説明

殺菌用組成物

【課題】皮膚刺激性が低く、使用感触、特に使用後のさっぱり感、匂い、及び殺菌作用に優れる殺菌用組成物、及びこれを用いたウェットワイパーを提供する。
【解決手段】本発明にかかる殺菌用組成物は、(a)下記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体を0.1〜15.0質量%、(b)アルコールを1.0〜75質量%、及び、(c)殺菌剤を0.01〜2.0質量%、を含有することを特徴とする。
(化1)


(式中、Zは、ダイマージオールから水酸基を除いた残基、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、これらの付加形態はブロック状である。a、およびbは、各々前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦2×a≦150、1≦2×b≦150であり、炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は10〜99質量%である。Rは、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は殺菌用組成物、ウェットワイパー、特にその皮膚刺激性、匂いの低減、及び使用感触の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェットワイパー類とは、「ぬれティッシュ」、「使い捨ておしぼり」、「お手ふき」、「清浄綿」、「お手ふき布タオル」、「保湿ティッシュ」等の総称(日本清浄紙綿類工業会:ウェットワイパー類の安全衛生自主基準)である。これらは主に携帯用のおしぼりとして広く普及しており、汗などの簡単な汚れを除去してさっぱりとした清潔感を得ることができるものである。
【0003】
ウェットワイパー類である、ぬれティッシュ、使い捨ておしぼり、お手ふき、清浄綿、お手ふき布タオル、保湿ティッシュには水、エタノール、及び塩化ベンザルコニウムなどの薬品が使用されている。薬品の中で代表的な塩化ベンザルコニウムは、殺菌消毒、消臭、防黴を目的として医療分野、食品分野、化粧品分野、工業分野などで用いられており、高い効果を有するため、広く使用されている。しかしながら塩化ベンザルコニウムは、皮膚刺激性や、匂いがするという欠点を有していた。
【0004】
この解決手段として、テトラヒドロアビエチン酸とエタノールを併用する方法(例えば、特許文献1参照)や、アルキルジメチルベンジルアンモニウムを配合する方法(例えば、特許文献2参照)、また特定のエポキシ化合物と塩基性アミノ酸との付加物を配合する方法(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
【0005】
しかし、テトラヒドロアビエチン酸とエタノールを併用する方法は、殺菌性や皮膚刺激性、および使用性に優れるものの、その効果は十分満足いくものではなかった。
そして、アルキルジメチルベンジルアンモニウムを配合する方法は、皮膚刺激性や匂い低減に優れるものの、使用感触は十分満足いくものではなかった。また、特定のエポキシ化合物と塩基性アミノ酸との付加物を配合する方法は、殺菌効果や安全性が優れるものの、使用感触は十分満足いくものではなかった。
【0006】
一方、皮膚刺激性が低く、使用感触も良好な直鎖型ポリアルキレンオキシドジアルキルエーテル誘導体を配合した提案もされている(例えば特許文献4参照)。しかし、これらの提案では使用感触、皮膚に対する刺激性の緩和には優れているものの、経時による匂いに関して必ずしも満足のいく効果が得られてはいなかった。
【特許文献1】特開平5−15467号公報
【特許文献2】特開2006−69919号公報
【特許文献3】特開平11−246314号公報
【特許文献4】特開2004−292395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたもので、その目的は皮膚刺激性が低く、使用感触、特に使用後のさっぱり感、匂い、及び殺菌作用に優れる殺菌用組成物、及びこれを用いたウェットワイパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討を行った結果、特定のブロック型アルキレンオキシド誘導体を、アルコール及び殺菌剤とともに用いることにより、殺菌剤を配合しても皮膚刺激性が低く、使用感触、特に使用後のさっぱり感に優れ、経時による匂いが低く、殺菌作用も阻害しないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明にかかる殺菌用組成物は、(a)下記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体を0.1〜15.0質量%、(b)アルコールを1.0〜75質量%、及び、(c)殺菌剤を0.01〜2.0質量%、を含有することを特徴とする。
【0010】
(化1)

