説明

殺虫ポリペプチドおよびその使用方法

アトラクス(Atrax)属およびハドロニュケ(Hadronyche)属のクモの毒腺で発現される殺虫ポリペプチドのファミリーを記述した。前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび発現ベクターならびに前記ポリペプチドを発現する昆虫ウィルスおよび細胞も含まれる。殺虫ポリペプチドを発現するトランスジェニック植物および昆虫も記述した。殺虫ポリペプチドは、昆虫、昆虫の幼虫、および植物を処理するための方法および組成物に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
殺虫ポリペプチドおよびその使用方法に関する。
【0002】
(相互参照文献)
本発明は、全内容を参照として本明細書に組み込まれる2004年11月4日に出願された米国仮出願第60/625,297号による優先権を主張する。
【0003】
(連邦政府の支援による研究および開発に関する声明)
米国政府は、米国国立科学財団助成金番号MCB0234638に基づき、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
昆虫の極一部が有害生物と分類されているが、それにも拘らず、それらは世界の食糧供給の約20%を無効にして、しかも多種多様なヒトおよび動物の病原体を伝染させる。それゆえ、有害昆虫の制御は世界中の農業上および医学上の重要事項である。昆虫などの有害節足動物は、1940年代におけるDDTの導入以来、主として化学的殺虫剤で制御されてきた。しかしながら、米国および世界の他の地域における有害昆虫の制御は、幾つかの理由のために、複雑性が増大してきている。第1に、化学的制御は、昆虫集団をダーウィン的選別にかけ、結果として、500種を超える節足動物が、1種以上の化学的殺虫剤に対する耐性を発達させた。第2に、対象でない生命体への毒性など、化学的殺虫剤の望ましくない環境的および生態学的結果に対する意識の高まりが、殺虫剤の危険性評価に対してより大きい要求を入れた政府の規制改訂をもたらした。耐性発達または登録抹消に基づく殺虫剤種目全体の減少は、新規殺虫剤に対するますます厳しくなる登録規制と相俟って、近い将来における有効な化学的殺虫剤の備えを減少させることになりそうである。
【0005】
過去10年間にわたり、多くの「環境を守る」生物殺虫剤戦略が、高度に耐性の有害昆虫と戦うために提案されてきた。最近導入され、したがって大いに成功している1つの手法は、バチルスチューリンゲンシスという土壌細菌からのデルタエンドトキシンを発現する遺伝子操作したジャガイモ、トウモロコシ、およびワタ作物など、殺虫毒素を発現するトランスジェニック作物の生産である。野外実験に成功しており、食物供給に外来性タンパク質を導入する問題を取り除く別の生物殺虫剤戦略は、殺虫ペプチド神経毒を発現するように操作した昆虫特異的ウィルスの放出である。
【0006】
多くの研究者が、クモ毒素を、農業用途のための昆虫特異的毒素の可能な資源として認めている。オメガ−アトラコトキシンとして知られるペプチド毒素の1種が、「抗ワタミノムシ」活性の毒液をスクリーニングすることによりオーストラリアのじょうご形の巣を作るクモから単離されて、米国特許第5,763,568号に開示されている。これらの化合物の1つで、オメガ−ACTX−Hv1aと命名されたものは、哺乳動物とは対照的に、昆虫の電位作動型カルシウムチャネル電流を選択的に阻害することが示されている。第2の、昆虫特異的ペプチド性カルシウムチャネル遮断薬の無関係なファミリーが、同じファミリーのクモから単離されて、米国特許第6,583,264号に開示されている。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,763,568号明細書
【特許文献2】米国特許第6,583,264号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
サソリおよびクモから単離された幾つかの殺虫ペプチド毒素が殺虫剤の開発に対する有望な先駆けのように思われるとはいえ、一方、昆虫に対して迅速かつ強力に作用するが、昆虫と脊椎動物の間で異なる毒性を発揮する化合物に対する大なる必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態において、精製されたポリペプチドは、配列番号2、6、9、12、15、18および27のいずれか1つを含む。他の実施形態において、精製されたポリペプチドは、配列番号2と約70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、そのポリペプチドは殺虫活性を有する。
【0010】
さらに他の実施形態において、殺虫組成物は、殺虫剤として有効量の前出の精製ポリペプチドと農業にとって許容し得る担体とを含む。
【0011】
他の実施形態において、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号2、6、9、12、15、18、21、24および27のいずれか1つを含むポリペプチドをコードする。さらにまた他の実施形態においては、単離されたポリヌクレオチドが、配列番号2と約70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、殺虫活性を有するポリペプチドをコードしている。
【0012】
他の実施形態においては、発現ベクターが、発現制御配列に作動可能に連結した、配列番号2、6、9、12、15、18、21、24および27のいずれか1つをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0013】
さらにまた他の実施形態においては、宿主細胞が、発現制御配列に作動可能に連結した、配列番号2、6、9、12、15、18、21、24および27のいずれか1つをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。
【0014】
一実施形態においては、昆虫ウィルスが、配列番号2と約70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、殺虫活性を有するポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含む。
【0015】
一実施形態においては、トランスジェニックな昆虫が、配列番号2と約70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、殺虫活性を有するポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含む。
【0016】
さらなる実施形態において、昆虫または昆虫の幼虫を処理する方法は、昆虫または昆虫の幼虫と、配列番号2と約70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み殺虫活性を有するU−ACTXポリペプチドの殺虫に有効な量とを接触させることを含む。一態様において、植物を処理する方法は、植物と、配列番号2と約70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み殺虫活性を有するU−ACTXポリペプチドの殺虫に有効な量とを接触させることを含む。
【0017】
さらに他の態様においては、配列番号2と約70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、殺虫活性を有するU−ACTXポリペプチドを発現するトランスジェニック植物が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
上記のおよび他の特徴は、以下の詳細な説明、図面、および付随の特許請求の範囲から、当業者により認識され、理解されるであろう。
【0019】
本発明は、U−ACTXポリペプチド、およびこれらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一実施形態において、ポリペプチドはアトラクス(Atrax)属またはハドロニュケ(Hadronyche)属のクモ毒成分である。U−ACTXポリペプチドおよびそれらをコードするポリヌクレオチドは、単独で、または他の殺虫ポリペプチドもしくはそれらの遺伝子と併用してのいずれでも殺虫剤として使用することができる。殺虫剤または殺虫剤組成物は、1種以上の昆虫に対して毒性であるものである。殺虫活性とは、昆虫を殺すかもしくは麻痺させるか、または、例えば、農業用途において、昆虫が植物に与える損害が減少し、しかも植物収量は有意な副作用を受けないように、昆虫の発生もしくは成長を阻止するポリペプチドの能力を指す。殺虫活性を有するポリペプチドは、昆虫に対して毒性であることも意味している。殺虫特異性とは、1種以上の昆虫種の対するU−ACTXポリペプチドの特異性のことである。LD50は、試験した昆虫の50%の死を生ずるU−ACTXポリペプチドの用量である。
【0020】
本明細書で使用するU−ACTXまたはU−ACTXポリペプチドは、U−ACTX−Hv1aまたはそのホモログを含む。一実施形態において、成虫および/または幼虫の昆虫に毒性である殺虫ポリペプチドが提供され、該ポリペプチドは約4,300ダルトンの分子量および38から39アミノ酸残基の長さを有する。一実施形態において、ポリペプチドは、3つの鎖内ジスルフィド結合を形成することができる。殺虫活性は、U−ACTXポリペプチドを注入された昆虫における、最終的には死に至る無制御の過剰な興奮の昂進により示すことができる。U−ACTXポリペプチドは、イエバエ Musca domestica、イエコオロギ Acheta domestica、および他の昆虫種などの昆虫に注入されたときに、非可逆的毒性を惹起することができる。
【0021】
成熟U−ACTX配列は、例えば、オーストラリアのじょうご形の巣を作るクモの毒から前もって単離された昆虫毒素のオメガ−ACTX−1ファミリーなど以前に単離された昆虫ペプチド毒素と50%未満の配列同一性を示す。オメガ−ACTX−Hv1aを注入された昆虫が痙攣性麻痺に続く死を示すのに対して、rU−ACTX−Hv1aは注入された昆虫に、麻痺と死に先行する無制御の過剰興奮を誘起する。このように、U−ACTX−Hv1aは、以前にキャラクタライズされているオメガ−ACTX−Hv1aと相違する様式の作用を有する。
【0022】
U−ACTXポリペプチドは、成熟ポリペプチドまたはプレプロポリペプチドの形態をとることができる。学説に捉われず、U−ACTXポリペプチドの生物活性形は、成熟ポリペプチドを生成する、プレプロポリペプチド前駆体の翻訳後のタンパク質分解プロセシング(例えば、切断)により生成すると考えられる。切断は、プレプロポリペプチド中の特定の共通アミノ酸配列を認識するプロテアーゼによるプレプロポリペプチドの内部タンパク質分解切断でよい。プレプロポリペプチドの「プレ」の部分は、プレプロポリペプチドのシグナルペプチド部分を指す。学説に捉われず、そのシグナル配列が、プレプロポリペプチドを、U−ACTXを産生する細胞内の小胞体膜に向かわせ、それだけでなく、それを越えて移行させる原因であると考えられる。一実施形態において、シグナルペプチド配列は配列番号38 MNTXTGFIVXLVLATXLGGXEAを含み、式中、XはAまたはT、XはLまたはF、XはIまたはV、およびXはIまたはVである。同様に機能する他のシグナル配列も使用することができる。プレプロポリペプチドの「プロ」の部分は、配列番号39 XESHMRKDAMGRVRRを指し、式中、XはGもしくはR、または成熟U−ACTXポリペプチドの上流に共有結合で結合した他の配列である。学説に捉われず、プロ配列にとって可能と考えられる役割には、小胞体からの毒素の輸出を促進すること、成熟毒素配列の酵素触媒による酸化的折りたたみを促進すること、およびタンパク質分解プロセシングおよび翻訳後の変形に関与する酵素にシグナルを送ることが含まれる。プロ配列中のRR共通配列はエンドプロテアーゼ切断部位であると考えられる。したがって、U−ACTXポリペプチドを含む精製ポリペプチドは、さらに、シグナルペプチド配列、プロ配列、または前記の配列の1つ以上を含む組合せを含むことができる。U−ACTX毒素のプレプロポリペプチドの構造は、オーストラリアのじょうご形の巣を作るクモの毒腺中で発現する他の毒素について本発明者らが決定したものに類似しているように思われる。
【0023】
一実施形態において、U−ACTXポリペプチドは、配列、
配列番号1:Met−Asn−Thr−Ala−Thr−Gly−Phe−Ile−Val−Leu−Leu−Val−Leu−Ala−Thr−Val−Leu−Gly−Gly−Val−Glu−Ala−Gly−Glu−Ser−His−Met−Arg−Lys−Asp−Ala−Met−Gly−Arg−Val−Arg−Arg−Gln−Tyr−Cys−Val−Pro−Val−Asp−Gln−Pro−Cys−Ser−Leu−Asn−Thr−Gln−Pro−Cys−Cys−Asp−Asp−Ala−Thr−Cys−Thr−Gln−Glu−Arg−Asn−Glu−Asn−Gly−His−Thr−Val−Tyr−Tyr−Cys−Arg−Ala
(MNTATGFIVLLVLATVLGGVEAGESHMRKDAMGRVRRQYCVPVDQPCSLNTQPCCDDATCTQERNENGHTVYYCRA)
を有するブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)からのプレプロペプチドである。
【0024】
配列番号1のプレプロポリペプチドの切断により形成される成熟ポリペプチドはU−ACTX−Hv1aである。
【0025】
配列番号2:Gln−Tyr−Cys−Val−Pro−Val−Asp−Gln−Pro−Cys−Ser−Leu−Asn−Thr−Gln−Pro−Cys−Cys−Asp−Asp−Ala−Thr−Cys−Thr−Gln−Glu−Arg−Asn−Glu−Asn−Gly−His−Thr−Val−Tyr−Tyr−Cys−Arg−Ala
(QYCVPVDQPCSLNTQPCCDDATCTQERNENGHTVYYCRA)
【0026】
一実施形態において、U−ACTXポリペプチドは、本明細書で定義したrU−ACTX−Hv1a(配列番号3)である。
配列番号3:Gly−Ser−Cys−Val−Pro−Val−Asp−Gln−Pro−Cys−Ser−Leu−Asn−Thr−Gln−Pro−Cys−Cys−Asp−Asp−Ala−Thr−Cys−Thr−Gln−Glu−Arg−Asn−Glu−Asn−Gly−His−Thr−Val−Tyr−Tyr−Cys−Arg−Ala
(GSCVPVDQPCSLNTQPCCDDATCTQERNENGHTVYYCRA)
【0027】
rU−ACTX−HV1a(配列番号3)は、推定される成熟毒素配列(配列番号2)の最初の2残基(Gln−Tyr)がジペプチド配列Gly−Serにより置換されたU−ACTX−Hv1aの成熟形の組換え版である。
【0028】
配列番号2をコードするポリヌクレオチドは、
配列番号4:
ATGAATACCGCAACAGGTTTCATCGTCCTTTTGGTTTTGGCGACAGTTCTAGGAGGAGTTGAAGCAGGAGAATCTCATATGAGAAAAGATGCCATGGGAAGAGTTCGTCGACAATATTGCGTTCCAGTTGATCAACCGTGCTCCCTGAATACCCAACCGTGCTGCGATGATGCCACGTGCACACAAGAGCGGAATGAAAACGGCCACACTGTTTATTATTGCAGGGCT
である。
【0029】
本発明には、毒腺cDNAライブラリの分析によって単離されたU−ACTX−Hv1aの8つのホモログも含まれる。プレプロポリペプチド配列(配列番号5、8、11、14、17、20、23、および26)、成熟ポリペプチド配列(配列番号6、9、12、15、18、21、24および27)ならびにそれらをコードするDNA(配列番号7、10、13、16、19、22、25、および28)が含まれる。
【0030】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第1のホモログのプレプロポリペプチドは、
配列番号5:Met−Asn−Thr−Ala−Thr−Gly−Phe−Ile−Val−Leu−Leu−Val−Leu−Ala−Thr−Ile−Leu−Gly−Gly−Ile−Glu−Ala−Gly−Glu−Ser−His−Met−Arg−Lys−Asp−Ala−Met−Gly−Arg−Val−Arg−Arg−Gln−Tyr−Cys−Val−Pro−Val−Asp−Gln−Pro−Cys−Ser−Leu−Asn−Thr−Gln−Pro−Cys−Cys−Asp−Asp−Ala−Thr−Cys−Thr−Gln−Glu−Arg−Asn−Glu−Asn−Gly−His−Thr−Val−Tyr−Tyr−Cys−Arg
(MNTATGFIVLLVLATILGGIEAGESHMRKDAMGRVRRQYCVPVDQPCSLNTQPCCDDATCTQERNENGHTVYYCR)
である。
【0031】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第1のホモログからの成熟ポリペプチドは、
配列番号6:Gln−Tyr−Cys−Val−Pro−Val−Asp−Gln−Pro−Cys−Ser−Leu−Asn−Thr−Gln−Pro−Cys−Cys−Asp−Asp−Ala−Thr−Cys−Thr−Gln−Glu−Arg−Asn−Glu−Asn−Gly−His−Thr−Val−Tyr−Tyr−Cys−Arg
(QYCVPVDQPCSLNTQPCCDDATCTQERNENGHTVYYCR)
である。
【0032】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第1のホモログからの成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、
