説明

気流乾燥機

【課題】コンパクトで乾燥能力が高く、かつ原料の熱劣化が生じにくい気流乾燥機を提供することである。
【解決手段】ケーシング1内に設けた多孔板3の上面に沿って回転する攪拌羽根4の回転領域に、粒状の解砕媒体11を配して、多孔板3上の原料を効率よく解砕するとともに解砕媒体11との接触によって急加熱できるようにすることにより、原料を十分に乾燥させるのに必要な原料と熱風との接触時間を従来よりも短縮して、十分な乾燥能力を確保しつつ乾燥機全体のコンパクト化を図れるようにするとともに、原料の熱劣化が生じにくいようにしたのである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分を含む粉粒体等の原料を熱風で乾燥させる気流乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
水分を含む各種の粉粒体等の原料を熱風で乾燥させる気流乾燥機には、ケーシング内の多孔板上に投下した原料を、多孔板の上面に沿って回転する攪拌羽根で解砕しながら多孔板を通って上昇する熱風で乾燥して、熱風とともにケーシング上部から排出するものがある。このような気流乾燥機では、一般に、乾燥能力を確保するために、ケーシングを縦に長く形成してケーシング内での原料と熱風との接触時間を長くとれるようにしている。そのため、ケーシング高さが高くなって、乾燥機全体が大型化しやすい。
【0003】
これに対して、多孔板の各孔に、孔を通過する熱風に上昇力と回転力を同時に与える案内壁を形成し、熱風がケーシング内を螺旋状に上昇するようにして、原料と熱風との接触時間を長くすることにより、ケーシング高さを抑えられるようにして、乾燥能力を確保しつつ乾燥機全体のコンパクト化を図る技術が提案されている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平7−180959号公報
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の気流乾燥機も、従来のものと同様に、乾燥能力の向上のために原料と熱風との接触時間を長くとるようにしているので、原料が小麦粉、米粉、そば粉等、たんぱく質を含むものの場合には、熱による原料品質の低下(熱劣化)が問題となることがある。特に、原料が供給時に水分を多く含んでいると、多孔板上の原料が熱風によって上昇する程度に細かく解砕されるまでにも時間がかかり、熱劣化の問題が生じやすい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、コンパクトで乾燥能力が高く、かつ原料の熱劣化が生じにくい気流乾燥機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、多孔板の上面に沿って回転する攪拌羽根の回転領域に粒状の解砕媒体を配するようにした。これにより、多孔板上の原料を効率よく解砕するとともに解砕媒体との接触によって急加熱することができる。従って、原料を十分に乾燥させるのに必要な原料と熱風との接触時間が短縮され、十分な乾燥能力を確保しつつ乾燥機全体のコンパクト化を図ることができるし、原料の熱劣化が生じにくくなる。
【0007】
上記の構成において、前記攪拌羽根の回転方向前面を、回転方向よりも回転中心側を向く傾斜面を有するものとすることにより、多孔板上の原料や解砕媒体がケーシングの側壁の近傍に滞留しないようにして、原料の解砕効率をさらに向上させることができる。
【0008】
また、前記ケーシングの外壁に冷却媒体を通すジャケットを取り付けて、熱風で加熱されたケーシングの側壁を冷却するようにすれば、原料がケーシング内壁に接触しても熱劣化を生じにくくなるので、熱風温度を従来よりも高く設定して乾燥能力を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の気流乾燥機は、上述したように、多孔板の上面に沿って回転する攪拌羽根の回転領域に粒状の解砕媒体を配して、多孔板上の原料を効率よく解砕するとともに急加熱できるようにしたものであるから、十分な乾燥能力を確保しつつ乾燥機全体をコンパクト化することができ、かつ原料の熱劣化を生じにくくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。この気流乾燥機は、図1に示すように、円筒状のケーシング1の側壁に原料供給口1aを設け、この供給口1aの下方に原料を分散させる分散機2と、ケーシング1内部を上下に仕切る多孔板3と、多孔板3の上面に沿って回転する平板状の攪拌羽根4を配置して、ケーシング1の下部から熱風を吹き込み、多孔板3上に投下した原料を、攪拌羽根4で解砕しながら多孔板3を通って上昇する熱風で乾燥して、熱風とともにケーシング1上部から排出するものである。なお、熱風温度は、排ガス温度により制御されるようになっている。また、熱風に代えて加熱蒸気を使用することもできる。
【0011】
