説明

殺菌剤としてのN−[2−(4−ピリジニル)エチル]ベンズアミド誘導体

一般式(I)で表される化合物。その化合物の調製方法。式(I)で表される化合物を調製するための一般式(II)で表される中間体。式(I)で表される化合物を調製するための一般式(V)で表される中間体。一般式(I)で表される化合物を含んでいる殺菌剤組成物。一般式(I)で表される化合物又はその化合物を含んでいる組成物を施用することによる植物の処理方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規N−[2−(4−ピリジニル)エチル]ベンズアミド誘導体、それらを調製する方法、殺菌剤としてのそれらの使用、特に、殺菌剤組成物の形態におけるそれらの使用、及び、それら化合物又はそれらの組成物を使用して植物の植物病原性菌類を防除する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願WO04/16088号には、2−ピリジル基が少なくとも1つのハロゲノアルキル基で置換されている2−ピリジルエチルベンズアミド誘導体及びその殺菌性化合物としての使用が開示されている。N−[2−(3−ピリジニル)エチル]ベンズアミド誘導体については、開示はなされていない。
【0003】
国際特許出願WO01/11965号には、殺菌性化合物の大きなファミリーが開示されている。その特許出願では、N−[2−(3−ピリジニル)エチル]カルボキサミド誘導体については、開示はなされていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
農業従事者により使用される活性成分に対する耐性菌株の発達を回避するか又はそのような耐性菌株の発達と戦うために、新規な農薬活性化合物を使用することは、農業分野において常に高い関心が持たれている。既に知られている化合物の有効性と少なくとも同等の有効性を維持しながら、同時に、農業従事者により使用される活性物質の量を低減させるために、既に知られている化合物よりもさらに活性が高い新規化合物を使用することにも高い関心が持たれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記特性を有する化合物の新規ファミリーを見いだした。
【0006】
従って、本発明は、一般式(I):
【0007】
【化11】

[式中、
・ nは、1、2、3又は4であり;
・ Xは、同一であるか又は異なっていて、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ペンタフルオロ−λ−スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、(cf.Doc.D43−Cpd 3c&4c)カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、カルバメート基、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル基、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルケニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルキルカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルカルバモイル、ジ−C−C−アルキルカルバモイル、(N−C−C−アルキル)オキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルバモイル、(N−C−C−アルキル)−C−C−アルコキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルカルボニルアミノ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、C−C−アルキルオキシカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニル、C−C−アルコキシイミノ、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルケニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルキニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(ベンジルオキシイミノ)−C−C−アルキル、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル又はフェニルアミノであり;
・ R及びRは、同一であるか又は異なっていて、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、(cf.Doc.D3−Cpd 22 & Doc.D5−Cpd 3)カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、カルバメート基、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル基、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルケニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルキルカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルカルバモイル、ジ−C−C−アルキルカルバモイル、N−C−C−アルキルオキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルバモイル、N−C−C−アルキル−C−C−アルコキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルカルボニルアミノ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、C−C−アルキルオキシカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニル、C−C−アルコキシイミノ、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルケニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルキニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(ベンジルオキシイミノ)−C−C−アルキル、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル若しくはフェニルアミノであり;
又は、
とRは、一緒になって、3員、4員、5員若しくは6員の炭素環を形成していてもよい;
・ R及びRは、同一であるか又は異なっていて、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、カルバメート基、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル基、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルケニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルキルカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルカルバモイル、ジ−C−C−アルキルカルバモイル、N−C−C−アルキルオキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルバモイル、N−C−C−アルキル−C−C−アルコキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルカルボニルアミノ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、C−C−アルキルオキシカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニル、ベンジル、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルスルフィニル、ベンジルスルホニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル、フェニルスルフィニル、フェニルスルホニル、フェニルアミノ、フェニルカルボニルアミノ、2,6−ジクロロフェニル−カルボニルアミノ基若しくはフェニル基であり;
又は、
とRは、一緒になって、3員、4員、5員若しくは6員の炭素環を形成していてもよい;
・ Rは、水素原子又はC−C−シクロアルキルであり;
・ pは、1、2、3、4又は5であり;
及び
・ Yは、同一であるか又は異なっていて、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ペンタフルオロ−λ−スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルボキシ基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルケニル、C−C−アルキルスルファニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルコキシカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニル又はC−C−アルキルスルホンアミドである]
で表されるN−[2−(4−ピリジニル)エチル]ベンズアミド誘導体、並びに、その塩、N−オキシド、金属錯体、半金属錯体及び光学活性異性体に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に関連して:
・ ハロゲンは、フッ素、臭素、塩素又はヨウ素を意味する;
・ カルボキシは、−C(=O)OHを意味し、カルボニルは、−C(=O)−を意味し、カルバモイルは、−C(=O)NHを意味し、N−ヒドロキシカルバモイルは、−C(=O)NHOHを意味する;
・ アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基、並びに、これらの用語を含んでいる部分構造は、直鎖又は分枝鎖であり得る。
【0009】
本発明に関連して、2置換されているアミノ基及び2置換されているカルバモイル基の場合、当該2つの置換基がそれらを担持している窒素原子と一緒に3〜7個の原子を含んでいる飽和ヘテロ環を形成し得るということも、理解されなくてはならない。
【0010】
本発明の化合物はいずれも、その化合物内の不斉中心の数に応じて、1種類以上の光学異性体形態又はキラル異性体形態で存在し得る。かくして、本発明は、等しく、全ての光学異性体及びそれらのラセミ混合物又はスケールミック混合物(用語「スケールミック(scalemic)」は、異なった比率のエナンチオマーの混合物を意味する)、並びに、可能な全ての立体異性体の全ての比率における混合物に関する。当業者は、自体公知の方法により、ジアステレオ異性体及び/又は光学異性体を分離させることができる。
【0011】
本発明の化合物はいずれも、その化合物内の二重結合の数に応じて、1種類以上の幾何異性体形態でも存在し得る。かくして、本発明は、等しく、全ての幾何異性体及び全ての比率における可能な全ての混合物に関する。当業者は、自体公知の一般的な方法により、幾何異性体を分離させることができる。
【0012】
一般式(I)[式中、Xは、ヒドロキシ、スルファニル基又はアミノ基を表す]で表される化合物は、いずれも、当該ヒドロキシ基、スルファニル基又はアミノ基のプロトンのシフトの結果として、その互変異性体として見いだされ得る。上記化合物のそのような互変異性体も、本発明の一部である。さらに一般的にいえば、一般式(I)[式中、Xは、ヒドロキシ基、スルファニル基又はアミノ基を表す]で表される化合物の全ての互変異性体、及び、該調製方法において中間体として場合により使用可能で且つそれらの調製方法についての記載において定義されている化合物の互変異性体も、本発明の一部である。
【0013】
本発明では、該3−ピリジルは、どの位置においても(X)で置換されることが可能であり、その際、X及びnは、上記で定義されているとおりである。好ましくは、本発明は、一般式(I)で表されるN−[2−(3−ピリジニル)エチル]ベンズアミド誘導体に関し、ここで、種々の特性は、下記のものとして、単独で選択され得るか又は組み合わせて選択され得る:
・ nに関しては、nは、1又は2であり;
・ Xに関しては、Xは、ハロゲン原子、シアノ基、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、C−C−アルコキシイミノ又はC−C−アルキルであるように選択される。
【0014】
本発明では、該フェニルは、どの位置においても(Y)で置換されることが可能であり、その際、Y及びpは、上記で定義されているとおりである。好ましくは、本発明は、一般式(I)で表されるN−[2−(4−ピリジニル)エチル]ベンズアミド誘導体に関し、ここで、種々の特性は、下記のものとして、単独で選択され得るか又は組み合わせて選択され得る:
・ pに関しては、pは、1又は2であり、さらに好ましくは、pは1であり;
・ Yに関しては、Yは、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであるように選択される;
・ Yにより置換されるフェニル部分の位置に関しては、フェニル部分は、フェニル部分は、オルト位においてYで置換される。
【0015】
本発明では、式(I)の化合物のカルボキサミド部分の炭素原子は、R、R、R及びRで置換されており、ここで、R、R、R及びRは上記で定義されているとおりである。好ましくは、本発明は、一般式(I)で表されるN−[2−(3−ピリジニル)エチル]カルボキサミド誘導体にも関し、ここで、種々の特性は、下記のものとして、単独で選択され得るか又は組み合わせて選択され得る:
・ R及びRに関しては、R及びRは、互いに独立して、水素原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであるように選択される;
・ R及びRに関しては、R及びRは、互いに独立して、水素原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであるように選択される。
【0016】
本発明では、式(I)の化合物のカルボキサミド部分の窒素原子は、Rで置換されており、ここで、Rは、水素原子又はC−C−シクロアルキルである。好ましくは、該C−C−シクロアルキルは、シクロプロピルである。
【0017】
本発明は、さらにまた、一般式(I)で表される化合物を調製する方法にも関する。かくして、本発明のさらに別の態様により、上記で定義されている一般式(I)で表される化合物を調製するための調製方法(A)が提供され、ここで、該調製方法は、一般式(II):
【0018】
【化12】

