説明

殺菌剤として有用なピラゾールカルボン酸アミド類

式(I)の化合物{式中、置換基は、請求項1で定義されるとおりである}は、殺菌剤として使用するために適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌活性、特に殺真菌活性を有する新規エチルアミド類に関する。本発明は、さらに、これらの化合物の製造において使用される中間体に関し、これらの化合物を含む組成物、及び植物病原性微生物、好ましくは真菌による植物の感染を防除又は予防するための農業又は園芸におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
N-[2-(フェニル)エチル]-カルボキサミド誘導体及びその殺菌剤としての使用は、EP1787981A1及びWO 2007/060164に記載されている。ピラゾール-4-カルボン酸アミド誘導体、及びその害虫駆除剤としての使用は、JP-2001-342179に記載されている。同様の化合物は、他の技術分野においても知られており、例えば、疼痛治療法としてのピラゾール-アミド類及びスルホンアミド類の使用は、WO 03/037274に記載されている。
【発明の概要】
【0003】
新規のエチルアミド類が殺菌活性を有することを発見した。
こうして、本発明は以下の式I:
【化1】

[式中、
1は、ハロゲンメチルであり
2は、C1-C4アルキル、C1-C4ハロゲンアルキル、C1-C4アルコキシ-C1-C4アルキル又はC1-C4ハロゲンアルコキシ-C1-C4アルキルであり;そして
3は、水素、ハロゲン又はシアノであり;
4、R5及びR6は、互いに独立に水素、ハロゲン、ニトロ、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC1-C6アルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC3-C6シクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC2-C6アルケニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC2-C6アルキニルを表すか;又は
4とR5は、共に置換されないか又は1若しくは複数のC1-C6アルキル基により置換されるC2-C5アルキレン基であり;
Xは、酸素、硫黄、-N(R10)-又は-N(R11)-O-であり;
10とR11は、互いに独立に水素又はC1-C6アルキルを表し;
7は、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R9により置換されるC1-C6アルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R9により置換されるC3-C6シクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R9により置換されるC2-C6アルケニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R9により置換される、C2-C6アルキニルを表し;
12は、ハロゲン、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルキルチオ、シアノ、ニトロ、-C(Ra)=N(ORb)、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるC1-C6アルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるC3-C6シクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるC6-C14ビシクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるC2-C6アルケニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換される、C2-C6アルキニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるフェニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるフェノキシ、又は置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるピリジニルオキシを表し;
13は、水素、ハロゲン、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルキルチオ、シアノ、ニトロ、-C(Rc)=N(ORd)、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるC1-C6アルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるC3-C6シクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるC6-C14ビシクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるC2-C6アルケニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるC2-C6アルキニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるフェニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるフェノキシ、又は置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるピリジニルオキシを表し;
14は、水素、ハロゲン、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルキルチオ、シアノ、ニトロ、-C(Re)=N(ORf)、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるC1-C6アルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるC3-C6シクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるC6-C14ビシクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるC2-C6アルケニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるC2-C6アルキニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるフェニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるフェノキシ、又は置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるピリジニルオキシを表し;
各R8、R9、R15、R16及びR17は、互いに独立にハロゲン、ニトロ、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロゲンアルコキシ、C1-C6アルキルチオ、C1-C6ハロゲンアルキルチオ、C3-C6アルケニルオキシ、C3-C6アルキニルオキシ又は-C(Rg)=N(ORh)であり;
各Ra、Rc、Re及びRgは、互いに独立に水素又はC1-C6アルキルであり;
各Rb、Rd、Rf及びRhは、互いに独立にC1-C6アルキルであり;
18は、水素又はC3-C7シクロアルキルである}
で表される化合物、並びに当該化合物の互変異性体/異性体/エナンチオマーを提供する。
【0004】
置換基の定義において現れるアルキル基は、直鎖又は分岐鎖であってもよく、そして例えば、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル又はtert-ブチルである。アルコキシ、アルケニル、及びアルキニルラジカルは、上記アルキルラジカルに由来する。当該アルケニル及びアルキニル基は、一飽和又は二飽和であってもよい。
【0005】
置換基の定義において生じるシクロアルキル基は、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。
【0006】
置換基の定義において生じるビシクロアルキルは、環のサイズに応じて、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[4.2.2]デカン、ビシクロ[4.3.2]ウンデカン、アダマンタンなどである。
【0007】
ハロゲンは、一般的に、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、好ましくはフッ素、臭素又は塩素である。これは、他の意味と組み合わせたハロゲン、例えばハロゲンアルキル又はハロゲンアルコキシにも同様に適用される。
【0008】
ハロゲンアルキル基は、好ましくは、1〜4個の炭素原子の鎖長を有する。ハロゲンアルキル基は、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-フルオロエチル、2-クロロエチル、ペンタフルオロエチル、1,1-ジフルオロ-2,2,2-トリクロロエチル、2,2,3,3-テトラフルオロエチル及び2,2,2-トリクロロエチルであり;好ましくはトリクロロメチル、ジフルオロクロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル及びジクロロフルオロメチルである。
【0009】
適切なハロゲンアルケニル基は、ハロゲンにより1又は多置換されるアルケニル基であり、ここでハロゲンは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素であり、そして特にフッ素及び塩素であり、例えば2,2-ジフルオロ-1-メチルビニル、3-フルオロプロペニル、3-クロロプロペニル、3-ブロモプロペニル、2,3,3-トリフルオロプロペニル、2,3,3-トリクロロプロペニル及び4,4,4-トリフルオロブタ-2-エン-1-イルである。
【0010】
適切なハロゲンアルキニル基は、例えば、ハロゲンにより1置換又は多置換されたアルキニル基であり、ハロゲンは臭素、ヨウ素であり、そして特にフッ素及び塩素であり、例えば3-フルオロプロピニル、3-クロロプロピニル、3-ブロモプロピニル、3,3,3-トリフルオロ-プロピニル及び4,4,4-トリフルオロブタ-2-イン-1-イルである。
【0011】
アルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ及びtert-ブトキシであり;好ましくは、メトキシ及びエトキシである。ハロゲンアルコキシは、例えば、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2-トリフルオロ-エトキシ、1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ、2-フルオロエトキシ、2-クロロエトキシ、2,2-ジフルオロエトキシ及び2,2,2-トリクロロエトキシであり;好ましくはジフルオロメトキシ、2-クロロエトキシ及びトリフルオロメトキシである。アルキルチオは、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソブチル-チオ、sec-ブチルチオ又はtert-ブチルチオであり、好ましくはメチルチオ及びエチルチオである。
【0012】
アルコキシアルキルは、例えば、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、n-プロポキシメチル、n-プロポキシエチル、イソプロポキシメチル又はイソプロポキシエチルである。
【0013】
本発明の文脈において、置換基R4、R5、R6、R7、R12、R13及びR14の定義において「1又は複数の置換基により置換される」は、典型的に、置換基R4、R5、R6、R7、R12、R13及びR14の化学構造に応じて、1置換〜9置換、好ましくは1置換〜5置換、より好ましくは1置換、2置換又は3置換を意味する。
【0014】
式Iの化合物{式中、R18は水素である}は、異なる互変異性形態で生じることもある。例えば、式Iの化合物は、以下の互変異性形態II及びIII
【化2】

