説明

殺虫、殺ダニ、および殺真菌の組み合わせ活性を有する多機能組成物

【課題】本発明は、特殊な局面は、殺虫、殺ダニ、および殺真菌の新規な組成物、および当該組成物を用いて、虫、ダニ、および真菌害虫を、例えば園芸および商業用栽培において防除する、安全で環境にやさしい方法を提供する。好ましくは、当該組成物は、有機原料または自然の原料を含む。
【解決手段】特殊な態様は、以下から成る:脂肪酸石鹸ベース(保持されたグリセリンを含むサポニン化された石鹸;またはグリセリンを含む脂肪酸塩);少なくともひとつのエッセンシャルオイル;任意で、ひとつの食用オイル;ひとつの重炭酸試液、および水。
付加的な態様は以下を含む:石鹸ベースおよび/またはグリセリンその他の適切なベース;少なくともひとつの有機原料または自然の原料に由来する植物性エッセンシャルオイル;有機原料または自然の原料に由来する食用オイル;ひとつの重炭酸試液、および希釈剤および担体としての水、さらに当該組成物を使った方法。
さらなる局面は、ダニおよび真菌害虫を、単一の組成物を用いて防除する方法を提供し、当該の組成物は、水溶性の担体および希釈剤を含み、非石油系の食用オイルおよび重炭酸剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2004年7月6日に出願された「有機的あるいは純粋な(pure)殺虫剤・殺ダニ剤・殺真菌剤」と題したアメリカ合衆国仮出願番号60/586,485;2004年8月19日に出願された「殺ダニ剤および殺真菌剤を含んだ殺虫石鹸」と題したアメリカ合衆国仮出願番号60/603,293(これらの出願は、本書に参考としてそのまま組み入れられている)に対し、優先権の特典を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明の局面は、一般的には、新規な多機能の組成物および当該組成物を使用した方法群に関し、具体的には、殺虫、殺ダニ、および殺真菌の組み合わせ活性を有する新規の組成物および有機的組成物に関する。
【0003】
(背景)
殺虫石鹸は当業界において既知であり、一般的にエチルアルコールを含む脂肪酸のカリウム塩を含む殺虫石鹸が良く知られている。しかし、そのような従来の技術による製品は多くの場合効果的ではなく、園芸(例えば、野菜、果実、ベリー類、および観賞用植物)に多大なる悪影響を及ぼし、さらに上記に加えて複数の不利な点がある。例えば、従来の殺虫石鹸には、有機園芸または農業に使用できるとしているが{OMRI(アメリカの有機資材検討協会)リストなど}、実際は非有機的原料を含んでおり、その結果、個人による園芸および未成年者(例えば、子供、若者)による使用との関連で環境にやさしい虫防除が必要である、商業栽培だけでなく有機栽培者の用途にも不適切となっているものがある。さらに、また重要なことには、そのような従来の技術は、殺虫剤としての使用のため、狭義にまたは特異的に開発されているので、園芸者または栽培者は複数の別々の製品を購買し、これら三つの一般的であり且つ非常に重大な懸念、すなわち虫、ダニ、および真菌病害に対応しなければならない。
【0004】
例えば、Zobitne et al.に対し認可されたアメリカ合衆国特許番号6,548,085は、有効組成物としてエッセンシャルオイル;ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を相乗効果の出る割合で含む殺虫組成物を教示している。しかし、Zobitne et al.は環境保護庁(EPA)(EPA は、殺虫組成物における有毒である可能性のある原料を連邦殺虫剤殺菌剤殺鼠剤法に基づき規制している)がSLSの使用を規制緩和したと教示しているが、それにもかかわらずSLSは当業界で細胞膜に退行性の影響を及ぼすことが知られており、ある条件下においてはウサギの眼に角膜損傷を起こすことが知られており、さらに世界の臨床研究では強力な皮膚刺激剤として使われている。SLSは、ラウリルアルコールを三酸化硫黄またはクロロスルホン酸で硫酸化し、次いで水酸化ナトリウムで中和することにより調製される。癌原性のある硝酸が、SLSの製造過程において、あるいはSLSを使用した製剤内でSLSが他の窒素含有原料と相互反応することにより、形成される可能性がある(例えば、Final Report of the Safety Assessment of Sodium Lauryl Sulfate, J. Amer. Cole of Toxicology, vol. 2, number 7, 1983を参照せよ)。さらに、その他の研究によると、SLSは、皮膚と接触することにより、心臓、肝臓、肺、および脳に入り、残渣レベルを維持することが指摘されており、さらにまた別の研究によると、SLSは免疫系、特に皮膚の免疫系(Id)を損傷させることが指摘されている。同様に、Hsu, et.al. に対し認可されたアメリカ合衆国特許番号6,231,865は、にんにくオイル、綿種オイルかあるいはシナモンオイル、さらに乳化剤として10%のSLSを含む農薬組成物を教示している。
【0005】
さらに、SLSは、9個あるいはそれ以下の炭素原子の鎖を有する短鎖の脂肪酸であり、それが事実上除草剤の性質を有することから、当業界では植物に厳しいとして知られている。
【0006】
当業界には、虫、ダニ、および真菌病害を処置、防除、および/または予防するために利用できる、安全で、環境にやさしく、信頼に足る頑強な方法および相乗効果のある組成物を求める顕著な必要性がある。
【0007】
(発明の要約)
本発明の局面は、虫、ダニ、および真菌病害を処置、防除、および/または予防するために実質的効用を有する、新規で、安全で、環境にやさしく、信頼に足る頑強な方法および組成物を提供している。発明の多機能の組成物は、単一の組成物を使用することにより、虫、ダニ、および真菌病害を処置、防除、および/または予防する効果を提供するように相乗的に作用する原料を含む。
【0008】
発明の組成物および原料群は、それぞれの殺虫、殺ダニ、および殺真菌の性質を最適化するように組み合わされている。特殊な局面は、従来の技術の欠点を克服する有機的または純粋な殺虫剤、殺ダニ剤、および殺真菌剤を提供している。在来の製品は、有害な化学物質を含み、非効果的および/または有害な原料を、例えば、エチルアルコール中に総製品含量のかなりの高率で含みその結果それらの製品を非効果的にしてしまっているのであるが、そのような在来の製品に代わる効果的な代替品を提供することが、本発明の目的である。
【0009】
在来の製品は、たとえある種の評価団体(OMRI)により有機栽培に承認されているものであっても、非有機的且つ合成された原料、あるいは有機栽培者にとって決して理想的な選択肢ではないと言わざるを得ない決して望ましくない担体と組み合わされた原料を含んでいる。本発明の好ましい局面は、有機的または純粋なおよび/または食品・薬剤の等級をつけた原料、あるいはまた連邦殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法(FIFRA)25条のb項の一覧表または分類4(a)の一覧表に記載されているという理由で米国環境保護庁の登録から免除されており有機栽培者が使用するのに全く安全である食用オイル原料のみを含む。好ましくは、発明の組成物は、厳格な米国農務省(USDA)の規則および規制の下で承認を受けた有機栽培用の施設で容器に詰める。
【0010】
従来の化学物質を殺虫剤として継続して利用することに関しては、その使用過程で起こるヒトに対する既知の有害な(癌原性の化学物質の場合には、死に至らしめる可能性もある)効果と、さらに有害な(死に至らしめる可能性もある)化学物質が水の供給および何百万エーカーという農業生産用地に存在するので、ヒト、動物、および植物全般に対し害がもたらされるという、より深刻な脅威との双方があり、それらについて園芸者、栽培者、および多くの州および連邦庁の政府高官は懸念しているが、特殊な局面は、そのような点に的を絞っている。
【0011】
特に好ましい局面は、個々の殺虫剤、殺真菌、および殺ダニの防虫または殺虫の性質が、単一の製品内に組み合わされており、現行の製品に存在するものと比較して、同等あるいはそれより強い防虫・殺虫の性質、殺ダニ性質、および真菌全滅力を有する、有機的または純粋な殺虫剤、殺ダニ剤、および殺真菌剤を提供する。個人の園芸者、未成年の使用、および商業的栽培者は、現在、害虫および真菌病害を管理するために複数の製品を購入しているため、害虫および真菌病害の管理は、費用が嵩み、時間のかかるものとなっている。特殊な局面は、殺虫、殺ダニ、および殺真菌に効果のある原料を組み合わせることにより効率を高めており、さらにその結果としてコストと時間の上でも効果を高めている。
【0012】
