説明

殺菌剤の有効性を増大させるための亜リン酸のカルシウム塩

本発明は農業における殺菌剤の効果を増大させるための亜リン酸のカルシウム塩の使用に関する。本発明はさらに、固体製剤、該固体製剤の製造方法および有害菌類を防除するためのそれらの使用に関する。本発明はさらに、亜リン酸のカルシウム塩の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業における殺菌剤の有効性を増大させるために亜リン酸のカルシウム塩を使用することに関する。さらに、本発明は、固体製剤、固体製剤の調製方法および有害な菌類を防除するためのそれらの使用に関する。さらに、本発明は、亜リン酸のカルシウム塩の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
農業において、亜リン酸ならびにそのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩およびエステルが殺菌剤の有効性を増大させることは昔から知られている。US 4,075,324には、亜リン酸またはその塩に基づく殺菌組成物が記載されており、それは亜リン酸塩の一般的殺菌活性を実証している。殺菌剤と組み合わせた場合に、それらが単に相加的活性を有するのみであると述べられている。例として第二亜リン酸カルシウム(CaHPO3)の水和剤(wettable powder)に言及されている。US 5,626,281には、固体または固化した形態の亜リン酸塩を使用する顆粒水溶剤(water-soluble granule)の形の殺菌組成物の調製が開示されている。WO 2002/05650には、少なくとも1種のアミノ酸および少なくとも1種の藻類抽出物からなる有機化合物と組み合わせた亜リン酸の誘導体および塩を含む殺菌調製物が開示されている。WO 2004/047540には、ある種の合成殺菌剤と亜リン酸カリウムとの特に強い相乗効果が記載されている。WO 2006/128677には、亜リン酸の銅(II)塩、亜リン酸の別の金属塩および殺菌剤を含む殺菌組成物が開示されている。WO 2007/017220には、亜リン酸の塩と、殺菌活性を全くまたはほとんど持たず、固有の光触媒特性を有する化合物との相乗性混合物が記載されている。
【0003】
しかしながら、文献に記載された亜リン酸の誘導体の製剤の選択肢は限られており、また、ある条件下ではそれらの有効性も不十分である。特に、水和剤(WP)または顆粒水和剤(WG)などの固体の作物保護製剤の調製において、文献に記載された誘導体は施用に適した製品を提供するものではない。
【0004】
水和剤(water-dispersible powder)の調製では、活性化合物または活性化合物混合物を製剤補助剤と混合した後、ジェットミルまたは機械的粉砕機、例えばハンマーミルまたはピンミル中で粉砕する。粉砕前および粉砕後の両方で、粉末は十分な流動性を有し、満足な製品品質を達成することができなければならない。混合および粉砕工程中に、従来の亜リン酸のカリウム塩および/またはナトリウム塩を使用した場合、それらの吸湿性が高いために多量の集塊物が形成されて、加工が不可能になる。
【0005】
噴霧乾燥または流動層造粒法により顆粒水和剤(water-dispersible granule)を調製する際に、まず、活性化合物または活性化合物と種々の製剤補助剤との混合物の水溶液または粉砕懸濁液を製造し、これを小滴の形態に噴霧した後、対流により熱を導入して乾燥する。十分な造粒を達成するためには、とりうる加工温度で小滴を迅速に乾燥させることが必要となる。従来の亜リン酸のカリウムおよび/またはナトリウム塩を使用した場合、顆粒の製造は高温においてさえも不可能である。減圧下において乾燥した場合でさえも乾燥した製品は得られない。
【0006】
押出造粒法により顆粒水和剤を調製する際に、まず、活性化合物または活性化合物と種々の製剤補助剤との混合物の粉状粉砕プレミックスを調製した後、水により湿らせて捏ね、押出機(例えば、バスケット押出機またはラジアル押出機)を用いて円柱形の顆粒として押し出し、次いで対流により熱を導入して乾燥する。従来の亜リン酸のカリウムおよび/またはナトリウム塩を使用した場合、乾燥工程において加えた水を除去することはもはや不可能であり、安定な顆粒の調製は不可能である。
【0007】
その吸湿性のため、亜リン酸カリウムおよび亜リン酸ナトリウムは水性製剤中でのみ加工可能である。他のタイプの製剤、特に固体製剤、例えば顆粒水和剤(WG)または水和剤(water-dispersible powder)(WP)は除外される。これまでは、実際には、亜リン酸のカリウムおよび/またはナトリウム塩に基づく亜リン酸の液体製剤のみが使用されてきた。その高い吸湿性のために、これらの塩は固体の形態では満足に製剤することができない。一方、ある種の活性化合物、例えばジチオカルバメートは、化学的な理由から、液体製剤中では永久に安定ではない。このような活性化合物を共力剤と組み合わせて製剤すべき場合には、固体製剤のみが可能である。しかしながら、このような固体製剤は公知の亜リン酸ナトリウムおよびカリウムを用いて安定に調製することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US 4,075,324
【特許文献2】US 5,626,281
【特許文献3】WO 2002/05650
【特許文献4】WO 2004/047540
【特許文献5】WO 2006/128677
【特許文献6】WO 2007/017220
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、製剤が容易で広く応用可能な、作物保護における殺菌剤のための強力な共力剤、ならびに製剤の取り扱いおよび保存安定性が公知の製剤と比較して顕著に改善された、亜リン酸および適切な場合にはさらなる殺菌活性化合物に基づく固体製剤を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、農業における殺菌剤の有効性を増大させるために亜リン酸のカルシウム塩を使用することにより達成された。亜リン酸のカルシウム塩は好ましくは固体製剤の形態である。それらは特に好ましくは顆粒の形態である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によれば、亜リン酸のカルシウム塩は農業における殺菌剤の有効性を増大させるために使用される。一般に、1種以上、例えば2または3種の殺菌剤の有効性を同時に増大させることが可能である。好ましくは、亜リン酸のカルシウム塩は、有機合成化合物である殺菌剤の有効性を増大させるために使用される。有機合成殺菌剤は、通常炭素および水素から構成され、さらに酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子、ハロゲンおよび/またはリンを含み得る。このような殺菌剤は化学物質から、化学的変換により目標を定めた方法で調製される。
【0012】
さらに、殺菌剤は好ましくは実質的に銅塩を含まない。銅塩、例えばCu+またはCu2+を含む塩は、それ自体が殺菌作用を有することが知られる公知の化合物である。しかしながら、農業に使用される地域への銅塩の施用は、環境に有害である。「実質的に含まない」という用語は、殺菌剤の総重量を基準として通常3重量%未満、好ましくは1重量%未満、特に好ましくは0.1重量%未満を意味する。
【0013】
亜リン酸のカルシウム塩は農業における殺菌剤の有効性を増大させるために使用する。
【0014】
「殺菌剤の有効性を増大させる」とは、亜リン酸のカルシウム塩と組み合わせた場合に、活性が相乗的に増大させることを意味するものと理解される。さらに、多くの場合、活性スペクトルが広くなる可能性があり、または耐性の発現が防止される可能性がある。
【0015】
「亜リン酸」は、式P(OH)3を有する亜リン酸および互変異性体のホスホン酸HP(O)(OH)2の両方を意味するものと理解される。「亜リン酸の塩」は、亜リン酸の塩および互変異性体のホスホン酸の塩の両方を意味するものと理解される。亜リン酸の無機塩は通常ホスファイト(またはホスホネート;実験式[HPO3]2-)またはハイドロジェンホスファイト(またはハイドロジェンホスホネート;実験式[H2PO3]-)と呼ばれる。これ以後、亜リン酸の塩をホスファイトとも呼ぶ。
【0016】
好適な亜リン酸のカルシウム塩は、例えば、亜リン酸カルシウムCaHPO3または亜リン酸水素カルシウムCa(H2PO3)2である。亜リン酸水素カルシウムが好ましい。好ましい実施形態において、亜リン酸水素カルシウムにおけるカルシウムの亜リン酸に対するモル比は、1:2.1〜1:1.8、特に1:2.05〜1:1.9である。
【0017】
亜リン酸のカルシウム塩は結晶水を含む。好ましくは、それらは特にCa:H2Oのモル比が0.5:3〜3:0.5、特に0.8:2〜2:0.8となる量の結晶水を含む。一実施形態において、Caあたり1モルの結晶水を有する亜リン酸カルシウム(CaHPO3・1H2O)が好ましい。一般に、1重量%の水溶液として、それは2〜6、好ましくは3〜5のpHを有する。別の実施形態において、Caあたり1モルの結晶水を有する亜リン酸水素カルシウム(Ca(H2PO3)2・1H2O)が好ましい。特に好ましい亜リン酸のカルシウム塩はCa(H2PO3)2・1H2Oである。
【0018】
亜リン酸のカルシウム塩は、文献により一般的に公知である。その調製は、とりわけ、US 4,075,324に記載されている。ここでは、炭酸カルシウムと亜リン酸から亜リン酸水素カルシウムを調製する。あるいは、塩化カルシウムと亜リン酸アンモニウムから亜リン酸カルシウムを調製する。Dlouhy, EbertおよびVesely (Collection of Czechoslovak Chemical Communications, 1959, 2, 2801-2802)は、亜リン酸および固体のカルボン酸塩または水酸化物を出発物質とする亜リン酸水素カルシウムの調製について記載している。未反応の亜リン酸は過剰量のエタノールを用いて除去しなければならない。
【0019】
発明者らは、水酸化カルシウムCa(OH)2および/または酸化カルシウムCaOの水性懸濁液を亜リン酸H3PO3および水と反応させる、亜リン酸のカルシウム塩を調製するための特に有利な本発明の方法を見いだした。前記方法は、特に亜リン酸水素カルシウムを調製するのに好適である。亜リン酸は好ましくは水溶液の形で存在する。反応は、例えば20重量%強度の水酸化カルシウム懸濁液を50%強度のH3PO3溶液中に導入することにより、またはその逆に導入することにより実施することができる。別の方法では、固体のH3PO3を20%強度の水酸化カルシウム懸濁液に導入する。
【0020】
一般に、亜リン酸H3PO3および水を、エネルギーを加えながら水酸化カルシウムCa(OH)2および/または酸化カルシウムCaOの懸濁液に加える。反応は、20〜100℃の範囲の温度で実施することができる。添加および中和熱の消散の速度を調節することにより、反応温度を所望に応じて制御することができる。温度、中和の程度および濃度に依存して、形成された亜リン酸のカルシウム塩は溶解および/または懸濁した形で存在する。
【0021】
得られた亜リン酸のカルシウム塩の水性懸濁液を従来の方法により、例えばパドルドライヤー中での減圧蒸発により、凍結乾燥により、噴霧乾燥により、およびドラム乾燥により乾燥することができる。別の好ましい実施形態において、懸濁液は乾燥することなく固体製剤を調製するための本発明の方法に使用する。
【0022】
亜リン酸水素カルシウムを調製するために、通常1molの微細に粉砕した水酸化カルシウム水性懸濁液を2molの亜リン酸に加える。1重量%強度の水溶液のpHは、2.0〜6.0、好ましくは3.0〜5.0の範囲である。乾燥を100℃よりも低い温度で実施する場合、得られるものは通常1molの結晶水を含む固体の亜リン酸水素カルシウムである(残留水含有量約8%)。好ましくは、亜リン酸水素カルシウムの懸濁液は、亜リン酸水素カルシウム中にCaあたり1molの結晶水が残る時点で乾燥を止める。
【0023】
亜リン酸カルシウムを調製するために、通常1molの水酸化カルシウム水性懸濁液を1molの亜リン酸に加える。1重量%強度の水溶液のpHは6〜12、好ましくは7〜10の範囲である。
【0024】
亜リン酸のカルシウム塩を調製するための本発明の方法は、短い反応時間、水溶液のpHの迅速な調節および熱の発生が少ないことと共に変換率が高いという利点を有する。未反応の亜リン酸のエタノールによる抽出などの付加的な精製工程は必要ない。
【0025】
用語「殺有害生物剤」または「作物保護剤」は、殺菌剤、殺虫剤、殺線虫剤、除草剤、薬害軽減剤および成長調節物質からなる群より1種以上の化合物を選択することができることを意味する。上記のクラスの2つ以上の混合物を使用することも可能である。このような殺有害生物剤は当業者に公知であり、これらは、例えば、"Pesticide Manual", 13th Ed. (2003), The British Crop Protection Council, Londonに記載されている。
【0026】
下に挙げるのは、亜リン酸のカルシウム塩と共に使用することができる殺菌剤である。このリストは可能な組み合わせを説明することを目的とするものであって、それらを限定することを目的としない。これらの殺菌剤は、好ましくは亜リン酸のカルシウム塩と共に使用される。
【0027】
A)ストロビルリン類:
アゾキシストロビン(azoxystrobin)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、エネストロブリン(enestroburin)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、クレソキシムメチル(kresoxim-methyl)、メトミノストロビン(metominostrobin)、オリサストロビン(orysastrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、ピリベンカルブ(pyribencarb)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチルフェノキシ)-5-フルオロピリミジン-4-イルオキシ)フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチルアセトアミド、メチル2-(オルト-((2,5-ジメチルフェニルオキシメチレン)フェニル)-3-メトキシアクリレート、メチル3-メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシフェニル)シクロプロパンカルボキシイミドイルスルファニルメチル)フェニル)アクリレート、2-(2-(3-(2,6-ジクロロフェニル)-1-メチルアリリデンアミノオキシメチル)フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチルアセトアミド;
【0028】
B)カルボキシアミド類:
- カルボキシアニリド類:ベナラキシル(benalaxyl)、ベナラキシル-M、ベノダニル(benodanil)、ビキサフェン(bixafen)、ボスカリド(boscalid)、カルボキシン(carboxin)、フェンフラム(fenfuram)、フェンヘキサミド(fenhexamid)、フルトラニル(flutolanil)、フラメトピル(furametpyr)、イソピラザム(isopyrazam)、イソチアニル(isotianil)、キララキシル(kiralaxyl)、メプロニル(mepronil)、メタラキシル(metalaxyl)、メタラキシル-M、オフレース(ofurace)、オキサジキシル(oxadixyl)、オキシカルボキシン(oxycarboxin)、ペンチオピラド(penthiopyrad)、テクロフタラム(tecloftalam)、チフルザミド(thifluzamide)、チアジニル(tiadinil)、2-アミノ-4-メチルチアゾール-5-カルボキシアニリド、2-クロロ-N-(1,1,3-トリメチルインダン-4-イル)ニコチンアミド、N-(2’,4'-ジフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(2',4'-ジクロロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(2',5'-ジフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(2',5'-ジクロロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(3',5'-ジフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(3',5'-ジクロロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(3'-フルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(3'-クロロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(2'-フルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(2'-クロロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(3',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(2',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-[2-(1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロポキシ)フェニル]-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-[2-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)フェニル]-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(4'-トリフルオロメチルチオビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(3',4'-ジクロロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(2-(1,3-ジメチルブチル)フェニル)-1,3,3-トリメチル-5-フルオロ-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(4’-クロロ-3’,5'-ジフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(4’-クロロ-3’,5'-ジフルオロビフェニル-2-イル)-3-トリフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(3’,4’-ジクロロ-5'-フルオロビフェニル-2-イル)-3-トリフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(3’,5'-ジフルオロ-4’-メチルビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(3’,5'-ジフルオロ-4’-メチルビフェニル-2-イル)-3-トリフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(2-ビシクロプロピル-2-イルフェニル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(cis-2-ビシクロプロピル-2-イルフェニル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-(trans-2-ビシクロプロピル-2-イルフェニル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、
- カルボン酸モルホリド類:ジメトモルフ(dimethomorph)、フルモルフ(flumorph);
- ベンズアミド類:フルメトベル(flumetover)、フルオピコリド(fluopicolide)、フルオピラム(fluopyram)、ゾキサミド(zoxamide)、N-(3-エチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシル)-3-ホルミルアミノ-2-ヒドロキシベンズアミド;
- 他のカルボキシアミド類:カルプロパミド(carpropamid)、ジクロシメット(diclocymet)、マンジプロパミド(mandipropamid)、オキシテトラサイクリン(oxytetracyclin)、シルチオファム(silthiofam)、N-(6-メトキシピリジン-3-イル)シクロプロパンカルボキシアミド;
【0029】
C)アゾール類
- トリアゾール類:アザコナゾール(azaconazole)、ビテルタノール(bitertanol)、ブロムコナゾール(bromuconazole)、シプロコナゾール(cyproconazole)、ジフェノコナゾール(difenoconazole)、ジニコナゾール(diniconazole)、ジニコナゾール-M、エポキシコナゾール(epoxiconazole)、フェンブコナゾール(fenbuconazole)、フルキンコナゾール(fluquinconazole)、フルシラゾール(flusilazole)、フルトリアホール(flutriafole)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、イミベンコナゾール(imibenconazole)、イプコナゾール(ipconazole)、メトコナゾール(metconazole)、ミクロブタニル(myclobutanil)、オキスポコナゾール(oxpoconazole)、パクロブトラゾール(paclobutrazole)、ペンコナゾール(penconazole)、プロピコナゾール(propiconazole)、プロチオコナゾール(prothioconazole)、シメコナゾール(simeconazole)、テブコナゾール(tebuconazole)、テトラコナゾール(tetraconazole)、トリアジメホン(triadimefon)、トリアジメノール(triadimenole)、トリチコナゾール(triticonazole)、ウニコナゾール(uniconazole)、1-(4-クロロフェニル)-2-([1,2,4]トリアゾール-1-イル)シクロヘプタノール;
- イミダゾール類:シアゾファミド(cyazofamid)、イマザリル(imazalil)、イマザリル硫酸塩、ペフラゾエート(pefurazoate)、プロクロラズ(prochloraz)、トリフルミゾール(triflumizole);
- ベンズイミダゾール類:ベノミル(benomyl)、カルベンダジム(carbendazim)、フベリダゾール(fuberidazole)、チアベンダゾール(thiabendazole);
- その他:エタボキサム(ethaboxam)、エトリジアゾール(etridiazole)、ヒメキサゾール(hymexazole)、1-(4-クロロフェニル)-1-(プロピン-2-イルオキシ)-3-(4-(3,4-ジメトキシフェニル)イソキサゾール-5-イル)プロパン-2-オン;
【0030】
D)含窒素複素環化合物
- ピリジン類:フルアジナム(fluazinam)、ピリフェノックス(pyrifenox)、3-[5-(4-クロロフェニル)-2,3-ジメチルイソキサゾリジン-3-イル]ピリジン、3-[5-(4-メチルフェニル)-2,3-ジメチルイソキサゾリジン-3-イル]ピリジン、2,3,5,6-テトラクロロ-4-メタンスルホニルピリジン、3,4,5-トリクロロピリジン-2,6-ジカルボニトリル、N-(1-(5-ブロモ-3-クロロピリジン-2-イル)エチル)-2,4-ジクロロニコチンアミド、N-((5-ブロモ-3-クロロピリジン-2-イル)メチル)-2,4-ジクロロニコチンアミド;
- ピリミジン類:ブピリメート(bupirimate)、シプロジニル(cyprodinil)、ジフルメトリム(diflumetorim)、フェナリモール(fenarimol)、フェリムゾン(ferimzone)、メパニピリム(mepanipyrim)、ニトラピリン(nitrapyrin)、ヌアリモール(nuarimol)、ピリメタニル(pyrimethanil);
- ピペラジン類:トリホリン(triforine);
- ピロール類:フルジオキソニル(fludioxonil)、フェンピクロニル(fenpiclonil);
- モルホリン類:アルジモルフ(aldimorph)、ドデモルフ(dodemorph)、酢酸ドデモルフ、フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、トリデモルフ(tridemorph);
- ピペリジン類:フェンプロピジン(fenpropidin);
- ジカルボキシイミド類:フルオロイミド(fluoroimide)、イプロジオン(iprodione)、プロシミドン(procymidone)、ビンクロゾリン(vinclozolin);
- 非芳香族5員複素環:ファモキサドン(famoxadone)、フェナミドン(fenamidone)、オクチリノン(octhilinone)、プロベナゾール(probenazole)、S-アリル5-アミノ-2-イソプロピル-3-オキソ-4-オルト-トリル-2,3-ジヒドロピラゾール-1-チオカルボキシレート;
- その他:アシベンゾラル-S-メチル(acibenzolar-S-methyl)、アミスルブロム(amisulbrom)、アニラジン(anilazine)、ブラスチシジン-S(blasticidin-S)、カプタホール(captafol)、キャプタン(captan)、キノメチオネート(quinomethionate)、ダゾメット(dazomet)、デバカルブ(debacarb)、ジクロメジン(diclomezine)、ジフェンゾコート(difenzoquat)、ジフェンゾコートメチル硫酸塩、フェノキサニル(fenoxanil)、ホルペット(folpet)、オキソリン酸、ピペラリン(piperalin)、プロキナジド(proquinazid)、ピロキロン(pyroquilone)、キノキシフェン(quinoxyfen)、トリアゾキシド(triazoxide)、トリシクラゾール(tricyclazole)、2-ブトキシ-6-ヨード-3-プロピルクロメン-4-オン、5-クロロ-1-(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)-2-メチル-1H-ベンズイミダゾール、N-(4-(3-メトキシ-1-(5-メチル-[1,2,3]チアジアゾール-4-イル)ナフタレン-2-イル)チアゾール-2-イル)ブチルアミド、5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、6-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、6-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、5-メチル-6-(3,5,5-トリメチルヘキシル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、5-メチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、6-メチル-5-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、6-エチル-5-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、5-エチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、5-エチル-6-(3,5,5-トリメチルヘキシル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、6-オクチル-5-プロピル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、5-メトキシメチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、6-オクチル-5-トリフルオロメチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミンおよび5-トリフルオロメチル-6-(3,5,5-トリメチルヘキシル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン;
【0031】
E)カルバメート類およびジチオカルバメート類
- チオおよびジチオカルバメート類:フェルバム(ferbam)、マンコゼブ(mancozeb)、マネブ(maneb)、メタム(metam)、メタスルホカルブ(methasulfocarb)、メチラム(metiram)、プロピネブ(propineb)、チラム(thiram)、ジネブ(zineb)、ジラム(ziram);
-カルバメート類:ジエトフェンカルブ(diethofencarb)、ベンチアバリカルブ(benthiavalicarb)、イプロバリカルブ(iprovalicarb)、プロパモカルブ(propamocarb)、プロパモカルブ塩酸塩、バリフェナル(valiphenal)、4-フルオロフェニル-N-(1-(1-(4-シアノフェニル)エタンスルホニル)ブト-2-イル)カルバメート;
【0032】
F)他の殺菌剤
- グアニジン類:ドジン(dodine)、ドジン遊離塩基、グアザチン(guazatine)、酢酸グアザチン、イミノクタジン(iminoctadine)、イミノクタジン三酢酸塩、イミノクタジントリスアルベシレート(iminoctadine tris(albesilate));
- ニトロフェニル誘導体:ビナパクリル(binapacryl)、ジクロラン(dicloran)、ジノブトン(dinobuton)、ジノカップ(dinocap)、ニトロタールイソプロピル(nitrothal-isopropyl)、テクナゼン(tecnazene);
- 含硫黄複素環化合物:ジチアノン(dithianon)、イソプロチオラン(isoprothiolane);
- 有機リン化合物:エジフェンホス(edifenphos)、ホセチル(fosetyl)、ホセチルアルミニウム、イプロベンホス(iprobenfos)、ピラゾホス(pyrazophos)、トルクロホスメチル(tolclofos-methyl);
- 有機塩素化合物:クロロタロニル(chlorothalonil)、ジクロフルアニド(dichlofluanid)、ジクロロフェン(dichlorophen)、フルスルファミド(flusulfamide)、ヘキサクロロベンゼン、ペンシクロン(pencycuron)、ペンタクロロフェノールおよびその塩、フタリド(phthalide)、キントゼン(quintozene)、チオファネートメチル(thiophanate methyl)、トリルフルアニド(tolylfluanid)、(N-(4-クロロ-2-ニトロフェニル)-N-エチル-4-メチルベンゼンスルホンアミド;
- その他:ビフェニル、ブロノポール(bronopol)、シフルフェナミド(cyflufenamid)、シモキサニル(cymoxanil)、ジフェニルアミン、メトラフェノン(metrafenone)、ミルジオマイシン(mildiomycin)、プロヘキサジオンカルシウム(prohexadione-calcium)、スピロキサミン(spiroxamine)、トリルフルアニド(tolylfluanid)、N-(シクロプロピルメトキシイミノ-(6-ジフルオロメトキシ-2,3-ジフルオロフェニル)メチル)-2-フェニルアセトアミド、N'-(4-(4-クロロ-3-トリフルオロメチルフェノキシ)-2,5-ジメチルフェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、N'-(4-(4-フルオロ-3-トリフルオロメチルフェノキシ)-2,5-ジメチルフェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、N'-(2-メチル-5-トリフルオロメチル-4-(3-トリメチルシラニルプロポキシ)フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、N'-(5-ジフルオロメチル-2-メチル-4-(3-トリメチルシラニルプロポキシ)フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン。
【0033】
以下の本発明の化合物と共に使用することができる成長調節物質のリストは可能な組み合わせを説明するためのものであって、それらを限定するためのものではない。
【0034】
G)アブシジン酸、アミドクロル(amidochlor)、アンシミドール(ancymidol)、6-ベンジルアミノプリン、ブラシノライド(brassinolide)、ブトラリン(butralin)、クロルメコート(chlormequat)(クロルメコートクロリド)、塩化コリン、シクラニリド(cyclanilide)、ダミノジッド(daminozide)、ジケグラック(dikegulac)、ジメチピン(dimethipin)、2,6-ジメチルプリジン(2,6-dimethylpuridine)、エテホン(ethephon)、フルメトラリン(flumetralin)、フルルプリミドール(flurprimidol)、フルチアセット(fluthiacet)、ホルクロルフェニュロン(forchlorfenuron)、ジベレリン酸、イナベンフィド(inabenfid)、インドール-3-酢酸、マレイン酸ヒドラジド、メフルイジド(mefluidide)、メピコート(mepiquat)(メピコートクロリド)、メトコナゾール(metconazole)、ナフタレン酢酸、N-6-ベンジルアデニン、パクロブトラゾール(paclobutrazole)、プロヘキサジオン(prohexadione)(プロヘキサジオンカルシウム)、プロヒドロジャスモン(prohydrojasmon)、チジアズロン(thidiazuron)、トリアペンテノール(triapenthenol)、トリブチルホスホロトリチオエート、2,3,5-トリヨード安息香酸、トリネキサパックエチル(trinexapac-ethyl)およびウニコナゾール(uniconazole)。
【0035】
以下の亜リン酸のカルシウム塩と共に使用することができる除草剤のリストは可能な組み合わせを説明するためのものであって、それらを限定するためのものではない。
【0036】
H) グリホセート(glyphosate)、スルホセート(sulfosate)、グルホシネート(glufosinate)、テフルトリン(tefluthrin)、テルブホス(terbufos)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、クロレトキシホス(chlorethoxyfos)、テブピリムホス(tebupirimfos)、フェノキシカルブ(phenoxycarb)、ジオフェノラン(diofenolan)、ピメトロジン(pymetrozine)、イマゼタピル(imazethapyr)、イマザモックス(imazamox)、イマザピル(imazapyr)、イマザピック(imazapic)またはジメテナミド-P(dimethenamid-P)などの除草剤。
【0037】
以下の亜リン酸のカルシウム塩と共に使用することができる殺虫剤のリストは可能な組み合わせを説明するためのものであって、それらを限定するためのものではない。
【0038】
I) フィプロニル(fipronil)、イミダクロプリド(imidacloprid)、アセタミプリド(acetamiprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、カルボフラン(carbofuran)、カルボスルファン(carbosulfan)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、ジノテフラン(dinotefuran)、チアクロプリド(thiacloprid)、チアメトキサム(thiamethoxam)、クロチアニジン(clothianidin)、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)およびアルファシペルメトリン(alpha-cypermethrin)などの殺虫剤。
【0039】
本発明は特に亜リン酸のカルシウム塩および少なくとも1種の殺菌剤、例えば1種以上の、例えば1または2種の上記の群A)〜F)の活性化合物を含む製剤に関する。場合により、それらはさらなる作物保護剤、例えば上記の群G)〜H)に属するものを含んでもよい。
【0040】
これらの混合物の多くが、施用する活性化合物の総量を減少させても、特にある種の施用法において、有害な菌類に対して改善された活性を示すので、これらの混合物は施量を減らす目的で興味深い。亜リン酸のカルシウム塩と少なくとも1種の群A)〜F)の活性化合物とを同時に、一緒にまたは別々に施用することにより、殺菌効果は相加的以上に増大する。
【0041】
本発明の施用の目的で、一緒の施用とは、亜リン酸水素カルシウムおよび少なくとも1種の別の活性化合物が、作用の場所(すなわち、防除されるべき植物を損傷する菌類およびその生育環境、例えば感染した植物、植物繁殖材料、特に種子、土壌、材料または空間、ならびに菌類の攻撃に対して保護すべき植物、植物繁殖材料、特に種子、土壌、材料または空間)に、菌類の増殖を効果的に防除するのに十分な量で同時に存在していることを意味する。これは、活性化合物および少なくとも1種の別の活性化合物を併せて含む活性化合物組み合わせ調製物として一緒に施用するか、少なくとも2種の別々の活性化合物調製物として同時に施用することにより、あるいは、活性化合物を作用の場所に連続的に施用することにより(個々の活性化合物の施用の間隔は最初に施用された活性化合物が、別の活性化合物(1種または複数種)の施用の時点で作用の場所に十分な量で存在するように選択される)、達成することができる。活性化合物を施用する時間的な順序はあまり重要ではない。
【0042】
二成分混合物、すなわち亜リン酸のカルシウム塩および一種の別の活性化合物、例えば群A)〜I)、好ましくはA)〜F)に属する活性化合物を含む本発明の組成物において、亜リン酸のカルシウム塩のさらなる活性化合物に対する重量比は、一般に1:50〜250:1の範囲、好ましくは1:20〜100:1の範囲、特に1:1〜20:1の範囲である。
【0043】
三成分混合物、すなわち亜リン酸のカルシウム塩ならびに第一の別の活性化合物および第二の別の活性化合物、例えば群A)〜I)、好ましくはA)〜F)に属する2種の異なる活性化合物を含む本発明の組成物において、亜リン酸のカルシウム塩の第一の別の活性化合物に対する重量比は、好ましくは1:50〜250:1の範囲、好ましくは1:20〜100:1の範囲、特に1:1〜20:1の範囲である。亜リン酸のカルシウム塩の第二の別の活性化合物に対する重量比は、好ましくは1:50〜250:1の範囲、好ましくは1:20〜100:1の範囲、特に1:1〜20:1の範囲である。第一の別の活性化合物の第二の別の活性化合物に対する重量比は、好ましくは1:50〜50:1の範囲、特に1:10〜10:1の範囲である。
【0044】
本発明の組成物の成分は、個々に、または調合済み製品として、または部品のキットとして包装および使用することができる。本発明の一実施形態において、キットは、本発明の農薬組成物を調製するために使用し得る成分の1種以上(全部を含む)を含んでよい。これらのキットは、例えば、1種以上の殺菌剤成分および/または補助剤成分および/または殺虫剤成分および/または成長調節物質成分および/または除草剤を含み得る。1種以上の成分が互いに混合またはあらかじめ製剤されて存在し得る。キットに2成分以上が含まれる実施形態において、成分は互いに混合して一つの容器、例えば器、瓶、缶、袋、サックまたはキャニスターに充填されて存在することができる。別の実施形態において、キットの2種以上の成分は別々に、すなわち、あらかじめ製剤または混合せずに包装させていてもよい。キットは1以上の別々の容器、例えば器、瓶、缶、袋、サックまたはキャニスターを含み、それぞれの容器が農薬組成物の別々の成分を含む。本発明の組成物の成分は、さらに、個々に、または調合済み製品として、または部品のキットとして包装および使用することができる。どちらの形態においても、成分は、本発明の混合物を調製するために、他の成分と別々にもしくは一緒に、または本発明の部品のキットの成分として使用することができる。
【0045】
使用者、例えば農業従事者は、通常、予備調剤(predosage)装置、ナップザック式噴霧機、噴霧タンク、または噴霧飛行機を用いて本発明の組成物を使用する。ここで、農薬組成物を水および/または緩衝液により所望の施用濃度に希釈し、適切な場合にはさらなる補助剤を加えて、そのまま使用できる噴霧液または本発明の農薬組成物を得る。通常、農業用地の1ヘクタールあたり50〜500リットル、好ましくは100〜400リットルのそのまま使用できる噴霧液を施用する。
【0046】
一実施形態によれば、使用者自身が、個々の成分、例えばキットの部品または本発明の組成物の2または3成分混合物を噴霧タンク中で混合してもよく、適切な場合にはさらなる補助剤を加えてもよい(タンクミックス)。別の実施形態において、使用者は本発明の組成物の個々の成分および部分的に調合済みの成分(例えば亜リン酸のカルシウム塩および/または群A)〜I)に属する活性化合物を含む成分)の両方を噴霧タンク中で混合してよく、適切な場合にはさらなる補助剤を加えてもよい(タンクミックス)。別の実施形態において、使用者は本発明の組成物の個々の成分および部分的に調合済みの成分(例えば亜リン酸のカルシウム塩および/または群A)〜I)に属する活性化合物を含む成分)の両方を、一緒に(例えばタンクミックスとして)または連続して使用してもよい。
【0047】
亜リン酸のカルシウム塩、ならびに群A)のストロビルリン類に属する少なくとも1種の活性化合物、特に、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビンおよびトリフロキシストロビンからなる群より選択される少なくとも1種の活性化合物を含む固体製剤が好ましい。
【0048】
亜リン酸のカルシウム塩、ならびに群B)のカルボキシアミド類より選択される少なくとも1種の活性化合物、特に、フェンヘキサミド、メタラキシル、メフェノキサム、オフレース、ジメトモルフ、フルモルフ、フルオピコリド(ピコベンザミド)、ゾキサミド、カルプロパミドおよびマンジプロパミドからなる群より選択される少なくとも1種の活性化合物を含む固体製剤が好ましい。
【0049】
亜リン酸のカルシウム塩、ならびに群C)のアゾール類より選択される少なくとも1種の活性化合物、特に、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、エポキシコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリチコナゾール、プロクロラズ、シアゾファミド、ベノミル、カルベンダジムおよびエタボキサムからなる群より選択される少なくとも1種の活性化合物を含む固体製剤が好ましい。
【0050】
亜リン酸のカルシウム塩、ならびに群D)の含窒素複素環化合物より選択される少なくとも1種の活性化合物、特に、フルアジナム、シプロジニル、フェナリモール、メパニピリム、ピリメタニル、トリホリン、フルジオキソニル、ホデモルフ(fodemorph)、フェンプロピモルフ、トリデモルフ、フェンプロピジン、イプロジオン、ビンクロゾリン、ファモキサドン、フェナミドン、プロベナゾール、プロキナジド、アシベンゾラル-S-メチル、カプタホール、ホルペット、フェノキサニルおよびキノキシフェンからなる群より選択される少なくとも1種の活性化合物を含む固体製剤が好ましい。
【0051】
亜リン酸のカルシウム塩、ならびに群E)のカルバメート類より選択される少なくとも1種の活性化合物、特に、マンコゼブ、メチラム、プロピネブ、チラム、イプロバリカルブ、フルベンチアバリカルブ(ベンチアバリカルブとしても知られる)およびプロパモカルブからなる群より選択される少なくとも1種の活性化合物を含む固体製剤が好ましい。別の実施形態において、好ましい活性化合物はチオおよびジチオカルバメート類、例えば、フェルバム、マンコゼブ、マネブ、メタム、メタスルホカルブ、メチラム、プロピネブ、チラム、ジネブ、ジラム、特にジチオカルバメート類である。
【0052】
亜リン酸のカルシウム塩、ならびに群F)の殺菌剤より選択される少なくとも1種の活性化合物、特に、ジチアノン、ホセチル、ホセチルアルミニウム、クロロタロニル、ジクロフルアニド、チオファネートメチル、シモキサニル、メトラフェノン、スピロキサミンおよび5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]-トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンからなる群より選択される少なくとも1種の活性化合物を含む固体製剤が好ましい。
【0053】
本発明の好ましい実施形態は、表Aに記載されている組成物A-1〜A-267、特に固体製剤の形態のものに関する。ここで、表Aの一つの行はそれぞれ、亜リン酸のカルシウム塩(成分1)および該当する行に記載されている群A)〜F)に属するそれぞれのさらなる活性化合物(成分2)を含む農薬組成物に相当する。また、別の好ましい実施形態は、亜リン酸水素カルシウムCa(H2PO3)2の代わりに亜リン酸カルシウムCaHPO3を使用する表Aと類似の組成物に関する。記載されている表Aの組成物において、活性化合物はそれぞれの場合に好ましくは相乗効果を有する量で存在する。
【0054】
組成物A-9、A-20、A-186、A-232、A-5、A-66、A-139、A-171、A-196およびA-200で、それぞれの場合に成分1がCa(H2PO3)2であるものが特に好ましい。組成物A-9、A-20、A-186およびA-232で、それぞれの場合に成分1がCa(H2PO3)2であるものがとりわけ好ましい。
【表1】