[式中、X、n、R、R、R、R及びRは、請求項1で定義されているとおりである]
で表される4−ピリジン誘導体又はその塩のうちの1種類を、一般式(III):
【0019】
【化13】

[式中、Lは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、−OR又は−OCORであるように選択される脱離基であり、その際、Rは、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル、ペンタフルオロフェニル、又は、式:
【0020】
【化14】

で表される基である]
で表されるカルボン酸誘導体と、触媒の存在下で、また、Lがヒドロキシル基である場合は、縮合剤の存在下で、反応させることを含む。
【0021】
本発明の調製方法(A)は、触媒の存在下で実施する。適切な触媒は、4−ジメチル−アミノピリジン、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール又はジメチルホルムアミドであるように選択し得る。
【0022】
がヒドロキシル基であり;場合、本発明の調製方法は、縮合剤の存在下で実施する。適切な縮合剤は、酸ハロゲン化物形成物質(former)、例えば、ホスゲン、三臭化リン、三塩化リン、五塩化リン、酸化三塩化リン(phosphorous trichloride oxide)若しくは塩化チオニル;無水物形成物質、例えば、クロロギ酸エチル、クロロギ酸メチル、クロロギ酸イソプロピル、クロロギ酸イソブチル若しくはメタンスルホニルクロリド;カルボジイミド類、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、又は、別の慣習的な縮合剤、例えば、五酸化リン、ポリリン酸、N,N’−カルボニル−ジイミダゾール、2−エトキシ−N−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、トリフェニルホスフィン/テトラクロロメタン、4−(4,6−ジメトキシ[1.3.5]トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド水和物若しくはブロモ−トリピロリジノ−ホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェートなどであるように選択することができる。
【0023】
が水素原子である場合、一般式(I)で表される化合物を調製するための上記調製方法(A)は、一般式(Ia)で表される化合物を一般式(IV)で表される化合物と反応させて一般式(I)で表される化合物を生成させることを含む以下の反応スキーム:
【0024】
【化15】

[ここで、
・ R、R、R、R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ R5aは、C−C−シクロアルキルであり;
及び、
・ Lは、ハロゲン原子、4−メチルフェニルスルホニルオキシ又はメチルスルホニルオキシであるように選択される脱離基である]
に従うさらなるステップで場合により完結させることができる。
【0025】
、R、R、R又はRの定義に応じて、一般式(II)で表されるアミン誘導体は、種々の調製方法で調製することができる。そのような調製方法の1つの例(a)は、以下のとおりであり得る:
・ R、R、X及びnが、上記で定義されているとおりであり;
・ R、R及びRが、水素原子である場合;
一般式(II)で表されるアミン誘導体は、以下の:
− 反応スキーム(a−1):
【0026】
【化16】

[ここで、
・ R、R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Lは、−OR基又は−OCOR基であるように選択される脱離基であり、その際、Rは、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルであり;
・ PGは、保護基を表し、ここで、該保護基は、−COOR基又は−COR基であることができ、Rは、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルである]
による第1ステップ(ここで、該第1ステップは、触媒の存在下及び一般式(VI)で表される化合物の存在下、0℃〜150℃の温度で、1バール〜100バールの圧力下に、一般式(V)で表される化合物を水素化又は水素化物供与体により還元して、一般式(VII)で表される化合物を生成させることを含む);
− 反応スキーム(a−2):
【0027】
【化17】

[ここで、
・ R、R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ PGは、保護基を表し、ここで、該保護基は、−COOR基又は−COR基であることができ、Rは、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルである]
による第2ステップ(ここで、該第2ステップは、酸性媒体又は塩基性媒体中で、一般式(VII)で表される化合物を脱保護反応に付して、一般式(IIa)で表されるアミン誘導体又はその塩の1種類を生成させることを含む);
を含む調製方法により調製することができる。
【0028】
上記調製方法(a)の第1ステップ(ステップ(a−1))は、水素化物供与体の存在下で実施する。好ましくは、該水素化物供与体は、LiAlH、NaBH、KBH、Bなどのような金属水素化物又は半金属水素化物であるように選択される。
【0029】
上記調製方法(a)の第1ステップ(ステップ(a−1))は、触媒の存在下で実施する。好ましくは、該触媒は、Co(II)塩化物、Ni(II)塩化物、アンモニア若しくはその塩のうちの1種類、炭素担持パラジウム、ラネーニッケル、ラネーコバルト又は白金であるように選択される。
【0030】
上記調製方法(a)の第1ステップ(ステップ(a−1))は、0℃〜150℃の温度で実施する。好ましくは、該温度は、10℃〜120℃である。さらに好ましくは、該温度は、10℃〜80℃である。
【0031】
上記調製方法(a)の第1ステップ(ステップ(a−1))は、1バール〜100バールの圧力下で実施する。好ましくは、該圧力は、1バール〜50バールである。
【0032】
上記調製方法(a)の第1ステップ(ステップ(a−1))は、有機溶媒の存在下、水の存在下、又は、それらの混合物の存在下で実施し得る。好ましくは、該溶媒は、エーテル、アルコール、カルボン酸、又はそれらと水の混合物、又は純粋な水であるように選択される。
【0033】
本発明は、さらにまた、一般式(I)で表される化合物を調製するための別の調製方法にも関する。かくして、本発明のさらに別の態様により、一般式(Ia):
【0034】
【化18】