特殊な局面は、虫、ダニ、および真菌害虫を単一の組成物で防除する方法群を提供し、当該の方法群は、少なくともひとつの害虫または当該の少なくともひとつの害虫に敏感な植物の表面あるいはその一部に、殺虫目的で効果的な量の組成物を接触させることを含み、当該の組成物は、脂肪酸石鹸ベースおよびエッセンシャルオイル、さらに水溶性の担体または希釈剤を含み、単一組成物において虫、ダニ、および真菌害虫の防除が可能となっている。特殊な局面では、脂肪酸石鹸ベースは、保持グリセリンを含むサポニン化された少なくともひとつのオイルを含む。別の局面では、脂肪酸石鹸ベースは、グリセリンを含む少なくともひとつの脂肪酸塩を含む。好ましくは、脂肪酸石鹸ベースは、約0.01体積%から約40体積%、約5体積%から約20体積%、または約10体積%から約15体積%で、存在するのがよい。好ましくは、エッセンシャルオイルは、約0.01体積%から約40体積%、約5体積%から約10体積%、または約1体積%から約10体積%で、存在するのがよい。付加的な局面では、当該の組成物は、さらに、外来性グリセリンを約0.01体積%から約5体積%、または約2.0体積%で含む。さらにまた別の局面では、当該の組成物は、さらに、殺真菌剤(例えば、重炭酸剤、硫黄剤、銅剤など)を含む。好ましくは、重炭酸剤は、重炭酸カリウムを、約0.02質量%から約3質量%、または約0.02質量%から約2.0質量%で含むのがよい。好ましくは、当該のサポニン化されたオイルは、サポニン化された植物オイルであるのがよい。特殊な局面では、脂肪酸石鹸ベースは約1質量%から約15質量%で、エッセンシャルオイルは約0.01質量%から約5質量%で、食用オイルは約1質量%から約10質量%で、重炭酸剤は約0.02質量%から約2.0質量%で、それぞれ存在しているのがよい。特殊な局面では、エッセンシャルオイルと食用オイルは異なったオイルで、それぞれ当該の組成物内に、約0.1%から約10体積%、または約1体積%から約10体積%で、存在している。好ましくは、当該のエッセンシャルオイルはペパーミントおよびローズマリーの少なくともひとつを含み、食用オイルは綿種、大豆、およびなたねの少なくともひとつを含み、さらに重炭酸剤は重炭酸カリウムを2質量%で含むのがよい。好ましくは、当該の重炭酸剤は、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、および重炭酸アンモニウムから成る群から選択された少なくとも一つの物質である。好ましくは、脂肪酸石鹸ベースおよびエッセンシャルオイルはすべて有機的なものである。接触は、一度あるいは複数回の接触を含む。付加的な局面は、虫、ダニ、真菌を防除する組成物を提供し、提供組成物には、上記の組成物および改変群が含まれる。
【0013】
さらなる局面は、虫、ダニ、および真菌害虫を単一の組成物で防除する方法群を提供し、当該の方法群は、少なくともひとつの害虫または当該の少なくともひとつの害虫に敏感な植物の表面あるいはその一部に、殺虫目的で効果的な量の組成物を接触させることを含み、当該の組成物は、脂肪酸石鹸ベース、エッセンシャルオイル、および殺真菌の試液(例えば、重炭酸試液、硫黄試液、銅試液など)、さらに水溶性の担体または希釈剤を含み、単一組成物において虫、ダニ、および真菌害虫の防除が可能となっている。特殊な局面では、脂肪酸石鹸ベースは、保持グリセリンを含むサポニン化された少なくともひとつのオイルを含む。別の局面では、脂肪酸石鹸ベースは、グリセリンを含む少なくともひとつの脂肪酸塩を含む。好ましくは、当該の脂肪酸塩は、オレイン酸を含む。特殊な局面では、好ましくは、脂肪酸石鹸ベースは、約0.01体積%から約40体積%、約5体積%から約20体積%、または約10体積%から約15体積%で、存在するのがよい。特殊な局面では、エッセンシャルオイルは、約0.01体積%から約40体積%、約5体積%から約10体積%、または約1体積%から約10体積%で、存在するのがよい。付加的な局面では、当該の組成物は、さらに、外来性グリセリンを約0.01体積%から約5体積%、または約2.0体積%で含む。好ましくは、当該の重炭酸剤は、重炭酸カリウムを、約0.02質量%から約3質量%、または約0.02質量%から約2.0質量%で含むのがよい。特殊な局面では、脂肪酸石鹸ベースは約1質量%から約15質量%で、エッセンシャルオイルは約0.01質量%から約5質量%で、食用オイルは約1質量%から約10質量%で、重炭酸剤は重炭酸塩を含み約0.02質量%から約2.0質量%で、それぞれ存在しているのがよい。特殊な局面では、エッセンシャルオイルと食用オイルは異なったオイルで、それぞれ当該の組成物内に、約0.1%から約10体積%、または約1体積%から約10体積%で、存在している。好ましくは、当該のエッセンシャルオイルはペパーミントおよびローズマリーの少なくともひとつを含み、食用オイルは綿種、大豆、およびなたねの少なくともひとつを含み、さらに重炭酸剤は重炭酸カリウムを2質量%で含むのがよい。好ましくは、当該の重炭酸剤は、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、および重炭酸アンモニウムから成る群から選択された少なくとも一つの物質である。好ましくは、脂肪酸石鹸ベースおよびエッセンシャルオイルはすべて有機的なものである。接触は、一度あるいは複数回の接触を含む。さらなる実施例では、当該の組成物は、さらに、安定剤として作用するに十分なビタミンEをある量で含む。付加的な局面は、虫、ダニおよび真菌を防除する組成物を提供し、提供組成物には、上記の組成物および改変群が含まれる。
【0014】
さらに付加的な局面は、虫、ダニおよび真菌害虫を単一の組成物で防除する方法群を提供し、当該の方法群は、少なくともひとつの害虫または当該の少なくともひとつの害虫に敏感な植物の表面あるいはその一部に、殺虫目的で効果的な量の組成物を接触させることを含み、当該の組成物は、非石油系の食用オイルおよび殺真菌剤(例えば、重炭酸試液、硫黄試液、銅試液など)、さらに水溶性の担体または希釈剤を含み、単一組成物においてダニおよび真菌害虫の防除が可能となっている。特殊な局面では、非石油系の食用オイルは、約0.01体積%から約40体積%、約5体積%から約10体積%、または約1体積%から約10体積%で、存在するのがよい。特殊な局面では、当該の組成物は、さらに、外来性グリセリンを約0.01体積%から約5体積%、または約2.0体積%で含む。好ましくは、当該の重炭酸剤は、重炭酸カリウムを、約0.02%から約3体積%、または約0.02質量%から約2.0質量%で含むのがよい。特殊な局面では、非石油系の食用オイルは約0.01%から約20質量%あるいはまた約0.1質量%から約10質量%で、重炭酸剤は重炭酸塩を含み約0.02質量%から約5.0質量%あるいはまた約0.02質量%から約2質量%で、それぞれ存在しているのがよい。好ましくは、当該の非石油系の食用オイルは、大豆、綿種、およびなたねオイルから成る群から選択された少なくとも一つのオイルである。付加的な局面は、虫、ダニ、真菌を防除する組成物を提供し、提供組成物には、上記の組成物および改変群が含まれる。
【0015】
(図の簡単な説明)
本明細書は、広範囲で充分な書面による説明を提供しており、本書で説明、開示および権利請求している新規で驚くべき効果を有する発明の組成物および当該組成物を用いた方法群につきその理論を立証することが可能となっているのであるから、図も図面もない。
【0016】
(発明の詳細な説明)
定義
「有機的」という語は、本書で使用されているように、自然源に由来する化合物群および組成物を意味する。好ましくは、自然源は植物源であるのがよい。
【0017】
「害虫」という語は、本書で使用されているように、個人的な園芸または商業的な園芸および植物栽培に一般的に見られる害虫および寄生虫を意味し、最低限、虫(例えば、ミナミキイロアザミウマ類、アブラムシ類、カイガラムシ類、コナジラミ類、ヨコバイ類、ハサミムシ類、コナカイガラムシ類、アリ類、ハムシの一種[cucumber beetles])、ダニ(例えば、ナミハダニ、アカハダニ)、真菌(例えば、うどんこ病、黄化萎縮病、黒点粒[black spot]、さび病、株腐病、トリコデルマー、ボトリチス病)を含む。
【0018】
「殺虫目的で効果的な量」という語は、本書で使用されているように、少なくともひとつの植物寄生虫を防除する(本書で下記に定義した)に充分な発明の組成物の量を意味する。具体的局面では、当該の少なくともひとつの植物寄生虫は、虫、ダニおよび真菌から成る群から選択されており、殺寄生虫目的で効果的な量は、殺虫、殺ダニ、および殺真菌の効果的な量のうち少なくともひとつを意味する。
【0019】
植物害虫(例えば、虫、ダニ、および真菌)の関連における「防除する」という語は、本書で使用されているように、処置、殺虫、防除、予防、防虫、緩和すること、およびそれらの組み合わせを意味し、ここで、これらの語は広義に、殺虫、駆除、実質的な駆除、予防、実質的な予防に加えて、防虫、重篤度の軽減、緩和または軽減を包含するものである。
【0020】
「エッセンシャルオイル」という語は、本書で使用されているように、一般的に植物オイル(例えば、花、果実、葉、根、種、および樹皮に由来するもの)、および動物オイル(例えば、フィッシュオイル)を意味し、芳香エッセンスを有するものを含む。エッセンシャルオイルには、ほとんどが水には溶けないがアルコール、エーテル、植物オイルおよびミネラルオイルには良く溶ける揮発性の液体が含まれるがそれらの限定されるものではない。エッセンシャルオイルには、ペパーミントオイル、ツェダーオイル、キャスターオイル、クローブオイル、ゼラニウムオイル、レモングラスオイル、リンシードオイル、ミントオイル、タイムオイル、ローズマリーオイル、コーンミントオイル(フランス語の学名:Menthe Arvensis)、ニンニクオイル、アニスオイル、バジルオイル、カンファー オイル、シトロネラオイル、ユーカリオイル、フェンネルオイル、ジンジャーオイル、グレープフルーツオイル、レモンオイル、ライムオイル、マンダリンオイル、オレンジオイル、松葉オイル、ペッパーオイル、ローズオイル、タンジェリンオイル、ティーツリーオイル、ツリーシードオイル、ミネラルオイル、およびフィッシュオイルが含まれるがそれらの限定されるものではない。エッセンシャルオイルにはまた、一般的にヒトの消費用に採取される「食用オイル」が含まれ、その例には、コーン、オリーブ、なたね、綿種、シナモン、アーモンド、ココナツ、麻、大豆、胡麻、かぼちゃ、ホホバ、オレガノ、茶などが含まれるがそれらに限定されるものではない。エッセンシャルオイルは一般的に、例えば、ひとつあるいはそれ以上の方法群により得られ、そのような方法群の例には、水蒸気蒸留法、揮発性溶媒を用いた抽出、手または機械による圧搾、および冷浸法(この方法では、脂肪を溶媒として使う)がある。エッセンシャルオイルは、合成により生産することもでき、そのような本発明の範囲内に包含されている。