で存在する。
【0015】
本発明は、これらの全ての互変異性形態及びその混合物をカバーする。
【0016】
好ましくは、R18は水素である。さらに好ましい式Iの化合物では、R1は、CF3、CF2H又はCFH2であり、好ましくはCF2H又はCF3であり、より好ましくはCF2Hであり;R2はC1-C4アルキル、好ましくはメチルであり;そしてR3は、水素又はハロゲンであり、好ましくは水素である。本発明の1の実施態様では、R1は、CF2Hであり;R2は、メチルであり、そしてR3は水素である。
【0017】
式Iの好ましい化合物では、R4は、水素、ハロゲン、ニトロ、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC1-C6アルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC3-C6シクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC2-C6アルケニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC2-C6アルキニルから選ばれる。
さらに好ましい式Iの化合物では、R4は、水素、又は置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC1-C6アルキルである。
さらに好ましい式Iの化合物では、R4は、水素、C1-C6アルキル又はC1-C6ハロアルキルである。
さらに好ましい式Iの化合物では、R4は、水素又はC1-C6アルキルである。
さらに好ましい式Iの化合物では、R4は、水素又はメチルである。
さらに好ましい式Iの化合物では、R4は水素である。
さらに好ましい式Iの化合物では、R4はメチルである。
【0018】
式Iのさらに好ましい化合物では、R4は、ハロゲン、ニトロ、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC1-C6アルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC3-C6シクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC2-C6アルケニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC2-C6アルキニルから選ばれる。
さらに好ましい式Iの化合物では、R4は、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC1-C6アルキルである。
さらに好ましい式Iの化合物では、R4は、C1-C6アルキル又はC1-C6ハロアルキルである。
さらに好ましい式Iの化合物では、R4はC1-C6アルキルである。
さらに好ましい式Iの化合物では、R4はC1-C6ハロアルキルであり、好ましくはCF3、CF2H又はCH2Fである。
【0019】
式Iの好ましい化合物では、R5及びR6は互いに独立に、水素、ハロゲン、ニトロ、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC1-C6アルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC3-C6シクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC2-C6アルケニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC2-C6アルキニルを表す。
さらに好ましい式Iの化合物では、R5及びR6は、互いに独立に水素又はC1-C6アルキルを表す。
さらに好ましい式Iの化合物では、R5及びR6は、共に水素である。
【0020】
式Iの好ましい化合物では、R8は、ハロゲン、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロゲンアルコキシ、C1-C6アルキルチオ又はC1-C6ハロゲンアルキルチオを表す。
さらに好ましい式Iの化合物では、R8は、ハロゲン又はC1-C6アルコキシを表す。
【0021】
式Iの好ましい化合物では、Xは酸素である。
さらに好ましい式Iの化合物では、Xは硫黄である。
さらに好ましい式Iの化合物では、Xは-N(R10)-である。
さらに好ましい式Iの化合物では、Xは-N(R11)-O-である。
【0022】
好ましい化合物では、R10は水素又はメチルである。
好ましい化合物では、R11は水素又はメチルである。本発明の1の実施態様では、R11は水素である。
【0023】
式Iの好ましい化合物では、R7は、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R9により置換されるC1-C6アルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R9により置換されるC2-C6アルケニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R9により置換される又はC2-C6アルキニルを表す。
さらに好ましい式Iの化合物では、R7は、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル又はC2-C6アルキニルを表す。
さらに好ましい式Iの化合物では、R7は、C1-C6アルキル、好ましくはメチルを表す。
【0024】
式Iの好ましい化合物では、R9は、ハロゲン、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロゲンアルコキシ、C1-C6アルキルチオ又はC1-C6ハロゲンアルキルチオを表す。
さらに好ましい式Iの化合物では、R9は、ハロゲン又はC1-C6アルコキシを表す。
【0025】
好ましい化合物では、R12は、ハロゲン、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルキルチオ、シアノ、ニトロ、-C(Ra)=N(ORb)、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるC1-C6アルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるC3-C6シクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるC6-C14ビシクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるC2-C6アルケニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるC2-C6アルキニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるフェニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるフェノキシ、又は置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるピリジニルオキシを表し;
13は、ハロゲン、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルキルチオ、シアノ、ニトロ、-C(Rc)=N(ORd)、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるC1-C6アルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるC3-C6シクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるC6-C14ビシクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるC2-C6アルケニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるC2-C6アルキニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるフェニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるフェノキシ、又は置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるピリジニルオキシを表し;そして
14は、水素、ハロゲン、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルキルチオ、シアノ、ニトロ、-C(Re)=N(ORf)、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるC1-C6アルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるC3-C6シクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるC6-C14ビシクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるC2-C6アルケニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるC2-C6アルキニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるフェニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるフェノキシ、又は置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるピリジニルオキシを表す。
【0026】
好ましい化合物において、R12及びR13は、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1-C6アルキル、C2-C6アルキニル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロゲンアルキル、C1-C6ハロゲンアルコキシ、-C(H)=N(O-C1-C6アルキル)又は置換されないか又は1若しくは複数のハロゲンにより置換されるフェニル;並びにR14は、水素、ハロゲン、シアノ、C1-C6アルキル、C2-C6アルキニル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロゲンアルキル、C1-C6ハロゲンアルコキシ、-C(H)=N(O-C1-C6アルキル)又は置換されないか又は1若しくは複数のハロゲンにより置換されるフェニルである。
【0027】
さらに好ましい化合物において、
12及びR13は、互いに独立に、ハロゲン、シアノ、C2-C6アルキニル、C1-C6ハロゲンアルキル、C1-C6ハロゲンアルコキシ、-C(H)=N(O-C1-C6アルキル)又はハロゲンで置換されるフェニルであり;そして
14は水素、ハロゲン、シアノ、C2-C6アルキニル、C1-C6ハロゲンアルキル、C1-C6ハロゲンアルコキシ、-C(H)=N(O-C1-C6アルキル)又はハロゲンで置換されるフェニルである。
【0028】
さらに好ましい化合物において、
12及びR13は、互いに独立に、ハロゲン、C2-C6アルキニル、C1-C6ハロゲンアルキル又は-C(H)=N(O-C1-C6アルキル)であり;そして
14は、水素、ハロゲン、C2-C6アルキニル、C1-C6ハロゲンアルキル又は-C(H)=N(O-C1-C6アルキル)である。
【0029】
さらに好ましい化合物において、
12及びR13は、互いに独立に、ハロゲン又はC1-C6ハロゲンアルキルであり;そしてR14は水素、ハロゲン又はC1-C6ハロゲンアルキルである。
【0030】
さらに好ましい化合物において、
12及びR13は、互いに独立に、ハロゲン又はC1-C6ハロゲンアルキルであり、好ましくはハロゲンであり;そしてR14は水素である。
【0031】
さらに好ましい化合物において、
12、R13及びR14は、互いに独立に、ハロゲン又はC1-C6ハロゲンアルキルであり、好ましくはハロゲンである。
【0032】
式Iの化合物は、以下の式II:
【化3】

{式中、R4、R5、R6、R7、X、R12、R13及びR14は、式Iで定義される通りである}で表される化合物を、以下の:
【化4】

{式中、R1、R2及びR3は式Iに定義される通りであり、そしてR*は、ハロゲン、ヒドロキシ又はC1-6アルコキシ、好ましくはクロロである}
で表される化合物と、塩基、例えばトリエチルアミン、Hunig塩基、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ピリジン又はキノリン、好ましくはトリエチルアミンの存在下で、ジエチルエーテル、TBME、THF、ジクロロメタン、クロロホルム、DMF又はNMPなどの溶媒中で、10分〜48時間、好ましくは12〜24時間、そして0℃〜還流温度、好ましくは20〜25℃で反応させることにより調製されてもよい。
*が、ヒドロキシである場合、カップリング試薬、例えば、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス-(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)-ホスフィン酸クロリド(BOP-Cl)、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)又は1,1'-カルボニル-ジイミダゾール(CDI)が使用されてもよい。
【0033】
以下の式II:
【化5】

{式中、R4、R5、R6、R7、X、R12、R13、R14及びR18は、式Iで定義される通りであり、好ましくはR18は水素である}
で表される化合物の中間体は、新規化合物であり、そして式Iの化合物の製造のために特別に開発された。従って、これらの式IIの中間体は、本発明の主題の一部を形成する。
【0034】
以下の式IIA:
【化6】

{式中、R4、X、R7、R12、R13及びR14は、式Iで定義される通りである}
で表される中間体は、反応スキーム1において記載されるように調製することができる。
【0035】
【化7】

【0036】
以下の式IIB:
【化8】

{式中、R4、X、R7、R12、R13及びR14は、式IIで定義される通りであり、そしてR18は、C3-C7シクロアルキルである}
で表される中間体は、反応スキーム2に記載されるように調製されてもよい。
【化9】

