説明

気体により液体を霧化するノズル及び霧化方法

【課題】
【解決手段】気体により液体を霧化するノズルは、混合チャンバ1と、1つ又は複数の液体入口6cと、上記混合チャンバへの少なくとも1つの接線方向気体入口5を備えている。出口4は、上記混合チャンバ1の下流端に配置される。全体として収斂する形態を有する中央本体2は、流れ方向に見たとき、混合チャンバ2内に提供される。上記1つ又は複数の液体入口6cが上記混合チャンバ1の上流端3aに又はその付近に且つ、上記1つ又は複数の気体入口5に対して上流方向に向けて配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上流端と下流端との間を伸びる混合チャンバと、少なくとも1つの液体入口と、上記混合チャンバへの少なくとも1つの接線方向気体入口と、上記混合チャンバの下流端に配置された出口とを備える、気体により液体を霧化するノズルに関する。本発明は、気体により液体を霧化する方法に更に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、2流体ノズル(TFN)と称される、かかるノズルは、特に、吹付け乾燥装置内にて液体を霧化するとき、及び流体床凝結の際に使用される。液体は、溶液、分散液又は純粋な物質の形態とすることができる。
【0003】
特に、2流体ノズルは、微細な液滴とすることを目的とする場合、又は流体を液滴に分解するため霧化する気体の形態による追加的な霧化エネルギが必要とされる場合、流体を霧化するときに使用される。
【0004】
液体と気体の混合は、いわゆる内部混合のような、ノズル自体内にて行うか、又は、いわゆる外部混合のような、ノズル出口の外側にて行われる。
【0005】
外部混合型TFNの場合、気体の自由膨張は、液体を分解するためのエネルギを追加するのではなくて、そのエネルギの一部が周囲環境に失われるという不利益な点がある。
【0006】
外部混合型TFNと比較して、内部混合型TFNは、2つの流体が出口から周囲の雰囲気中に入る前に、気体及び液体を混合させるという有利な効果を有する。
【0007】
2流体ノズルの性能を評価する判定基準は、平均液滴寸法、液滴寸法の分布の広がり範囲、所定の量の液体を霧化するため使用される気体の量を意味する、かなりの比気体消費率(specific gas consumption)(気体対供給分の比とも称される)である。
【0008】
特定の2流体ノズルにて、より微細な液滴に霧化することは、全体として、比気体消費率がより大であることを意味する。比気体消費量は、2流体ノズルの型式及び寸法と共に変化する。一般に、1ないし2の範囲の比(2気体量単位対1供給分単位)が使用される。この量は、時間当たりの体積である。気体は、空気、窒素、二酸化炭素、又は任意の他の適宜な気体とすることができる。
【0009】
広がり範囲は、液滴の分布寸法の幅を表わす。特定の液滴寸法を目的とするとき、狭い分布であることが望ましい。液滴寸法の分布が広いことは一般に、望ましくない。
【0010】
(d90ないしd10)/d50として評価される広がり範囲は、当該ノズルの型式及び供給分に依存して、通常、1ないし3の範囲に見られる。
【0011】
気体と液体との接触及び混合は、TFNがその制限を受ける場合である。
【0012】
気体が典型的に、リング形状の開口を通ってノズルから出た後に液体と混合する、外部混合型TFNは、気体出口の空隙が極めて大きくなり、気体の大部分が液体と反応するのではなくて、周囲の雰囲気に失われるとき、制限を受ける。
【0013】
微細な液滴への霧化は、液体が膜として拡がり、相対速度が高い霧化気体と作用して液滴を形成するときに行われる。
【0014】
内部混合型ノズルは、効率的な液体−気体の反応の可能性を生ずるが、内部の通路化及び通路の寸法のため能力が制限される。
【0015】
気体−液体の混合を改良することを目的とするノズル内の内部部品もまた、流れを乱して、液滴寸法の分布の広がり範囲を拡大する。内部部品は、全体として、取り扱い、清浄化を煩雑にし且つ、磨耗を生じさせる。
【0016】
霧化気体を追加することは、吹付け乾燥又は吹付け冷却過程に影響を与え、全体として、霧化後の反応に遅れを生じさせることになる。
【0017】
内部混合型ノズルの例は、当該技術にて周知である。
【0018】
米国特許第2,612,405号明細書には、気体がノズルの軸方向に供給されるノズルが開示されている。気体供給管内に乾燥空気管及び案内装置が設けられている。該案内装置は、気体を接線方向に偏向させる。液体は、気体供給管の外側にて半径方向に伸びる管により供給される。