【0021】
「重炭酸剤」という語は、本書で使用されているように、重炭酸塩(例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウムなど)、およびその溶液を意味する。
【0022】
「サポニン化」という語は、本書で使用されているように、当業界で認識された石鹸作製プロセスを意味し、このプロセスは、植物オイル(例えば、ココナツ、パーム、オリーブなど)または動物性脂肪を強力なアルカリ(例えば、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム)と反応させ、石鹸とグリセリンを生産することを含む。
【0023】
「保持されたグリセリン」という語は、本書で使用されているように、石鹸を生産するサポニン化の過程で発生するグリセリンを意味し、ここで、グリセリンはサポニン化された石鹸作製と共に保持される。
【0024】
「外来性グリセリン」という語は、本書で使用されているように、特殊な発明の組成物に加えられた付加グリセリンを意味し、このグリセリンは、サポニン化のために既に存在している保持されたグリセリン(本書で定義している)に加えられるものである。
【0025】
「担体」という語は、本書で使用されているように、不活性または液体の物質(例えば、水)であり、自然の原料を用いているか、有機的であるか、また自然源に由来するものであり、処置を受ける植物・作物に対する当該の活性化合物群の適用が促進されるように、活性化合物群を当該担体と混合して製剤化する。
【0026】
I.複数の種類の植物寄生虫を単一の組成物を用いて防除する新規な方法群および組成物
本発明の特殊な局面は、単一組成物を一回あるいはそれ以上の回数で適用することにより、多種類の寄生虫(例えば、虫、ダニ、および真菌)を防除することにおいて実質的効用を有する新規の多機能組成物を提供する。特殊な態様は、単一の組成物を適用することにより、例えば、殺虫剤として、殺ダニ剤として、および/または殺真菌剤として有用である「有機的」あるいは「純粋な」多機能組成物を提供する。
【0027】
特殊な局面では、発明の組成物は、以下を含む:石鹸ベース;少なくともひとつのエッセンシャルオイル;重炭酸試液(例えば、USP重炭酸カリウム、または重炭酸ナトリウムあるいは本目的につき効用を有するその他の重炭酸);および希釈剤としての水および/または担体。好ましい態様では、当該の石鹸ベースおよびエッセンシャルオイル(類)は、「有機的」あるいは「純粋な」ものである。特殊な局面では、当該の構成要素は、厳格な品質管理の下で承認を受けた有機的食品製造者により、混合され瓶詰めにされる。例えば、当該の原料群は、有機的製品に関する米国農務省(USDA)の標準およびガイドラインに基づいてステンレススチールのタンク内で混合される。
【0028】
石鹸:特殊な組成物は、石鹸ベースを含み、当該の石鹸ベースは、保持されたグリセリンを含んだ、少なくともひとつのサポニン化された有機的オイル(例えば、ココナツオイル、オリーブオイル、麻オイル、ホホバオイル、コーンミントオイルなど)を含む。特殊な局面では、当該の脂肪酸石鹸ベースは、発明の組成物内に、約0.01体積%から約40体積%、約0.01体積%から約30体積%、約5体積%から約25体積%、約10体積%から約20体積%、約10体積%から約25体積%、約5体積%から約20質量%、約10体積%から約15質量%で、存在する。当該の石鹸ベースは、例えば、ココナツ、パーム、オリーブまたは麻のオイルまたは動物性脂肪(例えば、認可済みの有機オイル)と強力なアルカリ(水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム)との間のサポニン化反応の産物である。この当業界で認識されているプロセスは、脂肪酸グリセライド(エステル)を加水分解して脂肪酸塩(例えば、石鹸)とグリセリンを生産する酸・塩基加水分解反応である。このプロセスの最終結果は、石鹸、グリセリンおよび水であり、廃棄物は産出されない。反応条件は、一般的に、熱と圧力に関与する(例えば、それぞれ華氏260度で15 psi)。
【0029】
外来性グリセリン:特殊な組成物は、石鹸ベースおよび保持されたグリセリンに加えて、約0.01%から約5%の外来性グリセリンを含む。好ましくは、外来性グリセリンは、約0.5%から約3%の割合で、組成物内に存在するのがよい。好ましくは、外来性グリセリンは、約2.0%の割合で、組成物内に存在するのがよい。本発明の局面によると、グリセリンは、その他の原料との相乗効果により、ひとつあるいはそれ以上の防虫活性を高め、さらに植物の外観を改善する(例えば、葉が磨いたように輝くなど)。当該のグリセリンは、特殊な理論に従うことなく、例えば、脂肪酸塩および/または重炭酸塩の沈澱を除去するのに役立つ(下記の重炭酸含有の態様を参照せよ)。従来技術製品の脂肪酸塩は、植物の表面に沈澱物を生じ、そのような沈澱物により、葉褐変症または落葉症を引き起こし(特に、長期適用した場合に)、植物死という結果に至る。従って、本発明は、この当業界で認識されている問題を、チョーク様の残渣を除去しそれにより葉褐変症または落葉症を防除するグリセリンを提供することにより解決する。さらに、グリセリンは、エッセンシャルオイルを吸収し、その防虫性質を閉じ込め、新規の食害から長期にわたる保護を提供し、この保護期間は条件により異なるが数週間に渡る(例えば、最長4週間)。このようにグリセリンは、さらに環境における殺虫剤の使用を減じるものである。
【0030】
エッセンシャルオイル:特殊な組成物は、石鹸ベースに加えて、ひとつあるいはそれ以上の有機エッセンシャルオイルを含み、当該のエッセンシャルオイルはその殺虫性質のために石鹸ベースに加えられるものである。特殊な局面では、当該の石鹸ベースはまた、安定性のために、粗塩、クエン酸、またはビタミンE(例えば、トコフェロール)のうち少なくともひとつを含む。本発明の石鹸ベース組成物には、混合プロセスで使用する希釈剤、着色剤群および/またはエッセンシャルオイル群の量により、数多くの改変例がある。好ましい局面では、当該の脂肪酸石鹸ベースとその混合物は液体であり、改変例は好ましくは石鹸の液体性質を保持するかまたは実質的に保持するもの(石鹸を固体の形態に改変するには、数多くのその他の原料群を必要とするので、好ましくない)に限定される。代表的な有機的あるいは純粋なエッセンシャルオイルには、ペパーミントオイル、ラベンダーオイル、ツェダーオイル、キャスターオイル、クローブオイル、ゼラニウムオイル、レモングラスオイル、リンシードオイル、ミントオイル、タイムオイル、ローズマリーオイル、コーンミントオイル(Menthe Arvensis)、ニンニクオイル、アニスオイル、バジルオイル、カンファー オイル、シトロネラオイル、ユーカリオイル、フェンネルオイル、ジンジャーオイル、グレープフルーツオイル、レモンオイル、ライムオイル、マンダリンオイル、オレンジオイル、松葉オイル、ペッパーオイル、ローズオイル、タンジェリンオイル、ティーツリーオイル、ツリーシードオイル、ミネラルオイル、およびフィッシュオイルが含まれるがそれらの限定されるものではない。ペパーミントオイルは、好例となるエッセンシャルオイルである。エッセンシャルオイルにはまた、一般的にヒトの消費用に採取される「食用オイル」が含まれ、その例には、コーン、オリーブ、なたね、綿種、シナモン、アーモンド、ココナツ、麻、大豆、胡麻、かぼちゃ、ホホバ、オレガノ、茶などが含まれるがそれらに限定されるものではない。大豆オイルは、好例となる食用オイルである。エッセンシャルオイルは、圧搾法、水蒸気蒸留法または機械的抽出法により、抽出する。植物のエッセンスは、機械的に、または水蒸気蒸留法により、葉、花、および植物のその他の部位から抽出する。改変例には、抽出方法およびオイルを(熱で)処理する条件、さらにオイルを抽出する植物、穀類、または種子の起源によって、粘度または色における差異がある。特殊な局面では、ひとつあるいはそれ以上の有機的または純粋なエッセンシャルオイルは、発明の組成物内に、製剤化、適用および希釈の方法により異なるが、約0.01体積%から約40体積%、約0.01体積%から約30体積%、約5体積%から約25体積%、約10体積%から約20体積%、約10体積%から約25体積%、約5体積%から約20質量%、約10体積%から約15質量%で、存在する。
【0031】
重炭酸試液:特殊な局面では、重炭酸試液は、上記の石鹸ベースおよび/またはひとつあるいはそれ以上のエッセンシャルオイルに加えて、重炭酸試液(例えば、USP重炭酸カリウム、または重炭酸ナトリウムあるいは本目的につき効用を有するその他の重炭酸)を含む。特殊な局面では、重炭酸試液は、発明の組成物内に、製品製剤と適用の方法によって異なるが、約0.01質量%から約5質量%、約0.02質量%から約3質量%、約0.02質量%から約2.0質量%で、存在している。好ましい重炭酸試液は、米国薬局方の等級製造標準に準拠した重炭酸カリウムのような重炭酸試液である。重炭酸溶液および園芸用オイルは、当業界で承認されている抗真菌性質を有する天然の物質であり、病害に犯された植物に対する生体適合性の処置に大変適している。本発明の好ましい局面によると、重炭酸試液は、少なくともひとつのエッセンシャルオイル、および/または本発明の組成物の石鹸およびグリセリンとの相乗効果により、驚くほど効果的な抗真菌活性を提供する。
【0032】