【0037】
α-アルコキシケトン類IX{ここで、R4、R7、R12、R13及びR14は、式Iに定義される通りである}は、ニトロアルコキシアルカン類IV{ここで、R4、R7、R12、R13及びR14は、式Iに定義される通りである}を、酸性又は塩基性条件のいずれかの下でNef反応することにより調製することができる。例えば、W.E Noland、Chem. Rev. 55、137 (1955); G.A. Olah, Synthesis, 44 (1980); K. Stelion, M.A Poupart, J. Org. Chem., 50、4971(1985); G.W. Kabalka, Synthesis, 654 (1985); P.S. Vankar, R. Rathore, Synth. Commun.17, 195 (1987)並びに引用文献を参照のこと。MCPAで処理の際に、トリアルキルシリル・ニトロネートを介して、穏和条件下でニトロネートアニオンを酸化分解するための別の方法は、J.M. Aizpurua、M. Oiarbide及びC. Palomo、THL、Vol.28,No.44,5361-5364 (1987)に記載される。
【0038】
式IIBのアミン類{式中、R4、X、R7、R12、R13、R14は、式IIで定義される通りであり、そしてR18は、C3-C7シクロアルキルである}を、一般式IXの化合物を、式Xのシクロアルキルアミンと反応させて、一般式XIのイミン誘導体を提供することを含む。第二のステップは、同一又は異なる容器中で水素付加により、又は水素化物ドナーにより、一般式XIのイミン誘導体を低下させて、一般式IIBのアミン又はその塩を提供することを含む。好ましくは、水素化物ドナーは、金属又金属水素化物、例えばLiAlH4、NaBH4、NaBH3CN、NaBH(OAc)3、KBH4、B26などとして選択される。
【0039】
式Vのニトロアルカン類{式中、R4、R12、R13及びR14は、式Iで定義される通りである}は、式VII{式中、R12、R13及びR14は、式Iに定義される通りである}のカルボニル化合物を、式VIII{式中、R4は式Iで定義される通りである}のニトロアルカンと、室温〜還流温度の温度で酢酸及び酢酸アンモニウムの存在下で反応させることにより調製することができる。
【0040】
式VI{式中、R7及びXが、式Iで定義される通りであり、そしてMがLi、Na、K又は水素である}で表される化合物を、式Vのニトロアルケン類にマイケル付加することは、アルカリ土類アルコラート類、好ましくは、対応するアルコール、トルエン、又はエーテル溶媒、例えばジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン中の好ましいナトリウム、カリウム及びリチウムの塩を用いて達成されてニトロアルコキシアルカン類VI{式中、R4、R7、R12、R13及びR14は式Iで定義される通りである}を形成する。式IVのニトロアルコキシアルカン類を還元して、式IIAの中間体を形成することは、メタノール、エタノール又はイソプロパノールなどのアルコール溶媒中で亜鉛、並びに塩酸、硫酸などの酸水溶液を用いて、或いはより好ましくは(実施例P2c2を参照のこと)、Raneyニッケル又は貴金属触媒上で触媒的還元することにより達成されうる。還元は、20〜80℃の温度で行われる。
【0041】
式IIの他の中間体は、反応スキーム1又は2に従って、又は当該反応スキームと同等のものに従って調製されてもよい。
【0042】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R12、R13、R14、R18及びXの定義に従って官能基化された式Iのさらなる化合物調製するために、アルキル化、ハロゲン化、アシル化、アミド化、オキシム化、酸化及び還元など多数の既知の標準方法が存在する。適切な調製方法の選択は、中間体の置換基の性質(反応性)に左右される。
【0043】
式IIIの化合物が知られており、そしてそのうちの幾つかは市販されている。これらは、例えば、WO 00/09482 、WO 02/38542、WO 04/018438、EP-0-589-301、WO 93/11117及びArch. Pharm. Res. 2000, 23(4), 315-323に記載されるように同様に調製することができる。
【0044】
式VI、VII及びVIIIの化合物が知られており、そして市販されているか、又は上記引用文献に従って調製できるか、又は当該技術分野に周知の方法の方法に従って調製することができる。
【0045】
式Iの化合物に至る反応は、非プロトン性の不活性有機溶媒中で行われることが都合がよい。かかる溶媒は、炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン又はシクロヘキサン、塩化炭化水素、例えばジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン又はクロロベンゼン、エーテル類、例えばジエチル エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール ジメチル エーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン、ニトリル類、例えばアセトニトリル又はプロピオニトリル、アミド類、例えばN,N-ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド又はN-メチルピロリジノンである。反応温度は、-20℃〜120℃であれば都合がよい。一般的に、反応は、わずかに発熱反応であり、そして一般に、室温で行うことができる。反応時間を短くするために、又はその代わりに反応を開始させるために、反応混合液の沸点まで混合物を軽く加熱してもよい。反応時間は、反応触媒として塩基を数滴加えることにより反応時間を短くすることもできる。適切な塩基は、特に三級アミン類、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、キヌクリジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン又は1,5-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンである。しかしながら、水素化物、例えば水素化ナトリウム又は水素化カルシウム、水酸化物、例えば水酸化又は水酸化カリウム、炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム、又は炭酸水素化物、例えば炭酸水素カリウム及び炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基が、塩基類として使用されてもよい。塩基類は、触媒量の相間移動触媒、例えばクランエーテル、特に18-クラウン-6、又はテトラアルキルアンモニウム塩として、又は当該触媒量の相間移動触媒と共に使用することができる。
【0046】
式Iの化合物は、慣用の様式において、溶媒を濃縮し及び/又は溶媒を蒸発させることにより単離することができ、そして当該化合物が容易に溶解しない溶媒、例えばエーテル類、芳香族炭化水素類又は塩化炭化水素中で固体残渣を再結晶又は倍散することにより精製することができる。
【0047】
式Iの化合物、そして適切な場合、その互変異性体は、可能な異性体のうちの1の形態、又はその混合物として存在することができ、分子内に生じる不斉炭素の数、絶対及び相対配置、及び/又は分子内に生じる非芳香族二重結合の配置に依存して、例えば対掌体及び/又はジアステレオマーなどの純粋な異性体の形態で、又はエナンチオマー混合物、例えばラセミ体、ジアステレオマー混合物若しくはラセミ体混合物などの異性体混合物として存在することができ;本発明は、純粋な異性体、及び取り得る全ての異性体混合物に関しており、立体の詳細が各場合において具体的に言及されていない場合であっても、そして上の記載及び以下の記載の各場合において、この意味で理解されるべきである。
【0048】
式Iの化合物、適切な場合その互変異性体は、必要に応じて、水和物の形態で得ることができるか、及び/又は他の溶媒、例えば固体形態で存在する化合物を結晶化するために使用されうる溶媒、を含むことがある。
【0049】
本発明に従った式Iの化合物が、真菌、細菌又はウイルスなどの植物病原性微生物により引き起こされる疾患に対して、有用植物を保護するためのかなり有利なスペクトルの活性を有することが発見された。
【0050】
本発明は、植物病原性微生物による有用植物への感染を防除又は予防する方法であって、式Iの化合物を活性成分として植物、植物の一部、又はその栽培場所に活性成分として施用する方法に関する。本発明の式Iの化合物は、低用量の施用において優れた活性を有すること、植物にとって耐用性であること、そして環境面において安全であることにより区別される。当該化合物は、かなり有効な治癒的、予防的、そして浸透性の性質を有し、そして多くの有用な植物を保護するために使用される。式Iの化合物は、有用植物の種々の作物における植物又は植物の一部(果実、花、葉、茎、塊茎、根)に生じる疾患を抑制又は破壊するために使用することができる一方で、後に成長する植物の一部を、例えば病原性微生物から保護する。
【0051】
真菌感染、並びに土壌において生じる植物病原性真菌に対する保護のため、植物繁殖材料、特に種子(果実、塊茎、穀物)、及び挿し木(例えば、米)の処理のための塗沫剤として式Iの化合物を使用することも可能である。
【0052】
さらに、本発明に従った式Iの化合物は、関連領域において、例えば木材及び木材関連工業製品を含む技工物の保護、食品貯蔵、又は衛生管理において、真菌の防除のために使用されてもよい。
【0053】
式Iの化合物は、例えば、以下のクラスの植物病原性真菌に対して効果的である:
不完全真菌(例えば、ボトリチス属、ピリキュラリア属、ヘルミントスポリウム属、フサリウム属、セプトリア属、セルコスポラ属、セルコスポラ属及びアルタナリア属)、及び担子菌類(例えばリゾクトニア属、ヘミレイア属、プッシニア属)。さらに、当該化合物は、子嚢菌類(例えば、ベンチュリア属及びエリシフェ属、ポドスファエラ属、モニリニア属、ウンシヌラ属)、及び卵菌類(例えば、ファイトフソラ属、フハイカビ属、プラスモパラ属)に対しても有効である。ウドンコ病(例えば、ウンシヌラ ネカトール(Uncinula necator)に対して顕著な活性が観察された。さらに、式Iの新規化合物は、植物病原性細菌及びウイルス(例えば、ザントモナス属、シュードモナス属、エルウィニア アミロヴォラ(Erwinia amylovora)、並びにタバコモザイクウイルス)に対して、有効である。良好な活性が、アジア大豆錆病(ファコプソラ パルキリジ(Phakopsora pachyrhizi)に対して観察された。
【0054】
本発明の範囲において、保護される有用植物は、一般的に、以下の植物種:穀類(コムギ、オオムギ、ライムギ、カラスムギ、米、トウモロコシ、ソルガム及び近縁種);テンサイ(サトウダイコン及び飼料用テンサイ);ナシ状果、核果及び柔らかい果実(リンゴ、ナシ、セイヨウスモモ、モモ、アーモンド、サクランボ、イチゴ、キイチゴ及びブラックベリー);マメ科植物(マメ、レンズマメ、エンドウマメ、ダイズ);油脂植物(セイヨウアブラナ、マスタード、ポピー、オリーブ、ヒマワリ、ココナツ、ヒマシ油植物、カカオマメ、ラッカセイ);キュウリ植物(カボチャ、キュウリ、メロン);線維植物(綿、アマ、麻、ジュート);柑橘類(オレンジ、レモン、グレープフルーツ、マンダリン);野菜(ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ、パプリカ);クスノキ科(アボカド、クスノキ、ショウノウ)又はタバコ、ナッツ、コーヒー、ナス、サトウキビ、茶、コショウ、ブドウ、ホップ、バナナ及び天然ゴム、並びに装飾洋食物などの植物を含む。
【0055】
「有用植物」は、慣用の品種改良又は遺伝子組み替えの結果として、ブロモキシニルなどの除草剤又は除草剤のクラス(例えば、HPPD阻害剤、ALS阻害剤、例えばプリミスルフロン、プロスルフロン、及びトリフロキシスルホン、EPSPS(5-エノール-ピロビル-シキマート-3-ホスフェート-シンターゼ)阻害剤、GS(グルタミン合成酵素)阻害剤又はPPO(プロトポルフィリノゲン-オキシダーゼ)阻害剤)に対して抵抗性となった有用植物が含まれると理解されるべきである。品種改良の慣用方法(突然変異誘導)によりイミダゾリノン類、例えばイマザモックスに対して抵抗性となった作物の例は、Clearfield(商標)夏セイヨウアブラナ(Canola)である。遺伝子組み替え法の結果により除草剤又は除草剤のクラスに対して抵抗性となった作物の例として、以下の商標:RoundupReady(商標)、Herculex I(商標)及びLiberty Link(商標)で市販されているグリホサート及びグルフォシネート抵抗性のトウモロコシ種が挙げられる。
【0056】
「有用植物」という語句は、毒生成細菌、特にバチルス属由来の既知の1又は複数の選択的に作用する毒を合成することができるように組み替えDNA技術を使用することにより形質転換された有用植物を含むものと理解されるべきである。
【0057】
