説明

毛髪処理剤

【課題】 ヘアコンディショニング剤の効果を高め、ダメージを受けた毛髪の傷みを改善し、柔軟性や滑沢性を付与し、まとまりのよい毛髪に仕上げるとともに、これらの効果に持続性を付与する毛髪処理剤を提供することを目的とする。
【解決手段】 没食子酸配糖化物を含有し、シャンプーによる洗髪後、ヘアコンディショニング剤を使用する前の毛髪処理に用いられる毛髪処理剤を使用することにより、該ヘアコンディショニング剤の効果を高めることができ、ダメージを受けた毛髪の傷みを改善し、柔軟性や滑沢性を付与し、まとまりのよい毛髪に仕上げるとともに、これらの効果を持続させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪処理剤に関し、特に、洗髪後ヘアコンディショニング剤を使用する前に用いることにより、該コンディショニング剤の効果を高め、かつ持続させることができる毛髪処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シャンプー等を使用して洗髪した後に、毛髪に潤い感や滑らかさを付与し、毛髪の損傷を防ぐ目的で、リンス、コンディショナー、トリートメント等のヘアコンディショニング剤が用いられている。
該ヘアコンディショニング剤の成分としては、カチオン性界面活性剤及び高級アルコールを主成分とし、シリコーン油、エステル油、及びパラフィン等の油性成分、並びに多価アルコールやアミノ酸等の保湿成分等が一般的であり、これらの成分が毛髪に残留することにより、毛髪に潤い感や滑らかさが付与される。
【0003】
近年、毛髪のカラーリングが一般化している。該カラーリングは通常、アルカリや過酸化水素等による化学的処理によって行われ、かつ定期的に施術されることから、毛髪に対するダメージが大きいことが知られている。該カラーリングとともにパーマや縮毛矯正を行う場合や、ドライヤー処理等による化学的・物理的ダメージが複合的に加わることにより、毛髪が過度のダメージを受けるケースが増加している。
このような複合的なダメージに対して十分なコンディショニング効果を付与するために、毛髪の表面及び内部の両面に対して優れたケア効果を発揮する毛髪化粧料が求められている。
【0004】
カラーリングされた毛髪に対し、既存のヘアコンディショニング剤は、毛髪表面に対するダメージケアが主流であった(例えば、特許文献1〜3参照)。これに対し、毛髪の表面と内部の双方に効果を有する毛髪処理剤が提案されているが(例えば、特許文献4参照)、毛髪の柔軟性や滑沢性といった感触面、まとまりの良さなどの実感において、十分に満足するものが得られていないのが現状である。
また、毛髪のダメージを改善する目的で、ケラチン、コラーゲン誘導体などの毛髪構成成分又は類似成分を補填することによりダメージを改善することが知られている(例えば、特許文献5〜7参照)。しかしながら、これらの成分の補填だけでは、前記化学処理等により強く傷んだ髪に対する改善効果や効果の持続性の点で、十分とは言えないという問題があった。
【0005】
一方、毛髪のダメージ改善効果に優れた没食子酸配糖化物を配合した毛髪化粧料が提案されている(例えば、特許文献8)。前記没食子酸配糖化物は、ダメージを有する毛髪の内部に効果的に作用して柔軟性や滑沢性を付与し、まとまりが良い髪に仕上げる効果を有するが、使用時にべたつき感が発現することがあり、また、使用の形態によっては効果の持続性が十分ではないという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開平5−58857号公報
【特許文献2】特開平6−80538号公報
【特許文献3】特開平10−194934号公報
【特許文献4】特開平4−139113号公報
【特許文献5】特開昭57−88109号公報
【特許文献6】特開平2−53712号公報
【特許文献7】特開平6−505973号公報
【特許文献8】特開2003−89620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、ヘアコンディショニング剤の効果を高め、ダメージを受けた毛髪の傷みを改善し、柔軟性や滑沢性を付与し、まとまりのよい毛髪に仕上げるとともに、これらの効果に持続性を付与する毛髪処理剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討を行った結果、没食子酸配糖化物を含む毛髪処理剤を、洗髪後、ヘアコンディショニング剤の使用前の毛髪に用いることにより、該ヘアコンディショニング剤の効果を高めることができ、ダメージを受けた毛髪の傷みを改善し、柔軟性や滑沢性を付与し、まとまりのよい毛髪に仕上げるとともに、これらの効果を持続させることができるという知見を得た。
【0009】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 没食子酸配糖化物を含有し、シャンプーによる洗髪後、ヘアコンディショニング剤を使用する前の毛髪処理に用いられることを特徴とする毛髪処理剤である。
<2> 没食子酸配糖化物が、ジグリコシル没食子酸骨格を有する化合物である前記<1>に記載の毛髪処理剤である。
<3> ポリエチレングリコールを含む前記<1>から<2>のいずれかに記載の毛髪処理剤である。
<4> 実質的に高級アルコールを含まない前記<1>から<3>のいずれかに記載の毛髪処理剤である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、ヘアコンディショニング剤の効果を高め、ダメージを受けた毛髪の傷みを改善し、柔軟性や滑沢性を付与し、まとまりのよい毛髪に仕上げるとともに、これらの効果に持続性を付与する毛髪処理剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(毛髪処理剤)
本発明の毛髪処理剤は、没食子酸配糖化物を含有してなり、更に、必要に応じてポリエチレングリコール等の適宜選択したその他の成分を含有してなる。
また、本発明の毛髪処理剤は、シャンプーによる洗髪後、ヘアコンディショニング剤を使用する前の毛髪処理に用いられる。
【0012】
−没食子酸配糖化物−
前記没食子酸配糖化物は、没食子酸及びそのエステルを配糖化したものであり、例えば下記構造式(I)で表される化合物が挙げられる。

