説明

殻付ピスタチオ粒の選別装置

【課題】殻付のピスタチオの独特の形状、及び裂け目から露出する種子の色といった人為的に定めた基準であっても、精度よく選別することができる。
【解決手段】受光手段20からの画素信号を、第1しきい値を利用して2値化処理し、殻付ピスタチオ粒の殻果の外形の大きさを演算する第1演算処理ユニット28と、受光手段20からの画素信号を、第1しきい値とは異なる第2しきい値を利用して2値化処理し、殻付ピスタチオ粒内の殻果に生じる裂け目部の大きさを演算する第2演算処理ユニット29と、第1演算処理ユニット28及び第2演算処理ユニット29により演算した値で作成した画像に基づき、殻付ピスタチオ粒内の裂け目部の存在が検知されないときに、当該殻付ピスタチオ粒を未熟粒と判定して除去手段11に除去信号を出力する良品・不良品判定回路36とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殻付ピスタチオ粒の良品・不良品を精度よく判別し、良品から不良品及び異物を選別することができる殻付ピスタチオ粒の選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、豆類を選別対象物とした光学的な選別装置として、豆の表面からの反射光を利用して不良豆である未熟豆、虫食い豆等を選別することができる選別装置(特許文献1参照)や、複数の波長の光を照射してナッツ類の内部が変質しているが表面が変質していない不良豆を選別することができる選別装置(特許文献2参照)が知られている。
【0003】
しかし、上記周知の選別装置にあっては、主として大豆やピーナッツ等のマメ科植物が選別対象であり、硬質の殻付のピスタチオ(ウルシ科のピスタチオノ木の種子)はあまり選別対象とはならなかった。すなわち、ピスタチオは、成熟すると殻果の一辺に裂け目が生じ、この裂け目から種子がわずかに露出した独特の形状となる。この熟した種子を殻果ごと焙煎した後、塩味をつけたものを酒類のつまみ、スナック菓子等として食用するのである。そして、裂け目からわずかに露出した種子は緑色の濃いものの方が上等とされる。このような殻付のピスタチオの独特の形状、及び裂け目から露出する種子の色が緑色の濃いものが上等であるといった人為的に定めた等級基準によって、光学的選別を不得手とするのである。つまり、殻果が裂けていない未熟粒を良品としたり、また、緑色の濃い種子をカビ類として不良品と判定するといった選別不良が生じ、選別精度が劣るという問題点があった。
【特許文献1】特開昭63−200878号公報
【特許文献2】特公平6−34974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題点にかんがみ、殻付のピスタチオの独特の形状、及び裂け目から露出する種子の色といった人為的に定めた基準であっても、精度よく選別することができる殻付ピスタチオ粒の選別装置を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明は、連続状に流れる1粒又はそれ以上の殻付ピスタチオ粒に光を照射する照明手段と、該照明手段により光が照射された殻付ピスタチオ粒を観察するための受光手段と、該受光手段により検出された受光量に基づいて、前記殻付ピスタチオ粒の良品・不良品を判定する制御手段と、該制御手段により判定された良品・不良品の判定結果に基づいて、前記連続上の流れから不良品を除去する除去手段と、を備えた殻付ピスタチオ粒の選別装置であって、前記制御手段は、前記受光手段からの画素信号を、第1しきい値を利用して2値化処理し、殻付ピスタチオ粒の殻果の外形の大きさを演算する第1演算処理ユニットと、前記受光手段からの画素信号を、前記第1しきい値とは異なる第2しきい値を利用して2値化処理し、殻付ピスタチオ粒内の殻果に生じる裂け目部の大きさを演算する第2演算処理ユニットと、前記第1演算処理ユニット及び第2演算処理ユニットにより演算した値で作成した画像に基づき、前記殻付ピスタチオ粒内の裂け目部の存在が検知されないときに、当該殻付ピスタチオ粒を未熟粒と判定して前記除去手段に除去信号を出力する良品・不良品判定回路と、を備える、という技術的手段を講じた。