かかる植物の例は、YieldGard(商標)(CryIA(b)トキシンを発現するトウモロコシ種);YieldGard Rootworm(商標)(CryIIIB(b1)トキシンを発現するトウモロコシ種);YieldGard Plus(商標)(CryIA(b)及びaCryIIIB(b1)トキシンを発現するトウモロコシ種);Starlink(商標)(Cry9(c)トキシンを発現するトウモロコシ種);Herculex I(商標)(CryIF(a2)トキシン及び除草剤グルホシネートアンモニウムに対して抵抗性を達成するための酵素ホスフィノスリシンN-アセチルトランスフェラーゼ(PAT));NuCOTN 33B(商標)(CryIA(c)トキシンを発現する綿種);Bollgard I(商標)(CryIA(c)トキシンを発現する綿種);Bollgard II(商標)CryIA(c)及びCryIIA(b)トキシンを発現する綿種);VIPCOT(商標)(VIPトキシンを発現する綿種);NewLeaf(商標)(CryIIIAトキシンを発現するジャガイモ種);NatureGard(商標)、Agrisure(商標)GT Advantage(GA21グリホセート抵抗性)、Agrisure(商標)CB Advantage(Bt11トウモロコシ害虫(corn borer)(CB)抵抗性)、Agrisure(商標)RW(トウモロコシ根切り虫(corn rootworm)抵抗性)及びProtecta(商標)である。
【0058】
「有用植物」という語句は、いわゆる「病原性関連タンパク質」(PRP、例えばEP-a-0 392 252を参照のこと)などの選択的作用を有する抗病原性物質を合成することができるように組み替えDNA技術の使用により形質転換された有用植物を含むものとして理解されるべきである。かかる抗病原性物質及びかかる高病原性物質を合成できるトランスジェニック植物の例は、例えば、EP-A-0 392 225、WO 95/33818、及びEP-A-0 353 191.に知られている。かかるトランスジェニック植物を産生する方法は、一般的に当業者に知られており、そして例えば上に記載された刊行物に記載されている。
【0059】
本明細書に使用される有用植物の「栽培場所」という語句は、有用植物が生育している場所を含むことを意図し、ここで有用植物の植物繁殖材料は播種されるか、又は有用植物の植物繁殖材料が、土壌に配置される。かかる栽培場所の例は、植物を生育させる田畑である。
【0060】
「植物繁殖材料」という語句は、後に増殖に使用することができる種子、及び挿し木、又は塊茎など(例えばジャガイモ)の植物材料などの植物の繁殖部を指すことを理解されたい。例えば、種子(厳格な意味での)、根、果実、塊茎、球根、地下茎及び植物部を指す。発芽後又は土壌から現れた後に移植される発芽植物及び植物苗を指してもよい。これらの植物苗は、浸漬により、完全に又は部分的に処理することによって移植前に保護されてもよい。好ましくは、「植物繁殖材料」は種子を指すことが理解されたい。
【0061】
式Iの化合物は、未改変形態で使用することができるか、又は好ましくは製剤化の分野において慣用的に使用されるキャリアとアジュバントと共に使用することができる。
【0062】
その結果、本発明は、病原性微生物に対する防除及び保護用の組成物であって、式Iの化合物及び不活性担体を含む組成物、並びに病原性微生物による有用植物への感染を防除又は予防する方法であって、活性成分として式Iの化合物、及び不活性担体を含む組成物を植物、その一部、又はその栽培場所に施用する方法に関する。
【0063】
この目的を達成するために、式Iの化合物及び不活性担体は、既知の様式で慣用的に、乳濁濃縮物、皮膜ペースト、直接スプレー可能又は希釈可能な溶液、希釈乳濁液、湿潤粉末、溶解性粉末、粉末、顆粒、及び例えばポリマー性物質中への封入物に剤形される。組成物のタイプによって、例えばスプレー、噴霧、散布、分散、被膜又は注入などの施用方法が、対象及び一般的な状況に応じて選択される。組成物は、安定剤、消泡剤、粘度調整剤、結合剤、又は粘着付与剤、並びに肥料、微量栄養素ドナーなどのさらなるアジュバンド、又は他の特別な効果を得るための他の製剤を含んでもよい。
【0064】
適切な担体及びアジュバントは、固体又は液体であり、そして製剤技術において有用な物質、例えば天然又は再生ミネラル物質、溶媒、分散剤、湿潤剤、粘着付与剤、肥厚剤、結合剤又は肥料である。かかる担体は、例えばWO 97/33890に記載される。
【0065】
式Iの化合物又は活性成分として式Iの化合物、及び不活性担体を含む組成物は、他の化合物と同時に又は連続して、植物の栽培場所に、又は処理される植物に施用することができる。これらの他の化合物は、例えば肥料又は微量栄養素ドナー、又は植物の生育に影響を与える他の調製品であってもよい。他の化合物は、所望される場合、製剤の分野において慣用的に使用されるさらなる担体、界面活性剤、又は施用促進アジュバントをともなう選択的除草剤、並びに殺虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、殺線虫剤、軟体生物駆除剤、又はこれらのいくつかの調製剤の混合物でありうる。
【0066】
式Iの化合物、又は活性成分として式Iの化合物及び不活性担体を含む組成物を施用する好ましい方法は、葉面施用である。施用頻度、及び施用割合は、対応する病原による感染のリスクに依存する。しかしながら、式Iの化合物は、液体製剤で植物の栽培部位を浸すことにより、又は土壌に固体形態、例えば顆粒形態の化合物を施用すること(土壌施用)により土壌から根を介して植物に浸透することができる(全体作用)。水稲作物において、かかる顆粒は、水に浸った田んぼに施用することができる。式Iの化合物は、種子又は塊茎を、殺菌剤の液体製剤に含浸することにより、又は固体製剤で種子を被膜することにより、種子に施用されてもよい(被膜)。
【0067】
製剤、つまり式Iの化合物を含み、そして所望される場合固体又は液体アジュバントを含む組成物は、既知の様式で調製され、典型的には、増量剤、例えば溶媒、固体担体、及び場合により界面活性剤を用いて、化合物を完全に混合し及び/又は破砕することにより、調製する。
【0068】
農薬製剤は、通常0.1〜99重量%、好ましくは0.1〜95重量%の式Iの化合物であり、99.9〜1重量%、好ましくは99.8〜5重量%の固体又は液体アジュバント、及び0〜25重量%、好ましくは0.1〜25重量%の界面活性剤を含む。
【0069】
市販製品を濃縮物として剤形することが好ましい一方で、エンドユーザーは通常希釈製剤を使用する。
【0070】
製剤の有利な施用割合は、1ヘクタール(ha)あたり通常5g〜2kgの活性成分(a.i.)、好ましくは10g〜1kgのa.i./ha、最も好ましくは、20g〜600gのa.i./haである。種子浸漬剤(drenching agent)として使用される場合、慣用の施用割合は、1kgの種子あたり10mg〜1gの活性物質である。所望の作用についての施用割合は、実験により決定されうる。例えば、施用割合は、作用タイプ、有用植物の発達段階、そして施用(場所、タイミング、施用方法)に依存しており、そしてそのパラメーターに応じて広い範囲で変わりうる。
【0071】
驚くべきことに、式Iの化合物が、植物病原性生物による攻撃に対して、有用植物の作物を保護する方法、並びに植物病原性生物により感染された有用植物の作物の治療であって、グリホサート及び少なくとも1の式Iの化合物を、植物(ここで当該植物がグリホサートに対して抵抗性である)又はその栽培場所に投与することを含む方法及び治療に使用することができるということを発見した。
【0072】
当該方法は、グリホサートを含まない式Iの化合物を使用することに比べて、予想外に疾患の防除を改善することもある。当該方法は、式Iの化合物により、疾患の防除を高める点で有効であることもある。グリホサートと式Iの少なくとも1の化合物の混合物が、式Iの化合物により、防除対象の疾患スペクトルを、少なくとも部分的に増加させることがあるし、そして式Iの化合物によりある程度防除されることが既に知られている疾患種について式Iの化合物の活性の増加が観察される効果であることもある。
【0073】
当該方法は、菌界、担子菌門、サビ菌(Uredinomycetes)綱、サビ菌(urediniomycetidae)亜綱、及びサビ菌(Uredinales)目の植物病原性生物(一般的に、サビ菌類と呼ばれる)に対して部分的に有効である。農業において特に重大な影響を与えるサビ菌の種は、ファコプソラセア(Phakopsoraceae)科、特にファコプソラ属の種、例えばファコプソラ・パシリジ(Phakopsora pachyrhizi)(当該種は、アジア大豆サビと呼ばれている)、及びプッシニアセア(Pucciniaceae)科、特にプッシニア(Puccinia)属の種、例えばプッシニア・グラミニス(Puccinia graminis)(茎サビ又は黒色サビとして知られており、当該サビ病は穀草作物において問題となる疾患である)、及び茶色サビとして知られているプッシニア・レコンジタ(Puccinia recondita)を含む。
【0074】
本方法の実施態様は、植物病原性生物による攻撃に対して有用植物である作物を保護する方法、及び/又は植物病原性生物に感染した有用植物の作物を治療する方法であって、当該方法は、その塩又はエステルを含むグリホサート、及び式Iの少なくとも1の化合物を、植物、植物の一部、及び植物の栽培場所からなる群から選ばれる少なくとも1のメンバーに同時に施用することを含む方法である。
【0075】
驚くべきことに、上に記載された式Iの化合物、又はその医薬上の塩は、動物における微生物感染の治療及び/又は予防のための活性の有利なスペクトルを有するということが発見された。
【0076】
「動物」は、任意の動物、例えば昆虫、哺乳動物、は虫類、魚、両生類であってもよく、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトである。「治療」は、感染の増加又は広がりを減少又は緩めるか又は停止するため、又は感染を低下又は感染を治癒するための微生物感染を有する動物における使用を意味する。「予防」は、微生物感染の明らかな兆候を有さない動物に対して、将来の感染を予防するため、又は将来の感染の増加又は広がりを低減又は緩めるために、使用することを意味する。
【0077】
本発明に従うと、動物において微生物感染の治療及び/又は予防において使用するための医薬の製造における式Iの化合物の使用も提供される。式Iの化合物を医薬として使用することも提供される。動物の治療において抗菌剤として式Iの化合物を使用することも提供される。本発明に従うと、活性成分として式Iの化合物、又はその医薬として許容される塩を含む医薬組成物が提供される。当該組成物は、動物において抗菌感染の治療及び/又は予防のために使用することができる。当該医薬組成物は、経口投与に適した形態、例えば錠剤、ロゼンジ、ハードカプセル、水性懸濁液、油状懸濁液、乳濁液、エマルジョン分散粉末、粉末可能顆粒、シロップ及びエリクシルの形態であってもよい。或いは、当該医薬組成物は、局所適用に適した形態、例えばスプレー、クリーム又はローションの形態であってもよい。或いは、この医薬組成物は、非経口投与に適した形態、例えば注射であってもよい。或いは、この医薬組成物は、吸入可能形態、例えばエアロゾルスプレーであってもよい。
【0078】
式Iの化合物は、動物において微生物感染を引き起こすことができる様々な微生物種に対して有効である。かかる微生物種の例は、アスペルギルス症を引き起こす微生物種、例えば、アスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus)、A.フラブス(A.flavus)、A.テルス(A.terrus)、A.ニジュランス(A.nidulans)及びA.ニガー(A. niger)、ブラストミセス症を引き起こす種、例えば、ブラストマイシス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitidis);カンジダ症を引き起こす種、例えばカンジタ・アルビカンス(Candida albicans)、C.グラブラタ(C. glabrata)、C.トロピカリス(C. tropicalis)、C.パラプシロシス(C. parapsilosis)、C.クルゼイ(C. krusei)及びC.ルシタニア(C. lusitaniae); コクシジオイデス症を引き起こす微生物種、例えばコクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis);クリプトコッカス症を引き起こす種、例えばクリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans);ヒストプラスマ症を引き起こす種、例えばヒストプラスマ・カプスラツム(Histoplasma capsulatum)及び接合菌症を引き起こす種、例えばアブシジア・コリムビフェラ(Absidia corymbifera)、リゾムコール・プシルス(Rhizomucor pusillus)及びリゾプス・アリズス(Rhizopus arrhizus)である。さらなる例は、フサリウム種、例えばフサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)及びフサリウム・ソラニ(Fusarium solani)及びセンドスポリウム種、例えばセンドスポリウム・アピオスペルマム(Scedosporium apiospermum)及びセドスポリウム・プロリフィカンス(Scedosporium prolificans)である。さらなる例は、マイクロスポルム種(Microsporum spp.)、トリコフィトン種(Trichophyton Spp)、エピデルモフィトン種(Epidermophyton Spp)、ムコール種(Mucor Spp)、スポロトリックス種(Sporothorix Spp)、フィアロフォア種(Phialophora Spp)、クラドスポリウム種(Cladosporium Spp)、ペトリエリジウム種(Petriellidium spp)、パラコッシジオイデス種(Paracoccidioides Spp)及びヒストプラスマ種(Histoplasma Spp.)である。
【0079】
以下の非限定的な例は、制限することなくさらに詳細に上記発明を説明する。
【0080】
製造例:
実施例1:3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-メトキシ-1-メチル-エチル]-アミド(化合物番号1.14)の製造:
【化10】

