動する一体型リングを備える。リングとランドとが協動することにより、ブレードとベーンとの間におけるインタフェースシールが形成される。また、連結部は、シールの冷却に使用される冷却空気を、チャンバに向けて径方向に導く開口部を備える。連結部の軸方向の長さに沿って任意の場所に開口部を配設してもよいが、典型的には、ベーン段より前方に配設される。
【0011】
シールリングが、ガスタービンエンジンの既存のブレードおよび連結部と一体であるため、別個の支持部が不要となり、排除される。別個の支持部を排除することにより、ロータの回転質量が減少し、したがってエンジンの運転効率が向上する。また、リングをブレードに移設することにより、冷却空気の漏出経路が排除されて、シールに対する冷却空気の分配が向上する。
【0012】
本発明の他の細部、ならびに、それに伴う他の目的および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面に図示、記載されている。同様の符号は同様の要素を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1の典型的なガスタービンエンジン10の主なセクションは、前方から後方に向かって順に、低圧圧縮機12、高圧圧縮機14、燃焼器16、高圧タービン18、低圧タービン20からなり、長手方向の中心軸11の周囲にそれぞれ配設されている。作動流体22は、圧縮機12,14から後方に、燃焼器16内に送られ、そこで燃料が噴射され、混合気が燃焼される。高温の燃焼ガス24は、燃焼器16から流出し、環状ダクト26内で膨張して、タービン18,20を駆動する。次いで、タービン18,20は、高ロータスプール32および低ロータスプール34をそれぞれ形成する同心のシャフト28,30を介して結合された圧縮機14、12を駆動する。図では二重スプールのエンジン10が示されているが、三重スプールのエンジン10であってもよい。燃焼ガスは、航空機またはフリータービンに動力を供給するために使用される推力36としてエンジン10から流出する。作動流体22の一部分は、圧縮機12,14から抽気され、冷却空気38として燃焼器16の径方向内側かつ軸方向後方に向けてタービン18,20に送られる。
【0014】
図2〜図4の例示的な低圧タービン20では、燃焼ガス24は、径方向外側の流路42および径方向内側の流路44によって画定された環状ダクト40を通って後方に導かれる。環状ダクト40内には、ロータブレード段50a〜50eおよびステータベーン段52a〜52dが交互に配設されている。ブレード50は、プラットフォーム58から径方向内側に配設されたルート部56によって、ロータディスク54から径方向外側に延びる。各ブレード50は、プラットフォーム58と外側先端シュラウド62との間で径方向に延びるエアフォイル60をさらに備える。エアフォイル60は、前方に面する前縁と、後方に面する後縁と、を有する。ブレード50は、ある例では、ディスク54から取外し可能であり、また他の例では、取外し可能ではない。ベーン52は、外側先端シュラウド62から径方向内側に延びるフック66によって、ケース64から内側に片持ち式に構成されている。各ベーン52は、内側シュラウド68と外側シュラウド70との間で径方向に延びるエアフォイル60を備える。
【0015】
外側シール72により、外側流路42における燃焼ガス24の漏出が制限される。外側シール72は、回転するロータブレード50と固定ケース64との間のインタフェース部分に配設される。先端シュラウド62は、半径方向外側に延びるランナ74を備え、このランナ74は、支持部78によってケース64に固定されかつ内側に面するランド76と径方向に協動する。ブレード50の回転とともに、ランナ74とランド76が径方向に協動することにより、ダム効果が生じて、燃焼ガス24の外側流路42からの漏出が制限される。重なり合ったプラットフォームおよびより高い圧力の冷却空気38の一定供給により、内側流路44における燃焼ガス24の漏出が制限される。
【0016】
