説明

毛髪化粧料

【課題】 毛髪の強度及びその持続性を向上させることができる毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】 毛髪化粧料は、染毛処理剤で染毛処理された毛髪に対して適用されるもので、下記の化学式(1)に示すイミダゾリン型第4級アンモニウム塩と、アミノ変性シリコーンとを必須成分として含有するものである。
【化1】


但し、Rは炭素数11〜23のアルキル基又はアルケニル基、Xはハロゲン原子、メチルサルフェート残基又はエチルサルフェート残基を表す。
毛髪化粧料には、更に動粘度が6〜50cStのメチルポリシロキサン又はアミノ酸若しくはその誘導体を含有することが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化染毛剤等の染毛処理剤で染毛処理された毛髪に対して適用される毛髪化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、イミダゾリン型第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を用いた洗浄剤組成物が知られている(例えば、特許文献1を参照)。すなわち、洗浄剤組成物は、(1)両性界面活性剤と、(2)イミダゾリン型第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤と、(3)カルボン酸塩型アニオン界面活性剤とを含有し、成分(2)/成分(3)のモル比が4/6〜8/2で、かつ成分(2)と成分(3)の合計が組成物全量中0.5〜20重量%配合されているものである。そして、この洗浄剤組成物は、シャンプー等として用いた場合、リンス効果に優れ、皮膚に対する刺激が少ないという効果を発揮することができる。
【特許文献1】特許第2537377号公報(第1頁及び第5頁の表1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に記載の洗浄剤組成物においては、イミダゾリン型第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤とカルボン酸塩型アニオン界面活性剤とを特定のモル比で組合せ、それに更に両性界面活性剤を組合せることにより、リンス効果と皮膚に対する刺激が少ないという効果を得たものである。しかしながら、この組成物は洗浄剤組成物であって、前記の組成によってそれ以外の効果、例えば洗浄後に毛髪の強度を向上させることができるものではない。特に、染毛処理剤で染毛処理された毛髪に対して適用した場合に毛髪の強度及びその持続性を向上させることができるものではない。
【0004】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、毛髪の強度及びその持続性を向上させることができる毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の毛髪化粧料は、染毛処理剤で染毛処理された毛髪に対して適用される毛髪化粧料であって、下記の化学式(1)に示すイミダゾリン型第4級アンモニウム塩と、アミノ変性シリコーンとを必須成分として含有することを特徴とする毛髪化粧料。
【0006】
【化2】

但し、Rは炭素数11〜23のアルキル基又はアルケニル基、Xはハロゲン原子、メチルサルフェート残基又はエチルサルフェート残基を表す。
【0007】
請求項2に記載の発明の毛髪化粧料は、請求項1に記載の発明において、前記アミノ変性シリコーンの動粘度が1,000,000〜30,000,000cStであることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載の発明の毛髪化粧料は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、更に動粘度が6〜50cStのメチルポリシロキサンを含有することを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載の発明の毛髪化粧料は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、更にアミノ酸又はその誘導体を含有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の発明の毛髪化粧料には、前記化学式(1)に示すイミダゾリン型第4級アンモニウム塩と、アミノ変性シリコーンとが必須成分として含まれている。イミダゾリン型第4級アンモニウム塩はカチオン性を有し、染毛処理剤で染毛処理された毛髪表面に吸着され、被膜を形成する。アミノ変性シリコーンもカチオン性を有すると共に、イミダゾリン型第4級アンモニウム塩と同様にアミノ基(イミノ基)を有しているため、毛髪表面に吸着されて被膜を形成すると同時に、イミダゾリン型第4級アンモニウム塩に対して親和力を発現することができる。従って、両成分が相乗的に作用して毛髪の強度及びその持続性を向上させることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明の毛髪化粧料においては、アミノ変性シリコーンの動粘度が1,000,000〜30,000,000cStで高い粘性を有していることから、請求項1に係る発明の効果を向上させることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明の毛髪化粧料においては、更に動粘度が6〜50cStのメチルポリシロキサンが含まれている。