【0019】
商業的に入手可能なノズルにおいて、霧化気体は、別個の管にて接線方向に供給され、このことは、ノズルの半径方向寸法を増すことになる。更に、この先行技術のノズルの混合チャンバは、構造上の条件に起因する端縁及び障害部を備えている。
【0020】
国際公開第00/58014号パンフレットには、混合チャンバ内への接線方向気体入口と、横方向液体入口とを有するノズルの形態をした吹付け装置が開示されている。このノズルは、ノズルの幾何学的形態のため、混合が不十分であるという欠点がある。
【特許文献1】米国特許第2,612,405号明細書
【特許文献2】国際公開第00/58014号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
この背景の下、本発明の1つの目的は、特定の要求される平均液滴寸法及び液滴寸法の最高水準の範囲(state−of−the−art span)を提供するのに必要な比気体消費率に関して冒頭記載の型式のノズルを改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の第一の形態において、この目的は、流れ方向に見たとき、全体として収斂する形態を有する中央本体が混合チャンバ内に提供されること、また、上記少なくとも1つの液体入口が上記混合チャンバの上流端に又はその付近に且つ上記少なくとも1つの気体入口に対して上流方向に向けて配置されることを更に特徴とする冒頭記載の型式のノズルによって実現される。
【0023】
ノズルのこの設計により、より効率的な霧化を実現することが可能であることが判明した。先行技術のノズルにおいて、吹付け乾燥の適用例にて微細な粒子を発生させることは、固体材料の含有率が極めて低い液体供給分を霧化することにより行われる。本発明に従ったノズルにより、特定の低平均粒子寸法を発生させるため、液体中にてより高い固体含有率が許容され、これにより霧化装置の発生容量を向上させることができる。しかし、本発明に従ったノズルは、また、低固体含有率の供給分を霧化するときにも有益である。更に、低い比気体消費率に起因する大きい液体容量は、該ノズルを大能力の装置にて使用することを可能にする。更に、液滴寸法の狭い広がり範囲が実現される。全体として収斂する形態は、ノズル内にて気体−液体混合体を極めて満足し得るよう混合し且つ加速することが可能であるから、特に有益である。この型式のノズルは、微細な粒子、すなわち1ないし10μm(例えば、吸入の場合)及び10ないし20μmの低い範囲にてd_50を有する粒子に対し特に有益であり、また、20ないし50μmの範囲にても有用である。その一例は、吸入用の薬剤の製造及び(又は)能動的な薬剤粒子(API)の製造である。
【0024】
混合チャンバ内にて混合部分と、加速部分とを得ることを更に可能にする、好ましい実施の形態の構造的に簡単な展開例において、中央本体は、円筒状の基部分と、収斂部分とを備えている。
【0025】
好ましくは、上記中央本体の下流端は、ノズルの出口の外側に配置されるものとする。このことは、気体−液体混合体の流れをノズルから分離する明確な点を提供する。
【0026】
混合チャンバは、円筒状部分と、収斂部分とを備え、上記少なくとも1つの気体入口が円筒状部分に提供されるようにすることができる。旋回混合チャンバの収斂部分は、気体−液体混合体を典型的に音速である、ノズルの出口におけるその最高速度まで加速する機能を果たす。この場合、出口にて、最終的な明確で微細な霧化が行われる。
【0027】
好ましくは、混合チャンバはあるチャンバ部分内に設けられるものとする。この設計は、チャンバ部分の幾何学的形態を単に変更するだけで混合チャンバの色々な形状を得ることを可能にする。
【0028】
1つの好ましい実施の形態において、中央本体は、インサートの一体部分を形成する。このことは、ノズルの製造及び組立てを容易にする。更に、この設計は、出口にて中央本体を支持することを不要にし、このため、気体−液体混合体は妨害されずに出口を通って進むことができる。
【0029】
この好ましい実施の形態の1つの展開例において、インサートは、中央本体の上流端に配置された円板部分を備え、該円板部分は、その下流面にて上記混合チャンバの上流端を形成する。
【0030】
この好ましい実施の形態の更なる展開例において、その上流端におけるインサートは、底部分と接続される一方、該底部分は、キャップ部分と接続され、該チャンバ部分が上記キャップ部分内に配置され且つ、上記インサートと接続されている。組立て及び分解を容易にすることを許容するこの特に簡単な設計は、例えば、薬剤の製造に必須である清浄化及び検査を容易にする。更に、その簡単な構造は、ノズルを小寸法及び大寸法の双方のものに形態変更することを可能にする。