【0055】
上に成分2として言及した活性化合物、その調製およびその有害な菌類に対する活性は公知であり(参照:http://www.alanwood.net/pesticides/)、それらは市販されている。IUPACに従って命名された化合物、その調製およびその殺菌活性も同様に公知である(参照:EP-A 226 917;EP A 1 028 125;EP-A 1 035 122;EP-A 1 201 648;WO 98/46608;WO 99/24413;WO 03/14103;WO 03/053145;WO 03/066609;WO 04/049804)。
【0056】
好ましい実施形態において、亜リン酸のカルシウム塩は亜リン酸水素カルシウムであり、殺菌剤は、ジチアノン、ピラクロストロビン、ボスカリド、5-エチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、ジメトモルフ、メチラム、マンコゼブ、ホルペットおよびクレソキシムメチルからなる群より選択される少なくとも1種の殺菌剤を含む。好ましくは、殺菌剤は、ジチアノン、ピラクロストロビン、ボスカリドおよび5-エチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミンからなる群より選択される少なくとも1種の殺菌剤である。
【0057】
特に好ましい実施形態において、亜リン酸のカルシウム塩は亜リン酸水素カルシウムであり、殺菌剤は含硫黄複素環化合物、好ましくはジチアノンである。亜リン酸水素カルシウムの殺菌剤に対する重量比は、多くの場合50/1〜1/20、好ましくは10/1〜1/5、特に7/1〜1/1である。
【0058】
別の特に好ましい実施形態において、亜リン酸のカルシウム塩は亜リン酸水素カルシウムであり、殺菌剤はストロビルリン、好ましくはピラクロストロビンである。亜リン酸水素カルシウムの殺菌剤に対する重量比は、多くの場合3/1〜1/500、好ましくは1/10〜1/200、特に1/80〜1/120である。
【0059】
別の特に好ましい実施形態において、亜リン酸のカルシウム塩は亜リン酸水素カルシウムであり、殺菌剤はカルボキシアニリド、好ましくはボスカリドである。亜リン酸水素カルシウムの殺菌剤に対する重量比は、多くの場合3/1〜1/300、好ましくは1/5〜1/100、特に1/35〜1/65である。
【0060】
別の特に好ましい実施形態において、亜リン酸のカルシウム塩は亜リン酸水素カルシウムであり、殺菌剤は殺菌活性を有する[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、好ましくは5-エチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミンである。亜リン酸水素カルシウムの殺菌剤に対する重量比は、多くの場合5/1〜1/200、好ましくは1/1〜1/50、特に1/5〜1/25である。
【0061】
別の特に好ましい実施形態において、亜リン酸のカルシウム塩は亜リン酸水素カルシウムであり、殺菌剤はジチアノンであり、第二の殺菌剤はジチアノン、ピラクロストロビン、ボスカリド、5-エチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、ジメトモルフ、メチラム、マンコゼブ、ホルペットおよびクレソキシムメチルからなる群より選択される。亜リン酸水素カルシウムの第二の殺菌剤に対する重量比は、多くの場合50/1〜1/20、好ましくは15/1〜1/5、特に10/1〜1/1である。
【0062】
殺有害生物剤の総量は、固体製剤を基準として1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%である。
【0063】
活性化合物の総量は、固体製剤中の殺有害生物剤および亜リン酸のカルシウム塩の合計である。活性化合物の総量は、固体製剤を基準として、40重量%以上、好ましくは50重量%以上、特に60重量%以上である。
【0064】
本発明はさらに、亜リン酸のカルシウム塩および殺菌剤を含む作物保護のための固体製剤を提供する。固体製剤のタイプの例は、水和剤または粉剤(WP、SP、SS、WS、DP、DS)または顆粒剤(SG、WG、GR、GG、MG)であり、これらは水溶性(可溶性)または水分散性(湿潤性)のいずれかであり得る。本発明の固体製剤は好ましくは顆粒剤、特に顆粒水和剤または顆粒水溶剤の形態である。顆粒の平均粒径は、一般に0.05〜5 mm、好ましくは0.1〜1 mmである。
【0065】
固体製剤中の亜リン酸のカルシウム塩は、亜リン酸水素カルシウムおよび/または亜リン酸カルシウムを含み得る。好ましくは、固体製剤中の亜リン酸のカルシウム塩は亜リン酸水素カルシウムを含む。
【0066】
本発明の固体製剤はさらに作物保護剤の製剤に従来使用される補助剤を含んでもよい。補助剤の選択は特定の使用形態および/または活性化合物に依存する。作物保護剤の製剤に従来使用される補助剤の例は、溶媒、固体の担体、界面活性剤(例えば、可溶化剤、保護コロイド、湿潤剤および粘着付与剤)、凝固剤(lumping agent)、有機および無機増粘剤、殺細菌剤、凍結防止剤、消泡剤、着色剤および接着剤である。
【0067】
溶媒の例は、水、有機溶媒、例えば灯油およびジーゼル油などの中程度から高い沸点の鉱油留分、さらにコールタール油、ならびに植物または動物由来の油、脂肪族、環式および芳香族炭化水素、例えば、パラフィン類、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン類、およびその誘導体、アルキル化ベンゼン類およびその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびシクロヘキサノールなどのアルコール類、グリコール類、シクロヘキサノンなどのケトン類、ガンマブチロラクトン、ジメチル脂肪酸アミド、脂肪酸および脂肪エステルならびに強極性溶媒、例えばN-メチルピロリドンなどのアミン類である。原則として、溶媒混合物、ならびに上記の溶媒と水との混合物も使用可能である。好ましくは、それらは溶媒として水を含む。本発明の固体製剤は通常実質的に有機溶媒を含まない。好ましくは、固体製剤は、20重量%以下、好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下、特に2重量%以下、とりわけ0.5重量%以下の有機溶媒を含む。好ましくは、固体製剤は、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、特に好ましくは2重量%以下、特に1重量%以下、とりわけ0.3重量%以下の水を含む(亜リン酸のカルシウム塩の結晶水として結合している水は計算に入れない)。
【0068】
例として以下の固体の担体:a)無機化合物:鉱物質土類、例えばシリカゲル、ケイ酸塩、タルク、カオリン、アタクレイ(attaclay)、石灰石、石灰、白亜、黄土、粘土、白雲石、珪藻土、硫酸カルシウムおよび硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、アタパルジャイト、モンモリロナイト、雲母、バーミキュライト、合成ケイ酸、アモルファスケイ酸および合成ケイ酸カルシウムまたはそれらの混合物;b)有機化合物:粉砕したプラスチック、肥料、例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、チオ尿素および尿素、植物由来の製品、例えば穀類の粗挽き粉、樹皮の粗挽き粉、木材の粗挽き粉および木の実の殻の粗挽き粉、セルロース粉末に言及し得る。好ましい固体の担体はケイ酸である。固体の担体、例えばケイ酸は凝固剤として使用することもできる。したがって、本発明の目的のために、凝固剤は固体の担体である。
【0069】
本発明の固体製剤は、好ましくは25重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、特に10重量%以下、とりわけ5重量%以下の固体の担体を含む。このように固体の担体の含有量が低いことにより、活性化合物および他の補助剤の含有量をより多くすることができる。
【0070】
好適な界面活性剤(補助剤、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤または乳化剤)は、以下の通りである。すなわち、
芳香族スルホン酸、例えばリグノスルホン酸(Borresperse(登録商標)型、Borregaard、ノルウェー)、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸(Morwet(登録商標)型、Akzo Nobel、米国)およびジブチルナフタレンスルホン酸(Nekal(登録商標)型、BASF、ドイツ)のアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウム塩、ならびに脂肪酸の塩、アルキルおよびアルキルアリールスルホネート、アルキル、ラウリルエーテルおよび脂肪アルコールサルフェート、ならびに硫酸化ヘキサ、ヘプタおよびオクタデカノールの塩、ならびに脂肪アルコールグリコールエーテルの塩、スルホン化ナフタレンおよびその誘導体とホルムアルデヒドとの縮合物、ナフタレンまたはナフタレンスルホン酸とフェノールおよびホルムアルデヒドとの縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシ化イソオクチルフェノール、オクチルフェノールまたはノニルフェノール、アルキルフェニルポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール類、イソトリデシルアルコール、脂肪アルコール/エチレンオキシド縮合物、エトキシ化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類またはポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセテート、ソルビトールエステル類、リグノ亜硫酸廃液、ならびにタンパク質、変性タンパク質、多糖(例えばメチルセルロース)、疎水性に修飾されたでんぷん、ポリビニルアルコール(Mowiol(登録商標)型、Clariant、スイス)、ポリカルボキシレート類(Sokalan(登録商標)型、BASF、ドイツ)、ポリアルコキシレート類、ポリビニルアミン(Lupamin(登録商標)型、BASF、ドイツ)、ポリエチレンイミン(Lupasol(登録商標)型、BASF、ドイツ)、ポリビニルピロリドンおよびそのコポリマーである。好適なものは、さらに、例えば、脂肪アルコールアルコキシレートのリン酸エステル類(Lutensit(登録商標) A-EP、BASF、ドイツ)およびアルキルポリグルコシド類である。
【0071】
好ましくは、本発明の固体製剤は少なくとも1種の芳香族スルホン酸および/またはその塩を含む。一実施形態において、製剤は1種よりも多く、例えば2または3種を含み得る。好適な芳香族スルホン酸および/またはその塩は、例えばリグノスルホン酸(Borresperse(登録商標)型、Borregaard、ノルウェー)、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸(Morwet(登録商標)型、Akzo Nobel、米国)およびジブチルナフタレンスルホン酸(Nekal(登録商標)型、BASF、ドイツ)、アルキルアリールスルホネート、スルホン化ナフタレンおよびその誘導体とホルムアルデヒドとの縮合物(Tamol(登録商標)型、BASF、ドイツ)、ナフタレンスルホン酸とフェノールおよびホルムアルデヒドとの縮合物である。好適な塩は、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウム塩である。芳香族スルホン酸および/またはその塩の含有量は、固体製剤の総重量を基準として、通常1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは10〜25重量%である。
【0072】
好ましくは、固体製剤は少なくとも2種の異なる芳香族スルホン酸および/またはその塩を含む。2種の芳香族スルホン酸および/またはその塩の重量比は、通常10:1〜1:1の範囲、好ましくは5:1〜1:1の範囲、特に2:1〜1:1の範囲である。特に好ましくは、固体製剤は、リグノスルホン酸またはその塩ならびにナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドおよび/またはフェノールとの縮合物またはその塩を含む。それは、特にリグノスルホン酸ナトリウムおよびナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合物ナトリウム塩を含む。少なくとも2種の異なる芳香族スルホン酸および/またはその塩の総量は、固体製剤の総重量を基準として通常10〜45重量%、好ましくは15〜40重量%、特に好ましくは20〜35重量%である。
【0073】
特に好ましくは、固体製剤は少なくとも2種の異なる芳香族スルホン酸および/またはその塩、ならびに少なくとも1種の別の界面活性剤を含む。別の界面活性剤は好ましくは脂肪アルコールアルコキシレートのリン酸エステル、アルキルナフタレンスルホネート、アルキルグルコシド、ラウリルサルフェートまたはそのアルカリ金属、アルカリ土類金属もしくはアンモニウム塩である。別の界面活性剤の含有量は、固体製剤の総重量を基準として、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、特に好ましくは1〜3重量%である。
【0074】
界面活性剤の割合は、固体製剤の総重量を基準として、一般に0.5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは20〜40重量%の範囲である。
【0075】
さらに、以下のものをさらなる補助剤として従来の使用量で使用し得る。
【0076】
水溶性の塩、例えば水溶性アンモニウム塩、例えば硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、蟻酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、二リン酸水素アンモニウム(ammonium hydrogen diphosphate)、一リン酸二水素アンモニウム(ammonium dihydrogen monophosphate)、リン酸水素アンモニウムナトリウム、チオシアン酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウムまたはカルバミン酸アンモニウム;または水溶性硫酸塩、例えば硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム;または他の水溶性の塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム。水溶性アンモニウム塩または硫酸塩、特に硫酸アンモニウムが好ましい。
【0077】
結合剤、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、部分的に加水分解された酢酸ポリビニル、カルボキシメチルセルロース、でんぷん、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーおよびポリ酢酸ビニルまたはそれらの混合物;
錯体形成剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の塩、トリニトリロ三酢酸の塩もしくはポリリン酸の塩またはそれらの混合物;
増粘剤、例えば多糖ならびに有機および無機層状鉱物、例えばキサンタンガム(Kelzan(登録商標), CP Kelco、米国)、Rhodopol(登録商標)23(Rhodia、フランス)またはVeegum(登録商標)(R.T. Vanderbilt、米国)またはAttaclay(登録商標)(Engelhard Corp., NJ、米国)。本発明の固体製剤は通常実質的に増粘剤を含まない。
【0078】
殺細菌剤、例えばジクロロフェンおよびベンジルアルコールヘミホルマールに基づくもの(ICI製のProxel(登録商標)、またはThor Chemie製のActicide(登録商標) RSおよびRohm & Haas製のKathon(登録商標) MK)、ならびにイソチアゾリノン誘導体、例えばアルキルイソチアゾリノン類およびベンズイソチアゾリノン類(Thor Chemie製のActicide(登録商標) MBS)。本発明の固体製剤は通常実質的に殺細菌剤を含まない。
凍結防止剤、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、尿素およびグリセリン。本発明の固体製剤は通常実質的に凍結防止剤を含まない。
消泡剤、例えばシリコーンエマルション(例えば、Wacker(ドイツ)製のSilikon(登録商標) SREまたはRhodia(フランス)製のRhodorsil(登録商標))、長鎖アルコール、脂肪酸、脂肪酸の塩、有機フッ素化合物およびそれらの混合物;
【0079】
着色剤(水に難溶性の顔料および水溶性の染料の両方)、例えば、ローダミン(Rhodamin)B、C.I.ピグメントレッド112およびC.I.ソルベントレッド1、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー80、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー13、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントオレンジ43、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ5、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン7、ピグメントホワイト6、ピグメントブラウン25、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット49、アシッドレッド51、アシッドレッド52、アシッドレッド14、アシッドブルー9、アシッドイエロー23、ベーシックレッド10、ベーシックレッド108の名称で知られる染料および顔料。本発明の固体製剤は通常実質的に着色剤を含まない。
【0080】
本発明の固体製剤は公知の方法で調製することができる。
【0081】
a) 顆粒水和剤(water-dispersible granule)および顆粒水溶剤(water-soluble granule)(WG、SG)
50重量部の亜リン酸のカルシウム塩に50重量部の分散剤および湿潤剤を加えて微細に粉砕し、技術機器(例えば、押出、噴霧塔、流動層)を用いて顆粒水和剤または顆粒水溶剤を製造する。水により希釈すると活性化合物の安定な分散物または溶液が得られる。製剤は50重量%の活性化合物含有量を有する。
【0082】
b) 水和剤(water-dispersible powder)および水溶剤(water-soluble powder)(WP、SP、SS、WS)
75重量部の亜リン酸のカルシウム塩に25重量部の分散剤、湿潤剤およびシリカゲルを加えてロータステータミル(rotor-stator mill)により粉砕する。水により希釈すると活性化合物の安定な分散物または溶液が得られる。製剤の活性化合物含有量は75重量%である。
【0083】
c) 粉剤(dust)(DP、DS)
5重量部亜リン酸のカルシウム塩を微細に粉砕して、95重量部の微細に粉砕したカオリンと緊密に混合する。これにより5重量%の活性化合物含有量を有する散粉可能な製品が得られる。
【0084】
d) 顆粒剤(granules)(GR、FG、GG、MG)
