説明

気水分離装置、およびこれを用いたボイラ

【課題】 蒸気の流速が上昇しても、高い乾き度を有する蒸気を得ることができる(高乾き度を維持可能な)、気水分離装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、本体部11と、前記本体部11の上方位置に設けられた蒸気出口部21と、前記本体部11の下方位置に設けられた降水部22とを有する気水分離装置10であって、前記本体部11の側方位置に設けられた蒸気入口部19と、前記蒸気入口部19に対向する前記本体部11の側面近傍に設けられた遮蔽部12とを備えたことを特徴としている。また、前記遮蔽部12は、前記本体11部の側面形状に沿った形状を有し、前記本体部11と前記遮蔽部12との間に、略均一な隙間が設けられている構成であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気水分離装置、およびこの気水分離装置を用いて構成されたボイラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、環状に配列された水管群を有する缶体を備えたボイラはよく知られており、このようなボイラにおいては、一般的に、その水管群の中央部にバーナ(燃焼装置)が配設されている。従来技術にかかるボイラにおいては、それぞれの水管表面を伝熱面として、燃焼装置にて生成された高温の燃焼ガスとの間で熱交換が行われ、水管内の水は加熱される。水管内の水は加熱されることによって蒸気となり、このようにして生成された蒸気は、水管郡の上方位置に設けられた上部ヘッダを介して、ボイラ外に取り出される。
【0003】
取り出される蒸気は、その乾き度が高い方が好ましいが、場合によっては、ボイラの水管内にて沸騰した缶水が蒸気と共に取り出されることもある。そこで、一般的な蒸気ボイラにおいては、上部ヘッダの下流側に、気水分離装置(気水分離器)が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
水管内で発生した気水混合気は、上部ヘッダを介して気水分離装置に導入され、この気水分離装置においては、気水混合気が蒸気(乾き蒸気)と水分とに分離される。気水分離装置で分離された蒸気は、気水分離装置の上方から蒸気使用箇所に供給される。また、気水分離装置で分離された水分は、気水分離装置の下方から下部ヘッダを介して缶水として水管内に戻される。
【0005】
【特許文献1】特開2002−5404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術にかかる気水分離装置においては、ボイラの蒸発量が増えて、上部ヘッダを介して取り出される蒸気の流速が上昇すると、高い乾き度を有する蒸気を得ることができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであって、蒸気の流速が上昇しても、高い乾き度を有する蒸気を得ることができる(高乾き度を維持可能な)、気水分離装置を提供することを課題とする。また、本発明は、この気水分離装置を用いて構成されたボイラを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本体部と、前記本体部の上方位置に設けられた蒸気出口部と、前記本体部の下方位置に設けられた降水部とを有する気水分離装置であって、前記本体部の側方位置に設けられた蒸気入口部と、前記蒸気入口部に対向する前記本体部の側面近傍に設けられた遮蔽部とを備えたことを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、前記蒸気入口部から前記本体部内に導入された気水混合気は、前記蒸気入口部に対向する前記本体部の側面に衝突するが、この衝突した気水混合気は、そのまま巻き上がって前記蒸気出口部から取り出されるのではなく、一旦、前記本体部と前記遮蔽部との間に流入する。つまり、このような構成によれば、高速で前記本体部側面に衝突する気水混合気は、前記遮蔽部に遮られることによって、直接前記蒸気出口部に向かうのではなく、前記遮蔽部によって蒸気(乾き蒸気)と水分とに分離されることとなる。分離された蒸気(乾き蒸気)は、前記遮蔽部を回り込んで前記蒸気出口部から取り出され、分離された水分は、前記遮蔽部を伝って前記降水部に滴下する。本発明は、このように、前記蒸気入口部に対向する前記本体部の側面近傍に前記遮蔽部を有するため、上述したように、高速で前記本体部内に流入する気水混合気を効果的に蒸気と水分とに分離することができる。
【0010】
