説明

殺虫剤組成物

【課題】 農薬施用量の低減あるいは施用回数の低減が可能である高い殺虫効果を有する殺虫剤組成物の提供。
【解決手段】 式〔I〕


で表わされる化合物またはその塩と、ネオニコチノイド系化合物とを含有する殺虫剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式〔I〕で表される化合物またはその塩と一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物とを含有する優れた殺虫作用を有する組成物およびこれらの混合物を使用する害虫防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明で用いる式〔I〕で表される化合物は殺虫作用を有する公知化合物である(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
【0003】
また、本発明で用いる一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物は殺虫活性を有する公知化合物であり、例えばペスチサイドマニュアル第12版(非特許文献1)等に記載のクロチアニジン(化学名:(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン;非特許文献1、No.165、197頁;特許文献5)、ニテンピラム(化学名:(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N’−メチル−2−ニトロビニリデンジアミン;非特許文献1、No.562、674頁;特許文献6)、イミダクロプリド(化学名:1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン;非特許文献1、No.446、537頁;特許文献7)、チアメトキサム(化学名:3−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−5−メチル−1,3,5−オキサジアジナン−4−イリデン(ニトロ)アミン;非特許文献1、No.751、896頁;特許文献8)、アセタミプリド(化学名:(E)−N−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N’−シアノ−N−メチルアセトアニジン;非特許文献1、No.6、9頁;特許文献9)、ジノテフラン(化学名:(RS)−1−メチル−2−ニトロ−3−(テトラヒドロ−3−フリルメチル)グアニジン;非特許文献1、No.265、319頁;特許文献10)、チアクロプリド(化学名:3−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−1,3−チアゾリジン−2−イリデンシアナミド;CAS registry No.111988−49−9;特許文献11)等が挙げられる。
【0004】
また、式〔I〕で表される化合物と混合できる化合物の例として、上記したようなネオニコチノイド系化合物が他の多数の殺虫剤と共に示されている(特許文献1〜4)が、実際にネオニコチノイド系化合物と混合使用した実施例は一切記載されていない。
【特許文献1】国際公開第01/070671号パンフレット
【特許文献2】国際公開第03/015519号パンフレット
【特許文献3】国際公開第03/016284号パンフレット
【特許文献4】国際公開第03/024222号パンフレット
【特許文献5】特開平3−157308号公報
【特許文献6】特開平2−000171号公報
【特許文献7】特開昭61−178981号公報
【特許文献8】特開平6−183918号公報
【特許文献9】特開平4−154741号公報
【特許文献10】特開平7−179448号公報
【特許文献11】特開昭62−207266号公報
【非特許文献1】農薬マニュアル第12版(Pesticide Manual 12th Edition)、ブリティッシュ・クロップ・プロテクション・カウンシル(British Crop Protection Council)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、様々な化学物質による環境汚染は地球規模の問題として捉えられ、化学物質の環境放出を極力抑制しようとする社会的要望がある。農業分野においても遺伝子組み換え作物の創出、天敵生物による有害生物の防除や物理的防除等化学物質以外による有害生物防除方法が多様に検討されている。
しかし、これら化学物質以外による有害生物防除方法は、特定の病害虫しか防除できない、効果が不安定である等多くの問題を抱え化学物質による防除の必要性は未だ低下していない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは環境汚染等の観点から農薬施用量の低減を目指して鋭意研究を重ねた結果、式〔I〕で表される化合物と一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物との混合物が、それぞれ単独で用いられる場合に期待される効果より高い効果を発現し、そのため、施用量の低減あるいは施用回数の低減が可能であることを見出した。また、これらの混合物を、種子、種芋、あるいは作物を栽培する苗床の土壌や本圃の土壌等、害虫が直接加害する部位以外の場所に施用することによっても、極めて効果的に害虫を防除できることも見いだし、さらに鋭意検討を重ねた結果、本発明の完成に至った。
【0007】
すなわち本発明は、
[1] 式〔I〕
【化1】

で表わされる化合物またはその塩と、
一般式〔II〕
【化2】

〔式中、YはCH、SまたはNR(Rは水素原子またはC1−6アルキル基を示す)を表し、ZはNまたはCHを表し、Wはシアノ基またはニトロ基を表し、AおよびBは同一または異なって、水素原子またはC1−6アルキル基を表すか、あるいは両者が隣接する
【化3】

と一緒になって式
【化4】

で示される環を形成していることを表し、
また式
【化5】

はピリジル基、チアゾリル基およびテトラヒドロフリル基から選択される複素環基を示し、該複素環基はハロゲン原子で1〜3個置換されていても良い〕で表されるネオニコチノイド系化合物とを含有する殺虫剤組成物、
[2] 一般式
【化6】

で示される環が、式
【化7】

(式中、Rは前記と同意義を、Rは水素原子またはC1−6アルキル基を示す)であることを特徴とする前記[1]記載の殺虫組成物、
【0008】
[3]一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物が、クロチアニジン、ニテンピラム、イミダクロプリド、チアクロプリド、チアメトキサム、アセタミプリドおよびジノテフランから選択される少なくとも1の化合物である前記[1]または[2]に記載の殺虫剤組成物、
【0009】
[4] 一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物が、クロチアニジンである前記[1]または[2]に記載の殺虫剤組成物、
[5] 前記[1]〜[4]のいずれかに記載の殺虫剤組成物を害虫が直接加害する部位以外の場所に施用することによる害虫防除方法、
【0010】
[6] 苗を植え付ける方法で栽培する作物の播種時から苗定植時の間に、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の式〔I〕で表される化合物またはその塩および一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物を混合して、混合溶液の形態で育苗土に潅注するか、あるいは混合粒剤の形態で育苗土に散布することを特徴とする害虫防除方法、
【0011】
[7] 苗を植え付ける方法で栽培する作物の播種時から苗定植時の間に、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の式〔I〕で表される化合物またはその塩および一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物を含有した育苗土を用いて苗を栽培することを特徴とする害虫防除方法、
【0012】
[8] 苗を植え付ける方法で栽培する作物の苗定植時から生育期間に、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の式〔I〕で表される化合物またはその塩および一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物を、本圃の土壌に潅注処理、植穴処理、植穴処理土壌混和、株元処理、あるいは株元処理土壌混和することを特徴とする害虫防除方法、
【0013】
[9] 本圃に直接種子を播種、あるいは種芋または球根を植え付けて栽培する作物において、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の式〔I〕で表される化合物またはその塩および一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物で、種子、種芋または球根を浸漬処理、粉衣処理あるいはコーティング処理することを特徴とする害虫防除方法、および
【0014】
[10] 本圃に直接種子を播種、あるいは種芋または球根を植え付けて栽培する作物の生育期に、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の式〔I〕で表される化合物またはその塩および一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物を、本圃の土壌に潅注処理、株元処理、あるいは株元処理土壌混和処理することを特徴とする害虫防除方法、
に関する。
【発明の効果】
【0015】
式〔I〕で表される化合物と一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物とを組み合わせることによりそれぞれ単独の成分で用いられる場合よりも高い殺虫効果、すなわち相乗効果を発現し、そのため、農薬施用量の低減あるいは施用回数の低減が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物は、幾何異性体および/または立体異性体が存在する場合があるが、本発明はそれら各々の異性体およびそれらの異性体の混合物を包含する。
【0017】
前記式中、A,B,R6またはR7で示されるC1−6アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、2−メチルブチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、1−エチルブチルまたは2−エチルブチル等が用いられる。
【0018】
YはCH、SまたはNRを示し、ここでRとしては水素またはメチル基が好ましい。
としてはC1−6アルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。