配列番号7:
ATGAATACCGCAACAGGTTTCATCGTCCTTTTGGTTTTGGCGACAATTCTCGGAGGTATTGAAGCAGGAGAATCTCATATGAGAAAAGATGCCATGGGAAGAGTTCGTCGACAATATTGCGTTCCAGTTGATCAACCGTGCTCTCTGAATACCCAACCGTGCTGCGATGATGCCACGTGCACACAAGAGCGGAATGAAAACGGCCACACTGTTTATTATTGCAGG
である。
【0033】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第2のホモログからのプレプロポリペプチドは、
配列番号8:Met−Asn−Thr−Ala−Thr−Gly−Phe−Ile−Val−Leu−Leu−Val−Leu−Ala−Thr−Val−Leu−Gly−Gly−Ile−Glu−Ala−Gly−Glu−Ser−His−Met−Arg−Lys−Asp−Ala−Met−Gly−Arg−Val−Arg−Arg−Gln−Tyr−Cys−Val−Pro−Val−Asp−Gln−Pro−Cys−Ser−Leu−Asn−Thr−Gln−Pro−Cys−Cys−Asp−Asp−Ala−Thr−Cys−Thr−Gln−Glu−Leu−Asn−Glu−Asn−Asp−Asn−Thr−Val−Tyr−Tyr−Cys−Arg
(MNTATGFIVLLVLATVLGGIEAGESHMRKDAMGRVRRQYCVPVDQPCSLNTQPCCDDATCTQELNENDNTVYYCR)
である。
【0034】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第2のホモログからの成熟ポリペプチドは、
配列番号9:Gln−Tyr−Cys−Val−Pro−Val−Asp−Gln−Pro−Cys−Ser−Leu−Asn−Thr−Gln−Pro−Cys−Cys−Asp−Asp−Ala−Thr−Cys−Thr−Gln−Glu−Leu−Asn−Glu−Asn−Asp−Asn−Thr−Val−Tyr−Tyr−Cys−Arg
(QYCVPVDQPCSLNTQPCCDDATCTQELNENDNTVYYCR)
である。
【0035】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第2のホモログからの成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、
配列番号10:
ATGAATACCGCAACAGGTTTCATCGTCCTTTTGGTTTTGGCGACAGTTCTCGGAGGTATTGAAGCAGGAGAATCTCATATGAGAAAAGATGCCATGGGAAGAGTTCGTCGACAATATTGCGTTCCAGTTGATCAACCGTGCTCTCTGAATACCCAACCGTGCTGCGATGATGCCACGTGCACACAAGAACTAAATGAAAACGACAACACTGTTTATTATTGCAGG
である。
【0036】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第3のホモログからのプレプロポリペプチドは、
配列番号11:Met−Asn−Thr−Ala−Thr−Gly−Phe−Ile−Val−Leu−Leu−Val−Leu−Ala−Thr−Ile−Leu−Gly−Gly−Ile−Glu−Ala−Gly−Glu−Ser−His−Met−Arg−Lys−Asp−Ala−Met−Gly−Arg−Val−Arg−Arg−Gln−Tyr−Cys−Val−Pro−Val−Asp−Gln−Pro−Cys−Ser−Leu−Asn−Thr−Gln−Pro−Cys−Cys−Asp−Asp−Ala−Thr−Cys−Thr−Gln−Glu−Arg−Asn−Glu−Asn−Gly−His−Thr−Val−Tyr−Tyr−Cys−Arg−Ala
(MNTATGFIVLLVLATILGGIEAGESHMRKDAMGRVRRQYCVPVDQPCSLNTQPCCDDATCTQERNENGHTVYYCRA)
である。
【0037】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第3のホモログからの成熟ポリペプチドは、
配列番号12:Gln−Tyr−Cys−Val−Pro−Val−Asp−Gln−Pro−Cys−Ser−Leu−Asn−Thr−Gln−Pro−Cys−Cys−Asp−Asp−Ala−Thr−Cys−Thr−Gln−Glu−Arg−Asn−Glu−Asn−Gly−His−Thr−Val−Tyr−Tyr−Cys−Arg−Ala
(QYCVPVDQPCSLNTQPCCDDATCTQERNENGHTVYYCRA)
である。
【0038】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第3のホモログからの成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、
配列番号13:
ATGAATACCGCAACAGGTTTCATCGTCCTTTTGGTTTTGGCGACAATTCTCGGAGGTATTGAAGCAGGAGAATCTCATATGAGAAAAGACGCCATGGGAAGAGTTCGTCGACAATATTGCGTTCCAGTTGATCAACCGTGCTCTCTGAATACCCAACCGTGCTGCGATGATGCCACGTGCACACAAGAGCGGAATGAAAACGGCCACACTGTTTATTATTGCAGGGCT
である。
【0039】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第4のホモログからのプレプロポリペプチドは、
配列番号14:Met−Asn−Thr−Ala−Thr−Gly−Phe−Ile−Val−Leu−Leu−Val−Leu−Ala−Thr−Val−Leu−Gly−Gly−Ile−Glu−Ala−Gly−Glu−Ser−His−Met−Arg−Lys−Asp−Ala−Met−Gly−Arg−Val−Arg−Arg−Gln−Tyr−Cys−Val−Pro−Val−Asp−Gln−Pro−Cys−Ser−Leu−Asn−Thr−Gln−Pro−Cys−Cys−Asp−Asp−Ala−Thr−Cys−Thr−Gln−Glu−Leu−Asn−Glu−Asn−Ala−Asn−Pro−Val−Tyr−Tyr−Cys−Arg−Ala
(MNTATGFIVLLVLATVLGGIEAGESHMRKDAMGRVRRQYCVPVDQPCSLNTQPCCDDATCTQELNENANPVYYCRA)
である。
【0040】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第4のホモログからの成熟ポリペプチドは、
配列番号15:Gln−Tyr−Cys−Val−Pro−Val−Asp−Gln−Pro−Cys−Ser−Leu−Asn−Thr−Gln−Pro−Cys−Cys−Asp−Asp−Ala−Thr−Cys−Thr−Gln−Glu−Leu−Asn−Glu−Asn−Ala−Asn−Pro−Val−Tyr−Tyr−Cys−Arg−Ala
(QYCVPVDQPCSLNTQPCCDDATCTQELNENANPVYYCRA)
である。
【0041】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第4のホモログからの成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、
配列番号16:
ATGAATACCGCAACAGGTTTCATCGTCCTTTTGGTTTTGGCGACAGTTCTCGGAGGTATTGAAGCAGGAGAATCTCATATGAGAAAAGATGCCATGGGAAGAGTTCGTCGCCAATATTACGTTCCAGTTGATCAACCGTGCTCTTTGAATACCCAACCGTGCTGCGATGATGCCACGTGCACCCAAGAGCTAAATGAAAACGCCAACCCTGTTTATTATTGCAGGGCT
である。
【0042】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第5のホモログからのプレプロポリペプチドは、
配列番号17:Met−Asn−Thr−Thr−Thr−Gly−Phe−Ile−Val−Leu−Leu−Val−Leu−Ala−Thr−Ile−Leu−Gly−Gly−Ile−Glu−Ala−Gly−Glu−Ser−His−Met−Arg−Lys−Asp−Ala−Met−Gly−Arg−Val−Arg−Arg−Gln−Tyr−Cys−Val−Pro−Val−Asp−Gln−Pro−Cys−Ser−Leu−Asn−Thr−Gln−Pro−Cys−Cys−Asp−Asp−Ala−Thr−Cys−Thr−Gln−Glu−Leu−Asn−Glu−Asn−Asp−Asn−Thr−Val−Tyr−Tyr−Cys−Arg−Ala
(MNTTTGFIVLLVLATILGGIEAGESHMRKDAMGRVRRQYCVPVDQPCSLNTQPCCDDATCTQELNENDNTVYYCRA)
である。
【0043】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第5のホモログからの成熟ポリペプチドは、
配列番号18:Gln−Tyr−Cys−Val−Pro−Val−Asp−Gln−Pro−Cys−Ser−Leu−Asn−Thr−Gln−Pro−Cys−Cys−Asp−Asp−Ala−Thr−Cys−Thr−Gln−Glu−Leu−Asn−Glu−Asn−Asp−Asn−Thr−Val−Tyr−Tyr−Cys−Arg−Ala
(QYCVPVDQPCSLNTQPCCDDATCTQELNENDNTVYYCRA)
である。
【0044】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第5のホモログからの成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、
配列番号19:
ATGAATACCACAACAGGTTTCATCGTCCTTTTGGTTTTGGCGACAATTCTCGGAGGTATTGAAGCAGGAGAATCTCATATGAGAAAAGATGCCATGGGAAGAGTTCGTCGACAATATTGCGTTCCAGTTGATCAACCGTGCTCTCTGAATACCCAACCGTGCTGCGATGATGCCACGTGCACACAAGAGCTAAATGAAAACGACAACACTGTTTATTATTGCAGGGCT
である。
【0045】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第6のホモログからのプレプロポリペプチドは、
配列番号20:Met−Asn−Thr−Ala−Thr−Gly−Phe−Ile−Val−Leu−Leu−Val−Leu−Ala−Thr−Val−Leu−Gly−Gly−Ile−Glu−Ala−Gly−Glu−Ser−His−Met−Arg−Lys−Asp−Ala−Met−Gly−Arg−Val−Arg−Arg−Gln−Tyr−Cys−Val−Pro−Val−Asp−Gln−Pro−Cys−Ser−Leu−Asn−Thr−Gln−Pro−Cys−Cys−Asp−Asp−Ala−Thr−Cys−Thr−Gln−Glu−Leu−Asn−Glu−Asn−Asp−Asn−Thr−Val−Tyr−Tyr−Cys−Arg−Ala
(MNTATGFIVLLVLATVLGGIEAGESHMRKDAMGRVRRQYCVPVDQPCSLNTQPCCDDATCTQELNENDNTVYYCRA)
である。
【0046】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第6のホモログからの成熟ポリペプチドは、
配列番号21:Gln−Tyr−Cys−Val−Pro−Val−Asp−Gln−Pro−Cys−Ser−Leu−Asn−Thr−Gln−Pro−Cys−Cys−Asp−Asp−Ala−Thr−Cys−Thr−Gln−Glu−Leu−Asn−Glu−Asn−Asp−Asn−Thr−Val−Tyr−Tyr−Cys−Arg−Ala
(QYCVPVDQPCSLNTQPCCDDATCTQELNENDNTVYYCRA)
である。
【0047】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第6のホモログからの成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、
配列番号22:
ATGAATACCGCAACAGGTTTCATCGTCCTTTTGGTTTTGGCGACAGTTCTCGGAGGTATTGAAGCAGGAGAATCTCATATGAGAAAAGATGCCATGGGAAGAGTTCGTCGACAATATTGCGTTCCAGTTGATCAACCGTGCTCTCTGAATACCCAACCGTGCTGCGATGATGCCACGTGCACACAAGAACTAAATGAAAACGACAACACTGTTTATTATTGCAGGGCT
である。
【0048】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第7のホモログからのプレプロポリペプチドは、
配列番号23:Met−Asn−Thr−Ala−Thr−Gly−Phe−Ile−Val−Phe−Leu−Val−Leu−Ala−Thr−Val−Leu−Gly−Gly−Ile−Glu−Ala−Gly−Glu−Ser−His−Met−Arg−Lys−Asp−Ala−Met−Gly−Arg−Val−Arg−Arg−Gln−Tyr−Cys−Val−Pro−Val−Asp−Gln−Pro−Cys−Ser−Leu−Asn−Thr−Gln−Pro−Cys−Cys−Asp−Asp−Ala−Thr−Cys−Thr−Gln−Glu−Leu−Asn−Glu−Asn−Asp−Asn−Thr−Val−Tyr−Tyr−Cys−Arg−Ala
(MNTATGFIVFLVLATVLGGIEAGESHMRKDAMGRVRRQYCVPVDQPCSLNTQPCCDDATCTQELNENDNTVYYCRA)
である。
【0049】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第7のホモログからの成熟ポリペプチドは、
配列番号24:Gln−Tyr−Cys−Val−Pro−Val−Asp−Gln−Pro−Cys−Ser−Leu−Asn−Thr−Gln−Pro−Cys−Cys−Asp−Asp−Ala−Thr−Cys−Thr−Gln−Glu−Leu−Asn−Glu−Asn−Asp−Asn−Thr−Val−Tyr−Tyr−Cys−Arg−Ala
(QYCVPVDQPCSLNTQPCCDDATCTQELNENDNTVYYCRA)
である。
【0050】
ブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)の第7のホモログからの成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、
配列番号25:
ATGAATACCGCAACAGGTTTCATCGTCTTTTTGGTTTTGGCGACAGTTCTCGGAGGTATTGAAGCAGGAGAATCTCATATGAGAAAAGATGCCATGGGAAGAGTTCGTCGACAATATTGCGTTCCAGTTGATCAACCGTGCTCTCTGAATACCCAACCGTGCTGCGATGATGCCACGTGCACACAAGAACTAAATGAAAACGACAACACTGTTTATTATTGCAGGGCT
である。
【0051】
シドニージョウゴグモ(Atrax robustus)の第8のホモログからのプレプロポリペプチドは、
配列番号26:Met−Asn−Thr−Ala−Thr−Gly−Phe−Ile−Val−Leu−Leu−Val−Leu−Ala−Thr−Val−Leu−Gly−Gly−Ile−Glu−Ala−Arg−Glu−Ser−His−Met−Arg−Lys−Asp−Ala−Met−Gly−Arg−Val−Arg−Arg−Gln−Tyr−Cys−Val−Pro−Val−Asp−Gln−Pro−Cys−Ser−Leu−Asn−Thr−Gln−Pro−Cys−Cys−Asp−Asp−Ala−Thr−Cys−Thr−Gln−Glu−Leu−Asn−Glu−Asn−Asp−Asn−Thr−Val−Tyr−Tyr−Cys−Arg−Ala
(MNTATGFIVLLVLATVLGGIEARESHMRKDAMGRVRRQYCVPVDQPCSLNTQPCCDDATCTQELNENDNTVYYCRA)
である。
【0052】
シドニージョウゴグモ(Atrax robustus)からの第8のホモログからの成熟ポリペプチドは、
配列番号27:Gln−Tyr−Cys−Val−Pro−Val−Asp−Gln−Pro−Cys−Ser−Leu−Asn−Thr−Gln−Pro−Cys−Cys−Asp−Asp−Ala−Thr−Cys−Thr−Gln−Glu−Leu−Asn−Glu−Asn−Asp−Asn−Thr−Val−Tyr−Tyr−Cys−Arg−Ala
(QYCVPVDQPCSLNTQPCCDDATCTQELNENDNTVYYCRA)
である。
【0053】
シドニージョウゴグモ(Atrax robustus)からの第8のホモログをコードするポリヌクレオチドは、
配列番号28:
ATGAATACCGCAACAGGTTTCATCGTCCTTTTGGTTTTGGCGACAGTTCTCGGAGGTATTGAAGCTAGAGAATCTCATATGAGAAAAGATGCCATGGGAAGAGTTCGTCGACAATATTGCGTTCCAGTTGATCAACCGTGCTCTCTGAATACCCAACCGTGCTGCGATGATGCCACGTGCACACAAGAGCTAAATGAAAACGACAACACTGTTTATTATTGCAGGGCT