0.5重量部の亜リン酸のカルシウム塩を微細に粉砕して、99.5重量部の担体と結合させる。最新の方法は押出、噴霧乾燥または流動層である。これにより0.5重量%の活性化合物含有量を有する希釈せずに施用する顆粒が得られる。
【0085】
有利には、使用される亜リン酸のカルシウム塩を含む固体製剤を調製するための本発明の方法では、亜リン酸のカルシウム塩を含む水性組成物を乾燥する。通常、まず亜リン酸のカルシウム塩、殺菌剤および場合により製剤補助剤を含む水性組成物を作る。水性組成物は好ましくは懸濁液またはスラリーである。特に好ましくは、水性組成物は、それぞれ水性組成物の総量を基準として、20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%、特に好ましくは40〜60重量%の水を含む。水性組成物は、例えばビーズミル中で粉砕することができる。
【0086】
水性組成物は噴霧乾燥または他の造粒法により乾燥することができる。押出造粒、流動層造粒、ミキサー造粒およびディスク造粒などの造粒法が好ましい。好適な温度範囲は、20〜200℃、好ましくは40〜100℃の製品温度である。流動層造粒(FBG)が特に好ましい。目的とする製剤の組成に依存して、処方のすべての成分を含む水性溶液、エマルションまたは懸濁液をFBG装置中に噴霧して凝集させる。乾燥して、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、特に好ましくは2重量%以下、特に1重量%以下、とりわけ0.3重量%以下の水含有量の固体製剤を得る(亜リン酸のカルシウム塩中に結晶水として結合する水は計算に入れない)。
【0087】
しかしながら、場合により、まず装置に活性化合物の塩および/または無機アンモニウム塩を入れて、これを処方の残りの材料の溶液またはエマルション/懸濁液と共に噴霧しその結果として凝集させることも可能である。さらに、処方の成分の一部を含む水性溶液、エマルションまたは懸濁液を活性化合物の顆粒、活性化合物の塩および/または無機アンモニウム塩に連続的に適用して、それにより種々のコーティング層を得ることも可能である。
【0088】
一般に、顆粒は流動層造粒の間に十分に乾燥される。しかしながら、造粒の後に、同じまたは別の乾燥機により独立した乾燥工程を実施することが有利であり得る。造粒/乾燥の後、製品を冷却し、ふるいにかける。
【0089】
別の特に好適な方法は押出造粒である。押出造粒に好適なものは、好ましくは、顆粒の圧縮度が低いバスケット押出機、ラジアル押出機またはドーム押出機である。造粒には、固体の混合物を好適なミキサーに入れ、造粒液を使用してペーストにして、押出可能な材料を形成する。これを上記の押出機の一つにおいて押出加工する。押出には、0.3〜3 mm(好ましくは0.5〜1.5 mm)の大きさの穴を使用する。固体の混合物として、活性化合物、製剤補助剤および適切な場合には水溶性塩の混合物を使用する。これらは一般にあらかじめ粉砕しておく。ある場合には、水不溶性の物質のみを好適な粉砕機であらかじめ粉砕するのみで十分である。好適な造粒液は水、本発明のAPGまたはその水溶液である。また、無機塩、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤の水溶液、結合剤(例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、でんぷん、ビニルピロリジン/酢酸ビニルコポリマー、糖、デキストリンまたはポリエチレングリコール)の溶液も好適である。押出造粒の後、得られた顆粒を乾燥し、適切な場合にはふるいにかけて粗すぎるまたは細かすぎる粒子を除去する。
【0090】
得られた顆粒は、冷水に容易に溶解または分散する、粉塵を含まず、流動性で、固化しない製品である。
【0091】
本発明の固体製剤は、一般に0.01〜95重量%、好ましくは0.1〜90重量%、特に好ましくは20〜80重量%、特に30〜70重量%の亜リン酸のカルシウム塩を含む。好ましくは、ここで、90%〜100%、好ましくは95%〜100%の純度のものを使用する。
【0092】
固体製剤は一般に以下の組成:
20〜80重量%の亜リン酸のカルシウム塩
1〜40重量%の殺菌剤および場合により他の殺有害生物剤
0.5〜60重量%の界面活性剤
他の補助剤を加えて100重量%とする
を有する。
【0093】
以下の組成:
20〜80重量%の亜リン酸のカルシウム塩
1〜40重量%の殺菌剤および場合により他の殺有害生物剤
5〜30重量%のリグノスルホン酸またはその塩
5〜30重量%のナフタレンスルホン酸とフェノールおよびホルムアルデヒドとの縮合物
他の補助剤を加えて100重量%とする
が好ましい。
【0094】
以下の組成:
30〜70重量%の亜リン酸のカルシウム塩
3〜30重量%の殺菌剤および場合により他の殺有害生物剤
5〜20重量%のリグノスルホン酸またはその塩
10〜25重量%のナフタレンスルホン酸とフェノールおよびホルムアルデヒドとの縮合物
0〜5重量%の別の界面活性剤
0〜6重量%の水溶性の塩
0〜5重量%の固体の担体
他の補助剤を加えて100重量%とする
が特に好ましい。
【0095】
上に例として言及した組成物の一実施形態において、固体製剤は活性化合物として殺菌剤のみを含み、別の実施形態において、固体製剤はさらに別の殺有害生物剤を含む。上に例として言及した組成物の別の実施形態において、固体製剤は、亜リン酸のカルシウム塩として亜リン酸水素カルシウムを含む。
【0096】
本発明はまた、相乗効果を有する量の亜リン酸のカルシウム塩および殺菌剤を含む組成物を植物、種子または土壌に施用する、植物病原性の有害な菌類を防除する方法に関する。好ましくは、組成物は本発明の固体製剤である。
【0097】
植物繁殖材料、特に種子を処理するために、通常、粉剤(DS)、水和剤および水溶剤(WS、SS)を使用する。これらの製剤は、繁殖材料、特に種子に、希釈しない形で、または好ましくは希釈された形で施用することができる。ここで、これらの製剤は、2〜10倍に希釈することができ、それにより施用に使用する製剤中に0.01〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%の活性化合物が存在するようにする。施用は種蒔きの前に実施することができる。植物繁殖材料の処理、特に種子の処理は当業者に公知であり、植物繁殖材料に散粉、コーティングまたはペレット化することにより実施する。好ましくは、処理はペレット化、コーティングおよび散粉により、例えば種子の早すぎる発芽を防止するように実施する。
【0098】
水性の使用形態は、乳剤(emulsion concentrate)、ペーストまたは水和剤(wettable powder)(噴霧用粉末、油分散物)に水を加えることにより調製することができる。エマルション、ペーストまたは油分散物を調製するために、物質を、そのままで、または油もしくは溶媒に溶解して、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤または乳化剤を用いて水中に均質化することができる。しかしながら、活性物質、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤または乳化剤、および適切な場合には溶媒または油からなる濃縮物を調製することも可能であり、この濃縮物は水による希釈に好適である。
【0099】
そのまま使用できる調製物における活性化合物濃度は比較的広い範囲で変化し得る。一般に、それらは0.0001〜10%、好ましくは0.01〜1%である。活性化合物は超微量散布(ULV)法においても有効に使用することができ、それにより95重量%以上の活性化合物を含む製剤を施用すること、または添加剤を含まない活性化合物を施用することさえも可能である。
【0100】
種々のタイプの油、湿潤剤、補助剤、除草剤、殺細菌剤、他の殺菌剤および/または殺有害生物剤を、適切な場合には施用の直前に活性化合物またはそれを含む組成物に加えてもよい(タンクミックス)。これらの組成物は、本発明の組成物に1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1の重量比で加え得る。この意味で好適な補助剤は、特に、有機修飾ポリシロキサン、例えばBreak Thru S 240(登録商標);アルコールアルコキシレート、例えばAtplus(登録商標) 245、Atplus(登録商標) MBA 1303、Plurafac(登録商標) LF 300およびLutensol(登録商標) ON 30;EO/POブロックポリマー、例えばPluronic(登録商標) RPE 2035およびGenapol(登録商標) B;アルコールエトキシレート、例えばLutensol(登録商標) XP 80;およびジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、例えばLeophen(登録商標) RAである。
【0101】
作物保護に使用する場合、施量は目的とする効果に依存して、1ヘクタールあたり0.01〜2.0kgの活性化合物である。植物繁殖材料、例えば種子の処理に使用する場合、使用する活性化合物の量は一般に100kgの繁殖材料または種子あたり1〜2000g、好ましくは5〜100gである。
【0102】
本発明の亜リン酸水素カルシウムと少なくとも1種の殺菌剤との組み合わせおよびそれらを含む製剤は、有害な菌類を防除するのにすぐれて好適である。それらは、特にネコブカビ綱(Plasmodiophoromycetes)、卵菌類(Peronosporomycetes)(異名:卵菌綱(Oomycetes))、ツボカビ綱(Chytridiomycetes)、接合菌綱(Zygomycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)および不完全菌類(Deuteromycetes)(異名:不完全菌類(Fungi imperfecti))のクラスに属する土壌病原体を含む広いスペクトルの植物病原性の菌類に対して優れた活性を有する。それらのいくつかは浸透作用を有し、葉に作用する殺菌剤として、種子の処理のための殺菌剤として、および土壌に作用する殺菌剤として作物保護に使用することができる。さらに、それらは、とりわけ、植物の木部または根を攻撃する菌類を防除するのに好適である。
【0103】
それらは、種々の作物、例えば、穀類、例えばコムギ、ライムギ、オオムギ、ライコムギ、オートムギまたはイネ;ビート、例えばサトウダイコンまたは飼料ビート;リンゴ類の果実、核果およびソフトフルーツ、例えば、リンゴ、セイヨウナシ、プラム、モモ、アーモンド、サクランボ、イチゴ、ラズベリー、スグリまたはグーズベリー;マメ科植物、例えば、豆、レンティルマメ、エンドウマメ、ルーサンまたはダイズ;油植物、例えばアブラナ、カラシナ、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、カカオ、トウゴマ、アブラヤシ、ラッカセイまたはダイズ;ウリ科植物、例えば、カボチャ、キュウリまたはメロン;繊維植物、例えば、ワタ、アマ、アサまたはジュート;柑橘類果実、例えばオレンジ、レモン、グレープフルーツまたはマンダリン;野菜植物、例えばホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ植物、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ、カボチャまたはピーマン;月桂樹植物、例えばアボカド、ニッケイまたはショウノウ;エネルギーおよび原料植物、例えば、トウモロコシ、ダイズ、コムギ、アブラナ、サトウキビまたはアブラヤシ;トウモロコシ;タバコ;木の実;コーヒー;茶;バナナ;ブドウ(食用のブドウおよびワイン製造用のブドウ);ホップ;草、例えばシバ;ゴムノキ;観葉植物および森林植物、例えば花、低木、落葉樹および針葉樹、ならびに繁殖材料、例えば種子、およびこれらの植物の収穫した材料における多くの病原性の菌類を防除するために特に重要である。
【0104】
好ましくは、それらは、農作物、例えば、ジャガイモ、サトウダイコン、タバコ、コムギ、ライムギ、オオムギ、オートムギ、イネ、トウモロコシ、ワタ、ダイズ、アブラナ、マメ科植物、ヒマワリ、コーヒーまたはサトウキビ;果実、ブドウおよび観葉植物および野菜植物、例えばキュウリ、トマト、豆およびカボチャ、ならびに繁殖材料、例えば種子、およびこれらの植物の収穫した材料における多くの菌類病原体を防除するために使用される。
【0105】
用語「植物繁殖材料」は、植物のすべての生殖力のある部分、例えば、種子、および植物を繁殖させるために利用し得る野菜植物の部分、例えば苗および塊茎(例えばジャガイモ)を含む。これらには、種子、根、果実、塊茎、球根、根茎、芽、ならびに発芽後または出芽後に移植される苗および若い植物を含む他の植物の部分が含まれる。若い植物は部分的または完全な処理により、例えば浸漬または水やりにより、有害な菌類に対して保護することができる。
【0106】
好ましくは、亜リン酸水素カルシウムと少なくとも1種の殺菌剤との組み合わせおよびそれらを含む製剤による植物繁殖材料の処理は、穀類の作物、例えばコムギ、ライムギ、オオムギまたはオートムギ;イネ、トウモロコシ、ワタおよびダイズにおける多くの菌類病原体を防除するために使用する。
【0107】
用語「作物」には、品種改良、突然変異または遺伝子工学により改変された植物が含まれる。遺伝子組換え植物は、その遺伝物質を交差、突然変異または天然の組換えにより自然の条件下では起こらない方式で改変した植物である(すなわち、遺伝情報の再構築)。ここで、一般に、植物の性質を改善するために植物の遺伝物質の中に1以上の遺伝子が組み入れられる。
【0108】
したがって、用語「作物」は、品種改良および遺伝子工学により、あるクラスの除草剤、例えばヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)阻害剤、アセト乳酸シンターゼ(ALS)阻害剤、例えば、スルホニル尿素類(EP-A-0257993、US 5,013,659)またはイミダゾリノン類(例えば、US 6,222,100、WO 01/82685、WO 00/26390、WO 97/41218、WO 98/02526、WO 98/02527、WO 04/106529、WO 05/20673、WO 03/14357、WO 03/13225、WO 03/14356、WO 04/16073を参照されたい)、エノールピルビルシキメート3-ホスフェートシンターゼ(EPSPS)阻害剤、例えば、グリホセート(例えば、WO 92/00377を参照されたい)、グルタミンシンセターゼ(GS)阻害剤、例えば、グルホシネート(例えば、EP-A-0242236、EP-A-242246を参照されたい)、またはオキシニル除草剤(例えば、US 5,559,024を参照されたい)に対する耐性を獲得した植物を含む。
【0109】
多くの作物、例えばイミダゾリノン類(例えばイマザモックス)に耐性を有するClearfield(登録商標)アブラナが、伝統的な品種改良法(突然変異)により作り出されている。グリホセートまたはグルホシネート(RoundupReady(登録商標)(グリホセート)およびLiberty Link(登録商標)(グルホシネート)の商品名で入手可能)に耐性を有するダイズ、ワタ、トウモロコシ、ビートおよびアブラナなどの作物が、遺伝子工学法により作り出されている。
【0110】
したがって、用語「作物」は、遺伝子工学による介入のために1種以上の毒素、例えば細菌株バチルスの毒素を生産する植物をも含む。このような遺伝子組み換え植物により生産される毒素には、例えば、バチルス属の種(Bacillus spp.)、特にバチルス・チューリンゲンシス(B. thuringiensis)の殺虫タンパク質、例えばエンドトキシンCry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1、Cry9c、Cry34Ab1またはCry35Ab1;または植物殺虫タンパク質(VIP)、例えばVIP1、VIP2、VIP3、またはVIP3A;線虫コロニー形成細菌、例えば、フォトラブダス属の種(Photorhabdus spp.)またはゼノラブダス属の種(Xenorhabdus spp.)の殺虫タンパク質;動物生物体の毒素、例えばカリバチ、クモまたはサソリ毒;菌類の毒素、例えばストレプトミセス(Streptomycetes)由来のもの;植物レクチン、例えばエンドウ豆またはオオムギ由来のもの;アグルチニン;プロテイナーゼ阻害剤、例えばトリプシン阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、パタチン、シスタチンまたはパパイン阻害剤、リボソーム不活性化タンパク質(RIP)、例えばリシン、トウモロコシ-RIP、アブリン、ルフィン、サポリンまたはブリオジン;ステロイド代謝酵素、例えば、3-ヒドロキシステロイドオキシダーゼ、エクジステロイド-IDPグリコシルトランスフェラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、エクジソン阻害剤、またはHMG-CoAレダクターゼ;イオンチャネル遮断剤、例えばナトリウムチャネルまたはカルシウムチャネル阻害剤;幼若モルモンエステラーゼ;利尿ホルモン受容体(ヘリコキニン受容体);スチルベンシンターゼ、ビベンジルシンターゼ、キチナーゼおよびグルカナーゼが含まれる。植物において、これらの毒素はプレトキシン、ハイブリッドタンパク質または切り取られたまたは他の方法により修飾されたタンパク質として生産されてもよい。ハイブリッドタンパク質は、異なるタンパク質ドメインの新規の組み合わせを特徴とする(例えば、WO 2002/015701を参照されたい)。このような毒素またはこれらの毒素を生産する遺伝子組み換え植物の別の例は、EP A 374 753、WO 93/007278、WO 95/34656、EP-A 427 529、EP-A 451 878、WO 03/018810およびWO 03/052073に開示されている。これらの遺伝子組換え植物を作り出す方法は当業者に公知であり、例えば上記の文献に開示されている。上に言及した多くの毒素は、それらを生産した植物に、節足動物のすべての分類上のクラスに属する有害生物、特に甲虫(Coeleropta)、双翅類生物(Diptera)およびチョウ(Lepidoptera)、ならびに線虫(Nematoda)に対する耐性を付与する。
【0111】
殺虫毒素をコードする1以上の遺伝子を生産する遺伝子組換え植物は、例えば、上記の文献に記載されており、それらのいくつかは市販されている。例えば、YieldGard(登録商標)(毒素Cry1Abを生産するトウモロコシ変種)、YieldGard(登録商標) Plus(毒素Cry1AbおよびCry3Bb1を生産するトウモロコシ変種)、Starlink(登録商標)(毒素Cry9cを生産するトウモロコシ変種)、Herculex(登録商標) RW(毒素Cry34Ab1、Cry35Ab1および酵素ホスフィノトリシン-N-アセチルトランスフェラーゼ[PAT]を生産するトウモロコシ変種);NuCOTN(登録商標) 33B(毒素Cry1Acを生産するワタ変種)、Bollgard(登録商標) I(毒素Cry1Acを生産するワタ変種)、Bollgard(登録商標) II(毒素Cry1AcおよびCry2Ab2を生産するワタ変種);VIPCOT(登録商標)(VIP毒素を生産するワタ変種);NewLeaf(登録商標)(毒素Cry3Aを生産するジャガイモ変種);Syngenta Seeds SAS(フランス)製のBt-Xtra(登録商標)、NatureGard(登録商標)、KnockOut(登録商標)、BiteGard(登録商標)、Protecta(登録商標)、Bt11(例えば、Agrisure(登録商標) CB)およびBt176(毒素Cry1AbおよびPAT酵素を生産するトウモロコシ変種)、Syngenta Seeds SAS(フランス)製のMIR604(修正された毒素Cry3Aを生産するトウモロコシ変種、WO03/018810を参照されたい)、Monsanto Europe S.A.(ベルギー)製のMON 863(毒素Cry3Bb1を生産するトウモロコシ変種)、Monsanto Europe S.A.(ベルギー)製のIPC 531(修正された毒素Cry1Acを生産するワタ変種)およびPioneer Overseas Corporation(ベルギー)製の1507(毒素Cry1FおよびPAT酵素を生産するトウモロコシ変種)である。