【0031】
混合チャンバの内周に対し接線方向に伸びる1つの気体入口のみを提供することが特に有益であることが判明している。
【0032】
設計の点にて特に有益である1つの実施の形態において、中央本体は、軸方向に調節可能である。中央本体を軸方向に変位させることにより出口の断面積を調節することが可能であることは、特定のノズル寸法及び特定の気体量を設計するとき1つの重要なパラメータである。中央本体と混合チャンバとの間の空隙を調節することにより、出口面積を設計することは、特定のノズルに対し、特定の気体の範囲を、例えば、2ないし4から50ないし100kg/時に調節することができる。例えば、粒子寸法のより狭い広がり範囲を得ることを目的として、標準的なノズルを調節することも可能である。
【0033】
本発明の第二の形態において、気体によって液体を霧化する方法が適用され、この場合、作動中、2つの音速の急上昇が生じ、第一の急上昇は気体が混合チャンバに入るときに生じ、第二の急上昇は気体−液体混合体が出口空隙を通って出るときに生じるように出口の内周と中央本体との間に画成された空隙の面積が設計され且つ、気体の圧力が選ばれる。
【0034】
吹付け乾燥以外に、該方法は、液体供給分を霧化ノズルの内部の全体を通じて温まった状態に保つことが必須である、吹付け冷却(凍結(congealing))方法とすることができる。霧化のための気体が液体の下流に導入されると、熱した気体がプレナムチャンバ内の混合チャンバを取り囲み、ノズル内での凝固の危険性は最小となる。例えば、熱した油によって加熱する、より高価なシステムを回避することができる。吹付け冷却は、例えば、ワックス及び例えば、油脂性のグリセロールエステルのようなワックス系固形物に対して使用することができる。その一例は、3μm以下のときd_50、10μm以下のときd_90であり、約3の広がり範囲を有するワックスの吹付け冷却である。ノズルは、例えば、流体床凝結法のような凝結法、例えば、ペレット、錠剤又は小物品のコーティングのような吹付けコーティングに有益に使用することもできる。
【0035】
以下の説明にて、本発明は、その1つの実施の形態及び添付図面によって更に詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1の断面図に示した2流体ノズルの実施の形態において、ノズルの主要構成要素は、底部分7と、キャップ部分8と、チャンバ部分9と、中央本体2を有するインサート10とを備えている。ノズル内の流れ方向は、全体として、底部分7の上流端からキャップ部分8、チャンバ部分9及び底部分7に対向するインサート10のそれぞれの端部における出口4の下流端まで伸びている。
【0037】
底部分7は、例えば、中央液体供給源を有するノズル−ランスと接続されたノズルの上流端にある。図示した実施の形態において、液体供給管25は、底部分7の中央穴14内のねじ(詳細には図示せず)により底部分7内に取り付けられる。選択的に、Oリングシールを設けることもできる。底部分7は、外部管26と更に接続されており、該外管は、液体供給管25と共に、空間を形成し、該空間内にて気体は入口(図示せず)から底部分7を貫通して延在する多数の軸方向気体通路13まで運ばれる。中央穴14の下流端に第一の肩部分7aが設けられており、また、更に下流には、第二の肩部分7bが設けられており、該第二の肩部分7bは、第一の肩部分7aに対して半径方向外方に伸びている。第一及び第二の肩部分7a、7bは、以下に更に詳細に説明する要領にてインサート10の上流端を及び部分的にチャンバ部分9を受容する。半径方向外側部にて、底部分7は、ねじ及びOリングシール30によりキャップ8と接続されている。
【0038】
インサート10は、底部分7内に受容され且つ、第一の肩部分7aに対して当接する上流端10aを有している。第一の円板部分21は、底部分7の第二の肩部分7bに対し当接する。円板部分21の寸法は、円板部分21がインサート10の最大直径を有するようなものとされている。この特徴のため、キャップ部分8から力を伝達して液体圧力に反作用することによりチャンバ部分9がインサート10を底部分7の所要位置に保持することを可能にする。インサート10の更に下流にて、第二の円板部分22及び第三の円板部分23が設けられている。第二及び第三の円板部分22、23の外寸法は、チャンバ部分9の上流端の内寸法に実質的に相応する。インサートの中央本体2は、第三の円板部分23の下流面3から延在する。下流面3と、中央本体2と、第三の円板部分23の下流にあるチャンバ部分9における内壁との間の空間は、混合又は旋回混合チャンバ1を構成する。中央本体2は、混合チャンバ1内にて回転対称であり、下流面3により形成された上流端すなわち底端部から出口4まで又は出口から外に伸びている。図示した実施の形態において、中央本体2は、流れ方向に見て、全体として収斂する形状をしており、また、円筒状部分2aと、収斂部分2bとを備えている(図2参照)。中央本体2の代替的な形状については、以下に更に詳細に説明する。