である。
【0054】
本発明は、単離された、または精製されたU−ACTXポリペプチドを含む。「単離された(isolated)」もしくは「精製された(purified)」ポリペプチドまたはそれらのフラグメントは、タンパク質が由来する細胞、組織供給源もしくは毒液からの細胞材料または他の汚染ポリペプチドを実質的に含まず、あるいは、化学的に合成されたときには、化学的前駆物質または他の化学物質を実質的に含まない。「細胞材料を実質的に含まない(substantially free of cellular material)」という語句は、ポリペプチドがそこから単離されたか、または組換えで産生された細胞の細胞成分から分離されたポリペプチドの調製物を含む。したがって、細胞材料を実質的に含まないポリペプチドは、(乾燥重量で)約30%、約20%、約10%、または約5%未満の異種ポリペプチド(以後、本明細書において「汚染ポリペプチド(contaminating polypeptide)」と称する)を有するポリペプチドの調製物を含む。一実施形態において、調製物は少なくとも約75重量%純粋、より具体的には少なくとも約90重量%純粋、および最も具体的には少なくとも約95重量%純粋である。実質的に純粋なU−ACTXポリペプチドは、例えば、天然資源(例えば、昆虫細胞)からの抽出により、U−ACTXポリペプチドをコードする組換え核酸の発現により、またはポリペプチドを化学的に合成することにより得ることができる。純度は、任意の適当な方法、例えば、カラムクロマトグラフィ、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、質量分析法、または高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)分析によって測定することができる。
【0055】
本発明はU−ACTXのホモログも含む。「ホモログ(homologs)」は、当技術において使用される、問題にしている配列に高度の配列関連性を有するポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列を意味する総称である。そのような関連性は、比較される配列間の同一性および/または類似性の程度を測定することにより定量化することができる。この総称の中に入る用語に「オルソログ(ortholog)」があり、他の種におけるポリヌクレオチドまたはポリペプチドに機能的に同等なポリヌクレオチドまたはポリペプチドを意味し、また「パラログ(paralog)」は同種内で考慮したときに機能的に類似した配列を意味する。U−ACTX遺伝子の、同種に存在するパラログまたは他種にあるオルソログは、当技術において周知の分子生物学的技法により、必要以上の実験をせずに、容易に同定することができる。
【0056】
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の、本明細書で使用する「相同率(percent homology)(%)」は、カーリン(Karlin)およびアルチュル(Altschul)(1990年),Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,87,2264〜2268頁のアルゴリズムを使用して定量することができる。上記のアルゴリズムは、アルチュル(Altschul)ら(1990年),J.Mol.Biol.,215,403〜410頁のNBLASTおよびXBLASTプログラムに導入されている。BLASTヌクレオチド検索は、本発明の核酸分子に相同性のヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、語長=12で実施される。BLASTタンパク質検索は、参照ポリペプチド(例えば、配列番号2)に相同性のアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、語長=3で実施される。比較目的のギャップを考慮したアラインメントを得るために、アルチュル(Altschul)ら(1997年),Nucleic Acids Res.,25,3389〜3402頁に記載されているように、ギャップ付きBLASTが利用される。BLASTおよびギャップ付きBLASTプログラムを利用するとき、通常は初期設定のパラメーターが使用される。(http://www.ncbi.nlm.nih.gov参照)
【0057】
種々の欠失、置換および他の変形に相同性の程度を割り当てることにより、関係するポリペプチドがU−ACTXとアラインされる。ポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの全体に沿って、または隣接残基の部分集合に沿って、相同性を定量することができる。同一性(%)は、2つの配列を比較したときに同一であるアミノ酸またはヌクレオチドの百分率である。類似性(%)は、2つの配列を比較したときに化学的に類似しているアミノ酸またはヌクレオチドの百分率である。成熟U−ACTXと相同性のポリペプチドとは、好ましくは、約70%以上、特に約80%以上、さらに特に約90%以上、および最も特別には約95%以上の同一性を有する。配列番号2を参照ポリペプチドとして使用することができる。
【0058】
特定のポリペプチドが、確定した長さの参照ポリペプチドに対して特定の同一性(%)を有するという場合、同一性(%)は参照ペプチドと比較してのことである。したがって、100アミノ酸の長さの参照ポリペプチドと50%の同一性を有するポリペプチドは、参照ポリペプチドの50アミノ酸の長さ部分と完全に同一である50アミノ酸のポリペプチドであり得る。それは、その全長にわたって参照ポリペプチドと50%の同一性を有する100アミノ酸の長さのポリペプチドであってもよい。勿論、他の多くのポリペプチドが同じ基準に合致するであろう。
【0059】
主要なアミノ酸配列の「変更(modification)」は、「欠失(deletion)」(すなわち、1つ以上のアミノ酸残基が存在しないポリペプチド)、「付加(addition)」(すなわち、特定したポリペプチドに比較して1つ以上の追加されたアミノ酸残基を有するポリペプチド)、「置換(substitution)」(すなわち、1つ以上のアミノ酸残基の置換の結果として生ずるポリペプチド)、および「フラグメント(fragment)」(すなわち、特定されたポリペプチドの主要配列の一部に同一である主要アミノ酸配列からなるポリペプチド)を含むことを意味する。「変更」は、例えば、グリコシル化、アミド化(例えば、C末端アミド化)、脂質化様式、またはポリペプチドの1次、2次、もしくは3次構造を変化させる翻訳後事象の結果として変化したポリペプチドを含むことも意味する。N末端および/またはC末端の修飾が可能である。
【0060】
本明細書におけるU−ACTXのヌクレオチドまたはアミノ酸いずれかの配列への参照は、これらの配列の天然に生ずる変異体への参照も含む。プレプロポリペプチドに対する配列番号1、5、8、11、14、17、20、23、および26および成熟ポリペプチドに対する配列番号2、6、9、12、15、18、21、24、および27と異なり、かつ生物活性を保持している非天然生成変異体も本願に含まれる。変異体は、保存的アミノ酸置換、すなわち、同様に荷電または非荷電のアミノ酸の交替を有するこれらのポリペプチドを含む。遺伝的にコードされたアミノ酸は、一般的に4つのファミリーに分けられる。(1)酸性(アスパラギン酸、グルタミン酸)、(2)塩基性(リジン、アルギニン、ヒスチジン)、(3)非極性(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、および(4)非荷電極性(グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン)である。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは時により合わせて芳香族アミノ酸と分類される。ファミリーの各メンバーは、同じファミリーの他のメンバーと類似した物理的および化学的性質を有するので、ロイシンをイソロイシンもしくはバリンで、アスパラギン酸をグルタミン酸で、トレオニンをセリンで独立に置換すること、またはアミノ酸を構造的に近縁のアミノ酸で同様に置換することが、その結果生ずる分子の結合特性に大きい影響は有しないと期待することは理にかなっている。アミノ酸置換が機能性ポリペプチドを生ずるかどうかは、U−ACTXポリペプチド誘導体の殺虫活性をアッセイすることにより容易に決定することができる。
【0061】
U−ACTXへの参照は、U−ACTXのポリペプチド誘導体への参照でもある。本明細書で使用する「ポリペプチド誘導体」は、天然に生ずるU−ACTXと長さが異なり、かつU−ACTXに見出されるのと同じ1次配列で約15以上のアミノ酸を含むこれらのポリペプチドを含む。ポリペプチド誘導体は、殺虫活性を有する限り、U−ACTXより長くてもよく、U−ACTXより短くてもよい(例えば、活性フラグメント)。U−ACTXと実質的に同じアミノ酸配列を有するが、U−ACTXポリペプチド誘導体の殺虫活性に実質的に影響しない少数のアミノ酸置換を有するポリペプチドは、U−ACTXポリペプチド誘導体の定義内にある。
【0062】
U−ACTXのホモログは数通りの方法で同定することができる。1つの方法では、U−ACTXオルソログの前駆体をコードする天然mRNA配列を、そのようなオルソログに対するクモ毒腺cDNAライブラリをスクリーニングする標準的分子生物学的技法を使用することにより同定することができる。成熟毒素を生ずるプロペプチドの内部タンパク質分解的切断が、成熟毒素の直前にあるArg−Argプロセシング部位のC末端側(図1の2番目の矢印を参照されたい)で最も起こり易いことに注目することにより、成熟U−ACTXオルソログのアミノ酸配列を、同定されたcDNA配列の翻訳から得ることができる。次に、天然成熟U−ACTXオルソログを毒液からクロマトグラフ分画により単離し、続いて、U−ACTXオルソログcDNA配列から予測した質量一致判定によってペプチド毒性を同定し、精製することができる。他の方法では、合成成熟毒素をU−ACTX配列の固相ペプチド合成により作製し、続いて、合成J−アトラコトキシン−Hv1cの作製のために以前に記載されたように(ワン(Wang)ら(2000年),Nature Structural Biology,7,505〜513頁)、システイン酸化により天然ジスルフィド異性体を形成させることができる。U−ACTXポリペプチドは、還元、凍結乾燥されたペプチドをグルタチオンレドックス緩衝液中でインキュベートすることにより、酸化されて、その天然の3次元構造に折りたたまれることが可能である。適当なグルタチオンレドックス緩衝液は、pH7.3の200mM 3−[N−モルホリノ]プロパンスルホン酸(MOPS)、400mM KCl、2mM EDTA、4mM 還元グルタチオン(GSH)および2mM 酸化グルタチオン(GSSG)を含むが、当業者には多くの変法が周知である。この反応混合物を、例えば、4℃、室温、または37℃で一晩インキュベートしてから、逆相HPLCを使用して分画し、個々のジスルフィド異性体を分離する。画分を収集して殺虫活性をアッセイすることができる。さらに他の方法では、U−ACTXオルソログを、化学的に、または、U−ACTXオルソログをコードするcDNAから組換えDNA技法により合成することができる。他の方法では、当技術において知られている方法によりU−ACTX配列をコードする合成遺伝子を構築することにより、組換えDNA技法を使用して、U−ACTXオルソログを、調製することができる。
【0063】
本発明は、例えば、配列番号4、7、10、13、16、19、22、25、および28などの単離されたU−ACTXポリヌクレオチドを含む。「単離されたポリヌクレオチド(isolated polynucleotide)」という用語は、核酸の天然資源中に存在する他の核酸分子から分離されたポリヌクレオチドを含む。例えばゲノムDNAに関して、「単離された」という用語は、ゲノムDNAが自然界で関連している染色体から分離されたポリヌクレオチドを含む。「単離された」ポリヌクレオチドは、核酸が由来する生命体のゲノムDNA中の核酸に自然界で隣接する配列(すなわち、核酸の5’および/または3’末端に位置する配列)を含まない。例えば種々の実施形態において、単離されたポリヌクレオチドは、核酸が由来する細胞のゲノムDNA中の核酸分子に自然界で隣接する、約5kb、約4kb、約3kb、約2kb、約1kb、約0.5kb、約0.1kb未満の5’および/または3’ヌクレオチド配列を含んでいてよい。さらに、cDNA分子などの「単離された」ポリヌクレオチドが、組換え技法により作製されたときに他の細胞材料もしくは培地を実質的に含まない、または化学的に合成されたときに化学物質前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まないことは可能である。他の細胞材料を含まないということは、単離されたポリヌクレオチドが、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上純粋であることを意味する。
【0064】
「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、ヌクレオチドの少なくとも5塩基の長さのポリマー形を指す。ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはいずれかのヌクレオチドの変形であってよい。変形には、5−メチルシトシンなどの変形塩基、2’−メトキシおよび2’−フルオロ糖などの変形糖、ならびにホスホロチオエートおよびメチルホスホネートなどの変形骨格による、天然に生ずる塩基、糖またはヌクレオシド間結合(骨格)の、知られている置換が含まれるが、これらに限定はされない。本明細書で使用する「遺伝子」という用語は、ポリペプチド鎖を産生することに関与するDNAのセグメントを意味し、それはコード領域に先行および後続する領域(リーダーおよびトレーラー)ならびに個々のコード領域(エクソン)の間に介在する配列(イントロン)を含む。
【0065】
ポリヌクレオチドは、DNA分子、cDNA分子、ゲノムDNA分子、またはRNA分子であってよい。DNAまたはRNAとしてのポリヌクレオチドは、TがUであってもよい配列を含む。ポリヌクレオチドはU−ACTXポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、配列番号7、10、13、16、19、22、25および28)に相補的であってよく、ここで相補的とは2つのヌクレオチド間の厳密な対形成能力を指す。例えば、あるポリヌクレオチドのある位置のヌクレオチドがあるDNAまたはRNA分子の同じ位置のヌクレオチドと水素結合することができれば、そのときそのポリヌクレオチドとそのDNAまたはRNA分子とはその位置で互いに相補的である。各分子中において、所望のプロセスを達成するために十分な数の対応位置が、相互にハイブリダイズできるヌクレオチドにより占められているときには、ポリヌクレオチドとDNAまたはRNA分子とは実質上互いに相補的である。本明細書で使用するハイブリダイゼーションは、相補的ヌクレオシドまたはヌクレオチド塩基間の水素結合であって、それはワトソン−クリック型、フーグスティーン型または逆フーグスティーン型水素結合であってよい。
【0066】
さらに、U−ACTXポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、配列番号7、10、13、16、19、21、25および28)と実質的な同一性を有するかまたは配列番号2と実質的な同一性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドが含まれる。「実質的な同一性を有する」は、参照するアミノ酸配列または核酸配列と少なくとも約85%、特に約90%、およびさらに特に95%以上の同一性を有する配列を有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドを意味する。ポリペプチドについて、参照ポリペプチド配列の長さは、通常、少なくとも約16アミノ酸、または特に少なくとも約20アミノ酸、さらに特に少なくとも約25アミノ酸、および最も特別には少なくとも約35アミノ酸であろう。核酸について、参照核酸配列の長さは、通常、少なくとも約50ヌクレオチド、特に少なくとも約60ヌクレオチド、さらに特に少なくとも約75ヌクレオチド、および最も特別には約110ヌクレオチドであろう。
【0067】
相同性配列は、典型的には、ハイブリダイゼーションにより確認されることができ、その際、例えば、サムブルック(Sambrook)ら、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、第2版(Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、ニューヨーク所在)中に記載されているようなストリンジェントな条件下のハイブリダイゼーションが好ましい。サムブルックらに概略が記載されているストリンジェントなハイブリダイゼーションを使用して(すなわち、核酸フラグメントを2回洗浄し、その際各洗浄は、2×塩化ナトリウムおよびクエン酸ナトリウム(SCC)および0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)により室温で30分間であり;続いて、2×SCCおよび0.1%SDSにより50℃で30分間1回洗浄し;次に、2×SCCによる室温各10分間の洗浄を2回行う)、最大で約25から約30%の塩基対ミスマッチ、または約15から約25%の塩基対ミスマッチ、または約5から約15%の塩基対ミスマッチを含む相同性配列を確認することができる。
