説明

気体発生装置

【課題】温度、湿度、流量を個別の物理量として夫々を独立に設定・制御できる気体発生装置を提供する。
【解決手段】加熱器10を内蔵する容器11と、容器11に乾燥気体を供給する乾燥気体発生システム1と、容器11に蒸気を供給する蒸気発生システム2と、容器11により混合された気体の温度、湿度、及び流量をそれぞれ計測するための温度計12、湿度計13、及び流量計14と、温度計12からの出力情報、湿度計13からの出力情報、流量計14からの出力情報のうち少なくともいずれか一つを、乾燥気体発生システム1、蒸気発生システム2、または、加熱器10のいずれかにフィードバックする回路とを有する気体発生装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが所望する所定温度、所定湿度の気体を所定の流量で送出させることができる気体発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
湿度や温度が調整された気体を送出する気体発生装置(湿度発生装置)の一つとして、分流式の湿度発生装置(JIS−B7920)が知られている。これは、飽和空気と乾燥空気を混合することによって湿度を調節する方式であり、具体的には、飽和空気と乾燥空気の分流比によって0〜100%RHの湿度を調節する機構に関するものである。乾燥空気の分流比を100%とすれば湿度0%RHの乾燥恒温空気を発生させることができ、逆に飽和空気の分流比を100%とすれば湿度100%RHの湿潤恒温空気を発生できるものである。
【0003】
図13は、分流式の気体発生装置の基本構成を示すものである。発生気体の温度および湿度は発生気体の露点に基づいて調節するため、飽和槽と試験槽および配管類を恒温水槽などで温度を一定に保ち、その特定温度に対する湿度が現に得られる。なお、飽和槽とは、水中に乾燥空気を通すことにより100%RHの飽和空気を得るための水槽であり、試験槽とは、乾燥空気と飽和空気とを混合させるための気体槽である。
【0004】
飽和空気の流量そのものを正確に測定するのは難しいため、飽和槽に入る前の乾燥空気を飽和空気の流量として測定する。
【0005】
飽和空気の温度を変えるには恒温水槽(飽和槽)の温度を変える必要があり、水の熱容量は大きいため、この操作には長い時間がかかる。また湿度も影響を受けるので、試験槽内の湿度を一定に保とうとすると分流比を変える必要が生じ、これにより流量が所望の量からは外れてしまうことになる。したがって、従来の分流式の湿度発生装置では、ユーザが所望する所定温度、所定湿度、所定の流量の全てを満たした気体を送出することは非常に困難であった。
【0006】
なお、汎用の分流式湿度発生装置では、飽和槽の温度は100℃未満であり、90℃を超える露点の気体を発生させることは難しい。気体発生装置から離れた場所で任意な温湿度を得るためには、気体発生装置とは別に任意な温度に調節できる機構が必要となり、装置が複雑で大型化してしまう。一方、室温以下の低露点の気体を発生させることも難しい。何故ならば、水を冷やすために冷凍機が必要となり、装置全体が大型化してしまい、結果的にコスト高になるからである。
【0007】
図14は、空気の温度と飽和水蒸気圧との関係を示す空気線図である。露点から温度および湿度に変換するには、図14に示す空気線図を用いて求めるか、若しくは計算で求める。計算によって露点から相対湿度(温度:任意条件)を求めるためには下記(1)〜(3)式を用いる。(1)式は、露点tdp[℃](絶対温度はTdp[K](=tdp+273.15))における飽和水蒸気圧ed[Pa]を求める式、(2)式は温度t[℃](絶対温度はT[K](=t+273.15))における飽和水蒸気圧es[Pa]を求める式、(3)式は温度t[℃](絶対温度はT[K])における相対湿度U[%RH]を求めるものである。下記(1)〜(2)式において、LNは自然対数関数を表す。
【0008】
【数1】

【0009】
【数2】

【0010】
【数3】

【0011】
特許文献1は、気体の供給量を調節できる流量コントローラと加熱蒸気量を調節できる蒸気流量調節弁の分流比を変えることによって、得られた加熱気体と蒸気を混合器内で混合して湿度を調節する分流方式の湿度発生装置が記載されている。特許文献1に記載された手法では、発生する気体の湿度の調節を蒸気流量調節弁の流量を変えて行なうために、湿度を変えることによって供給される気体の流量も変わってしまう。そのため、湿度を一定としかつ発生気体の流量を一定に保つことができない。
【0012】
上記分流式の湿度発生装置の他には、バブリング式の湿度発生装置(同じくJIS−B7920)が知られており、主に二圧力法、二温度法等に分類されている。バブリング式では、バブリング槽(水槽)中に空気を吹き込むものであり、水温と露点が等しくなる。分流式の湿度発生装置と比較すれば構造は簡単である。