Sphaerotheca pannosa (Wall ex. Fr.) Lerv.var.rosae Wor.により引き起こされるうどんこ病は、世界中の温室で栽培されるバラ科の植物では最も被害の大きい病害で、Diplocarpon rosae Wolfにより引き起こされる黒点粒[blackspot]と並んで、苗床または園芸園で栽培されるバラ科の植物の最も深刻な二つ病害群となっている。バラのうどんこ病を管理するための最低限度の効果を有する重炭酸処置が、定量化されている(R.K. Horst and H.W. Israel of Cornell University;“Managing Fungal Diseases of Ornamentals with Bicarbonates and Determining Their Mode of Action”; Progress Report to the American Floral Endowment, 8/21/92)。HorstとIsraelは、最適に近い理想的な実験的なシステムを4つ開発し、バラ科のうどんこ病サイクルにおける時間と空間のウィンドウを発見し、そのウィンドウを通して、重炭酸の効用の機序を観察することが可能となった。当該のシステムは、以下の点について、顕微鏡的また量的な定量が可能になるように開発されている:(i) 重炭酸を、撲滅剤として機能させるのか、あるいは予防剤として機能させるのか;(ii) 重炭酸が、胞子生存率、発芽率、および/または貫通性に対し、悪影響を与えるのか否か、与える場合はその時期はいつか、またその率はどのようなものか;(iii) 重炭酸の投与量と反応のレベル;さらに、(iv)アジュバンドの投与量と反応のレベル。これらの研究により、うどんこ病および/または黒点粒は、重炭酸カリウムかあるいは重炭酸ナトリウムのどちらかを0.5%を含む0.5%(w/w)の水溶液(あるいは、1.0% (v/v) SunSpray Ultra-fine Spray Oil)を毎週噴霧することにより、有意に管理することができるということが示された。効果を有する最小限の投与量に関する最近の研究によると、重炭酸ナトリウムおよび重炭酸カリウムの双方につき、0.5%および0.25%の濃度がうどんこ病の重篤度を有意に下げているが、0.5%がこの二つの濃度のうちでより効果的な投与量である。HorstとIsraelの研究はまた、重炭酸アンモニウムは、ナトリウムまたはカリウムほどの効果はないということ、さらに毎週0.05%の重炭酸を噴霧してもうどんこ病を効果的に防除しないということを示している。HorstとIsraelはまた、機序研究をも行った。これらの機序研究では、自然状態で接種した葉を、多様な処置を施した後24時間から48時間経過した時点で標本として採取し、分生子の発芽に関し注目すべき結果が示された。これらの結果にはこれらの重炭酸の種類およびそれらの濃度に関わる効用において際立った差異が含まれており、具体的には、有機殺真菌剤であるBannerに比較して重炭酸の効用がはるかに高く、さらにSunSprayのオイル単独では発芽に対する効果は全くなかった。インタクトな植物を用いた研究では、以下のことがわかった:重炭酸カリウムを向軸側葉面噴霧後、(i)表面の病理構造が撲滅された;(ii)宿主表皮細胞層が感染から完全に回復したが、フェノールに富む細胞を含む;(iii)重炭酸および/またはその効果は、宿主組織により、仲介もされずまた移動もされない。このように、HorstとIsraelによる研究により、重炭酸類が、事前に発芽させた胞子を含む真菌病理細胞を脱水し、原形質分離し、離散し、および/または非空胞化させるということが示された。これらの効果のいかなるものも、またすべてが、個体発生的には特異的ではないが、現在、真菌には非常に有害であると考えられている。
【0033】
本発明の特殊な局面によると、重炭酸剤は特に効果的であり、当該の発明組成物に含まれている石鹸、グリセリンおよびエッセンシャルオイル(群)と共に相乗効果を生み出す。そのような重炭酸剤は、当該の発明組成物に存在した場合に(エッセンシャルオイルおよび/または石鹸とグリセリンと共に存在した場合に)、真菌を撲滅させる実質的な効用を有する。付加的な局面によると、当該の重炭酸試液は、本発明の組成物を緩衝する役割を有し、より安全で害の少ない製品を提供することができる。
【0034】
あるいはまた、当業界でよく理解されているように、硫黄および銅に基づく化合物は、効果的な抗真菌剤であり、本発明の組成物に用いることができる。
【0035】
特殊な局面では、本発明の組成物は、石鹸ベース(保持されたグリセリンを含む)および エッセンシャルオイル(例えば、殺虫剤および防虫剤として)、食用オイル(例えば、殺ダニ剤として)、重炭酸試液(例えば、USP重炭酸カリウムまたは重炭酸ナトリウム)(例えば、殺真菌剤として)、および希釈剤・担体としての水を含む。そのような態様は、栽培者の重大な必要性のうちひとつではなく三つに、すなわち、虫、ダニ、および真菌に応える、驚くべきまた実質的な効用を有する。本発明の局面によると、主たる構成要素は、他のいかなる構成要素の性質を妨害したり改変したりすることなく、共に協調して機能し、他の構成要素の持つ機能を促進させるように相乗効果を生み出す。例えば、石鹸は、それだけでは接触性のキラーとして作用するが、殺ダニ剤としては効果はほとんどない。植物のエッセンシャルオイル類は殺虫性質を含み、防虫剤として作用する。食用オイルは、特に、幼虫を窒息させそれによって孵化を防ぎ、また成虫の呼吸を防ぐことにより、殺ダニ剤として作用する。重炭酸試液(例えば、USP重炭酸カリウムまたはベーキングソーダ)は、担体としてのオイルと組み合わすのでなければ、殺真菌剤として効果がないということではない(上記、Horst and Israel)。従って、エッセンシャルオイル(例えば、食用オイル)は、殺ダニ剤として、また重炭酸カリウムまたは重炭酸ナトリウムあるいはこの目的で有用であると考えられるその他の重炭酸に効力を持たせる担体として作用するという、二つの目的に作用する。その他の湿潤剤、担体、アジュバンドなどを、この技術で使用してよい。さらに、その他の有機的なまたは純粋なエッセンシャルオイルまたは食用オイルを代替として用いて、同等あるいは類似した効果を達成してもよい。製品の製剤化は、特定の原料の入手可能性により、異なっていてよい。
【0036】
ある種の従来技術の石鹸製品には、脂肪酸のカリウム塩が約4%の量で、96%エチルアルコールに含まれているということを特筆すべきである。これとは全く対照的に、本発明のある実施例は、約12%から約17%のエッセンシャルオイル(例えば、有機ペパーミントオイル、および/またはその他の有機的なまたは純粋な植物由来のエッセンシャルオイル類)、約8 %から約12%のオリーブオイルの脂肪酸、および保持されたグリセリンを含み、さらに組成物含有量が水担体あるいは希釈剤で希釈する前は22%から25%である。
【0037】
従って、本発明の特殊な局面は、新規の殺虫(虫、ダニ、および真菌)組成物を提供し、当該の組成物は、接触性の殺虫剤として、グリセリン系の有機的または純粋なサポニン化された脂肪酸{例えば、オリーブオイルおよびココナツオイル(石鹸)に由来するもの}、ひとつあるいはそれ以上の有機的または純粋な植物に由来するエッセンシャルオイル、および/または自然のまたは純粋なそれらの誘導体を含む。付加的な局面は、機械的に、生理的に、および/または神経的に害虫およびダニを防除する新規の殺虫組成物および方法群を提供する。さらなる局面は、哺乳動物に害を及ぼさず、地下水や河川を汚染せず、環境を汚染しない、新規で、安全で、無毒である殺虫組成物および方法群を提供する。さらにまた別の局面は、快適な香りのする、または香りをつけていない、さらに、ゴーグル、オーバーオールなどに関する面倒な安全性の但し書きなしで使用することができる、新規の殺虫組成物および方法群を提供する。特殊な局面は、安価に生産し使用することができる、上記の新規の殺虫組成物および方法群を提供する。特殊な局面は、害虫が免疫および/または耐性を作ることができない新規の殺虫組成物および方法群を提供する。
【0038】
上記の目標およびその他の目標が、本発明により達成されるが、特殊な局面は、適切な担体と混合されている、有機的なまたは純粋なグリセリン系の石鹸、植物由来のエッセンシャルオイル類および/またはそれらの誘導体、および有機的なまたは純粋な食用オイルを含む殺虫組成物に関する。付加的な局面は、上記の殺虫組成物の殺虫目的で効果的な量を、害虫、植物または作物に適用することにより、虫、ダニ、および真菌を防除する方法群を提供する。真菌を防除する好ましい局面では、本発明は、重炭酸試液(USP重炭酸カリウムまたは重炭酸ナトリウム、あるいは食用オイルと組み合わさった場合に、殺真菌の効用を有するその他の重炭酸)を使用する。
【0039】
上記の一般的な説明は例示または説明のためであり、本発明を限定するものであると解釈してはならないということを理解されたい。例えば、好ましい態様では、本発明は、虫、ダニ、真菌を防除するためのある殺虫組成物に関し、当該の殺虫組成物は、有機的なまたは純粋な石鹸(本書で定義されている通りのもの);ペパーミント、ラベンダー、アーモンド、シナモン、ゼラニウム、ローズマリーから成る群から選択された植物由来のエッセンシャルオイル類;なたね、ココナツ、麻およびオリーブを含むがそれらに限定されない有機食用オイル;さらに最後にUSP重炭酸カリウムまたは重炭酸ナトリウム、あるいは殺真菌の効用を有するその他の重炭酸を含む。本発明の殺虫組成物(例えば、ひとつあるいはそれ以上の米食品医薬品局(FDA)が承認した植物由来のエッセンシャルオイル類を含む)は、思いがけず優れた殺虫活性を呈し、従来の殺虫剤に代えて使用することができるということが、当業者には理解できるであろう。特殊な理論に従うことなく、植物由来のエッセンシャルオイル類は、害虫の神経受容体に拮抗するかあるいはフェーズIおよび/またはフェーズIIの薬剤代謝酵素阻害剤として作用すると考えられる。あるいはまた、植物由来のエッセンシャルオイル類は、また別の作用モードで作用するかもしれない。植物由来のエッセンシャルオイル類は、無脊椎動物に特有であるオクトパミン受容体に対するアゴニストまたはアンタゴニストとして作用するかもしれない。いずれにしても、本書に開示した相乗効果を生む発明組成物の活性の最終効果は、これまで、未知であり、予期されていなかった。