このメチルポリシロキサンは親油性であり、イミダゾリン型第4級アンモニウム塩に含まれる親油基及びアミノ変性シリコーンに含まれる親油基に親和力を示し、請求項1又は請求項2に係る発明の効果を向上させることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明の毛髪化粧料においては、更にアミノ酸又はその誘導体が含まれている。このアミノ酸又はその誘導体は、アミノ基がイミダゾリン型第4級アンモニウム塩のアミノ基及びアミノ変性シリコーンのアミノ基に親和性を示し、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の毛髪化粧料は、染毛処理剤で染毛処理された毛髪に対して適用される毛髪化粧料であって、イミダゾリン型第4級アンモニウム塩と、アミノ変性シリコーンとを必須成分として含有し、その他メチルポリシロキサン、アミノ酸又はその誘導体等を含有するものである。すなわち、毛髪化粧料は、毛髪を一旦染毛処理剤で染毛処理し、染毛処理された毛髪に対して適用され、毛髪の強度及びその持続性を向上させることができるものである。
【0015】
まず、毛髪化粧料の必須成分であるイミダゾリン型第4級アンモニウム塩について説明する。このイミダゾリン型第4級アンモニウム塩は、下記の化学式(1)に示される化合物である。
【0016】
【化3】

但し、Rは炭素数11〜23のアルキル基又はアルケニル基、Xはハロゲン原子、メチルサルフェート残基又はエチルサルフェート残基を表す。
【0017】
イミダゾリン型第4級アンモニウム塩はカチオン性を有し、染毛処理剤で染毛処理された毛髪表面に吸着され、被膜を形成し、毛髪の強度向上に寄与するものである。また、イミダゾリン型第4級アンモニウム塩は、毛髪に柔軟な感触を与えると共に、染毛処理された色について退色抑制効果を示す。係るイミダゾリン型第4級アンモニウム塩として好ましくは、下記の化学式(2)で表されるジベヘニルイミダゾリニウムメトサルフェート(di-behenyl imidazolinium methosulfate、INCI名:クオタニウム-91)が挙げられる。このジベヘニルイミダゾリニウムメトサルフェートは、前記化学式(1)において、Rが炭素数21のアルキル基、Xがメチルサルフェート残基のものである。
【0018】
【化4】

ジベヘニルイミダゾリニウムメトサルフェートとしては、例えばクローダ社のクロダゾソフトDBQが挙げられる。その他、イミダゾリン型第4級アンモニウム塩としては、化学式(1)のRが炭素数11、15、17又は19で、Xが塩素原子である化合物、Rが炭素数15で、Xがメチルサルフェート残基である化合物等が用いられる。
【0019】
イミダゾリン型第4級アンモニウム塩の配合量は、毛髪化粧料中に好ましくは0.05〜3質量%、より好ましくは0.1〜2質量%である。この配合量が0.05質量%未満の場合には、イミダゾリン型第4級アンモニウム塩による被膜が十分に形成されず、毛髪の強度及びその持続性に十分寄与することができない。一方、配合量が3質量%を越える場合には、皮膚に対する刺激が強くなり過ぎることがあり、好ましくない。
【0020】
続いて、アミノ変性シリコーンについて説明する。
アミノ変性シリコーンは次の化学式(3)に示される化合物である。
【0021】
【化5】

(式中、R4はメチル基又はヒドロキシル基を表し、R5はメチル基、ヒドロキシル基又はR6を表す。R6はR7Zで表されるアミノ基又はアンモニウム基を有する置換基を表し、a及びbはそれぞれ分子量に依存する整数を表し、a+bが50〜20,000である。また、R7は炭素数3〜6の2価の炭化水素基を表す。Zは−NR82、−N+83-、−NR8(CH2cNR82、−NR8(CH2c+83-、及び−NR8(CH2cNR8C=O(R9)からなる群より選ばれる1価の基を表す。ここで、R8は水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を示し、R9は炭素数1〜4の炭化水素基を示し、Aはハロゲン原子を表し、cは2〜6の整数を表す。)
上記の一般式(2)で表されるアミノ変性シリコーンは、カチオン性を有すると共に、アミノ基(イミノ基)を有しているため、毛髪表面に吸着されて被膜を形成すると同時に、イミダゾリン型第4級アンモニウム塩に対して親和力を発現するものである。また、アミノ変性シリコーンは、損傷(ダメージ)を受けた毛髪に対する吸着効果が高く、指通りを良くする成分である。アミノ変性シリコーンの具体例としては、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アミノプロピルジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アモジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(トリメチルシリルアモジメチコン)等が挙げられる。これらのアミノ変性シリコーンは単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。これらのアミノ変性シリコーンの中でも、毛髪にしっとり感を付与する効果に優れることから、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体が好ましい。
【0022】