また、本発明にかかる気水分離装置においては、前記遮蔽部が、前記本体部の側面形状に沿った形状を有し、前記本体部と前記遮蔽部との間に、略均一な隙間が設けられている構成が好ましい。
【0011】
さらに、本発明にかかる気水分離装置においては、前記本体部が円筒形状を有し、前記遮蔽部が断面円弧状の板状部材を用いて形成されている構成が好ましい。
【0012】
また、本発明にかかる気水分離装置においては、前記蒸気出口部近傍に、蒸気の流入方向に直交するバッフル板が設けられている構成が好ましい。
【0013】
このような構成によれば、上述した前記遮蔽部に加えて、前記蒸気出口部近傍に前記バッフル板も設けられているため、さらに、気水分離効果を高めることができる。具体的には、前記蒸気出口部に向かって流入する蒸気(気水混合気)の一部が前記バッフル板の正面側に衝突すると共に、前記本体部の壁面に沿って前記本体部の上方位置に到達した蒸気(気水混合気)についても、前記バッフル板の裏面側に接触することとなる。つまり、このように、前記バッフル板に対して気水混合気が衝突および接触することによって、気水混合気が蒸気(乾き蒸気)と水分とに分離されることとなる。したがって、この好ましい構成によれば、前記遮蔽部と前記バッフル板とにより、より効果的に気水混合気の分離(蒸気と水分との分離)を行うことが可能となる。
【0014】
本発明にかかるボイラは、上記課題を解決するためになされたものであって、上述したいずれかの構成を有する気水分離装置を備えたことを特徴としている。
【0015】
このような構成によれば、蒸気の流速が上昇しても、高い乾き度を有する蒸気を得ることが可能な(高乾き度を維持可能な)、ボイラを得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、蒸気の流速が上昇しても、高い乾き度を有する蒸気を得ることが可能な(高乾き度を維持可能な)、気水分離装置を得ることができる。また、本発明によれば、この気水分離装置を用いることによって、高乾き度の蒸気を得ることが可能なボイラを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
まず、本実施形態の第一態様は、本体部と、この本体部の上方位置に設けられた蒸気出口部と、本体部の下方位置に設けられた降水部とを有する気水分離装置であって、本体部の側方位置に設けられた蒸気入口部と、この蒸気入口部に対向する本体部の側面近傍に設けられた遮蔽部とを備えたことを特徴としている。
【0019】
また、本実施形態の第二態様にかかる気水分離装置は、第一態様において、遮蔽部が、本体部の側面形状に沿った形状を有し、本体部と遮蔽部との間に、略均一な隙間が設けられている。
【0020】
さらに、本実施形態の第三態様にかかる気水分離装置は、第一態様または第二態様において、本体部が、円筒形状を有し、遮蔽部が、断面円弧状の板状部材を用いて形成されている。
【0021】
また、本実施形態の第四態様にかかる気水分離装置は、第一態様から第三態様のいずれかにおいて、蒸気出口部近傍に、蒸気の流入方向に直交するバッフル板が設けられている。
【0022】
次に、本実施形態の第五態様にかかるボイラは、上述した第一態様から第四態様のいずれかの構成を有する気水分離装置を備えたことを特徴としている。
【0023】
<第一実施例>
以下、図面に基づき、本発明の第一実施例にかかる気水分離装置およびボイラについて説明する。
【0024】
図1は、本発明の第一実施例にかかる気水分離装置を備えたボイラの概略図を示している。この図1において、気水分離装置10は縦断面図として示されている。また、図2および図3は、本実施例にかかる気水分離装置の概略図を示したものである。ここで、図2は、本実施例にかかる気水分離装置の縦断面の説明図を示し、図3は、図2のIII−III線に沿う横断面の説明図を示している。
【0025】
図1に示すように、本実施例においては、ボイラ1の上方位置に、ボイラ1内部で生成された蒸気を上部ヘッダを介して取り出すための蒸気取出管2が設けられており、この蒸気取出管2の下流側に気水分離装置10が設けられている。
【0026】
気水分離装置10は、円筒形状の本体容器11(本発明の「本体部」に相当)、この本体容器11内に設けられた遮蔽板12(本発明の「遮蔽部」に相当)、本体容器11の側方位置に設けられた蒸気入口管19(本発明の「蒸気入口部」に相当)、本体容器11の上方位置に設けられた蒸気出口管21(本発明の「蒸気出口部」に相当)、および本体容器11の下方位置に設けられた降水管22(本発明の「降水部」に相当)等を用いて構成されている。
【0027】