圧縮機12,14から抽気された冷却空気38は、ボアキャビティ(bore cavity)80に向けて送られる。ボアキャビティ80は、隣接するディスクボア82によって軸方向に、また環状の連結部(カップリング)84によって径方向外側に境界が画定される。連結部84は、ボルト、リベット、溶接、ねじ、スプライン、テーパ、スナップばめ、または他の手段を用いて、隣接するディスク54を接合する。また、連結部84は、隣接するディスク82の各々と一体的に形成され得る(図示せず)。ディスク54の回転によって、冷却空気38が連結部84に対して径方向外側に送られる。冷却空気38は、連結部84の開口部86を通ってリムキャビティ88内に導かれる。開口部は、円形の穴、スロット、または他の形態であってもよく、典型的には、連結部84の周囲に亘って周方向に均等に配設される。開口部86は、適切な流量の冷却空気38をリムキャビティ88に流入させるサイズで形成される。
【0017】
リムキャビティ88内の冷却空気38は、全エンジン運転条件下で、環状ダクト40内の燃焼ガス24より高い圧力で維持される。より高い圧力の冷却空気38によって、燃焼ガス24がリムキャビティ88内に流入しないように防止され、ブレード50とベーン52との間のインタフェースが冷却される。冷却空気38の一部は、ブレードルート部56とディスク54との間に配設された複数のスロット90を通って軸方向後方に導かれる。冷却空気38の前記部分は、軸方向後方に向けて下流のリムキャビティ88に導かれる前に、ブレードルート部56とディスク54との間のインタフェースを冷却する。冷却空気38の他の部分は、径方向外側に導かれ、ブレード50とベーン52との間のインタフェース領域を冷却する。
【0018】
図3および図4に具体的に示されているように、本発明の様々な実施形態によるシール92により、ブレード50とベーン52との間のインタフェース部分において冷却空気38の漏出が制限される。ブレードプラットフォーム58は、1つまたは複数の周方向にセグメント化されたリング94を形成し、リング94は、ベーン52に固定されかつ内側に面するランド96と径方向に協動する。また、図4に具体的に示されているように、1つまたは複数の一体型リング94が、軸方向の長さに亘る任意の場所において連結部84から径方向外側に突出する。一体型リング94とランド96との協動により中間シールが形成され、該中間シールにより、キャビティ88が2つ以上のより小さなキャビティ88に分割される。この径方向外側に突出するリング94は、セグメント化されていないが、ベーン52に固定された内側に面するランド96と径方向に協動する。ブレード50の回転とともに、リング94とランド96の近接した径方向位置により、ダム効果が生じて、冷却空気38のリムキャビティ88からの漏出が制限する。
【0019】
ランド96は、一定の径方向の外形状を備えていてもよいし、燃焼ガス24のリムキャビティ88への流入をさらに防ぐように、径方向に階段状であってもよい。ランド96は、ろう付、溶接、または他の好適な手段によってベーン52に直接固定されてもよく、ベーン52から径方向内側に突出する支持部97に固定されてもよい。支持部97は、ベーン52と一体的であってもよいし、ろう付、溶接、または他の好適な手段によって固定されていてもよい。ランド96は、典型的には、ハニカム形状のシートメタル構造、または、漏出を制限するようにシールの技術分野において周知の他の構造および材料から構成されてもよい。
【0020】
リング94は、ブレード50のプラットフォーム58から前縁方向、後縁方向、または両方向に軸方向に突出する。また、一体型リング94が連結部84から径方向に突出していてもよい。ブレード50がディスク54に組付けられると、個々のリング94セグメントが軸方向および径方向に整列して、中心軸11を中心にして実質的に完全なリング94が形成される。リング94は、ナイフエッジとして知られる1つまたは複数の径方向に延びるランナ98を備える。複数のランナ98を加えることにより、冷却空気38の漏出がさらに制限されるが、実際の数は、空間や重量の制限によって判断される。ランナ98の幅は、冷却空気38の速度を低減させるように、ランド96に隣接して、可能な限り薄いことが望ましい。ランナ98とランド96が断続的に接触することがあるため、通常、ランナ98にコーティング、耐摩耗加工、または他の耐摩耗処理が適用される。また、ランナ98は、セグメント化されたリング94の長手方向軸に対して、約22.5°〜約68°、好ましくは55°の角度(a)で傾斜していてもよい。ランナ98を冷却空気38の流れと反対の方向に傾斜させることにより、ダム効果が生じ、漏出がさらに制限される。また、ランナ98を傾斜させることにより、より厚いセグメント化されたリング94の長さが短くなり、重量がさらに減少する。リング94およびランナ98は、鋳造、従来の機械加工、放電加工、ケミカルミリング、または他の好適な製造方法によって形成される。