【0013】
前記構造式(I)中、Rは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土属、アンモニウム塩、炭素数1〜18のアルキル基、及び炭素数1〜18のアルケニル基から選ばれるいずれか1種である。
また、前記構造式(I)中、R、R、Rは水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、単糖、2糖、及びオリゴ糖から選ばれるいずれかである。
これらの中でも、前記一般式(I)中、R、R、Rのうち2個が、単糖、2糖、及びオリゴ糖残基のいずれかである、ジグリコシル没食子酸骨格を有する化合物が好ましい。
【0014】
前記単糖、2糖、及びオリゴ糖としては、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、キシロース、スクロース、ラクトース、スタキオース、ラフィノース、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ラクトスクロース、イソマルトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、及びキシロビオースなどの糖残基が挙げられる。
【0015】
前記没食子酸配糖化物としては、具体的には、没食子酸メチルエステル−3−グルコシド、没食子酸メチルエステル−4−グルコシド、没食子酸プロピルエステル−3−グルコシド、没食子酸メチルエステル−3−マルトシド、没食子酸−3−グルコシド、没食子酸−3−マルトシド、没食子酸オクチル−3−マルトシド、没食子酸−3−グルクロニド、没食子酸ガラクツロニド、没食子酸メチルエステル−3,5−ジグルコシド、没食子酸−3,4−ジグルコシド、及び没食子酸−3,5−ジグルコシドなどが挙げられ、これらの中でも、没食子酸−3,4−ジグルコシド、及び没食子酸−3,5−ジグルコシドなどの2配糖化物が好ましく、製造が比較的容易な点から、没食子酸−3,5−ジグルコシドがより好ましい。
【0016】
前記没食子酸配糖化物の配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記毛髪処理剤100質量%に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜3質量%がより好ましく、0.1〜1質量%が特に好ましい。
前記没食子酸配糖化物の配合量が0.01%未満であると、ヘアコンディショニング剤の効果を高め、ダメージを受けた毛髪の傷みを改善し、柔軟性や滑沢性を付与し、まとまりのよい毛髪に仕上げるとともに、これらの効果に持続性を付与する効果が十分に得られないことがあり、10質量%を超えると、毛髪への該没食子酸配糖化物の残存量が過剰となり、乾燥後にごわつき感が生じることがある。
【0017】
−ポリエチレングリコール−
前記毛髪処理剤には、コンディショニング剤の使用後、毛髪のウェット時に、柔らかな感触を付与する目的で、ポリエチレングリコールを配合することができる。
前記ポリエチレングリコールとしては、常温で液体のものが好ましい。前記ポリエチレングリコールが常温で固体若しくは半固体のものを用いると、頭皮にべたつき感やぬるつき感が残ることがある。具体的には、ポリエチレングリコール150、200、300、400、600(化粧品原料基準準拠)が好ましく、汎用原料でコストが低い点から、ポリエチレングリコール200〜600がより好ましい。
【0018】
前記ポリエチレングリコールの配合量は、前記毛髪処理剤100質量%に対し、0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましい。
前記ポリエチレングリコールの配合量が0.1%未満であると、所望の感触を付与する効果が得られない場合があり、50%を超えると、乾燥後の毛髪にべたつき感を生じることがある。
【0019】
本発明の毛髪処理剤は、一般的なヘアコンディショニング剤等に用いられているカチオン性界面活性剤と高級アルコールを主成分とせず、実質的に高級アルコールを配合しないことが好ましい。
前記高級アルコールを配合しないことにより、毛髪の仕上がり時の滑らかさが良好に発現する。
また、前記高級アルコールを配合しないことにより、使用者に対し、該毛髪処理剤使用時の使用感として浸透実感を与えることができ、該毛髪処理剤の使用によるダメージケア効果を想起させることができる。
【0020】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、本発明の目的が損なわれない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、精製水等の水の他、一般の毛髪処理剤・毛髪化粧料に用いられる公知の添加物や、前記毛髪処理剤を製造するに当たり通常用いられる補助的原料や添加物などが挙げられる。