前記ケーシング1は、床面Fに固定された基台5上に立設されており、その原料供給口1aは、ケージミル(図示省略)で粗く解砕した原料を搬送するスクリューコンベヤ6の排出端に接続されている。また、側壁の下部には熱風を吹き込む吹込口1bが、上端には熱風とともに乾燥した原料を排出する排出口1cが設けられており、中央部の外壁には、側壁冷却用のジャケット7が取り付けられている。このジャケット7は、ケーシング1外壁の中央部を全周にわたって覆っており、その下端部から注入された冷却媒体が中空部を通って上端部から排出されるようになっている。冷却媒体としては、冷却水や冷風等が用いられる。
【0012】
前記攪拌羽根4は、図2にも示すように、ケーシング1内に垂直に配された回転軸8の上端部から放射状に張り出す4本のアーム9の下面に、アーム9長手方向に沿って一列に取り付けられており、その回転方向前面は、回転方向よりも回転中心側を向く傾斜面となっている。また、回転軸8は、多孔板3とケーシング1底部を貫通しており、その中央部をケーシング1に回転自在に支持され、下端部を基台5に内蔵されたモータ10に連結されて、3〜5rpmで回転するようになっている。
【0013】
そして、攪拌羽根4の回転領域すなわち多孔板3上には、粒状の解砕媒体11が配されており、この解砕媒体11が原料とともに攪拌羽根4に攪拌されて、原料の解砕を促進するようになっている。解砕媒体11としては、工業用ガラスビーズ等が用いられる。
【0014】
次に、この気流乾燥機での原料の流れについて説明する。粗解砕された状態でケーシング1の供給口1aから投入された原料は、まず、分散機2によって分散され、そのうちの細かいものが、下方からの熱風により乾燥されながら吹き上げられて、熱風とともにケーシング1上端の排出口1cから排出される。
【0015】
一方、分散機2で分散された原料のうちの粗いものは、多孔板3上に落下し、解砕媒体11とともに攪拌羽根4に攪拌されて解砕される。ここで、攪拌羽根4は、その回転方向前面が回転方向よりも回転中心側を向いているので、原料や解砕媒体11をケーシング1の側壁の近傍に滞留させることなく、効率よく原料を解砕することができる。
【0016】
そして、攪拌羽根4と解砕媒体11とにより細かく解砕された原料が、熱風により乾燥されながら吹き上げられて、熱風および分散機2の位置から直接吹き上げられた原料とともに排出口1cから排出される。排出された原料は、排出口1cから排出管12を通ってその途中に設置されたサイクロン集塵機やバグフィルター(図示省略)で捕集され、製品として取り出される。
【0017】
この気流乾燥機は、上記の構成であり、多孔板3の上面に沿って回転する攪拌羽根4の回転領域に粒状の解砕媒体11を配したので、多孔板3上の原料を効率よく解砕するとともに解砕媒体11との接触によって急加熱することができる。従って、原料を十分に乾燥させるのに必要な原料と熱風との接触時間が短くてすみ、十分な乾燥能力を確保しつつ乾燥機全体のコンパクト化を図れるし、原料の熱劣化を生じにくいので、特にたんぱく質を含む原料の乾燥に有効に適用することができる。また、ケーシング1冷却用のジャケット7を設けたことにより、ケーシング1内壁に接触した原料の熱劣化も防止できるので、熱風温度を従来よりも高く設定して乾燥能力を高めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態の気流乾燥機の縦断正面図
【図2】図1の攪拌羽根の取付状態の説明図
【符号の説明】
【0019】
1 ケーシング
1a 原料供給口
1b 熱風吹込口
1c 排出口
2 分散機
3 多孔板
4 攪拌羽根
7 ジャケット
8 回転軸
9 アーム
11 解砕媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングの側壁に原料供給口を設け、この供給口の下方にケーシング内部を上下に仕切る多孔板と、多孔板の上面に沿って回転する攪拌羽根を配置して、前記ケーシングの下部から熱風を吹き込み、前記供給口から供給されて多孔板上に落下した原料を、前記攪拌羽根で解砕しながら多孔板を通って上昇する熱風で乾燥して、熱風とともにケーシング上部から排出する気流乾燥機において、前記攪拌羽根の回転領域に粒状の解砕媒体を配したことを特徴とする気流乾燥機。
【請求項2】
前記攪拌羽根の回転方向前面を、回転方向よりも回転中心側を向く傾斜面を有するものとしたことを特徴とする請求項1に記載の気流乾燥機。
【請求項3】
前記ケーシングの外壁に、冷却媒体を通すジャケットを取り付けたことを特徴とする請求項1または2に記載の気流乾燥機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−78207(P2007−78207A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−263908(P2005−263908)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】