【0021】
図5のブレード50の実施形態に示されるように、隣接するリング94のセグメントは、セグメント間の冷却空気38の漏出を低減させるように、機械的なシールエレメントを備えていてもよい。ブレード50が取付けられると、隣接するリング94セグメント間で舌部100と溝部102が協動し、冷却空気38の漏出が減少する。舌部100は、遠心負荷下で溝部102に完全に接触するように、径方向外側に傾斜していてもよい。リング94のセグメントの径方向の増加した厚さは、舌部100および溝部102を設けるためだけに必要であるため、通常、舌部100と溝部102の間に1つまたは複数のポケット104を配設し、ブレード50の回転質量を低減させる。ポケット104は、鋳造、従来の機械加工、放電加工、ケミカルミリング、または他の好適な製造方法によって形成される。
【0022】
図6a〜図6gのリング94セグメントの実施形態に示されているように、隣接するリング94セグメントは、セグメント間の冷却空気38の漏出を低減させるように、空気力学的なシール手段を有する。一定量の冷却空気38および燃焼ガス24を、逆方向内側のポンプ機構を介して径方向内側に導くことにより、冷却空気38のリムキャビティ88から径方向外側への漏出が防止され、減少する。図6の各図では、ブレード50の基準の回転方向は、時計回りである。ブレード50の回転方向が反時計回りである場合、本発明の空気力学的シールエレメントは、エンジン10の長手方向軸11に沿って延びる平面で鏡映される。また、各図において、上流側リング194のセグメントを右側に図示し、下流側リング294を左側に図示している。
【0023】
図6aは、面取りエッジ106、すなわち逆方向ポンプエレメントを示す。面取りエッジ106は、上流側リング194セグメントの正接方向に面している表面108と径方向外側の表面110との交差部分に位置している。一定量の冷却空気38および燃焼ガス24が面取りエッジ106と直面し、ブレード50の回転によって、隣接するリング194,294セグメント間から径方向内側に流入する。内側へのポンプ作用により、冷却空気38の径方向外側への漏出が防止される。
【0024】
図6bは、二重の面取りエッジ106、すなわち逆方向のポンプエレメントを示す。面取りエッジ106は、上流側リング194セグメントの正接方向に面している表面108と径方向外側の表面110との交差部分に位置している。また、面取りエッジ106は、下流リング294セグメントの正接方向に面している表面108と径方向内側の表面112との交差部分に位置している。一定量の冷却空気38および燃焼ガス24が面取りエッジ106と直面し、ブレード50の回転によって、隣接するリング194,294セグメント間から径方向内側に流入する。内側へのポンプ作用により、冷却空気38の径方向外側への漏出が防止される。
【0025】
図6cは、単一の傾斜付きエッジ114、すなわち逆方向のポンプエレメントを示す。傾斜付きエッジ114は、上流側リング194セグメントの径方向外側の表面110と径方向内側の表面112との間に位置する。一定量の冷却空気38および燃焼ガス24が傾斜付きエッジ114と直面し、ブレード50の回転によって、隣接するリング194,294セグメント間から径方向内側に流入する。内側へのポンプ作用により、冷却空気38の径方向外側への漏出が防止される。
【0026】
図6dは、二重の傾斜付きエッジ114、すなわち逆方向のポンプエレメントを示す。傾斜付きエッジ114は、上流側リング194セグメントの径方向外側の表面110と径方向内側の表面112との間に位置する。また、傾斜付きエッジ114は、下流リング194セグメントの径方向外側の表面110と径方向内側の表面112との間に位置する。一定量の冷却空気38および燃焼ガス24が傾斜付きエッジ114と直面し、ブレード50の回転によって、隣接するリング194,294セグメント間から径方向内側に流入する。内側へのポンプ作用により、冷却空気38の径方向外側への漏出が防止される。