【0068】
相同性のポリペプチドは、例えば、従来法のポリヌクレオチドの部位指定変異(これは、分子の残基が機能的に重要であるかないかを日常的に同定するための1つの手段である)により、ランダム変異により、化学的合成により、またはポリペプチドの化学的もしくは酵素的切断により作製することができる。
【0069】
U−ACTX配列をコードするポリヌクレオチドは、そのような遺伝子配列に特異的にハイブリダイズする能力を有する比較的短いDNA(またはRNA)配列の調製を可能にする。短い核酸配列は、与えられた試料中の相補的配列の存在を検出するためのプローブとして使用することができ、またはU−ACTXポリペプチドをコードするDNA配列の確定したセグメントを検出し、増幅し、または変異させるプライマとして使用することができる。ハイブリダイゼーション検討のために使用される核酸配列は、フラグメントが、安定で選択的な二重鎖分子を形成するために十分な長さのものであることを確実にする約14ヌクレオチド以上の長さであるとよい。そのようなフラグメントは、例えば、化学的手段によりフラグメントを直接合成することにより、PCR技法などの核酸複製技法の応用により、または適当な挿入物および適当な制限部位を含む組換えプラスミドから選択した核酸フラグメントを切り取ることにより調製することができる。
【0070】
U−ACTXおよびホモログのポリヌクレオチドは、1つの組換え発現ベクターまたは複数のベクターに挿入することができる。「組換え発現ベクター(recombinant expression vector)」という用語は、U−ACTX遺伝子配列の挿入または導入により操作されたプラスミド、ウィルス、または当技術において知られた他の手段を指す。「プラスミド(plasmid)」の名称は、本明細書では、通常、当業者によく知られている標準的命名慣行に従って、小文字のpとそれに先行および/または後続する大文字および/または数字により命名する。本明細書で開示するプラスミドは、市販されているか、制限されない基準で公に入手可能であるか、または入手可能なプラスミドから周知の公表された手順の応用により構築することができるかのいずれかである。多くのプラスミドならびに他のクローニングおよび発現ベクターが周知であり、容易に入手できるか、または当業者が、使用に適した他のプラスミドをいくらでも容易に構築することができる。これらのベクターを適当な宿主細胞中に入れて形質転換して、ポリペプチドの産生のための宿主細胞ベクター系を形成することができる。
【0071】
U−ACTXポリヌクレオチドは、細菌、植物、酵母、昆虫、両生類、または哺乳動物細胞中での発現に適合させたベクター中に挿入することができ、これらの細胞は、細菌、酵母、昆虫、両生類、植物、または哺乳動物細胞中での核酸分子の発現に必要な制御エレメントを、U−ACTXをコードする核酸分子に作動可能に連結してさらに含む。「作動可能に連結した(operatively linked)」は、そのように記載された成分が、それらに意図されたように機能することを可能にする関係にある近位にあることを指す。コード配列に作動可能に連結した発現制御配列は、発現制御配列に適合する条件下でコード配列の発現が達成されるように、連結される。本明細書で使用する「発現制御配列(expression control sequence)」という用語は、それが作動可能に連結された核酸配列の発現を制御する核酸配列を指す。発現制御配列が、核酸配列の転写および場合により翻訳を制御し調節しているときには、発現制御配列は核酸配列に作動可能に連結している。したがって発現制御配列は、適当なプロモータ、エンハンサ、転写ターミネータ、タンパク質をコードする遺伝子の前にある開始コドン(すなわち、ATG)、イントロンのためのスプライシングシグナル(イントロンが存在する場合)、mRNAの適当な翻訳を可能にするその遺伝子の正確な読み枠の維持、および終止コドンを含むことができる。「制御配列」という用語の意味は、最小限、その存在が発現に影響することができる構成要素を含むことであり、また、存在が有利である付加的構成要素、例えば、リーダー配列および融合パートナー配列も含むことができる。発現制御配列は、プロモータを含むことができる。「プロモータ(promoter)」は、転写を指示するに十分な最小限の配列を意味する。プロモータ依存性の遺伝子発現を細胞タイプ特異的誘導、組織特異的誘導、または外来のシグナルもしくは作用剤により誘導され得るプロモータに対して制御可能にするのに十分なこれらのプロモータエレメントも含まれる。そのようなエレメントは、遺伝子の5’または3’領域に位置することができる。構成的および誘導性両方のプロモータが含まれる。
【0072】
発現ベクターが植物を形質転換するために使用される場合は、植物中で発現を推進する能力を有するプロモータを選択することができる。植物中で機能するプロモータは当技術において周知である。典型的な組織特異的植物プロモータは、トウモロコシショトウシンターゼ−1プロモータ、カリフラワーモザイクウィルス(CaMV35S)プロモータ、S−E9小サブユニットRuBPカルボキシラーゼプロモータ、およびトウモロコシヒートショックタンパク質プロモータである。
【0073】
どの発現ベクターを選択するか、およびポリペプチドをコードする領域を最終的にどのプロモータに作動可能に連結するかは、所望の機能特性、例えば、タンパク質発現の位置およびタイミングならびに形質転換すべき宿主細胞に直接依存する。一実施形態において、ポリペプチドを発現するために使用するベクターは、植物細胞中で効果的な選択マーカを含む。植物を形質転換するために使用する形質転換ベクターおよびこれらのベクターの製法は、例えば、米国特許第4,971,908号、第4,940,835号、第4,769,061号および第4,757,011号に記載されている。
【0074】
発現系は、毒素遺伝子の発現および/または毒素の折りたたみを促進するシグナルペプチドおよびプロポリペプチド配列も含むことができる。これらは、本明細書で開示した天然U−ACTXシグナルおよびプロペプチド配列または同じ目的に役立つ他のシグナルおよび/もしくはプロペプチド配列であってよい。
【0075】
昆虫ウィルスは天然に生ずる昆虫の病原体である。ウィルス感染に罹り易い昆虫は昆虫ウィルスの標的になり得る。それらはDNAウィルスでもRNAウィルスでもよい。多くの昆虫ウィルスおよびそれらの宿主の範囲は、当技術において知られていて、宿主特異的でかつ環境的に安全であるウィルスを含む。昆虫ウィルスの殺虫有効性は、米国特許第6,096,304号で開示された方法と同様な方法を使用して、昆虫毒素をコードする遺伝子をそのゲノムに導入することにより、増強することができる。適当な昆虫ウィルスは、バキュロウィルス(核多角体ウィルスおよびグラニュロウィルス)および昆虫ポックスウィルスなどの、害虫に対する生物制御剤として伝統的に使用されてきたDNAウィルスである。適当なDNAウィルスの他の例は、米国特許第6,521,454号に開示された蚊特異的バキュロウィルスである。適当なRNAウィルスはシポウイルスを含むが、これに限定はされない。
【0076】
高等植物における遺伝子発現のために有用なベクターは、当技術において周知であって、アグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)の腫瘍誘発(Ti)プラスミドに由来するベクターおよびpCaMVCNトランスファーコントロールベクター(Pharmacia(ニュージャージー州Piscataway所在)から入手可能)を含む。
【0077】
発現ベクターまたは他のDNAによる宿主細胞の形質転換は、当業者に周知の技法により実施することができる。「形質転換(transformation)」は、新規DNA(すなわち、細胞にとって外因性のDNA)の導入に続いて細胞内に誘導される永久的または一過性の遺伝子の変化を意味する。細胞が哺乳動物細胞である場合、永久的な遺伝子の変化は、一般的に、細胞ゲノム中へのDNA導入により達成される。「形質転換細胞(transformed cell)」すなわち「宿主細胞(host cell)」は、本発明のポリペプチド(すなわち、U−ACTXポリペプチド)またはそのフラグメントをコードするDNA分子を、(細胞または原細胞に)組換えDNA技法により導入した細胞(例えば、原核細胞または真核細胞)を意味する。
【0078】
宿主が原核細胞であるときは、リン酸カルシウム共沈殿などのDNAによるトランスフェクションの方法、マイクロインジェクションなどの機械的操作、電気穿孔法、リポソームに封入したプラスミド、またはウィルスベクターの挿入、ならびに当技術分野において知られている他の方法を使用することができる。宿主が植物細胞であるときは、細胞中に遺伝子を導入する他の手段も使用することができ、例えば、プロトプラストのポリエチレングリコール媒介形質転換、乾燥/阻止媒介DNA取込み、炭化ケイ素繊維と一緒にしての撹拌、DNAコートした粒子の加速、生殖器官への注入、および未成熟胚への注入などである。
【0079】
真核細胞には、本発明開示のポリペプチドをコードするDNA配列と単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子などの選択可能な表現型をコードする第2の外来DNA分子とを同時形質移入することもできる。適当なマーカには、例えば、哺乳動物細胞が取込むことのできるネオマイシンおよびハイグロマイシン等が挙げられる。マーカへの耐性は、例えば、遺伝子が適当な真核細胞プロモータを有するときには、ネオマイシン遺伝子またはハイグロマイシン遺伝子により付与することができる。他の方法は、サルウィルス40(SV40)、アデノウィルス、またはウシパピローマウィルスなどの真核細胞ウィルスベクターを使用して、真核細胞を一過性に感染すなわちトランスフェクトしてタンパク質を発現させることである(Eukaryotic Viral Vectors,Cold Spring Harbor Laboratory,グルツマン(Gluzman)編,1982年)。一実施形態において、真核細胞宿主が、本明細書に記載した宿主細胞として使用される。真核細胞は酵母細胞(例えば、サッカロマイセスセレヴィシエ)でもよく、またはヒト細胞を含む哺乳動物細胞でもよい。
【0080】
発現を指示する組換えウィルスまたはウィルス構成要素を利用する哺乳動物細胞系は操作することができる。例えば、アデノウィルス発現ベクターを使用するとき、外来性タンパク質をコードする核酸配列をアデノウィルス転写/翻訳制御コンプレックス、例えば、後期プロモータおよび3連リーダー配列(tripartite leader sequence)に連結することができる。次にこのキメラ遺伝子を、in vitroまたはin vivoでの組換えによりアデノウィルスゲノムに挿入することができる。ウィルスゲノムの非必須領域への挿入は、感染した宿主中で生存可能でU−ACTXポリペプチドを発現することができる組換えウィルスを生ずるであろう(例えば、ローガン(Logan)およびシェンク(Shenk)(1984年),Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,81,3655〜3659頁)。
【0081】
組換えポリペプチドの長期の高収率産生のためには、安定した発現が好ましい。複製のウィルス起源を含む発現ベクターを使用するよりもむしろ、宿主細胞を、適当な発現制御成分(例えば、プロモータ配列、エンハンサ配列、転写ターミネータ、ポリアデニル化部位等)により制御されるU−ACTX融合ポリペプチドをコードするcDNAおよび選択可能なマーカにより形質転換することができる。組換えプラスミド中の選択可能なマーカは、選択に対する耐性を付与して、細胞が染色体にプラスミドを安定に組み込み、成長して感染巣を形成することを可能にし、次にその細胞はクローン化して細胞ラインに拡張することができる。例えば、外来DNAの導入に続いて、操作した細胞を強化培地中で1から2日の間成長させ、次に選択培地に切り替えることができる。多くの選択系を使用することができ、単純ヘルペスウィルスチミジンキナーゼ(ウィグラー(Wigler)ら(1977年),Cell,11,223〜32頁)、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(スチバルスカ(Szybalska)およびスチバルスキ(Szybalski)(1962年),Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,48,2026〜2034頁)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(ロウィー(Lowy)ら(1980年),Cell,22,817〜823頁)が含まれるが、これらに限定はされない。
【0082】
U−ACTXポリペプチドは、例えば、カラムでの捕集または抗体の使用による精製を容易にする付加したC末端またはN末端アミノ酸をコードする配列などの付加配列を提供するように設計することもできる。そのようなタグには、例えば、ニッケルカラム上でのポリペプチドの精製を可能にするヒスチジンリッチタグが挙げられる。そのような遺伝子変形技法および適当な付加配列は、分子生物学技術において周知である。
【0083】
U−ACTXタンパク質、ポリペプチド、またはポリペプチド誘導体は、当技術において知られている方法により精製することができる。これらの方法には、サイズ排除クロマトグラフィ、硫安分画、イオン交換クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、再結晶、等電点電気泳動、分取電気泳動、および前記の方法の1つ以上を含む組合せが含まれるが、これらに限定はされない。精製は、当業者に知られた方法により実施することができ、他のポリペプチドを実質的に含まず、かつ炭水化物、脂質、または細胞小器官を実質的に含まないU−ACTXの調製物を生ずるであろう。純度は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動などの当技術において知られた手段によって評価することができる。
【0084】
U−ACTX融合ポリペプチドも提供され、天然では結合しないであろうポリペプチドに共有結合で結合したU−ACTXポリペプチドが含まれる。融合ポリペプチドは、種々のアッセイ系での使用に有用である。例えば、融合ポリペプチドは、U−ACTX発現を検出するために使用することができる。例えば、U−ACTX融合ポリペプチドは、U−ACTXタンパク質と相互作用して、その機能に影響するタンパク質を同定するために使用することができる。この相互作用は、U−ACTXの他のタンパク質を制御する能力に特異性を付与することがあるか、またはU−ACTXの機能の効果を増大もしくは減少させることがある。タンパク質アフィニティクロマトグラフィなどの物理的方法、または酵母ツーハイブリッド法、細菌ツーハイブリッド法、もしくはファージディスプレイ法などタンパク質間相互作用のためのライブラリに基づくアッセイを、この目的のために使用することができる。そのような方法は当技術において周知である。
【0085】
融合ポリペプチドは、ペプチド結合により融合して合体した少なくとも2つの異種ポリペプチドセグメントを含む。第1のポリペプチドセグメントは切れ目のないアミノ酸U−ACTXポリペプチドを全体としてまたは部分的に含むことができる。部分的な場合は、U−ACTXポリペプチドの少なくとも約8つの連続したアミノ酸が使用され、特に少なくとも約10、さらに特に約15、最も特別には約20のアミノ酸が使用される。第1のポリペプチドセグメントは全長のU−ACTXタンパク質であってもよい。第2のポリペプチドセグメントは、β−ガラクトシダーゼまたは当技術において知られている他の酵素など検出可能な生成物を生ずる酵素を含むことができる。あるいは、第2のポリペプチドセグメントは、緑色の蛍光性タンパク質、HcRed(Clontech)または当技術において知られている他の蛍光性タンパク質などの蛍光性タンパク質を含むことができる。さらに、融合タンパク質は、放射性マーカ、蛍光性マーカ、化学発光性マーカ、ビオチン化マーカ等などの検出可能なマーカで標識することができる。
【0086】
組換え的に、または2つのポリペプチドセグメントを共有結合で連結することにより、融合ポリペプチドを作製する技法は周知である。組換えDNA法は、例えば、U−ACTXをコードする配列を第2のポリペプチドセグメントをコードするヌクレオチドとともに適当なリーディングフレームに含むDNA構築物を作製して、宿主細胞中でDNA構築物を発現させることにより、U−ACTX融合ポリペプチドを構築するために使用することができる。DNA構築物は、タンパク質産生を促進する配列(すなわち、プロモータ等)に作動可能に連結することができる。
【0087】
融合ポリペプチドに加えて、U−ACTXは、当技術において知られている方法によりin vitroで標識することができる。U−ACTXは、テキサスレッド、ローダミン色素、フルオレッセインおよび当技術において知られている他の色素などの色素に結合することができる。結合化学反応剤には、スクシンイミドエステル、イソチオシアネートおよびマレイミドが挙げられる。結合可能な色素および結合化学反応剤に関する詳細な情報は、Molecular Probes Handbook of Fluorescent Probes and Research Products(Invitrogen、カリフォルニア州Carlsbad所在)に見出される。そのような融合ポリペプチドは、短いアミノ酸配列に対して生じた抗体よりも大きい特異性および感度を有することができる抗体を産生するために使用することができる。それに加えて、融合ポリペプチドは、組織培養アッセイにおいて、細胞の生存、増殖および分化に効果を及ぼすそれらの能力を調べるために使用することができる。
【0088】
