説明

殺菌剤噴霧装置

【課題】容器内の殺菌剤の残留濃度を高めることのない殺菌剤噴霧装置を提供するものである。また殺菌剤が容器内面にほぼ均一状態で付着される殺菌剤噴霧装置を提供する。
【解決手段】容器の上方にノズル部が配置され、同ノズル部の噴口から殺菌剤が噴出される殺菌剤噴霧装置において、ノズル部4が容器1の外面12上方延長面の外側でありかつ同容器1内に向け所定の下方傾斜角で配置される。またノズル部4が容器1の外面12上方延長面の外側であってかつ同容器内に向け所定の下方傾斜角で配置される一方、ノズル部4の前方においてノズル部の噴口2から噴出される殺菌剤へ向け所定の下方傾斜角で配置される補助ノズル部15を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体用容器等の各種容器の内面殺菌を行う殺菌剤噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、牛乳などの飲料の液体用容器やその他の容器においては飲料などを充填する前に過酸化水素などの殺菌剤で容器の内面殺菌を行っている。内面殺菌には殺菌剤噴霧装置が用いられるが、図4に示される従来の噴霧装置では容器1の中心線上方にノズル部14が噴口2を下方に向けて配置され、殺菌剤が噴口2から容器1内に向け噴霧される。このとき噴霧微粒子の一部は噴霧圧力により容器1内から吹き上がり、ノズル部14や気体供給管、殺菌剤供給管等の外面に付着する。このような現象が繰り返されると、集合凝集した微粒子が比較的に濃度の高い殺菌剤を含む液滴14Dとなって容器1内に落下し、殺菌剤の残留濃度を高めるおそれもあり、その監視が必要であった。なお12は容器1の外面である。
【特許文献】特開平5−180685公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このような従来装置における問題点を解消し、内面殺菌に際し、液滴14Dにより容器内の殺菌剤の残留濃度を高めることのない殺菌剤噴霧装置を提供するものである。また殺菌剤が容器内面にほぼ均一状態で付着される殺菌剤噴霧装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するため、本発明にかかる殺菌剤噴霧装置は次のような手段を講ずる。すなわち、容器の上方にノズル部が配置され、同ノズル部の噴口から殺菌剤が噴出される殺菌剤噴霧装置において、前記ノズル部が前記容器の外面上方延長面の外側でありかつ同容器内に向け所定の下方傾斜角で配置される。
【0005】
また容器の上方にノズル部が配置され、同ノズル部の噴口から殺菌剤が噴出される殺菌剤噴霧装置において、前記ノズル部が前記容器の外面上方延長面の外側であってかつ同容器内に向け所定の下方傾斜角で配置される一方、前記ノズル部の前方に、前記ノズル部の噴口から吐出される殺菌剤へ向け所定の下方傾斜角で配置される補助ノズル部を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる殺菌剤噴霧装置においては、ノズル部および/または補助ノズル部が容器の外面上方延長面の外側に配置されており、ノズル部や補助ノズル部、気体供給管などの外面に殺菌剤を含む液滴が生じても容器内には落下しないから、殺菌剤の残留濃度を高めることはない。またノズル部に対応して設置される補助ノズル部による調整機能、すなわち補助ノズル部の噴口からはノズル部の噴口より噴出される殺菌剤の気流へ向け空気等の気体が噴出され、殺菌剤の拡散方向、状態等を変更あるいは調整する。これにより殺菌剤が容器内面にほぼ均一状態で付着され、容器の殺菌を確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を実施するための最良の形態を図1ないし図3により説明する。
