説明

毛髪処理剤

【課題】濯ぎ流す際の指通りが良く、かつ、毛髪に触れたときの滑り感が良好となるリンス、トリートメント、コンディショナー等の毛髪処理剤の提供。
【解決手段】毛髪処理剤に、ヒドロキシエチルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルセルロース、並びに、ポリクオタニウム−52を配合する。ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースの配合濃度は、0.01質量%以上0.50質量%以下であると良く、ポリクオタニウム−52の配合濃度は、0.01質量%以上0.50質量%以下であると良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプー後の濡れた毛髪に塗布し、洗い流されるリンス、トリートメント、コンディショナー等として用いられる毛髪処理剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リンス、トリートメント、コンディショナー等のシャンプー後の毛髪に適用される毛髪処理剤には、4級アンモニウム塩、高級アルコール、及びシリコーンを配合することが一般的となっている。その他にも、毛髪処理剤に求める機能に応じた原料が当該処理剤に配合される。また、毛髪処理剤の機能改善・改良のために、新規原料の開発、配合する原料の組合せ検討が企業等において進められている。
【0003】
なお、シャンプー(毛髪洗浄剤)に関することではあるが、特許文献1及び2には、ポリクオタニウム−52を配合することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−173586号公報
【特許文献2】特開2008−184424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、リンス、トリートメント、コンディショナー等の毛髪処理剤には様々な機能が求められ、毛髪処理剤を濯ぎ流す際の指通りの滑らかさ、及び、毛髪処理剤適用後の毛髪に触れたときの滑り感が、需要者から求められることがある。
【0006】
ヒドロキシエチルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルセルロースの配合において、その配合を最適化することによって、毛髪処理剤適用後の滑り感が良好になることを本発明者は見出している。しかし、滑り感が良好となる反面、濯ぎ流す際の指通りが悪化する新たな課題が生じてしまう。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、濯ぎ流す際の指通りが良く、かつ、毛髪に触れたときの滑り感が良好となるリンス、トリートメント、コンディショナー等の毛髪処理剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、ヒドロキシエチルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルセルロースの配合と共にポリクオタニウム−52を配合すれば、毛髪処理剤を濯ぎ流す際の指通りの悪化抑制又は同指通りの向上と、処理後の毛髪に触れたときの滑り感が良好になることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明に係る毛髪処理剤は、シャンプー後の毛髪に塗布し、洗い流されるものであって、ヒドロキシエチルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルセルロース、並びに、ポリクオタニウム−52が配合されたことを特徴とする。
【0010】
前記ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースの配合濃度は、例えば0.01質量%以上0.50質量%以下である。また、前記ポリクオタニウム−52の配合濃度は、例えば0.01質量%以上0.50質量%以下である。
【発明の効果】
【0011】
ポリクオタニウム−52が配合された本発明に係る毛髪処理剤によれば、ヒドロキシエチルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルセルロースの配合による濯ぎ流す際の指通りの悪化の抑制又は同指通りの向上を実現できる。また、本発明に係る毛髪処理剤によれば、ポリクオタニウム−52が配合されたものなので、処理後の毛髪に触れたときの滑り感が良好となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態の毛髪処理剤に基づき、本発明を以下に説明する。
本実施形態の毛髪処理剤は、水と共に、ヒドロキシエチルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルセルロース、並びに、ポリクオタニウム−52が配合されたものである(毛髪処理剤における水の配合濃度は、例えば60質量%以上95質量%以下。)。また、この毛髪処理剤には、任意原料として公知の毛髪処理剤原料が適宜配合される。
【0013】
(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)