【0027】
図6eは、二重の正接方向で傾斜されたウィング116、すなわち逆方向のポンプエレメントを示す。径方向内側に傾斜したウィング116は、上流側リング194セグメントの正接方向に面する表面108に隣接して位置する。また、径方向外側に傾斜したウィング116は、下流側リング294セグメントの正接方向に面する表面108に隣接して位置する。一定量の冷却空気38および燃焼ガス24がウィング116と直面し、ブレード50の回転によって、隣接するリング194,294セグメント間から径方向内側に流入する。内側へのポンプ作用により、冷却空気38の径方向外側への漏出が防止される。
【0028】
図6fは、単一の下流側ダム部118、すなわち逆方向のポンプエレメントを示す。下流側リング294セグメントの正接方向に面する表面108は、ダム部118を形成するように、上流側リング194セグメントの正接方向に面する表面108を越えて径方向外側に突出して径方向に厚くなっている。一定量の冷却空気38および燃焼ガス24がダム部118と直面し、ブレード50の回転によって、隣接するリング194,294セグメント間から径方向内側に流入する。内側へのポンプ作用により、冷却空気38の径方向外側への漏出が防止される。
【0029】
図6gは、二重のダム部118、すなわち逆方向のポンプエレメントを示す。下流側リング294セグメントの正接方向に面する表面108は、上流側リング194セグメントの正接方向で面する表面108を越えて、径方向外側に突出し径方向に厚くなっている。
また、上流側リング194セグメントの正接方向に面する表面108は、下流側リング294セグメントの正接方向で面する表面108を越えて、径方向内側に突出し、径方向に厚くなっている。一定量の冷却空気38および燃焼ガス24がダム部と直面し、ブレード50の回転によって、隣接するリング194,294セグメント間から径方向内側に流入する。内側へのポンプ作用により、冷却空気38の径方向外側への漏出が防止される。
【0030】
簡潔に説明するために、全図において低圧タービン20に関して図示しているが、高圧タービンおよび中圧タービンであってもよく、同様に例示的なシール92およびリムキャビティ88の冷却機構による利点がもたらされることを理解されたい。
【0031】
本発明について、特定の実施形態について述べてきたが、当業者であれば、本願の記載を参照することによって他の代替形態、修正形態、変形形態が明らかになるであろう。したがって、代替形態、修正形態、変形形態が添付の特許請求の範囲の広い範囲内に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】長手方向の中心軸に沿ったガスタービンエンジンの概略断面図。
【図2】図1のエンジンに使用される型式の低圧タービンの部分断面図。
【図3】図2のタービンに使用される型式のブレード−ベーン間インタフェースシールの詳細断面図。
【図4】図2のタービンに使用される型式の他のブレード−ベーン間インタフェースシールの詳細断面図である。
【図5】図2のタービンに使用される型式のタービンブレードの等角投影図。
【図6】(a)単一の面取りエッジを備えるリングセグメントインタフェースの正面図、(b)二重の面取りエッジを備えるリングセグメントインタフェースの正面図、(c)単一の傾斜付きエッジを備えるリングセグメントインタフェースの正面図、(d)二重の傾斜付きエッジを備えるリングセグメントインタフェースの正面図、(e)正接方向の傾斜付きウィングを備えるリングセグメントインタフェースの正面図、(f)単一の下流ダム部を備えるリングセグメントインタフェースの正面図、(g)二重のダム部を備えるリングセグメントインタフェースの正面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の外側に延びるブレードを備えた第1のロータ段と、
前記第1の段から軸方向に離間されるとともに、複数の外側に延びるブレードを備えた第2のロータ段と、
前記ロータ段の間に配設されるとともに、少なくとも1つの径方向内側に延びるランドを備えたベーン段と、
を備える段間シールであって、