本実施例にかかる遮蔽板12は、図3等から明らかなように、本体容器11の側面形状に沿った形状を有し、この本体容器11と遮蔽板12との間には、略均一な隙間が設けられている。より具体的には、遮蔽板12は、断面円弧状の板状部材を用いて構成されている(図3参照)。また、この遮蔽板12は、本体容器11の内壁面に対して、固定板13,14を用いて取り付けられている。
【0028】
本体容器11の側方位置に設けられた蒸気入口管19は、一方端部が本体容器11内に開口されており、他方端部がフランジを用いて蒸気取出管2に接続されている。本実施例においては、この蒸気入口管19を介して、ボイラ1にて生成された蒸気が気水分離装置10を構成する本体容器11内に導入される。また、この蒸気入口管19は、本体容器11に導入された蒸気が、本体容器11内で旋回するように、本体容器11に対して若干傾けた状態で取り付けられている。例えば、本体容器11内面の接線方向に蒸気を導入可能なように、蒸気入口管19を傾けて取り付けている。
【0029】
本実施例にかかる蒸気出口管21は、その下方端部が本体容器11の上方位置に取り付けられており、上方端部が蒸気供給箇所に連通されている。また、本実施例にかかる降水管22は、その上方端部が本体容器11の下方位置に取り付けられており、下方端部がボイラ1の下部ヘッダに連通されている。
【0030】
さて、本実施例にかかる気水分離装置10およびボイラ1は、以上のように構成されており、その構成に基づき、次のような作用効果を有する。以下、図1乃至図3を参照しつつ、その作用効果を具体的に説明する。
【0031】
本実施例にかかる気水分離装置10においては、ボイラ1にて生成された蒸気(気水混合気)が、上部ヘッダ、蒸気取出管2、および蒸気入口管19を介して、本体容器11内へ導入される。そして、本体容器11内に導入された気水混合気は、本体容器11内を旋回する。
【0032】
気水混合気を本体容器11内にて旋回させると、比重の大きな水分Bは、遠心力と重力とにより、本体容器11の内壁に沿って下方に滴下する。このように、気水混合気から分離された水分Bは、降水管22およびボイラ1の下部ヘッダを介して缶水として水管内に戻される。
【0033】
また、気水混合気を本体容器11内にて旋回させることによって、大半の水分(飽和水)は分離(重力分離)され、その結果、気水混合気から蒸気が分離される。この分離された蒸気は、本体容器11の中央部にて上向きの流れとなり、この上向きの蒸気Cは、蒸気出口管21を介して、蒸気供給箇所に送られる。
【0034】
さらに、本体容器11内に導入された気水混合気の一部(気水混合気A)は、旋回等しながら、蒸気入口管19に対向する位置(180度反対の位置)に設けられた遮蔽板12と本体容器11壁面との間の隙間領域15に導入される。このような構成によれば、遮蔽板12によって、流体の動きが抑制されるため、本体容器11の壁面に衝突して跳ね返ってきた気水混合気(水分を含んだ蒸気)が、そのまま蒸気出口管21から流出することはない。
【0035】
すなわち、本実施例によれば、蒸気入口管19から本体容器11内に導入された気水混合気は、蒸気入口管19に対向する本体容器11の側面に衝突するが、この衝突した気水混合気は、そのまま巻き上がって蒸気出口管21から取り出されるのではなく、一旦、本体容器11と遮蔽板12との間に流入する。つまり、このような構成によれば、高速で本体容器11側面に衝突等する気水混合気Aは、遮蔽板12に遮られることによって、直接蒸気出口管21に向かうのではなく、遮蔽板12によって蒸気(乾き蒸気)と水分とに分離されることとなる。分離された蒸気(乾き蒸気)は、遮蔽板12を回り込んで蒸気出口管21から取り出され、分離された水分Dは、遮蔽板12を伝って降水管22に滴下する。本実施例は、このように、蒸気入口管19に対向する本体容器11の側面近傍に遮蔽板12を有するため、上述したように、高速で本体容器11内に流入する気水混合気を効果的に蒸気と水分とに分離することができる。
【0036】
また、本実施例によれば、遮蔽板12を蒸気入口管19の近傍に設置するのではなく、本体容器11内において、蒸気入口管19から最も離れた位置(蒸気入口管19の設置箇所に対向する本体容器11の側面近傍)に遮蔽板12が設けられる。つまり、本実施例にかかる遮蔽板12は、蒸気入口管19と蒸気出口管21との最短距離を遮る箇所には設けられておらず、蒸気の流れを阻害しないため、蒸気出口管21から取り出される蒸気(乾き蒸気)の圧力損失を最低限に抑えることができる。
【0037】