【0112】
したがって、用語「作物」は、遺伝子工学により、細菌、ウイルスまたは真菌の病原体に対してより頑丈であるか増大した耐性を有する1以上のタンパク質、例えば、病原性関連タンパク質(PRタンパク質、EP-A 0 392 225を参照されたい)、抵抗タンパク質(例えば、メキシコ野生ジャガイモ、ソラヌム・ブルボカスタヌム(Solanum bulbocastanum)から得られたフィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)に対する2つの耐性遺伝子を生産するジャガイモ変種)またはT4リゾチーム(例えば、このタンパク質を生産することにより、エルウィニア・アミルボラ(Erwinia amylvora)などの細菌に対して耐性を有するジャガイモ品種)を生産する植物をも含む。
【0113】
したがって、用語「作物」は、遺伝子工学法を用いて、例えば収穫能力(例えば、バイオマス、穀類の収穫高、でんぷん、油またはタンパク質の含有量)、干ばつ、塩もしくは他の限定的環境因子に対する耐性または有害生物ならびに真菌、細菌およびウイルス病原体に対する抵抗性を増大させることにより、その生産性を改良された植物をも含む。用語「作物」は、遺伝子工学法により、特に人または動物の食餌を改善するためにその成分を改変された植物をも含む(例えば、健康を増進する長鎖オメガ3脂肪酸または一不飽和オメガ9脂肪酸を生産する油植物(例えば、Nexera(登録商標)アブラナ))。用語「作物」は、遺伝子工学法により、原料の生産を改善するように改変された植物をも含む(例えば、ジャガイモのアミロペクチン含有量を増加させることにより(Amflora(登録商標)ジャガイモ))。
【0114】
本明細書において使用する場合、用語「タンパク質」は、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはポリペプチドから調製された分子をも含み、プレタンパク質、ハイブリッドタンパク質、ペプチド、切り取られたまたは他の方法により修飾されたタンパク質も明確に包含する。前記修飾には、翻訳後修飾、例えばアシル化(例えば、アセチル化:アセチル基の付加、通常タンパク質のN末端において)、アルキル化、アルキル基の付加(例えば、エチルまたはメチルの付加、通常リジンまたはアルギニン残基において)または脱メチル化、C末端におけるアミド化、ビオチニル化(保存リジン残基のビオチン基によるアシル化)、ホルミル化、ビタミンK依存γ-カルボキシ化、グルタミル化(グルタミン酸残基の共有結合)、グリコシル化(アスパラギン、ヒドロキシリジン、セリンまたはスレオニンへのグリコシル基の結合による糖タンパク質の形成)、糖化(非酵素的グリコシル化)、グリシル化(1以上のグリシン残基の共有結合)、ヘム基の共有結合による付加、ヒドロキシ化、ヨード化、イソプレニル化(イソプレノイド基の付加、例えばファルネソールおよびゲラニルゲラニオール)、プレニル化を含むリポイル化(リポ酸基の付加)、GPIアンカー形成(例えば、ミリストイル化、ファルネシル化およびゲラニルゲラニル化)、ADPリボシル化を含むヌクレオチドまたはその誘導体の共有結合およびフラビンの付加、酸化、ペグ化、ホスファチジルイノシトールの共有結合、ホスホパンテテイニル化(コエンザイムAからの4’-ホスホパンテテイニルラジカルの転移)、リン酸化(リン酸基の付加、通常セリン、チロシン、スレオニンまたはヒスチジンに対して)、ピログルタメート形成、プロリン残基のラセミ化、アミノ酸のtRNA仲介付加、例えばアルギニル化、硫酸化(チロシン残基への硫酸基の付加)、セレノイル化(セレノタンパク質へのセレンの共翻訳による取り込み)、ISG化(ISG15タンパク質[インターフェロンに刺激された遺伝子15]への共有結合)、SUMO化(SUMOタンパク質[「小ユビキチン関連修飾因子」]への共有結合)、ユビキチン化(タンパク質ユビキチンまたはポリユビキチンへの共有結合)、シトルリン化または脱イミノ化(アルギニンのシトルリンへの変換)、脱アミド化(グルタミンのグルタミン酸への変換またはアスパラギンのアスパラギン酸への変換)、ジスルフィド架橋の形成(2個のシステイン残基の共有結合)またはタンパク質分解による開裂(ペプチド結合におけるタンパク質の開裂)が含まれる。
【0115】
亜リン酸水素カルシウムと少なくとも1種の殺菌剤との組み合わせおよびそれを含む製剤は、特に以下に示す植物の病気を防除するのに好適である。
【0116】
・観葉植物、野菜作物(例えば、アルブゴ・カンジダ(A. candida))およびヒマワリ(例えば、アルブゴ・トラゴポゴニス(A. tragopogonis))のアルブゴ属の種(Albugo spp.)(白カビ病);
・野菜、アブラナ(例えば、アルテルナリア・ブラシコラ(A. brassicola)またはアルテルナリア・ブラシカエ(A. brassicae))、サトウダイコン(例えば、アルテルナリア・テヌイス(A. tenuis))、果実、イネ、ダイズ、ならびにジャガイモ(例えば、アルテルナリア・ソラニ(A. solani)またはアルテルナリア・アルテルナタ(A. alternata))およびトマト(例えば、アルテルナリア・ソラニ(A. solani)またはアルテルナリア・アルテルナタ(A. alternata))のアルテルナリア属の種(Alternaria spp.)(黒斑病)ならびにコムギのアルテルナリア属の種(Alternaria spp.)(黒斑病);
・サトウダイコンおよび野菜のアファノミセス属の種(Aphanomyces spp.);
・穀類および野菜のアスコキタ属の種(Ascochyta spp.)、例えば、コムギのアスコキタ・トリチシ(A. tritici)(斑点病)およびオオムギのアスコキタ・ホルデイ(A. hordei);
・トウモロコシ(例えば、ドレクスレラ・マイディス(D. maydis))、穀類(例えば、ビポラリス・ソロキニアナ(B. sorokiniana):褐斑病、斑点病)、イネ(例えば、ビポラリス・オリザエ(B. oryzae))およびシバのビポラリス(Bipolaris)およびドレクスレラ属の種(Drechslera spp.)(テレオモルフ:コクリオボルス属の種(Cochliobolus spp.));
・穀類(例えば、コムギまたはオオムギ)のブルメリア(Blumeria)(以前:エリシフェ(Erysiphe))・グラミニス(graminis)(うどんこ病);
・ブドウ(例えば、ボトリオスフェリア・オブツサ(B. obtusa))のボトリオスフェリア属の種(Botryosphaeria spp.)(ブラックデッドアーム(black dead arm)病);
・ソフトフルーツおよびリンゴ類の果実(とりわけイチゴ)、野菜(とりわけレタス、ニンジン、根用セロリおよびキャベツ)、アブラナ、花、ブドウ、森林作物およびコムギ(イヤーモールド)のボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)(テレオモルフ:ボトリオチニア・フッケリアナ(Botryotinia fuckeliana):灰色カビ病);
・レタスのブレミア・ラクツカエ(Bremia lactucae)(べと病);
・落葉樹および針葉樹のセラトシスチス(Ceratocystis)(異名:オフィオストマ(Ophiostoma))属の種(青変病)、例えば、ニレのセラトシスチス・ウルミ(C. ulmi)(オランダニレ病);
・トウモロコシ、イネ、サトウダイコン(例えば、セルコスポラ・ベチコラ(C. beticola))、サトウキビ、野菜、コーヒー、ダイズ(例えば、セルコスポラ・ソジナ(C. sojina)またはセルコスポラ・キクチイ(C. kikuchii))およびイネのセルコスポラ属の種(Cercospora spp.)(セルコスポラ斑点病);
・トマト(例えば、クラドスポリウム・フルブム(C. fulvum):トマト葉カビ病、ベルベット斑点病)および穀類のクラドスポリウム属の種(Cladosporium spp.)、例えば、コムギのクラドスポリウム・ヘルバルム(C. herbarum)(ブラックヘッドモールド、すす病);
・穀類のクラビセプス・プルプレア(Claviceps purpurea)(麦角);
・トウモロコシ(例えば、コクリオボルス・カルボヌム(C. carbonum))、穀類(例えば、コクリオボルス・サチブス(C. sativus)、アナモルフ:ビポラリス・ソロキニアナ(B. sorokiniana):褐斑病、斑点病)およびイネ(例えば、コクリオボルス・ミヤベアヌス(C. miyabeanus)、アナモルフ:ヘルミントスポリウム・オリザエ(H. oryzae))のコクリオボルス(Cochliobolus)(アナモルフ:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)またはビポラリス(Bipolaris))属の種(葉枯病、斑点病);
・ワタ(例えば、コレトトリクム・ゴシピイ(C. gossypii))、トウモロコシ(例えば、コレトトリクム・グラミニコラ(C. graminicola):柄腐病および葉枯病)、ソフトフルーツ、ジャガイモ(例えば、コレトトリクム・ココデス(C. coccodes):立枯病)、豆類(例えば、コレトトリクム・リンデムチアヌム(C. lindemuthianum))およびダイズ(例えば、コレトトリクム・トルンカタム(C. truncatum))のコレトトリクム(Colletotrichum)(テレオモルフ:グロメレラ(Glomerella))属の種(葉枯病、炭疽病);
・コルチシウム属の種(Corticium spp.)、例えば、イネのコルチシウム・ササキイ(C. sasakii)(紋枯病);
・ダイズおよび観葉植物のコリネスポラ・カシイコラ(Corynespora cassiicola)(斑点病);
・シクロコニウム属の種(Cycloconium spp.)、例えば、オリーブのシクロコニウム・オレアギヌム(C. oleaginum);
・果樹、ブドウ(例えば、シリンドロカルポン・リリオデンドリ(C. liriodendri)、テレオモルフ:ネオネクトリア・リリオデンドリ(Neonectria liriodendri)、黒あし病)および多くの観賞用樹木のシリンドロカルポン属の種(Cylindrocarpon spp.)(例えば、果樹潰瘍病またはブドウの衰弱、テレオモルフ:ネクトリア(Nectria)またはネオネクトリア属の種(Neonectria spp.));
・ダイズのデマトホラ(Dematophora)(テレオモルフ:ロセリニア(Rosellinia))・ネカトリクス(necatrix)(白紋羽病/菌核病);
・ジアポルテ属の種(Diaporthe spp.)、例えば、ダイズのジアポルテ・ファセオロルム(D. phaseolorum)(枝枯病);
・トウモロコシ、穀類、例えばオオムギ(例えば、ドレクスレラ・テレス(D. teres)、網斑病)およびコムギ(例えば、ドレクスレラ・トリチシ-レペンチス(D. tritici-repentis):褐斑病)、イネおよびシバのドレクスレラ(Drechslera)(異名:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)、テレオモルフ:ピレノホラ(Pyrenophora))属の種;
・ホルミチポリア(Formitiporia)(異名:フェリヌス(Phellinus))・プンクタタ(punctata)、ホルミチポリア・メジテラネア(F. mediterranea)、フェオモニエラ・クラミドスポラ(Phaeomoniella chlamydospora)(以前:フェオアクレモニウム・クラミドスポルム(Phaeoacremonium chlamydosporum))、フェオアクレモニウム・アレオフィルム(Phaeoacremonium aleophilum)および/またはボトリオスフェリア・オブツサ(Botryosphaeria obtusa)により引き起こされるブドウのエスカ病(ブドウの衰弱、アポプレキシー);
・リンゴ類の果物(エルシノエ・ピリ(E. pyri))およびソフトフルーツ(エルシノエ・ベネタ(E. veneta):炭疽病、茎斑点病)ならびにブドウ(エルシノエ・アンペリナ(E. ampelina):炭疽病、バードアイロット)のエルシノエ属の種(Elsinoe spp.);
・イネのエンチロマ・オリザエ(Entyloma oryzae)(黒しゅ病);
・コムギのエピコクム属の種(Epicoccum spp.)(ブラックヘッドモールド、すす病);
・サトウダイコン(エリシフェ・ベタエ)(E. betae))、野菜(例えば、エリシフェ・ピシ(E. pisi))、例えばキュウリ(例えば、エリシフェ・シコラセアルム(E. cichoracearum))およびキャベツ植物、例えばアブラナ(例えば、エリシフェ・クルシフェラルム(E. cruciferarum))のエリシフェ属の種(Erysiphe spp.)(うどんこ病);
・果樹、ブドウおよび多くの観賞用樹木のエウチパ・ラタ(Eutypa lata)(エウチパ潰瘍病または枝枯病、アナモルフ:シトスポリナ・ラタ(Cytosporina lata)、異名:リベルテラ・ブレファリス(Libertella blepharis));
・トウモロコシ(例えば、エクセロヒルム・ツルシクム(E. turcicum))のエクセロヒルム(Exserohilum)(異名:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium))属の種;
・種々の植物のフサリウム(Fusarium)(テレオモルフ:ギベレラ(Gibberella))属の種(立枯病、根腐病および菌核病)、例えば、穀類(例えば、コムギまたはオオムギ)のフサリウム・グラミネアルム(F. graminearum)またはフサリウム・クルモルム(F. culmorum)(根腐病および赤カビ病またはイヤーブライト)、トマトのフサリウム・オキシスポルム(F. oxysporum)、ダイズのフサリウム・ソラニ(F. solani)およびトウモロコシのフサリウム・ベルチシリオイデス(F. verticillioides);
・穀類(例えば、コムギまたはオオムギ)およびトウモロコシのガエウマノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis)(立枯病、黒根腐病);
・穀類(例えば、ギベレラ・ゼアエ(G. zeae))およびイネ(例えば、ギベレラ・フジクロイ(G. fujikuroi):ばか苗病)のギベレラ属の種(Gibberella spp.);
・ブドウ、リンゴ類の果実および他の植物のグロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata)およびワタのグロメレラ・ゴシピイ(G. gossypii);
・イネの穀類汚染複合体;
・ブドウのギグナルディア・ビドウェリイ(Guignardia bidwellii)(黒斑病);
・バラ科植物およびジュニパーのギムノスポランギウム属の種(Gymnosporangium spp.)、例えば、セイヨウナシのギムノスポランギウム・サビナエ(G. sabinae)(ジュニパー-セイヨウナシサビ病);
・トウモロコシ、穀類およびイネのヘルミントスポリウム属の種(Helminthosporium spp.)(異名:ドレクスレラ(Drechslera)、テレオモルフ:コクリオボルス(Cochliobolus));
・ヘミレイア属の種(Hemileia spp.)、例えば、コーヒーのヘミレイア・バスタトリクス(Hemileia vastatrix)(コーヒー葉サビ病);
・ブドウのイサリオプシス・クラビスポラ(Isariopsis clavispora)(異名:クラドスポリウム・ビチス(Cladosporium vitis));
・ダイズおよびワタのマクロホミナ(Macrophomina)・ファセオリナ(phaseolina)(異名:ファセオリ(phaseoli))(根腐れ病/菌核病);
・穀類(例えば、コムギまたはオオムギ)のミクロドキウム(Microdochium)(異名:フサリウム(Fusarium))・ニバレ(nivale)(雪腐病);
・ダイズのミクロスフェラ・ジフサ(Microsphaera diffusa)(うどんこ病);
・モニリニア属の種(Monilinia spp.)、例えば、核果および他のバラ科植物のモニリニア・ラクサ(M. laxa)、モニリニア・フルクチコラ(M. fructicola)およびモニリニア・フルクチゲナ(M. fructigena)(花枯病);
・穀類、バナナ、ソフトフルーツおよびラッカセイのミコスフェレラ属の種(Mycosphaerella spp.)、例えば、コムギのミコスフェレラ・グラミニコラ(M. graminicola)(アナモルフ:セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)、セプトリア葉枯病)またはバナナのミコスフェレラ・フィジエンシス(M. fijiensis)(ブラックシガトカ病、黒葉条斑病);
・キャベツ(例えば、ペロノスポラ・ブラシカエ(P. brassicae))、アブラナ(例えば、ペロノスポラ・パラシチカ(P. parasitica))、球根植物(例えば、ペロノスポラ・デストルクトル(P. destructor))、タバコ(ペロノスポラ・タバシナ(P. tabacina))およびダイズ(例えば、ペロノスポラ・マンシュリカ(P. manshurica))のペロノスポラ属の種(Peronospora spp.)(べと病);
・ダイズのファコプソラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi)およびファコプソラ・メイボミアエ(P. meibomiae)(ダイズサビ病);
・例えば、ブドウ(例えば、フィアロホラ・トラケイフィラ(P. tracheiphila)およびフィアロホラ・テトラスポラ(P. tetraspora))およびダイズ(例えば、フィアロホラ・グレガタ(P. gregata):茎病)のフィアロホラ属の種(Phialophora spp.);
・アブラナおよびキャベツのホマ・リンガム(Phoma lingam)(根腐病および菌核病)およびサトウダイコンのホマ・ベタエ(P. betae)(斑点病);
・ヒマワリ、ブドウ(例えば、ホモプシス・ビチコラ(P. viticola):茎および葉斑点病)およびダイズ(例えば、枝枯病および鞘および茎枯病:ホモプシス・ファセオリ(P. phaseoli)、テレオモルフ:ジアポルテ・ファセオロルム(Diaporthe phaseolorum))のホモプシス属の種(Phomopsis spp.);
・トウモロコシのフィソデルマ・マイディス(Physoderma maydis)(褐斑病);
・種々の植物のフィトフトラ属の種(Phytophthora spp.)(立枯病、根、葉、茎および果実腐病)、例えばピーマンおよびキュウリ植物(例えば、フィトフトラ・カプシシ(P. capsici))、ダイズ(例えば、フィトフトラ・メガスペルマ(P. megasperma)、異名:フィトフトラ・ソジャエ(P. sojae))、ジャガイモおよびトマト(例えば、フィトフトラ・インフェスタンス(P. infestans):葉枯病)および広葉樹(例えば、フィトフトラ・ラモルム(P. ramorum):オークの立枯);