【0006】
また、前記第2演算処理ユニットには、着色に関するしきい値と比較して前記殻付ピスタチオ粒の裂け目部の色を演算する比較器を更に備え、前記良品・不良品判定回路が、前記殻付ピスタチオ粒内の裂け目部の存在を検知し、かつ、該裂け目部の色が所定範囲を越えたときに、当該殻付ピスタチオ粒を着色異常と判定して前記除去手段に除去信号を出力する構成にするとよい。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、第1演算処理ユニットにより殻付ピスタチオの殻果の外形の大きさが演算されるとともに、第2演算処理ユニットにより殻付ピスタチオ粒内の殻果に生じる裂け目部の大きさが演算され、さらに、良品・不良品判定回路により当該殻付ピスタチオ粒内の裂け目部の有無が検知されるので、裂け目部が無いと検知されたものは未熟粒として不良品判定することができ、殻果に裂け目を有するピスタチオ独特の形状であっても、良品・不良品を精度よく選別することができる。
【0008】
また、請求項2記載の発明によれば、第2演算処理ユニット内に備え付けた比較器により殻付ピスタチオ粒の裂け目部の色を演算することが可能となり、良品・不良品判定回路においては、殻付ピスタチオ粒内の裂け目部の存在を検知し、かつ、該裂け目部の色が所定範囲を越えたときに、当該殻付ピスタチオ粒を着色異常と判定することができる。これにより、裂け目部から露出する種子は緑色の濃いものが上等である、といったピスタチオ独特の等級基準であっても、精度よく選別することができる。また、裂け目部の存在を検知した後、当該裂け目部分の色を検知するという手順を踏んでいるから、緑色の濃い部分の存在をカビ類として誤認識することがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0010】
図1は本発明の選別装置に係る概略断面図である。
【0011】
図1に示すように、選別装置1は、機枠2内に、供給ホッパー3、フィーダ4及び湾曲状シュート5からなる供給部6と、該供給部6から供給された被選別物を一定流量で、かつ、一定速度で搬送する無端状のベルトコンベア7、及び被選別物の転がりを防止するために被選別物を押し付けるための押し付けローラ8からなる搬送部9と、該搬送部9から放出される被選別物の放物線軌跡Lを挟んで設けられる光学検出部10と、該光学検出部10により検出された不良品又は混入する異物の検出結果に基づいて当該不良品を放物線軌跡Lより除外する除去部11と、該除去部11の下流側の前記放物線軌跡L上の良品を回収する良品回収樋12と、前記放物線軌跡Lよりも下方に設けられ、前記除去部11によって放物線軌跡Lから除外される不良品又は異物を回収する不良品回収樋13とを備えている。また、前記良品回収樋12下方には、回収された良品を次工程に搬送する良品ベルトコンベア14が備え付けられている。
【0012】
前記搬送部9のベルトコンベア7は、機枠2内に回転可能に設けたローラ15,16に無端状のベルトを架け渡し、ローラ15をVベルト等によりモータと連絡して(ともに図示せず)、一定速度で回転するように構成する。ベルトコンベア7上面(搬送面)には、押し付けローラ8がベルト7の移送に伴って回転するように回転可能に取り付けられている。
【0013】
前記ベルトコンベア7の始端側には、フィーダ4の樋端部4aと連絡した湾曲状シュート5下端を臨ませる一方、ベルトコンベア7の終端側からは、横方向に放出される被選別物の放物線軌跡Lからなる流下路を形成する。そして、該放物線軌跡Lの中途に光学検出部10が設けられることになる。すなわち、被選別物の表面側を観察するための第1検出部10Aと、被選別物の裏面側(搬送部9においてベルトコンベア7と接していた面)を観察するための第2検出部10Bとを、放物線軌跡Lを挟んで配設する。