以上のように、本実施例によれば、遠心力および重力による気水分離に加え、遮蔽板12を用いた気水分離を行うことが可能である。特に、ボイラ1にて多量の蒸気が生成されて(蒸発量が増えて)、蒸気入口管19から高速の蒸気(飽和水を含んだ蒸気)が導入された際においても、遮蔽板12を有することによって、この蒸気の跳ね返り等を抑えて、効率的に気水分離処理を行うことができる。したがって、本実施例によれば、蒸気の流速が上昇しても、高い乾き度を有する蒸気を得ることが可能な(高乾き度を維持可能な)、気水分離装置10を得ることができる。また、この気水分離装置10を用いることによって、高乾き度の蒸気を得ることが可能なボイラ1を得ることができる。
【0038】
<第二実施例>
次に、図面に基づき、本発明の第二実施例にかかる気水分離装置およびボイラについて説明する。
【0039】
図4は、本発明の第二実施例にかかる気水分離装置を備えたボイラの概略図を示している。この図4において、気水分離装置40は縦断面図として示されている。また、図5および図6は、本実施例にかかる気水分離装置の概略図を示したものである。ここで、図5は、本実施例にかかる気水分離装置の縦断面の説明図を示し、図6は、図5のVI−VI線に沿う横断面の説明図を示している。
【0040】
なお、本実施例においては、第一実施例と同様の構成要素については、同様の符号を付してその説明を省略し、以下においては、主に第一実施例と異なる構成要素について説明を行う。
【0041】
図4に示すように、本実施例においては、ボイラ1の上方位置に、ボイラ1内部で生成された蒸気を上部ヘッダを介して取り出すための蒸気取出管2が設けられており、この蒸気取出管2の下流側に気水分離装置40が設けられている。
【0042】
気水分離装置40は、円筒形状の本体容器41(本発明の「本体部」に相当)、この本体容器41内に設けられた遮蔽板12(本発明の「遮蔽部」に相当)、本体容器41の側方位置に設けられた蒸気入口管19(本発明の「蒸気入口部」に相当)、本体容器41の上方位置に設けられた蒸気出口管21(本発明の「蒸気出口部」に相当)、本体容器41の下方位置に設けられた降水管22(本発明の「降水部」に相当)、および本体容器41内における蒸気出口管21近傍に設けられたバッフル板47等を用いて構成されている。
【0043】
本実施例にかかる気水分離装置40においては、蒸気出口管21の下方位置に、本体容器41内に突出した垂直管46が設けられており、この垂直管46には、蒸気の流入方向に直交するバッフル板47が設けられている。
【0044】
なお、本体容器11、遮蔽板12、蒸気入口管19、および蒸気出口管21については、第一実施形態と同様の構成および機能を有している。
【0045】
さて、本実施例にかかる気水分離装置40およびボイラ1は、以上のように構成されており、その構成に基づき、次のような作用効果を有する。以下、図4乃至図6を参照しつつ、その作用効果を具体的に説明する。本実施例にかかる気水分離装置40は、垂直管46およびバッフル板47を有する点以外、第一実施例と同様であるため、主に、これらの構成要素に基づく作用効果を説明する。
【0046】
本実施例にかかる気水分離装置40においても、第一実施例と同様に、ボイラ1にて生成された蒸気(気水混合気)が、上部ヘッダ、蒸気取出管2、および蒸気入口管19を介して、本体容器11内へ導入される。そして、本体容器11内に導入された気水混合気は、本体容器11内を旋回する。
【0047】
気水混合気を本体容器11内にて旋回させると、比重の大きな水分Bは、遠心力と重力とにより、本体容器11の内壁に沿って下方に滴下する。このように、気水混合気から分離された水分Bは、降水管22およびボイラ1の下部ヘッダを介して缶水として水管内に戻される。
【0048】
また、気水混合気を本体容器11内にて旋回させることによって、大半の水分(飽和水)は分離(重力分離)され、その結果、気水混合気から蒸気が分離される。この分離された蒸気は、本体容器11の中央部にて上向きの流れとなり、この上向きの蒸気Cは、垂直管46および蒸気出口管21を介して、蒸気供給箇所に送られる。
【0049】
ところで、本実施例によれば、上向きの流れとなった蒸気のうち、蒸気出口管21の外側を流れた蒸気は、バッフル板47の正面側に衝突するか、あるいはバッフル板47の裏面側に回り込むこととなる。バッフル板47の正面側に衝突しても、バッフル板47の裏面側に回り込んだとしても、蒸気は垂直管46の外側面およびバッフル板47の少なくとも一方と接触することとなって、この接触によって、蒸気の気水分離が促進されることとなる。
【0050】
つまり、バッフル板47等と接触した後、気水分離された蒸気Eは、バッフル板47や垂直管46を回り込んで、垂直管46および蒸気出口管21を介して、蒸気供給箇所に送られる。一方、気水分離された水分Fは、垂直管46およびバッフル板47の少なくとも一方を伝って降水管22に滴下する(図5参照)。
