気相中の揮発性有機化合物を光酸化分解する方法
【課題】非晶質シリカの吸着性能と光酸化触媒機能を利用して、大気中に、多くの場合、希薄な濃度で存在して、通常、悪臭を有する揮発性有機化合物を光酸化分解し、その濃度を低減する方法を提供する。
【解決手段】気相中の揮発性有機化合物、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトアルデヒド、ノナナール等の脂肪族アルデヒド類、吉草酸等の脂肪族カルボン酸類、酢酸エチル等の脂肪族カルボン酸アルキルエステル類、メチルイソブチルケトン等の脂肪族ケトン類を非晶質シリカに吸着させ、これに紫外線を照射することによって、揮発性有機化合物を酢酸及び/又は二酸化炭素を含む分解物にまで光酸化分解することができる。
【解決手段】気相中の揮発性有機化合物、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトアルデヒド、ノナナール等の脂肪族アルデヒド類、吉草酸等の脂肪族カルボン酸類、酢酸エチル等の脂肪族カルボン酸アルキルエステル類、メチルイソブチルケトン等の脂肪族ケトン類を非晶質シリカに吸着させ、これに紫外線を照射することによって、揮発性有機化合物を酢酸及び/又は二酸化炭素を含む分解物にまで光酸化分解することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気相中、代表的には、空気中の揮発性有機化合物(VOC)を光酸化分解する方法に関する。詳しくは、本発明は、空気中に、多くの場合、希薄な濃度で存在して、通常、悪臭を有し、生活環境に有害な影響を与える揮発性有機化合物を光酸化分解して、その存在量を低減するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中に、多くの場合、希薄な濃度で存在する揮発性有機化合物は、通常、悪臭を有し、大気環境に有害な影響を与えるものが多いので、我国においては、大気汚染防止法や悪臭防止法の制定にみられるように、大気環境改善のための法的な措置も種々採られるに至っている。例えば、建築業界においては、所謂シックハウス症候群の原因物質の低減のための対策が研究されており、また、塗料業界では、溶剤型塗料から水系塗料への転換が進められている。
【0003】
因みに、厚生労働省が指針値対象物として挙げている揮発性有機化合物は、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、p−ジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレン、クロルピリホス、フタル酸ジブチル、テトラデカン、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、ダイアジノン、アセトアルデヒド、フェノブカルブ及びノナナールの14種類である。また、悪臭防止法において特定悪臭物質として定められている揮発性有機化合物、アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、イソブタノール、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、トルエン、スチレン、キシレン、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イソ吉草酸の22種類である。
【0004】
このように大気汚染防止法又は悪臭防止法によって定められた揮発性有機化合物のなかには、シックハウス症候群や光化学スモッグの原因となるものもあるので、生活環境を保全し、健康を守るためにも、排出規制とは別に、大気中に存在する揮発性有機化合物を低減する方法を見出すことが重要である。従来、このような揮発性有機化合物を低減するための方法としては、珪藻土、ゼオライト、石膏等のような多孔質物質や表面積の大きい物質に揮発性有機化合物を物理的に吸着させて、大気中の濃度を軽減する吸着法、建築材料中に揮発性有機化合物と化学的に反応する薬剤を混入し、大気中の揮発性有機化合物と反応させて、大気中から除去する化学的方法(特許文献1参照)、酸化チタン系の光触媒を用いて、揮発性有機化合物を分解する光触媒分解法等が知られている(非特許文献1参照)。
【0005】