前記その他の成分としては、例えば、シリコーン類、高分子類(例えば、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー等)、ポリオール類、無機塩類(例えば、食塩、芒硝等)、有機塩類、保湿剤(例えば、プロピレングリコール等)、トニック剤、可溶化剤、酸化防止剤(例えば、BHT、α−トコフェロール等)、殺菌剤(例えば、トリクロサン、トリクロロカルバン等)、紫外線吸収剤、タンパク誘導体、動植物抽出液、フケ防止剤(例えば、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン、イオウ等)、抗炎症剤(例えば、グリチルリチン酸ジカリウム等)、防腐剤、pH調整剤、低級アルコール、ビタミン類、揮発性油分、疎水性溶媒、希釈溶媒、色素、香料組成物などが挙げられ、これらの中から1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0021】
前記シリコーン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、末端水酸基含有ジメチルポリシロキサン、末端水酸基含有メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。また、シリコーン類を予め水性基剤に乳化したシリコーンエマルジョンも挙げられる。
【0022】
前記高分子類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー等が挙げられ、具体的には、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、高重合ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、カラギーナンなどが挙げられる。
【0023】
前記防腐剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、安息香酸、安息香酸塩、塩化ベンザルコニウム、メチルクロロイソチアゾリノン・メチルイソチアゾリノン液(商品名:ケーソンCG、ロームアンドハース社製)などが挙げられる。
【0024】
前記pH調整剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リン酸、アルギニン、塩酸、トリエタノールアミンなどが挙げられ、この中でもリン酸、アルギニン、トリエタノールアミンが使用感を損なわないことから好ましい。
【0025】
前記毛髪処理剤は、前記pH調整剤が添加されて、pH2.0〜5.0となるように調整される。前記pH値が2.0未満であると、頭皮刺激性が問題となることがあり、前記pH値が5.0を超えると、所望の感触を付与する効果が得られないことがある。
【0026】
−−香料組成物−−
前記香料組成物は、香料成分、香料用溶剤、香料安定化剤等からなる混合物である。
前記香料成分としては、例えば、特開2003−300811号公報に記載の香料成分が挙げられる。
【0027】
前記香料用溶剤としては、例えば、特開2003−300811号公報に記載の香料用溶剤等が挙げられる。
前記香料用溶剤の配合量は、前記香料組成物全量に対し、0.1〜99質量%が好ましく、1〜50質量%がより好ましい。
また、前記香料安定化剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンEとその誘導体、カテキン化合物、フラボノイド化合物、ポリフェノール化合物等が挙げられ、これらの中でも、ジブチルヒドロキシトルエンが好ましい。
前記香料安定化剤の配合量は、前記香料組成全量に対し、0.0001〜10質量%が好ましく、0.001〜5質量%がより好ましい。
【0028】
前記香料組成物の配合量は、前記毛髪処理剤全量に対して0.005〜40質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましい。
【0029】
−毛髪処理剤の製法−
本発明の毛髪処理剤は、常法に準じて調製することができる。調製する装置としては、例えば、剪断力の付与及び全体混合ができる複数の攪拌羽根、例えば、プロペラ、タービン、ディスパーなどを備えた攪拌装置などが挙げられ、アジホモミキサー、逆流ミキサー、ハイブロッドミキサーなどが好適に挙げられる。
【0030】
−剤型−
本発明の毛髪処理剤の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、可溶化系、乳化系、分散系、油−水二層系など種々の剤型として用いることができ、例えば、ジェル状、乳液状、透明液状、クリーム状、ローション状等の剤型で使用することができる。
【0031】
−充填容器−
本発明の毛髪処理剤は、通常の容器に充填することができる。前記容器としては、例えば、アルミニウムラミネートチューブ、EVALチューブ、アルミチューブ、ガラス蒸着プラスチックチューブ等のチューブ、機械的又は差圧によるディスペンサー容器、スクイーズ容器、ラミネートフィルム容器、スポイト容器、スティック容器、ジャー容器、ボトル容器などが挙げられる。前記ラミネートフィルム容器の材質は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、二軸延伸ポリプロピレン、無延伸ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、及びエチレン酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂、紙、アルミ蒸着プラスチック等から適宜選択される。また、前記ラミネートフィルム容器の構造は、強度、柔軟性、耐候性等を考慮し、2〜5層構造とすることが好ましい。前記ボトル容器の材質は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−ビニルアルコール樹脂、アクリロニトリル・スチレン樹脂、ABS樹脂、ポリアミド等の樹脂容器、及びガラス容器から適宜選択される。また、前記ボトル容器の構造は、単層又は2層以上の層構造とすることが好ましい。