前記ロータ段の各々が、前記ブレードから突出する少なくとも1つのリングを備え、
前記リングが、前記シールを形成するように前記少なくとも1つのランドと径方向に協動することを特徴とする段間シール。
【請求項2】
前記少なくとも1つのリングが、前記第1のロータ段におけるブレードのプラットフォームから突出することを特徴とする請求項1に記載の段間シール。
【請求項3】
前記少なくとも1つのリングが、前記第2のロータ段におけるブレードのプラットフォームから突出することを特徴とする請求項2に記載の段間シール。
【請求項4】
前記ベーン段が、2つのランドを備え、
前記ランドのうち第1のランドが、前記ランドの第2のランドより径方向内側に位置することを特徴とする請求項1に記載の段間シール。
【請求項5】
前記少なくとも1つのリングの各々が、前記リングと前記ランドとの間で径方向に配設された少なくとも1つのランナを備えることを特徴とする請求項1に記載の段間シール。
【請求項6】
各リングが、2つのランナを備えることを特徴とする請求項5に記載の段間シール。
【請求項7】
各ランナが、前記ベーン段に向けて角度を備えて傾斜していることを特徴とする請求項6に記載の段間シール。
【請求項8】
各ランナが、前記ベーン段に向かって、22.5°〜68°の角度で傾斜していることを特徴とする請求項7に記載の段間シール。
【請求項9】
各ランナが、前記ベーン段に向かって、55°の角度で傾斜していることを特徴とする請求項8に記載の段間シール。
【請求項10】
各リングが、周方向にセグメント化されており、各ブレードが、前記リングの1つのセグメントを有することを特徴とする請求項3に記載の段間シール。
【請求項11】
前記リングの各セグメントが、舌部および溝部を備え、
隣接するリングセグメントが取付けられた際に、該隣接するリングセグメントの前記舌部および前記溝部が協動することを特徴とする請求項10に記載の段間シール。
【請求項12】
各リングセグメントが、前記舌部と前記溝部との間で周方向に配設されたポケットを備えることを特徴とする請求項11に記載の段間シール。
【請求項13】
各リングセグメントが空気力学的シール手段を有することを特徴とする請求項10に記載の段間シール。
【請求項14】
ロータと係合する径方向に最も内側の取付部と、
前記取付部から径方向外側に配設されたプラットフォームと、
前記プラットフォームから径方向外側に延びるエアフォイルと、
前記プラットフォームから軸方向に突出する少なくとも1つのリングセグメントと、
を備えるタービンブレード。
【請求項15】
前記エアフォイルが、軸方向前方に面する前縁と、軸方向後方に面する後縁と、を備え、
前記プラットフォームから前記前縁方向に第1のリングセグメントが突出し、前記プラットフォームから前記後縁方向に第2のリングセグメントが突出することを特徴とする請求項14に記載のタービンブレード。
【請求項16】
各リングセグメントが、径方向外側に延びる少なくとも1つのランナを備えることを特徴とする請求項15に記載のタービンブレード。
【請求項17】
各リングが、2つのランナを備えることを特徴とする請求項16に記載のタービンブレード。
【請求項18】
各ランナが、前記エアフォイルから離れた角度を備えて傾斜していることを特徴とする請求項17に記載のタービンブレード。
【請求項19】
各ランナが、前記リングに対して、157.5°〜112°の角度で傾斜していることを特徴とする請求項18に記載のタービンブレード。
【請求項20】
各ランナが、前記リングに対して、125°の角度で傾斜していることを特徴とする請求項19に記載のタービンブレード。
【請求項21】
前記リングセグメントが、舌部および溝部を備えることを特徴とする請求項14に記載のタービンブレード。
【請求項22】
前記舌部が、径方向外側に傾斜していることを特徴とする請求項21に記載のタービンブレード。
【請求項23】
前記リングセグメントが、前記舌部と前記溝部との間で周方向に配設されたポケットを備えることを特徴とする請求項21に記載のタービンブレード。
【請求項24】
前記リングセグメントが空気力学的シール手段を有することを特徴とする請求項23に記載のタービンブレード。
【請求項25】