[式中、R、R、X、Y、n及びpは、上記で定義されているとおりである]
で表される化合物を調製するための第二の調製方法(B)が提供され、ここで、該調製方法は、0℃〜150℃の温度、1バール〜100バールの圧力下で、触媒の存在下及び一般式(VIII)で表される化合物の存在下で、一般式(V)で表される化合物を水素化又は水素化物により還元して一般式(Ia)で表される化合物を生成させることを含む、下記反応スキーム:
【0035】
【化19】

[ここで、
・ R、R、X、Y、n及びpは、上記で定義されているとおりであり;
・ Lは、−OCORであるように選択される脱離基であり、Rは、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル、ペンタフルオロフェニル、−OCHO、−SCSN(Me)又は式:
【0036】
【化20】

で表される基である]
に従う。
【0037】
本発明の調製方法(B)は、水素化物供与体の存在下で実施する。好ましくは、該水素化物供与体は、LiAlH、NaBH、KBH、Bなどのような金属水素化物又は半金属水素化物であるように選択される。
【0038】
本発明の調製方法(B)は、触媒の存在下で実施する。好ましくは、該触媒は、Co(II)塩化物、Ni(II)塩化物、アンモニア若しくはその塩のうちの1種類、炭素担持パラジウム、ラネーニッケル、ラネーコバルト又は白金であるように選択される。
【0039】
本発明の調製方法(B)は、0℃〜150℃の温度で実施する。好ましくは、該温度は、10℃〜120℃である。さらに好ましくは、該温度は、10℃〜80℃である。
【0040】
本発明の調製方法(B)は、1バール〜100バールの圧力下で実施する。好ましくは、該圧力は、1バール〜50バールである。
【0041】
本発明の調製方法(B)は、有機溶媒の存在下、水の存在下、又は、それらの混合物の存在下で実施し得る。好ましくは、該溶媒は、エーテル、アルコール、カルボン酸、又はそれらと水の混合物、又は純粋な水であるように選択される。
【0042】
本発明の化合物は、上記で記述した一般的な調製方法に準じて調製することができる。それにもかかわらず、当業者が、自分の一般的な知識及び利用可能な刊行物に基づいて、合成することが望まれる化合物のそれぞれの特性に応じて該方法を適合させることができるということは理解されるであろう。
【0043】
当業者は、自分の一般的な知識及び利用可能な刊行物に基づいて、本発明の一般式(V)で表される中間体化合物を調製することもできる。
【0044】
一般式(I)で表される化合物を調製するための中間体として使用される一般式(II)の化合物は、新規である。従って、本発明は、さらに、一般式(I)で表される化合物を調製するのに有用な新規中間体化合物にも関する。かくして、本発明により、一般式(II):
【0045】
【化21】

[式中、X、n、R、R、R、R及びRは、上記で定義されているとおりである]
で表される化合物が提供される。
【0046】
一般式(I)で表される化合物を調製するための中間体として使用される一般式(V)の化合物は、新規である。従って、本発明は、さらに、一般式(I)で表される化合物を調製するのに有用な新規中間体化合物にも関する。かくして、本発明により、一般式(V):
【0047】
【化22】