【0014】
前記第1検出部10Aは、被選別物の表面側を照明する長尺状の複数のLED光源18…及び該複数のLED光源18…を覆う光源ハウジング19…からなる第1照明手段と、被選別物の表面側を観察するためのCCDラインセンサー20Aと、第2検出部10Bに設けられる第1バックグラウンド21Aと、により構成される。一方、第2検出部10Bは、被選別物の裏面側を照明する長尺状の複数のLED光源18…及び該複数のLED光源18…を覆う光源ハウジング19…からなる第2照明手段と、被選別物の裏面側を観察するためのCCDラインセンサー20Bと、第1検出部10Aに設けられる第2バックグラウンド21Bと、から構成される。前記LED光源18…は、LEDに限定されることはなく、蛍光灯、ハロゲンランプ、レーザー光源など適宜選択することができる。
【0015】
前記第1照明手段、CCDラインセンサー20A、及び第2バックグラウンド21Bは、ほぼ密閉状の光学ボックス17A内に内装され、前記第2照明手段、CCDラインセンサー20B、及び第1バックグラウンド21Aは、ほぼ密閉状の光学ボックス17B内に内装されている。光学ボックス17A,17Bがそれぞれ対向する面には、透明ガラス板22,22が設けられ、LED光源18からの照射光が透明ガラス板22,22を透過して放物線軌跡上の検査範囲Kに位置する被選別物に照射されるとともに、CCDラインセンサー20A,20Bによって被選別物からの透過光又は反射光が検出されることになる。また、光学検出ボックス17Bには、第2検出部10Bの塵埃等の悪影響を受けないよう、ボックス内に混入した塵埃等を吸引・除去する吸引パイプ23を設けている。該吸引パイプ23の配置をボックス17B内に限定することはなく、不良品回収樋13内に配置して除去部11により除去された不良品に混入する塵埃等を吸引・除去する構成としてもよい。
【0016】
前記光学検出部10A,10B下流側の放物線軌跡Lには、CCDラインセンサー20A,20Bの検出結果に対応して作動するエジェクター11を連設する。エジェクター11は図外のエアコンプレッサーに接続されるとともに、各エジェクター11のそれぞれに設けた電磁弁(図示せず)によって高圧空気が噴射するよう、CCDラインセンサー20A,20Bと、これに対応するエジェクター11における電磁弁作動回路(図3参照)とを電気的に接続するとよい。また、エジェクター11の下方、すなわち、エジェクター11の噴射口の延長線と放物線軌跡Lとが交わる除去位置eの直下に、不良品回収樋13が設けられる。一方、放物線軌跡Lの流下方向に良品回収樋12が設けられる。
【0017】
前記良品回収樋12には傾斜した前面壁12aが設けられ、該前面壁12aには傾斜上部に把手部34が、傾斜下端部に長蝶番24がそれぞれ設けられており、該良品回収樋12の内部を露出させて樋内のメンテナンスが可能な構成となっている。すなわち、作業者が手で把手部25を持ち、長蝶番24を中心にして手前方向(図1に示す一点鎖線の位置)へ回動すれば、前面壁12a部分を開口させることができる。符号25は、不良品回収樋13下方に設置される不良品回収容器である。
【0018】
なお、選別装置1は、上記のようなベルトコンベア式選別装置のほか、図2に示すように、供給ホッパー3に投入された被選別物を、振動装置101によってばら状に拡散した後、傾斜したシュート102に供給し、該シュート102下端から重力により自由落下させて光学検出部10に通過させる形式のシュート式選別装置とすることもできる。
【0019】
図3は、選別装置1のCCDラインセンサーの信号処理を行う制御回路のブロック図である。CCDラインセンサー20は、一列に128又は256,512,1024個等の画素を備え、その各々から電荷を取得する半導体素子である。これに限定されることはなく、ラインセンサーを複数列に並べて、一定速度で移動する対象物に対して、その移動方向・速度とCCDの電荷転送方向・速度を合わせた撮像を行うTDI(Time Delay Integration)カメラを使用してもよい。