【0032】
−毛髪処理方法−
本発明の毛髪処理剤は、シャンプーによる洗髪後、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナー等のヘアコンディショニング剤を使用する前の毛髪処理に用いられる。具体的には、シャンプーによる洗髪後、軽く水気を切り、ウェットな状態の毛髪に前記毛髪処理剤を適量なじませ、軽くすすいだ後、前記ヘアコンディショニング剤を使用し、その後、前記ヘアコンディショニング剤をすすぎ流す。
前記毛髪処理剤の使用量としては、毛髪のダメージの状態や、毛髪の長さや量に応じて適宜選択することができるが、前記毛髪処理剤中の前記没食子酸配糖化物量として1〜100mg/回が好ましく、10〜50mg/回がより好ましい。
【0033】
前記毛髪処理剤を、前記ヘアコンディショニング剤使用前の毛髪ヘ適用することにより、前記へアコンディショニング剤の効果がより効果的に得られるとともに、前記毛髪処理剤の成分が効果的に内部に作用することによって、ダメージを補修し、卓越した柔軟性や滑沢性を毛髪に付与し、さらさらでまとまりが良い髪に仕上がる。
さらに、これらの効果がその後のシャンプー洗髪によって消失することがなく、該効果の持続性に優れる。
一方、前記毛髪処理剤を前記ヘアコンディショニング剤の使用後に適用しても、前記ヘアコンディショニング剤の使用前に適用した際と同様の効果は得られず、毛髪の柔軟性や滑沢性、及びシャンプー洗髪後の感触改善効果の持続性に劣る。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0035】
(実施例1〜9、比較例1)
下記表1及び2に示す組成により、実施例1〜9及び比較例1の毛髪処理剤を常法に従って調製した。下記表1及び2の各配合成分における数値は、特に断らない限り質量%を表す。また、下記表1及び2中の香料A〜Dの組成を、表3〜11に示す。
具体的には、各配合成分のうちから各種溶剤及び乳化剤を含む油性成分を40〜80℃で加温溶解して油相を調製した後、前記各配合成分のうちの水性成分を水に25〜80℃で加熱溶解して水相を調製する。次に、この水相に前記油相を添加して、攪拌混合した。その後、パドルミキサーで撹拌、室温まで徐冷して実施例1〜9及び比較例1の毛髪処理剤を調製した。
【0036】
得られた前記毛髪処理剤について、カラーリング及びパーマによって毛髪にダメージを受け、毛髪の傷みを気にしているパネラー女性20名を対象として評価を行った。
シャンプーの後、前記毛髪処理剤を髪になじませ軽くすすいだ後、ヘアコンディショニング剤を通常の方法で使用する試験を1日1回、3日間連続で行った。前記毛髪処理剤以外のシャンプー及びヘアコンディショニング剤は、パネラーが各自通常使用している市販品を使用した。
【0037】
−官能評価−
3日目の試験後、各パネラーから試験前と比較した毛髪の柔らかさ、及び滑らかさについてそれぞれ回答を得て、以下の基準に従い評価を行った。結果を表1及び2にあわせて示す。
<評価基準>
◎:試験前よりも良好であると回答したパネラーが20名中16名以上
○:試験前よりも良好であると回答したパネラーが20名中12〜15名
△:試験前よりも良好であると回答したパネラーが20名中8〜11名
×:試験前よりも良好であると回答したパネラーが20名中8名未満
【0038】
−毛髪の感触改善の持続性評価−
試験終了後(4日目)の洗髪時、シャンプー後に前記毛髪処理剤及び前記ヘアコンディショニング剤を使用せず、そのまま毛髪を乾燥させる試験を行った。
各パネラーから、試験前と比較したシャンプーすすぎ時の感触、及び乾燥後の髪の滑らかさについて回答を得て、以下の基準に従い評価を行った。結果を表1及び2にあわせて示す。
【0039】
<評価基準>
◎:試験前よりも良好であると回答したパネラーが20名中16名以上
○:試験前よりも良好であると回答したパネラーが20名中12〜15名
△:試験前よりも良好であると回答したパネラーが20名中8〜11名
×:試験前よりも良好であると回答したパネラーが20名中8名未満
【0040】
(比較例2)
実施例1の毛髪処理剤を、シャンプー及びコンディショニング剤を使用した後に、髪になじませ軽くすすぐ方法で使用して試験を行い、評価を行った。結果を表2にあわせて示す。
【0041】
(比較例3)
実施例1の毛髪処理剤を、シャンプーの後、髪になじませ軽くすすいだ後、ヘアコンディショニング剤を使用せずに乾燥する方法で試験を行い、評価を行った。結果を表2にあわせて示す。
【0042】
(比較例4)
下記表2に示す組成の毛髪処理剤を、シャンプー使用中(シャンプーを洗い流す前)に頭髪に塗布し、頭髪全体になじませ、シャンプーとともに洗い流した後、ヘアコンディショニング剤を使用する方法で試験を行い、評価を行った。結果を表2にあわせて示す。
【0043】
(比較例5)
本発明の毛髪処理剤を使用せず、通常のシャンプー及びヘアコンディショニング剤のみを使用して試験を行い、評価を行った。結果を表2にあわせて示す。
【0044】
【表1】