[式中、X、n、R及びRは、上記で定義されているとおりである]
で表される化合物が提供される。
【0048】
本発明は、さらに、有効量の一般式(I)で表される活性物質を含んでいる殺菌剤組成物にも関する。かくして、本発明により、活性成分としての有効量の上記で定義されている一般式(I)の化合物、及び、農業上許容される支持体、担体又は増量剤を含んでいる殺菌剤組成物が提供される。
【0049】
本明細書において、用語「支持体(support)」は、該活性物質と組み合わせて、特に植物の一部分に対して、より容易に施用できるようにする、天然又は合成の有機物質又は無機物質を意味する。このような支持体は、従って、一般に不活性であり、また、農業上許容されるものであるべきである。支持体は、固体であってもよいし、又は、液体であってもよい。適切な支持体の例としては、クレー、天然又は合成のシリケート、シリカ、樹脂、蝋、固形肥料、水、アルコール(特に、ブタノール)、有機溶媒、鉱油及び植物油、並びに、それらの誘導体などを挙げることができる。このような支持体の混合物を使用することもできる。
【0050】
上記組成物は、さらにまた、付加的な成分も含有することができる。特に、該組成物は、さらに、界面活性剤を含有することができる。該界面活性剤は、イオン性若しくは非イオン性のタイプの乳化剤、分散剤若しくは湿潤剤であることが可能であるか、又は、そのような界面活性剤の混合物であることが可能である。例えば、以下のものを挙げることができる:ポリアクリル酸塩、リグノスルホン酸塩、フェノールスルホン酸塩若しくはナフタレンスルホン酸塩、エチレンオキシドと脂肪アルコールの重縮合物、エチレンオキシドと脂肪酸の重縮合物若しくはエチレンオキシドと脂肪アミンの重縮合物、置換されているフェノール(特に、アルキルフェノール又はアリールフェノール)、スルホコハク酸エステルの塩、タウリン誘導体(特に、アルキルタウレート)、ポリオキシエチル化アルコールのリン酸エステル若しくはポリオキシエチル化フェノールのリン酸エステル、ポリオールの脂肪酸エステル、並びに、硫酸官能基、スルホン酸官能基及びリン酸官能基を含んでいる上記化合物の誘導体。該活性物質及び/又は該不活性支持体が水不溶性である場合、及び、施用のための媒介物(vector agent)が水である場合、一般に、少なくとも1種類の界面活性剤を存在させることが必要である。好ましくは、界面活性剤の含有量は、該組成物の5〜40重量%であり得る。
【0051】
場合により、さらなる成分、例えば、保護コロイド、粘着剤、増粘剤、揺変剤、浸透剤、安定化剤、金属イオン封鎖剤などを含ませることもできる。さらに一般的には、該活性物質は、通常の製剤技術に従う固体又は液体の任意の添加剤と組み合わせることが可能である。
【0052】
一般に、本発明の組成物は、0.05〜99%(重量基準)の活性物質、好ましくは、10〜70重量%の活性物質を含有することができる。
【0053】
本発明の組成物は、エーロゾルディスペンサー、カプセル懸濁液剤、冷煙霧濃厚剤(cold fogging concentrate)、散粉性粉剤、乳剤、水中油型エマルション剤、油中水型エマルション剤、カプセル化粒剤、細粒剤、種子処理用フロアブル剤、ガス剤(加圧下)、ガス生成剤(gas generating product)、粒剤、温煙霧濃厚剤(hot fogging concentrate)、大型粒剤、微粒剤、油分散性粉剤、油混和性フロアブル剤、油混和性液剤、ペースト剤、植物用棒状剤(plant rodlet)、乾燥種子処理用粉剤、農薬粉衣種子、可溶性濃厚剤(soluble concentrate)、可溶性粉剤、種子処理用溶液剤、懸濁液剤(フロアブル剤)、微量散布用液剤(ultra low volume (ulv) liquid)、微量散布用懸濁液剤(ultra low volume (ulv) suspension)、顆粒水和剤、水分散性錠剤、泥水処理用水和剤、水溶性顆粒剤、水溶性錠剤、種子処理用水溶性粉剤及び水和剤などのような、さまざまな形態で使用することが可能である。
【0054】
これらの組成物には、処理対象の植物又は種子に対して噴霧装置又は散粉装置のような適切な装置により施用される状態にある組成物のみではなく、作物に対して施用する前に希釈することが必要な商業的な濃厚組成物も包含される。
【0055】
さらにまた、本発明の化合物は、1種類以上の殺虫剤、殺菌剤、殺細菌剤、誘引性殺ダニ剤若しくはフェロモン、又は、生物学的活性を有する別の化合物と混合することもできる。そのようにして得られた混合物は、拡大された活性スペクトルを有する。別の殺菌剤との混合物が特に有利である。
【0056】
適切な混合相手殺菌剤の例は、以下のリストの中で選択し得る:
(B1) 核酸合成を阻害し得る化合物、例えば、ベナラキシル、ベナラキシル−M、ブピリメート、キララキシル(chiralaxyl)、クロジラコン、ジメチリモール、エチリモール、フララキシル、ヒメキサゾール、メタラキシル−M、オフラセ、オキサジキシル、オキソリン酸;
(B2) 有糸分裂及び細胞分裂を阻害し得る化合物、例えば、ベノミル、カルベンダジム、ジエトフェンカルブ、フベリダゾール、ペンシクロン、チアベンダゾール、チオファネート−メチル、ゾキサミド;
(B3) 呼吸を阻害し得る化合物、例えば、
CI−呼吸阻害薬、例えば、ジフルメトリム;
CII−呼吸阻害薬、例えば、ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フルトラニル、フラメトピル、メプロニル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、チフルザミド;
CIII−呼吸阻害薬、例えば、アゾキシストロビン、シアゾファミド、ジモキシストロビン、エネストロビン(enestrobin)、ファモキサドン、フェンアミドン、フルオキサストロビン、クレソキシム−メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピラクロストロビン、ピコキシストロビン、トリフロキシストロビン;
(B4) 脱共役剤として作用し得る化合物、例えば、ジノカップ、フルアジナム;
(B5) ATP産生を阻害し得る化合物、例えば、酢酸トリフェニルスズ、塩化トリフェニルスズ、水酸化トリフェニルスズ、シルチオファム;
(B6) AA及びタンパク質の生合成を阻害し得る化合物、例えば、アンドプリム(andoprim)、ブラストサイジン−S、シプロジニル、カスガマイシン、カスガマイシン塩酸塩水和物、メパニピリム、ピリメタニル;
(B7) シグナル伝達を阻害し得る化合物、例えば、フェンピクロニル、フルジオキソニル、キノキシフェン;
(B8) 脂質及び膜の合成を阻害し得る化合物、例えば、クロゾリネート、イプロジオン、プロシミドン、ビンクロゾリン、ピラゾホス、エジフェンホス、イプロベンホス(IBP)、イソプロチオラン、トルクロホス−メチル、ビフェニル、ヨードカルブ(iodocarb)、プロパモカルブ、プロパモカルブ塩酸塩;
(B9) エルゴステロールの生合成を阻害し得る化合物、例えば、フェンヘキサミド、アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロブトラゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾール−M、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、フルコナゾール、フルコナゾール−シス、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、パクロブトラゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾール、ウニコナゾール、ボリコナゾール、イマザリル、硫酸イマザリル、オキシポコナゾール、フェナリモール、フルルプリミドール、ヌアリモール、ピリフェノックス、トリホリン、ペフラゾエート、プロクロラズ、トリフルミゾール、ビニコナゾール、アルジモルフ、ドデモルフ、酢酸ドデモルフ、フェンプロピモルフ、トリデモルフ、フェンプロピジン、スピロキサミン、ナフチフィン、ピリブチカルブ、テルビナフィン;
(B10) 細胞壁の合成を阻害し得る化合物、例えば、ベンチアバリカルブ、ビアラホス、ジメトモルフ、フルモルフ(flumorph)、イプロバリカルブ、ポリオキシン、ポリオキソリム、バリダマイシンA;
(B11) メラニンの生合成を阻害し得る化合物、例えば、カルプロパミド、ジクロシメット、フェノキサニル、フタリド(phtalide)、ピロキロン、トリシクラゾール;
(B12) 宿主の防御を誘発し得る化合物、例えば、アシベンゾラル−S−メチル、プロベナゾール、チアジニル;
(B13) 多部位に作用し得る化合物、例えば、キャプタホール、キャプタン、クロロタロニル、銅剤、例えば、水酸化銅、ナフテン酸銅、塩基性塩化銅、硫酸銅、酸化銅、オキシン銅及びボルドー液、ジクロフルアニド、ジチアノン、ドジン、ドジン遊離塩基、ファーバム、フルオロホルペット、ホルペット、グアザチン、酢酸グアザチン、イミノクタジン、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン三酢酸塩、マンカッパー、マンゼブ、マンネブ、メチラム、メチラム亜鉛(metiram zinc)、プロピネブ、硫黄及び硫黄剤、例えば、多硫化カルシウム、チウラム、トリルフルアニド、ジネブ、ジラム;
(B14) 以下のリストから選択される化合物:アミブロムドール(amibromdole)、ベンチアゾール、ベトキサジン(bethoxazin)、カプシマイシン(capsimycin)、カルボン、キノメチオネート、クロロピクリン、クフラネブ、シフルフェナミド、シモキサニル、ダゾメット、デバカルブ(debacarb)、ジクロメジン、ジクロロフェン、ジクロラン、ジフェンゾコート、ジフェンゾコートメチル硫酸塩、ジフェニルアミン、エタボキサム、フェリムゾン、フルメトベル、フルスルファミド、ホセチル−アルミニウム、ホセチル−カルシウム、ホセチル−ナトリウム、フルオピコリド、フルオルイミド、ヘキサクロロベンゼン、8−ヒドロキシキノリン硫酸、イルママイシン、メタスルホカルブ、メトラフェノン、メチルイソチオシアネート、ミルディオマイシン、ナタマイシン、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、ニトロタル−イソプロピル、オクチリノン、オキサモカルブ(oxamocarb)、オキシフェンチイン(oxyfenthiin)、ペンタクロロフェノール及び塩、2−フェニルフェノール及び塩、亜リン酸及びその塩、ピペラリン(piperalin)、プロパノシン−ナトリウム(propanosine−sodium)、プロキナジド、ピロールニトリン、キントゼン、テクロフタラム、テクナゼン、トリアゾキシド、トリクラミド、ザリラミド、並びに、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)−ピリジン、N−(4−クロロ−2−ニトロフェニル)−N−エチル−4−メチル−ベンゼンスルホンアミド、2−アミノ−4−メチル−N−フェニル−5−チアゾールカルボキサミド、2−クロロ−N−(2,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−1H−インデン−4−イル)−3−ピリジンカルボキサミド、3−[5−(4−クロロフェニル)−2,3−ジメチルイソオキサゾリジン−3−イル]ピリジン、シス−1−(4−クロロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−シクロヘプタノール、1−(2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−1H−インデン−1−イル)−1H−イミダゾール−5−カルボン酸メチル、3,4,5−トリクロロ−2,6−ピリジンジカルボニトリル、2−[[[シクロプロピル[(4−メトキシフェニル)イミノ]メチル]チオ]メチル]−α−(メトキシメチレン)−ベンゼン酢酸メチル、4−クロロ−α−プロピニルオキシ−N−[2−[3−メトキシ−4−(2−プロピニルオキシ)フェニル]エチル]−ベンゼンアセトアミド、(2S)−N−[2−[4−[[3−(4−クロロフェニル)−2−プロピニル]オキシ]−3−メトキシフェニル]エチル]−3−メチル−2−[(メチルスルホニル)アミノ]−ブタンアミド、5−クロロ−7−(4−メチルピペリジン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、5−クロロ−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−N−[(1R)−1,2,2−トリメチルプロピル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、5−クロロ−N−[(1R)−1,2−ジメチルプロピル]−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、N−[1−(5−ブロモ−3−クロロピリジン−2−イル)エチル]−2,4−ジクロロニコチンアミド、N−(5−ブロモ−3−クロロピリジン−2−イル)メチル−2,4−ジクロロニコチンアミド、2−ブトキシ−6−ヨード−3−プロピル−ベンゾピラノン−4−オン、N−{(Z)−[(シクロプロピルメトキシ)イミノ][6−(ジフルオロメトキシ)−2,3−ジフルオロフェニル]メチル}−2−フェニルアセトアミド、N−(3−エチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキシル)−3−ホルミルアミノ−2−ヒドロキシ−ベンズアミド、2−[[[[1−[3(1フルオロ−2−フェニルエチル)オキシ]フェニル]エチリデン]アミノ]オキシ]メチル]−α−(メトキシイミノ)−N−メチル−αE−ベンゼンアセトアミド、N−{2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]エチル}−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド、N−(3’,4’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、2−(2−{[6−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−5−フルオロピリミジン−4−イル]オキシ}フェニル)−2−(メトキシイミノ)−N−メチルアセトアミド、1−[(4−メトキシフェノキシ)メチル]−2,2−ジメチルプロピル−1H−イミダゾール−1−カルボン酸、O−[1−[(4−メトキシフェノキシ)メチル]−2,2−ジメチルプロピル]−1H−イミダゾール−1−カルボチオ酸。
【0057】
式(I)で表される化合物と殺細菌性化合物の混合物を含んでいる本発明の組成物も、特に有利であり;。適切な混合相手殺細菌剤の例は、以下のリストの中で選択し得る:
ブロノポール、ジクロロフェン、ニトラピリン、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、カスガマイシン、オクチリノン、フランカルボン酸、オキシテトラサイクリン、プロベナゾール、ストレプトマイシン、テクロフタラム、硫酸銅及び他の銅剤。
【0058】