【0040】
本発明の殺虫組成物を使用すれば、一般的に、接触により結果として実質的な死亡率(例えば、100%)が得られ、長期にわたって有意な防虫性質が提供される。そのようなものとして、当該の殺虫組成物を、植物または作物に殺虫剤として、有利に用いる。
【0041】
本発明の組成物は、液体、ミスト、あるいはエアゾールとして適用することもでき、また直接害虫におよび/または害虫に敏感な表面(例えば、植物のある部分の表面、または植物や害虫とつながっているその他の表面)に適用し、害虫を後に発明組成物に接触させることもできる。本発明の組成物は、使用に先立って希釈する濃縮液の形態であってよく、あるいはまた、直接使用可能な形態(希釈が必要ないか推奨されていない形態)であってもよい。濃縮液は、一般的に、原料の濃度も呼応して高いということになる{例えば、脂肪酸脂肪酸石鹸ベース、エッセンシャルオイル(および/または食用オイル)が、約0.01%から約70体積%で存在し、グリセリンが約0.01%から約20体積%で存在し、さらに重炭酸剤が約0.02質量%から約2.0質量%で存在している)。さらに、ひとつあるいはそれ以上の原料を欠いている濃縮液は本発明の範囲内であり、そのような濃縮液を複数加えることにより、最適な多機能組成物が生産される。当業者は、必要以上の実験を行わずに、発明的かつ相乗効果のある殺虫製剤を効果的に使用できるであろし、最適な希釈剤を作製することができるであろうし、また特殊なニーズおよび状況にあわせた投与システムを選択することができるであろう。従って、前記は、本発明の原理をわかりやすく説明したものと考えられ、数多くの改変や変更が容易に当業者には可能であり、本書に示し説明した例示の態様に本発明を限定することは望ましくもまた意図されたことでもなく、あらゆる適切で効果的な改変および同等例を使用してよく、そのような改変および同等例は本発明の範囲内に入るのである。
【0042】
代替の石鹸ベースの態様:
付加的な局面では、本発明の組成物は、以下を含む:石鹸ベース(例えば、脂肪酸のカリウム塩;しかしSLSは含まない)、および/またはグリセリン(または、本目的に適していると考えられるその他の安全な石鹸ベース);少なくともひとつのエッセンシャルオイル(有機的、純粋なもの、あるいは合成のものであってもそうでなくてもよい);重炭酸試液(例えば、USP重炭酸カリウム、または重炭酸ナトリウムあるいは本目的につき効用を有するその他の重炭酸);および希釈剤および/または担体としての水またはその他の薬剤(例えば、アルコール)。好ましい実施例では、当該の脂肪酸石鹸ベースおよびエッセンシャルオイル(類)は、「有機的」あるいは「純粋な」ものである。特殊な局面では、当該の構成要素は、厳格な品質管理の下で承認を受けた有機的食品製造者により、混合され瓶詰めにされる。例えば、当該の原料群は、有機的製品に関する米国農務省(USDA)の標準およびガイドラインに基づいてステンレススチールのタンク内で混合される。
【0043】
石鹸ベース:特殊な局面では、当該の石鹸は、10個から18個の炭素原子、11個から18個の炭素原子、または12個から18個の炭素原子を有する不飽和脂肪酸、あるいはそれぞれの塩をを含む。好ましくは、当該の不飽和脂肪酸は、12個から18個の炭素原子を有する。当該の脂肪酸は、好ましくは、オレイン酸、リノール酸、それらの石鹸類(塩類)、およびそれらの混合物から選択されている。リノール酸またはリシノール酸が存在していてよい。脂肪酸と共に塩あるいは石鹸を形成している陽イオンは、例えば、一般的に、ナトリウム、カリウム、あるいはアンモニウムである。特殊な局面では、10個から18個の炭素原子、11個から18個の炭素原子、または12個から18個の炭素原子、あるいはそれぞれの塩を有する不飽和脂肪酸が、約12個から18個の炭素原子を有する少量の飽和脂肪酸と共に使用されている。特に好ましいのは、オレイン酸およびリノール酸の塩類の混合物である。最も便利な塩の混合物のひとつは、約50質量%から80質量%のオレイン酸、約40質量%から5質量%のリノール酸を含むものであり、その差異は小さく、例えば最高でも飽和脂肪酸(例えば、パルミチン酸および/またはステアリン酸)の質量の20%である。SLSは、本書で詳細に述べたように、適切ではない。SLSはヒトに有害であるだけでなく、当業界でよく知られているように、植物に対し過酷で有害であり、特に、SLSが植物の表面に沈殿物を形成した場合に有害である。
【0044】
特殊な局面では、当該の石鹸ベースは、本発明の組成物内に、約0.01体積%から約40体積%、約0.01体積%から約30体積%、約5体積%から約25体積%、約10体積%から約20体積%、約10体積%から約25体積%、約5質量%から約20質量%、約10質量%から約15質量%で、存在する。
【0045】
外来性グリセリン:特殊な組成物は、脂肪酸石鹸ベースおよび保持されたグリセリンに加えて、約0.01体積%から約5体積%の外来性グリセリンを含む。好ましくは、外来性グリセリンは、約0.5%から約3%の割合で、組成物内に存在するのがよい。好ましくは、外来性グリセリンは、約2.0%の割合で、組成物内に存在するのがよい。本発明の局面によると、グリセリンは、その他の原料との相乗効果により、ひとつあるいはそれ以上の防虫活性を高め、さらに植物の外観を改善する(例えば、葉が磨いたように輝くなど)。当該のグリセリンは、特殊な理論に従うことなく、例えば、脂肪酸塩および/または重炭酸塩の沈澱を除去するのに役立つ(下記の重炭酸含有の実施例を参照せよ)。従来技術製品の脂肪酸塩は、植物の表面に沈澱物を生じ、そのような沈澱物により、葉褐変症または落葉症を引き起こし(特に、長期適用した場合に)、植物死という結果に至る。従って、本発明は、この当業界で認識されている問題を、チョーク様の残渣を除去しそれにより葉褐変症または落葉症を防除するグリセリンを提供することにより解決する。さらに、グリセリンは、エッセンシャルオイルを吸収し、その防虫性質を閉じ込め、新規の食害から長期にわたる保護を提供し、この保護期間は条件により異なるが数週間に渡る(例えば、最長4週間)。このようにグリセリンは、さらに環境における殺虫剤の使用を減じるものである。
【0046】
エッセンシャルオイル(類):特殊な本発明の組成物は、本書で先に説明したように、ひとつあるいはそれ以上のエッセンシャルオイル群(例えば、植物由来のエッセンシャルオイル群)を含む(例えば、ペパーミント、ラベンダーおよびローズマリーなど)。特殊な局面では、これらのエッセンシャルオイル群は、製剤化、適用および希釈の方法により、製品の質量に、約0.01%から約40%、約0.01%から約30%、約5%から約25%、約5%から約20%、約5%から約15%、約1%から約10%の割合で含まれている。
【0047】
食用オイル類:特殊な本発明の組成物は、本書で先に説明したように、ひとつあるいはそれ以上の食用オイル類を含み、その例には、オリーブ、なたね、綿種、シナモン、青モンド、ココナツ、麻などが含まれるがそれらに限定されるものではない。特殊な局面では、これらの食用オイル類は、製剤化、適用および希釈の方法により、製品の質量に、約0.01%から約40%、約0.01%から約30%、約5%から約25%、約5%から約20%、約5%から約15%、約1%から約10%の割合で含まれている。
【0048】
あらゆるオイルが何世紀にも渡って虫およびダニの防除に使われてきた。特殊な理論に従うことなく、オイルは害虫に対し異なった効果を有する。最も重要なことは、オイルが、虫が呼吸をするための通気孔を塞ぎ、それにより虫を仮死から死に至らしめるということである。ある場合においては、オイルは、虫の脂肪酸と相互作用し、正常な代謝を妨げることにより、毒として作用することもある。オイルはまた、虫の食餌過程を乱し、これは、アブラムシ類による植物ウィルスの伝播において特に重要な特質である。オイルは、ヒトあるいは害虫の天敵である益虫を含むほとんどの望ましい種に対し、ほとんどリスクを課することはない。少なくとも他の殺虫剤に比較して毒性は最小限であり、オイルは蒸発によりすばやく消散し、残渣を残さない。オイルはまた、既存の噴霧器を用いて容易に適用することができ、その効用を拡大する目的で多くのその他の殺虫剤と混合してもよい。植物オイル類を、害虫除去剤として用いてもよいが、この種のオイルはその活性に大きく影響を与える。綿種オイルは、一般的に植物オイル類のなかでも最も害虫除去効果があると考えられている。料理で最もよく使われている大豆オイルもまた、実質的な効用がある。改変例には、抽出方法およびオイルを(熱で)処理する条件、さらにオイルを抽出する植物、穀類、または種子の起源によって、粘度または色における差異がある。
【0049】
重炭酸試液:特殊な本発明組成物は、本書で先に詳細に述べたように、重炭酸試液(例えば、重炭酸カリウム、または重炭酸ナトリウムあるいは本目的につき有用であると考えれれるその他の重炭酸)を、製品製剤と適用の方法によって異なるが、約0.02質量%から約10質量%で含む。
【0050】
混合プロセスにおいて使用可能な希釈剤、着色剤、または香料剤の量によって、石鹸のベース(石鹸/洗剤/グリセリンベース)の多種多様な改変が考えられる。好ましくは、本書で先に説明したように、本発明組成物は液体であり、また改変は好ましくはベースの液体の性質のために限定されるのがよい。