【化8】

で表される複素環基に置換してもよいハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。前記複素環基としては、6−クロロ−3−ピリジル基、2−クロロ−5−チアゾリル基または3−テトラヒドロフリル基が好ましい。
【0019】
YがCHの場合、Aは水素が好ましく、Bはメチル基が好ましい。
YがSの場合、AとBは一緒になって隣接する
【化9】

と共に環
【化10】

を形成するのが好ましい。
前記環としては、式
【化11】

(式中、Rは前記と同意義を、Rは水素原子またはC1−6アルキル基を示す)が挙げられる。
【0020】
YがNRの場合、Aは水素またはメチル基が好ましく、Bは水素、メチル基またはエチル基が好ましい。また、AとBが一緒になって隣接する
【化12】

と共に環
【化13】

を形成するのも好ましい。
前記環としては、式
【化14】

(式中、Rは前記と同意義を、Rは水素原子またはC1−6アルキル基を示す)が挙げられる。
【0021】
一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物としては、クロチアニジン、ニテンピラム、イミダクロプリド、チアクロプリド、チアメトキサム、アセタミプリドまたはジノテフラン等が好ましく、特に好ましいのはクロチアニジンである。
【0022】
式〔I〕で表される化合物の塩としては、農薬化学上許容可能な塩であればよい。塩としては、例えば無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アンモニア等)、有機塩基(例えば、ピリジン、コリジン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等)、無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、過塩素酸等)または有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、安息香酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)との塩等が挙げられる。
式〔I〕で表される化合物またはその塩は、例えばWO01/070671号パンフレット(特許文献1)、WO03/015519号パンフレット(特許文献2)、WO03/016284号パンフレット(特許文献3)、WO03/024222号パンフレット(特許文献4)に記載の方法またはそれに準じた方法により製造することができる。
一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物は公知化合物であり、例えば、クロチアニジンは特開平3−157308号公報(特許文献5)に記載の方法、ニテンピラムは特開平2−000171号公報(特許文献6)に記載の方法、イミダクロプリドは特開昭61−178981号公報(特許文献7)に記載の方法、チアメトキサムは特開平6−183918号公報(特許文献8)に記載の方法、アセタミプリドは特開平4−154741号公報(特許文献9)に記載の方法、ジノテフランは特開平7−179448号公報(特許文献10)に記載の方法、また、チアクロプリドは特開昭62−207266号公報(特許文献11)に記載の方法で、あるいはそれらに準じた方法で製造することができる。
【0023】
本発明の組成物を殺虫剤、殺虫殺ダニ剤、殺虫殺菌剤等の農薬製剤として使用するにあたっては、一般の農薬の取り得る形態、すなわち式〔I〕で表される化合物またはその塩の一種または二種以上(好ましくは一種)および一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物の一種または二種以上(好ましくは一種)を有効成分として使用目的によって適当な液体の担体に溶解させるか分散させ、または適当な固体担体と混合させるか吸着させ、水和剤、水性懸濁製剤、エマルジョン、液剤、ULV剤、粉剤、粒剤、錠剤、ジャンボ剤、ペースト、泡沫剤、エアゾール、マイクロカプセル、種子用被覆剤、燻蒸剤、燻煙剤、作物体灌注用スティック剤または油剤等の剤型として使用し得る。これらの製剤は必要ならば例えば軟膏基剤、乳化剤、懸濁剤、展着剤、浸透剤、湿潤剤、分散剤、安定化剤、結合剤、流動助剤、固結防止剤、凝集剤、酸化防止剤、浮遊剤、消泡剤、凍結防止剤、防腐剤、水分除去剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、着色剤または懸濁安定剤等を適宜添加してもよく、自体公知の方法で調製することができる。すなわち、式〔I〕で表される化合物またはその塩、一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物、液体担体または固体担体および必要により上記した各種添加剤等を均一に混合することにより製造することができる。
【0024】
例えば乳剤は、式〔I〕で表される化合物またはその塩および一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物、並びに乳化剤および有機溶剤等を均一に混合溶解することにより製造できる。例えば粒剤、顆粒水和剤等は、式〔I〕で表される化合物またはその塩、一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物、分散剤(界面活性剤)、結合剤、および増量剤(または固体担体)等を均一に混合し造粒することにより製造できる。例えば粉剤(DL粉剤等)は、式〔I〕で表される化合物またはその塩、一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物および増量剤(または固体担体)等を均一に混合粉砕することにより製造できる。例えばフロアブル剤は、式〔I〕で表される化合物またはその塩、一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物分散剤等の成分を、攪拌機を用いて均一に混合分散し、ダイノミル等を用いて湿式粉砕することにより製造される。例えばジャンボ剤は、式〔I〕で表される化合物またはその塩、一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物、分散剤(界面活性剤)、結合剤、浮遊剤および増量剤(または固体担体)等を均一に混合し造粒することにより製造できる。
【0025】
使用する液体担体(溶剤、有機溶剤)としては、例えば水、アルコール類(例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル類(例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、脂肪族炭化水素類(例えばケロシン、灯油、燃料油、機械油等)、芳香族炭化水素類(例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、メチルナフタレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等)、酸アミド類(例えばN、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド等)、エステル類(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、脂肪酸グリセリンエステル等)またはニトリル類(例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等)などの溶媒が適当であり、これらは一種または二種以上(好ましくは一種以上、三種以下)を適当な割合で混合して適宜使用することができる。
【0026】
固体担体(希釈・増量剤)としては、植物性粉末(例えば大豆粉、タバコ粉、小麦粉、木粉等)、鉱物性粉末(例えばカオリン、ベントナイト、セピオライト、酸性白土等のクレイ類、滑石粉、ロウ石粉等のタルク類、珪藻土、雲母粉等のシリカ類、乳糖、硫酸アンモニウム、尿素、重曹、チオ硫酸ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等の水溶性物質等)、炭酸カルシウム、アルミナ、硫黄粉末または活性炭等が用いられ、これらは一種または二種以上(好ましくは一種以上、三種以下)を適当な割合で混合して適宜使用することができる。
【0027】
また、軟膏基剤としては、例えばポリエチレングリコール、ペクチン、例えばモノステアリン酸グリセリンエステル等の高級脂肪酸の多価アルコールエステル、例えばメチルセルロース等のセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、ベントナイト、高級アルコール、例えばグリセリン等の多価アルコール、ワセリン、白色ワセリン、流動パラフィン、豚脂、各種植物油、ラノリン、脱水ラノリン、硬化油、樹脂類等の一種または二種以上(好ましくは一種以上、三種以下)、あるいはこれらに下記に示す各種界面活性剤を一種または二種以上(好ましくは一種以上、四種以下)添加したもの等が適宜使用される。
【0028】
乳化剤、展着剤、浸透剤、湿潤剤または分散剤等として使用される界面活性剤としては、非イオン系界面活性剤として、例えば、石鹸類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類(ニューカルゲンD1504、ノイゲンET65、ノイゲンET83、ノイゲンET157等)、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類(ノイゲンEA92、ノイゲンEA142等)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル類(ノニポール20、ノニポール100等)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル類、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(ノイゲンEA87、ノイゲンEA177等)、ポリオキシエチレンアルキルエステル類(イオネットMO20、イオネットMO600等)、ソルビタン脂肪酸エステル(レオドールSP−S10、レオドールTW−S20等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、酸化エチレンと酸化プロピレンのブロック共重合物(ニューポールPE64)、高級脂肪酸アルカノールアマイド、アルキルマレイン酸共重合物(デモールEP)、多価アルコールエステル類(ツイーン20、ツイーン80等)などが用いられ、陽イオン系界面活性剤として、例えば、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩等が用いられ、陰イオン系界面活性剤として、例えば、ナフタレンスルホン酸重縮合物金属塩、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物(ニューカルゲンFS4等)、アルキルナフタレンスルホン酸塩(ソルポール5115等)、リグニンスルホン酸金属塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホネート硫酸塩等の高分子化合物、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩、ポリカルボン酸金属塩、ポリオキシエチレンヒスチジルフェニルエーテルサルフェートアンモニウム、高級アルコールスルホン酸塩、高級アルコールエーテルスルホン酸塩、ジアルキルスルホサクシネート(ニューカルゲンEP70P等)または高級脂肪酸アルカリ金属塩等が用いられる。