本発明の殺菌剤組成物を使用して、作物の植物病原性菌類を治療的又は予防的に防除することができる。かくして、本発明のさらに別の態様により、作物の植物病原性菌類を治療的又は予防的に防除する方法が提供され、ここで、該方法は、上記で定義した殺菌剤組成物を、種子、植物及び/若しくは植物の果実に施用するか、又は、植物が成育している土壌若しくは植物を栽培するのが望ましい土壌に施用することを特徴とする。
【0059】
作物の植物病原性菌類に対して使用する該組成物は、有効で且つ植物に対して毒性を示さない量の一般式(I)で表される活性物質を含有している。
【0060】
「有効で且つ植物に対して毒性を示さない量」という表現は、作物上に存在しているか又はおそらく出現するであろう菌類を防除又は駆除するのに充分で、且つ、該作物について植物毒性の感知可能などのような症状も引き起こすことのない、本発明組成物の量を意味する。そのような量は、防除対象の菌類、作物のタイプ、気候条件、及び、本発明の殺菌剤組成物に含まれている化合物に応じて、広い範囲で変動し得る。
【0061】
そのような量は、当業者が実行可能な範囲内にある体系的な圃場試験により決定することが可能である。
【0062】
本発明による処置方法は、塊茎又は根茎のような繁殖材料を処置するのに有効であるのみではなく、種子、実生又は移植実生(seedlings pricking out)及び植物又は移植植物(plants pricking out)を処置するのにも有効である。この処置方法は、根を処置するのにも有効であり得る。本発明による処置方法は、関係している植物の樹幹、茎又は柄、葉、花及び果実のような植物の地上部を処置するのにも有効であり得る。
【0063】
本発明の方法で保護可能な植物の中で、以下のものを挙げることができる:ワタ;アマ;ブドウ;果実作物又は野菜作物、例えば、Rosaceae sp.(例えば、種子果(pip fruit)、例えば、リンゴ及びナシ、さらに、石果、例えば、アンズ、アーモンド及びモモ)、 Ribesioidae sp.、 Juglandaceae sp.、 Betulaceae sp.、 Anacardiaceae sp.、 Fagaceae sp.、 Moraceae sp.、 Oleaceae sp.、 Actinidaceae sp.、 Lauraceae sp.、 Musaceae sp.(例えば、バナナの木及びプランタン)、 Rubiaceae sp.、 Theaceae sp.、 Sterculiceae sp.、 Rutaceae sp.(例えば、レモン、オレンジ及びグレープフルーツ); Solanaceae sp.(例えば、トマト)、 Liliaceae sp.、 Asteraceae sp.(例えば、レタス)、 Umbelliferae sp.、 Cruciferae sp.、 Chenopodiaceae sp.、 Cucurbitaceae sp.、 Papilionaceae sp.(例えば、エンドウ)、 Rosaceae sp.(例えば、イチゴ); 主要作物、例えば、Graminae sp.(例えば、トウモロコシ、芝生、又は、禾穀類、例えば、コムギ、イネ、オオムギ及びライコムギ)、 Asteraceae sp.(例えば、ヒマワリ)、 Cruciferae sp.(例えば、ナタネ)、Fabacae sp.(例えば、ピーナッツ)、 Papilionaceae sp.(例えば、ダイズ)、 Solanaceae sp.(例えば、ジャガイモ)、 Chenopodiaceae sp.(例えば、ビートルート(beetroot)); 園芸作物及び森林作物(forest crops);さらに、これら作物の遺伝的に修飾された相同物。
【0064】
本発明の方法で防除可能な植物又は作物の病害の中で、以下のものを挙げることができる:
・ うどんこ病(powdery mildew disease)、例えば、
Blumeria 病、例えば、Blumeria graminis に起因するもの;
Podosphaera 病、例えば、Podosphaera leucotricha に起因するもの;
Sphaerotheca 病、例えば、Sphaerotheca fuliginea に起因するもの;
Uncinula 病、例えば、Uncinula necator に起因するもの;
・ さび病(rust disease)、例えば、
Gymnosporangium 病、例えば、Gymnosporangium sabinae に起因するもの;
Hemileia 病、例えば、Hemileia vastatrix に起因するもの;
Phakopsora 病、例えば、Phakopsora pachyrhizi 又は Phakopsora meibomiae に起因するもの;
Puccinia 病、例えば、Puccinia recondita に起因するもの;
Uromyces 病、例えば、Uromyces appendiculatus に起因するもの;
・ 卵菌類による病害(Oomycete disease)、例えば、
Bremia 病、例えば、Bremia lactucae に起因するもの;
Peronospora 病、例えば、Peronospora pisi 又は P. brassicae に起因するもの;
Phytophthora 病、例えば、Phytophthora infestans に起因するもの;
Plasmopara 病、例えば、Plasmopara viticola に起因するもの;
Pseudoperonospora 病、例えば、Pseudoperonospora humuli 又は Pseudoperonospora cubensis に起因するもの;
Pythium 病、例えば、Pythium ultimum に起因するもの;
・ 葉斑点性、葉汚斑性及び葉枯れ性の病害(leafspot, leaf blotch and leaf blight disease)、例えば、
Alternaria 病、例えば、Alternaria solani に起因するもの;
Cercospora 病、例えば、Cercospora beticola に起因するもの;
Cladiosporum 病、例えば、Cladiosporium cucumerinum に起因するもの;
Cochliobolus 病、例えば、Cochliobolus sativus に起因するもの;
Colletotrichum 病、例えば、Colletotrichum lindemuthanium に起因するもの;
Cycloconium 病、例えば、Cycloconium oleaginum に起因するもの;
Diaporthe 病、例えば、Diaporthe citri に起因するもの;
Elsinoe 病、例えば、Elsinoe fawcettii に起因するもの;
Gloeosporium 病、例えば、Gloeosporium laeticolor に起因するもの;
Glomerella 病、例えば、Glomerella cingulata に起因するもの;
Guignardia 病、例えば、Guignardia bidwelli に起因するもの;
Leptosphaeria 病、例えば、Leptosphaeria maculans 又は Leptosphaeria nodorum に起因するもの;
Magnaporthe 病、例えば、Magnaporthe grisea に起因するもの;
Mycosphaerella 病、例えば、Mycosphaerella graminicolaMycosphaerella arachidicola 又は Mycosphaerella fijiensis に起因するもの;
Phaeosphaeria 病、例えば、Phaeosphaeria nodorum に起因するもの;
Pyrenophora 病、例えば、Pyrenophora teres に起因するもの;
Ramularia 病、例えば、Ramularia collo−cygni に起因するもの;
Rhynchosporium 病、例えば、Rhynchosporium secalis に起因するもの;
Septoria 病、例えば、Septoria apii 又は Septoria lycopercisi に起因するもの;
Typhula 病、例えば、Typhula incarnata に起因するもの;
Venturia 病、例えば、Venturia inaequalis に起因するもの;
・ 根及び茎の病害(root and stem disease)、例えば、
Corticium 病、例えば、Corticium graminearum に起因するもの;
Fusarium 病、例えば、Fusarium oxysporum に起因するもの;
Gaeumannomyces 病、例えば、Gaeumannomyces graminis に起因するもの;
Rhizoctonia 病、例えば、Rhizoctonia solani に起因するもの;
Tapesia 病、例えば、Tapesia acuformis に起因するもの;
Thielaviopsis 病、例えば、Thielaviopsis basicola に起因するもの;
・ 穂の病害(ear and panicle disease)、例えば、
Alternaria 病、例えば、Alternaria spp. に起因するもの;
Aspergillus 病、例えば、Aspergillus flavus に起因するもの;
Cladosporium 病、例えば、Cladosporium spp. に起因するもの;
Claviceps 病、例えば、Claviceps purpurea に起因するもの;
Fusarium 病、例えば、Fusarium culmorum に起因するもの;
Gibberella 病、例えば、Gibberella zeae に起因するもの;
Monographella 病、例えば、Monographella nivalis に起因するもの;
・ 黒穂病(smut and bunt disease)、例えば、
Sphacelotheca 病、例えば、Sphacelotheca reiliana に起因するもの;
Tilletia 病、例えば、Tilletia caries に起因するもの;
Urocystis 病、例えば、Urocystis occulta に起因するもの;
Ustilago 病、例えば、Ustilago nuda に起因するもの;
・ 果実の腐敗性及び黴性の病害(fruit rot and mould disease)、例えば、
Aspergillus 病、例えば、Aspergillus flavus に起因するもの;
Botrytis 病、例えば、Botrytis cinerea に起因するもの;
Penicillium 病、例えば、Penicillium expansum に起因するもの;
Sclerotinia 病、例えば、Sclerotinia sclerotiorum に起因するもの;
Verticilium 病、例えば、 Verticilium alboatrum に起因するもの;
・ 種子及び土壌性の腐朽性、黴性、萎凋性、腐敗性及び苗立ち枯れ性の病害(seed and soilborne decay, mould, wilt, rot and damping−off disease)、
Fusarium 病、例えば、Fusarium culmorum に起因するもの;
Phytophthora 病、例えば、Phytophthora cactorum に起因するもの;
Pythium 病、例えば、Pythium ultimum に起因するもの;
Rhizoctonia 病、例えば、Rhizoctonia solani に起因するもの;
Sclerotium 病、例えば、Sclerotium rolfsii に起因するもの;
Microdochium 病、例えば、Microdochium nivale に起因するもの;
・ 腐乱性病害、開花病及び枯れ込み性病害(canker, broom and dieback disease)、例えば、
Nectria 病、例えば、Nectria galligena に起因するもの;
・ 枯損性病害(blight disease)、例えば、
Monilinia 病、例えば、Monilinia laxa に起因するもの;
・ 葉水泡性病害又は縮葉病(leaf blister or leaf curl disease)、例えば、
Taphrina 病、例えば、Taphrina deformans に起因するもの;
・ 木本植物の衰退性病害(decline disease of wooden plant)、例えば、
Esca 病、例えば、Phaemoniella clamydospora に起因するもの;
・ 花及び種子の病害、例えば、
Botrytis 病、例えば、Botrytis cinerea に起因するもの;
・ 塊茎の病害、例えば、
Rhizoctonia 病、例えば、Rhizoctonia solani に起因するもの。
【0065】
本発明の殺菌剤組成物は、材木の表面又は内部で発生するであろう菌類病に対しても使用することができる。用語「材木」は、全ての種類の木、そのような木を建築用に加工した全てのタイプのもの、例えば、ソリッドウッド、高密度木材、積層木材及び合板などを意味する。本発明による材木の処理方法は、主に、本発明の1種類以上の化合物又は本発明の組成物を接触させることにより行う。これには、例えば、直接的な塗布、噴霧、浸漬、注入、又は、別の適切な任意の方法が包含される。
【0066】
本発明の処置において通常施用される活性物質の薬量は、茎葉処理における施用では、一般に、また、有利には、10〜800g/ha、好ましくは、50〜300g/haである。種子処理の場合は、活性物質の施用薬量は、一般に、また、有利には、種子100kg当たり2〜200g、好ましくは、種子100kg当たり3〜150gである。上記で示されている薬量が本発明を例証するための例として挙げられていることは、明確に理解される。当業者は、処理対象の作物の種類に基づいて、該施用薬量を適合させる方法を理解するであろう。
【0067】
さらにまた、本発明の殺菌剤組成物は、遺伝的に修飾されている生物の本発明化合物又は本発明農薬組成物による処理においても使用することができる。遺伝的に修飾されている植物は、興味深いタンパク質をコードする異種の遺伝子がゲノムに安定的に組み込まれている植物である。「興味深いタンパク質をコードする異種の遺伝子(heterologous gene encoding a protein of interest)」という表現は、本質的に、形質転換された植物に新しい農業的特性を付与する遺伝子を意味するか、又は、形質転換された植物の農業的特性を改善するための遺伝子を意味する。
【0068】
さらにまた、本発明の組成物は、例えば、真菌症、皮膚病、白癬菌性疾患(trichophyton disease)及びカンジダ症、又は、Aspergillus spp.(例えば、Aspergillus fumigatus)に起因する疾患のようなヒト及び動物の菌類病を治療的又は予防的に処置するのに有用な組成物を調製するのに使用することもできる。
【実施例】
【0069】
本発明の態様について、化合物についての下記表及び下記実施例を参照して説明する。以下の表は、本発明の殺菌性化合物の例について非限定的に例証している。下記実施例において、「M+1」(又は、「M−1」)は、それぞれ、質量分析において観察された分子イオンピークプラス1a.m.u.(原子質量単位)又はマイナス1a.m.u.(原子質量単位)を意味し、M(ApcI+)は、質量分析におけるポジティブ大気圧化学イオン化法で見いだされた分子イオンピークを意味する。
【0070】
【表1】