【0020】
そして、CCDラインセンサー20の電流出力端子は、増幅回路27に接続されるとともに、該増幅回路27からは、画像処理回路39内にある、あらかじめ設定した電圧レベルと比較して殻付ピスタチオ粒の外形の大きさ(一粒全体の殻の面積)を演算するとともに、該殻の色を演算する第1演算処理ユニット28と、前記電圧レベルとは異なる電圧レベルを利用して、殻付ピスタチオ粒の殻果に生じる裂け目部分から露出した種子の大きさ(面積)を演算するとともに、該種子の色を演算する第2演算処理ユニット29とに分岐して接続される。
【0021】
前記第1演算処理ユニット28及び第2演算処理ユニット29には、それぞれにCCDラインセンサー20から入力される走査ライン分の画像データを記憶するメモリ31a,31bが備えられるとともに、前記第1演算処理ユニット28には、殻付ピスタチオ粒の殻の明るさに関し、しきい値TH1と比較する比較器32及びしきい値TH2と比較する比較器33を備える。一方、前記第2演算処理ユニット29には、裂け目部分から露出した種子の明るさに関し、しきい値TH3と比較する比較器34及びしきい値TH4と比較する比較器35を備える。前記比較器32及び34からの出力値を加算処理すれば、殻付ピスタチオ粒の外形の大きさ及び殻の裂け目部分から露出した種子の大きさ(面積)を演算することができる。
【0022】
また、前記比較器33及び比較器35の出力値をRGB色空間などのしきい値を利用して演算処理すれば、殻の色及び種子の色を演算することができる。
【0023】
前記各比較器32,33,34,35からの電流出力端子は、良品・不良品判定回路36に接続する一方、該良品・不良品判定回路36からは、遅延回路37を介してエジェクター11を制御するバルブ駆動回路38に接続されている。
【0024】
以下、上記構成における本実施形態の作用を説明する。原料となる殻付ピスタチオ粒を供給ホッパー3に投入し、フィーダ4及びベルトコンベア7を駆動させると、殻付ピスタチオ粒はフィーダ4及び湾曲状シュート5を介して適量ずつベルトコンベア7上に供給される。ベルトコンベア上に供給された殻付ピスタチオ粒は、押し付けローラ8によって均(なら)されて、薄い層厚状態でベルトコンベア7終端部に搬送される。ベルトコンベア7は約2.8m/sで駆動しており、搬送終端部から放出される殻付ピスタチオ粒は、図1中Lで示すように放物線軌跡を描き、一対の光学検出部10A,10Bを通過する。このとき、殻付ピスタチオ粒の表面側及び裏面側を照明する複数のLED光源18…、複数のCCDラインセンサー20A,20B、及びバックグラウンド21A,21Bにより、通過中の殻付ピスタチオ粒の不良箇所の検出や、殻付ピスタチオ粒に混入する異物の有無の検出が行われる。
【0025】
図4に示すように、図面右から殻が変色した不良品、殻果の一辺に裂け目のない未熟の不良品、殻果の裂け目から種子が露出する成熟した良品、及び殻果の裂け目から種子が露出しているが変色した不良品の4粒が、検出位置Kを通過すると仮定すれば、各粒の通過により受光量が変化することに伴い、電圧レベルが変化する(図4の(a)の信号)。
【0026】
ここで、時刻t1のときに、CCDラインセンサー20の走査に関して、しきい値TH1を設定しておくと、(a)の信号がしきい値TH1よりも大きい場合に二値化処理され、この信号が殻付ピスタチオの殻果Kの幅方向の長さとして検出される(図4の(b)の矩形状の信号)。時刻t2のときも同様に、殻果Kの幅方向の長さが検出されるが、穀粒が流下しているため、粒の尖(とが)った箇所が検出される。このとき、穀粒の流下方向において重なりが生じるように走査し、この信号を加算処理すると、殻付ピスタチオ粒の外形の大きさ(一粒全体の殻の面積)の画像を取得することができる。
【0027】