U−ACTXポリペプチドまたは毒素のプレポリペプチドもしくはプレプロポリペプチド形を発現するトランスジェニック植物を構築することができる。「トランスジェニック植物(transgenic plant)」は、「形質転換植物(transformed plant)」細胞またはプロトプラストから誘導された植物またはそれらの子孫を意味し、その場合植物DNA(核または葉緑体)は、同系統の天然の非トランスジェニック植物中に元来存在しない導入された外来DNA分子を含む。
【0089】
単一の植物プロトプラストまたは種々の移植片のいずれかからの植物の発生または再生は、当技術において周知である。この再生および成長プロセスは、典型的には、形質転換細胞の選択および個別化された細胞の培養から通常の胚発生段階を通して根付き小植物段階までを含む。トランスジェニック胚および種子は同様にして再生することができる。その後、生じたトランスジェニック根付き苗条は、土壌などの適当な植物成長培地に植えることができる。
【0090】
再生した植物は自家受粉して、ホモ接合トランスジェニック植物を提供することができる。そうでなければ、再生した植物から得た花粉を、種子から成長した農業的に重要な近交系の植物に交配させることができる。逆にこれらの重要な系統の植物からの花粉を、再生植物を受粉させるために使用することができる。所望のポリペプチドを含むトランスジェニック植物は、当業者に周知の方法を使用して栽培することができる。
【0091】
適当なトランスジェニック植物は、U−ACTX遺伝子とその活性とをその子孫に伝えることができる独立の分離個体を含む。一実施形態において、トランスジェニック植物はU−ACTX遺伝子についてホモ接合であり、その遺伝子を性交配で全ての子孫に伝える。トランスジェニック植物からの種子は温室または畠で成長させることができて、その結果生じた性的に成熟したトランスジェニック植物は自家受粉して真の育種植物を生ずる。これらの植物の子孫は真の育種系統になり、それらは、実施例の方法により、1種以上の昆虫に対して種々の環境条件下に、好ましくは農場において、向上した殺虫能力を評価される。トランスジェニック植物は、トウモロコシ、ダイズ、ワタ、コムギ、カラスムギ、オオムギ、他の穀類、野菜、果実、果樹、漿果、芝草、観賞植物、低木および樹木等であってよい。
【0092】
U−ACTXポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、特定の遺伝形質を有するトランスジェニック昆虫を作製するために使用することができる。トランスジェニック動物および昆虫を作製する技法は、当業者に周知である。U−ACTXポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、転移因子を使用して昆虫ゲノム中に挿入することができる。組込み(遺伝子転移)は、酵素トランスポザーゼにより促進され、また転移因子は、トランスポザーゼを正しい位置に向かわせて切り取りを開始させるように機能する逆方向反復を含むことができる。ヘテロ接合遺伝子と(遺伝子融合で)組み合わせられた転移因子を含む遺伝子構築物を、従来の技法を使用して調製し、トランスジェニック昆虫を作製するために昆虫の卵に挿入することができる。転移因子は、U−ACTX遺伝子に加えて、発現がうまく起こることを確実にする調節因子を含むことができる。
【0093】
適当な転移因子には、例えば、イエバエ(Musca domestica)由来のヘル雌、D.マウリタニア(D.Mauritania)由来のマリーナ、ピギーバック、およびカスリショウジョウバエ(Drosophila hidei)に見出されるミノスが挙げられる。転移因子ミノスは、U−ACTXポリヌクレオチドを、場合によりミノストランスポザーゼの存在下に、昆虫の胚のゲノムに組み込むために使用することができる。転移因子は、外来遺伝子と合体し、さらに調節配列、例えばプロモータを含むプラスミドベクターの形態にすることができる。一実施形態において、プロモータはキイロショウジョウバエ(D.melanogaster)由来のアクチン5cプロモータである。一実施形態において、ミノストランスポザーゼ遺伝子は、胚に別に導入するために別の補助プラスミド上に位置する。
【0094】
転移因子は、in vivoで発現させることができる異種遺伝子を昆虫の胚に組み込むために使用することができる。あるいは、転移因子の組込みは、特定の遺伝子の発現を妨害するために使用することができる異種ポリヌクレオチドを組み込むために使用することができる。例えば、RNA分子は、遺伝子サイレンシングのために使用することができる。
【0095】
U−ACTX遺伝子は、遺伝的防除の手段として放出することができる生殖不能の雄を作製するために使用することができる。生殖不能昆虫技法においては、それらが放出される前に、多数の昆虫が調達され不能化される。十分な数の昆虫が放出されれば、野生の雌は放出された不能雄と交配して、生存可能な子孫を産しないであろう。この技法は、不能雄だけが放出されるときに最も効果がある。不能雄のみを放出する手段は、ある条件下で雌には致死的であるが雄にはそうでない遺伝子(すなわち、毒素遺伝子)を利用することである。致死的遺伝子の発現は、例えば、Drosophila yp1(ショウジョウバエ卵黄タンパク質1)遺伝子由来の雌特異的エンハンサまたはYp3肥満体エンハンサにより制御することができる。性特異的プロモータの使用は、ショウジョウバエにおける使用に対して提案された(ハインリッヒ(Heinrich)ら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(2000年),97,8229〜8232頁、トーマス(Thomas)ら,Science(2000年),287,2474〜2476頁)。ある化学物質への曝露により活性化される自殺遺伝子も導入することができる。
【0096】
U−ACTXポリペプチドの活性を有する殺虫ポリペプチドも本発明に含まれる。昆虫ニューロンの活性は、ナトリウムチャネル、カルシウムチャネル、およびカルシウム活性化カリウムチャネルを含むイオンチャネルの開閉の精密な調節により生ずる。U−ACTXポリペプチドの活性は、昆虫の急速な麻痺、昆虫の電位作動型カルシウムチャネルの阻害、または高伝導カルシウム活性化カリウムチャネルの阻害により示される。カルシウムチャネルの阻害およびカルシウム活性化カリウムチャネルの阻害は、単離された昆虫のニューロンで、前記の1つのチャネルまたは1つ以上を含む組合せを発現している組換え細胞で検討することができる。一実施形態において、カルシウムチャネルおよび/または高伝導カルシウム活性化カリウムチャネルは、昆虫のニューロン系中に天然に見出されるものである。一実施形態において、U−ACTXポリペプチドは、高伝導電位作動型カルシウムチャネル、およびカルシウム活性化カリウムチャネルの両方を阻害する。
【0097】
一実施形態において、U−ACTXポリペプチドは、昆虫の電位作動型カルシウムチャネルにおけるカルシウム電流の約50%、60%、70%、75%、80%、85%または95%以上を遮断する。一実施形態において、昆虫の電位作動型カルシウムチャネルは、アメリカゴキブリPerplaneta americanaの背側非対性正中(DUM)ニューロンにおいて発現したものである。
【0098】
他の実施形態において、U−ACTXポリペプチドは、昆虫の高伝導カルシウム活性化カリウムチャネルの活性の約50%、60%、70%、75%、80%、85%または95%以上を遮断する。一実施形態において、昆虫のカルシウム活性化カリウムチャネルは、アメリカゴキブリ(P.americana)の高伝導カルシウム活性化カリウムチャネルを含む。他の実施形態において、チャネルは、以前に記載されたP.americana pSloチャネルのαサブユニットである(デルスト(Derst)ら(2003年),Eup.J.Neurosci.,17,1197〜1212頁)。
【0099】
さらに他の実施形態において、U−ACTXポリペプチドは、昆虫の電位作動型カルシウムチャネルにおけるカルシウム電流の約50%、60%、70%、75%、80%、85%または95%以上、および昆虫の高伝導カルシウム活性化カリウムチャネルの活性の約70%、75%、80%、85%または95%以上を遮断する。
【0100】
殺虫ポリペプチドは、以下でより詳細に説明する広く種々の方法において使用することができる。
【0101】
スクリーニング目的のための変異した殺虫ポリペプチドのライブラリは、無関係なタンパク質について前に記載したようにして、U−ACTX−Hv1aまたは変異体の遺伝子のin vitroにおける進化によって得ることができる。ライブラリは、全U−ACTX−Hv1a遺伝子もしくは変異体遺伝子の誤りがちなPCRまたはU−ACTX−Hv1a遺伝子もしくは変異体遺伝子の適当な酵素による消化とそれに続く全遺伝子配列の誤りがちなPCR再構成を使用して作製することができる。これらの誤りがちなPCR手順は、U−ACTX−Hv1aまたは変異体の完全なプレプロポリペプチド遺伝子配列に応用することもできる。次に、変異U−ACTX−Hv1aすなわち変異体の遺伝子配列のライブラリは、一連のU−ACTX−Hv1a変異体アンタゴニストを生じさせるために使用することができる。次に、これらのアンタゴニストは、U−ACTX−Hv1aまたはその選択された変異体のその分子状標的への結合を阻止する能力についてスクリーニングすることができる。スクリーニングは、例えば、変異遺伝子ライブラリのファージディスプレイに続いて、U−ACTXの分子状標的に堅く結合するファージ粒子、またはU−ACTX−Hv1aもしくはその選択された変異体のU−ACTXの分子状標的への結合を阻止するファージ粒子を選択することにより実施することができる。当業者により理解されるように、変異遺伝子ライブラリは、オリゴヌクレオチドカセット式変異誘発またはあるヌクレオチド位置を無秩序化した合成遺伝子の構築などの他の標準的分子生物学的方法によって構築することもできる。
【0102】
U−ACTXまたはそのホモログは、U−ACTXとして昆虫チャネルの同じ位置に結合する殺虫性分子について、化合物ライブラリをスクリーニングするために使用することができる。一実施形態において、スクリーニングは、U−ACTXの昆虫の電位作動型カルシウムチャネルへの結合と競合するかまたは昆虫の電位作動型カルシウムチャネルに予め結合しているU−ACTXの遊離を惹起する化合物の選択によって実施することができる。他の実施形態において、スクリーニングは、U−ACTXの昆虫のカルシウム活性化カリウムチャネルへの結合と競合するかまたは昆虫のカルシウム活性化カリウムチャネルに予め結合しているU−ACTXの遊離を惹起する化合物の選択によって実施することができる。さらに他の実施形態において、スクリーニングは、例えば、U−ACTXの昆虫のカルシウム活性化カリウムチャネルへの結合を防止し、かつU−ACTXの電位作動型昆虫カルシウムチャネルへの結合も防止する化合物の選択により、または昆虫のカルシウム活性化カリウムチャネルに予め結合しているU−ACTXの遊離を惹起し、かつ昆虫の電位作動型カルシウムチャネルに予め結合しているU−ACTXの遊離を惹起する化合物の選択によって実施することができる。
【0103】
昆虫のチャネルに結合する試験化合物を選択する方法は、昆虫の電位作動型カルシウムチャネル、昆虫のカルシウム活性化カリウムチャネル、または前記の昆虫のチャネルの1つ以上を含む組合せである昆虫のチャネルを提供すること、および試験化合物が、配列番号2と約70%以上の同一性を有し、かつ殺虫活性を有するU−ACTXペプチドの昆虫チャネルへの結合と競合するかどうかを決定することを含む。その方法は、試験化合物の昆虫カルシウムチャネル遮断薬または昆虫のカルシウム活性化カリウムチャネルの遮断薬、またはこれら両タイプのチャネルの遮断薬として作用する能力を試験することをさらに含んでもよい。
【0104】
昆虫のチャネルに結合する試験化合物を選択する方法は、昆虫の電位作動型カルシウムチャネル、昆虫のカルシウム活性化カリウムチャネル、または前記の昆虫のチャネルの1つ以上を含む組合せである昆虫のチャネルを提供すること、および試験化合物が、昆虫チャネルに予め結合している、配列番号2と約70%以上の同一性を有し、かつ殺虫活性を有するU−ACTXペプチドの少なくとも一部を遊離させるかどうかを決定することを含む。その方法は、試験化合物の昆虫のカルシウムチャネル遮断薬または昆虫のカルシウム活性化カリウムチャネルの遮断薬、またはこれら両タイプのチャネルの遮断薬として作用する能力を試験することをさらに含んでもよい。
【0105】
U−ACTXペプチドとの競合または予め結合しているU−ACTXペプチドの遊離は、標識U−ACTXペプチドを使用して決定することができる。例えば、蛍光で標識したU−ACTXから得られる蛍光シグナルは、標識されたペプチドの結合状態対非結合状態に依存して変化するであろう。あるいは、カルシウムチャネルに結合した放射性標識U−ACTXの、試験化合物の結合による遊離は、放射性標識U−ACTXの、チャネルから、例えば周囲の緩衝溶液中への遊離として測定することができる。
【0106】
昆虫を制御する方法は、昆虫または昆虫の幼虫と殺虫に有効な量のU−ACTXポリペプチドとを接触させることを含む。U−ACTXポリペプチドは、精製ポリペプチド、U−ACTXポリペプチドをコードする、場合により発現ベクター中のポリヌクレオチド、U−ACTXポリペプチドを発現する昆虫ウィルス、U−ACTXポリペプチドを発現する植物細胞もしくは細菌細胞などの細胞、またはU−ACTXポリペプチドを発現するトランスジェニック植物の形態であってよい。U−ACTXポリペプチドは、マツユキソウレクチンなど、昆虫により摂取されたときにU−ACTXポリペプチドの活性を増強する作用剤と、融合させるか、または併用して送達することもできる。接触させることには、例えば、U−ACTXポリペプチドの注入、外的接触、あるいはU−ACTXポリペプチドまたはU−ACTXポリペプチドを発現するポリヌクレオチドもしくはウィルスの摂取が含まれる。
【0107】
植物を処理する方法は、植物と殺虫に有効な量のU−ACTXポリペプチドとを接触させることを含む。U−ACTXポリペプチドは、精製ポリペプチド、U−ACTXポリペプチドをコードする、場合により発現ベクター中のポリヌクレオチド、U−ACTXポリペプチドを発現するウィルス、またはU−ACTXポリペプチドを発現する植物細胞もしくは細菌細胞などの細胞の形態であってよい。
【0108】
一実施形態において、精製U−ACTXポリペプチドおよび農業的に許容可能な担体、希釈剤および/または賦形剤を含む殺虫組成物が提供される。他の実施形態において、殺虫組成物は、U−ACTXポリペプチドを発現するウィルスを含む。昆虫ウィルスは、ひとたびウィルスが宿主昆虫に感染すると宿主昆虫の内部で複製され発現され得る。昆虫に昆虫ウィルスを感染させることは、摂取、吸入、昆虫または昆虫幼虫と昆虫ウィルスとの直接接触等を含む在来の方法によって達成することができる。
【0109】
殺虫組成物は、水溶液または水性懸濁液などの流動可能な溶液または懸濁液の形態であってよい。そのような水溶液または懸濁液は、適用に先立って希釈する濃縮保存溶液として、または別法として、そのまま使用する希釈溶液として提供することができる。他の実施形態において、殺虫組成物は、水に分散可能な顆粒を含む。さらに他の実施形態において、殺虫組成物は、水和剤、粉剤、ペレット剤、またはコロイド濃縮剤を含む。そのような乾燥形態の殺虫組成物は、濡らすとただちに溶解するか、または別の選択肢として、制御放出、徐放、もしくは他の時間依存性の様式で溶解するように製剤化することができる。
【0110】
U−ACTXポリペプチドを昆虫ウィルスにより発現させることができるとき、U−ACTXポリペプチドを発現する昆虫ウィルスを、保護されるべき作物に適用することができる。ウィルスはU−ACTXポリペプチドを、単独でまたは1種類もしくは数種類の他のU−ACTXポリペプチドと組み合わせて、または増強された、もしくは相乗的殺虫活性を生じ得る他の殺虫ポリペプチド毒素などの他の殺虫薬と組み合わせて発現するように操作することができる。適当なウィルスには、バキュロウィルスが含まれるが、これに限定はされない。
【0111】
殺虫組成物がU−ACTXポリペプチドを発現する完全な細胞(例えば、細菌細胞)を含むとき、そのような細胞は、種々の方法で製剤化することができる。それらは、水和剤、顆粒剤または粉剤として、無機鉱物(層状珪酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩等)または植物材料(製粉したトウモロコシの穂軸、もみ殻、胡桃の殻等)、および1つ以上の前記材料を含む組合せなどの種々の不活性材料と混合することにより利用することができる。製剤は、展着剤−粘着剤助剤、安定剤、他の殺虫性添加剤、界面活性剤、および1つ以上の前記添加剤を含む組合せを含んでよい。液体製剤は、水系または非水系であってよく、泡沫、懸濁液、乳化可能濃縮液等として利用することができる。成分には、流動剤、界面活性剤、乳化剤、分散剤、ポリマー、リポソーム、および1つ以上の前記成分を含む組合せが含まれてもよい。
【0112】
あるいは、U−ACTXポリペプチドは、in vitroで発現させて次の野外応用のために単離することができる。そのようなポリペプチドは、活性な殺虫製剤に製剤化する前には、粗細胞溶解物、懸濁液、コロイド等の形態であってよく、または精製し、純化し、緩衝し、および/またはさらに加工することができる。
【0113】
応用の方法にかかわらず、1つまたは複数の活性成分の量は、例えば、制御されるべき特定の昆虫、処理されるべき特定の植物または作物、環境条件、ならびに殺虫有効組成物適用の方法、速度および量などの要因に依存して変化するであろう殺虫に有効な量で適用される。
【0114】