図1に示される殺菌剤噴霧装置Aにおいて、容器1の上方にノズル部4が配置され、ノズル部の噴口2から殺菌剤が噴出される。ノズル部4にはタンク内の過酸化水素などの殺菌剤を供給する搬送パイプと空気などの気体を供給する気体供給パイプがそれぞれ接続され(図示せず)、搬送パイプにより供給される過酸化水素などの殺菌剤がノズル部4の噴口2から微粒子の気流(図1における破線参照)となって噴霧される。筒型の有底容器12は外面3の上端に上部開口5が形成されている。ノズル部4は容器の外面12の上方延長面12Aの外側(図4における想像線12Aの右側、以下同様)に配置されている。
【0008】
またノズル部4は容器1内に向け所定の下方傾斜角で設置されている。すなわちノズル部4はその中心軸線4Bの延長線が容器1の中心線12Bに対し下方傾斜角αで配置され、殺菌剤はノズル部の噴口2から容器1内に向け斜め下方へ噴霧される。下方傾斜角αの大きさはノズル部4の位置等、種々の条件により適宜に設定される。
【0009】
ノズル部の噴口2から噴出された殺菌剤は噴出方向に進行拡散するとともに重力で下方へさらに拡散し、容器1内面に付着する。また容器1内の吹き上げ気流によりその一部が拡散上昇して容器1内面に付着する。このように噴霧微粒子の殺菌剤が内面に付着して容器1が殺菌される。この場合、ノズル部4は容器の外面12上方延長面12Aの外側にあって吹き上げ気流にさらされず、ノズル部4に液滴14Dの生じる可能性は小さい。また液滴14Dが発生してもその落下点は容器1の外側であり、殺菌剤の残留濃度が問題となることはない。
【0010】
次に図2に示される殺菌剤噴霧装置Bはノズル部4のほかに補助ノズル部15を備える。補助ノズル部には気体供給パイプが接続され(図示せず)、空気などの加圧気体がその噴口から噴出される。ノズル部4は、前記と同様に、ノズル部の中心線4Bが容器の中心線12Bに対して所定の下方傾斜角αで傾斜するように配置され、殺菌剤はノズル部4から容器1内に向け斜め下方へと噴霧される。ノズル部4に対応して補助ノズル部15が設けられ、補助ノズル部の噴口3はノズル部の噴口2より噴出される殺菌剤の気流(図2における破線参照)に対し所定の下方傾斜角で設置される。すなわち補助ノズル部15はノズル部の噴口2の前方であって、補助ノズル部15の中心軸線6がノズル部4の中心軸線4Bに対して下方傾斜角βで設置される。下方傾斜角βの大きさは補助ノズル部15の位置など種々の条件に従い適宜に選択される。補助ノズル部の噴口3からはノズル部の噴口2より噴出される殺菌剤の気流に向け空気等の気体が噴出され、殺菌剤の進行拡散方向、状態等を調整することができる。
【0011】
補助ノズルは、ノズル部の噴口の前方にかつ所定の下方傾斜角で配置される限り、その設置箇所に限定はないが、図2に示される殺菌剤噴霧装置Bでは、補助ノズル部の噴口3はノズル部の噴口2の上方であり、かつ補助ノズル部の噴口3はノズル部の噴口2の近傍に配置される。これにより補助ノズル部15からの気体はノズル部の噴口2より噴出後の比較的拡散度の小さい噴霧微粒子の気流に対し向けられ、殺菌剤のより確実に所望の方向へ変更あるいは調整することができる。
【0012】
すなわちノズル部の噴口2より噴出される殺菌剤はその噴出方向へ進行拡散する一方、補助ノズル部15からの気流により容器1内へ向けて下方に拡散屈曲される。殺菌剤の微粒子は重力でさらに落下拡散して容器1内面に付着する一方、容器内の吹き上がり気流により一部が拡散上昇して容器1内に付着する。これによりノズル部4から噴霧された殺菌剤が容器内に一様に供給され、容器内面は均一状態で殺菌される。
【0013】
また補助ノズル部15は容器の外面12の上方延長面12Aの外側に配置されている。すなわちノズル部4と補助ノズル部15はいずれも容器の外面12の上方延長面12Aの外側にあり、ノズル部14および/または補助ノズル部6に液滴14Dが発生したとしてもその落下点は容器1の外側であり、殺菌剤の残留濃度が問題となることはない。
【0014】