【0029】
安定化剤としては、エポキシ基を有する化合物、抗酸化剤〔例、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル〕メタン(Irganox 1010)、DL−トコフェロール、没食子酸プロピル、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、クエン酸イソプロピル等〕、ポリリン酸、PAP助剤(イソプロピルアシッドフォスフェート)、シクロデキストリン(トヨデリンP)またはトール油脂肪酸(ハ−トール脂肪酸)等が用いられ、これらは一種または二種以上(好ましくは一種以上、三種以下)を適当な割合で混合して適宜使用することができる。
【0030】
結合剤としては、デキストリン、アルファ化澱粉、ポリビニルアルコール、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、グルコース、ショ糖、マンニトールまたはソルビトール等が用いられ、これらは一種または二種以上(好ましくは一種以上、三種以下)を適当な割合で混合して適宜使用することができる。
【0031】
流動助剤としては、PAP助剤(例、イソプロピルアシッドホスフェート)、タルク等が用いられ、これらは一種または二種以上(好ましくは一種以上、三種以下)を適当な割合で混合して適宜使用することができる。
固結防止剤としては、ホワイトカーボン、珪藻土、ステアリン酸マグネシウム、酸化アルミニウムまたは二酸化チタン等が用いられ、これらは一種または二種以上(好ましくは一種以上、三種以下)を適当な割合で混合して適宜使用することができる。
【0032】
凝集剤としては、流動パラフィン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはイソブチレン重合体(例、IPソルベント)等が用いられ、これらは一種または二種以上(好ましくは一種以上、三種以下)を適当な割合で混合して適宜使用することができる。
【0033】
酸化防止剤としては、BHT、4,4−チオビス−6−tert−ブチル−3−メチルフェノール、BHA、パラオクチルフェノール、モノ(またはジまたはトリ)(α−メチルベンジル)フェノ−ル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールまたはテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン等が用いられ、これらは一種または二種以上(好ましくは一種以上、三種以下)を適当な割合で混合して適宜使用することができる。
【0034】
浮遊剤は特にジャンボ剤の製造に用いられ、比重が1以下(好ましくは1〜0.5)の粉末基剤等が好ましい。該粉末基剤としてはその粒子径が600μm以下、好ましくは600μm〜10μmであるものがよく、無機物では天然のガラス質を焼成加工することにより、その中に独立した1個または複数個の気泡を有するものであり、例えば真珠岩や黒曜石からなるパーライト、シラスよりなるシラスバルーン(商品名)、蛭石よりなるバーミキュライト等や、アルミノシリケート系で同じく焼成加工することにより得られる微小中空体のフィライト(商品名)等が挙げられる。また、有機物では、一般にろう状物質と呼ばれる、常温で固体のステアリン酸やパルミチン酸等の高級脂肪酸や、ステアリルアルコール等の高級アルコール、パラフィンワックス等が挙げられるが、これらのろう状物質は撥水性であるため、水が浸透し難く、ろう状物質内にいつまでも農薬活性成分が閉じ込められ、水中へ分散しがたくなる恐れもあり、好ましくは上記のガラス質中空体と混合して用いられる。
【0035】
消泡剤としては、シリコン系消泡剤(例えば、アンチホームE20)、半硬化牛脂脂肪酸ナトリウム等が用いられ、これらは一種または二種以上(好ましくは一種以上、三種以下)を適当な割合で混合して適宜使用することができる。
【0036】
凍結防止剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールまたはグリセリン等が用いられ、これらは一種または二種以上(好ましくは一種以上、三種以下)を適当な割合で混合して適宜使用することができる。
【0037】
防腐剤としては、パラベン類(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等)またはソルビン酸もしくはその塩(カリウム塩等)などが用いられ、これらは一種または二種以上(好ましくは一種以上、三種以下)を適当な割合で混合して適宜使用することができる。
【0038】
水分除去剤としては、無水石膏、シリカゲル粉末等が用いられ、これらは一種または二種以上(好ましくは一種以上、三種以下)を適当な割合で混合して適宜使用することができる。
【0039】
紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−エトキシ−2’メチルオキザリックアシッドビスアニリドまたはコハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物等が用いられ、これらは一種または二種以上(好ましくは一種以上、三種以下)を適当な割合で混合して適宜使用することができる。
【0040】
紫外線散乱剤としては、二酸化チタン、酸化亜鉛等が用いられ、これらは一種または二種以上(好ましくは一種以上、三種以下)を適当な割合で混合して適宜使用することができる。
【0041】
着色剤としては、シアニングリーンG、エリオグリーンB400等が用いられ、これらは一種または二種以上(好ましくは一種以上、三種以下)を適当な割合で混合して適宜使用することができる。
【0042】
懸濁安定剤としては、ポリビニルアルコール(ゴーセノールGH17等)、粘土鉱物(クニピアF、VEEGUM R等)または二酸化ケイ素(アエロジルCOK84等)などが用いられ、これらは一種または二種以上(好ましくは一種以上、三種以下)を適当な割合で混合して適宜使用することができる。
【0043】
ジャンボ剤や粉剤、粒剤、顆粒水和剤、水和剤等では散布に際して簡便なように、20〜200gの単位で水溶性フィルムに包装して使用してもよい。該水溶性フィルムとしてはポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩、プルラン(商品名:でんぷん系多糖類)またはパオゲン(商品名:熱可塑性水溶性ポリマー)等が挙げられる。
本発明の組成物製剤の製造においては、必要に応じ、その片方あるいは両方を放出制御し、より長期間その殺虫効果を維持することも可能である。
【0044】
本発明の組成物における式〔I〕で表される化合物またはその塩および一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物の総量の含有割合は、組成物全量に対して、通常約0.1〜80重量%である。具体的には、例えば、乳剤、液剤、水和剤(例えば、顆粒水和剤)、水性懸濁製剤またはマイクロエマルジョン等で用いる場合は、通常約1〜80重量%程度、好ましくは約10〜50重量%程度が適当である。例えば、油剤、粉剤等で用いる場合は、通常約0.1〜50重量%程度、好ましくは約0.1〜20重量%程度が適当である。例えば、粒剤、錠剤、ジャンボ剤等で用いる場合は、通常約0.5〜50重量%程度、好ましくは約0.5〜10重量%程度が適当である。
【0045】
本発明の組成物において式〔I〕で表される化合物またはその塩と一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物はそれぞれ重量比1:0.1〜1:20の割合で含有するのが好ましく、重量比1:0.2〜1:10で含有するのがさらに好ましい。
【0046】
上記有効成分以外の添加剤の含量は、農薬活性成分の種類または含量、あるいは製剤の剤形等によって異なるが、通常約0.001〜99.9重量%程度、好ましくは約1〜99重量%程度である。より具体的には、組成物全量に対して、界面活性剤を通常約1〜30重量%程度、好ましくは約1〜15重量%、流動助剤を約1〜20重量%程度、担体を約1〜90重量%、好ましくは約1〜70重量%を添加するのが好ましい。具体的には、液剤を製造する場合は、界面活性剤を通常約1〜20重量%程度、好ましくは1〜10重量%程度と、水を約20〜90重量%添加するのが好ましい。乳剤を製造する場合は、界面活性剤を通常約1〜30重量%、好ましくは約2〜15重量%、と有機溶媒を加えるのが望ましい。顆粒水和剤を製造する場合は、界面活性剤を通常約0.1〜10重量%、好ましくは約0.5〜5重量%、結合剤を約0.1〜15重量%、好ましくは約0.5〜5重量%と、乳糖、硫安あるいはクレー等の増量剤を加えるのが望ましい。粒剤を製造する場合は、界面活性剤を通常約0.1〜10重量%、好ましくは約0.5〜5重量%、安定化剤を約0.1〜10重量%、好ましくは約0.5〜5重量%と、クレー等の増量剤を加えるのが望ましい。ジャンボ剤を製造する場合は、界面活性剤を通常約0.1〜15重量%、好ましくは約0.5〜5重量%、結合剤を約0.5〜10重量%、好ましくは約0.5〜5重量%、浮遊剤を約0.5〜40重量%、好ましくは約1〜20重量%と、クレー等の増量剤を加えるのが望ましい。
水和剤(例えば、顆粒水和剤)等は使用に際して、水等で適宜希釈増量(例えば、約100〜5,000倍)して散布するのがよい。
【0047】
また、本発明の組成物においては式〔I〕で表される化合物またはその塩、および一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物以外に例えば、他の殺虫活性成分、殺ダニ活性成分、殺菌活性成分、殺線虫活性成分、除草活性成分、植物ホルモン剤、植物成長調節物質、共力剤(例、ピペロニル ブトキシド(piperonyl butoxide)、セサメックス スルホキシド(sesamex sulfoxide)、MGK 264、N−デシルイミダゾール(N−declyimidazole)、WARF−アンチレジスタント(WARF−antiresistant)、TBPT、TPP、IBP、PSCP、CHI、t−フェニルブテノン(t−phenylbutenone)、マレイン酸ジエチル(diethylmaleate)、DMC、FDMC、ETP、ETN)、誘引剤、忌避剤または肥料等を配合し、適宜使用することも可能である。
このような配合可能な殺虫活性成分、殺ダニ活性成分および殺菌活性成分の例を以下に記載する。
【0048】
殺虫活性成分:
O−エチル O−4−ニトロフェニル フェニルホスホノチオアート(EPN)、アセフェート(acephate)、イソキサチオン(isoxathion)、イソフェンホス(isofenphos)、イソプロカルブ(isoprocarb)、エトリムホス(etrimfos)、オキシデプロホス(oxydeprofos)、キナルホス(quinalphos)、キャドサホス(cadusafos)、クロルエトキシホス(chlorethoxyfos)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、クロルピリホス−メチル(chlorpyrifos−methyl)、クロロフェンビンホス(chlorofenvinphos)、サリチオン(salithion)、シアノホス(cyanophos)、ジスルホトン(disulfoton)、ジメトエート(dimethoate)、スルプロホス(sulprofos)、ダイアジノン(diazinon)、チオメトン(thiometon)、テトラクロルビンホス(tetrachlorvinphos)、テブピリムホス(tebupirimfos)、トリクロルホン(trichlorphon)、ネイルド(naled)、バミドチオン(vamidothion)、ピラクロホス(pyraclophos)、ピリダフェンチオン(pyridafenthion)、ピリミホス−メチル(pirimiphos−methyl)、フェニトロチオン(fenitrothion)、フェンチオン(fenthion)、フェントエート(phenthoate)、ブタチオホス(butathiofos)、プロチオホス(prothiofos)、プロパホス(propaphos)、プロフェノホス(profenofos)、ベンクロチアズ(benclothiaz)、ホサロン(phosalone)、ホスチアゼート(fosthiazate)、マラチオン(malathion)、メチダチオン(methidathion)、メトルカルブ(metolcarb)、モノクロトホス(monocrotophos)、フェノブカルブ(BPMC)、3,5−キシリルN−メチルカーバメート(XMC)、アラニカルブ(alanycarb)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、カルバリル(carbaryl)、カルボスルファン(carbosulfan)、カルボフラン(carbofuran)、キシリルカルブ(xylylcarb)、クロエトカルブ(cloethocarb)、チオジカルブ(thiodicarb)、トリアゼメイト(triazamate)、ピリミカーブ(pirimicarb)、フェノキシカーブ(fenoxycarb)、フェノチオカルブ(fenothiocarb)、フラチオカルブ(furathiocarb)、プロポクスル(propoxur)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、メソミル(methomyl)、アクリナトリン(acrinathrin)、イミプロトリン(imiprothrin)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、シグマ−サイパーメスリン(sigma−cypermethrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、シフルトリン(cyfluthrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、シラフルオフェン(silafluofen)、テフルトリン(tefluthrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、トラロメトリン(tralomethrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、フルシスリネート(flucythrinate)、フルバリネート(fluvalinate)、フルフェンプロックス(flufenoprox)、フルプロキシフェン(fluproxyfen)、プロフルトリン(profluthrin)、ベータ−シフルトリン(beta−cyfluthrin)、ベンフルスリン(benfluthrin)、ペルメトリン(permethrin)、カルタップ(cartap)、チオシクラム(thiocyclam)、ベンスルタップ(bensultap)、アベルメクチン(avermectin)、エマメクチンベンゾエート(emamectin−benzoate)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、シロマジン(cyromazine)、ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、ジクロルボス(dichlorvos)、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、スピノシン(spynosyn)、スピロメシフェン(spiromesifen)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、テブフェノジド(tebufenozide)、ハイドロプレン(hydroprene)、バニリプロール(vaniliprole)、ピメトロジン(pymetrozine)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、フィプロニル(fipronil)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、ブプロフェジン(buprofezin)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ミルベマイシン(milbemycin)、ルフェヌロン(lufenuron)、クロルフェナピル (chlorphenapyr)、ピリダリル(pyridalyl)、フルベンジアミド(flubendiamide)、SI−0009、メトフルトリン(metofluthrin)、ノビフルムロン(noviflumuron)、ジメフルトリン(dimefluthrin)、シフルメトフェン(cyflumetofen)、ピラフルプロール(pyrafluprole)、ピリプロール(pyriprole)
【0049】
殺ダニ活性成分:
クロフェンテジン(clofentezine)、ジエノクロル(dienochlor)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、ピリダベン(pyridaben)、ヘキシチアゾックス(hexythiazox)、フェナザキン(fenazaquin)、フェンピロキシメート(fenpyroximate)、エトキサゾール (etoxazole)、アミトラズ(amitraz)、フェニソブロモレート(bromopropylate)、酸化フェンブタスズ(fenbutatin oxide)、ピリミジフェン(pyrimidifen)、BPPS(propargite)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、ケルセン(dicofol)
【0050】
殺菌活性成分:
イプロベンホス(IBP)、アムプロピルホス(ampropylfos)、エジフェンホス(edifenphos)、クロルチオホス(chlorthiophos)、トルクロホス−メチル(tolclofos−methyl)、ホセチル(fosetyl)、イプコナゾール(ipconazole)、イマザリル(imazalil)、イミベンコナゾール(imibenconazole)、エタコナゾール(etaconazole)、エポキシコナゾール(epoxiconazole)、シプロコナゾール(cyproconazole)、ジニコナゾール(diniconazole)、ジフェノコナゾール(difenoconazole)、テトラコナゾール(tetraconazole)、テブコナゾール(tebuconazole)、トリアジメノール(triadimenol)、トリアジメホン(triadimefon)、トリチコナゾール(triticonazole)、トリフォリン(triforine)、ビテルタノール(bitertanol)、ビニコナゾール(viniconazole)、フェナリモル(fenarimol)、フェンブコナゾール(fenbuconazole)、フルオトリマゾール(fluotrimazole)、フルコナゾール−シス(furconazole−cis)、フルシラゾール(flusilazole)、フルトリアホル(flutriafol)、ブロムコナゾール(bromuconazole)、プロピコナゾール(propiconazole)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、ペフラゾエート(pefurazoate)、ペンコナゾール(penconazole)、ミクロブタニル(myclobutanil)、メトコナゾール(metconazole)、カルベンダジン(cabendazin)、デバカルブ(debacarb)、プロチオカーブ(prothiocarb)、ベノミル(benomyl)、マネブ(maneb)、TPN(TPN)、イソプロチオラン(isoprothiolane)、イプロジオン(iprodione)、イミノクタジン(iminoctadine−albesil)、イミノクタジン酢酸塩(iminoctadine−triacetate)、エチリモル(ethirimol)、エトリジアゾール(etridiazole)、オキサジキシル(oxadixyl)、オキシカルボキシン(oxycarboxin)、オキソリニック酸(oxolinic acid)、オフレース(ofurace)、カスガマイシン(kasugamycin)、カルボキシン(carboxin)、キャプタン(captan)、クロジラコン(clozylacon)、クロベンチアゾン(chlobenthiazone)、シプロジニル(cyprodinil)、シプロフラム(cyprofuram)、ジエトフェンカルブ(diethofencarb)、ジクロフルアニド(dichlofluanid)、ジクロメジン(diclomezine)、ジネブ(zineb)、ジメチリモル(dimethirimol)、ジメトモルフ(dimethomorph)、ジメフルアゾール(dimefluazole)、チアベンダゾール(thiabendazole)、チオフェネート−メチル(thiophanate−methyl)、チフルザミド(thifluzamide)、テクロフタラム(tecloftalam)、トリアゾキシド(triazoxide)、トリクラミド(triclamide)、トリシクラゾール(tricyclazole)、トリデモルフ(tridemorph)、トリフルミゾール(triflumizole)、バリダマイシンA(validamycin