(式中、Zは、ダイマージオールから水酸基を除いた残基、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、これらの付加形態はブロック状である。a、およびbは、各々前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦2×a≦150、1≦2×b≦150であり、炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は10〜99質量%である。Rは、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。)
【0011】
また、前記殺菌用組成物において、前記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体のAOがオキシブチレン基であることが好適である。また、前記殺菌用組成物において、(c)殺菌剤が塩化ベンザルコニウムであることが好適である。
さらに、本発明にかかるウェットワイパーは、前記殺菌用組成物を含浸することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、特定構造を有するブロック型アルキレンオキシド誘導体を配合することにより、アルコールや殺菌剤を配合しても皮膚刺激性が低く、匂いや使用感触、特に使用後のさっぱり感に優れた殺菌用組成物を得ることができる。しかも、前記組成物は高い殺菌作用を保持している。
また、前記殺菌用組成物を基布へ含浸させ、前記機能を備えたウェットワイパーを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明にかかる殺菌用組成物は、(a)特定構造を有するブロック型アルキレンオキシド誘導体、(b)アルコール、及び、(c)殺菌剤をそれぞれ特定量含むものである。以下、前記必須成分について順次詳述する。
【0014】
(a)ブロック型アルキレンオキシド誘導体
本発明にかかる殺菌用組成物は、下記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体を含むものである。
(化1)

【0015】
式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体において、Zは、ダイマ−ジオールから水酸基を除いた残基、EOは炭素数2のオキシエチレン基である。AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、例として、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基、オキシt−ブチレン基などが挙げられる。好ましくは、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、さらに好ましくはオキシブチレン基である。これらの付加形態はブロック状である。
aおよびbは、各々前記オキシエチレン基、オキシアルキレン基の平均付加モル数で、1≦2×a≦150、1≦2×b≦150である。好ましくは2≦2×a≦150、2≦2×b≦150、より好ましくは、2≦2×a≦120、10≦2×b≦130である。2×aが0であると使用後べたつき感がでてくる傾向にある。2×aが150を越えると殺菌用組成物に配合した場合に、経時による匂い劣化が生じる傾向にある。また2×bが0であると皮膚刺激性に劣る傾向になり、150を越えると使用後のさっぱり感に劣る傾向がある。
【0016】
前記式(I)中のAOとEOの合計に対するEOの割合は10〜99質量%であり、好ましくは20〜70質量%である。10質量%より小さいと皮膚刺激性に劣る傾向にある。
オキシエチレン基と炭素数3〜4のオキシアルキレン基の付加形態はブロック状であり、付加順序はダイマージオールに対して、AO、EOの順で結合している。
【0017】
Rは使用感触を良好にするための必須条件であり、炭素数1〜4の炭化水素基で、炭化水素基としては、メチル基、エチル基、N−プロピル基、イソプロピル基、N−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基およびこれらの混合基などが挙げられる。本発明においてはメチル基、エチル基であることが好ましい。炭素数が5より大きいと、経時による匂いの低減効果が劣る傾向にある。
【0018】
式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体において、Zは、ダイマージオールから水酸基を除いた残基である。ここで、ダイマージオールとは、ダイマー酸を還元して得られるジオールである。
本発明に用いられるダイマージオールの原料となるダイマー酸は、不飽和脂肪酸又はその低級アルコールエステルを重合することによって得られる二量体である。具体的にはオレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等の不飽和脂肪酸又はこれらの低級アルコールのエステルをディールス・アルダー反応のような熱重合により反応させる方法又はその他の反応方法によって合成できる。生成したダイマー酸中に本発明の効果を損なわない範囲であれば未反応の脂肪酸が残っていても構わない。
【0019】
ダイマー酸としては、炭素数12〜24の不飽和脂肪酸又はその低級アルコールエステルを二量化したものが好ましい。このような不飽和脂肪酸としては、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、リノレイン酸およびこれらの炭素数1〜3の低級アルコールエステルなどが挙げられるが、好ましくは、炭素数18の不飽和脂肪酸であり、オレイン酸もしくはその低級アルコールエステルが特に好ましい。
ダイマージオールは、動物油脂由来及び植物油脂由来のものが流通しており、本発明では何れも使用できるが、植物油脂由来のものがより好ましい。このようなダイマージオールとしては、コグニス・ジャパン社製Sovermol 908、ユニケマ社製PRIPOL 2033、東亞合成(株)製ペスポールHP−1000などが例示できる。
【0020】
本発明にかかる殺菌用組成物に配合されるアルキレンオキシド誘導体としては、具体的にはPOB(25)POE(34) ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(25)POE(35) ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(4)POE(13)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(25)POE(52)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(18)POE(41)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(18)POE(41)ジエチルダイマ−ジオールエーテル、POB(18)POE(41)ジプロプルダイマ−ジオールエーテル、POB(18)POE(41)ジブチルダイマ−ジオールエーテル、POB(11)POE(30)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(15)POE(45)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(18)POE(50)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(21)POE(56)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(12)POE(50)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(18)POE(61)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(3)POE(40)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(6)POE(82)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(40)POE(120)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(100)POE(40)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POE(35)POP(30)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POE(52)POP(30)ジメチルダイマ−ジオールエーテル等が挙げられる。
なお上記POE、POB、POPは、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシプロピレンの略であり、以下、このように略して記載することがある。
【0021】
本発明にかかる殺菌用組成物に配合されるブロック型アルキレンオキシド誘導体は、公知の方法で製造することができる。例えば例えばダイマージオールに炭素数3〜4のアルキレンオキシド、エチレンオキシドを順に付加重合した後、ハロゲン化アルキルをアルカリ触媒の存在下にエーテル反応させることによって得られる。
【0022】
以上のようにして得られるブロック型アルキレンオキシド誘導体の配合量としては、本発明にかかる殺菌用組成物全量に対して0.1〜15.0質量%であることが好ましく、より好ましくは1.0〜8.0質量%である。前記配合量が0.1質量%に満たないと、皮膚刺激性の低減が十分でないことがあり、配合量が15.0質量%を超えると、使用後にべたつきを感じる傾向にあり好ましくない。
【0023】
(b)アルコール
本発明にかかる殺菌用組成物へ適用し得るアルコールとしては、特に限定されるものではないが、具体的には、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等が挙げられる。本発明において特に好ましくはエタノールである。
本発明の殺菌用組成物におけるアルコールの配合量は、組成物全量に対し1.0〜75質量%であり、好ましくは5.0〜50質量%である。前記配合量が1.0質量%に満たないとべたつきを感じ、また、75質量%を越えると、皮膚刺激性が認められることがあり好ましくない。
【0024】
(c)殺菌剤
本発明にかかる殺菌用組成物へ適用し得る殺菌剤としては、塩化ベンザルコニウムが好ましい。他の殺菌剤としては、例えば塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム等が挙げられる。
本発明の殺菌用組成物における殺菌剤の配合量は、組成物全量に対し0.01〜2.0質量%であり、好ましくは0.1〜0.5質量%である。前記配合量が0.01質量%に満たないと殺菌剤としての効果が得られず、また、2.0質量%を越えると、皮膚刺激性が認められることがあり好ましくない。
【0025】
本発明の微細エマルション組成物に含まれる水は特に限定されず、具体的に示すとすれば精製水、イオン交換水、水道水等が挙げられる。
【0026】
本発明のウェットワイパーは、前記殺菌用組成物を、紙、不織布、脱脂綿レーヨンステーブル綿、又はこれらにプラスティックフィルム等を複合した基布に含浸することにより得られるものであり、具体的には、ぬれティッシュ、使い捨ておしぼり、お手ふき、清浄綿、お手ふき布タオル、保湿ティッシュ等が挙げられる。
【0027】
本発明のウェットワイパーにおいては、本発明の効果を阻害しない範囲において、一般にウェットワイパーに配合される他の成分、例えば、油分、水等を配合することができ、さらに所望に応じて、無機顔料、体質顔料等の粉末類、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高級脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールとのエステル、保湿剤、低級アルコール、増粘剤、キレート剤、美白剤、抗炎症剤、防腐剤、色素、香料などを配合することができる。
【0028】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、配合量については特に断りのない限り、質量%で示す。
【0029】
下記表1に示す成分および配合量で、殺菌用組成物(試験例1〜10)を常法により調製した。そして、得られた組成物の溶液をそれぞれ20cm×20cmの不織布に含浸させウェットワイパーを得た。各ウェットワイパーについて、下記評価項目(1)〜(4)の評価試験を行い、その特性を評価した。なお表中のアルキレンオキシド誘導体は、以下の構造を有するものを用いた。2×a=18、2×b=41の場合は、(BO)18(EO)41と表記する。以下にブロック型アルキレンオキシド誘導体の合成例について示す。
<合成例>
POB(18)POE(41) ジメチルダイマージオールエーテル
(化2)