また、アミノ変性シリコーンの動粘度は、1,000,000〜30,000,000cStであることが好ましい。この動粘度が1,000,000cSt未満の場合には、粘度が低く、毛髪に対する付着性が低下する。一方、動粘度が30,000,000cStを越える場合には、粘度が高くなり過ぎて毛髪化粧料中における混合性が低下する。
【0023】
アミノ変性シリコーンの含有量は、毛髪化粧料中に好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。この含有量が0.01質量%未満の場合には、アミノ変性シリコーンによる被膜の形成やイミダゾリン型第4級アンモニウム塩に対する親和力を発現が不十分になる。含有量が3質量%を越える場合には、過剰のアミノ変性シリコーンにより毛髪が重い感触となるおそれがある。
【0024】
次に、メチルポリシロキサンについて説明する。
このメチルポリシロキサンは、ポリシロキサン(シリコーン)の水素がメチル基で置換されたもので、動粘度が6〜50cStのものである。メチルポリシロキサンは親油性であり、イミダゾリン型第4級アンモニウム塩に含まれる親油基及びアミノ変性シリコーンに含まれる親油基に親和力を示し、毛髪の強度向上に貢献する成分である。メチルポリシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチル水素ポリシロキサン等が挙げられる。
【0025】
メチルポリシロキサンの動粘度が6cSt未満の場合には、粘度が低く毛髪に対する付着性が不足し、毛髪への塗布のし易さが十分に得られないおそれがある。この動粘度が50cStを越える場合には、粘度が高くなり過ぎて毛髪化粧料中における混合性が低下する。メチルポリシロキサンの含有量は好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。この含有量が0.1質量%未満の場合には、メチルポリシロキサンによる毛髪の強度向上への寄与が少なくなる。一方、含有量が20質量%を越える場合には、過剰のメチルポリシロキサンにより毛髪が重い感触となるおそれがある。
【0026】
次いで、アミノ酸又はその誘導体について説明する。
このアミノ酸又はその誘導体は、アミノ基がイミダゾリン型第4級アンモニウム塩のアミノ基及びアミノ変性シリコーンのアミノ基に親和性を示し、毛髪の強度向上及び毛髪強度の持続性に寄与する成分である。アミノ酸又はその誘導体としては、例えばグリシン、サルコシン、ジメチルグリシン、ベタイン、アラニン、β−アラニン、α−アミノ酪酸、β−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、γ−アミノ−β−オキソ酪酸、バリン、β−アミノイソ吉草酸、γ−アミノイソ吉草酸、ノルバリン、β−アミノ吉草酸、γ−アミノ吉草酸、δ−アミノ吉草酸、ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、セリン、α−メチルセリン、イソセリン、α−メチルイソセリン、シクロセリン、ホモセリン、トレオニン、o−メチルトレオニン、アロトレオニン、o−メチルアロトレオニン、ロセオニン、トランス−3−アミノシクロヘキサンカルボン酸、シス−3−アミノシクロヘキサンカルボン酸、ε−アミンカプロン酸、ω−アミノドデカン酸、β−ヒドロキシバリン、α−ヒドロキシ−β−アミノイソ吉草酸、システイン、シスチン、S−メチルシステイン、S−メチルシステイン−S−オキシド、システイン酸、ホモシステイン、ホモシスチン、メチオニン、ペニシラミン、タウリン、L−テアニン、α,β−ジアミノプロピオン酸、オルニチン、リジン、アルギニン、カナリン、カナバニン、δ−ヒドロキシリシン、アスパラギン酸、アスパラギン、イソアスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、イソグルタミン、α−メチルグルタミン酸、β−ヒドロキシグルタミン酸、γ−ヒドロキシグルタミン酸、α−アミノアジピン酸、シトルリン、ランチオニン、シスタチオニン、フェニルアラニン、α−メチルフェニルアラニン、o−クロロフェニルアラニン、m−クロロフェニルアラニン、p−クロロフェニルアラニン、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン、p−フルオロフェニルアラニン、β−(2−ピリジル)アラニン、チロシン、チロニン、ジクロロチロシン、ジブロモチロシン、ジヨードチロシン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、α−メチル−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、フェニルグリシン、トリプトファン、アブリン、ヒスチジン、1−メチルヒスチジン、2−メルカプトヒスチジン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アントラニル酸、パラミノール及びこれらの塩等が挙げられる。
【0027】
これらの中でもグリシン、タウリン、サルコシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、L−テアニン、アルギニン、ヒスチジン、リジン及びこれらの塩等が好ましい。
【0028】