さらに、図3に示される殺菌剤噴霧装置Cでは、ノズル部4の前方の容器対向面7側に、補助ノズル部15がその噴口3を同ノズル部4側へ向けて配置される。補助ノズル部の噴口3からの気体はノズル部の噴口2より噴出される気流の進行方向と逆方向から噴出され、ノズル部4から比較的に強い圧力で殺菌剤が噴霧されるような場合でも、ノズル部の噴口2の前方の容器対向面7に殺菌剤が偏在して付着することがない。また殺菌剤が容器1内に一様に供給され、容器内面を均一状態に殺菌することができる。この場合も補助ノズル部15は容器の外面3上方延長面12Aの外側に配置されるから、ノズル部4および/または補助ノズル部15に液滴14Dが発生してもその落下点は容器1の外側である。なお殺菌剤噴霧装置A、B、Cに設置されるノズル部、補助ノズル部の具体的な構造は任意であり、ノズル部は、例えば、二流体ノズルとすることができる。
【0015】
ノズル部4、補助ノズル部15は所定の傾斜角で固定して配置しあるいはその傾斜角を適宜に変更可能に配置することができる。例えば、補助ノズル部の噴口3の傾斜角βを変更可能に配置することができる。固定ノズル部4に対する補助ノズル部6の傾斜角の変更によりノズル部14より噴出された気流の進行拡散方向や程度などの調整を効率よく行うことができる。また補助ノズル部は噴口3の噴出圧力を変更可能に配置し、同様に、気流の進行拡散方向や程度などの調整を行うこともできる。補助ノズル部の噴口の傾斜角や噴出圧力の変更は、手動式による変更あるいは自動システムによる変更などを適宜に選択する。このようにノズル部の傾斜角および/または補助ノズル部の傾斜角を変更可能に配置し、またノズル部の噴出圧力および/または補助ノズル部の噴出圧力を変更可能に配置したものである。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は飲料等の液体用容器のみならず各種容器の内面の殺菌に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】 本発明の殺菌剤噴霧装置であり、ノズル部より殺菌剤が噴霧される状態を示す説明図である。
【図2】 本発明の、補助ノズル部を備える他の殺菌剤噴霧装置であり、ノズル部より殺菌剤が噴霧される状態を示す説明図である。
【図3】 本発明の、補助ノズル部を備えるさらに他の殺菌剤噴霧装置であり、ノズル部より殺菌剤が噴霧される状態を示す説明図である。
【図4】 従来の殺菌剤噴霧装置であり、ノズル部より殺菌剤が噴霧される状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0018】
1 容器
2 ノズル部の噴口
3 補助ノズル部の噴口
4 ノズル部
5 容器の上部開口
6 補助ノズル部の中心線
7 対向面
12 容器外面
12A 外面の上方延長面
15 補助ノズル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の上方にノズル部が配置され、同ノズル部の噴口から殺菌剤が噴出される殺菌剤噴霧装置において、前記ノズル部が前記容器の外面上方延長面の外側でありかつ同容器内に向け所定の下方傾斜角で配置される殺菌剤噴霧装置。
【請求項2】
容器の上方にノズル部が配置され、同ノズル部の噴口から殺菌剤が噴出される殺菌剤噴霧装置において、前記ノズル部が前記容器の外面上方延長面の外側であってかつ同容器内に向け所定の下方傾斜角で配置される一方、前記ノズル部の前方に、前記ノズル部の噴口から噴出される殺菌剤へ向け所定の下方傾斜角で配置される補助ノズル部を備える殺菌剤噴霧装置。
【請求項3】
前記補助ノズル部の噴口が前記ノズル部の噴口の上方でありかつ前記ノズル部の噴口の近傍に配置される請求項2に記載の殺菌剤噴霧装置。
【請求項4】
前記ノズル部の前方の容器対向面側に、前記補助ノズル部がその噴口を同ノズル部側へ向け配置される請求項2に記載の殺菌剤噴霧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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