(Z;炭素数36のダイマージオール、AO;オキシブチレン基、2×a=18、2×b=41、R=メチル基、EO58.2質量%)の合成
ダイマージオール270g(0.50モル、商品名:コグニスジャパン(株)製Sovermol 908、オレイン酸由来のダイマージオール)と水酸化カリウム7.0gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら140℃にて触媒を完全に溶解させた。引き続き、120℃、0.2〜0.5MPa(ゲージ圧)にて、滴下装置よりブチレンオキシド648gを滴下させ、3時間撹拌した。続いて120℃、0.2〜0.5MPa(ゲージ圧)にて滴下装置よりオキシエチレン902gを滴下させ、2時間攪拌した。次に、水酸化カリウム100gを仕込み、系内を乾燥窒素で置換した後、塩化メチル80gを温度80〜130℃、0.3MPa(ゲージ圧)にて圧入し6時間反応させた。その後オートクレーブより反応物を取り出し、塩酸で中和してpH6〜7とし、含有する水分を100℃で1時間処理することで除去した。さらに処理後生成した塩を除去するためにろ過を行い、目的化合物を得た。
【0030】
表1中の各評価項目は、以下の評価試験及び基準によるものである。評価結果も表1に併せて示す。
「評価(1):皮膚刺激試験」
10名のパネルの上腕内側部に24時間の閉塞パッチを行ない、その後以下の基準により平均値を算出した。◎もしくは○を皮膚刺激が低いものと判断した。
0…全く異常が認められない。
1…わずかに赤みが認められる。
2…赤みが認められる。
3…赤みと丘疹が認められる。
「皮膚刺激試験」の評価基準は以下の通りである。
◎…パネル10名の平均値:0.1未満
○…パネル10名の平均値:0.1以上0.15未満
△…パネル10名の平均値:0.15以上0.2未満
×…パネル10名の平均値:0.2以上
【0031】
「評価(2):使用後のさっぱり感」
使用後の肌のさっぱり感の有無を専門パネラー10名により実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。◎もしくは○をさっぱり感があるものと判断した。
◎…専門パネラー8名以上が、使用後さっぱり感があると認めた。
○…専門パネラー6名以上8名未満が、使用後さっぱり感があると認めた。
△…専門パネラー3名以上6名未満が、使用後さっぱり感があると認めた。
×…専門パネラー3名未満が、使用後さっぱり感があると認めた。
【0032】
「評価(3):経時による匂い」
各試験例の殺菌用組成物について、製造直後ガラス瓶に充填し50℃にて6週間放置後の匂いを専門パネラー10名により官能評価を行った。○を経時による匂いが良好であると判断した。
○…専門パネラー6名以上が、不快臭がしないと認めた。
△…専門パネラー3名以上6名未満が、不快臭がしないと認めた。
×…専門パネラー3名未満が、不快臭がしないと認めた。
【0033】
「評価(4):抗菌性試験(皮膚上)」
試料のウェットワイパー類、清浄綿で両手を拭いた。この操作を2回繰り返した後、グローブジュース法により手の菌を採取した。殺菌剤が配合されていない比較例1における手の菌数をコントロールとして比較評価した。○は抗菌作用を阻害してないと判断した。
○…試験例1の生菌数より明らかに低い菌数が確認されている。
×…試験例1の生菌数とほぼ同数の菌数が確認されている。
【0034】
【表1】