a)3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-メトキシ-1-メチル-エチル]-アミドの製造
3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボニルクロリド(195mg、1.0mmol)を入れたジクロロメタン(2ml)を、2-(2,4-ジクロロ-フェニル)-2-メトキシ-1-メチル-エチルアミン(234mg、1.0mmol)(当該化合物は実施例P2に記載されるように製造した)及びトリエチルアミン(202mg、2.0mmol)を入れたジクロロメタン(6ml)の攪拌溶液に0℃で滴下して加えた。室温で1時間反応混合物を攪拌し、4時間静置した。溶媒を取り除いたのちに、残渣をシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル:1/1)により精製した。170mg(理論値の43%)の3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-メトキシ-1-メチル-エチル]-アミドを、ジアステレオマーの混合物としてレジンの形態で得た:
1H NMR (400MHz、CDCl3): δ 1.01+1.36(2d,3H,CH3)、3.31(s,3H,NCH3)、3.88+3.92(2s、3H,CH3)、4.41-4.46+4.51-4.56(2m,1H,CH)、4.60+4.69(2d,1H,CH)、6.63+6.83(2mブロード,1H,NH)、6.70-7.00(2t,1H,CHF2)、7.17-7.41(m,3H,Ar-H)、7.80+7.93(2s,1H,ピラゾール-H).
MS [M+H]+ 392/394/396.
【0081】
実施例P2:2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-メトキシ-1-メチル-エチルアミンの製造:
a)2,4-ジクロロ-1-((E)-2-ニトロ-プロペニル)-ベンゼンの製造
【化11】

