説明

気流剥離低減シート

【課題】 自動車の車体の外装に気流の剥離を低減するための凹部もしくは凸部を容易に設けることができるようにすることを課題とする。
【解決手段】 自動車の外装に貼り付ける気流剥離低減シートとして、表面に形成される複数の凹部と、裏面に形成される粘着層とを設ける。このように複数の凹部を設けたシートの裏面に粘着層を設けたので、自動車の外装の必要な部分に合致する形状にシートを切断して貼り付けるだけで、簡易に自動車の外装表面に気流の剥離を低減させる凹部を設けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車の外装に貼り付けて、走行時に車体表面を流れる気流の剥離を低減させるためのシートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車レースにおいては、可能な限りに抵抗を低減する必要があり、空気力学的に抵抗の少ない車体の形状を用いることが望ましい。しかし、自動車は形状的な制約があり、どうしても車体には抵抗を発生させる凹凸が生じる。この抵抗の中で、走行時に車体表面を流れる気流の剥離により発生する圧力抵抗がある。これは、車体表面を流れる気流が、車体の曲面の形状によって剥離し、剥離した部分よりも後ろに負圧が生じる結果として抵抗が発生するものである。
このような流体の剥離による圧力抵抗は自動車に限らす、気体や液体内を進む物体に発生する。これを防ぐ方法として、物体の表面に細かな凹部もしくは凸部を設けて小さな乱流を発生させることが行われる。例えば、ゴルフボールの表面に設けられるディンプルや、飛行機の翼に設けられるボルティックスジェネレーターという小突起などが例示される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、自動車においても気流の剥離を抑制し圧力抵抗を低減するために表面に凹凸を設けることが考えられる。しかし、一般車両を改造して行う自動車レースに用いる自動車については車体表面に凹凸を設ける加工を施すことは非常に手間がかかり大変である。
そこで、本発明は、自動車の車体の外装に気流の剥離を低減するための凹部もしくは凸部を容易に設けることができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を有する。
請求項1に記載の発明は、自動車の外装に貼り付けるシートであって、表面に形成される複数の凹部と、裏面に形成される粘着層と有する気流剥離低減シートである。
請求項2に記載の発明は、前記気流剥離低減シートにおいて、前記凹部に代えて、凸部を設けたものである。
請求項3に記載の発明は、前記気流剥離低減シートにおいて、前記シートを伸縮性のある材料で形成したものである。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載の発明は、複数の凹部を設けたシートの裏面に粘着層を設けたので、自動車の外装の必要な部分に合致する形状にシートを切断して貼り付けるだけで、簡易に自動車の外装表面に気流の剥離を低減させる凹部を設けることができる。
請求項2に記載の発明は、やはり、自動車の外装の必要な部分に合致する形状にシートを切断して貼り付けるだけで、簡易に自動車の外装表面に気流の剥離を低減させる凸部を設けることができる。
請求項3に記載の発明は、シートを伸縮性のある材料で形成することでシートに皺を生じさせることなく、曲面にシートを貼り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1に本発明の実施形態に係る気流剥離低減シートXの平面図を図2に気流剥離低減シートXの部分断面図を示す。剥離低減シートXは3層により構成され、表面は伸縮性のある厚さ約3mmのシリコンゴムにより形成される表層シート10により構成され、表層シート10の表面には複数の平面視円形の凹部11が形成されている。中間層はアクリル系の粘着剤により形成される粘着層20が設けられる。裏面には粘着層を保護する紙に合成樹脂コーティングを施した剥離シート30が粘着層に貼り付けられている。
次に、このような構成を有する気流剥離低減シートXの使用方法について説明する。使用者は、まず、自動車の車体の気流が剥離する部位の形状に合わせて、気流剥離低減シートXを切り取る。そして、裏面の剥離シート30を剥がして粘着層20を表出させ、この粘着層20を気流が剥離する部位に貼り付ける。これにより、気流が剥離する部位に複数の凹部11が設けられることとなる。図3(a)(b)に気流剥離低減シートXを貼り付けた状態の例を示す。図3(a)は、自動車の気流の剥離が生じる部位としてリアフェンダーa1およびフロントフェンダーa2に気流剥離低減シートXを貼り付けた状態を示す部分平面図であり、図3(b)は、同じく気流の剥離が生じる部位としてリアウィングa3の裏面に気流低減シートを貼り付けた状態を示す断面図である。
なお、上記発明の実施形態では凹部11の平面視の形状は円形であるが、これは円形に拘束されず、ハート型や星型などのデザイン化されたものでもよく、また、長尺の溝のようなものでもよい。また、凹部11に代えて、表層シート10の表面から突出する凸部にしてもよい。さらに、凹部若しくは凸部の大きさ、数、配列などは場合に応じて適宜変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】発明の実施形態に係る気流剥離低減シートを示す平面図である。
【図2】発明の実施形態に係る気流剥離低減シートの一部分の断面図である。
【図3】(a)は気流剥離低減シートを自動者のリアフェンダー及びフロントフェンダーに貼り付けた状態を示す部分平面図であり、(b)は気流剥離低減シートを自動車のリアウィングの裏面に貼り付けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0008】
X 気流剥離低減シート
10 表層シート
11 凹部
20 粘着層
30 剥離シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の外装に貼り付けるシートであって、
表面に形成される複数の凹部と、
裏面に形成される粘着層と
を有する気流剥離低減シート。
【請求項2】
前記凹部に代えて、凸部を設けた請求項1に記載の気流剥離低減シート。
【請求項3】
前記シートは伸縮性のある材料で形成される請求項1又は2に記載の気流剥離低減シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−88880(P2006−88880A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−276994(P2004−276994)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(504205211)株式会社コールマン (1)
【Fターム(参考)】