A)、ヒメキサゾール(hymexazol)、ピラカルボリド(pyracarbolid)、ピラゾホス(pyrazophos)、ピリフェノックス(pyrifenox)、ピリメタニル(pyrimethanil)、ピロキロン(pyroquilon)、フェリムゾン(ferimzone)、フェンピクロニル(fenpiclonil)、フェンプロピジン(fenpropidin)、フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、フサライド(fthalide)、フラメトピル(furametpyr)、フララキシル(furalaxyl)、フルアジナム(fluazinam)、フルカルバニル(furcarbanil)、フルキンコナゾール(fluquinconazole)、フルジオキソニル(fludioxonil)、フルスルファミド(flusulfamide)、フルトラニル(flutolanil)、ブチオベート(butiobate)、プロクロラズ(prochloraz)、プロシミドン(procymidone)、プロベナゾール(probenazole)、ベナラキシル(benalaxyl)、ベノダニル(benodanil)、ペンシクロン(pencycuron)、ミクロゾリン(myclozolin)、メタラキシル(metalaxyl)、メトスルホバックス(metsulfovax)、メトフロキサム(methfuroxam)、メパニピリム(mepanipyrim)、メプロニル(mepronil)、クレソキシム−メチル(kresoxim−methyl)、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、メトミノストロビン(SSF−126)、カルプロパミド(carpropamid)、アシベンゾラル−S−メチル(acibenzolar−S−methyl)、オリサストロビン(orysastrobin)、ピラクロストロビン、ベンチアバリカルブ、ボスカリド(boscalid)、メトラフェノン(metrafenone)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、プロキナジド(proquinazid)、フルモルフ(flumorph)、プロチオコナゾール(prothioconazole)、ペンチオピラド(penthiopyrad)、フルオピコリド(fluopicolide)、アムスルドール(amsuldole)、SYP−Z071、MTF−753
【0051】
上記した「他の農薬活性成分」はいずれも公知の農薬活性成分である。他の農薬活性成分は組成物中に一種または二種以上(好ましくは一種以上、三種以下)を含有していてもよい。
【0052】
本発明の組成物は、哺乳動物および作物に対して良好な安全性を有しながら、多くの種類の害虫(昆虫綱以外の節足動物も含む)に高い殺虫活性を有している。
一般に、2種類以上の殺虫性化合物を混合して薬効増強、あるいは防除対象害虫の拡大を狙う場合、それぞれの化合物を単体で使用する際の施用量を混合して使用することを検討するが、その場合薬害の危険性が増大することになる。本発明の害虫防除方法では、式〔I〕で表される化合物またはその塩自体、薬害の危険性がほとんどないことから、一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物を単体で害虫防除する場合と比較して両化合物の混合処理による薬害危険性の増加は実質的には無視できる。さらに式〔I〕で表される化合物またはその塩と一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物との相乗効果により片方もしくは両方の薬量を単体での使用量から減少させることができるため、薬害の危険度はより低下する。
【0053】
本発明の組成物は、具体的には、例えば下記のような害虫の防除に適用できる。
すなわち、ナガメ(Eurydema rugosum)、イネクロカメムシ(Scotinophara lurida)、ホソヘリカメムシ(Riptortus clavatus)、ナシグンバイ(Stephanitis nashi)、ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、ヤノネカイガラムシ(Unaspis yanonensis)、ダイズアブラムシ(Aphis glycines)、ニセダイコンアブラムシ(Lipaphis erysimi)、ダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ジャガイモヒゲナガアブラムシ(Aulacorthum solani)、ユキヤナギアブラムシ(Aphis spiraecola)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)、チャノミドリヒメヨコバイ(Empoasca onukii)、クワコナカイガラムシ(Pseudococus comstocki)、ミカンコナカイガラムシ(Planococcus citri)、イセリアカイガラムシ(Icerya purchasi)、チャバネアオカメムシ(Plautia stali)、トゲジラホシカメムシ(Eysarcoris parvus)等の半翅目害虫、例えばハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、コナガ(Plutella xylostella)、モンシロチョウ(Pieris rapae crucivora)、ニカメイガ(Chilo supppressalis)、タマナギンウワバ(Autographa nigrisigna)、タバコガ(Helicoverpa assulta)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、リンゴコカクモンハマキ(Adoxophyes orana fasciata)、ワタノメイガ(Notarcha derogata)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、ジャガイモガ(Phthorimaea operculella)、ネッタイメイチュウ(Chilo polychrysus)、サンカメイガ(Typoryza incertulas)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)、カブラヤガ(Agrotis segetum)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、オオタバコガ(Heliothis armigera)、タバコバッドワーム(Heliothis virescens)、ボールワーム(Heliothis zea)、フタオビコヤガ(Naranga aenescens)、ヨーロピアンコーンボーラー(Ostrinia nubilalis)、アワノメイガ(Ostrinia furnacalis)、イネツトムシ(Parnara guttata)、チャノコカクモンハマキ(Adoxophyes sp.)、チャノホソガ(Caloptilia theivora)、キンモンホソガ(Phyllonorycter ringoneella)、モモシンクイガ(Carposina niponensis)、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、コドリングモス(Cydia pomonella)等の鱗翅目害虫、例えばニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunc tata)、ウリハムシ(Aulacophorafemoralis)、キスジノミハムシ(Phyllotreta striolata)、イネドロオイムシ(Oulema oryzae)、イネゾウムシ(Echinocnemus squameus)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、ワタミゾウムシ(Anthonomus grandis)、アズキゾウムシ(Callosobruchus chinensis)、シバオサゾウムシ(Sphenophorus venatus)、マメコガネ(Popillia japonica)、ドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、コーンルートワームの仲間(Diabrotica spp.)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)、コメツキムシの仲間(Agriotes spp.)、タバコシバンムシ(Lasioderma serricorne)、ヒメマルカツオブシムシ(Anthrenus verbasci)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)、ヒラタキクイムシ(Lyctus brunneus)、ゴマダラカミキリ(Anoplophora malasiaca)、マツノキクイムシ(Tomicus piniperda)等の甲虫目害虫、例えばイエバエ(Musca domestica)、アカイエカ(Culex popiens pallens)、ウシアブ(Tabanus trigonus)、タマネギバエ(Delia antiqua)、タネバエ(Delia platura)、シナハマダラカ(Anopheles sinensis)、イネハモグリバエ(Agromyza oryzae)、イネヒメハモグリバエ(Hydrellia griseola)、イメキモグリバエ(Chlorops oryzae)、ウリミバエ(Dacus cucurbitae)、チチョウカイミバエ(Ceratitis capitata)、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)等の双翅目害虫、例えばトノサマバッタ(Locusta migratoria)、ケラ(Gryllotalpa africana)、コバネイナゴ(Oxya yezoensis)、ハネナガイナゴ(Oxya japonica)等の直翅目害虫、例えばネギアザミウマ(Thrips tabaci)、ミナミキイロアザミウマ(Thrips parmi)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、イネアザミウマ(Baliothrips biformis)、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)等の総翅目害虫、例えばカブラハバチ(Athalia rosae)、ハキリアリ(Acromyrmex spp.)、ファイヤーアント(Solenopsis spp.)等の膜翅目害虫、例えばチャバネゴキブリ(Blattella germanica)、クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)、ヤマトゴキブリ(Periplaneta japonica)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)等のゴキブリ科害虫、例えばイネシンガレセンチュウ(Aphelenchoides besseyi)、イチゴメセンチュウ(Nothotylenchus acris)等の線虫類、イエシロアリ(Coptotermes formosanus)、ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)、タイワンシロアリ(Odontotermes formosanus)、ダイコクシロアリ(Cryptotermes domesticus)等のシロアリ類等の害虫の防除に特に有効である。
【0054】