*1;POおよびEOはランダム共重合体
【0035】
上記の結果から、本発明の殺菌用組成物を含浸している試験例2〜6のウェットワイパーは、上記組成物を含浸していない試験例1に比べて、皮膚刺激性、使用後のさっぱり感、経時による匂い、及び抗菌性のいずれも優れているものであった。
これに対して、オキシブチレン基のみであるアルキレンオキシド誘導体を配合した試験例7は、皮膚刺激性、経時による匂いの点で劣るものであった。さらにアルキレンオキシド誘導体の末端が水酸基である試験例8では、皮膚刺激性、使用後のさっぱり感、及び経時による匂いの点で劣っていた。アルキレンオキシド誘導体の末端が炭素数6のヘキシル基を有する試験例9、及びエチレンオキシド、プロピレンオキシドランダム共重合体のジメチルエーテルであるアルキレンオキシド誘導体を配合した試験例10は、経時による匂いの点で劣っていた。
【0036】
以上の結果から明らかなように、(a)特定構造のブロック型アルキレンオキシド誘導体、(b)アルコール、及び、(c)殺菌剤を適量配合することにより、高い抗菌性を保持したまま、使用感触、特に使用後のさっぱり感、及び経時による匂いの低減を向上し、且つ皮膚刺激性の低い殺菌用組成物を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体を0.1〜15.0質量%、
(b)アルコールを1.0〜75質量%、及び、
(c)殺菌剤を0.01〜2.0質量%、
を含有することを特徴とする殺菌用組成物。
(化1)

(式中、Zは、ダイマージオールから水酸基を除いた残基、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、これらの付加形態はブロック状である。a、およびbは、各々前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦2×a≦150、1≦2×b≦150であり、炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は10〜99質量%である。Rは、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。)
【請求項2】
請求項1に記載の殺菌用組成物において、前記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体のAOがオキシブチレン基であることを特徴とする殺菌用組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の殺菌用組成物において、(c)殺菌剤が塩化ベンザルコニウムであることを特徴とする殺菌用組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の殺菌用組成物を含浸することを特徴とするウェットワイパー。

【公開番号】特開2010−105957(P2010−105957A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279322(P2008−279322)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】