他方、従来から、吸着剤として、結晶性ゼオライトや活性アルミナがよく知られている。結晶性ゼオライトのなかでも、工業的によく用いられているMS−4Aは平均粒子径約0.4nmの細孔を有しており、MS−13Xは平均粒子径約1.0nmの均一な細孔径を有している。一方、多孔質活性アルミナは平均細孔径約10nmの細孔と50〜400m2/gの比表面積と0.1〜1.0cm3/gの細孔容積を有している。
【0006】
このような従来の吸着剤に対して、シリカゲルも平均細孔径1〜100nmの細孔と共に大きい細孔容積を有する吸着剤としてよく知られている。また、シリカゲルは化学的にも安定であるので、食品や医薬品等の防湿や、ガス、液体の脱水、精製のほか、触媒の担体等として種々の産業分野において広く用いられている。
【0007】
このように、シリカゲル自体は化学的に不活性であると広く信じられてきたが、近年、高比表面積(500〜600m2/g)を有する非晶質シリカは紫外線(240〜265nm)を吸収し、440nm付近にブロードな発光スペクトルを与えることから、光触媒機能を有することが報告されている(非特許文献2参照)。実際、非晶質シリカを用いる光メタセシス反応について報告がされており、同時に、シリカ−アルミナ、アルミナ等の他の吸着剤についても、比較検討がなされているが、メタセシス反応以外の生成物が少量生成するのみであるので、特徴的にオレフィンのメタセシス反応が起こる非晶質シリカとの違いが論じられている(非特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2004−49992号公報
【非特許文献1】Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan, 12, 143-147 (2005)
【非特許文献2】J. Chem. Soc., Faraday Trans., 90 (14) 1994, 2107-2111
【非特許文献3】J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1995, 761
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、上述したように、シリカゲル自体が吸着性能と共に光触媒機能を有する点に注目して、鋭意、研究した結果、非晶質シリカのそれら性質を利用して、大気中の揮発性有機化合物を容易に低減することができることを見出して、本発明に至ったものである。 即ち、本発明は、非晶質シリカの吸着性能と光触媒機能を利用して、大気中の揮発性有機化合物を光酸化分解する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、気相中の揮発性有機化合物を非晶質シリカに吸着させ、これに紫外線を照射することを特徴とする揮発性有機化合物を光酸化分解する方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、大気中の揮発性有機化合物を非晶質シリカに吸着させ、これに紫外線を照射することによって、上記揮発性有機化合物を酸化分解することができ、かくして、大気中の揮発性有機化合物の濃度を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の方法において用いられる非晶質シリカは、特に、限定されるものではなく、例えば、珪砂から合成されるシリカゲル、四塩化珪素を燃焼させ、加水分解して得られるシリカゲル等が用いられる。本発明においては、このような非晶質シリカは、好ましくは、比表面積が200〜800m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.1〜5.0mL/gの範囲にあり、平均細孔径が1〜50nmの範囲にあるものが好ましい。非晶質シリカは、平均粒子径においては、特に限定されるものではないが、通常、0.1〜20μmの範囲にあるものが好ましく用いられる。更に、本発明においては、非晶質シリカは、予め、空気中で高温で焼成したものを用いてもよく、また、水分を含有させたものを用いてもよい。いずれも、同様に、揮発性有機化合物を吸着させ、紫外線を照射することによって、酸化分解することができる。
【0012】