また、本発明の組成物は、家畜病治療の分野および畜産業において、また、脊椎動物、例えば人間、牛、羊、ヤギ、豚、家禽、犬、猫および魚等の内部および/または外部に寄生する節足動物や寄生虫を駆除して公衆衛生を維持するのに使用可能である。例えば該寄生虫の中には、ヤブカ類(Aedes spp.)、ハマダラカ類(Anopheles spp.)、イエカ類(Culex spp.)、ヌカカ類(Culicodes spp.)、イエバエ類(Musca spp.)、ウシバエ類(Hypoderma spp.)、ウマバエ類(Gasterophilus spp.)、サシバエ類(Haematobia spp.)、ウシアブ類(Tabanus spp.)、ブユ類(Simulium spp.)、サシガメ類(Triatoma spp.)、シラミ類(Phthiraptera(例えばDamalinia spp.、Linognathus spp.、Haematopinus spp.))、ノミ類(例えばCtenocephalides spp.、Xenosylla spp.)またはイエヒメアリ(monomorium pharaonis)等が挙げられる。
【0055】
本発明の組成物は、毒性が極めて少なく安全で、優れた農薬組成物として用いることができる。
例えば、本発明の組成物を水田、畑、果樹園、非農耕地、家屋等に自体公知の方法により散布し、発生する上記害虫(有害昆虫等)に接触あるいは摂取させることにより駆除することができる。また別の態様として、例えば本発明の組成物を上記した脊椎動物の内部(体内)あるいは外部(体表面)に投与することにより該脊椎動物に寄生する節足動物や寄生虫を駆除することができる。
【0056】
本発明の組成物を具体的に施用する方法としては通常の農薬施用法と同様の方法で用いることができる。それぞれの単独成分の製剤を施用時に混合して用いることもできる。このような製剤の施用例として、茎葉散布、樹幹散布、ULV散布、粒剤葉面散布、土壌散布、土壌灌注、水面施用、土壌混和、床土混和、育苗箱処理、苗床処理、株元処理、植溝処理、作条処理、側条施用、樹幹灌注、樹幹塗布、種子粉衣、種芋粉衣、球根粉衣、種子浸漬、種芋浸漬、球根浸漬、種子コ−ティング、種芋コ−ティング、球根コ−ティング、毒餌、肥料混和または灌水用水混和等を例示することができるが、それらに限るものではない。本発明の組成物による混合製剤または単独成分の製剤混合物の施用時期は、種子、種芋または球根等に処理する場合は、それらを植え付ける前の任意の時期でよく、土壌に処理する場合は、播種または種芋または球根の植え付け(以下、単に播種という。)時、育苗期間中、あるいは苗の植え付け時が効率的であるが、苗の植え付け後の生育期間でも処理することができ、茎葉散布する場合は、育苗期間でも本圃での生育期間でもよい。
【0057】
本発明の組成物または式〔I〕で表される化合物もしくはその塩および一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物の各単独成分の製剤の混合物を混和した育苗用の培土に播種する場合またはその培土を用いて仮植する場合、あるいは播種時を含む育苗期間中に土壌への溶液灌注または粒剤の散布によって処理する場合は、育苗期間中に発生する害虫も防除することができる。なお、前記混合物における式〔I〕で表される化合物もしくはその塩および一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物の含有割合は、上記した本発明の組成物における各化合物の含有割合と同じである。以下において同様である。
【0058】
本発明の害虫防除方法において、苗植え付け時の処理方法としては、植え付け前に本発明の組成物または式〔I〕で表される化合物もしくはその塩および一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物の各単独成分の製剤の混合物を圃場全面混和あるいは畝の土壌に混和して処理することができ、植え穴に粒剤を散布あるいは溶液を灌注してもよい。さらに苗植え付け後、直ちに株元に粒剤を処理してもよく、また株元に溶液を灌注してもよい。
栽培圃場への播種によって栽培する作物では、種子等の処理ばかりではなく、播種前に本発明の組成物または式〔I〕で表される化合物もしくはその塩および一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物の各単独成分の製剤の混合物を圃場全面混和あるいは畝への土壌に混和して処理することができる。
【0059】
本発明の組成物は、天敵微生物製剤との混用、天敵生物(寄生蜂や補食性甲虫等の天敵昆虫、補食性ダニ、寄生性センチュウ、昆虫病原性微生物等)との併用、昆虫フェロモンとの併用、遺伝子組み換え作物との併用、誘因剤や忌避剤との併用等、IPM(Integrated Pest Management)プログラムの推進に貢献することができる。
【0060】
例えばキャベツ栽培において、フェロモン利用による交信攪乱あるいは天敵昆虫を用いたコナガ防除を例にした場合、このような防除手段は防除対象害虫の密度が高い場合は効果が低い、あるいは全く効果がないことが知られている。本発明の組成物をキャベツの移植時に土壌処理しコナガが低密度に抑制された圃場では、式〔I〕で表される化合物またはその塩、あるいはその一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物の残効が失われかけた時期に上記の交信攪乱あるいは天敵昆虫を利用すると、交信攪乱あるいは天敵昆虫の効果がより確実となり、長期間の確実な防除が可能となる。また、フェロモン利用による交信攪乱あるいは天敵昆虫を用いた防除では、標的害虫以外の害虫の増殖が問題となる場合がある。このような状況で、本発明による組成物を施用することによって、交信攪乱あるいは天敵昆虫を用いた防除で問題となる標的外害虫の増殖が抑制でき、より優れた総合防除を提供することができる。
【0061】
本発明の組成物の施用量は、施用時期、施用場所、施用方法等に応じて広範囲に変えることができるが、一般的にはヘクタール当たり有効成分(式〔I〕で表される化合物またはその塩および一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物の総和)が約0.3〜3,000g、好ましくは約50〜1,000gとなるように施用することが望ましい。また本発明の組成物が水和剤である場合には、有効成分の最終濃度(式〔I〕で表される化合物またはその塩および一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物の総和)が茎葉散布では約0.1〜1,000ppm好ましくは約10〜200ppm、希釈溶液の土壌潅注では約1〜10,000ppm好ましくは約100〜2,000ppmの範囲となるように希釈して使用すればよい。
【0062】
次に、実施例および試験例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施例および試験例において、式〔I〕で表される化合物は、化合物(1)と略記する。
【実施例1】
【0063】
化合物(I)5部、クロチアニジン8部、非イオン系界面活性剤(商品名:ノイゲンEA−177;第一工業製薬(株)製)0.5部、陰イオン系界面活性剤(商品名:ニューカルゲンFS−4;竹本油脂(株)製)2部、ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールGH−17;日本合成化学工業(株)製)2部、ブチルパラベン0.1部、水82.4部を、高速攪拌機を用いて充分混合分散した後、粉砕機ダイノミル(シンマルエンタープライズ製、1.0mmガラスビーズ、充填率80%、周速15m/s)を用いて湿式粉砕(1パス)し、フロアブル剤を得る。
【実施例2】
【0064】
化合物(I)5部、クロチアニジン8部、非イオン系界面活性剤ノイゲンEA−177 0.5部、陰イオン系界面活性剤ニューカルゲンFS−4 1.5部、二酸化ケイ素(商品名:アエロジルCOK84;日本アエロジル(株)製)2部、ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールGH−17)2部、エチレングリコール7部、シリコン系消泡剤(商品名:アンチホームE−20;花王(株)製)0.2部、ブチルパラベン0.1部、水73.7部を高速攪拌機を用いて充分混合分散した後、ダイノミル(シンマルエンタープライズ製、1.0mmガラスビーズ、充填率80%、周速15m/s)を用いて湿式粉砕(1パス)し、フロアブル剤を得た。
【実施例3】
【0065】
化合物(I)1部、クロチアニジン1部、非イオン系界面活性剤(商品名:ニューポールPE−64;三洋化成工業(株)製)0.5部、アルファデンプン4部、クレー93.5部を均一に混合後、水5〜10部を加え混練し、0.8mmφのスクリーンから押し出して造粒する。得られる造粒物を60℃で1時間乾燥し、粒剤を得る。
【実施例4】
【0066】
ニテンピラム20部およびシクロデキストリン(商品名:トヨデリンP;ジェイティーフーズ(株)製)80部を水400部に溶解したものを噴霧乾燥し、ニテンピラムのシクロデキストリン包接物Aを得る。
化合物(I)1部、シクロデキストリン包接物A5部、陰イオン系界面活性剤(商品名:ニューカルゲンEP−70P;竹本油脂(株)製)2部、デキストリンNDS10部、クレー82部を均一に混合後、水5〜10部を加え混練し、実施例2と同様に操作し、粒剤を得る。
【実施例5】
【0067】
化合物(I)0.2部、クロチアニジン0.15部、陰イオン系界面活性剤ニューカルゲンEP−70P 2部、凝集剤IPソルベント0.2部、ホワイトカーボン1部、クレー96.45部を均一に混練した後、粉砕してDL粉剤を得る。
【実施例6】
【0068】
化合物(I)0.2部、実施例4で調製したシクロデキストリン包接物A1.25部、陰イオン系界面活性剤ニューカルゲンEP−70P 2部、凝集剤IPソルベント0.2部、ホワイトカーボン1.5部、クレー94.85部を均一に混練した後、粉砕してDL粉剤を得る。
【実施例7】
【0069】
化合物(I)0.2部、イミダクロプリド0.15部、トール油脂肪酸(商品名;ハートールFA−1;ハリマ化成(株)製)1部、凝集剤IPソルベント0.2部、ホワイトカーボン1.5部、クレー95.1部を均一に混練した後、粉砕してDL粉剤を得る。
【実施例8】
【0070】
化合物(I)5部、クロチアニジン8部、陰イオン系界面活性剤(商品名:ニューカルゲン 98147TX;竹本油脂(株)製)7部、N−(n−ドデシル)ピロリドン(商品名:AGSOLEX12;ISP TECHNOLOGIES INC.製)80部を均一に混合溶解し、乳剤を得る。
【0071】
[試験例1]ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)に対する餌作物浸根処理による殺虫効果
供試化合物1mgに対してツイーン20(商品名)を5重量%含むアセトンを0.1mLの割合で加えて溶解し、イオン交換水で所定濃度に希釈調製した薬液を、遮光した三角コルベン(100mL)に注入し、4葉期のキャベツの根部を水道水で洗浄して土壌を取り除いた後、浸根した。浸根5日後に根部を取り除き、茎葉部をアイスクリームカップ(200mL)に入れ、ハスモンヨトウの2令幼虫10頭を放飼した。恒温飼育室(25℃)中で保管し、5日後に死亡虫数を数えた。死虫率は次の式により計算し、結果を表1に示した。
〔数1〕
死亡率(%)=(死亡虫数/供試虫数)×100
【0072】
【表1】