本実施形態の毛髪処理剤には、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースから選ばれた一種又は二種以上が配合される。
【0014】
ヒドロキシエチルセルロースとして好ましいものは、これを1質量%水溶液としたときの粘度が2400mPa・s以上5500mPa・s以下のものであり、2400mPa・s以上3000以下のものがより好ましい。また、ヒドロキシプロピルセルロースとして好ましいものは、ヒドロキシエチルセルロースと同様、1質量%水溶液の粘度が2400mPa・s以上5500mPa・s以下のものであり、2400mPa・s以上3000以下のものがより好ましい。前記粘度が2400mPa・s以上5500mPa・s以下のヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースであれば、毛髪処理剤を濯ぎ流す際の指通りの良さ、及び毛髪処理剤の粘性を低下させるのに有利である。
【0015】
本実施形態の毛髪処理剤におけるヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースの配合濃度は、例えば0.01質量%以上0.50質量%以下であり、通常0.03質量%以上0.30質量%以下であり、濯ぎ流しの際の指通りを一層良好にするには、0.15質量%以下が良く、0.10質量%以下が好ましく、0.07質量%以下がより好ましい。毛髪処理剤がクリーム状である場合、その配合濃度は、0.03質量%以上0.50質量%以下が好ましい。毛髪処理剤がクリーム状であれば、0.03質量%未満の配合濃度であると、毛髪処理剤を延ばす等のハンドリングに不利な高い粘度となる虞があり、0.50質量%を超えると、低粘度化が過ぎる虞がある。
【0016】
(ポリクオタニウム−52)
本実施形態の毛髪処理剤には、市販のポリクオタニウム−52から選定した一種又は二種以上を配合すると良い。その市販のポリクオタニウム−52としては、花王社製の「ソフケア KG−301W」、同社製の「ソフケアKG−101W−E」等がある。
【0017】
ポリクオタニウム−52とは、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩、N,N−ジメチルアクリルアミド、及びジメタクリル酸ポリエチレングリコールの共重合体である。ポリクオタニウム−52の例としては、下記式(I)で表されるものが挙げられる。
【0018】
【化1】

上記式(I)において、x、y、及びzは夫々平均付加モル数を表し、x:y:z=5〜40:60〜100:0.0020〜0.0050である。
【0019】
本実施形態の毛髪処理剤におけるポリクオタニウム−52の配合濃度の下限は、特に限定されないが、例えば0.01質量%以上0.50質量%以下であり、0.02質量%以上0.30質量%以下が通常である。毛髪処理剤がクリーム状である場合、その配合濃度は、0.03質量%以上が好ましい。毛髪処理剤がクリーム状であれば、0.03質量%未満の配合濃度であると、毛髪処理剤を延ばす等のハンドリングに不利な高い粘度となることがある。
【0020】
(任意原料)
本実施形態の毛髪処理剤に配合される任意原料は、この毛髪処理剤の用途、目的に応じて、公知の毛髪処理剤原料から選択される。この毛髪処理剤原料は、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、高級アルコール、低級アルコール、多価アルコール、糖類、エステル油、油脂、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤等である。
【0021】
任意原料の中でも、4級アンモニウム塩、高級アルコール、低級アルコール、シリコーンは、汎用性が高い。
【0022】
4級アンモニウム塩としては、例えば、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジセチルジメチルアンモニウムクロリド、ジココイルジメチルアンモニウムクロリド等のジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩;ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド等のモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩;ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等の長鎖アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩;が挙げられる。一種又は二種以上の4級アンモニウム塩を本実施形態の毛髪処理剤に配合すると良く、その配合濃度は、適宜設定されるものであるが、例えば1.0質量%以上5.0質量%以下である。
【0023】
高級アルコールとしては、例えば、セタノール、イソセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコールが挙げられ、炭素数16〜22の直鎖状飽和アルコールが好ましい。一種又は二種以上の高級アルコールを本実施形態の毛髪処理剤に配合すると良く、その配合濃度は、適宜設定されるものであるが、例えば5.0質量%以上12.0質量%以下である。