【0051】
従って、特殊な局面では、本発明の組成物は以下を含む:石鹸のベース(石鹸/洗剤/グリセリンベース);少なくともひとつのエッセンシャルオイル(例えば、殺虫剤および防虫剤として);当該のエッセンシャルオイルと同一であるかあるいは異なる少なくともひとつの食用オイル(例えば、殺ダニ剤として);重炭酸剤(例えば、重炭酸カリウムまたは重炭酸ナトリウムあるいはこの目的で有用であると考えられるその他の重炭酸)(例えば、殺真菌剤およ美または緩衝剤として);例えば、水あるいはアルコールである希釈剤あるいは担体。
【0052】
本発明の好ましい局面によると、本書で先に説明したように、当該の構成要素は、他のいかなる構成要素の性質を妨害したり改変したりすることなく、共に協調して機能し、他の構成要素の持つ機能を促進させるように相乗効果を生み出す。特殊な理論に従うことなく、石鹸は、それだけでは接触性のキラーとして作用するが、殺ダニ剤としては効果はほとんどない。植物のエッセンシャルオイル類は、防虫剤として作用し、それらのある種のものは殺虫性質を有する。食用オイルは、虫が呼吸をするための通気孔を塞ぎ、それにより害虫を仮死から死に至らしめることにより、殺ダニ剤として作用する。ある場合においては、オイルは、虫の脂肪酸と相互作用し、正常な代謝を妨げることにより、毒として作用することもある。オイルはまた、害虫の食餌過程を乱し、これは、アブラムシ類による植物ウィルスの伝播において特に重要な特質である。重炭酸試液(例えば、重炭酸カリウムまたは重炭酸ナトリウム、あるいはその他の重炭酸)は、上記に詳細に説明したように、担体としてのオイルと組み合わせる時に、殺真菌剤として非常に効果的である。従って、エッセンシャルオイル(例えば、食用オイル)は、殺ダニ剤として、また重炭酸試液(例えば、重炭酸カリウムまたは重炭酸ナトリウムあるいはこの目的で有用であると考えられるその他の重炭酸)の殺真菌性質に触媒作用をおよぼし、当該殺真菌性質を高めまた可能にする担体として作用するという、二つの目的に作用する。その他の当業界で認識されている湿潤剤、担体、アジュバンドなどを使用してよい。さらに、その他のエッセンシャルオイルまたは食用オイルを代替として用いて、同等あるいは類似した効果を達成してもよい。製品の製剤化は、特定の原料の入手可能性により、異なっていてよい。
【0053】
本発明の組成物は、液体、ミスト、あるいはエアゾールとして適用することもでき、また直接害虫におよび/または害虫に敏感な表面(例えば、植物のある部分の表面、または植物や害虫とつながっているその他の表面)に適用し、害虫を後に発明組成物に接触させることもできる。本発明の組成物は、使用に先立って希釈する濃縮液の形態であってよく、あるいはまた、直接使用可能な形態(希釈が必要ないか推奨されていない形態)であってもよい。濃縮液は、一般的に、原料の濃度も呼応して高いということになる{例えば、脂肪酸脂肪酸石鹸ベース、エッセンシャルオイル(および/または食用オイル)が、約0.01体積%から約70体積%で存在し、グリセリンが約0.01体積%から約20体積%で存在し、さらに重炭酸剤が約0.02質量%から約2.0質量%で存在している)。さらに、ひとつあるいはそれ以上の原料を欠いている濃縮液は本発明の範囲内であり、そのような濃縮液を複数加えることにより、最適な多機能組成物が生産される。当業者は、必要以上の実験を行わずに、発明的かつ相乗効果のある殺虫製剤を効果的に使用できるであろし、最適な希釈剤を作製することができるであろうし、また特殊なニーズおよび状況にあわせた投与システムを選択することができるであろう。
【0054】
さらなる殺ダニ剤・殺真菌剤の態様
本発明のまた別の局面は、新規の多機能の相乗効果をもたらす組成物を提供しており、当該の成文群は、単一製剤の適用により、ダニおよび真菌の組み合わせ処置を施すための実質的効用を有するものである。
【0055】
特殊な局面は、ダニおよび真菌害虫を単一の組成物で防除する方法群を提供し、当該の方法群は、少なくともひとつの害虫または当該の少なくともひとつの害虫に敏感な植物の表面あるいはその一部を、殺虫目的で効果的な量の組成物を接触させることを含み、当該の組成物は、水溶性の担体または希釈剤を含み、本書で定義した非石油系の食用オイル;および本書で定義した重炭酸剤を含み、当該組成物を以って、単一組成物においてダニおよび真菌害虫の防除が可能となっている。好ましくは、非石油系の食用オイルは、約0.01体積%から約40体積%、約5体積%から約10体積%、または約1体積%から約10体積%で、存在するのがよい。好ましくは、当該の組成物は、さらに、外来性グリセリンを約0.01体積%から約5体積%、または約2.0体積%で含む。好ましくは、当該の重炭酸剤は、重炭酸カリウムを、約0.02質量%から約3質量%、または約0.02質量%から約2.0質量%で含むのがよい。好ましくは、非石油系の食用オイルは約0.01%から約20質量%あるいはまた約0.1質量%から約10質量%で、重炭酸剤は重炭酸塩を含み約0.02質量%から約5.0質量%あるいはまた約0.02質量%から約2質量%で、それぞれ存在しているのがよい。好ましくは、当該の非石油系の食用オイルは、大豆、綿種、およびなたねオイルから成る群から選択された少なくとも一つのオイルである。好ましくは、食用オイルは有機的なものである。
【0056】
本発明の組成物は、液体、ミスト、あるいはエアゾールとして適用することもでき、また直接害虫におよび/または害虫が接触する可能性のある表面(例えば、植物のある部分の表面、または植物や害虫とつながっているその他の表面)に適用し、害虫を後に発明組成物に接触させることもできる。本発明の組成物は、使用に先立って希釈する濃縮液の形態であってよく、あるいはまた、直接使用可能な形態(希釈が必要ないか推奨されていない形態)であってもよい。濃縮液は、一般的に、原料の濃度も呼応して高いということになる{例えば、非石油系の食用オイルが、約0.01%から約90体積%で存在し、グリセリンが約0.01%から約20体積%で存在し、さらに重炭酸剤が約0.02質量%から約2.0質量%で存在している)。さらに、ひとつあるいはそれ以上の原料を欠いている濃縮液は本発明の範囲内であり、そのような濃縮液を複数加えることにより、最適な多機能組成物が生産される。当業者は、必要以上の実験を行わずに、発明的かつ相乗効果のある殺虫製剤を効果的に使用できるであろし、最適な希釈剤を作製することができるであろうし、また特殊なニーズおよび状況にあわせた投与システムを選択することができるであろう。
【0057】
実施例1
(本発明の組成物は、商業栽培者により、バラ科植物のうどん粉病の防除に驚くべき効果を有するものとして示された)
【0058】
大規模な効用研究がGreenheartTM Farms (カリフォルニア州、アロヨグランデ)と共同で行われた。この研究は、バラ科植物の生産マネージャー・栽培者であるBill De Vor氏が、コーディネーターとなって行われた。GreenheartTM Farms は、当業界でよく認識され、よく知られた、品質の高い生きた花植物(例えば、ポインセチア、バラなど)の栽培業者であり、また野菜、ハーブおよび花の栽培、ほ場整備事業、末端消費者用の生きた鉢植え花、および農業および/または造園用の容器在庫品に関して、幅広い製品知識を有している。GreenheartTM Farmsは、業務遂行パラメーターが良く確立されており、規制遵守事項をモニターするために頻繁にテストされたパルス・ポイントを維持し、植物検疫条件を厳格に固守している。
【0059】
材料:Rose PharmTM を用いて、約一年間に渡ってバラ栽培の関連で害虫(例えば、うどん粉病)を防除した。Rose PharmTM は、例示の発明組成物であり、当該の組成物は、保持されたグリセリンを含む約7%の石鹸(オレイン酸・水酸化カリウム)、約2%の外来性グリセリン、約2.0%のペパーミントオイル、約0.1%のローズマリーオイル、約1.5%の綿種オイル(あるいは大豆オイル)、約1.5%の非GMOなたねオイル、約0.5%の重炭酸カリウム、および約1.0%のビタミンE(保存剤として)を含む。
【0060】
結果:GreenheartTM Farmsの首席バラ栽培者であるBill De Vor氏が、害虫食害(例えば、アブラムシ類、コナジラミ類など)および真菌感染(例えば、うどん粉病)の処置および防除につき、GreenheartTM Farmsの施設において、重化学薬品に代わる毒性のない問題解決を見出すことを目的として、効用テストを行った。Rose PharmTM を毎週適用した場合、バラ科植物のうどん粉病を防除するのに驚くべき効果を示したと、GreenheartTM Farmsは報告した。当該製品により、植物は予想以上により健康でより輝いて見えた(従来の製品との比較)。わずか一回あるいは二回当該製品を適用しただけで、当該植物は病害耐性を継続して有していた。効用は充分であり、継続適用の間隔が数週間でよく、また継続適用時の濃度はさらに希釈してよいであろう(例えば、最高で、製品の濃度を70%未満まで切り下げることができた)。
【0061】
GreenheartTM Farmsは、この研究結果および従来製品に比較して驚くべき効果が得られたことから、Rose PharmTM をこの目的の好ましい製品として選んだ。GreenheartTM Farmsで行われたこれらのテストの成功により、本発明の製品は、Greenheartにおける現行の害虫管理ストラテジーとして使われている。さらに、GreenheartTM Farmsは、当該製品群をその顧客に、カタログを通して販売している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