【0071】
一般式(I)で表される化合物の調製方法についての実施例
N−[2−(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ピリジニル)エチル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(化合物4)の合成
2−(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ピリジニル)エチルカルバミン酸t−ブチルの合成
2−(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ピリジニル)アセトニトリル(26.0mmol,4.59g)、ジ−t−ブチルカルボネート(53.0mmol,11.53g)及び塩化ニッケル6水和物(26.0mmol,6.28g)を、0℃のメタノール(50ml)に添加する。その反応混合物に、水素化ホウ素ナトリウム(79.0mmol,2.99g)を少量ずつ加える。
【0072】
その反応混合物を室温とし、2時間撹拌する。セライトのパッドで濾過し、減圧下に濃縮した後、得られた粗物質に100mLの酢酸エチルを添加し、100mLの水で2回洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮する。
【0073】
得られた粗物質を、シリカ(酢酸エチル/ヘプタン=80/20)で精製して、2.70g(35%)の2−(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ピリジニル)エチルカルバミン酸t−ブチルを得る。
質量スペクトル:[M+1]=295。
【0074】
2−(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ピリジニル)エタンアミンの合成
2−(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ピリジニル)エチルカルバミン酸t−ブチル(9.52mmol,2.80g)を20mLのジクロロメタンに溶解させる。室温でトリフルオロ酢酸(33mmol,38.0g)を添加する。室温で一晩撹拌した後、反応混合物を減圧下に濃縮する。そのpHを水酸化ナトリウム(30%)で12に調節し、酢酸エチル(30mL)で2回抽出する。
【0075】
有機相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮して、390mgの本質的に純粋な2−(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ピリジニル)エタンアミン(27%)を得る。
H NMR CDCl:δ(ppm):2.90(4H,m);2.60(2H,m)。
【0076】
N−[2−(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ピリジニル)エチル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(化合物4)の合成
2−(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ピリジニル)エタンアミン(3.35mmol,65mg)、2−トリフルオロメチルベンゾイルクロリド(3.35mmol,69mg)及び炭酸カリウム(3.35mmol,46mg)を、アセトニトリル(3mL)中で、室温で一晩撹拌する。
【0077】
濾過し、減圧下に濃縮した後、得られた粗物質を、シリカ(酢酸エチル/ヘプタン=3/7)で精製して、84mg(63%)のN−[2−(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ピリジニル)エチル]−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(化合物4)を得る。
質量スペクトル:[M+1]=367。
【0078】
一般式(I)で表される化合物の生物学的活性についての実施例
実施例A: Alternaria brassicae(アブラナ科の植物の斑点病(leaf spot))に対するインビボ試験
被験活性成分を、ポッター均質化(potter homogenisation)により100g/Lの濃厚懸濁液型製剤として調製する。次いで、この懸濁液を水で希釈して、所望の活性物質濃度とする。
【0079】
50/50の泥炭土−ポゾランの底土に播種し、18〜20℃で生育させたスターターカップ(starter cup)内のハツカダイコン植物(品種 Pernot)を、子葉期で、上記水性懸濁液を噴霧することにより処理する。
【0080】
対照として使用する植物は、活性物質を含んでいない水溶液で処理する。
【0081】
24時間経過した後、Alternaria brassicaeの胞子の水性懸濁液(1cm当たり40,000胞子)を噴霧することにより、該植物を汚染する。その胞子は、12〜13日間培養したものから採取する。
【0082】
汚染されたハツカダイコン植物を、湿潤雰囲気下、約18℃で、6〜7日間インキュベートする。
【0083】
上記汚染から6〜7日間経過した後、対照植物と比較して、等級付けを行う。
【0084】
これらの条件下、以下の化合物を330ppmの薬量で用いて、良好な保護(少なくとも50%)又は完全な保護が観察される:化合物1、化合物2、化合物3及び化合物4。
【0085】
実施例B: Botrytis cinerea(キュウリの灰色かび病)に対するインビボ試験
被験活性成分を、ポッター均質化により100g/Lの濃厚懸濁液型製剤として調製する。次いで、この懸濁液を水で希釈して、所望の活性物質濃度とする。
【0086】
50/50の泥炭土−ポゾランの底土に播種し、18〜20℃で生育させたスターターカップ内のキュウリ植物(品種 Marketer)を、子葉Z11期で、上記水性懸濁液を噴霧することにより処理する。対照として使用する植物は、活性物質を含んでいない水溶液で処理する。
【0087】
24時間経過した後、Botrytis cinereaの胞子の水性懸濁液(1mL当たり150,000胞子)の滴を葉の上面にデポジットさせることにより、該植物を汚染する。その胞子は、15日間培養したものから採取し、
・ 20g/Lのゼラチン
・ 50g/Lのショ糖
・ 2g/LのNHNO
・ 1g/LのKHPO
から構成される栄養溶液に懸濁させる。
【0088】
汚染されたキュウリ植物を、5/7日間、15/11℃(昼/夜)で相対湿度80%の人工気象室内に静置する。
【0089】
上記汚染から5/7日間経過した後、対照植物と比較して、等級付けを行う。これらの条件下、以下の化合物を330ppmの薬量で用いて、良好な保護(少なくとも50%)又は完全な保護が観察される:化合物3。
【0090】
実施例C: Pyrenophora teres(オオムギの網斑病)に対するインビボ試験
被験活性成分を、ポッター均質化により100g/Lの濃厚懸濁液型製剤として調製する。次いで、この懸濁液を水で希釈して、所望の活性物質濃度とする。
【0091】
50/50の泥炭土−ポゾランの底土に播種し、12℃で生育させたスターターカップ内のオオムギ植物(品種 Express)を、1葉期(草丈10cm)で、上記水性懸濁液を噴霧することにより処理する。対照として使用する植物は、活性物質を含んでいない水溶液で処理する。
【0092】
24時間経過した後、Pyrenophora teresの胞子の水性懸濁液(1mL当たり12,000胞子)を噴霧することにより、該植物を汚染する。その胞子は、12日間培養したものから採取する。汚染されたオオムギ植物を、約20℃、相対湿度100%で24時間インキュベートし、次いで、相対湿度80%で12日間インキュベートする。
【0093】
上記汚染から12日間経過した後、対照植物と比較して、等級付けを行う。これらの条件下、以下の化合物を330ppmの薬量で用いて、良好な保護(少なくとも50%)又は完全な保護が観察される:化合物3及び化合物4。
【0094】
特許出願W001/11965により開示されたN−{1−メチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−4−フェニルベンズアミド(表Dの化合物316を参照されたい)は、330ppmで、Alternaria brassicaeに対して不充分な効果しか示さず、また、Botrytis cinereaに対しては全く効果を示さなかった。同様に、特許出願WO01/11965により開示されたN−{1−エチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−3−ニトロベンズアミド(表Dの化合物307を参照されたい)も、330ppmで、Alternaria brassicaeに対して不充分な効果しか示さず、また、Botrytis cinereaに対しては全く効果を示さなかった。同様に、特許出願WO01/11965により開示されたN−{1−エチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−ベンズアミド及びN−{1−メチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−ベンズアミド(表Dの化合物304及び化合物314を参照されたい)も、330ppmで、Botrytis cinereaに対して全く効果を示さなかった。同様に、特許出願WO01/11965により開示されたN−{1−エチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−4−クロロベンズアミド、N−{1−エチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−2−ブロモベンズアミド及びN−{1−メチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−4−メトキシベンズアミド(表Dの化合物306、化合物310及び化合物315を参照されたい)も、330ppmで、Botrytis cinereaに対して全く効果を示さなかった。
【0095】
特許出願WO01/11965により開示されたN−{[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]メチル}−5−チエニルアセトアミド(表Bの化合物101を参照されたい)は、330ppmで、Alternaria brassicaeに対して不充分な効果しか示さず、また、Botrytis cinerea及びPeronospora parasiticaに対しては全く効果を示さなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物:
【化1】