【0039】
インサート10の中央穴(図示せず)は、底部分7の中央穴14と同軸状である。中央穴の下流端に半径方向に伸びる多数の穴6aが設けられている。図示した実施の形態において、2つの穴6aが設けられており、その一方は、図2に見ることができる。半径方向に伸びる穴6aは、第二の円板部分22及び第三の円板部分23とチャンバ部分9の内壁との間に形成された環状通路6bと流体的に連通している。第三の円板部分23は、軸方向に伸びる多数の凹所を備えており、これらの凹所は、環状通路6bから第三の円板部分23の下流面3、従って、旋回混合チャンバ1まで延在する軸方向伸長通路6cを構成する。
【0040】
チャンバ部分9は、インサート10及びキャップ部分8に対し同軸状に配置されている。チャンバ部分9の外壁は、キャップ部分8の内壁と共に、気体プレナムチャンバ12を形成する。チャンバ部分9の内側は、円筒状部分と、出口4に最も近い収斂部分とにより構成された回転対称の幾何学的形態である。中央本体2の形状と組み合わさって、この幾何学的形態の結果、混合チャンバ1は、円筒状部分と、収斂部分とを有することになる。混合チャンバ1の代替的な形状については、以下に更に詳細に説明する。チャンバ部分9は、1つ又はより多くの気体入口通路5を保持している。図示した実施の形態において、チャンバ部分9の内壁に対し実質的に接線方向に延在する1つの気体入口5がある。
【0041】
チャンバ部分9及びインサート10は、共に、底部−キャップシステム内に嵌まる単一物を形成する。このことは、ノズルを取り扱うとき、ノズル部品の予組立て及び磨耗した部品を交換することの容易性に関して有利な効果を与える。2つの片は、軸方向に密封するOリングシール31により互いに密封され且つ保持される。この密封作用は、底部から、すなわちチャンバ1の円板23の下流面3から気体が旋回混合チャンバ1に入るのを阻止することになる。更なるOリング32、33を使用して液体システムを気体システムから密封し且つ、気体プレナムチャンバ12を周囲の雰囲気から密封することができる。
【0042】
以下の説明において、ノズルの作用について記述する。霧化される気体は、軸方向気体通路13を通って気体プレナムチャンバ12に入る。気体は、プレナムチャンバ12から気体入口5を通って円筒状チャンバの内壁に対し接線方向に向けて旋回混合チャンバ1内に加速される。気体の接線方向への流入は、中央本体の回りにて混合チャンバ内に旋回流の場を形成する。混合チャンバに対し接線方向に気体を供給することは、従来においては、霧化ノズルから半径方向に伸びる通路又は配管のため、霧化ノズルの直径が大きくなることを意味するが、本発明の設計は、ノズルの直径を最小にするものである。
【0043】
液体は、底部分7の中央穴14及びインサート10の中央穴から穴6aを通って円形の通路6bを介して軸方向に延在する通路6cの形態をした液体の入口まで分配される。該液体の入口は、円板23の周縁に配置されて、流体を旋回混合チャンバ1内に導入する。
【0044】
液体の入口の方向は、図1、図2の実施の形態にて示すように、中央軸線に対して平行とし、又は、図3に示すように、傾斜させ液体に旋回動作を与えることができる。図3の代替的な実施の形態において、図1、図2の相応する部品と同様であり又は類似した機能を有する部品は、ダッシュ(´)を追加して同一の参照番号で示されている。また、液体入口は、液体環状通路6bから混合チャンバ1の底部まで延在する円筒状穴の形態を有し、又は、環状空隙の形態を有し、旋回混合チャンバの底部に入るとき、液体を均一な膜として分配する。
【0045】
旋回混合チャンバ1に入るとき、液体は、気体通路5から入る気体流内に取り込まれる。気体−混合体は、中央本体2の回りを旋回し且つ、旋回−混合チャンバ1の収斂部分を通って加速し、環状出口4を通って周囲の雰囲気に出ていく。この環状出口4にて、気体−液体混合体は、ノズルの幾何学的形態から分離する。図示した実施の形態において、チャンバ出口の外側に中央本体2における分離点(リング)を見ることができる。
【0046】