・キャベツ、アブラナ、ダイコンおよび他の植物のプラスモジオホラ・ブラシカエ(Plasmodiophora brassicae)(根こぶ病);
・プラスモパラ属の種(Plasmopara spp.)、例えば、ブドウのプラスモパラ・ビチコラ(P. viticola)(ブドウのペロノスポラ、べと病)およびヒマワリのプラスモパラ・ハルステジイ(P. halstedii);
・バラ科植物、ホップ、リンゴ類の果実およびソフトフルーツのポドスフェラ属の種(Podosphaera spp.)(うどんこ病)、例えば、リンゴのポドスフェラ・レウコトリカ(P. leucotricha);
・例えば、穀類、例えばオオムギおよびコムギ(ポリミキサ・グラミニス(P. graminis))およびサトウダイコン(ポリミキサ・ベタエ(P. betae))のポリミキサ属の種(Polymyxa spp.)ならびにそれらにより伝染するウイルス病;
・穀類、例えば、コムギまたはオオムギのシュードセルコスポレラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides)(眼紋病、褐変症、テレオモルフ:タペシア・ヤルンダエ(Tapesia yallundae));
・種々の植物のシュードペロノスポラ(Pseudoperonospora)(べと病)、例えば、キュウリ植物のシュードペロノスポラ・クベンシス(P. cubensis)またはホップのシュードペロノスポラ・フミリ(P. humili);
・ブドウのシュードペジクラ・トラケイフィラ(Pseudopezicula tracheiphila)(レッドファイア病、アナモルフ:フィアロホラ(Phialophora));
・種々の植物のプクキニア属の種(Puccinia spp.)(サビ病)例えば、穀類、例えば、コムギ、オオムギまたはライムギのプクキニア・トリチシナ(P. triticina))(コムギの褐色サビ病)、プクキニア・ストリイホルミス(P. striiformis)(黄サビ病)、プクキニア・ホルデイ(P. hordei)(小サビ病)、プクキニア・グラミニス(P. graminis)(茎サビ病、黒サビ病)またはプクキニア・レコンジタ(P. recondita)(ライムギの褐色サビ病)、ならびにアスパラガスの例えばプクキニア・アスパラギ(P. asparagi);
・コムギのピレノホラ(Pyrenophora)(アナモルフ:ドレクスレラ(Drechslera))・トリチシ-レペンチス(tritici-repentis)(褐斑病)またはオオムギのピレノホラ・テレス(P. teres)(網斑病);
・ピリクラリア属の種(Pyricularia spp.)、例えば、イネのピリクラリア・オリザエ(P. oryzae)(テレオモルフ:マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)、イモチ病)ならびにシバおよび穀類のピリクラリア・グリセア(P. grisea);
・シバ、イネ、トウモロコシ、コムギ、ワタ、アブラナ、ヒマワリ、サトウダイコン、野菜および他の植物(例えば、ピチウム・ウルチムム(P. ultimum)またはピチウム・アファニデルマタム(P. aphanidermatum))のピチウム属の種(Pythium spp.)(立枯病);
・ラムラリア属の種(Ramularia spp.)、例えば、オオムギのラムラリア・コロ-シグニ(R. collo-cygni)(斑点病/生理的斑点病)およびサトウダイコンのラムラリア・ベチコラ(R. beticola);
・ワタ、イネ、ジャガイモ、シバ、トウモロコシ、アブラナ、ジャガイモ、サトウダイコン、野菜および他の種々の植物のリゾクトニア属の種(Rhizoctonia spp.)、例えば、ダイズのリゾクトニア・ソラニ(R. solani)(根腐病/菌核病)、イネのリゾクトニア・ソラニ(R. solani)(紋枯病)またはコムギまたはオオムギのリゾクトニア・セレアリス(R. cerealis)(シャープアイスポット);
・イチゴ、ニンジン、キャベツ、ブドウおよびトマトのリゾプス・ストロニフェル(Rhizopus stolonifer)(軟腐病);
・オオムギ、ライムギおよびライコムギのリンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis)(雲形病);
・イネのサロクラジウム・オリザエ(Sarocladium oryzae)およびサロクラジウム・アテヌアタム(S. attenuatum)(鞘腐病);
・野菜および農作物、例えばアブラナ、ヒマワリ(例えば、スクレロチニア・スクレロチオルム(Sclerotinia sclerotiorum))およびダイズ(例えば、スクレロチニア・ロルフシイ(S. rolfsii))のスクレロチニア属の種(Sclerotinia spp.)(菌核病または白カビ病);
・種々の植物のセプトリア属の種(Septoria spp.)、例えば、ダイズのセプトリア・グリシネス(S. glycines)(褐斑病)、コムギのセプトリア・トリチシ(S. tritici)(セプトリア葉枯病)および穀類のセプトリア(異名:スタゴノスポラ(Stagonospora))・ノドルム(nodorum)(葉および包頴斑点病);
・ブドウのウンシヌラ(Uncinula)(異名:エリシフェ(Erysiphe))・ネカトル(necator)(うどんこ病,アナモルフ:オイジウム・ツッケリ(Oidium tuckeri));
・トウモロコシ(例えば、セトスフェリア・ツルシクム(S. turcicum)、異名:ヘルミントスポリウム・ツルシクム(Helminthosporium turcicum))およびシバのセトスフェリア属の種(Setosphaeria spp.)(葉枯病);
・トウモロコシ(例えば、スファセロテカ・レイリアナ(S. reiliana):黒穂病)、雑穀およびサトウキビのスファセロテカ属の種(Sphacelotheca spp.)(黒穂病);
・キュウリ植物のスフェロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)(うどんこ病);
・ジャガイモのスポンゴスポラ・スブテラネア(Spongospora subterranea)(粉状そうか病)およびそれらにより伝染するウイルス病;
・穀類のスタゴノスポラ属の種(Stagonospora spp.)、例えば、コムギのスタゴノスポラ・ノドルム(S. nodorum)(葉および包頴斑点病、テレオモルフ:レプトスフェリア(Leptosphaeria)[異名:フェオスフェリア(Phaeosphaeria)]・ノドルム(nodorum));
・ジャガイモのシンキトリウム・エンドビオチクム(Synchytrium endobioticum)(ジャガイモこぶ病);
・タフリナ属の種(Taphrina spp.)、例えば、モモのタフリナ・デホルマンス(T. deformans)(縮葉病)およびプラムのタフリナ・プルニ(T. pruni)(ポケットプラム);
・タバコ、リンゴ類の果実、野菜作物、ダイズおよびワタのチエラビオプシス属の種(Thielaviopsis spp.)(黒根腐病)、例えば、チエラビオプシス・バシコラ(T. basicola)(異名:カララ・エレガンス(Chalara elegans));
・穀類のチレチア属の種(Tilletia spp.)(普通のおよびなまぐさ黒穂病)、例えば、コムギのチレチア・トリチシ(T. tritici)(異名:チレチア・カリエス(T. caries)、コムギの普通の黒穂病)およびチレチア・コントロベルサ(T. controversa)(小黒穂病);
・オオムギまたはコムギのチフラ・インカルナタ(Typhula incarnata)(灰色雪腐病);
・ウロシスチス属の種(Urocystis spp.)、例えば、ライムギのウロシスチス・オクルタ(U. occulta)(黒穂病);
・野菜植物、例えば豆類(例えば、ウロミセス・アペンジクラタス(U. appendiculatus)、異名:ウロミセス・ファセオリ(U. phaseoli))およびサトウダイコン(例えば、ウロミセス・ベタエ(U. betae))のウロミセス属の種(Uromyces spp.)(サビ病);
・穀類(例えば、ウスチラゴ・ヌダ(U. nuda)およびウスチラゴ・アバエナエ(U. avaenae))、トウモロコシ(例えば、ウルチラゴ・マイディス(U. maydis):トウモロコシ黒穂病)およびサトウキビのウスチラゴ属の種(Ustilago spp.)(黒穂病);
・リンゴ(例えば、ベンツリア・イナエカリス(V. inaequalis))およびセイヨウナシのベンツリア属の種(Venturia spp.)(黒星病);ならびに
・種々の植物、例えば果樹および観賞用樹木、ブドウ、ソフトフルーツ、野菜および農作物のベルチシリウム属の種(Verticillium spp.)(葉および新芽の立枯病)、例えば、イチゴ、アブラナ、ジャガイモおよびトマトのベルチシリウム・ダリアエ(V. dahliae)。
【0117】
亜リン酸のカルシウム塩と少なくとも1種の別の殺菌剤との組み合わせおよびそれらを含む製剤は、さらに、材料および建造物(例えば、木、紙、ペンキ分散物、繊維または組織)の保護において、および貯蔵製品の保護において、有害な菌類を防除するのに好適である。木および建造物の保護においては、下記の有害な菌類:子嚢菌類、例えば、オフィオストマ属の種(Ophiostoma spp.)、セラトシスチス属の種(Ceratocystis spp.)、アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、スクレロホマ属の種(Sclerophoma spp.)、カエトミウム属の種(Chaetomium spp.)、フミコラ属の種(Humicola spp.)、ペトリエラ属の種(Petriella spp.)、トリクルス属の種(Trichurus spp.);担子菌類、例えば、コニオホラ属の種(Coniophora spp.)、コリオルス属の種(Coriolus spp.)、グロエオフィルム属の種(Gloeophyllum spp.)、レンチヌス属の種(Lentinus spp.)、プレウロタス属の種(Pleurotus spp.)、ポリア属の種(Poria spp.)、セルプラ属の種(Serpula spp.)およびチロミセス属の種(Tyromyces spp.)、不完全菌類、例えば、アスペルギルス属の種(Aspergillus spp.)、クラドスポリウム属の種(Cladosporium spp.)、ペニシリウム属の種(Penicillium spp.)、トリコデルマ属の種(Trichoderma spp.)、アルテルナリア属の種(Alternaria spp.)、パエシロミセス属の種(Paecilomyces spp.)、および接合菌綱、例えばムコル属の種(Mucor spp.)に特に注意を払う。また、材料の保護においては、次の酵母菌類:カンジダ属の種(Candida spp.)およびサッカロミセス・セレビサエ(Saccharomyces cerevisae)に特に注意を払う。
【0118】
亜リン酸のカルシウム塩は、少なくとも1種の殺菌剤との組成物の形で、有害な菌類、その生育環境または植物もしくは植物繁殖材料、例えば種子、菌類の攻撃に対して保護すべき土壌、領域、材料または空間を、殺菌効果を有する量の化合物Iで処理することにより施用する。施用は、植物、植物繁殖材料、例えば種子、土壌、領域、材料または空間が菌類により感染する前および感染した後の両方で実施することができる。亜リン酸のカルシウム塩および殺菌剤の施用は、同時にまたは連続的に実施することができる。
【0119】
植物繁殖材料は、種蒔きの間もしくは前に、または移植の間もしくは前に、亜リン酸水素カルシウムまたは亜リン酸水素カルシウムを含む組成物により予防的に処理することができる。
【0120】
用語「有効量」は、作物においてまたは材料および建造物の保護において有害な菌類を防除するのに十分であり、処理された作物に顕著な損傷を引き起こさない農薬組成物または化合物Iの量を意味する。このような量は広い範囲で変化し得るもので、数多くの要因、例えば防除されるべき有害な菌類、処理されるそれぞれの作物または材料、気候条件および化合物により影響を受ける。
【0121】
以下の実施例は本発明の実施形態を説明するためのものである。
【実施例】
【0122】
化学物質
脂肪アルコールアルコキシレートのリン酸エステル、酸価:約145 mg KOH/g、pH約2(5重量%水溶液)、例えば、BASF SEよりLutensit(登録商標) A-EPとして市販されている。
ナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩、粉末、活性成分含有量:約78重量%、硫酸ナトリウム含有量:約17重量%、例えばBASF SEよりTamol(登録商標) NH 7519として市販されている。
リグノスルホン酸ナトリウム、CAS No. 8061-51-6、例えばUfoxane(登録商標) 3A(発酵および分画した松材亜硫酸廃液から得た粉末リグノスルホン酸ナトリウム、pH約8.7)として、またはBorregaard LignotechよりBorresperse(登録商標) NAとして市販されている。
ジイソブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、例えばBASF SEよりNekal(登録商標) BXとして市販されている。
2-エチルヘキシルグルコシド、活性化合物含有量65重量%、35重量%の水、例えばAkzo NobelよりAG 6202として市販されている。
ラウリル硫酸ナトリウム、例えばCognisよりAgnique(登録商標) SLS 90 Pとして市販されている。
消泡剤:シリコーン含有水性エマルション、例えばWackerよりSilfoam(登録商標) SREとして市販されている。
ジチアノン:500g/lのジチアノンを含むフロアブル剤(suspension concentrate)、例えばBASF SEよりDelan(登録商標) 500 SCとして市販されている。
殺菌剤A:5-エチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン(WO 2005/087773、WO 2007/012598またはWO 2008/087182に従って得ることができる)。
【0123】
方法:
他に指示しない限り、試験は制御された温室条件下、植物体で実施した。温室内の温度、大気湿度および光条件は、宿主植物および病原体に特有の要件に適合させた。感染した葉の面積のパーセンテージの値を視覚的に測定して、未処理の対照の%として有効性を計算した。アボット(Abbott)の式によれば、有効性(W)は以下の通りに計算される:
W = (1 - a/b)・100
a = %で表した処理された植物の菌類感染に相当し、
b = %で表した未処理の(対照)植物の菌類感染に相当する。
0パーセントの有効性では、処理された植物の感染は未処理の対照植物のそれと一致し、100パーセントの有効性では、処理された植物は感染を有しない。
【0124】
組み合わせの予想される有効性はコルビー(Colby, S. R. "Calculating synergistic and antagonistic responses or herbicide combinations", Weeds 15:20 - 22, 1967)に従って決定し、観察された有効性と比較した。
コルビーの式: E = x+y-x・y/100
E = 濃度aおよびbの活性化合物AおよびBの混合物を使用した場合の予想される有効性、未処理の対照の%で表される。
x = 濃度aの活性化合物Aを使用した場合の有効性、未処理の対照の%で表される。
y = 濃度bの活性化合物Bを使用した場合の有効性、未処理の対照の%で表される。
【0125】
実施例1 - 亜リン酸水素カルシウム水和物[Ca(H2PO3)2・H20]の調製
50gのH3PO3を100mlの水に溶解し、そこに22.6gの水酸化カルシウムCa(OH)2をゆっくりと加えた。得られた乳状の懸濁液を減圧乾燥キャビネット中、60℃で乾燥した。これにより、67gの亜リン酸水素カルシウム水和物が得られた。
【0126】
実施例2a - 亜リン酸水素カルシウム水和物顆粒の調製
67gの亜リン酸水素カルシウム水和物(実施例1において調製したもの)をまず200mlの水中に入れ、15gのリグノスルホン酸ナトリウム、15gのナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合物および3gの脂肪アルコールアルコキシドのリン酸エステルを加えた。懸濁液をビーズミルを用いて粉砕し、温度60℃で流動層造粒をおこなった。これにより、67%の活性化合物含有量を有するWG製剤が得られる。水との1%強度の混合物のpHは3.9である。
【0127】
実施例2b - 亜リン酸水素カルシウム水和物顆粒の調製
50gの亜リン酸水素カルシウム水和物(実施例1において調製したもの)をまず200mlの水中に入れ、26gのリグノスルホン酸ナトリウム、13gのナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合物および10gの硫酸アンモニウムを加えた。懸濁液をビーズミルを用いて粉砕し、温度60℃で流動層造粒をおこなった。これにより、50%の活性化合物含有量を有するWG製剤が得られる。1%強度の水混合物のpHは3.9である。
【0128】
実施例2c - 亜リン酸水素カルシウム水和物顆粒の調製
46gの亜リン酸水素カルシウム水和物をまず200mlの水中に入れ、30gのリグノスルホン酸ナトリウム、13gのナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合物、10gの硫酸アンモニウムおよび1gの消泡剤を加えた。懸濁液をビーズミルを用いて粉砕し、温度60℃で流動層造粒をおこなった。これにより、46%の活性化合物含有量を有するWG製剤が得られる。
【0129】
実施例3a〜w - 活性化合物を含む顆粒の調製(表1)
1種以上の活性化合物および亜リン酸水素カルシウム水和物(実施例1において調製したもの)をまず200mlの水中に入れ、リグノスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合物およびその他の製剤補助剤を加えた。懸濁液をビーズミルを用いて粉砕し、温度60℃で流動層造粒をおこなった。これによりWG製剤が得られた。それぞれの場合に、製剤の1%強度の水溶液のpHを測定した。実験a〜wに関する使用した材料の量およびデータを下記の表1に示す。
【0130】
実施例4 - トマトの葉枯病に対するジチアノンおよびCa(H2PO3)
ジチアノンおよび亜リン酸水素カルシウム(実施例2cにおいて調製したもの)を含む噴霧液を、Delan(登録商標)(ジチアノンフロアブル製剤(suspension concentrate)および亜リン酸水素カルシウム顆粒の製剤を脱イオン水で希釈することにより調製した。
【0131】
温室において、品種「ビッグビーフトマトセントピエール(big beef tomato St. Pierre)」の鉢植えの植物の葉に、下記の活性成分濃度を有する水性懸濁液を流出点まで噴霧した。5日後に、0.25×106胞子/mlの濃度を有するフィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)の低温の(cold)水性遊走子懸濁液を葉に感染させた。次に植物を10℃〜20℃の間の温度の水蒸気の飽和した室に置いた。6日後、感染させた未処理の対照植物の葉枯病は感染を視覚的に%で測定できる程度に進行していた(表2)。この試験において、混合物のアボットの式に従って計算した有効性はコルビーの式に従って計算した有効性よりも大きい。したがって、相乗的殺菌活性が存在する。
【表2】