[式中、
・ nは、1、2、3又は4であり;
・ Xは、同一であるか又は異なっていて、及びハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ペンタフルオロ−λ−スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、カルバメート基、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル基、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルケニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルキルカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルカルバモイル、ジ−C−C−アルキルカルバモイル、(N−C−C−アルキル)オキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルバモイル、(N−C−C−アルキル)−C−C−アルコキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルカルボニルアミノ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、C−C−アルキルオキシカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニル、C−C−アルコキシイミノ、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルケニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルキニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(ベンジルオキシイミノ)−C−C−アルキル、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル又はフェニルアミノであり;
・ R及びRは、同一であるか又は異なっていて、及び水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、カルバメート基、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル基、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルケニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルキルカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルカルバモイル、ジ−C−C−アルキルカルバモイル、N−C−C−アルキルオキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルバモイル、N−C−C−アルキル−C−C−アルコキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルカルボニルアミノ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、C−C−アルキルオキシカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニル、ベンジル、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルスルフィニル、ベンジルスルホニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル、フェニルスルフィニル、フェニルスルホニル、フェニルアミノ、フェニルカルボニルアミノ、2,6−ジクロロフェニル−カルボニルアミノ基若しくはフェニル基であり;
又は、
とRは、一緒になって、3員、4員、5員若しくは6員の炭素環を形成していてもよく;
・ R及びRは、同一であるか又は異なっていて、及び水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、カルバメート基、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル基、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルケニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルキルカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルカルバモイル、ジ−C−C−アルキルカルバモイル、N−C−C−アルキルオキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルバモイル、N−C−C−アルキル−C−C−アルコキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルカルボニルアミノ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、C−C−アルキルオキシカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニル、ベンジル、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルスルフィニル、ベンジルスルホニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル、フェニルスルフィニル、フェニルスルホニル、フェニルアミノ、フェニルカルボニルアミノ、2,6−ジクロロフェニル−カルボニルアミノ基若しくはフェニル基であり;
又は、
とRは、一緒になって、3員、4員、5員若しくは6員の炭素環を形成していてもよく;
・ Rは、水素原子又はC−C−シクロアルキルであり;
・ pは、1、2、3、4又は5であり;
及び
・ Yは、同一であるか又は異なっていて、及び水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ペンタフルオロ−λ−スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルボキシ基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルケニル、C−C−アルキルスルファニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルコキシカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニル又はC−C−アルキルスルホンアミドである]
並びに、その塩、N−オキシド、金属錯体、メタロイド錯体及び光学活性異性体。
【請求項2】
nが1又は2であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが、ハロゲン原子、シアノ基、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、C−C−アルコキシイミノ又はC−C−アルキルであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
pが1又は2であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
Yが、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
フェニル部分が、オルト位においてYで置換されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
及びRが、互いに独立して、水素原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであるように選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
及びRが、互いに独立して、水素原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであるように選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかで定義されている一般式(I)で表される化合物を調製する方法であって、一般式(II):
【化2】