U−ACTXポリペプチド、ポリヌクレオチド、細胞、ベクター等を含む殺虫組成物は、農業的に許容可能な担体とともに製剤化することができる。組成物は、投与に先立って、凍結乾燥する(lyophilized)、凍結乾燥する(freeze-dried)、乾燥するなどの適当な手段で、または食塩水、もしくは他の適当な緩衝液などの水性担体、媒体もしくは適当な希釈剤中で製剤化することができる。製剤化した組成物は、粉状もしくは顆粒状材料、または油中(植物性または鉱物性)もしくは水中懸濁液、または油/水乳濁液の形態で、あるいは水和物散剤として、あるいは農業用途に適したもう1つの他の担体材料との組合せであってよい。適当な農業用担体は、固体または液体であってよく、当技術において周知である。「農業的に許容可能な担体」という用語は、全ての補助剤を包含し、例えば、殺虫剤製剤技法で通常使用されている不活性成分、分散剤、界面活性剤、粘着性付与剤、結合剤等などであり、これらは殺虫剤製剤における当業者に周知である。製剤は、1つ以上の固体または液体の補助剤と混合することができ、例えば、在来の製剤化技法を使用して、殺虫組成物を適当な補助剤と、均一に混合する、ブレンドする、および/または破砕するなどの種々の手段により調製することができる。
【0115】
殺虫組成物は、標的とする昆虫のいる環境に、例えば、保護されるべき植物または作物の葉群上に、従来の方法により、好ましくは噴霧により適用することができる。殺虫剤適用の強度と期間は、特定の1つまたは複数の害虫、処理されるべき1つまたは複数の作物および特定の環境条件に固有の条件を考慮して設定することができる。有効成分の担体に対する比率は、殺虫組成物の化学的性質、溶解性、および安定性、ならびに考慮されている特定の製剤に当然依存するであろう。
【0116】
他の適用技法、例えば、散粉、散水、浸漬、土壌注入、種子被覆、実生被覆、スプレー、通気、ミスチング、噴霧等も実行可能であり、ある状況下、例えば、根もしくは茎での害虫発生において、または繊細な成長過程もしくは観賞植物への適用のために必要になることもある。これらの適用手順は当技術において周知である。
【0117】
殺虫組成物は、単独で、または限定にはならない他の殺虫剤を含む他の化合物と併用して使用することができる。それらは、界面活性剤、洗浄剤、ポリマーまたは徐放性製剤などの他の処理剤と併用して使用することができる。殺虫組成物は昆虫誘引物質を含むことができる。殺虫組成物は全身性または局所的使用のいずれのためにも製剤化することができる。そのような作用剤は昆虫に直接適用することもできる。
【0118】
環境的、全身性、または葉面処理に使用される殺虫組成物の濃度は、特定の製剤の性質、適用手段、環境条件、および殺生活性の程度によって変わり得る。
【0119】
あるいは、U−ACTXを単独で、または増強された、もしくは相乗的殺虫活性を生ずる他の殺虫ポリペプチド毒性と組み合わせて発現するように作物を遺伝子操作することができる。この手法が役に立つ作物には、ワタ、トマト、スイートコーン、ムラサキウマゴヤシ、ダイズ、モロコシ、サヤエンドウ、アマニ、ベニバナ、アブラナ、ヒマワリ、および白花ルピナス(field lupin)が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0120】
殺虫ポリペプチドで処理するのに適当な農業的、家庭および/または医学的/獣医学的重要性のある節足動物には、例えば、次の綱および目のメンバーが含まれる。アメリカマメゾウムシAcanthoscelides obtectus、ハムシAgelastica alni、コメツキムシ(Agriotes lineatus、Agriotes obscurus、Agriotes bicolor)、ヒラタムシAhasverus advena、サマーシェファーAmphimallon solstitialis、ケブトヒラタキクイムシAnobium punctatum、Anthonomus spp.(ゾウムシ)、ピグミーマンゴールドビートルAtomaria linearis、カツオブシムシ(Anthrenus spp.、Attagenus spp.)、ヨツモンマメゾウムシCallosobruchus maculatus、クリヤケシキスイCarpophilus hemipterus、キャベツシードポッドウィービルCeutorhynchus assimilis、レイプウィンターステムウィービルCeutorhynchus picitarsis、根切り虫の類Conoderus vespertinusおよびConoderus falli、バショウオサゾウムシCosmopolites sordidus、コガネムシ幼虫Costelytra zealandica、コガネムシCotinis nitida、サンフラワーステムウィービルCylindrocopturus adspersus、トビカツオブシムシDermestes lardarius、根切り虫Diabrotica virgifera、Diabrotica virgifera virgiferaおよびDiabrotica barberi、インゲンテントウEpilachna varivestis、オールドハウスボアラーHylotropes bajulus、アルファルファタコゾウムシHypera postica、セマルヒョウホンムシGibbium psylloides、タバコシバンムシLasioderma serricorne、コロラドハムシLeptinotarsa decemlineata、ヒラタキクイムシ(Lyctus spp)、チビケシキスイMeligethes aeneus、ヨーロッパコフキコガネMelolontha melolontha、アメリカスパイダービートルMezium americanum、ゴールデンスパイダービートルNiptus hololeucus、ノコギリヒラタムシおよびオオノコギリヒラタムシOryzaephilus surinamensisおよびOryzaephilus mercator、キンケクチブドウムシOtiorhynchus sulcatus、マツノザイセンチュウPhaedon cochleariae、クルシファーフリービートルPhyllotreta cruciferae、キスジノミハムシPhyllotreta striolata、キャベツステムフリービートルPsylliodes chrysocephala、Ptinus spp.(ニセセマルヒョウホンムシ)、コナナガシンクイRhizopertha dominica、アカアシチビコフキゾウムシSitona lineatus、ココクゾウムシおよびグラナリアコクゾウSitophilus oryzaeおよびSitophilus granarius、レッドサンフラワーシードウィービルSmicronyx fulvus、ジンサンシバンムシStegobium paniceum、チャイロコメノゴミムシダマシTenebrio molitor、コクヌストモドキおよびヒラタコクヌストモドキTribolium castaneumおよびTribolium confusum、ウェアハウスアンドキャビネットビートル(Trogoderma spp.)、およびサンフラワービートルZygogramma exclamationisなどの甲虫目;ヨーロッパクギヌキハサミムシForficula auriculariaおよびオオハサミムシムシLabidura ripariaなどのハサミムシ目(はさみ虫);東洋ゴキブリBlatta orientalis、チャバネゴキブリBlatella germanica、マデラゴキブリLeucophaea maderae、ワモンゴキブリPeriplaneta americana、およびクロゴキブリPeriplaneta fuliginosaなどの網翅目;スポットスネークミリピードBlaniulus guttulatus、フラットバックヤスデBrachydesmus superus、およびヤケヤスデOxidus gracilisなどの倍脚綱;ヒトクイバエ(Cordylobia anthropophaga)、ヌカカ(Culicoides spp.)、ビーラウス(Braula spp.)、ビートフライPegomyia betae、ブユ科(Cnephia spp.、Eusimulium spp.、Simulium spp.)、ウシバエ(Cuterebra spp.、Gastrophilus spp.、Oestrus spp.)、ガガンボ(Tipula spp.)、キモグリバエの1種(Hippelates spp.)、フィフスブリーディングフライ類(Calliphora spp.、Fannia spp.、Hermetia spp.、Lucilia spp.、Musca spp.、Muscina spp.、Phaenicia spp. 、Phormia spp.)、ニクバエ類(Sarcophaga spp.、Wohlfahrtia spp.);フリツフライOscinella frit、ショウジョウバエ(Dacus spp.、Drosophila spp.)、ヘッドアンドカリオンフライ(Hydrotea spp.)、ヘシアンバエMayetiola destructor、ホーンアンドバッファローフライ(Haematobia spp.)、アブおよびメクラアブ(Chrysops spp.、Haematopota spp.、Tabanus spp.)、シラミバエ(Lipoptena spp.、Lynchia spp.、およびPseudolynchia spp.)、地中海ミバ(Ceratitus spp.)、カ類(Aedes spp.、Anopheles spp.、Culex spp.、Psorophora spp.)、スナバエ(Phlebotomus spp.、Lutzomyia spp.)、ラセンウジバエ(Chrysomya bezziana およびCochliomyia hominivorax)、シープケッズ(Melophagus spp.);サシバエ(Stomoxys spp.)、ツエツエバエ(Glossina spp.)、およびウシバエ(Hypoderma spp.)などの双翅目;シュウカクシロアリ科(Hodotermitidae)、レイビシロアリ科(Kalotermitidae)、ムカシシロアリ科(Mastotermitidae)、ミゾガシラシロアリ科(Rhinotermitidae)、ノコギリシロアリ科(Serritermitidae)、シロアリ科(Termitidae)、オオシロアリ科(Termopsidae)からの種を含む等翅目(シロアリ);トコジラミCimex lectularius、ホシカメムシDysdercus intermedius、サンペストEurygaster integriceps、メクラカメムシLygus lineolaris、アオクサカメムシNezara antennata、ミナミアオカメムシNezara viridula、およびオオサシガメPanstrogylus megistus、Rhodnius ecuadoriensis、Rhodnius pallescans、Rhodnius prolixus、Rhodnius robustus、Triatoma dimidiata、Triatoma infestans、およびTriatoma sordidaなどのカメムシ亜目;アカマルカイガラムシAonidiella aurantii、マメクロアブラムシAphis fabae、ワタアブラムシAphis gossypii、リンゴアブラムシAphis pomi、ミカントゲコナジラミAleurocanthus spiniferus、シロマルカイガラムシAspidiotus hederae、タバココナジラミBemesia tabaci、ダイコンアブラムシBrevicoryne brassicae、セイヨウナシキジラミCacopsylla pyricola、カラントアフィドCryptomyzus ribis、グレープフィロキセラDaktulosphaira vitifoliae、ミカンキジラミDiaphorina citri、ジャガイモヒメヨコバイEmpoasca fabae、ビーンリーフホッパーEmpoasca solana、ワインリーフホッパーEmpoasca vitis、リンゴワタムシEriosoma lanigerum、ヨーロッパフルーツスケールEulecanium corni、モモコフキアブラムシHyalopterus arundinis、ヒメトビウンカLaodelphax striatellus、ジャガイモヒゲナガアブラムシMacrosiphum euphorbiae、モモアカアブラムシMyzus persicae、ツマグロヨコバイNephotettix cinticeps、トビイロウンカNilaparvata lugens、ゴールフォーミングアフィッド(Pemphigus spp.)、ホップイボアブラムシPhorodon humuli、ムギクビレアブラムシRhopalosiphum padi、オリーブカタカイガラムシSaissetia oleae、ムギミドリアブラムシSchizaphis graminum、ムギヒゲナガアブラムシSitobion avenae、オンシツコナジラミTrialeurodes vaporariorumなどの同翅目;普通のダンゴムシArmadillidium vulgareおよび普通のワラジムシOniscus asellusなどの等脚目;Adoxophyes orana(リンゴコカクモンハマキ)、Agrotis ipsolon(タマナヤガ)、Archips podana(ハマキガの1種)、Bucculatrix pyrivorella(ナシチビガ)、Bucculatrix thurberiella(ハモグリガ科の1種)、Bupalus piniarius(パインルーパー)、Carpocapsa pomonella(コドリンガ)、Chilo suppressalis(ニカメイガ)、Choristoneura fumiferana(トウヒノシントメハマキ)、Cochylis hospes(ホソハマキガ科の1種)、Diatraea grandiosella(サウスウエスタンコーンボーラー)、Earis insulana(エジプトボールワーム)、Euphestia kuehniella(スジコナマダラメイガ)、Eupoecilia ambiguella(ブドウホソハマキ)、Euproctis chrysorrhoea(モンシロドクガ)、Euproctis subflava(ドクガ)、Galleria mellonella(ハチノスツヅリガ)、Helicoverpa armigera(オオタバコガ)、Helicoverpa zea(タバコガ)、Heliothis virescens(オオタバコガ)、Hofmannophila pseudopretella(ブラウンハウスモス)、Homeosoma electellum(サンフラワーモス)、Homona magnanima(チャハマキ)、Lithocolletis blancardella(スポッ

トテンチフォームリーフマイナー)、Lymantria dispar(マイマイガ)、Malacosoma neustria(オビカレハ)、Mamestra brassicae(ヨトウガ)、Mamestra configurata(バーサアーミーワーム)、ホーンワームManduca sextaおよびManuduca quinquemaculata、Operophtera brumata(ナミスジフユエダシャク)、Ostrinia nubilalis(アワノメイガ)、Panolis flammea(マツキリガ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Phyllocnistis citrella(ミカンハモグリガ)、Pieris brassicae(オオモンシロチョウ)、Plutella xylostella(コナガ)、Rachiplusia ni(アオムシ類)、Spilosoma virginica(イェローベアモス)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Spodoptera littoralis(ハスモンヨトウ)、Spodoptera litura(ハスモンヨトウ)、Spodoptera praefica(イェローストライプドアーミーワーム)、Sylepta derogata(ワタノメイガ)、Tineola bisselliella(コイガ)、Tineola pellionella(イガ)、Tortrix viridana(ヨーロッパオークリーフローラー)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Yponomeuta padella(ヨーロッパリンゴスガ)などの鱗翅目;普通のコウロギAcheta domesticus、ツリーローカスト(Anacridium spp.)、トノサマバッタLocusta migratoria、ツーストライプドグラスホッパーMelanoplus bivittatus、ディフェレンシャルグラスホッパーMelanoplus differentialis、レッドレッグドグラスホッパーMelanoplus femurrubrum、マイグラトリーグラスホッパーMelanoplus sanguinipes、ノーザンモルクリケットNeocurtilla hexadectyla、アカトビバッタNomadacris septemfasciata、ショートウィングルドモルクリケットScapteriscus abbreviatus、サザンモルクリケットScapteriscus borellii、トーニィモルクリケットScapteriscus vicinus、およびサバクトビバッタSchistocerca gregariaなどの直翅目;ウシハジラミBovicola bovis、バイティングラウス(Damalinia spp.)、ネコシラミFelicola subrostrata、ウシジラミHaematopinus eurysternus、テールスィッチラウスHaematopinus quadripertussus、ブタジラミHaematopinus suis、フェイスラウスLinognathus ovillus、フットラウスLinognathus pedalis、イヌジラミLinognathus setosus、ウシホソジラミLinognathus vituli、ニワトリオオハジラミMenacanthus stramineus、ニワトリハジラミMenopon gallinae、ヒトジラミPediculus humanus、ケジラミPhthirus pubis、リトルブルーキャットルラウスSolenopotes capillatus、およびイヌハジラミTrichodectes canisなどのシラミ目;チャタテムシ類Liposcelis bostrychophila、Liposcelis decolor、Liposcelis entomophila、およびTrogium pulsatoriumなどのチャタテムシ目;トリノミCeratophyllus gallinae、イヌノミCtenocephalides canis、ネコノミCtenocephalides felis、ヒトノミPulex irritans、およびケオピスネヅミノミXenopsylla cheopisなどのノミ目;ガーデンシンフィランScutigerella immaculataなどのコムカデ目;オナガシミCtenolepisma longicaudata、フォアラインシルバーフィッシュCtenolepisma quadriseriata、普通のシミLepisma saccharina、およびマダラシミThermobia domesticaなどのシミ目;タバコスリップFrankliniella fusca、ヒラズハナアザミウマFrankliniella intonsa、ミカンキイロアザミウマFrankliniella occidentalis、コットンバッドスリップFrankliniella schultzei、クリバネアザミウマHercinothrips femoralis、ソイビーンスリップNeohydatothrips variabilis、ケリーシトルススリップPezothrips kellyanus、アボカドスリップScirtothrips perseae、ミナミキイロアザミウマThrips palmi、およびネギアザミウマThrips tabaciなどのアザミウマ目等および前記の昆虫の1つ以上を含む組合せ。