【0073】
なお、2種の活性化合物の組み合わせにより得られた効果が、下記に示すコルビー
(colby)らの式により算出される予測値Eを超える場合、相乗効果が存在する。
〔数2〕
E=X+Y−X・Y/100
ここで、E=活性化合物AおよびBをmおよびnの濃度(薬量)で用いた場合の死虫率
X=活性化合物Aをmの濃度(薬量)で用いた場合の死虫率
Y=活性化合物Bをnの濃度(薬量)で用いた場合の死虫率をそれぞれ示す。
【0074】
表1に示した通り、化合物(I)はクロチアニジンと混合して用いることによって、それぞれの化合物を単独で用いた場合よりも高い効果を発現し、混合による相乗作用が認められた。
【0075】
[試験例2]コナガ(Plutella xylostella)に対する餌作物浸漬処理による殺虫効果
供試化合物1mgに対してツイーン20(商品名)を5重量%含むアセトンを0.1mLの割合で加えて溶解し、5,000倍希釈のダイン水で所定濃度に希釈調製した後、キャベツの本葉1枚を葉柄部で切り取り、薬液に数秒間浸漬処理した。薬液が乾いた後、葉をアイスクリームカップ(200mL)に入れ,コナガの2令幼虫10頭を放飼した。恒温飼育室(25℃)中で保管し、5日後に死亡虫数を数えた。死虫率は次の式により計算し、結果を表2、表3および表4に示した。
〔数3〕
死亡率(%)=(死亡虫数/供試虫数)×100
【0076】
【表2】