【0013】
図15は、バブリング式の気体発生装置の基本構成を示すものである。バブリング槽の上方つまり発生気体が接触する部分や、さらにその先に配置された配管にはヒータが取り付けられており、バブリング槽中の水の温度と発生気体の温度との差が生じないように保温されている。湿度発生装置から離れた場所で任意の温度で任意の湿度を得るためには、分流式と同様に湿度発生装置とは別に任意な温度に調節できる付帯機構が必要となり設備が大型化し、或いは使用者において付帯設備を付加する必要が出てくる。汎用のバブリング槽では、バブリング槽の温度上限は90℃程度であり、90℃を超える露点を達成することは難しい。一般的にはそれ以上の高露点を所望する場合には、バブリング槽に圧力を加えることによって90℃超、或いは100℃超の露点気体を得る。
【0014】
図16は、他のバブリング式の気体発生装置の構成を示すものである。図16に示すように、室温以下の低露点気体を得ようとする場合は、冷凍機でバブリング槽の水を間接的に冷やすことが必要になるため、装置が大型化し、コスト高になる。分流式、バブリング式のどちらの方式についても発生気体の露点を測定しているため、発生気体の湿度は上記のように計算で求めるか、または空気線図から求めなければならない。
【0015】
上記のように、分流式、バブリング式のどちらの方式についても湿り気体を多流量で得ようとすれば水槽を大きくしたり、水槽の数を増やしたりすることで装置が大型化してしまう。
【0016】
特許文献2には、加熱水に空気を通して加湿するバブリング式の機構が開示されているが、安定した加湿性能を確保するためには、水槽の段数を増やすことが記載されている。さらに特許文献2には加湿された気体の温度を目標温度よりも高温にすることによって露点を安定させる旨の記載があることからもうかがえるように、高流量の湿り空気の露点を安定させることは難しい。一旦高温に上げた露点を気体供給先において必要な温度に再び調整する必要がある。
【0017】
なお、特許文献3には、水蒸気透過膜の袋に通水して、水を加熱することで膜を通して加湿する方法が記載されている。加湿量は膜の表面積に比例するので、流量が多い場合には大きな容積の加湿器になり、室内の加湿などに使うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2004−273222号公報
【特許文献2】特開2007−141656号公報
【特許文献3】特開平3−195842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上記のように、従来の気体発生装置では、ユーザが所望する所定温度、所定湿度、所定流量の3要素全てを満たした気体を発生(送出)させることは困難であった。
【0020】
本発明はそれらの問題点を解決すべく、温度、湿度、流量を個別の物理量として、夫々を独立に設定・制御できる気体発生装置に関するものである。さらには、従来技術では十分に達成できなかった高速制御、すなわち設定温湿度の頻繁な設定変更、低露点の制御、離れた場所での任意な温湿度制御、大流量制御などが可能であり汎用性の高い精密な気体発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決し得た本発明の気体発生装置は、加熱器を内蔵する容器と、この容器に乾燥気体を供給する乾燥気体発生システムと、この容器に蒸気を供給する蒸気発生システムと、この容器により混合された気体の温度、湿度、及び流量をそれぞれ計測するための温度計、湿度計、及び流量計と、温度計からの出力情報、湿度計からの出力情報、および、流量計からの出力情報のうち少なくともいずれか一つを、乾燥気体発生システム、蒸気発生システム、または、加熱器のいずれかにフィードバックする回路を有するものである。このような構成では、従来のように露点計で計測される露点の情報を用いて間接的に温度および湿度を導出するのではなく、温度計および湿度計を用いて発生気体の温度および湿度を別個に計測するため、温度、湿度を直接的に制御することができる。その結果、発生する気体の温度と湿度を安定的に、応答性よく制御することができる。
【0022】
上記気体発生装置において、前記温度計からの出力情報が前記加熱器にフィードバックされる態様が好ましく実施される。容器中に内蔵された加熱器の温度変更により、容器中の気体の温度を直接的かつ効果的に調整し得るからである。
【0023】
上記気体発生装置において、前記湿度計からの出力情報が前記蒸気発生システムにフィードバックされる態様が好ましく実施される。蒸気発生システムの設定変更により、発生する気体の湿度を直接的かつ効果的に調整し得るからである。
【0024】