スルホン化フラスコ中で、2,4-ジクロロ-ベンズアルデヒド(77g、0.44mol)、ニトロエタン(216ml、3.04mol)及び酢酸アンモニウム(81.4g、1.06mol)を、氷酢酸(600ml)に加えた。得られた溶液を3時間90℃で加熱した。溶媒の除去後、氷水(400ml)を加えた。固体生成物をろ過により回収し、水で洗浄し、そしてエタノールから再結晶した。55.9g(理論値の55%)の2,4-ジクロロ-1-((E)-2-ニトロ-プロペニル)-ベンゼンを、黄色固体の形態で得た(m.p.79-81℃)。
1H NMR(400MHz、CDCl3):δ8.11(s,1H)、7.51(d,1H)、7.34(dd,1H)、7.27(d,1H)、2.33(s,3H,CH3).
【0082】
b)2,4-ジクロロ-1-(1-メトキシ-2-ニトロ-プロピル)-ベンゼンの製法
【化12】

2'の間に、0℃、窒素雰囲気下で、2,4-ジクロロ-1-((E)-2-ニトロ-プロペニル)-ベンゼン(4mmol、0.93g)を入れた乾燥トルエン(20ml)の撹拌黄色溶液に、5.4MのCH3ONaを入れたメタノール(16.2mmol、3ml)及びメタノール(2ml)の混合物を滴下して加えた。1.5時間撹拌後に、氷酢酸(3ml)を加え、続いて水(20ml)を加えた。水溶液をジクロロメタン(2×30ml)で抽出し、有機相を合わせて、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、そして減圧下で蒸発させて、0.78gの粗製1-アリール-1-メトキシ-2-ニトロプロパンを黄色油として与えた。この粗製物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル8:2)により精製して、0.45g(理論値の43%)の2,4-ジクロロ-1-(1-メトキシ-2-ニトロ-プロピル)-ベンゼンを、液体の形態で、ジアステレオマーの混合物として与えた。
1H NMR (400MHz、CDCl3):δ1.35-1.37+1.39-1.40(2d,3H,CH3)、3.18+3.21(2s,3H、CH3)、3.88+3.92(2s、3H,CH3)、4.69-4.75(m,1H,CH)、5.16-5.18+5.39-5.40(2d,1H,CH)、7.15-7.47(m,3H,Ar-H).
MS[M+H]+ 264/266/268.
【0083】
c)2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-メトキシ-1-メチル-エチルアミンの製造
【化13】

2,4-ジクロロ-1-(1-メトキシ-2-ニトロ-プロピル)-ベンゼン(0.35g、1.32mmol)をi-PrOH(27ml)に溶解し、そして1N・HCl(13.2ml、13.2mmol)で処理した。次に亜鉛粉(1.73g、26.4mmol)を少量づつ15分かけて加え、そして溶液を2時間室温で撹拌した。飽和NaHCO3(45ml)を加えることにより反応を止め、15分間撹拌し、そして小さい栓のセライトを通してろ過し、酢酸エチレン(40ml)で洗浄した。有機抽出液を無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、そして溶媒を減圧下で取り除いた。240mg(理論値の77.6%)の2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-メトキシ-1-メチル-エチルアミン(化合物Z1.14)を無色油の形態で、ジアステレオマーの混合物として得た。
1H NMR(400MHz、CDCl3):δ1.01+1.19(2d,3H,CH3)、2.20(sブロード,2H,NH2) 3.19+3.25(2s,3H,CH3)、4.06+4.12(2q,1H,CH)、4.38-4.53(2d,1H,CH)、7.29-7.38(m,3H,Ar-H).
MS[M+H]+ 234/236/238.
【0084】
2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-メトキシ-1-メチル-エチルアミンを、さらに精製することなく実施例P1に用いた。
【0085】
c2)2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-メトキシ-1-メチル-エチルアミンの製造
【化14】

2,4-ジクロロ-1-(1-メトキシ-2-ニトロ-プロピル)-ベンゼン(132.2g、0.500mol)をTHF(3.6l)に溶解した。溶液を脱気し、RaNi-EtOH(133g)触媒を加え、そして室温で23時間50barで混合物を水素付加した。触媒をろ過により取り除き、そして溶媒を減圧下で取り除いた。117.1g(理論値の100%)の2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-メトキシ-1-メチル-エチルアミン(化合物Z1.14)を無色油の形態で、ジアステレオマーの混合物として得た。
1H NMR(400MHz、CDCl3):δ1.01+1.19(2d,3H,CH3)、2.20(sブロード,2H,NH2)3.19+3.25(2s,3H,CH3)、4.06+4.12(2q,1H,CH)、4.38-4.53(2d,1H,CH)、7.29-7.38(m,3H,Ar-H).
MS[M+H]+ 234/236/238.
【0086】
実施例P3:3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-メトキシアミノ-1-メチル-エチル]-アミド(化合物番号1.76)の製造:
【化15】

a)3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-メトキシアミノ-1-メチル-エチル]-アミドの製造
3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボニルクロリド(86mg、0.44 mmol)を入れたジクロロメタン(1ml)の溶液を、2-(2,4-ジクロロ-フェニル)-2-メトキシアミノ-1-メチル-エチルアミン(110mg、0.44 mmol)(当該化合物は実施例P4の記載に従い製造される)及びトリエチルアミン(50mg、0.50mmol)を入れたジクロロメタン(3ml)の撹拌溶液に加えた。反応混合液を1時間室温で撹拌し、次に1時間静置した。溶媒の除去後に、シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル 3:7)。115mg(理論置の64.1%)の3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-メトキシアミノ-1-メチル-エチル]-アミドを、ジアステレオマーの混合物としてレジンの形態で得た。
1H NMR(400MHz、CDCl3):δ1.17+1.20(2d,3H,CH3)、3.34+3.50(2s,3H,NCH3)、3.90+3.91(2s、3H,OCH3)、4.41-4.46+4.61-4.65(2m,1H,CH)、4.59+4.69(2d,1H,CH)、6.60+6.73(2mブロード,1H,NH)、6.66-6.93+6.74-7.02(2t,1H,CHF2)、7.23-7.28(m,1H,Ar-H)、7.38-7.40(m,1H,Ar-H)、7.48+7.50(2d,1H,Ar-H)、7.89+7.91(2s,1H,ピラゾール-H).
MS[M+H]+405/407.
【0087】
実施例P4: 2-(2,4-ジクロロ-フェニル)-2-メトキシアミノ-1-メチル-エチルアミンの製造:
b) N-[1-(2,4-ジクロロ-フェニル)-2-ニトロ-プロピル]-O-メチル-ヒドロキシルアミンの製造
【化16】

2,4-ジクロロ-1-((E)-2-ニトロ-プロペニル)-ベンゼン(1.0mmol、0.232g)を入れたメタノール(3ml)の撹拌溶液に、N2雰囲気下、0℃でO-メチルヒドロキシルアミン・ヒドロクロリド(2.0mmol、0.167g)及びトリエチルアミン(3.0mmol、0.30g)を加えた。50℃で0.5時間撹拌した後に、無色の液体を室温に冷却し、そして水(20ml)を加えた。水溶液をジクロロメタン(20ml)で抽出し、有機相を合わせ、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、そして減圧下で蒸発させて、液体の形態のジアステレオマーの混合物として0.23g(理論値の82.4%)のN-[1-(2,4-ジクロロ-フェニル)-2-ニトロ-プロピル]-O-メチル-ヒドロキシルアミンを与えた。
1H NMR(400MHz、CDCl3):δ1.39+1.35(2d,3H,CH3)、3.45+3.52(2s,3H、CH3)、4.96-5.07(m,2H,2xCH)、〜0.63(mブロード,1H,NH)、7.26-7.46(m,3H,Ar-H).
MS[M+H]+ 279/281.
【0088】
c)N-[2-アミノ-1-(2,4-ジクロロ-フェニル)-プロピル]-O-メチル-ヒドロキシルアミンの製造
【化17】