【0077】
【表3】

【0078】
【表4】

【0079】
表2に示した通り、化合物(I)はクロチアニジンと混合して用いることによって、それぞれの化合物を単独で用いた場合よりも高い効果を発現し、混合による相乗作用が認められた。
【0080】
表3に示した通り、化合物(I)はチアメトキサムと混合して用いることによって、それぞれの化合物を単独で用いた場合よりも高い効果を発現し、混合による相乗作用が認められた。
【0081】
表4に示した通り、化合物(I)はアセタミプリドと混合して用いることによって、それぞれの化合物を単独で用いた場合よりも高い効果を発現し、混合による相乗作用が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の組成物は、農園芸用の殺虫剤として利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式〔I〕
【化1】

で表わされる化合物またはその塩と、
一般式〔II〕
【化2】

〔式中、YはCH、SまたはNR(Rは水素原子またはC1−6アルキル基を示す)を表し、ZはNまたはCHを表し、Wはシアノ基またはニトロ基を表し、AおよびBは同一または異なって、水素原子またはC1−6アルキル基を表すか、あるいは両者が隣接する
【化3】

と一緒になって一般式
【化4】

で示される環を形成していることを表し、
また式
【化5】

はピリジル基、チアゾリル基およびテトラヒドロフリル基から選択される複素環基を示し、該複素環基はハロゲン原子で1〜3個置換されていても良い〕で表されるネオニコチノイド系化合物とを含有する殺虫剤組成物。
【請求項2】
一般式
【化6】

で示される環が、式
【化7】

(式中、Rは前記と同意義を、Rは水素原子またはC1−6アルキル基を示す)であることを特徴とする請求項1記載の殺虫組成物。
【請求項3】
一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物が、クロチアニジン、ニテンピラム、イミダクロプリド、チアクロプリド、チアメトキサム、アセタミプリドおよびジノテフランから選択される少なくとも1の化合物である請求項1または2に記載の殺虫剤組成物。
【請求項4】
一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物が、クロチアニジンである請求項1または2に記載の殺虫剤組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の殺虫剤組成物を、害虫が直接加害する部位以外の場所に施用することによる害虫防除方法。
【請求項6】
苗を植え付ける方法で栽培する作物の播種時から苗定植時の間に、請求項1〜4のいずれかに記載の式〔I〕で表される化合物またはその塩および一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物を混合して、混合溶液の形態で育苗土に潅注するか、あるいは混合粒剤の形態で育苗土に散布することを特徴とする害虫防除方法。
【請求項7】
苗を植え付ける方法で栽培する作物の播種時から苗定植時の間に、請求項1〜4のいずれかに記載の式〔I〕で表される化合物またはその塩および一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物を含有した育苗土を用いて苗を栽培することを特徴とする害虫防除方法。
【請求項8】
苗を植え付ける方法で栽培する作物の苗定植時から生育期間に、請求項1〜4のいずれかに記載の式〔I〕で表される化合物またはその塩および一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物を、本圃の土壌に潅注処理、植穴処理、植穴処理土壌混和、株元処理、あるいは株元処理土壌混和することを特徴とする害虫防除方法。
【請求項9】
本圃に直接種子を播種、あるいは種芋または球根を植え付けて栽培する作物において、請求項1〜4のいずれかに記載の式〔I〕で表される化合物またはその塩および一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物で、種子、種芋または球根を浸漬処理、粉衣処理あるいはコーティング処理することを特徴とする害虫防除方法。
【請求項10】
本圃に直接種子を播種、あるいは種芋または球根を植え付けて栽培する作物の生育期に、請求項1〜4のいずれかに記載の式〔I〕で表される化合物またはその塩および一般式〔II〕で表されるネオニコチノイド系化合物を、本圃の土壌に潅注処理、株元処理、あるいは株元処理土壌混和処理することを特徴とする害虫防除方法。


【公開番号】特開2007−1960(P2007−1960A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−187406(P2005−187406)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(502433575)住化武田農薬株式会社 (8)
【Fターム(参考)】