特に、本発明によれば、トルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、テトラデカン等の脂肪族炭化水素、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノナナール等の脂肪族アルデヒド、酢酸エチル等の脂肪族カルボン酸アルキルエステル類、メチルイソブチルケトン等の脂肪族ケトン類、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、イソ吉草酸等の脂肪族カルボン酸類を酢酸及び/又は二酸化炭素を含む分解物にまで光酸化分解することができる。最終的には、これらの揮発性有機化合物を二酸化炭素にまで光酸化分解することができるとみられる。また、本発明によれば、トリメチルアミン等の脂肪族アミン類をも光酸化分解することができる。
【0013】
例えば、トルエンを平均細孔径2.5nmの非晶質シリカに吸着させ、これに紫外線を24時間照射した後、光酸化分解物をガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)装置によって分析したところ、残存トルエンと共に、主たる酸化分解物としてベンズアルデヒドが生成することが確認される。同様に、平均細孔径7nmの非晶質シリカにトルエンを吸着させ、これに紫外線を24時間照射すれば、残存トルエンと共に、主たる酸化分解物としてベンズアルデヒドと安息香酸が生成することが確認される。より長時間にわたって紫外線照射すれば、酢酸も生成することが確認される。
【0014】
トルエンに代えて、p−キシレンを上記と同様に光酸化する場合に、平均細孔径2.5nmの非晶質シリカを用いるときは、主たる酸化分解物として4−メチルベンズアルデヒドが生成し、少量ではあるが、酢酸も生成することが確認される。同様に、平均細孔径7nmの非晶質シリカを用いるときは、残存p−キシレン量が相対的に減少し、4−メチルベンズアルデヒドと4−ホルミル安息香酸に加えて、特徴的に4−メチル安息香酸の生成が多く見られる。更に、酢酸の生成量も増大する。
【0015】
このように、本発明によれば、非晶質シリカを触媒として用いる揮発性及び/又は臭気性有機化合物の光酸化反応においては、光酸化反応生成物は用いる非晶質シリカの平均細孔径に依存しており、平均細孔径が1〜20nmの範囲にあるとき、揮発性及び/又は臭気性有機化合物が最も効率的に酸化されることが理解される。このように、揮発性及び/又は臭気性有機化合物を非晶質シリカの細孔に吸着させることが光酸化反応生成物の生成に関与していることは、触媒として石英を粉砕した石英粉を用いて同様にp−キシレンを処理しても、光酸化反応生成物は何も生成しないことからも裏付けられる。
【0016】
また、非晶質シリカと同じ程度の平均細孔径(約10nm)を有する多孔質活性アルミナや、平均細孔径が1nm以下のマイクロ孔を有する結晶性ゼオライトを用いても、揮発性及び/又は臭気性有機化合物の光酸化反応は全く認められない。
【0017】
しかしながら、アルミナとシリカの複合酸化物であるシリカ−アルミナを用いて、p−キシレンについて同様に実験を行った場合、SiO2/Al2O3比が約500である所謂ハイシリカ−アルミナの場合には、若干の4−メチルベンズアルヂヒドの生成が認められるが、SiO2/Al2O3比が20以下になると、全く反応しなかったところから、本発明において、非晶質シリカが光触媒機能を有するためには、必ずしも、純シリカであることを必要としない。従って、本発明においては、非晶質シリカは、SiO2/Al2O3比が50以上である範囲において、アルミナを含んでいてもよい。
【0018】
本発明によれば、トルエンやp−キシレンの光酸化反応分解反応において、光酸化分解物として酢酸も生成する。しかし、トルエンやp−キシレンの場合と同様にして、酢酸を光酸化反応に供したところ、光反応後のシリカゲルのGC−MS分析によれば、酢酸の量の低減や消失は認められても、酢酸以外の光酸化分解物を検出することができない。しかし、反応容器内のガス成分を四重極型質量分析装置にて分析した結果、二酸化炭素が生成していることが確認され、同様に、p−キシレンの光酸化においても、二酸化炭素が生成していることが確認される。即ち、本発明の方法によれぱ、揮発性有機化合物は、酢酸を経て、最終的には二酸化炭素にまで分解するものとみられる。
【0019】
また、本発明によれば、乾燥させた非晶質シリカを用いて、同様にアセトアルデヒドに常温で光照射しても、光酸化分解物は観測されないが、水分を吸着させた非晶質シリカを用いて、同様に光照射を行なった場合には、光酸化分解物として二酸化炭素の生成が確認される。アセトアルデヒドは常温では蒸気圧が高いために、非晶質シリカに吸着されにくいが、水分には溶解しやすいので、水分を吸着させた非晶質シリカを用いた場合には、非晶質シリカに吸着された水分にアセトアルデヒドが溶解した結果、光照射によって光酸化分解が起こるものとみられる。