N-[1-(2,4-ジクロロ-フェニル)-2-ニトロ-プロピル]-O-メチル-ヒドロキシルアミン(0.123g、0.44mmol)をi-PrOH(9ml)に溶解し、そして1N・HCl(4.4ml、4.4mmol)で処理した。次に亜鉛粉(0.58g、8.8mmol)を少量づつ15分かけて加え、そして溶液を室温で2時間撹拌した。飽和NaHCO3(15ml)を加えることにより懸濁液の反応を止め、15分撹拌し、小さい栓状のセライトを通してろ過し、酢酸エチル(40ml)で洗浄した。有機抽出液を分離し、無水MgSO4で乾燥し、ろ過シ、そして溶媒を減圧下で取り除いた。110mg(理論値の100%)のN-[2-アミノ-1-(2,4-ジクロロ-フェニル)-プロピル]-O-メチル-ヒドロキシルアミン(化合物Z1.14)を、無色の油の形態で、ジアステレオマーの混合物として得た:
1H NMR(400MHz、CDCl3):δ0.97+0.99(2d,3H,CH3)、2.00(sブロード,2H,NH2) 3.06-3.13+3.33-3.40(2m,1H,CH)、3.38+3.48(2s,3H,CH3)、4.25+4.43(2d,1H,CH)、〜6.1(sブロード,1H,NH)、7.24-7.58(m,3H,Ar-H).
MS[M+H]+ 249/251.
【0089】
N-[2-アミノ-1-(2,4-ジクロロ-フェニル)-プロピル]-O-メチル-ヒドロキシルアミンを、さらに精製することなく実施例P3で用いた。
【0090】
表1及び2:式IAの化合物
本発明は、以下の表1及び2に挙げられる式(IA)の好ましい各化合物により例示される。特徴データを表4に与える。
【化18】

以下の表Yの次に記載される表1及び2の各々は、式(IA)の98個の化合物{式中、R4、X、R7、R12、R13及びR14が、表Yに記載される基を有し、かつAが関連する表1及び2に記載される基を有する}を含む。こうして、表1は、Yが1でありそしてAが表1の冒頭に与えられる基を有する表Yに対応し、そして表2は、Yが2でありそしてAが表2の冒頭に与えられる基を有する表Yに対応する。
【0091】
【表1】

【0092】
【表2】

【0093】
【表3】

【0094】
【表4】

【0095】
【表5】

【0096】
表1は、Aが以下の:
【化19】

{式中、
点線は、A基がアミド結合に結合する結合点を指し、そして
4、X、R7、R12、R13及びR14は、表Yに定義されるとおりである}
である、式(IA)に表される98の化合物を提供する。例えば、化合物1.14は、以下の構造:
【化20】

を有する。
【0097】
表2は、Aが以下の:
【化21】

{式中、
点線は、A基がアミド結合に結合する結合点を指し、そして
4、X、R7、R12、R13及びR14が、表Yに定義されるとおりである}
である、式(IA)で表される98の化合物を提供する。
【0098】
表3:式IIAの化合物
本発明は、以下の表3に列挙される式(IIA)で表される好ましい化合物によりさらに示される:
【化22】

【表6】

【0099】
【表7】

【0100】
【表8】

【0101】
【表9】

【0102】
【表10】

【0103】
表4:特徴データ
表4は、表1及び2の化合物についての融点及びNMRデータを示す。CDCl3は、他に記載されない限り、NMR計測のための溶媒として使用した。溶媒混合物が存在する場合、例えば、CDCl3/d6-DMSOと記載される。全ての場合において、全ての特徴データーを列挙する試みは行われなかった。
【0104】
表4において及び以下の記載を通して、温度は摂氏で与えられ;「NMR」は、核磁気共鳴スペクトルを意味し;MSは、質量スペクトルを指し;「%」は、対応する濃度が他の単位で与えられない限り、重量%である。以下の略語が、本明細書を通じて使用される:
m.p.= 融点 b.p.= 沸点
S = 一本線 br = ブロード
d = 二重線 dd = 二個の二重線
t = 三重線 q = 四重線
m = 多重線 ppm= 百万分の一
【0105】
【表11】

【0106】
表1a及び2a:式IAaの化合物
表1及び2のそれぞれにおける以下の式(IA)で表される好適な化合物によりさらに例示される。
【化23】

【0107】
以下の表Yaの後に記載される表1a及び2aの各々は、式(IAa){式中、R4、X、R7、R12、R13及びR14は、表Yaで与えられる基を有し、そしてAが、表1a及び2aで与えられる基を有する}で表される98個の化合物を含む。こうして、表1aは、Yaが1であり、そしてAが、表1aの最初に与えられる基を有する表Yaに対応し、そして表2aは、Yaが2であり、そしてAが表2aの最初に与えられる基を有する表Yaに対応する。
【0108】
【表12】

【0109】
【表13】

【0110】
【表14】

【0111】
【表15】

【0112】
表1aは、Aが以下の:
【化24】

{式中
点線は、A基がアミド結合に結合する結合点を指し、そして
4、X、R7、R12、R13及びR14は、表Yaに定義されるとおりである}
である式(IAa)で表される98個の化合物を提供する。例えば、化合物1a.14は以下の構造:
【化25】

を有する。
【0113】
表2aは、Aが以下の:
【化26】

{式中、
点線は、A基がアミド結合に結合する結合点を指し、そして
4、X、R7、R12、R13及びR14は、表Yaに定義されるとおりである}
である式(IA)で表される98の化合物を提供する。
【0114】
表3a:式IIAの化合物
本発明は、以下の表3に列挙される式(IIAa)の好ましい化合物によりさらに示される。
【0115】
【化27】

【表16】

【0116】
【表17】

【0117】
【表18】

【0118】
【表19】

【0119】
【表20】

【0120】
式Iの化合物の製剤例
実施例F-1.1〜F-1.3:乳剤
【表21】

かかる濃縮物を水で希釈することにより任意の所望の濃度の乳濁液を製造することができる。
【0121】
実施例F-2:乳剤
【表22】

かかる濃縮物を水で希釈することにより、任意の所望の濃度の乳濁液を調製することができる。
【0122】
実施例F-3.1〜F3.4:溶液
【表23】

当該溶液は、マイクロドロップの形態で使用するのに適している。
【0123】
実施例F4.1〜F4.4:顆粒
【表24】

新規化合物をジクロロメタン中に溶解する。当該溶液を担体にスプレーし、そして次に溶媒を吸引下で蒸留することにより取り除く。
【0124】
実施例F5.1〜5.2:粉剤
【表25】

即時使用可能な粉剤を、全ての成分をよく混合することにより得る。
【0125】
実施例F6.1〜F6.3:水和剤
【表26】

全ての成分を混合し、そして適切なミル中で混合物を完全に粉末化ことにより、任意の所望の濃度の懸濁液となるように水で希釈可能な水和剤を得た。
【0126】
実施例F7:種子処理用の流動性濃縮物
【表27】