アミノ酸又はその誘導体の含有量は、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.005〜3質量%である。この含有量が0.001質量%未満の場合には、アミノ酸又はその誘導体による毛髪の強度向上への寄与が低下する。一方、含有量が50質量%を越える場合には、過剰のアミノ酸又はその誘導体により毛髪が重い感触となるおそれがある。
【0029】
毛髪化粧料には、上記の成分以外に油性成分、炭化水素、界面活性剤、pH調整剤、アルコール類等を配合することができる。
油性成分は、毛髪化粧料の塗布しやすさ、毛髪に軟らかさと潤いを与えるために配合されることが好ましい。油性成分としては、多価アルコール、油脂、ロウ類、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル類等が挙げられる。
【0030】
多価アルコールとしては、グリコール類、グリセリン類等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。グリセリン類としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0031】
油脂としては、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油アボカド油、カロット油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、ミンク油、卵黄油等が挙げられる。ロウ類としては、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン等が挙げられる。
【0032】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。
【0033】
アルキルグリセリルエーテルとしては、バチルアルコール(モノステアリルグリセリルエーテル)、キミルアルコール(モノセチルグリセリルエーテル)、セラキルアルコール(モノオレイルグリセリルエーテル)、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0034】
エステル類としては、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸トリイソデシル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、脂肪酸(C10-30)(コレステリル/ラノステリル)、乳酸ラウリル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ラノリン誘導体等が挙げられる。これらの油性成分は単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。油性成分の含有量は0.01〜50.0質量%、好ましくは0.1〜30.0質量%である。
【0035】
炭化水素としては、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、パラフィン、ポリエチレン末、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤又は両性界面活性剤が用いられる。この界面活性剤としては、後述する染毛処理剤に配合されるものがいずれも用いられる。pH調整剤としては、クエン酸、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。アルコール類としては、コレステロール等が挙げられる。その他、毛髪化粧料には上記成分以外に水が配合され、各成分が水に分散された水分散液として調製される。毛髪化粧料は、水分散液であるため、毛髪に対する塗布、洗い流し等の取扱いが良好である。調製された毛髪化粧料のpHは弱酸性、すなわちpH3以上7未満であることが好ましい。pHを弱酸性にすることにより、毛髪化粧料を安定に維持し、各成分の効果を十分に発揮させることができる。
【0036】
次に、前記染毛処理剤及びそれを用いた染毛処理について説明する。
染毛処理剤としては、酸化染毛剤、酸性染毛剤(ヘアマニキュア)等の液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状又はペースト状の処理剤が用いられる。酸化染毛剤は、一般に酸化染料、アルカリ剤等を含有する第1剤と、酸化剤等を含有する第2剤とにより構成されている。これらの第1剤及び第2剤は混合され、その混合物が毛髪に塗布されることにより、毛髪を所望とする色に染色することができる。
【0037】
第1剤は、酸化染料、アルカリ剤等が含有されている。酸化染料としては、パラフェニレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−パラフェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン及びその塩等の成分が、常法に従って配合される。アルカリ剤としては、28%アンモニア水又はモノエタノールアミンが用いられる。一般的に酸化染料は主要中間体及びカプラーに分類されるが、上記のパラフェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン及びそれらの塩は主要中間体に該当し、染毛力に優れている。これらの成分はそれぞれ単独で又は混合して用いられる。
【0038】