【0020】
本発明の方法は、悪臭防止法において定められた臭気性物質にも、好適に適用することができる。例えば、酢酸エチルを平均細孔径7nmの非晶質シリカに吸着させ、これに紫外線を24時間照射した後、光酸化分解物をGC−MS装置によって分析したところ、残存酢酸エチルと共に、主たる酸化分解物として酢酸が生成することが確認される。同様の実験をメチルイソブチルケトンに適用した場合は、残存メチルイソブチルケトンと共に、反応生成物として酢酸が生成することが確認される。トリメチルアミンの場合は、メチル基がアルデヒドに誘導された化合物が生成することが確認され、二量体の生成することも一部観測される。
【0021】
本発明の方法を利用すれば、大気中に希薄な濃度で存在する揮発性有機化合物を非晶質シリカに吸着させ、紫外線を照射することによって、上記物質を二酸化炭素にまで酸化して、無害化することができる。従って、本発明の方法を用いれば、家屋内、病院や病室、クリーンルームや自動車、新幹線車両等の車両類や船舶内等、限られた空間の空気を容易に清浄化することができる。
【実施例】
【0022】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例1〜4、6〜10及び比較例1においては、非晶質シリカは市販品を用い、比較例2及び3においては、ゼオライトの市販品を用い、比較例4においては市販の活性アルミナを空気中、500℃で焼成したものを用いた。また、実施例5においては、非晶質シリカを空気中、500℃で焼成した後、水を張ったデシケータ中に24時間放置したものを用いた。
【0023】
実施例1
平均細孔径2.5nm、細孔容積0.44mL/g及び比表面積700m2/gの非晶質シリカ(以下、非晶質シリカAという。)0.01gを入れた開放サンプル瓶をテドラーバッグ内に置き、次に、このテドラーバッグ内にトルエンを入れた開放瓶を置き、テドラーバッグ内を密封し、一晩、放置して、テドラーバッグ内の空気にトルエンを飽和させた後、テドラーバッグ内でサンプル瓶をミニナートバルブで栓をした。テドラーバッグからサンプル瓶を取り出して、40℃の恒温槽中に保持しながら、これに水銀−キセノンランプ(SII社製UV−1(200W)、以下同じ)を用いて、紫外線を24時間照射して、トルエンを光酸化分解した。
【0024】
この後、紫外線照射後のサンプル瓶から非晶質シリカを取り出して、GC−MS装置のサンプルパンに入れ、昇温加熱して、非晶質シリカへの吸着成分を脱着させ、気化させながら、これをヒューレットパッカード社製のGC−MS装置(ガスクロマトグラフィー装置HP−6890と質量分析HP−5973)を用いて分析した。光酸化分解物のガスクロマトグラムを図1に示すように、主たる光酸化物としてベンズアルデヒドが生成したことが見出された。また、安息香酸が生成したことも見出された。
【0025】
実施例2
非晶質シリカとして,平均細孔径7nm、細孔容積0.8mL/g及び比表面積450m2/g(以下、非晶質シリカBという。)を用いた以外は、実施例1と同様にして、トルエンを光酸化分解し、生成した光酸化分解物を分析した。光酸化分解物のガスクロマトグラムを図2に示すように、光酸化分解物としてベンズアルデヒドと安息香酸が生成したことが見出された。少量ではあるが、酢酸が生成したことも見出された。
【0026】
実施例3
揮発性有機化合物としてp−キシレンを用いた以外は、実施例1と同様にして、これを光酸化分解して、生成した光酸化分解物を分析した。光酸化分解物のガスクロマトグラムを図3に示すように、主たる光酸化分解物として4−メチルベンズアルデヒドが生成すると共に、比較的少量の4−ホルミル安息香酸、4−メチル安息香酸、更に酢酸が生成したことが見出された。
【0027】
実施例4
非晶質シリカBを用いた以外は、実施例3と同様にして、p−キシレンを光酸化分解して、光酸化分解物を分析した。光酸化分解物のガスクロマトグラムを図4に示すように、p−キシレンが著しく減少し、光酸化分解物として4−メチル安息香酸が多く生成したことが特徴的に見出された。上記のほか、光酸化分解物として、4−メチルベンズアルデヒドと4−ホルミル安息香酸と酢酸が生成したことが見出された。
【0028】
実施例5