中央本体の収斂部分2bは、図4に示すように異なる形態を有することができる。この形態は、半球体(図4a)、1点にて終わる弾丸形状体(図4b)とし、その形態は、例えば、対称軸線の回りにて円弧状に又は放物線状に回転することにより形成され、又は、楕円体(図4c)又は単に円錐体(図4d)の形態を有するものとすることができる。分離点を固定するため、中央本体2の端部点は、平面状の前端又は湾曲し又は円錐形の形態にて形成されたへこみ又は中空部とし又は、分離点(図4f)に続いて、真空を制御すべく気体を追加する通路を有するよう形態変更することができる(図4e)。通路の入口は、任意の考えられる形状を有することができる。上述の収斂する形態は、円筒状部分に続く。中央本体の円筒状部分は、省くことができる。この場合、収斂部分は、チャンバの底部3まで延在する。
【0047】
中央本体2の機能は、旋回流を安定化させ且つ、旋回流の低圧の中心部を充填することにより、周囲の雰囲気がチャンバ1内に流れ込むのを防止することである。更に、中央本体は、環状出口4の内側限界点を形成し、これにより所定の出口の断面積に対し大きい出口直径を使用することを可能にする。大きい直径は、空気及び気体を混合させる点にて有益である。空隙が狭小であればある程、液体及び気体は一層良く反応し、これにより微細な液滴に霧化されることになる。
【0048】
出口の断面積は、中央の本体の軸方向長さを伸ばすことにより、設計段階にて調節することができる。
【0049】
中央本体2と旋回混合チャンバ1との間の出口空隙4を調節することは、比気体消費量を小さくしようとするとき重要である。空隙を調節することは、また、所定の気体及び液体の流量に対し旋回混合チャンバ内の圧力を制御し、このため、TFN内にて2回の音速の急上昇を得るための前提条件である。空隙の調節は、気体及び液体の比速度に適応させた一連のノズル寸法を設計する段階にて行われることが好ましい。
【0050】
気体−液体混合体の分離点は、流れの場を考慮して、後縁である、円形のヘッド部に近い中央本体2にて見られる。明確な分離点は、ノズルの機能にとって必須である。この点は、ノズルの外側にて見られることが望ましく、中央本体により画成された面に対し直角で、分離円内にて交差する平面が、ノズルの幾何学的形態と交差しない。
【0051】
旋回混合チャンバ内の旋回する気体流は、旋回混合チャンバ1に対する1つ又は複数の接線方向気体の入口5によって増大され、また、液体入口14を通って旋回混合チャンバ1に入る液体を分配する点にて更に有益である。薄い等しく分配された液体膜を形成することは、最小の比空気消費量にて微細な霧化を実現する基礎となるものである。
【0052】
収斂する旋回混合チャンバ1は、図5aないし図5fに示した主形態を有することができる。円錐形の形態の場合、頂点又は頂部角度は、40°ないし120°とすることができる。周囲の雰囲気に臨むノズルの前端平面は、ノズルの軸線に対して90°ないし45°の異なる角度を有し又は収斂するチャンバに続く拡がる出口として形成し、出口にて超音速を得るため収斂−拡がるノズルを形成することができる。
【0053】
気体入口5及び気体−液体出口4の断面積を適正に設計することにより、気体入口及び気体−液体出口の双方にて音速を得ることが可能となる。試験の結果、これらの状態が得られたとき、望ましい霧化結果となることが分かった。
【0054】
試験結果
気体として窒素を使用して水を霧化する液滴寸法の分布状態をレーザ回折法を使用して測定した。液滴の寸法は、特定の値以下の直径を有する液滴の体積比率として表わす。例えば、d_50は、グラフィック的表現にて直径の測定値を意味し、この場合、液滴の体積の50%がd_50よりも小さい直径を有することを表わす。
【0055】
広がり範囲(span)は、分布の幅を示す。使用した定義は、広がり範囲=(d_90−d_10)/d_50である。
【0056】
試験結果は図6に示されており、この場合、d_50は、比気体消費率の関数として示され、「気体対供給分の比(gas to feed ratio)」は、多数の先行技術のノズル及び本発明に従ったノズルに対するものである。供給分は、水道水50kg/時とした。本発明に従ったノズルは、所定の平均粒子寸法に対し比気体消費率が著しく少ないことが理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の1つの実施の形態におけるノズルの断面図である。
【図2】図1のノズルのインサートを拡大縮尺にて示す斜視図である。
【図3】本発明に従ったノズルの別の実施の形態におけるインサートを示す図2に相応する斜視図である。