一方、カプラーとしては、レゾルシン、ピロガロール、カテコール、m−アミノフェノール、m−フェニレンジアミン、o−アミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−3,4−ジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ハイドロキノン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノ−o−クレゾール、ジフェニルアミン、p−メチルアミノフェノール、フロログルシン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、五倍子、1−メトキシ−2−アミノ−4−(2−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、それらの塩類等が挙げられる。これらのカプラーは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
酸化染料の含有量は、0.01〜15質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。このモル濃度が0.01質量%未満の場合には十分な染毛力が得られず、15質量%を越えてもそれ以上の染毛力の向上は認められず、かえって濃く染まりすぎて不自然な染毛状態になる。
【0040】
アルカリ剤は、第2剤中に含有される酸化剤の作用を促進することにより、毛髪に明度を付与するために配合される。このアルカリ剤は、28%アンモニア水又はモノエタノールアミンである。これらのアルカリ剤は単独で配合してもよいし、2種を組み合わせて配合してもよい。
【0041】
アルカリ剤の含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましい。この含有量が0.1質量%未満の場合には十分な染毛力が得られず、10質量%を越える場合にはブリーチ力が強すぎるため、濃く染めることが困難であり、特に白髪を十分に染毛することができず、また毛髪に損傷を与えるおそれもある。
【0042】
次に、第1剤のpHは、好ましくは7.5〜12、より好ましくは8〜11である。第1剤のpHが7.5未満では、酸化剤の作用を十分に促進することができないおそれがある。一方、pHが12を越えると毛髪が染色される際、毛髪に損傷等の不具合が発生するおそれがある。
【0043】
第1剤には、その他の成分として水、pH調整剤、界面活性剤、油性成分等を含有させることもできる。水は、各成分の溶媒又は分散媒として第1剤を溶液、分散液又は乳化物とするために適量配合される。混合物中における水の含有量は、好ましくは50〜95質量%、更に好ましくは70〜90質量%である。この含有量が50質量%未満では、水溶液、分散液又は乳化液を安定して形成することが困難となるおそれがある。一方、95質量%を越えて配合すると、混合物の均一性及び安定性を確保しにくくなる。
【0044】
第1剤のpHを上記の範囲に設定するために、第1剤にpH調整剤を含有させることが好ましい。pH調整剤の具体例としては、リン酸、クエン酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸等が挙げられる。第1剤中におけるpH調整剤の配合量は、第1剤のpHが上記の範囲となる量とするのが好ましい。
【0045】
界面活性剤は、第1剤の安定性を保持するために配合される。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
【0046】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレン(以下、POEという)アルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレン(以下、POPという)アルキルエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。POEアルキルエーテル類の具体例としては、POEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル等が挙げられる。
【0047】
カチオン性界面活性剤の具体例としては、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン等が挙げられる。
【0048】
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のPOEアルキル硫酸塩、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩等が挙げられる。
【0049】
両性界面活性剤の具体例としては、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
【0050】
油性成分としては、高級アルコール、油脂類、ロウ類、炭化水素類、エステル類、シリコーン類等が挙げられる。高級アルコールの具体例としては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。
【0051】
油脂類の具体例としては、オリーブ油のグリセライド等、ロウ類の具体例としては、ミツロウ、ラノリン、ホホバ油等、炭化水素類の具体例としては、流動パラフィン、固形パラフィン、イソパラフィン、スクワラン等が挙げられる。エステル類の具体例としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等、シリコーン類の具体例としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン等が挙げられる。