【0132】
実施例5 - トマトの葉枯病に対する殺菌剤AおよびCa(H2PO3)
ジチアノンおよび亜リン酸水素カルシウム(実施例2cにおいて調製したもの)を含む噴霧液を、殺菌剤AのDMSO溶液および亜リン酸水素カルシウム顆粒の製剤を脱イオン水で希釈することにより調製した。
【0133】
温室において、品種「ビッグビーフトマトセントピエール(big beef tomato St. Pierre)」の鉢植えの植物の葉に、下記の活性化合物濃度を有する水性懸濁液を流出点まで噴霧した。7日後に、0.25×106胞子/mlの濃度を有するフィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)の低温の水性遊走子懸濁液を葉に感染させ、それ以後実施例4と同様の手順をおこなった。この試験において、混合物のアボットの式に従って計算した有効性はコルビーの式に従って計算した有効性よりも大きい。したがって、相乗的殺菌活性が存在する(表3)。
【表3】

【0134】
実施例6 - ブドウのべと病に対するピラクロストロビンおよびCa(H2PO3)
ピラクロストロビンおよび亜リン酸水素カルシウム(実施例2cにおいて調製したもの)を含む噴霧液を、ピラクロストロビンのDMSO溶液および亜リン酸水素カルシウム顆粒の製剤を脱イオン水で希釈することにより調製した。
【0135】
鉢植えの品種「リースリング(Riesling)」のブドウの葉に下記の活性化合物濃度を有する水性懸濁液を流出点まで噴霧した。噴霧コーティングが乾燥した後、植物を温室に1日置いた。その後、プラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)の水性遊走子懸濁液を葉に接種した。次に、ブドウをまず24℃の水蒸気の飽和した室に48時間、次に20〜30℃の間の温度の温室に5日間置いた。この時間の後、植物を再び湿度の高い室に16時間置いて胞子嚢柄の萌出を促進した。次に、葉の裏側の感染の発達の程度を視覚的に測定した。この試験において、両方の混合物のアボットの式に従って計算した有効性はコルビーの式に従って計算した有効性よりも大きい。したがって、それぞれの場合に相乗的殺菌作用が存在する(表4)。
【表4】