また、CCDラインセンサー20の走査に関して、しきい値TH3を設定しておくと、(a)の信号がしきい値TH3よりも大きい場合に二値化処理され、この信号が種子Sの幅方向の長さとして検出され(図4の(c)の矩形状の信号)、上記同様の演算処理を行うと、種子Sの大きさ(面積)の画像を取得することができる。
【0028】
そして、殻付ピスタチオ粒の外形の大きさ(一粒全体の殻の面積)に占める種子Sの大きさ(面積)を演算すると、例えば、殻果の裂け目から種子が露出した成熟した良品(図4の図面右から3番目)と、殻果の一辺に裂け目のない未熟の不良品(図4の図面右から2番目)とを識別し、分別することが可能となる。このような大きさを比較する方法に限定されず、比較器32及び比較器34からの出力値の論理演算処理により未熟粒と良品とを識別し、分別することも可能である。
【0029】
次に、CCDラインセンサー20の走査に関し、比較器33においてしきい値TH2を設定しておくと、良・不良判定回路36において殻付ピスタチオの殻果Kの色情報を検出することができる(図4の(c)の矩形状の信号)。すなわち、しきい値TH1からしきい値TH2までの範囲内で(a)の信号が検出された場合は、殻果Kの色が正常であると認識され(図4の図面左から1番目、2番目及び3番目の3粒)、しきい値TH1からしきい値TH2までの範囲を越えて(a)の信号が検出された場合は、殻果Kの色が不良であると認識される(例えば、図4の図面右から1番目)。
【0030】
さらに、CCDラインセンサー20の走査に関し、比較器35にしきい値TH4を設定しておくと、良・不良判定回路36において種子Sの色情報を検出することができる(図4の(e)の矩形状の信号)。すなわち、しきい値TH3からしきい値TH4までの範囲内で(a)の信号が検出された場合は、種子Sの色が正常であると認識され(図4の図面左から2番目)、しきい値TH3からしきい値TH4までの範囲を越えて(a)の信号が検出された場合は、種子Sの色が不良であると認識される(例えば、図4の図面左から1番目)。
【0031】
以上のように良品・不良品判定回路36においては、殻付ピスタチオ粒に特有の殻果Kの大きさ及び色、並びに種子Sの大きさ及び種子S部分の緑色の濃淡を基準に設定される。また、良・不良判定回路36に、図示しない表示装置等を備えた場合は、作業者らに画像を提供することが可能となる。
【0032】
図5は良品・不良品判定のフローチャートである。良品・不良品判定(S1)では、まず、殻果Kの1粒全体の大きさと所定値とを比較し(例えば、図4の(b)の矩形の幅よりも大きいか小さいかを比較する。)、当該被選別物が殻付ピスタチオ粒であるか又は粒の小さい石などの異物であるかが判定され、殻付ピスタチオ粒であった場合には、全体に外形異常があるか否か又は表面に凹み等の異常があるか否かが検知される(S2)。異物及び外形異常があった場合、不良品と判定される。
【0033】
次に、殻果Kの1粒全体について着色不良部があるか否かが判定される(S3)。着色不良部があった場合、不良品と判定される。
【0034】
さらに、殻果に生じる裂け目部(種子S)の大きさが演算される(S4)。種子Sの大きさが検知されない場合には、当該殻付ピスタチオ粒を未熟粒と判定して不良品扱いとする。
【0035】
そして、種子Sの存在を検知すると、色に関するしきい値TH4を利用して種子Sの色が演算される。すなわち、種子Sの色がTH3からTH4の範囲内であるか否かが比較され、緑色の濃淡が判定される(S5)。種子Sの色が所定範囲を越えた場合は、種子Sの色が着色異常であり、当該殻付ピスタチオ粒を着色異常と判定し、不良品扱いとする。
【0036】
上記判定処理を行うことで、裂け目部から露出する種子は、緑色の濃いものが上等である、といったピスタチオ独特の等級基準であっても、精度よく選別することができる。また、殻果K、種子Sの大きさを検知し、種子Sの存在を確認した後、種子Sの色を検知するという手順を踏んでいるから、緑色の濃い部分の存在をカビ類として誤認識することがなくなる。
【0037】