【0052】
更に、その他の成分としてラウリン酸、ミリスチン酸、リノレン酸等の脂肪酸、ソルビトール、マルトース等の糖類、多価アルコール、バチルアルコール、キミルアルコール等のアルキルグリセリルエーテル、アラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、セルロース誘導体、架橋ポリアクリル酸、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジウム等の水溶性高分子化合物、パラベン等の防腐剤、EDTA−2Na等のキレート剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤等が挙げられる。また「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を配合してもよい。
【0053】
この第1剤の剤型としては、水溶液状、分散液状、乳化物状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等が挙げられる。
次に、第2剤には前記のように酸化剤等が含有される。この酸化剤は、酸化染料を酸化重合させて発色させると共に、毛髪に含まれるメラニンを脱色させるために配合される。酸化剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が挙げられる。これらの酸化剤は単独で配合してもよく、2種以上を組み合わせて配合してもよい。これらの酸化剤の中でも、メラニンの脱色力に優れることから、過酸化水素が好ましい。
【0054】
混合物中における酸化剤の含有量は、好ましくは0.1〜9質量%、より好ましくは1〜6質量%である。この含有量が0.1質量%未満の場合、酸化染料を十分に酸化重合させることができない。一方、9質量%を越える場合、毛髪の損傷を低減させることができない。
【0055】
第2剤にはその他の成分として第1剤に記載の水、油性成分、界面活性剤等が含有される。また、酸化剤として過酸化水素を含有させた場合には、過酸化水素の保存安定性を向上させるために安定化剤を含有させることが好ましい。過酸化水素の安定化剤としては、尿素、フェナセチン、スズ酸ナトリウム、エチレングリコールフェニルエーテル、8−オキシキノリン、リン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及びその塩、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。また「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を配合してもよい。この第2剤の剤型は、水溶液状、分散液状、乳化物状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等が挙げられる。
【0056】
そして、前記第1剤及び第2剤を所定の割合で混合調製することによって混合物が得られる。第1剤と第2剤との混合割合は、好ましくは質量比で第1剤:第2剤=1:0.5〜1:5である。この混合割合よりも第1剤が多くなるか又は第2剤が多くなると、染毛力と毛髪への損傷の抑制の点から、第1剤中及び第2剤中における各成分の含有量を設定しにくくなる。
【0057】
混合物の剤型は、水溶液状、分散液状、乳化物状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等が挙げられる。この混合物は毛髪に塗布され、混合物が塗布された毛髪は、一定時間放置されることにより徐々に染色される。
【0058】
そして、酸化染毛剤を使用するには、第1剤及び第2剤を例えば質量比で1:1の混合割合で混合することによって混合物を調製し、この混合物の必要量をコーム(櫛)又は刷毛に付着させ、毛髪に塗布する。この混合物中では、酸化剤によって酸化染料が酸化重合されることにより、酸化染料が発色される。一定時間放置後の毛髪には、プレーンリンス(水、温水等による毛髪のすすぎ)が施され、毛髪の染毛処理が仕上げられる。
【0059】
また、前記酸性染毛剤は、直接染料及び有機溶剤等が含有され、その他の成分として染毛料に通常用いられる成分が含有されているものである。直接染料は、毛髪を染色するために配合される。この直接染料は反応性がなく、それ自体で発色可能なものである。直接染料の具体例としては、ニトロ染料、酸性染料、塩基性染料(カチオン染料)、分散染料等が用いられる。
【0060】
さて、毛髪化粧料を調製する場合には、イミダゾリン型第4級アンモニウム塩と、アミノ変性シリコーンと、必要によりメチルポリシロキサン、アミノ酸又はその誘導体等とを所定量ずつ秤量して撹拌混合する。得られた毛髪化粧料を毛髪に適用する場合には、予め毛髪に対して染毛処理剤で染毛処理をしておく。毛髪に対する染毛処理は、例えば酸化染毛剤の第1剤と第2剤とを混合し、その混合物を櫛又は刷毛に付着させ、或は手に取って毛髪に塗布する。これにより、酸化剤によって酸化染料が酸化重合され、酸化染料が発色される。一定時間放置後の毛髪には、プレーンリンスを施こす。
【0061】