【図4】4aないし4fは、本発明に従ったノズルの中央本体の異なる形状を示す概略図である。
【図5】5aないし5fは、本発明に従ったノズルの混合チャンバの異なる形状を示す概略図である。
【図6】異なるノズルに対する比気体消費率の関数としてd_50の曲線を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流端(3a)と下流端との間を伸びる混合チャンバ(1)と、少なくとも1つの液体入口(6c)と、前記混合チャンバへの少なくとも1つの接線方向気体入口(5)と、前記混合チャンバ(1)の下流端に配置された出口(4)とを備える、気体により液体を霧化するノズルにおいて、流れ方向に見たとき、全体として収斂する形態を有する中央本体(2)が混合チャンバ(2)内に提供され、また、前記少なくとも1つの液体入口(6c)が前記混合チャンバ(1)の上流端(3a)に又はその付近に且つ前記少なくとも1つの気体入口(5)に対して上流方向に向けて配置されることを特徴とする、気体により液体を霧化するノズル。
【請求項2】
請求項1に記載のノズルにおいて、中央本体(2)が、円筒状の基部分(2a)と、収斂部分(2b)とを備える、ノズル。
【請求項3】
請求項1又は2の何れかの項に記載のノズルにおいて、前記中央本体(2)の下流端がノズルの出口(4)の外側に配置される、ノズル。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1つの項に記載のノズルにおいて、混合チャンバ(1)は、円筒状部分と、収斂部分とを備え、前記少なくとも1つの気体入口(5)が円筒状部分に提供される、ノズル。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1つの項に記載のノズルにおいて、前記混合チャンバはあるチャンバ部分(9)内に設けられる、ノズル。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1つの項に記載のノズルにおいて、中央本体(2)は、インサート(10)の一体部分を形成する、ノズル。
【請求項7】
請求項6に記載のノズルにおいて、インサート(10)は、中央本体(2)の上流端に配置された円板部分(23)を備え、該円板部分(23)は、その下流面(3)にて前記混合チャンバ(1)の上流端を形成する、ノズル。
【請求項8】
請求項6又は7の何れかに記載のノズルにおいて、その上流端における前記インサート(10)は、底部分(7)と接続される一方、該底部分は、キャップ部分(8)と接続され、前記チャンバ部分(9)は、前記キャップ部分(8)内に配置され且つ、前記インサート(10)と接続される、ノズル。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1つの項に記載のノズルにおいて、1つの気体入口(5)が混合チャンバ(1)の内周に対し接線方向に提供される、ノズル。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1つの項に記載のノズルにおいて、前記中央本体(2)は軸方向に調節可能である、ノズル。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか1つの項に記載のノズルにて気体によって液体を霧化する方法において、作動中、2つの音速の急上昇が生じ、第一の急上昇は気体が混合チャンバ(1)に入るときに生じ、第二の急上昇は気体−液体混合体が出口空隙(4)を通って出るときに生じるように、出口(4)の内周と中央本体(2)との間に画成された空隙の面積が設計され且つ、気体の圧力が選ばれる、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、吹付け乾燥、吹付け冷却、凝結又は吹付けコーティング用である、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−523733(P2007−523733A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512287(P2005−512287)
【出願日】平成15年12月22日(2003.12.22)
【国際出願番号】PCT/DK2003/000929
【国際公開番号】WO2005/061119
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(501417044)ニロ・アクティーゼルスカブ (1)
【Fターム(参考)】