微粉化された活性成分を、アジュバントとよく混合し、任意の所望の希釈殿懸濁液を、水で希釈することにより得ることができる。かかる希釈液を用いてスプレー、注入又は浸漬することにより生存植物並びに植物繁殖材料を処理することができ、そして、微生物による感染に対する保護を与えることができる。
【0127】
生物学的実施例:殺菌作用
実施例B-1:豆におけるボツリチス・シネラ(Botrytis cinera)(灰色カビ)に対する作用
豆の葉片を、マルチウェルプレート(24ウェル形式)において寒天上に配置し、そして試験溶液(0.02%活性成分)をスプレーした。乾燥後、葉片に真菌の胞子懸濁液を接種する。適切なインキュベート時間後、化合物の活性を接種後3日目に、予防的殺菌活性として評価した。化合物1.01、1.14及び1.15は、本試験においてかなり良好な活性(20%以下の蔓延)を示した。化合物1.07は、本試験において良好な活性(50%以下の蔓延)を示した。
【0128】
実施例B-2:エリシフェ グラミニスf.sp.トリチシ(Erysiphe graminis f. sp. tritici)(小麦うどん粉病)に対する作用
小麦葉片を、マルチウェルプレート(24ウェル形式)において寒天上に配置し、そして試験溶液(0.02%活性成分)をスプレーした。乾燥後、葉片に真菌の胞子懸濁液を接種する。適切なインキュベート後に、活性化合物を、接種後7日目に、予防的殺菌活性として評価した。化合物1.14及び1.15が、本試験においてかなり良好な活性(20%以下の蔓延)を示した。化合物1.01は、本試験において、良好な活性(50%以下の蔓延)を示した。
【0129】
実施例B-3:大麦におけるピエノフォラ・テレス(Pyenophora teres)(網斑病)に対する作用
大麦葉片を、マルチウェルプレート(24ウェル形式)において寒天上に配置し、そして試験溶液(0.02%活性成分)をスプレーした。乾燥後、葉片に真菌の胞子懸濁液を接種する。適切なインキュベート後に、活性化合物を、接種後4日目に、予防的殺菌活性として評価した。化合物1.07、1.14、1.15及び1.76が、本試験においてかなり良好な活性(20%以下の蔓延)を示した。
【0130】
実施例B-4:マイコスフェレラ・アラキジス(Mycosphaerella arachidis)(ラッカセイの初期反転病;セルコスポラ・アラキジコラ(アナモルフ)(Cercospora arachidicola[anamorph]) に対する作用
凍結貯蔵から得た真菌の分生子を栄養培地(PDB、ポテトデキストロース培地)に直接混合した。試験化合物(0.002%の活性成分)のDMSO溶液をマイクロタイタープレート(96ウェル形式)に配置した後に、真菌胞子を含む栄養培地を加える。試験プレートを24℃でインキュベートし、そして増殖抑制を、6〜7日後に光度に基づき計測する。化合物活性を真菌増殖抑制(0=増殖抑制なし、80%〜99%は良好〜かなり良好の抑制を意味し、100%=完全な抑制)として表す。化合物1.01、1.14、1.15は、本試験においてかなり良好な活性を示す(80%以下の抑制)。化合物1.07及び2.01は、本試験において良好な活性を示す(50%以下の抑制)。
【0131】
実施例B-5:セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)に対する作用-真菌増殖アッセイ
凍結貯蔵から得た真菌の分生子を栄養培地(PDB、ポテトデキストロース培地)に直接混合した。試験化合物(0.002%の活性成分)のDMSO溶液をマイクロタイタープレート(96ウェル形式)に配置した後に、真菌胞子を含む栄養培地を加える。試験プレートを24℃でインキュベートし、そして増殖抑制を、72時間後に光度に基づき計測する。化合物活性を真菌増殖抑制(0=増殖抑制なし、80%〜99%は良好〜かなり良好の抑制を意味し、100%=完全な抑制)として表す。化合物1.01、1.07、1.14、1.15、1.76、及び2.01は、本試験においてかなり良好な活性を示す(80%以下の抑制)。
【0132】
実施例B-6:モノグラフェラ・ニバリス(Monographella nivalis)に対する作用(アナモルフ:フサリウム・ニバル(Fusarium nivale)、マイクロドチウム・ニバル(Microdochium nivale);雪腐れ病)に対する作用-真菌増殖アッセイ
凍結貯蔵から得た真菌の分生子を栄養培地(PDB、ポテトデキストロース培地)に直接混合した。試験化合物(0.002%の活性成分)のDMSO溶液をマイクロタイタープレート(96ウェル形式)に配置した後に、真菌胞子を含む栄養培地を加える。試験プレートを24℃でインキュベートし、そして増殖抑制を、72時間後に光度に基づき測定する。化合物活性を真菌増殖抑制(0=増殖抑制なし、80%〜99%は良好〜かなり良好の抑制を意味し、100%=完全な抑制である)として表す。化合物1.14及び1.15は、本試験においてかなり良好な活性を示す(80%以下の抑制)。
【0133】
実施例B-7:シュードセルコスポレラ・ヘルポトリコイデス ヴァル.アキュフォルミス(Pseudocerocosporella herpotrichoides var. acuformis)(眼紋病/穀類)-真菌増殖アッセイに対する作用
凍結貯蔵から得た真菌の分生子を栄養培地(PDB、ポテトデキストロース培地)に直接混合した。試験化合物(0.002%の活性成分)のDMSO溶液をマイクロタイタープレート(96ウェル形式)に配置した後に、真菌胞子を含む栄養培地を加える。試験プレートを24℃でインキュベートし、そして増殖抑制を、72時間後に光度に基づき測定する。化合物活性を真菌増殖抑制(0=増殖抑制なし、80%〜99%は良好〜かなり良好の抑制を意味し、100%=完全な抑制である)として表す。化合物1.01、1.14及び1.15は、本試験においてかなり良好な活性を示す(80%以下の抑制)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式I:
【化1】

{式中、
1がハロゲンメチルであり;
2がC1-C4アルキル、C1-C4ハロゲンアルキル、C1-C4アルコキシ-C1-C4アルキル又はC1-C4ハロゲンアルコキシ-C1-C4アルキルであり;そして
3が水素、ハロゲン又はシアノであり;
4、R5及びR6が互いに独立に、水素、ハロゲン、ニトロ、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC1-C6アルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC3-C6シクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC2-C6アルケニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC2-C6アルキニルを表すか;又は
4及びR5が、共に置換されないか又は1若しくは複数のC1-C6アルキル基により置換されるC2-C5アルキレン基であり;
Xが、酸素、硫黄、-N(R10)-又は-N(R11)-O-であり;
10及びR11が互いに独立に水素又はC1-C6アルキルを表し;
7が、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R9により置換されるC1-C6アルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R9により置換されるC3-C6シクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R9により置換されるC2-C6アルケニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R9により置換されるC2-C6アルキニルを表し;
12が、ハロゲン、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルキルチオ、シアノ、ニトロ、-C(Ra)=N(ORb)、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるC1-C6アルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるC3-C6シクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるC6-C14ビシクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるC2-C6アルケニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるC2-C6アルキニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるフェニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるフェノキシ、又は置換されないか又は1若しくは複数の置換基R15により置換されるピリジニルオキシを表し;
13が、水素、ハロゲン、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルキルチオ、シアノ、ニトロ、-C(Rc)=N(ORd)、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるC1-C6アルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるC3-C6シクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるC6-C14ビシクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるC2-C6アルケニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるC2-C6アルキニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるフェニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換されるフェノキシ、又は置換されないか又は1若しくは複数の置換基R16により置換される又はピリジニルオキシを表し;
14が、水素、ハロゲン、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルキルチオ、シアノ、ニトロ、-C(Re)=N(ORf)、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるC1-C6アルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるC3-C6シクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるC6-C14ビシクロアルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるC2-C6アルケニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるC2-C6アルキニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるフェニル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換されるフェノキシ、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R17により置換される又はピリジニルオキシを表し;
8、R9、R15、R16及びR17の各々が、互いに独立にハロゲン、ニトロ、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロゲンアルコキシ、C1-C6アルキルチオ、C1-C6ハロゲンアルキルチオ、C3-C6アルケニルオキシ、C3-C6アルキニルオキシ又は-C(Rg)=N(ORh)であり;
各Ra、Rc、Re及びRgが、互いに独立に水素又はC1-C6アルキルであり;
各Rb、Rd、Rf及びRhが、互いに独立にC1-C6アルキルであり;
18が、水素又はC3-C7シクロアルキルである}
で表される化合物、及び当該化合物の互変異生体/異性体/エナンチオマー。
【請求項2】
18が水素である、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項3】
1が、CF3、CF2H又はCFH2であり;
2が、C1-C4アルキルであり;そして
3が、水素又はハロゲンである、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項4】
1が、CF2Hであり;
2が、メチルであり;そして
3が、水素である、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項5】
4が、水素或いは置換されないか又は1若しくは複数の置換基R8により置換されるC1-C6アルキルである、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項6】
4が、水素又はメチルである、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項7】
4がメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
5及びR6が、共に水素である、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項9】
Xが酸素である、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項10】
7が、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R9により置換されるC1-C6アルキル、置換されないか又は1若しくは複数の置換基R9により置換されるC2-C6アルケニル、又は置換されないか又は1若しくは複数の置換基R9により置換されるC2-C6アルキニルを表す、請求項9に記載の式Iの化合物。
【請求項11】
7がメチルである、請求項10に記載の式Iの化合物。
【請求項12】
Xが、-N(R10)-又は-N(R11)-O-である、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項13】
以下の式II:
【化2】

{式中、R4、R5、R6、R7、X、R12、R13及びR14が各々請求項1に定義されるとおりである}
で表される化合物。
【請求項14】
植物病原性微生物による有用植物の感染を防除又は予防する方法であって、請求項1に記載の式Iの化合物又は当該化合物を活性成分として含む組成物を、植物、植物の一部、又はその栽培場所に施用する、前記方法。
【請求項15】
植物病原性微生物に対する防除及び予防用の組成物であって、請求項1に記載の式Iの化合物、及び不活性担体を含む、前記組成物。

【公表番号】特表2010−529062(P2010−529062A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510696(P2010−510696)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004547
【国際公開番号】WO2008/148570
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】