上記気体発生装置において、前記乾燥気体発生システムが流量制御装置を有し、該流量制御装置には演算装置が接続され、該演算装置には、前記流量計からの出力情報、前記温度計からの出力情報、および前記湿度計からの出力情報が入力され、該演算装置によって、前記流量制御装置を制御するための信号が生成される態様が好ましく実施される。乾燥気体発生システムから得られる乾燥気体の流量の変化は、流量制御装置全体としての気体の送出量に反映されるばかりでなく、送出される気体の温度や湿度にも変動を与えるため、流量計からの出力情報、温度計からの出力情報、湿度計からの出力情報の全てに基づいて流量制御装置をコントロールすることがシステム全体の安定的動作にとって一層有効となるからである。
【0025】
上記気体発生装置において、前記温度計が前記容器内に設けられており、前記湿度計及び流量計が前記容器よりも下流側に設けられている態様が好ましく実施される。温度計が容器内に設けられることにより、蒸気の発生場所に一層近い場所の温度情報を取得することができるので、発生気体の温度を応答性よくコントロールすることができる。
【0026】
上記気体発生装置において、気体発生装置の外部に設けられた外部温度計を備え、該外部温度計からの出力情報または前記温度計からの出力情報のいずれかを選択するスイッチを有する態様が好ましく実施される。これにより気体発生装置の外部温度に基づき気体発生装置が直接制御されるので、ユーザが所望する温度環境に応答性よく追従することも可能となる。
【0027】
上記気体発生装置において、前記気体発生装置の外部に設けられた外部湿度計を備え、該外部湿度計からの出力情報または前記湿度計からの出力情報のいずれかを選択して前記回路に入力させるスイッチを有する態様が好ましく実施される。これにより気体発生装置の外部湿度に基づき気体発生装置が直接制御されるので、ユーザが所望する湿度環境に応答性よく追従することも可能となる。
【0028】
上記気体発生装置において、前記加熱器が巻き形状を有する態様が好ましく実施される。詳しくは、加熱器が長尺物形状の加熱部を有しており、長尺物が気体の流軸に対して非平行の成分を有することにより、気体の流れによって撹拌作用を発現する形状のものを指す。
【0029】
上記気体発生装置において、前記湿度計の出力情報から露点を算出する演算装置をさらに備え、湿度情報又は露点情報のいずれかを選択して前記回路に入力させるスイッチを有する態様も実施される。
【0030】
上記気体発生装置において、露点を一定に制御する態様も実施される。
【0031】
上記気体発生装置において、前記蒸気発生システムが電熱式蒸気発生装置である態様も実施される。
【0032】
上記気体発生装置において、前記乾燥気体発生システムに乾燥気体の圧力を測定する圧力計が備えられる態様も実施される。
【0033】
上記気体発生装置において、前記気体発生装置の気体送出口に、混合気体の圧力を測定する圧力計が備えられる態様も実施される。
【0034】
上記気体発生装置において、前記乾燥気体を不活性ガスとする態様、前記乾燥気体を空気とする態様、前記蒸気を水蒸気とする態様も実施される。
【発明の効果】
【0035】
本発明の気体発生装置は、加熱器を内蔵する容器と、この容器に乾燥気体を供給する乾燥気体発生システムと、この容器に蒸気を供給する蒸気発生システムと、この容器により混合された気体の温度、湿度、及び流量をそれぞれ計測するための温度計、湿度計、及び流量計と、温度計からの出力情報、湿度計からの出力情報、および、流量計からの出力情報のうち少なくともいずれか一つを、乾燥気体発生システム、蒸気発生システム、または、加熱器のいずれかにフィードバックすることにより、ユーザが所望する所定温度、所定湿度の気体を所定の流量で送出させることを可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態における気体発生装置の概要を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における混合加熱システムの一部拡大断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における気体発生装置の制御信号の流れを示す参考図である。
【図4】本発明の実施例における気体発生装置の一部拡大断面図である。
【図5】本発明の実施例における試験結果を示すグラフである。
【図6】本発明の実施例における試験結果を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例における試験結果を示すグラフである。
【図8】本発明の実施例における試験結果を示すグラフである。
【図9】本発明の実施例における試験結果を示すグラフである。
【図10】本発明の実施例における試験結果を示すグラフである。