【0051】
本実施例にかかる気水分離装置40は、上述した機能を有する垂直管46およびバッフル板47を有すると共に、第一実施例にて説明した遮蔽板12も有している。したがって、本実施例によれば、これらを用いることによって、より効果的にボイラ1から取り出した蒸気の気水分離処理を行うことができる。
【0052】
以上のように、本実施例によれば、遠心力および重力による気水分離に加え、遮蔽板12を用いた気水分離、およびバッフル板47等を用いた気水分離を行うことが可能である。特に、ボイラ1にて多量の蒸気が生成されて(蒸発量が増えて)、蒸気入口管19から高速の蒸気(飽和水を含んだ蒸気)が導入された際においても、遮蔽板12を有することによって、この蒸気の跳ね返り等を抑えて、効率的に気水分離処理を行うことができる。したがって、本実施例によれば、蒸気の流速が上昇しても、高い乾き度を有する蒸気を得ることが可能な(高乾き度を維持可能な)、気水分離装置40を得ることができる。また、この気水分離装置40を用いることによって、高乾き度の蒸気を得ることが可能なボイラ1を得ることができる。
【0053】
<その他の実施例>
なお、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で必要に応じて種々の変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0054】
上記実施例においては、遮蔽板12が断面円弧状(半円状)の板状部材を用いて構成される場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、本発明は、遮蔽板が蒸気入口管19に対向する本体容器の側面近傍に設けられた構成であれば(遮蔽板が蒸気入口管19と蒸気出口管21との最短距離を遮る箇所に設けられていなければ)、その形状は、半円状に限定されず、本体容器の側面(壁面)形状に沿った形状であれば、如何なる形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第一実施例にかかる気水分離装置を備えたボイラの概略図である。
【図2】本発明の第一実施例にかかる気水分離装置の縦断面の説明図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う横断面の説明図である。
【図4】本発明の第二実施例にかかる気水分離装置を備えたボイラの概略図である。
【図5】本発明の第二実施例にかかる気水分離装置の縦断面の説明図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う横断面の説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1…ボイラ
2…蒸気取出管
10…気水分離装置
11…本体容器
12…遮蔽板
13,14…固定板
15…隙間領域
19…蒸気入口管
21…蒸気出口管
22…降水管
40…気水分離装置
41…本体容器
46…垂直管
47…バッフル板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、前記本体部の上方位置に設けられた蒸気出口部と、前記本体部の下方位置に設けられた降水部とを有する気水分離装置であって、
前記本体部の側方位置に設けられた蒸気入口部と、前記蒸気入口部に対向する前記本体部の側面近傍に設けられた遮蔽部とを備えた
ことを特徴とする気水分離装置。
【請求項2】
前記遮蔽部が、前記本体部の側面形状に沿った形状を有し、
前記本体部と前記遮蔽部との間に、略均一な隙間が設けられている
請求項1に記載の気水分離装置。
【請求項3】
前記本体部が、円筒形状を有し、
前記遮蔽部が、断面円弧状の板状部材を用いて形成されている
請求項1または2に記載の気水分離装置。
【請求項4】
前記蒸気出口部近傍に、蒸気の流入方向に直交するバッフル板が設けられている
請求項1から3のいずれか1項に記載の気水分離装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の気水分離装置を備えた
ことを特徴とするボイラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−100125(P2008−100125A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282231(P2006−282231)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】