非晶質シリカBを空気中、500℃で焼成した後、水を張ったデシケーター中に24時間放置したもの(含水率約52重量%)を用いた以外は、実施例3と同様にして、p−キシレンを光酸化分解して、光酸化分解物を分析した。光酸化分解物のガスクロマトグラムを図5に示すように、p−キシレンと共に、光酸化分解物として、4−メチルベンズアルデヒド、4−メチル安息香酸及び酢酸が生成したことが見出された。
【0029】
実施例6
揮発性有機化合物として、トルエンに代えて、ノナナールを用いた以外は、実施例1と同様に処理して、これを光酸化分解した。光酸化分解物のガスクロマトグラムを図6に示すように、光酸化分解物として酢酸が生成したことが見出された。
【0030】
実施例7
揮発性有機化合物として、トルエンに代えて、メチルイソブチルケトンを用いた以外は、実施例2と同様に処理して、これを光酸化分解し、生成物を分析した。そのガスクロマトグラムを図7に示すように、主たる光酸化分解物として酢酸が生成したことが見出された。そのほかには、光酸化分解物として、ギ酸とイソ吉草酸が検出された。また、イソブチルメチルケトンの生成も見出された。
【0031】
実施例8
揮発性有機化合物として、トルエンに代えて、酢酸エチルを用いた以外は、実施例2と同様に処理して、これを光酸化分解して、生成物を分析した。そのガスクロマトグラムを図8に示すように、主たる光酸化分解物は酢酸とメチルエチルケトンであった。
【0032】
実施例9
揮発性有機化合物として、トルエンに代えて、トリメチルアミンを用いた以外は、実施例2と同様に処理して、これを光酸化分解して、生成物を分析した。ガスクロマトグラムを図9に示すように、光酸化分解物として種々のアルデヒド誘導体や二量体が生成したことが見出された。
【0033】
実施例10
揮発性及び/又は臭気性有機化合物として、トルエンに代えて、吉草酸を用いた以外は、実施例2と同様に、これを光酸化分解して、生成物を分析した。そのガスクロマトグラムを図10に示すように、光酸化分解物として酪酸、プロピオン酸、酢酸等が生成したことが見出された。
【0034】
実施例11
図11に示すように、300mL容量の反応容器1内部の中央部に冷水ジャケット2を備えた100W高圧水銀ランプ3を据え付け、その周囲に平均細孔径10nm、細孔容積1.0mL/g、比表面積350m2/g及び粒径1.70〜4.00mmのシリカゲル4を封入した。反応容器内のシリカゲルに紫外線を照射しながら、入口管5から反応容器の底部に乾燥空気を24時間導入して、出口管6からの排気に二酸化炭素が検出されないことを確認した。
【0035】
この後、反応容器内のシリカゲルに紫外線を照射しながら、入口管からトルエン100ppmを含有する乾燥空気を10mL/分の割合で反応容器の底部に導入し、シリカゲル層を経て、出口管から排出される排気中の二酸化炭素とトルエンの濃度を測定した。その結果、紫外線を照射し始めて1時間後及び2時間後の排気中の二酸化炭素濃度はそれぞれ、100ppmであり、3時間後は200ppmであり、3時間後は300ppmであった。この間、排気中にトルエンは検出されなかった。
【0036】
実施例12
500mL容量のサンプル瓶に酢酸を入れ、40℃で一晩、放置した後、その瓶内の酢酸を含む空気4mLを採取して、非晶質シリカA0.01gを入れた開放サンプル瓶内に注入し、このサンプル瓶を40℃の恒温槽中に保持しながら、これに水銀−キセノンランプを用いて紫外線を24時間照射した。実施例1と同様にして、光照射後の成分を分析したところ、有機物質は何も観測されず、かくして、酢酸が完全に光酸化分解されたことが確認された。
【0037】
実施例13
揮発性有機化合物として酢酸を用いた以外は、実施例1と同様にして、紫外線を24時間照射した。この後、サンプル瓶のヘッドスペースからガス成分を抜取り、質量分析−ガス分析装置(アネルバ社製四重極型M−100−QA−W) にて上記ガス成分中の二酸化炭素量を測定した結果、0.44%であった。
【0038】
比較のために、上記において、テドラーバッグからサンプル瓶を取出して、紫外線を照射することなく、暗所に24時間放置した後、サンプル瓶のヘッドスペースからガス成分を抜き取り、上記と同様にして、ガス成分中の二酸化炭素量を測定した結果、0.32%であった。従って、酢酸に光照射することによって、二酸化炭素が生成することが確認された。
【0039】