【図11】本発明の実施例における試験結果を示すグラフである。
【図12】本発明の実施例における試験結果を示すグラフである。
【図13】従来の分流式気体発生装置の概要を示すブロック図である。
【図14】空気の温度と飽和水蒸気圧との関係を示す空気線図である。
【図15】従来のバブリング式気体発生装置の概要を示す説明図である。
【図16】従来の他のバブリング式気体発生装置の概要を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
1.気体発生装置の全体構成
図1は、本発明の実施の形態における気体発生装置の概要を示すブロック図である。図1において、本発明の気体発生装置は、乾燥気体発生システム1、蒸気発生システム2、混合加熱システム3、流量計測システム4、温度湿度計測システム5を有している。本発明においてシステムとは、複数の構成(機械構成部品や電子部品等を含む)を組み合わせることにより一定の作用を達成し得る装置系を指すが、何れのシステムも、他のシステムの構成の一部または全部の機能を含んでいてもよく、配置関係も上記に限定されるものではない。
【0038】
本発明の気体発生装置において用いられる気体や蒸気の種類は特に限定されない。気体として空気の他、窒素などの非爆発性ガスをクリーンに加熱および加湿することができる。安全面での配慮さえなされていれば、水素等の爆発性ガスを用いることも可能である。蒸気発生システム2には純水を供給することによりクリーンに加湿することができる。本実施の形態においては、気体として空気、蒸気として水蒸気を例に挙げて説明を行う。
【0039】
本実施の形態における気体発生装置は、少なくとも、加熱器10を内蔵する容器11と、容器11に乾燥気体を供給する乾燥気体発生システム1と、容器11に蒸気を供給する蒸気発生システム2と、容器11により混合された空気の温度、湿度、及び流量をそれぞれ計測するための温度計12、湿度計13、及び流量計14と、温度計12からの出力情報、湿度計13からの出力情報、および、流量計14からの出力情報のうち少なくともいずれか一つを、乾燥気体発生システム1、蒸気発生システム2、または、加熱器10のいずれかにフィードバックする回路を有するものである。これによって、所定温度、所定湿度の空気を所定の流量で送出させる気体発生装置を得ることができる。本発明においてフィードバックとは、出力情報を引数とする特定の演算結果、或いは出力情報そのものを気体発生装置の上流側に帰還させることをいうものとする。
【0040】
本発明における乾燥空気とは、未加湿であるために相対的に湿度が低い空気を指すものであり、0%RHの空気のみを指すわけではない。
【0041】
本実施の形態における気体発生装置は、乾燥空気と蒸気とを容器11内で混合させ、かつ加熱器10で加熱することにより、ユーザが所望する温度と湿度の湿り空気を発生させることができるものである。温度、湿度、流量は、それぞれ温度計12、湿度計13、及び流量計14によって別個に測定されるため、従来のように空気線図を用いたり計算したりすることなく、温度、湿度、流量を直接的に設定し制御することができる。したがって、気体発生装置に関する専門知識を必要とすることなく、直感的にも理解しやすく汎用性も高い。
【0042】
乾燥空気の加熱は熱媒を貯蔵した液体槽などによる間接的な加熱ではなく、加熱器10による直接加熱であるので、乾燥空気の昇温時間が早く、設定温度の変更に対して短時間で安定状態まで到達できる。
【0043】
特に室温以下の露点気体を得る場合は、図16に示したバブリング式など露点式では冷凍機が必要となるが、本発明の気体発生装置では、冷凍機を用いることなく容易に低露点の湿り空気を得ることができる。露点範囲は−21〜90℃、或いはそれ以上のものが得られる。
【0044】
乾燥気体発生システム1、蒸気発生システム2、混合加熱システム3、流量計測システム4、および温度湿度計測システム5は、必要に応じて以下の特定の態様をとることができる。
【0045】
2.乾燥気体発生システム
乾燥気体発生システム1は、圧力調節弁15、圧力センサ16及びマスフローコントローラ(流量調節装置)17で構成される。圧力調節弁15の上流に設置される空気供給源としては、例えばコンプレッサや高圧ブロアを用いることができる。供給される空気の湿度が高い場合は、ヒータレスドライヤなどを付加することで除湿した乾燥空気を供給することができる。加熱乾燥空気として温度を調節して送出する場合と、加熱湿り空気として温湿度を調節して送出する場合では、マスフローコントローラ17の設定流量が異なるので、加熱乾燥空気または加熱湿り空気の質量流量を基に温度、湿度、圧力値から計算で求めた流量をマスフローコントローラ17に設定する。流量の設定は、ボリューム調整器18による手動設定、または乾燥空気質量流量計算部19において算出された電気信号(電圧信号、電流信号)、或いはデジタル通信信号による自動設定の何れかをスイッチ20で切替えて選択することができる。