【0024】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコールが挙げられる。一種又は二種以上の低級アルコールを本実施形態の毛髪処理剤に配合すると良く、その配合濃度は、適宜設定されるものであるが、例えば1.0質量%以上3.0質量%以下である。
【0025】
シリコーンとしては、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシクロメチコン;ジメチコノール;メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン等のジメチコン;アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアモジメチコン;が挙げられる。一種又は二種以上のシリコーンを本実施形態の毛髪処理剤に配合すると良く、その配合濃度は、適宜設定されるものであるが、例えば1.0質量%以上5.0質量%以下である。
【0026】
(剤型、pH、粘度)
本実施形態の毛髪処理剤は、O/Wエマルションであると良い。当該処理剤のpHは、酸性であると良く、例えば2.9以上3.9以下である。また、粘度は、例えば、B型粘度計を使用して25℃、ローターNo.4、12rpmで計測した60秒後の値が10000mPa・s以上25000mPa・s以下である。
【0027】
(使用方法)
本実施形態の毛髪処理剤は、アニオン界面活性剤等が配合されたシャンプーで洗浄した後の濡れた毛髪に対して適用されるものである。そして、その毛髪に本実施形態の毛髪処理剤を塗布し、当該毛髪処理剤を水洗することにより用いられる。
【実施例】
【0028】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱することがない限り、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0029】
(毛髪処理剤)
油相成分及び水相成分を構成する下記表1に示す原料を水に配合し、実施例1〜4及び比較例1〜4の毛髪処理剤(クリーム状エマルション)を調製した。なお、ヒドロキシエチルセルロース及びポリクオタニウム−52については、水相に配合した。
【0030】
(毛髪処理)
カラーリング処理履歴のある頭髪を、シャンプーで洗髪した後、上記調製した約3gの毛髪処理剤をポンプ型容器から吐出させ、手の平で延ばしてから塗布し、揉み込んだ。このとき、頭髪の左半分に塗布した毛髪処理剤と右半分に塗布した毛髪処理剤は、異なるものとした(表1の実施例1〜4及び比較例1〜4における対比では、比較例1を基準とした。)。その後、頭髪を温水で濯ぐことで毛髪処理剤を洗い流し、ドライヤーで乾燥した。
【0031】
(評価)
専門の評価者10名程度により、(a)「濯ぎ流す際の指通り」として、毛髪処理過程での頭髪から毛髪処理剤を濯ぎ流す際の指通り、(b)「髪の滑り・硬さ」として、毛髪処理後の毛髪を触ったときの滑り、(c)「髪の纏まり」として、毛髪処理後の毛先までの纏まり、(d)「毛髪処理剤の使用感」として、ポンプ容器から毛髪処理剤を吐出させ、手の平で延ばす際の使用感、を評価した。これら全ての評価は、評価者の多数決により決するものとし、評価基準は、以下の通りとした。
【0032】
濯ぎ流す際の指通り:
○:基準よりも指通りが滑らかであった。
―:基準又は基準と同等
△:基準よりも指通りが悪かった。
×:指への髪の絡まりが顕著であった。
髪の滑り・硬さ:
◎:基準より滑りを感じ、硬さを感じなかった。
○:基準より滑りを感じるが、硬さを感じた。
―:基準又は基準と同等
×:基準より滑りが悪かった。
髪の纏まり:
―:基準又は基準と同等
×:基準よりも毛先の纏まりが悪かった。
毛髪処理剤の使用感:
―:基準又は基準と同等
△:基準よりも毛髪処理剤がやや硬さを感じた。
×:基準よりも毛髪処理剤が硬く、伸ばし難かった。
【0033】
評価結果を下記表1に示す。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャンプー後の毛髪に塗布し、洗い流される毛髪処理剤であって、
ヒドロキシエチルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルセルロース、並びに、ポリクオタニウム−52が配合されたことを特徴とする毛髪処理剤。
【請求項2】
前記ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースの配合濃度が、0.01質量%以上0.50質量%以下である請求項1に記載の毛髪処理剤。
【請求項3】
前記ポリクオタニウム−52の配合濃度が、0.01質量%以上0.50質量%以下である請求項1又は2に記載の毛髪処理剤。

【公開番号】特開2012−82169(P2012−82169A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230208(P2010−230208)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(592255176)株式会社ミルボン (138)
【Fターム(参考)】