[式中、X、n、R、R、R、R及びRは、請求項1で定義されているとおりである]
で表される4−ピリジン誘導体又はその塩のうちの1種類を、一般式(III):
【化3】

[式中、Lは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、−OR又は−OCORであるように選択される脱離基であり、Rは、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル、ペンタフルオロフェニル、又は、式:
【化4】

で表される基である]
で表されるカルボン酸誘導体と、触媒の存在下で、また、Lがヒドロキシル基である場合は、縮合剤の存在下で、反応させることを含む、前記方法。
【請求項10】
が水素原子であり、且つ、調製方法が、一般式(Ia)で表される化合物を一般式(IV)で表される化合物と反応させて一般式(I)で表される化合物を生成させることを含む以下の反応スキーム:
【化5】

[ここで、
・ R、R、R、R、X及びnは、請求項1で定義されているとおりであり;
・ R5aは、C−C−シクロアルキルであり;
・ Lは、ハロゲン原子、4−メチルフェニルスルホニルオキシ又はメチルスルホニルオキシであり;ように選択される脱離基である]
に従うさらなるステップにより完結されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
一般式(Ia):
【化6】

[式中、R、R、X、Y、n及びpは、請求項1で定義されているとおりである]
で表される化合物を調製する方法であって、
【化7】

[ここで、
・ R、R、X、Y、n及びpは、請求項1で定義されているとおりであり;
・ Lは、−OCORであるように選択される脱離基であり、Rは、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル、あるいはペンタフルオロフェニル、−OCHO、−SCSN(Me)又は式:
【化8】

で表される基である]
0℃ないし150℃の温度、1バールないし100バールの圧力下で、触媒の存在下及び一般式(VIII)で表される化合物の存在下で、一般式(V)で表される化合物を水素化又は水素化物により還元して一般式(Ia)で表される化合物を生成させることを含む、前記方法。
【請求項12】
一般式(II)の化合物
【化9】

[式中、X、n、R、R、R、R及びRは、請求項1におけるのと同様である]。
【請求項13】
式(V)の化合物
【化10】

[式中、X、n、R及びRは、請求項1で定義されているとおりである]。
【請求項14】
有効量の請求項1に記載の化合物及び農業上許容される支持体を含んでいる、殺菌剤組成物。
【請求項15】
作物の植物病原性菌類を予防的又は治療的に防除する方法であって、有効で且つ植物に対して毒性を示さない量の請求項14に記載の組成物を、植物の種子、又は、植物の葉及び/若しくは植物の果実、又は、植物がそこで生育している土壌若しくは植物をそこで栽培するのが望ましい土壌に施用することを特徴とする、前記方法。

【公表番号】特表2008−507492(P2008−507492A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521920(P2007−521920)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/009185
【国際公開番号】WO2006/008192
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(503325538)バイエル・クロツプサイエンス・エス・アー (73)
【Fターム(参考)】