【0046】
3.蒸気発生システム
蒸気発生システム2は、貯水タンク27の中に貯められた水がヒータ(図示せず)によって加熱され、蒸気を発生させるものである。加熱量を制御するのは、加湿制御器28である。加湿制御器28は、温度湿度計測システム5から送信される信号を入力情報として制御されている。貯水タンク27の容量は、小さいことが好ましい。貯水タンク27の容量を小さくした場合、貯水タンク27の中に貯められた水の加熱を停止した後、水が冷却される時間が早いためである。水を加熱するためのヒータとして加熱能力の高いものを選択すれば、次に加熱する際の蒸気発生の応答性も高くなる。なお、貯水タンク27から発生する気体は基本的に水蒸気であり、従来の分流式やバブリング式とは異なり空気は殆ど混入していない。好ましくは、発生する気体の98モル%以上、より好ましくは99モル%以上が水蒸気である。
【0047】
4.混合加熱システム
図2は、本発明の気体発生装置における混合加熱システム3の一部拡大断面図である。混合加熱システム3は、マスフローコントローラ17から供給された乾燥空気を供給口から容器11に導入し(図2中のA)、容器11に内蔵された加熱器10で加熱した後、湿り蒸気発生システム2から発生した蒸気を供給口から導入し(図2中のB)、乾燥空気と蒸気を混合する。混合して得られた湿り空気は、排出口から容器11の外部に送出される(図2中のC)。
【0048】
容器11(以下「混合ボックス11」と記載する場合がある)は、例えばステンレス製の耐圧筒状ケースの中に、加熱器10(以下「ケーブルヒータ10」と記載する場合がある)と温度センサ12が装着されてなり、ケーブルヒータ10は、空気加熱部10aと混合加熱部10bで構成される。空気加熱部10aは乾燥空気供給口から導入した空気を加熱する部分である。混合加熱部10bは、空気加熱部10aで加熱された乾燥空気と蒸気を混合して得られた湿り空気の湿度上昇させる部分である。
【0049】
ケーブルヒータ10の加熱温度は次のように制御する。まず、混合ボックス11内の温度センサ12で加熱された空気の温度を計測し、得られたデータを温度制御器21(図1参照)、ヒータ電力制御器22に通してケーブルヒータ10の電力制御を行うことができる。
【0050】
得られた湿り空気の温度は、混合ボックス11内に設けた温度センサ12、湿度センサ13に併設される後述の温度センサ(図示せず)、外部入力23における外部温度センサ(図示せず)の3つから何れかをスイッチ24で切替えて選択することができる。
【0051】
外部温度センサを設けるのは、気体発生装置から離れた場所で温度の計測或いは表示を行いたい場合は、気体発生装置の外部温度センサから制御或いは表示が可能であり、外部温度センサによる遠隔制御と気体発生装置の内部の温度センサ12の切替えを可能とすることにより、温度の安定度に応じ、或いは、昇温時のオーバーシュートなどにより最適なセンサを選択できるようにするためである。離れた場所の外部温度センサの応答が遅い場合は、気体発生装置の温度センサ12とカスケード接続することにより最適な制御を行うことが可能となる。
【0052】
ケーブルヒータ10の加熱部の形状は、巻き形状とすることが好ましい。詳しくは、ケーブルヒータ10が長尺物形状の加熱部を有しており、長尺物が気体の流軸に対して非平行の成分を有するような巻き形状により、気体の流れにより撹拌作用を付与する形状のものを指す。巻き形状としては、代表的には螺旋状のものが考えられるが、巻き方向は一方方向に限られず、右回りと左回りを交互に繰り返す形状のものであってもよい。また、ケーブルヒータ10の軸芯(気体の流軸)方向からみて円形のものに限らず矩形状のものであってもよい。以上の構成により、乾燥空気と蒸気の混合がいっそう均一なものとなる。
【0053】
蒸気発生システム2で発生した蒸気は保温効果を高めた短管(図示せず)で混合ボックス11に接続されている。混合ボックス11およびこれより下流の気体配管には加熱空気の冷却と蒸気の凝縮が起きないように保温ヒータ25および/または保温材26で保温され、保温温度センサ(図示せず)と温度調節計(図示せず)で温度制御されている。
【0054】
蒸気発生システム2は加湿制御器28によって電圧値または電流値の信号で0〜最大蒸気発生量まで制御されている。したがって、蒸気発生器を停止させることによって、混合ボックス11のケーブルヒータ10により常温+5℃〜100℃の加熱乾燥空気を送出することができる。ケーブルヒータ10と蒸気発生システム2を双方とも停止させることによって、常温の乾燥空気を0〜100リットル/分(L/min:体積Lは20℃換算値)で送出することができる。
【0055】