このようにして得られた毛髪に対し、前記毛髪化粧料を櫛又は刷毛に付着させ、或は直接手に取り毛髪に塗布する。その後、毛髪化粧料を水で流し、毛髪を乾燥させる。或は、水で流さず、そのまま放置する。このように処理された毛髪は、毛髪化粧料中のイミダゾリン型第4級アンモニウム塩がカチオン性を有し、染毛処理された毛髪表面に吸着され、被膜が形成される。毛髪化粧料中のアミノ変性シリコーンもカチオン性を有し、アミノ基(イミノ基)も有しているため、毛髪表面に吸着されて被膜を形成すると共に、イミダゾリン型第4級アンモニウム塩の被膜に対して親和力を発現すると考えられる。
【0062】
更に、メチルポリシロキサンは親油性を示し、イミダゾリン型第4級アンモニウム塩に含まれる親油基及びアミノ変性シリコーンに含まれる親油基に親和力を示し、吸着されると推測される。アミノ酸又はその誘導体は、アミノ基がイミダゾリン型第4級アンモニウム塩のアミノ基及びアミノ変性シリコーンのアミノ基に親和性を示し、吸着されると考えられる。従って、染毛処理された毛髪の表面には密着性の良い被膜が形成され、毛髪が補強される。
【0063】
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 本実施形態の毛髪化粧料には、イミダゾリン型第4級アンモニウム塩としてのジベヘニルイミダゾリニウムメトサルフェートと、アミノ変性シリコーンとが必須成分として含まれている。ジベヘニルイミダゾリニウムメトサルフェートはカチオン性を有し、染毛処理された毛髪表面に吸着され、被膜を形成する。アミノ変性シリコーンもカチオン性を有すると共に、ジベヘニルイミダゾリニウムメトサルフェートと同様にアミノ基(イミノ基)を有しているため、毛髪表面に吸着されて被膜を形成すると同時に、ジベヘニルイミダゾリニウムメトサルフェートに対して親和力を発現する。従って、両成分が相乗的に作用して毛髪の周囲を覆い、毛髪の強度及びその持続性を向上させることができる。よって、染毛処理剤で繰り返し染毛処理が施されて切れやすくなった毛髪に対して強度を向上させることができる。
【0064】
・ また、毛髪化粧料に含まれるアミノ変性シリコーンの動粘度は1,000,000〜30,000,000cStで高い粘性を有していることから、毛髪の強度及びその持続性を向上させることができる。
【0065】
・ 加えて、毛髪化粧料には更に動粘度が6〜50cStのメチルポリシロキサンが含まれている。このメチルポリシロキサンは親油性であり、ジベヘニルイミダゾリニウムメトサルフェート中の親油基及びアミノ変性シリコーン中の親油基に親和力を示し、毛髪の強度及びその持続性を一層向上させることができる。
【0066】
・ また、毛髪化粧料には更にアミノ酸又はその誘導体が含まれている。このアミノ酸又はその誘導体は、アミノ基がジベヘニルイミダゾリニウムメトサルフェートのアミノ基及びアミノ変性シリコーンのアミノ基に親和性を示し、毛髪の強度及び特にその持続性をより向上させることができる。
【実施例】
【0067】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。
(実施例1〜12及び比較例1〜6)
下記の酸化染毛剤の第1剤と第2剤とを1:1の質量比で混合し、ヒト黒毛束に適用後20分間放置し、洗い流して乾燥させた。そして、表1〜表3に示す実施例1〜12及び比較例1〜6の毛髪化粧料を毛束に均一に塗布し、3分間放置後、温水ですすぎ、ドライヤーで乾燥させた。尚、表1〜表3に示す配合量は質量部を表す。また、ステアレス−10は、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレン基の繰り返し数10)を意味する。このように毛髪化粧料で処理した毛髪について、下記に示す方法により毛髪強度及びその持続性、退色抑制効果、指通り性及び塗布性を測定した。それらの結果を表1〜表3に示した。
<酸化染毛剤>
(第1剤) 質量%
パラフェニレンジアミン 0.2
レゾルシン 1.0
パラアミノフェノール 0.5
2,6−ジアミノピリジン 0.2
セチルアルコール 5.0
ポリエチレングリコール 5.0
ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル 8.0
ドデシル硫酸ナトリウム 1.2
強アンモニア水 5.0
アスコルビン酸 0.5
精製水 残 量
(第2剤) 質量%
過酸化水素(35%水溶液) 17.0
精製水 残 量
<毛髪強度及びその持続性>
各例の毛髪化粧料で処理する前後の毛髪について、引張試験機(テンシロンUTM−II;東洋ボールドウィン社製)を用いて破断応力値を測定し、その値の増加率を毛髪強度増加率(%)とした。処理した毛髪を恒温恒湿槽にて5日間保存後、同様の値を測定し、次式により持続率(%)を求めた。
【0068】
持続率(%)=〔(5日後の破断応力値)/(処理直後の破断応力値)〕×100
そして、毛髪強度を次の基準で評価した。
◎:毛髪強度増加率が9%以上、○:毛髪強度増加率が7%以上9%未満、△:毛髪強度増加率が5%以上7%未満、×:毛髪強度増加率が5%未満。
【0069】
また、毛髪強度の持続性を次の基準で評価した。
◎:持続率が98%以上、○:持続率が97%以上98%未満、△:持続率が95%以上97%未満、×:持続率が95%未満。
<退色抑制効果>