【0136】
実施例7 - ブドウのべと病に対するジチアノンおよびCa(H2PO3)
ジチアノンおよび亜リン酸水素カルシウム(実施例2cにおいて調製したもの)を含む噴霧液を、ジチアノンのDMSO溶液および亜リン酸水素カルシウム顆粒の製剤を脱イオン水で希釈することにより調製した。実施例6に記載される通りに試験を実施した。この試験において、両方の混合物のアボットの式に従って計算した有効性はコルビーの式に従って計算した有効性よりも大きい。したがって、それぞれの場合に相乗的殺菌作用が存在する(表5)。
【表5】

【0137】
実施例8 - ブドウのべと病に対するジチアノンおよびCa(H2PO3)2
実施例7の噴霧液を使用した。この試験においては施用された葉の領域が棒形の小さい長方形のみとなるような特定の施用パターンを実施した。ここで、高さ1.5 cmおよび幅7 cmの区域を有する棒形が適切であることが見いだされた。上記の施用を葉の表側の下半分に実施する。噴霧コーティングが乾燥した後、植物を温室に1日置いた。その後、プラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)の水性遊走子懸濁液を葉の裏側に接種した。次に、ブドウをまず24℃の水蒸気の飽和した室に48時間、次に20〜30℃の間の温度の温室に5日間置いた。この時間の後、植物を再び湿度の高い室に16時間置いて胞子嚢柄の萌出を促進した。次に、葉の下側の先端側半分の感染の進行の程度を視覚的に測定した。この試験において、両方の混合物のアボットの式に従って計算した有効性はコルビーの式に従って計算した有効性よりも大きい。したがって、それぞれの場合に相乗的殺菌作用が存在する(表6)。
【表6】