5.流量計測システム
流量計測システム4は、例えば熱式質量流量計である流量計14、保温ヒータ25、およびマイクロコンピュータ(マイコン)を有する乾燥空気質量流量計算部19で構成することができる。流量計14は通過する気体とは非接触に、管内の流速による熱伝導から質量流量を測定する流量計であり、基準状態に換算された質量流量で出力又は表示されるため、温度や圧力に依存しない流量の把握が可能である。
【0056】
乾燥空気質量流量計算部19では、質量流量計14で計測された湿り空気流量から求められる比容積と、供給される乾燥空気の比容積から供給乾燥空気の流量を求めて、最終的にはマスフローコントローラ17を通過する乾燥空気の流量を制御することができる。なお、上述のように、マスフローコントローラ17の制御のためには、ボリューム調整器18による手動設定と乾燥空気質量流量計算部19からの電圧または電流による自動流量制御の2つから選択することが可能である。流量計14および配管類は加熱空気の冷却と蒸気の凝縮が起きないように保温ヒータ25および/または保温材26で保温され、保温温度センサ(図示せず)と温度調節計(図示せず)で温度制御されている。
【0057】
乾燥気体発生システム1から送出されるべき乾燥空気の質量流量は、湿り空気の温度や湿度等の実測値に基づき次式(4)〜(11)を用いて算出することができる。ただし、下記[Kg(DA)]は、乾燥空気(ドライエア)の水分の質量を示す意味で用いている。
【0058】
<算出対象>
乾燥空気の目標流量:Lw[L/min]
<実測値として使用する値>
湿り空気温度:tw[℃]
湿り空気湿度:rhw[%RH]
湿り空気圧力:pw[kPa]
乾燥空気温度:ta[℃]
乾燥空気湿度:rha[%RH]
乾燥空気圧力:pa[kPa]
<計算過程で用いる値>
湿り空気水蒸気圧:ew[kPa]
湿り空気絶対湿度:dw[Kg/Kg(DA)]
湿り空気比容積:vw[m/Kg(DA)]
乾燥空気水蒸気圧:ea[kPa]
乾燥空気絶対湿度:da[Kg/Kg(DA)]
乾燥空気比容積:va[m/Kg(DA)]
乾燥空気質量流量:Lm[Kg(DA)/min]
乾燥空気供給流量:La [L/min]
【0059】
【数4】

ただし、(4)式においてT=tw+273.15である。
【0060】
【数5】

【0061】
【数6】

【0062】
【数7】

ただし、(7)式においてT=ta+273.15である。
【0063】
【数8】

【0064】
【数9】

【0065】
【数10】

【0066】
【数11】

【0067】
上記式(4)〜(11)に含まれる定数は、全て±1%以下、好ましくは±0.5%以下の許容範囲を有し得る。
【0068】
6.温度湿度計測システム
既に説明した湿度計13の好ましい構成について詳しく説明すると、湿度は高分子静電容量型湿度センサで測定されることがより好ましく、また精密測温抵抗体を併設することによって温度も測定されることがさらに好ましい。加えて、測定された温度と湿度から計算によって露点を算出すること好ましく推奨される。
【0069】
(1)温度情報のフィードバック
前述したように、加熱された乾燥空気もしくは湿り空気の温度は、温度制御器21により混合ボックス11内のケーブルヒータ10により一定に制御される。温度制御は混合ボックス11内の温度センサ12により行うか、湿度計13に併設された上記精密測温抵抗体により行うか、または、外部温度センサ(図示せず)の3者の中から、スイッチ24による切替えを可能とすることが好ましい。
【0070】
(2)湿度情報のフィードバック
上述のように温度湿度計測システム5において測定された湿度情報は、加湿制御器28にフィードバックされるが、元となる湿度情報としては、湿度計13による湿度の直接的な測定値、湿度計13からの算出露点値、または、外部湿度センサ(図示せず)からの外部入力30の中から、スイッチ31、32による選択を可能とすることが好ましい。湿度計13による湿度の直接的な測定値を加湿制御器28にフィードバックさせる場合には、湿度信号が湿度制御器33を流れるようにスイッチ32を操作し、湿度計13からの算出露点値を加湿制御器28にフィードバックさせる場合には、湿度信号が露点制御器34を流れるようにスイッチ32を操作する。もちろん、この操作は自動制御によって行うことができる。湿度制御器33または露点制御器34の機能により、加熱湿り空気の湿度もしくは露点が一定となるように制御することができる。
【0071】
7.データ記録