また、揮発性有機化合物としてp−キシレンを用いた以外は、実施例1と同様にして、紫外線を24時間照射した後、サンプル瓶のヘッドスペースからガス成分を抜取り、上記質量分析−ガス分析装置にて二酸化炭素量を測定した結果、0.44%であった。これに対して、上記において、光照射しなかった場合には、二酸化炭素量は0.28%%であった。従って、p−キシレンの光酸化分解によっても、二酸化炭素が生成することが確認された。
【0040】
実施例14
非晶質シリカAを空気中500℃で焼成した後、水を張ったデシケーター中に24時間放置したもの(含水率49重量%)を用いると共に、揮発性及び/又は臭気性有機化合物としてアセトアルデヒドを用いた以外は、実施例1と同様にして、紫外線照射をした。この後、サンプル瓶のヘッドスペースからガス成分を抜取り、前記と同じ質量分析−ガス分析装置にて上記ガス成分中の二酸化炭素量を測定した。分子量44に相応するピーク面積は0.58であり、紫外線を照射した場合のピーク面積は2.23であった。
【0041】
二酸化炭素とアセトアルデヒは分子量が同じであるので、ピークは同じ位置に現れるが、紫外線を照射していない場合が(空気中の二酸化炭素とアセトアルデヒドの量の和)と考えれば、紫外線照射した場合に3.8倍のピークが検出されたので、この結果、水分存在下にアセトアルデヒドを光酸化したときに二酸化炭素が生成することが確認された。
【0042】
しかし、上記において、含水させた非晶質シリカAに代えて、500℃で焼成した非晶質シリカAを用いて、アセトアルデヒドを実施例1と同様に処理した場合には、二酸化炭素の生成は検出されなかった。乾燥したシリカゲルにアセトアルデヒドが吸着されないので、光分解反応が起こらなかったとみられる。
【0043】
比較例1
非晶質シリカA0.01gを入れた開放サンプル瓶をテドラーバッグ内に置き、次に、このテドラーバッグ内に酢酸を入れた開放瓶を置き、テドラーバッグ内を密封し、一晩、放置して、テドラーバッグ内の空気に酢酸を飽和させた後、テドラーバッグ内でサンプル瓶をミニナートバルブで栓をした。テドラーバッグからサンプル瓶を取り出して、紫外線を照射することなく、24時間放置した後、実施例1と同様にして、サンプル瓶内の成分を分析したところ、酢酸のみが検出された。
【0044】
比較例2
非晶質シリカAに代えて、平均細孔径0.5nmのゼオライト5Aを用いた以外は、実施例1と同様にして、トルエンに紫外線を照射して、生成物を分析したが、光酸化分解物の生成は認められなかった。
【0045】
比較例3
非晶質シリカAに代えて、平均細孔径1.0nmのゼオライト13Xを用いた以外は、実施例1と同様にして、トルエンに紫外線を照射して、生成物を分析したが、光酸化分解物の生成は認められなかった。
【0046】
比較例4
非晶質シリカに代えて、平均細孔径10nm、細孔容積0.18〜0.21mL/g及び比表面積240〜280m2/gの活性アルミナを用いた以外は、実施例1と同様にして、トルエンに紫外線を照射して、生成物を分析したが、光酸化分解物の生成は認められなかった。
【0047】
比較例5
非晶質シリカに代えて、石英の粉砕粉を用いた以外は、実施例1と同様にして、トルエンに紫外線を照射して、生成物を分析したが、光酸化分解物の生成は認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に従って、平均細孔径2.5nmの非晶質シリカにトルエンを吸着させ、これに紫外線を24時間照射して、光酸化分解したときの分解物のガスクロマトグラムである。
【図2】本発明に従って、平均細孔径7nmの非晶質シリカにトルエンを吸着させ、これに紫外線を24時間照射して、光酸化分解したときの分解物のガスクロマトグラムである。
【図3】本発明に従って、平均細孔径2.5nmの非晶質シリカにp−キシレンを吸着させ、これに紫外線を24時間照射して、光酸化分解したときの分解物のガスクロマトグラムである。
【図4】本発明に従って、平均細孔径7nmの非晶質シリカにp−キシレンを吸着させ、これに紫外線を24時間照射して、光酸化分解したときの分解物のガスクロマトグラムである。
【図5】本発明に従って、水分を含む平均細孔径7nmの非晶質シリカにp−キシレンを吸着させ、これに紫外線を24時間照射して、光酸化分解したときの分解物のガスクロマトグラムである。
【図6】本発明に従って、平均細孔径2.5nmの非晶質シリカにノナナールを吸着させ、これに紫外線を24時間照射して、光酸化分解したときの分解物のガスクロマトグラムである。