ガスタービンエンジンの冷却されるロータとステータとの間におけるインタフェースシールであって、
第1のディスクと、前記第1のディスクから径方向外側に延びる複数の第1のブレードと、を備える第1のロータ段と、
第2のディスクと、前記第2のディスクから径方向外側に延びる複数の第2のブレードと、を備える第2のロータ段であって、前記第1および第2のロータ段が該ロータ段の間にチャンバを形成するように離間され、前記第1および第2のディスクが、前記ブレードの径方向内側に配設された軸方向に延びる環状の連結部によって接合される第2のロータ段と、
前記第1および第2のロータ段の間に配設されるとともに、少なくとも1つの径方向内側に面するランドを備えるベーン段と、
前記第1および第2のブレードの各々から軸方向に突出するとともに、前記インタフェースシールを形成するように前記少なくとも1つのランドと径方向に協動するリングと、
前記連結部を貫通するとともに、前記シールの冷却に使用される冷却流体を前記チャンバに向けて径方向に導く開口部と、
を備えるガスタービンエンジンの冷却されるロータとステータとの間におけるインタフェースシール。
【請求項26】
前記チャンバ内に加圧された流体を導く前記第1のディスクにおける複数の開口部をさらに備える請求項25に記載のインタフェースシール。
【請求項27】
前記加圧された流体の一部を前記チャンバから除去する前記第2のディスクにおける複数の開口部をさらに備える請求項26に記載のインタフェースシール。
【請求項28】
前記リングの各々が、前記リングと前記ランドとの間で径方向に配設されたランナを備えることを特徴とする請求項25に記載のインタフェースシール。
【請求項29】
各リングが、2つのランナを備えることを特徴とする請求項26に記載のインタフェースシール。
【請求項30】
各ランナが、前記ベーン段に向かう角度を備えて傾斜していることを特徴とする請求項29に記載のインタフェースシール。
【請求項31】
各ランナが、前記リングに対して、22.5°〜68°の角度で傾斜していることを特徴とする請求項30に記載のインタフェースシール。
【請求項32】
各ランナが、前記リングに対して、55°の角度で傾斜していることを特徴とする請求項31に記載のインタフェースシール。
【請求項33】
前記リングが周方向にセグメント化されていることを特徴とする請求項25に記載のインタフェースシール。
【請求項34】
前記リングセグメントが、舌部および溝部を備えることを特徴とする請求項33に記載のインタフェースシール。
【請求項35】
各舌部が、径方向外側に傾斜していることを特徴とする請求項34に記載のインタフェースシール。
【請求項36】
前記リングセグメントが、前記舌部と前記溝部との間で周方向に配設された少なくとも1つのポケットを備えることを特徴とする請求項35に記載のインタフェースシール。
【請求項37】
前記リングセグメントが空気力学的シール手段を有することを特徴とする請求項33に記載のインタフェースシール。
【請求項38】
前記ランドの一方が、他方のランドの径方向内側に位置することを特徴とする請求項25に記載のインタフェースシール。
【請求項39】
前記連結部が、径方向外側に突出するリングをさらに備え、
前記リングが、前記シールの一部を形成するように前記少なくとも1つのランドと径方向に協動することを特徴とする請求項25に記載のインタフェースシール。
【請求項40】
前記少なくとも1つの開口部が、前記ベーン段の軸方向前方に配設されることを特徴とする請求項39に記載のインタフェースシール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−120501(P2007−120501A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−290590(P2006−290590)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(590005449)ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション (581)
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
【Fターム(参考)】