図3は、本発明の実施の形態における気体発生装置の制御信号の流れを示す参考図である。供給される乾燥空気の圧力と質量流量、混合ボックス11のヒータ電力制御量と加熱空気もしくは加熱湿り空気の温度、蒸気発生器の制御量、加熱乾燥空気もしくは加熱湿り空気の質量流量、温度、湿度、露点、保温温度、送出口の圧力などのデータおよび乾燥空気質量流量計算部19で求められた絶対湿度と水分量は、データ蓄積装置(図示せず)を介してコンピュータ(図示せず)に収集し記録できる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0073】
(1)混合ボックスの構造
図4は、本発明の実施例における容器11の断面図である。図4においてステンレス製の耐圧筒状ケース(容器11)に坂口電熱株式会社製の加熱器10(商品名:ケーブルエアーヒータ、型式:MCA−500、駆動電圧:200V単相、消費電力量:500W)および蒸気供給口を2ヶ所(B1,B2)追加改造したものを用いた。容器11には熱電対の温度センサ12を装着した。2ヶ所の蒸気供給口B1,B2は、次のように用いられる。例えば、蒸気発生器までの道のりが長いために蒸気温度が下がってしまう場合は、加熱器10により十分な加熱を行うために蒸気供給口B1を用いる。逆に蒸気発生器までの距離が短い場合は蒸気供給口B2を使用する。蒸気供給口B2付近の加熱器10自体の表面温度は、加熱器10全体の中で最も高温の箇所になり、蒸気供給口B2から進入した蒸気は蒸気化が促進され、凝縮することなく安定した蒸気を送出することができる。容器11は保温ヒータ25と保温材26により温度の低下と蒸気の凝縮を防いだ。保温ヒータ25の温度制御には、保温温度センサ(図示せず)と温度調節器(図示せず)を用いた。
【0074】
(2)蒸気発生器の構造
蒸気発生システム2として、ピーエス工業株式会社製の電熱式蒸気加湿器(型式:SU−486)を用いた。この加湿器は、有効加湿量0〜4.8kg/hの能力を持っている。常に一定水位を保つステンレス耐圧蒸発容器(貯水タンク27)の水中にヒータを装着し、加湿制御器28からの蒸気発生量制御値である0〜100%の入力値に応じて、沸騰した水の蒸気圧力を制御し、蒸気量0〜4.8kg/hで送出できる。送出された蒸気は低温の構造物や大気に接すると急激に凝縮して水に戻ってしまうので、保温された短管を通して加熱された容器11に導入することで凝縮を防いだ。これにより安定した加熱湿り空気を発生させることができた。
【0075】
(3)試験結果
図5〜12は、本実施例における気体発生装置を用いた加湿試験の結果を示すものである。
【0076】
(i)試験1
約2時間かけて、湿り空気の相対湿度を20%RHから70%RHへ上昇させた。図5は、経過時間と湿り空気の温度、湿度、露点との関係を示すグラフである。図6は、経過時間と乾燥空気の流量、湿り空気の流量との関係を示すグラフである。
<その他の条件>
湿り空気流量:50L/min
湿り空気温度:90℃
【0077】
(ii)試験2
約2時間かけて、湿り空気の流量を20L/minから80L/minへ上昇させた。図7は、経過時間と湿り空気の温度、湿度、露点との関係を示すグラフである。図8は、経過時間と乾燥空気の流量、湿り空気の流量との関係を示すグラフである。
<その他の条件>
湿り空気温度:80℃
湿り空気相対湿度:80%RH
【0078】
(iii)試験3
約2時間かけて、乾燥空気の温度を25℃から100℃へ上昇させた。図9は、経過時間と乾燥空気の温度との関係を示すグラフである。図10は、経過時間と乾燥空気の流量、加熱空気の流量との関係を示すグラフである。
<その他の条件>
乾燥空気流量:50L/min
乾燥空気相対湿度:0%RH
【0079】
試験1〜3のいずれについても、温度、湿度、流量のそれぞれを独立に変化させても他の2つの指標に大きな変動を与えることなく、安定した運転が可能であった。
【0080】
(iv)試験4
約2時間かけて、湿り空気の相対湿度を30%RHから5%RHへ下降させた。図11は、経過時間と湿り空気の温度、湿度、露点(計算値)との関係を示すグラフである。図12は、経過時間と湿り空気の絶対湿度、湿り空気の水分量との関係を示すグラフである。
<その他の条件>
乾燥空気流量:20L/min
湿り空気温度:30℃
図11および図12に示すように、加熱湿り空気が流量20リットル/分(L/min)、温度30℃、湿度5%RH(露点:−13.6℃)の条件で、水分量1.4g/hという低湿度(低露点)の制御が可能であり、本実施例における気体発生装置の加湿量の分解能(制御能力)は非常に高いことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の気体発生装置は、熱交換機の性能評価装置、材料吸湿特性、材料耐熱特性、燃料電池評価装置などへの用途がある。その他、二温度法の応用として、温調された空間や容器に同じ温度の加熱湿り空気を供給し、湿度を空間内に設置した湿度センサで計測し、本発明の気体発生装置で湿度制御することにより、湿度供給機能を持たない空間など、供給先の湿度を一定に調湿できる湿度制御し供給する装置として簡便に応用できる。該装置は加熱湿り空気もしくは加熱乾燥空気を保温したフレキシブルなチューブから送出することにより、異径レデューサなどでチューブ径を合わせることで各種機器類に容易に導入することができる。