各成分の配合量の単位は、質量%であり、活性成分(純分)の全組成中における濃度で表示した。
*1:DGA(三井化学(株)製)
*2:PEG300(ライオン(株)製)
*3:PEG400(ライオン(株)製)
*4:PEG200(ライオン(株)製)
*5:コノール30SS(新日本理化(株)製)
*6:Stenol 1822SR(コグニスジャパン製)
*7:アーカードT−833(ライオン(株)製)
*8:アーカード22−80(ライオン(株)製)
*9:SM8704C(東レダウコーニング社製)
*10:レオフローDMS−55(ライオン(株)製)
*11:フジケミHEC SZ−25(住友精化製)
*12:グリセリン(新日本理化製)
*13:プロピレングリコール(旭硝子(株)製)
*14:メチルパラベン(吉富ファインケミカル(株)製)
*15:エタノール、95%合成
*16:グリピュア70(デュポン(株)製)
使用方法I:シャンプー後、ヘアコンディショニング剤使用前に使用
【0045】
【表2】

各成分の配合量の単位は、質量%であり、活性成分(純分)の全組成中における濃度で表示した。
*1〜*16、及び使用方法I:表1と同様
使用方法II:シャンプー及びヘアコンディショニング剤の使用後に使用
使用方法III:シャンプー後に使用し、その後ヘアコンディショニング剤不使用
使用方法IV:シャンプーと同時に使用し、シャンプーとともに洗い流し、その後ヘアコンディショニング剤を使用
使用方法V:使用せず
【0046】
【表3】