【0121】
一実施形態において、U−ACTXポリペプチド、ポリヌクレオチド、細胞、ベクターその他を含む殺虫組成物は、外寄生生物を処理するために使用することができる。外寄生生物には、例えば、ノミ、マダニ、疥癬、ダニ、カ、有害なサシバエ、シラミ、および前記の外寄生生物の1つ以上を含む組合せが挙げられる。ノミという用語は、ノミ目の寄生的ノミの普通の、すなわち偶生種、特にイヌノミ属の種、特にネコノミおよびイヌノミ、ネズミノミ(Xenopsylla cheopis)およびヒトノミ(Pulex irritans)を含む。家畜(例えば、ウシ)、愛玩動物(例えば、イヌおよびネコ)およびヒトについた外寄生生物を処理することができる。家畜および飼育されている動物の場合、処理は、首輪に含浸させまたは限局した部位に局所適用して、それに続いて動物の真皮を通して拡散させることを含んでよい。ヒトの場合、処理には、ヒトにおけるシラミの処理に適した組成物を挙げることができる。そのような組成物は、シャンプーまたはコンディショナーなどヒトの頭皮への適用に適したものにすることができる。
【0122】
次の実施例により本発明をさらに例示するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
【実施例】
【0123】
<実施例1>
(U−ACTX−Hv1aおよびホモログの同定)
雌のブルーマウンテンジョウゴグモ(Hadronyche versuta)を、オーストラリアのニューサウスウェールス州のブルーマウテン地域から入手した。雄および雌のシドニージョウゴグモ(Atrax robustus)は、オーストラリアのニューサウスウェールス州のシドニー都市圏地域から収集した。検体は、毒腺の抽出まで気密な収集用広口びん中に入れておいた。これらのジョウゴグモを、−20℃に40から60分間冷却した。毒腺は各検体から独立に切り出した。各一対の毒腺は、独立に抽出緩衝液(Amersham Pharmacia Biotech)に入れた。
【0124】
毒腺の単離に続いてすぐに、QuickPrep Micro mRNA Purification Kit(Amersham Pharmacia Biotech)を使用して、polyA+mRNAを調製した。精製したmRNA試料を80%エタノールで洗浄し、Speedvacで乾燥した。10μlのRNAseを含まない蒸留水を使用して、mRNA試料を再水和した。精製したmRNA試料は−20℃で保存した。
【0125】
その後、Marathon cDNA Amplification Kit(CLONTECH)を使用して、cDNAライブラリを構築した。簡単に述べると、polyA+RNAを単離し、それから二本鎖cDNAを形成させた。cDNAをアダプタDNAに連結して、アダプタcDNA分子のライブラリを形成させた。適合させたmRNAテンプレートから、SuperscriptIIIリバーストランスクリプターゼ(Life Technologies,Inc)およびEchoclonanch−2プライマ、ポリ(dT)アンカープライマ(GGGCAGGT17)を使用して、一本鎖cDNAを構築した。第2鎖の合成は、キットの仕様書に従って実施した。cDNA生成物は、Concert Rapid PCR Purificationキット、高収率精製カートリッジ(GIBCO)を使用して精製した。50μlのトリス−EDTA緩衝液(10mM Tris−Cl、1mM EDTA、pH8.0)で二本鎖cDNAを溶出させた。
【0126】
次に、Marathon cDNA Amplificationアダプタ(CLONTECH)を、二本鎖cDNAに連結した。連結反応は、16℃で一晩進行させた。一晩の連結反応の後、1から20倍希釈したグリコーゲンの10μl、pH5.2の3M酢酸ナトリウムの10μl、および100%冷エタノールの100μlを使用して、試料を沈殿させた。それに続いて、試料を80%エタノールで洗浄し、10分間乾燥させた後、200μlのトリス−EDTA緩衝液中に再懸濁させた。
【0127】
リーダー配列の情報は、5’RACE(Rapid Amplification of cDNA Ends;フローマン(Frohman)ら(1988年),Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,85,8993〜9002頁参照)を使用して得た。重複性ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマをこの技法のために設計した。未知のリーダー配列情報を得る目的で、重複性プライマを5’共通アダプタプライマ(EchoAP1)と組み合わせて使用した。3’RACEのためのプライマを、5’RACEから得たcDNAリーダー配列から設計した。3’RACEプライマを共通アダプタオリゴd(T)プライマ(CLONTECH)と組み合わせて使用して、U−ACTX−Hv1aのシグナル配列と相同性のシグナル配列を有する遺伝子産物を生成させた。キットに含まれていないプライマは全てPROLIGO Ltdにより構築された。5’RACEプライマは、
配列番号29:CACCCCTAATACGACTCACTATAGG
配列番号30:(A/G)TTNCC(A/G)TT(T/C)TC(A/G)TT(T/C)TC(T/C)TC(A/G)AA
であった。
【0128】
3’RACEプライマは、
配列番号31:TGCTGCAATATGAATACCGC
配列番号32:GGGCAGGTTTTTTTTTTTTTTTTT
であった。
【0129】
PCR反応は、5μlの二本鎖cDNA、27μlのMilliQ水、25mM MgCl、10×PCR緩衝液、50×dNTPs、および5μlのAMPLIGOLDTAQ Enzyme(Perkin ElmerのGeneAmpキットに伴うAmpliTaq Gold)を使用して実施した。PCR反応は、次のプロトコル(表1)を使用して、サーマルサイクラで実施した。
【0130】
【表1】

【0131】
増幅されたcDNA生成物は、1.5%アガロースゲルで電気泳動して、サイズを確認するために臭化エチジウムで染色した。
【0132】
確認したPCR生成物は、GIBCOのゲル精製キットを使用してアガロースゲルから抽出し、Pellet Paint Co−Precipitantキット(Novagen)を使用して沈殿させた。沈殿させたら、cDNAをクローニングに備えてキナーゼでリン酸化した。試料をpSMARTベクターに連結して、Lucigen CloneSmart Blunt Cloningキットを使用して、E.cloni細胞(Lucigen)中に入れて形質転換した。形質転換が成功したクローンを、50μg/mLアンピシリンを含むTerrific Broth中で1時間培養してから、プレートへ移し一晩増殖させた。
【0133】
試料は、PCRとゲル電気泳動により、正しい挿入サイズか検査した。正しい挿入サイズを含む試料をDNA配列決定にかけた。U−ACTX−Hv1a(配列番号1)のプレプロポリペプチド形およびその8つのホモログ(配列番号5、8、11、14、17、20、23および26)をコードする完全なcDNA配列が、配列決定する多数のクローンから得られた。
【0134】
プレプロポリペプチド配列を図1にまとめてある。これらのプレプロポリペプチドにおけるシグナルペプチドの切断部位を、SignalPプログラムのバージョン3.0(ドリロフ(Drylφv)ら、Improved prediction of signal peptides:SignalP 3.0、Journal of Molecular Biology(2004年),340,783〜795頁;プログラムはwebのhttp://www.cbs.dtu.dk/services/SignalIP/で入手できる)を使用して予測した。成熟ポリペプチドは、同じクモにより産生されるω−ACTX−1ポリペプチド中で知られているプロポリペプチド切断部位と同じ36−37の位置で2塩基Arg−Arg配列によるプロポリペプチドの切断から生ずると予測される。これら2つの内部タンパク質分解切断部位を、図1中に矢印により示す。
【0135】
<実施例2>
(U−ACTX−Hv1aの組換え形の調製)
U−ACTX−Hv1aの予測された成熟ポリペプチド領域の残基3から39をコードする合成遺伝子を、重なるオリゴヌクレオチドのアニーリング、伸長、および増幅により設計した(図2を参照されたい)。最初の段階で、U−ACTX−Hv1aの残基3から39をコードする4つのオリゴヌクレオチドをアニールして、Pfuポリメラーゼで伸長させた。4つのオリゴヌクレオチドのコドンの使用は、大腸菌(Escherichia coli)での最適発現に対して最適化した。4つのオリゴヌクレオチドは、
FW178−1(配列番号33):
TGCGTTCCGGTTGACCAGCCGTGCTCCCTGAACACCCAGCCG、
FW178−2(配列番号34):
CGTTACGCTCCTGGGTGCAGGTAGCGTCGTCGCAGCACGGCTGGGTGTTCAGGGAGC、
FW178−3(配列番号35):
CGCTACCTGCACCCAGGAGCGTAACGAAAACGGTCACACCGTTTACTACTGCCG、および
FW178−R(配列番号36):
GAATTCTCAAGCACGGCAGTAGTAAACGG
と命名した。
【0136】
4つのオリゴヌクレオチドは、50μlの反応緩衝液中の最終濃度2μMで加えた。反応液は、400μMのdNTP混合物(Invitrogen)も含んでいた。アニーリング反応は60℃、15分間で進行した。次に温度を72℃に上げ、2.5ユニットのPfuポリメラーゼ(Stratagene)を添加したのち、混合物をさらに30分間インキュベートした。
【0137】
第2段階で、20μlの反応混合物を、全コード配列の標準的PCR増幅のためのテンプレートとして、プライマFW178−F(配列番号37:cgggatccTGCGTTCCGGTTGACCAGCCG)およびFW178−R(配列番号34)とともに使用した(図2を参照されたい)。これらのプライマは、クローニングの目的のために、それぞれ5’BamHIおよび3’EcoRI部位を含む。増幅されたPCR生成物はBamHIおよびEcoRIで消化して、BamHI/EcoRIで消化されたPGEX−2Tベクターに、標準的な方法を使用してサブクローニングした。生じたプラスミド(pBLS1)は、日本住血吸虫グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)のC末端へのフレーム内融合としてU−ACTX−Hv1aの成熟ポリペプチド配列の残基3から39をコードしている。GSTおよびU−ACTX−Hv1aをコードする領域の間に位置するトロンビン切断部位は、ポリペプチドが融合タンパク質からトロンビン切断により遊離することを可能にする。遊離したポリペプチドは、U−ACTX−Hv1aの残基3から39のN末端に付いているジペプチド配列Gly−Ser(トロンビン切断部位の痕跡)を含む。本発明者らはこの39残基ポリペプチドをrU−ACTX−Hv1aに属するものと解釈する。
【0138】
GST:rU−ACTX−Hv1a融合タンパク質の過剰産生のために、大腸菌BL21細胞をpBLS1で形質転換した。細胞をLB培地中37℃でOD600が0.6から0.8になるまで増殖させてから、300μMのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)とともに融合タンパク質を導入した。細胞を遠心により1.9〜2.2のOD600で捕集し、次に超音波により破砕した。組換え融合ポリペプチドを、GSH−セファロース(Amersham Biosciences)でのアフィニティクロマトグラフィを使用して、可溶性細胞分画から精製し、次いでカラム上で、ウシトロンビン(Sigma)の添加により約24時間かけて切断させた。結合していないU−ACTXポリペプチドを、カラムからトリス緩衝食塩水(150mM NaCl、50mMトリス、pH8.0)で溶出させ、ただちに逆相高速液体クロマトグラフィ(rpHPLC)を使用して精製した。組換えU−ACTXポリペプチドおよび汚染物質は、VydacC18分析用rpHPLCカラム(4.6×250mm、孔径5μm)から、10〜32%アセトニトリルのリニアグラジエントを使用して1ml/分の流量で20分かけて溶出させた。rU−ACTX−Hv1aに対応する単一の主ピークが、約9分の保持時間で溶出した。rpHPLCで精製したU−ACTXポリペプチドのエレクトロスプレイ質量分析は、4273Daの分子質量を与え、これは完全に酸化されて6つのシステインが3つのジスルフィド結合を形成しているrU−ACTX−Hv1aの予測分子質量に等しい。
【0139】
<実施例3>
(組換えU−ACTX−Hv1aは昆虫にとって致死的である)
rU−ACTX−Hv1aの殺虫活性は、昆虫生理食塩水に溶解したポリペプチドのMusca domestica(イエバエ)への直接注入により、定量的に測定した。性未確認のハエ(体重10から25mg)に、10から10pmol/gの範囲の濃度で1から2μlのポリペプチドを注入した。対照のハエには2μlの昆虫生理食塩水を注入した。10匹のハエに各濃度のポリペプチドを注入した。29ゲージ針を備えたArnoldマイクロアプリケーター(Burkard Scientific Supply、イングランド、Rickmansworth所在)を、胸背注入投与に使用した。注入するために、検体は4℃で一時的に動けなくして、それからただちに室温(24℃)に戻した。
【0140】
図3は、この方法を使用して得られたrU−ACTX−Hv1aに対する用量応答曲線を示す。各点は、異なる日に実施した3つの独立した測定の平均を表わす。LD50値(すなわち、注入後24時間までに50%のハエを殺すrU−ACTX−Hv1aの用量)は、次の式を用量応答の対数曲線に当てはめることにより計算した。
y=(a−b)/[1+(x/LD50
式中、yは注入後24時間における試料集団中の死亡率(%)であり、xはpmol・g−1での毒素用量であり、nは可変勾配係数であり、aは最大応答であり、bは最小応答である。100±4pmol/gのLD50計算値によれば、rU−ACTX−Hv1aは、これまでに発見された最も強力な殺虫ペプチド毒素の1つである。
【0141】
<実施例4>
(rU−ACTX−Hv1aの分子状標的の決定−アメリカゴキブリPeriplaneta americanaのDUMニューロンでの実験)
[プロトコル]
P.americanaのDUMニューロンはカルシウムチャネルを含み、そこからのCaチャネル電流(ICa)は、全細胞パッチ−クランプ記録技法を使用して記録することができる。DUMニューロン細胞本体は、P.americanaの神経索の末端腹部神経節(TAG)の正中から単離した。ゴキブリは、−20℃に約5分間冷却することにより麻酔した。次に、それらを切開用シャーレ上に背面側を上にしてピンでとめ、背面角質、消化管内容物、および縦走筋を取り出した。神経節の神経索を確認し、TAGを注意深く取り出して、200mM NaCl、3.1mM KCl、5mM CaCl、4mM MgCl、10mM N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N’−[2−エタンスルホン酸](HEPES)、50mMスクロースを含み、5容量%の仔ウシ血清および50IU・ml−1ペニシリンおよび50μg・ml−1ストレプトマイシン(Trace Biosiences、オーストラリアNoble Park所在)を添加し、NaOHを使用してpHを7.4に調節した、通常の昆虫生理食塩水(NIS)に入れた。
【0142】
TAGを注意して切開し、200mM NaCl、3.1mM KCl、10mM HEPES、60mMスクロース、50IU/mLペニシリンおよび50IU/mlストレプトマイシンを含み、NaOHを使用してpHを7.4に調節した、無菌のCa2+/Mg2+を含まない昆虫生理食塩水に入れた。次に、神経節を脱鞘神経にして1.5mg/mlのコラゲナーゼを含み、Ca2+/Mg2+を含まない昆虫生理食塩水中で20分間インキュベートした。神経節は、通常の昆虫生理食塩水中で3回ゆすいだ。生じた懸濁液を24ウェルのクラスタープレートの8ウェルに分注した。各ウェルには、コンカナバリンA(2mg/ml)で予めコートしておいた、直径12mmのカバーガラスを入れておいた。単離した細胞はインキュベータ(相対湿度100%、37℃)中で、一晩かけてカバーガラスに付着させた。