染毛処理後に毛髪化粧料で処理した前記毛束を1日後に50℃の1質量%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液に15分間浸漬し、その後十分に水洗し、風乾させた。得られた毛束の退色の程度を処理前の毛束と比較した。そして、退色がほとんどない場合を4点、退色が少ない場合を3点、退色がやや大きい場合を2点、退色が大きい場合を1点とする4段階で評価した。5名のパネラーの採点結果について平均点を算出し、その平均値が3.6点以上のとき「優れる:◎」、2.6点以上3.5点以下のとき「良好:○」、1.6点以上2.5点以下のとき「やや悪い:△」、1.5点以下のとき「悪い:×」とし、評価結果とした。
<指通り性>
毛髪化粧料で処理した後の毛髪に指を通し、非常に良い場合を4点、良い場合を3点、やや悪い場合を2点、悪い場合を1点とする4段階で評価した。5名のパネラーの採点結果について平均点を算出し、平均値が3.6点以上のときを「優れる:◎」、2.6点以上3.5点以下のときを「良好:○」、1.6点以上2.5点以下のときを「やや悪い:△」、1.5点以下のときを「悪い:×」とし、評価結果とした。
<塗布性>
毛髪化粧料を毛髪に塗布する際の塗布のし易さに優れる場合を4点、塗布のし易さが良好である場合を3点、やや塗布しにくい場合を2点及び塗布しにくい場合を1点とする4段階で評価した。5名のパネラーの採点結果について平均点を算出し、平均値が3.6点以上のときを「優れる:◎」、2.6点以上3.5点以下のときを「良好:○」、1.6点以上2.5点以下のときを「やや悪い:△」、1.5点以下のときを「悪い:×」とし、評価結果とした。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

表1に示したように、実施例1〜12では毛髪強度(毛髪強度増加率)及びその持続性(毛髪強度の持続率)がいずれも良好であると共に、退色抑制効果、指通り性及び塗布性についても良好であった。特に、ジベヘニルイミダゾリニウムメトサルフェート、アミノ変性シリコーン、メチルポリシロキサン及びアミノ酸を含む場合(実施例1〜6及び実施例9)には、毛髪強度及びその持続性が最も優れている。
【0073】
これに対して、ジベヘニルイミダゾリニウムメトサルフェートを用いなかった場合(比較例2、4及び6)及びアミノ変性シリコーンを用いなかった場合(比較例1、3及び5)には、いずれも毛髪強度が悪い結果であった。
(実施例13)
実施例13では、実施例1〜12において、毛髪化粧料を毛束に均一に塗布し、3分間放置後、温水ですすぐことなく、そのままドライヤーで乾燥させた。そして、実施例1〜12と同様に、毛髪化粧料で処理した毛髪について、毛髪強度及びその持続性、退色抑制効果、指通り性及び塗布性を測定した。それらの結果を表4に示した。
【0074】
【表4】

表4の結果より、実施例13では毛髪強度及びその持続性がいずれも良好であると共に、退色抑制効果、指通り性及び塗布性についても良好であった。
【0075】
尚、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 染毛処理剤中にイミダゾリン型第4級アンモニウム塩又はアミノ変性シリコーンを配合し、毛髪化粧料中のイミダゾリン型第4級アンモニウム塩又はアミノ変性シリコーンの被膜との親和性を向上させるように構成することができる。
【0076】
・ メチルポリシロキサンの分子量がアミノ変性シリコーンの分子量に近くなるようにし、両者の親和力を高めるように構成することも可能である。
・ 毛髪化粧料中にシランカップリング剤を配合し、毛髪に対するアミノ変性シリコーン、メチルポリシロキサン等の親和性を向上させるように構成することもできる。
【0077】
更に、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1) 水に分散されて形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。このように構成した場合、毛髪化粧料の取扱いを容易にすることができる。
【0078】
(2) pHが3以上で7未満であることを特徴とする上記技術思想(1)に記載の毛髪化粧料。このように構成した場合、毛髪化粧料を安定に維持し、各成分の効果を十分に発揮させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
染毛処理剤で染毛処理された毛髪に対して適用される毛髪化粧料であって、下記の化学式(1)に示すイミダゾリン型第4級アンモニウム塩と、アミノ変性シリコーンとを必須成分として含有することを特徴とする毛髪化粧料。
【化1】

但し、Rは炭素数11〜23のアルキル基又はアルケニル基、Xはハロゲン原子、メチルサルフェート残基又はエチルサルフェート残基を表す。
【請求項2】
前記アミノ変性シリコーンの動粘度が1,000,000〜30,000,000cStであることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
更に動粘度が6〜50cStのメチルポリシロキサンを含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
更にアミノ酸又はその誘導体を含有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2006−28088(P2006−28088A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−209169(P2004−209169)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】