【0138】
実施例9 - ブドウのべと病に対する殺菌剤AおよびCa(H2PO3)(層透過作用)
噴霧液を実施例5に従って調製し、表7に示した通りの活性化合物濃度に調節した。試験を実施例8の通りに、ただし、活性化合物を葉の表側に施用して実施した。問題の活性化合物がブドウの葉に取り込まれ、適切な場合には移動することを可能にするため、施用はプラスモパラ・ビチコラの接種の48時間前に実施した。この試験において、混合物のアボットの式に従って計算した有効性はコルビーの式に従って計算した有効性よりも大きい。したがって、相乗的殺菌作用が存在する(表7)。
【表7】

【0139】
実施例10 - ブドウのべと病に対する殺菌剤AおよびCa(H2PO3)
殺菌剤Aおよび亜リン酸水素カルシウム(実施例2cにおいて調製したもの)を含む噴霧液を実施例5に従って調製した。試験を実施例6に従って実施した。ただし、噴霧コーティングが乾燥した後、植物を温室に1日ではなく、7日間置いた。この試験において、両方の混合物のアボットの式に従って計算した有効性はコルビーの式に従って計算した有効性よりも大きい。したがって、それぞれの場合に相乗的殺菌作用が存在する(表8)。
【表8】

【0140】
実施例11 - ダイズのファコプソラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi)に対するボスカリドおよびCa(H2PO3)
ボスカリドおよび亜リン酸水素カルシウム(実施例2cにおいて調製したもの)を含む噴霧液を、ボスカリドのDMSO溶液および亜リン酸水素カルシウム顆粒の製剤を脱イオン水により希釈することにより調製した。品種「モンソイ(Monsoy)」のダイズ植物(glycine max)においてファコプソラ・パキリジによる試験を実施した。二葉期の植物を使用した。葉に下記の活性化合物濃度を有する水性懸濁液を流出点まで噴霧した。2日後、ダイズサビ病菌の夏胞子懸濁液を葉に接種した。次に植物を高い大気湿度(95〜99%)を有する20〜22℃の室に24時間置いた。この時間内に、胞子が発芽し、芽管が葉の組織に侵入した。翌日、試験植物を温室に戻し、23〜26℃の間の温度および65〜70%の相対大気湿度で10〜12日間栽培した。次に、葉におけるサビ病菌の発達の程度を視覚的に%で測定した。この試験において、両方の混合物のアボットの式に従って計算した有効性はコルビーの式に従って計算した有効性よりも大きい。したがって、それぞれの場合に相乗的殺菌作用が存在する(表9)。
【表9】

【0141】
実施例12 - ブドウのべと病に対するジチアノンおよびCa(H2PO3)
ジチアノンおよび亜リン酸水素カルシウム(実施例2cにおいて調製したもの)を含む噴霧液を、ジチアノンのDMSO溶液および亜リン酸水素カルシウム顆粒の製剤を水道水により希釈することにより調製した。試験をドイツ、ラインランド=プファルツ州(Rhineland Palatinate)の試験場の屋外で天然の感染を用いて実施した。試験をGEP標準を用いて4回反復して実施した。施用を、14〜16日の噴霧間隔を用いて合計で9日間実施した。示した結果の採点は6回目の施用の1日後に実施した。%で表した感染の強度はEPPOガイドラインPP 1/31(3)に従って葉において視覚的に採点した。この試験において、混合物のアボットの式に従って計算した有効性はコルビーの式に従って計算した有効性よりも大きい。したがって、相乗的殺菌活性が存在する(表10)。
【表10】

【0142】
実施例13 - ブドウのべと病に対するジチアノンおよびCa(H2PO3)
試験を、実施例12に記載した通りにドイツ、ラインランド=プファルツ州(Rhineland Palatinate)の試験場の屋外で天然の感染により実施した。施用を、14〜16日のの噴霧間隔で合計7日実施した。この試験において、混合物のアボットの式に従って計算した有効性はコルビーの式に従って計算した有効性よりも大きい。したがって、相乗的殺菌活作用が存在する(表11)。
【表11】

【0143】
実施例14 - ブドウのべと病に対するジチアノンおよびCa(H2PO3)
試験を、実施例12に記載した通りにドイツ、ラインランド=プファルツ州(Rhineland Palatinate)の試験場の屋外で天然の感染により実施した。施用を、9〜11日の噴霧間隔で合計9日実施した。示した結果の採点は8回目の施用の4日後に実施した。この試験において、混合物のアボットの式に従って計算した有効性はコルビーの式に従って計算した有効性よりも大きい。したがって、相乗的殺菌活性が存在する(表11)。
【表12】

【表13】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
農業における殺菌剤の有効性を増大させるための亜リン酸のカルシウム塩の使用。
【請求項2】
亜リン酸のカルシウム塩が亜リン酸水素カルシウムを含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
殺菌剤が、ジチアノン、ピラクロストロビン、ボスカリド、5-エチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、ジメトモルフ、メチラム、マンコゼブ、ホルペットまたはクレソキシムメチルからなる群に属する少なくとも1種の殺菌剤を含む、請求項1および2のいずれか1項に記載の使用。
【請求項4】
亜リン酸のカルシウム塩が固体製剤の形態である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
亜リン酸のカルシウム塩および殺菌剤を含む作物保護のための固体製剤。
【請求項6】
顆粒の形態である、請求項5に記載の固体製剤。
【請求項7】
亜リン酸のカルシウム塩が亜リン酸水素カルシウムを含む、請求項5または6に記載の固体製剤。
【請求項8】
25重量%以下の固体の担体を含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載の固体製剤。
【請求項9】
芳香族スルホン酸および/またはその塩を含む、請求項5〜8のいずれか1項に記載の固体製剤。
【請求項10】
製剤がリグノスルホン酸またはその塩ならびにナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドおよび/もしくはフェノールとの縮合物またはその塩を含む、請求項5〜9のいずれか1項に記載の固体製剤。
【請求項11】
亜リン酸のカルシウム塩を含む水性組成物を乾燥する、亜リン酸のカルシウム塩を含む固体製剤の調製方法。
【請求項12】
造粒法を使用して乾燥を実施する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
亜リン酸H3PO3を水酸化カルシウムCa(OH)2および/または酸化カルシウムCaOの水性懸濁液に加える、亜リン酸のカルシウム塩の調製方法。
【請求項14】
相乗効果を有する量の亜リン酸のカルシウム塩および殺菌剤を含む組成物を植物、種子または土壌に施用する、植物病原性の有害な菌類を防除する方法。
【請求項15】
組成物が、請求項5〜10のいずれか1項に記載の固体製剤である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項5〜10のいずれか1項に記載の固体製剤を1〜2000g/100kgの量で含む種子。

【公表番号】特表2011−522851(P2011−522851A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512933(P2011−512933)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056713
【国際公開番号】WO2009/150076
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】