虫、ダニ、および真菌害虫を単一の組成物で防除する方法であって;
前記方法は、少なくともひとつの害虫または前記少なくともひとつの害虫に敏感な植物の表面あるいはその一部に、殺虫目的で効果的な量の組成物を接触させることを含み;
前記組成物は、脂肪酸石鹸ベースおよびエッセンシャルオイル、さらに水溶性の担体または希釈剤を含み、単一組成物において虫、ダニ、および真菌害虫の防除が可能となっていることを特徴とする前記方法。
【請求項2】
前記脂肪酸石鹸ベースが、保持されたグリセリンを含んだ少なくともひとつのサポニン化されたオイルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記脂肪酸石鹸ベースが、グリセリンを含んだ少なくともひとつの脂肪酸塩を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記石鹸ベースが、約0.01体積%から約40体積%、約5体積%から約20体積%、または約10体積%から約15体積%で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エッセンシャルオイルが、約0.01体積%から約40体積%、約5体積%から約10体積%、または約1体積%から約10体積%で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物がさらに外来性グリセリンを約0.01体積%から約5体積%、または約2.0体積%で含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物がさらに重炭酸剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記重炭酸剤が重炭酸カリウムを含み、前記重炭酸カリウムが約0.02質量%から約3質量%、または約0.02質量%から約2.0質量%で含まれている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記サポニン化されたオイルがサポニン化された植物オイルである、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
少なくともひとつの害虫が、ダニおよび真菌から成る群から選択された少なくともひとつのものであり、さらに殺虫目的で効果的な量が、殺ダニおよび殺真菌の目的で効果的な量のうち少なくともひとつを意味している、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物内に、前記脂肪酸石鹸ベースが約1質量%から約15質量%で存在しており、前記エッセンシャルオイルが約0.01質量%から約5質量%で存在しており、さらに食用オイルが約1質量%から約10質量%で存在しており、さらに前記重炭酸剤が重炭酸塩を含み前記重炭酸塩が約0.02質量%から約2.0質量%で存在している、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記エッセンシャルオイルと前記食用オイルが異なったオイルであり、それぞれが前記組成物内に約0.1質量%から約10質量%でまたは約1質量%から約10質量%で存在している、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記エッセンシャルオイルがペパーミントおよびローズマリーのうちの少なくともひとつを含み、さらに前記食用オイルが綿種、大豆、およびなたねのうちの少なくともひとつを含み、さらに前記重炭酸剤が重炭酸カリウムを含み前記重炭酸カリウムが約2質量%で存在している、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記重炭酸剤が、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、および重炭酸アンモニウムから成る群から選択された少なくとも一つの物質を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記石鹸ベースおよび前記エッセンシャルオイルがすべて有機的なものである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
接触が複数回の接触を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
水溶性の担体または希釈剤を含み、脂肪酸石鹸ベース、およびエッセンシャルオイルを含む、虫、ダニ、および真菌害虫を防除するための組成物。
【請求項18】
前記脂肪酸石鹸ベースが、保持されたグリセリンを含んだ少なくともひとつのサポニン化されたオイルを含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記脂肪酸石鹸ベースが、グリセリンを含んだ少なくともひとつの脂肪酸塩を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
前記脂肪酸石鹸ベースが、約0.01体積%から約40体積%、約5体積%から約20体積%、または約10体積%から約15体積%で存在する、請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
前記エッセンシャルオイルが、約0.01体積%から約40体積%、約5体積%から約10体積%、または約1体積%から約10体積%で存在する、請求項17に記載の組成物。
【請求項22】
さらに外来性グリセリンを約0.01体積%から約5体積%、または約2.0体積%で含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項23】
さらに重炭酸剤を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項24】
前記重炭酸剤が重炭酸カリウムを含み、前記重炭酸カリウムが約0.02質量%から約3質量%、または約0.02質量%から約2.0質量%で含まれている、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記サポニン化されたオイルがサポニン化された植物オイルである、請求項18に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物内に、前記石鹸ベースが約1質量%から約15質量%で存在しており、前記エッセンシャルオイルが約0.01質量%から約5質量%で存在しており、さらに食用オイルが約1質量%から約10質量%で存在しており、さらに前記重炭酸剤が重炭酸塩を含み前記重炭酸塩が約0.02質量%から約2.0質量%で存在している、請求項17に記載の組成物。
【請求項27】
前記エッセンシャルオイルと前記食用オイルが異なったオイルであり、それぞれが前記組成物内に約0.1質量%から約10質量%でまたは約1質量%から約10質量%で存在している、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記エッセンシャルオイルがペパーミントおよびローズマリーのうちの少なくともひとつを含み、さらに前記食用オイルが綿種、大豆、およびなたねのうちの少なくともひとつを含み、さらに前記重炭酸剤が重炭酸カリウムを含み前記重炭酸カリウムが約2質量%で存在している、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記重炭酸剤が、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、および重炭酸アンモニウムから成る群から選択された少なくとも一つの物質を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項30】
前記石鹸ベース、前記エッセンシャルオイル、および食用オイルがすべて有機的なものである、請求項17に記載の組成物。
【請求項31】
虫、ダニ、および真菌害虫を単一の組成物で防除する方法で;
前記方法は、少なくともひとつの害虫または前記少なくともひとつの害虫により敏感な植物の表面あるいはその一部に、殺虫目的で効果的な量の組成物を接触させることを含み;
前記組成物は、脂肪酸石鹸ベース、エッセンシャルオイル、および重炭酸試液、さらに水溶性の担体または希釈剤を含み、単一組成物において虫、ダニ、および真菌害虫の防除が可能となっていることを特徴とする前記方法。
【請求項32】
前記脂肪酸石鹸ベースが、保持されたグリセリンを含んだ少なくともひとつのサポニン化されたオイルを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記石鹸ベースが、保持されたグリセリンを含んだ少なくともひとつの脂肪酸塩を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
当該脂肪酸塩がオレイン酸を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記石鹸ベースが、約0.01体積%から約40体積%、約5体積%から約20体積%、または約10体積%から約15体積%で存在する、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記エッセンシャルオイルが、約0.01体積%から約40体積%、約5体積%から約10体積%、または約1体積%から約10体積%で存在する、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