【0143】
電気生理学的実験では、ゴキブリDUMニューロンからの電位作動型ナトリウム、カリウム、およびカルシウム電流を測定するために、全細胞コンフィグレーションでパッチ−クランプ記録技法を使用した。単離した細胞のついたカバーガラスを、位相差顕微鏡のステージに乗せた1mlのガラス底灌流チェンバーに移した。Axopatch200A−積分増幅器(Axon Instruments、カリフォルニア州Foster City所在)を使用して、ナトリウム、カリウム、およびカルシウム電流の全細胞記録を行った。単回使用記録マイクロピペットをひくために、ホウケイ酸ガラス毛細管チュービング(Harvard Apparatus Ltd、UKケント州所在)を使用した。
【0144】
細胞外液(external solution)および細胞内液(internal solution)の内容は、企画した記録手順および特に研究するイオン電流のタイプにより変化させた。電位固定電気生理学的研究で使用した全ての細胞内および細胞外液の内容は、表2から表4に詳細を示した。全ての実験において、固定電位は−80mVであった。電極チップの抵抗は常に0.8〜4.0MΩの範囲にあった。細胞外液および細胞内液両方のモル浸透圧濃度は、浸透圧ストレスを低下させるためにスクロースで、310mosmol/リットルに調節した。細胞内液および細胞外液の間の液間電位差を、JPCalcプログラム(Barry(1994年),J.Neurosci.Method,51,107〜116頁)を使用して測定し、全てのデータをこの値に対して補正した。
【0145】
【表2】

【0146】
【表3】

【0147】
【表4】

【0148】
45μmを超える直径の大きい涙形DUNニューロンを実験のために選択した。反転した固定電位司令パルスを、Ag/AgClペレット/3M KCl 寒天ブリッジを通してバスに適用した。ギガオーム密封の形成後、膜を貫通するために吸引を適用した。望ましくない電流を完全に遮断するために、5から10分の時間をおいて、実験を開始した。個々の実験で、大きい漏洩電流あった場合、または比較的小さい脱分極パルスによる突発的電流上昇など空間固定が不十分なことを電流が示す場合には、それらの実験を除外した。全ての化学薬品は、分析規格のもので、テトロドトキシンがAlomone Labs(イスラエル、エルサレム所在)から供給されたのを例外として、Sigma Chemicalsにより供給された。データは、定量化したときは、平均±標準誤差として表わした。
【0149】
刺激および記録は両方とも、アップルのマッキントッシュコンピュータで作動するAxoDataデータ取得システム(Axon Instruments)により制御した。データは5kHzでフィルタし(低域Besselフィルタ)、デジタルサンプリングレートは、電位プロトコルの長さに依存して15kHzと25kHzの間であった。漏洩電流および容量性電流は、P−P/4手順で、デジタルに差し引いた。データ分析は、実験終了後オフラインで行った。I/Vのデータは、次式のデータへの非線形回帰により適合させた。
I=gmax{1−(1/(1+exp[V−V1/2)/s]))}(V−Vrev
式中、Iは与えられた電位Vにおけるピーク電流の大きさ、gmaxは最大コンダクタンス、V1/2は最大半量活性における電位差、sは勾配係数、およびVrevは逆転電位である。
【0150】
[結果]
P.americanaDUMニューロンからのCaチャネル電流(ICa)は、全細胞パッチクランプ記録技法を使用して記録した。DUMニューロンは、脱分極試験パルスに続き、内向きのテトロドトキシン(TTX)感受性ナトリウムチャネル電流(INa)および多くの電位作動性カリウムチャネル電流(I)を生ずる。これらの電流は、TTX、テトラエチルアンモニウム(TEA)、およびCsの組合せを使用して遮断され、Caチャネルを通して流れる本来の電流が残る。
【0151】
Caチャネル電流が単離されたところで、種々の濃度のrU−ACTX−Hv1aがDUMニューロンに適用された。1μMの濃度で、rU−ACTX−Hv1aは、DUMニューロンにおける大部分のCa電流を遮断した。用量応答曲線(図4)は、rU−ACTX−Hv1aがDUMニューロンにおけるCa電流を、409nMのIC50で遮断することを示す。電流−電位差(Ica/V)プロットにより明らかなように、チャネル活性化の電位差依存性に明確な脱分極シフトはなく、rU−ACTX−Hv1aは、チャネル開閉変形剤とは反対に細孔遮断薬であることが示された。
【0152】
カルシウム電流への影響と対照的に、rU−ACTX−Hv1aは、1μMまでの濃度でDUMニューロンにおけるナトリウム電流に影響しないことが見出された。
【0153】
<実施例5>
(rU−ACTX−Hv1aの分子状標的の決定−異種発現したゴキブリpSIoチャネルでの実験)
[プロトコル]
ヒト胚腎(HEK293)細胞(American Type Culture Collection、米国ミズーリ州Bethesda所在)を、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM/高変形、JRH Biosciences、米国カンザス州Lenexa所在)に10%仔ウシ血清を補完した培地中で維持した。pSIoチャネル(P.americanaの高コンダクタンスカルシウム活性化カリウムチャネル)の発現は、G418耐性遺伝子も有する発現ベクターpcDNA3.1(InvitrogenBV、米国カリフォルニア州、San Diego所在)中にクローン化したpSIoコード領域を含む構築物によるHEK293細胞のトランスフェクションにより実施した。35mmのシャーレ中のHEK293単層を、9μlのリポフェクタミン試薬(Gibco、BRL)および5μgのDNAを使用してトランスフェクトした。次いで、安定にトランスフェクトされた細胞を1000μg ml−1のG418(Gibco,米国ニューヨーク州、Grand Island所在)で選択した。これらの細胞を、上記の通常の成長培地中に維持して、以下に記載するパッチクランプ実験に使用する無菌カバーガラス上で培養した。
【0154】
全細胞pSIoチャネル電流は、ホウケイ酸ガラスピペット(Harvard Apparatus Ltd、UK、ケント州所在)を使用して、2〜4MΩの抵抗で室温で測定した。Axopatch200A−積分増幅器(Axon Instruments、米国カリフォルニア州Foster City所在)を使用して、電流測定を行った。全ての実験で、固定電位は−90mVであった。pSIo全細胞電流を記録するために、4mM NaCl、140mM KCl、2mM ATP−Mg、0.6mM CaCl、および10mM N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−[2−エタンスルホン酸](HEPES)を含み、2M KOHでpHを7.25に調節した溶液でピペットを満たした。細胞外液は、135mM NaCl、5mM KCl、1mM MgCl、1mM CaCl、0.33mM NaHPO、10mMグルコース、および10mM HEPESを含み、2M NaOHでpHを7.4に調節した。モル浸透圧濃度は、約290mosmol/Lであった。膜を貫通した後、2MΩを超える絶縁が形成されるまでの10〜15分の時間をおいて、実験を開始した。
【0155】
[結果]
P.americanaの高コンダクタンスカルシウム活性化カリウムチャネル(pSIo)のαサブユニットを発現しているHEK293細胞におけるIK(Ca)に対するrU−ACTX−Hv1aの効果を試験した。pSIoチャネル発現HEK293細胞に対する1μM rU−ACTX−Hv1aの添加は、約77%のIK(Ca)遮断を惹起した。この結果は、pSIoチャネルを発現しているHEK293細胞に対する1μMのカリブドトキシン添加について以前に報告された約80%遮断(ダースト(Derst)ら(2003年),European journal of Neuroscience,17,1197〜1212頁)と同様である。用量応答曲線(図5)は、rU−ACTX−Hv1aが、579nMのIC50でpSIo電流を遮断することを示す。したがって、rU−ACTX−Hv1aは、昆虫のCaおよびKCa両チャネルを標的にすると思われる。チャネル活性化の電位差依存性に明確な脱分極シフトはなかったので、rU−ACTX−Hv1aは、チャネル開閉変形剤であるよりもむしろ細孔遮断薬として作用するようである。
【0156】
学説にとらわれず、rU−ACTX−Hv1aの顕著な性能は昆虫のCaおよびKCaチャネルへの相乗的効果から生ずると考えられる。これらのチャネルは、生理的に関連していることが前々から知られていたが、最近の証拠はそれらが膜中で実際物理的に関連していることを示唆している。昆虫のKCaチャネルの細孔を直接遮断することに加えて、rU−ACTX−Hv1aは、Caチャネルを通る内向きのカルシウムの流れを遮断することにより、これらのチャネルを通る電流を間接的に減少させることができて、その結果、KCaチャネルの活性化に使用することができる細胞内カルシウムの局所貯留を減少させる。このように、Caチャネルに対するrU−ACTX−Hv1aの作用は、昆虫のKCaチャネルの遮断を強化する。
【0157】
殺虫活性を有する新規ポリペプチドを説明した。このポリペプチドは、プレプロポリペプチド、プロポリペプチド、または成熟ポリペプチドの形態であってよい。ポリペプチド、ポリペプチドを場合により発現ベクター中でコードするポリヌクレオチド、昆虫ウィルス、ポリペプチドをコードするウィルスベクター、およびポリペプチドを発現する細胞を、殺虫剤として使用することができる。開示したポリペプチドの在来の殺虫剤に対する優位性は、昆虫と脊椎動物との間で相違する毒性と両立する殺虫剤の効能を含む。
【0158】
本明細書における「第1」、「第2」等の用語は、如何なる順序、品質、または重要性を意味するものでもなくて、ある要素を他の要素から区別するために使用され、また、本明細書において、「a」および「an」という用語は、量の限定を意味せず、言及された項目の少なくとも1つの存在を意味する。本明細書で開示した全ての範囲は、包括的で組合せ可能である。
【0159】
本発明を、好ましい実施形態を参照して説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更をなすことができ、また同等のもので本発明の要素を置き換え得ることは、当業者により理解されるであろう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教えるところに適合させるために、多くの変形をなすことができる。それゆえ、本発明は、本発明を実施するために熟考した最良の様式として開示した特定の実施形態に限定されず、本発明は、付随の特許請求の範囲内に入る全ての実施形態を含むことになるということを意図している。
【0160】
引用した特許、特許出願、および他の引用文献は全て、それらの全内容を本願に引用して援用する。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】9つのU−ACTXホモログの完全プレプロポリペプチド配列のアラインメントを示す図である。
【図2】組換えU−ACTXの産生のための合成遺伝子を構築する方法を示す図である。
【図3】U−ACTXをイエバエに注入した結果の用量応答曲線を示す図である。
【図4】ICaとして測定した、DUMニューロンにおけるカルシウム電流に対するrU−ACTX−Hv1aの効果を示す用量応答曲線を示す図である。
【図5】IK(Ca)として測定した、HEK293細胞中で発現したpSloチャネルに対するU−ACTX−Hv1aの効果を示す用量応答曲線を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昆虫の電位作動型カルシウムチャネルにおけるカルシウム電流の約50%以上および昆虫の高伝導カルシウム活性化カリウムチャネルの活性の約50%以上を遮断することを特徴とする殺虫ポリペプチド。
【請求項2】
請求項1に記載の殺虫ポリペプチドであって、アトラクス(Atrax)属またはハドロニュケ(Hadronyche)属のクモ毒成分であることを特徴とするポリペプチド。
【請求項3】
請求項1に記載の殺虫ポリペプチドであって、前記昆虫の電位作動型カルシウムチャネルが、ワモンゴキブリ(P.americana)のDUMニューロン由来のものであることを特徴とするポリペプチド。
【請求項4】
請求項1に記載の殺虫ポリペプチドであって、前記昆虫の高伝導カルシウム活性化カリウムチャネルが、ワモンゴキブリ(P.americana)の高伝導カルシウム活性化カリウムチャネルを含むことを特徴とするポリペプチド。
【請求項5】
請求項1に記載の精製したポリペプチドであって、配列番号2と約70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、殺虫活性を有することを特徴とするポリペプチド。
【請求項6】
請求項1に記載の精製したポリペプチドであって、配列番号2、6、9、12、15、18、21、24および27のいずれか1つを含むことを特徴とするポリペプチド。
【請求項7】
請求項6に記載の精製したポリペプチドであって、プロペプチド配列、シグナルペプチド配列、またはそれらの組合せをさらに含むことを特徴とするポリペプチド。
【請求項8】
殺虫に有効な量の、請求項1に記載の精製したポリペプチドと、農業的に許容し得る担体とを含むことを特徴とする殺虫組成物。
【請求項9】
配列番号2と約70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、殺虫活性を有するポリペプチドをコードすることを特徴とする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項10】
請求項9に記載のポリヌクレオチドであって、配列番号2、6、9、12、15、18、21、24および27のいずれか1つを含むポリペプチドをコードすることを特徴とするポリヌクレオチド。
【請求項11】
発現制御配列に作動可能に連結した、配列番号2、6、9、12、15、18、21、24および27のいずれか1つをコードするポリヌクレオチドを含むことを特徴とする発現ベクター。
【請求項12】
発現制御配列に作動可能に連結した、配列番号2、6、9、12、15、18、21、24および27のいずれか1つをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含むことを特徴とする宿主細胞。
【請求項13】
配列番号2と約70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、殺虫活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むことを特徴とする昆虫ウィルス。
【請求項14】
昆虫、昆虫の幼虫、または植物を処理する方法であって、前記昆虫、昆虫の幼虫、または植物と、配列番号2と約70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、殺虫活性を有するU−ACTXポリペプチドの殺虫に有効な量とを接触させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記U−ACTXポリペプチドが、配列番号2、6、9、12、15、18、24、24および27のいずれか1つを含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
配列番号2と約70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、殺虫活性を有するU−ACTXポリペプチドを発現することを特徴とするトランスジェニック植物。
【請求項17】
配列番号2と約70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、殺虫活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むことを特徴とするトランスジェニック昆虫。
【請求項18】
昆虫のチャネルに結合する試験化合物を選択する方法であって、
昆虫の電位作動型カルシウムチャネル、昆虫のカルシウム活性化カリウムチャネル、または前記昆虫のチャネルの1つ以上を含む組合せである昆虫のチャネルを提供すること、および、
配列番号2と約70%以上の同一性を有し、かつ殺虫活性を有するU−ACTXペプチドの前記昆虫のチャネルへの結合と、前記試験化合物が競合するかどうかを決定すること、または前記昆虫のチャネルに予め結合している、配列番号2と約70%以上の同一性を有し、かつ殺虫活性を有するU−ACTXペプチドの少なくとも一部を、前記試験化合物が遊離させるかどうかを決定すること、
を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−518624(P2008−518624A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540098(P2007−540098)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/040139
【国際公開番号】WO2006/052806
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(500489956)ユニバーシティ オブ コネチカット (3)
【出願人】(502078169)ユニバーシティ オブ テクノロジー,シドニー (2)
【Fターム(参考)】