選別すべき不良品(又は異物)の条件が満たされた場合、良品・不良品判定回路36は、不良品(又は異物)がベルトコンベア7の幅方向のどの位置にあるかを特定するとともに、これに対応するエジェクター11を作動させるバルブ駆動回路38に除去信号を出力する。そして、不良品となる殻付ピスタチオ粒は、エジェクター11の風圧により連続状の流れから吹き飛ばされ、不良品回収樋13に回収される。
【0038】
一方、良品と判定された殻付ピスタチオ粒は、良品としてそのまま放物線軌跡Lに沿って良品回収樋12に移送される。
【0039】
以上のように、本実施形態によれば、殻付ピスタチオ粒の独特の形状、及び裂け目から露出する種子の色といった人為的に定めた等級基準であっても、精度よく選別することができるといった作用・効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の選別装置に係る概略縦断面図である。
【図2】シュート式選別装置に係る概略縦断面図である。
【図3】制御回路のブロック図である。
【図4】CCDラインセンサーの走査処理の模式図である。
【図5】良品・不良品判定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0041】
1 選別装置
2 機枠
3 供給ホッパー
4 フィーダ
5 湾曲状シュート
6 供給部
7 ベルトコンベア
8 押し付けローラ
9 搬送部
10 光学検出部
11 除去部
12 良品回収樋
13 不良品回収樋
14 良品ベルトコンベア
15 ローラ
16 ローラ
17 光学ボックス
18 LED光源
19 光源ハウジング
20 CCDラインセンサー
21 第1バックグラウンド
22 透明ガラス板
23 吸引パイプ
24 長蝶番
25 把手部
26 不良品回収容器
27 増幅回路
28 第1演算処理ユニット
29 第2演算処理ユニット
31 メモリ
32 比較器
33 比較器
34 比較器
35 画像合成処理回路
36 良品・不良品判定回路
37 遅延回路
38 バルブ駆動回路
39 画像処理回路
101 振動装置
102 シュート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続状に流れる1粒又はそれ以上の殻付ピスタチオ粒に光を照射する照明手段と、
該照明手段により光が照射された殻付ピスタチオ粒を観察するための受光手段と、
該受光手段により検出された受光量に基づいて、前記殻付ピスタチオ粒の良品・不良品を判定する制御手段と、
該制御手段により判定された良品・不良品の判定結果に基づいて、前記連続上の流れから不良品を除去する除去手段と、を備えた殻付ピスタチオ粒の選別装置であって、
前記制御手段は、
前記受光手段からの画素信号を、第1しきい値を利用して2値化処理し、殻付ピスタチオ粒の殻果の外形の大きさを演算する第1演算処理ユニットと、
前記受光手段からの画素信号を、前記第1しきい値とは異なる第2しきい値を利用して2値化処理し、殻付ピスタチオ粒内の殻果に生じる裂け目部の大きさを演算する第2演算処理ユニットと、
前記第1演算処理ユニット及び第2演算処理ユニットにより演算した値で作成した画像に基づき、前記殻付ピスタチオ粒内の裂け目部の存在が検知されないときに、当該殻付ピスタチオ粒を未熟粒と判定して前記除去手段に除去信号を出力する良品・不良品判定回路と、を備えたことを特徴とする殻付ピスタチオ粒の選別装置。
【請求項2】
前記第2演算処理ユニットには、着色に関するしきい値と比較して前記殻付ピスタチオ粒の裂け目部の色を演算する比較器を更に備え、
前記良品・不良品判定回路が、前記殻付ピスタチオ粒内の裂け目部の存在を検知し、かつ、該裂け目部の色が所定範囲を越えたときに、当該殻付ピスタチオ粒を着色異常と判定して前記除去手段に除去信号を出力してなる請求項1記載の殻付ピスタチオ粒の選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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