【0082】
一般的に用いられる超音波式の湿度発生装置は潜熱により温度が奪われるので加湿量により温度が変ってしまうが、本発明の気体発生装置からは温度一定のまま湿度を供給できる利点がある。また本発明の気体発生装置では、加熱湿り空気が室温を変化させないので、空調設備などの省エネルギー化に大いに貢献する。
【符号の説明】
【0083】
1 乾燥気体発生システム
2 蒸気発生システム
3 混合加熱システム
4 流量計測システム
5 温度湿度計測システム
10 加熱器
10a 空気加熱部
10b 混合加熱部
11 容器
12 温度計(温度センサ)
13 湿度計(湿度センサ)
14 流量計
15 圧力調節弁
16 圧力センサ
17 マスフローコントローラ
18 ボリューム調整器
19 乾燥空気質量流量計算部
20 スイッチ
21 温度制御器
22 ヒータ電力制御器
23 外部入力
24 スイッチ
25 保温ヒータ
26 保温材
27 貯水タンク
28 加湿制御器
30 外部入力
31 スイッチ
32 スイッチ
33 湿度制御器
34 露点制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定温度、所定湿度の気体を所定の流量で送出させる気体発生装置であって、
加熱器を内蔵する容器と、
前記容器に乾燥気体を供給する乾燥気体発生システムと、
前記容器に蒸気を供給する蒸気発生システムと、
前記容器により混合された気体の温度、湿度、及び流量をそれぞれ計測するための温度計、湿度計、及び流量計と、
前記温度計からの出力情報、前記湿度計からの出力情報、および、前記流量計からの出力情報のうち少なくともいずれか一つを、前記乾燥気体発生システム、前記蒸気発生システム、または、前記加熱器のいずれかにフィードバックする回路と、
を有する気体発生装置。
【請求項2】
前記温度計からの出力情報が前記加熱器にフィードバックされる請求項1に記載の気体発生装置。
【請求項3】
前記湿度計からの出力情報が前記蒸気発生システムにフィードバックされる請求項1または2に記載の気体発生装置。
【請求項4】
前記乾燥気体発生システムが流量制御装置を有し、該流量制御装置には演算装置が接続され、該演算装置には、前記流量計からの出力情報、前記温度計からの出力情報、および前記湿度計からの出力情報が入力され、該演算装置によって、前記流量制御装置を制御するための信号が生成される請求項1〜3のいずれかに記載の気体発生装置。
【請求項5】
前記温度計が前記容器内に設けられており、前記湿度計及び流量計が前記容器よりも下流側に設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の気体発生装置。
【請求項6】
気体発生装置の外部に設けられた外部温度計を備え、該外部温度計からの出力情報または前記温度計からの出力情報のいずれかを選択するスイッチを有する請求項1〜5のいずれかに記載の気体発生装置。
【請求項7】
前記気体発生装置の外部に設けられた外部湿度計を備え、該外部湿度計からの出力情報または前記湿度計からの出力情報のいずれかを選択して前記回路に入力させるスイッチを有する請求項1〜6のいずれかに記載の気体発生装置。
【請求項8】
前記加熱器が巻き形状を有する請求項1〜7のいずれかに記載の気体発生装置。
【請求項9】
前記湿度計の出力情報から露点を算出する演算装置をさらに備え、湿度情報又は露点情報のいずれかを選択して前記回路に入力させるスイッチを有する請求項1〜8のいずれかに記載の気体発生装置。
【請求項10】
露点を一定に制御させる請求項9に記載の気体発生装置。
【請求項11】
前記蒸気発生システムが、電熱式蒸気発生装置である請求項1〜10のいずれかに記載の気体発生装置。
【請求項12】
前記乾燥気体発生システムに、乾燥気体の圧力を測定する圧力計が備えられた請求項1〜11のいずれかに記載の気体発生装置。
【請求項13】
前記気体発生装置の気体送出口に、混合気体の圧力を測定する圧力計が備えられた請求項1〜12のいずれかに記載の気体発生装置。
【請求項14】
前記乾燥気体が不活性ガスである請求項1〜13のいずれかに記載の気体発生装置。
【請求項15】
前記乾燥気体が空気である請求項14に記載の気体発生装置。
【請求項16】
前記蒸気が水蒸気である請求項1〜15のいずれかに記載の気体発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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