【0047】
【表4】

【0048】
【表5】

【0049】
【表6】

【0050】
【表7】

【0051】
【表8】

【0052】
【表9】

【0053】
【表10】

【0054】
【表11】

*1:Flower oils and Floral Compounds In Perfumery] Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.
【0055】
表1及び2の結果より、実施例1〜9の毛髪処理剤は、シャンプー後、ヘアコンディショニング剤の使用前に適用することにより、毛髪に柔らかさと滑らかさとを付与する効果を発揮し、また該効果の持続性も良好であることがわかった。前記毛髪処理剤の成分として没食子酸−3,4−ジグルコシド、又は没食子酸−3,5−ジグルコシドの2配糖化物と、ポリエチレングリコールとを含有する実施例1、2、4及び5の毛髪処理剤は、毛髪に柔らかさと滑らかさとを付与する効果に優れ、該効果の持続性にも優れていることがわかった。一方、没食子酸配糖化物を含有しない比較例1の毛髪処理剤では、前記効果が得られないことがわかった。
また、実施例1の毛髪処理剤を、シャンプー及びヘアコンディショニング剤の使用後に後処理剤として使用した比較例2、並びにシャンプー後に使用し、その後ヘアコンディショニング剤を使用しなかった比較例3においては、前記効果が十分に得られないことがわかった。
さらに比較例4に示すとおり、市販のシャンプーとともに本発明の毛髪処理剤を使用し、シャンプーとともに洗い流した場合にも、前記効果が十分に得られないことがわかった。
【0056】
(実施例10)
下記の組成に従い、常法により実施例10の毛髪処理剤を調製した。
成分 配合量
・没食子酸−3,5−ジグルコシド(DGA、三井化学(株)製) 0.3質量%
・塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(アーカードT−833、ライオン(株)製)
0.5質量%
・ポリエチレングリコール300(PEG300、ライオン(株)製) 3.0質量%
・グリセリン(新日本理化製) 10.0質量%
・アミノ変性シリコーン(FZ−4672、日本ユニカー社製) 1.2質量%
・ヒドロキシエチルセルロース(フジケミHEC SZ−25、住友精化製)
1.0質量%
・エタノール 20.0質量%
・グリコール酸(グリピュア70、デュポン(株)製) 2.0質量%
・グリコール酸アンモニウム 0.1質量%
・メチルパラベン(吉富ファインケミカル(株)製) 0.1質量%
・無水ピロリン酸ナトリウム(味の素(株)製) 0.1質量%
・香料C 0.5質量%
・精製水 残部
計 100.0質量%
【0057】
(実施例11)
下記の組成に従い、常法により実施例11の毛髪処理剤を調製した。
成分 配合量
・没食子酸−3,5−ジグルコシド(DGA、三井化学(株)製) 0.2質量%
・塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(アーカード22−80(ライオン(株)製))
0.5質量%
・ポリエチレングリコール200(PEG200、ライオン(株)製) 4.0質量%
・ソルビトール(東和化成(株)製) 15.0質量%
・アミノ変性シリコーン(FZ−4672、日本ユニカー社製) 1.2質量%
・ヒドロキシエチルセルロース(フジケミHEC SZ−25、住友精化製)
1.0質量%
・エタノール 5.0質量%
・グリコール酸(グリピュア70、デュポン(株)製) 2.0質量%
・グリコール酸アンモニウム 0.1質量%
・メチルパラベン(吉富ファインケミカル(株)製) 0.1質量%
・ヒドロキシエタンジスルホン酸(フェリオックス115、ライオン(株)製)
0.1質量%
・香料D 0.5質量%
・精製水 残部
計 100.0質量%
【0058】
実施例10及び11の毛髪処理剤について、実施例1〜9と同様にして、試験及び評価を行ったところ、毛髪に柔らかさと滑らかさとを付与する効果を発揮し、また該効果の持続性も良好であることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の毛髪処理剤は、ヘアコンディショニング剤の効果を高め、ダメージを受けた毛髪の傷みを改善し、柔軟性や滑沢性を付与し、まとまりのよい毛髪に仕上げるとともに、これらの効果に持続性を付与することができ、さらに、消費者が通常使用している毛髪化粧料と併用可能であるため、手軽に使用できるインバス製品として好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
没食子酸配糖化物を含有し、シャンプーによる洗髪後、ヘアコンディショニング剤を使用する前の毛髪処理に用いられることを特徴とする毛髪処理剤。
【請求項2】
没食子酸配糖化物が、ジグリコシル没食子酸骨格を有する化合物である請求項1に記載の毛髪処理剤。
【請求項3】
ポリエチレングリコールを含む請求項1から2のいずれかに記載の毛髪処理剤。
【請求項4】
実質的に高級アルコールを含まない請求項1から3のいずれかに記載の毛髪処理剤。

【公開番号】特開2006−111588(P2006−111588A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−302039(P2004−302039)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】