さらに外来性グリセリンを約0.01体積%から約5体積%、または約2.0体積%で含む、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記重炭酸剤が重炭酸カリウムを含み、前記重炭酸カリウムが約0.02質量%から約3質量%、または約0.02質量%から約2.0質量%で含まれている、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
前記組成物内に、前記石鹸ベースが約1質量%から約15質量%で存在しており、前記エッセンシャルオイルが約0.01質量%から約5質量%で存在しており、さらに食用オイルが約1質量%から約10質量%で存在しており、さらに前記重炭酸剤が重炭酸塩を含み前記重炭酸塩が約0.02質量%から約2.0質量%で存在している、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
前記エッセンシャルオイルと前記食用オイルが異なったオイルであり、それぞれが前記組成物内に約0.1質量%から約10質量%でまたは約1質量%から約10質量%で存在している、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記エッセンシャルオイルがペパーミントおよびローズマリーのうちの少なくともひとつを含み、さらに前記食用オイルが綿種、大豆、およびなたねのうちの少なくともひとつを含み、さらに前記重炭酸剤が重炭酸カリウムを含み前記重炭酸カリウムが約2質量%で存在している、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記重炭酸剤が、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、および重炭酸アンモニウムから成る群から選択された少なくとも一つの物質を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項43】
前記石鹸ベースおよび前記エッセンシャルオイルがすべて有機的なものである、請求項31に記載の方法。
【請求項44】
接触が複数回の接触を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項45】
前記組成物がさらに安定剤として作用するに十分なビタミンEをある量で含む、請求項31に記載の方法。
【請求項46】
水溶性の担体または希釈剤を含み、脂肪酸石鹸ベース、エッセンシャルオイル、重炭酸剤を含む、虫、ダニ、および真菌害虫を防除するための組成物。
【請求項47】
前記脂肪酸石鹸ベースが、保持されたグリセリンを含んだ少なくともひとつのサポニン化されたオイルを含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
前記脂肪酸石鹸ベースが、グリセリンを含んだ少なくともひとつの脂肪酸塩を含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項49】
前記脂肪酸塩がオレイン酸を含む、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
前記脂肪酸石鹸ベースが、約0.01体積%から約40体積%、約5体積%から約20体積%、または約5体積%から約15体積%で存在する、請求項46に記載の組成物。
【請求項51】
前記エッセンシャルオイルが、約0.01体積%から約40体積%、約5体積%から約10体積%、または約1体積%から約10体積%で存在する、請求項46に記載の組成物。
【請求項52】
さらに外来性グリセリンを約0.01体積%から約5体積%、または約2.0体積%で含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項53】
前記重炭酸剤が重炭酸カリウムを含み、前記重炭酸カリウムが約0.02質量%から約3質量%、または約0.02質量%から約2.0質量%で含まれている、請求項46に記載の組成物。
【請求項54】
前記組成物内に、前記石鹸ベースが約1質量%から約15質量%で存在しており、前記エッセンシャルオイルが約0.01質量%から約5質量%で存在しており、さらに食用オイルが約1質量%から約10質量%で存在しており、さらに前記重炭酸剤が重炭酸塩を含み前記重炭酸塩が約0.02質量%から約2.0質量%で存在している、請求項46に記載の組成物。
【請求項55】
前記エッセンシャルオイルと前記食用オイルが異なったオイルであり、それぞれが前記組成物内に約1質量%から約10質量%で存在している、請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
前記エッセンシャルオイルがペパーミントおよびローズマリーのうちの少なくともひとつを含み、さらに前記食用オイルが綿種、大豆、およびなたねのうちの少なくともひとつを含み、さらに前記重炭酸剤が重炭酸カリウムを含み前記重炭酸カリウムが約2質量%で存在している、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
前記重炭酸剤が、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、および重炭酸アンモニウムから成る群から選択された少なくとも一つの物質を含む、請求項に46に記載の組成物。
【請求項58】
前記石鹸ベースおよび前記エッセンシャルオイルがすべて有機的なものである、請求項46に記載の組成物。
【請求項59】
さらに安定剤として作用するに十分な量のビタミンEを含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項60】
虫、ダニ、および真菌害虫を単一の組成物で防除する方法で;
前記方法は、少なくともひとつの害虫または前記少なくともひとつの害虫に敏感な植物の表面あるいはその一部に、殺虫目的で効果的な量の組成物を接触させることを含み;
前記組成物は、非石油系の食用オイルおよび重炭酸剤、さらに水溶性の担体または希釈剤を含み、単一組成物において虫、ダニ、および真菌害虫の防除が可能となっていることを特徴とする前記方法。
【請求項61】
前記非石油系の食用オイルが、約0.01体積%から約40体積%、約5体積%から約10体積%、または約1体積%から約10体積%で存在する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
さらに外来性グリセリンを約0.01体積%から約5体積%、または約2.0体積%で含む、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記重炭酸剤が重炭酸カリウムを含み、前記重炭酸カリウムが約0.02質量%から約3質量%、または約0.02質量%から約2.0質量%で含まれている、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記組成物内に、前記非石油系の食用オイルが約0.01%から約20質量%、または約0.1質量%から約10質量%で存在しており、さらに前記重炭酸剤が重炭酸塩を含み前記重炭酸塩が約0.02質量%から約5.0質量%、または約0.02質量%から約2質量%で存在している、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記非石油系の食用オイルが、大豆、綿種、およびなたねから成る群から選択された少なくともひとつを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項66】
前記非石油系の食用オイルが有機的なものである、請求項60に記載の方法。
【請求項67】
水溶性の担体または希釈剤を含み、非石油系の食用オイルおよび重炭酸剤を含む、ダニおよび真菌害虫を防除するための組成物。
【請求項68】
前記非石油系の食用オイルが、約0.01体積%から約40体積%、約5体積%から約10体積%、または約1体積%から約10体積%で存在する、請求項67に記載の組成物。
【請求項69】
さらに外来性グリセリンを約0.01体積%から約5体積%、または約2.0体積%で含む、請求項67に記載の組成物。
【請求項70】
前記重炭酸剤が重炭酸カリウムを含み、前記重炭酸カリウムが約0.02質量%から約3質量%、または約0.02質量%から約2.0質量%で含まれている、請求項67に記載の組成物。
【請求項71】
前記組成物内に、前記非石油系の食用オイルが約0.01%から約20質量%、または約0.1質量%から約10質量%で存在しており、さらに前記重炭酸剤が重炭酸塩を含み前記重炭酸塩が約0.02質量%から約5.0質量%、または約0.02質量%から約2質量%で存在している、請求項67に記載の組成物。
【請求項72】
前記非石油系の食用オイルが、大豆、綿種、およびなたねから成る群から選択された少なくともひとつを含む、請求項67に記載の組成物。
【請求項73】
前記非石油系の食用オイルが有機的なものである、請求項67に記載の組成物。

【公表番号】特表2008−505908(P2008−505908A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520458(P2007−520458)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/023899
【国際公開番号】WO2006/014462
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(507007865)ファーム ソリューションズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】