【図7】本発明に従って、非晶質シリカにメチルイソブチルケトンを吸着させ、これに紫外線を照射して得られた光酸化分解物のガスクロマトグラムである。
【図8】本発明に従って、非晶質シリカに酢酸エチルを吸着させ、これに紫外線を照射して得られた光酸化分解物のガスクロマトグラムである。
【図9】本発明に従って、非晶質シリカにトリメチルアミンを吸着させ、これに紫外線を照射して得られた光酸化分解物のガスクロマトグラムである。
【図10】本発明に従って、非晶質シリカに吉草酸を吸着させ、これに紫外線を照射して得られた光酸化分解物のガスクロマトグラムである。
【図11】シリカゲルにトルエンを吸着させ、これに紫外線を照射したときの二酸化炭素の生成量を測定するための装置構成を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1…反応容器
2…冷水ジャケット
3…高圧水銀ランプ
4…シリカゲル
5…入口管
6…出口管
【技術分野】
【0001】
本発明は、気相中、代表的には、空気中の揮発性有機化合物(VOC)を光酸化分解する方法に関する。詳しくは、本発明は、空気中に、多くの場合、希薄な濃度で存在して、通常、悪臭を有し、生活環境に有害な影響を与える揮発性有機化合物を光酸化分解して、その存在量を低減するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中に、多くの場合、希薄な濃度で存在する揮発性有機化合物は、通常、悪臭を有し、大気環境に有害な影響を与えるものが多いので、我国においては、大気汚染防止法や悪臭防止法の制定にみられるように、大気環境改善のための法的な措置も種々採られるに至っている。例えば、建築業界においては、所謂シックハウス症候群の原因物質の低減のための対策が研究されており、また、塗料業界では、溶剤型塗料から水系塗料への転換が進められている。
【0003】
因みに、厚生労働省が指針値対象物として挙げている揮発性有機化合物は、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、p−ジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレン、クロルピリホス、フタル酸ジブチル、テトラデカン、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、ダイアジノン、アセトアルデヒド、フェノブカルブ及びノナナールの14種類である。また、悪臭防止法において特定悪臭物質として定められている揮発性有機化合物、アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、イソブタノール、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、トルエン、スチレン、キシレン、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イソ吉草酸の22種類である。
【0004】
このように大気汚染防止法又は悪臭防止法によって定められた揮発性有機化合物のなかには、シックハウス症候群や光化学スモッグの原因となるものもあるので、生活環境を保全し、健康を守るためにも、排出規制とは別に、大気中に存在する揮発性有機化合物を低減する方法を見出すことが重要である。従来、このような揮発性有機化合物を低減するための方法としては、珪藻土、ゼオライト、石膏等のような多孔質物質や表面積の大きい物質に揮発性有機化合物を物理的に吸着させて、大気中の濃度を軽減する吸着法、建築材料中に揮発性有機化合物と化学的に反応する薬剤を混入し、大気中の揮発性有機化合物と反応させて、大気中から除去する化学的方法(特許文献1参照)、酸化チタン系の光触媒を用いて、揮発性有機化合物を分解する光触媒分解法等が知られている(非特許文献1参照)。
【0005】
他方、従来から、吸着剤として、結晶性ゼオライトや活性アルミナがよく知られている。結晶性ゼオライトのなかでも、工業的によく用いられているMS−4Aは平均粒子径約0.4nmの細孔を有しており、MS−13Xは平均粒子径約1.0nmの均一な細孔径を有している。一方、多孔質活性アルミナは平均細孔径約10nmの細孔と50〜400m2/gの比表面積と0.1〜1.0cm3/gの細孔容積を有している。
【0006】
このような従来の吸着剤に対して、シリカゲルも平均細孔径1〜100nmの細孔と共に大きい細孔容積を有する吸着剤としてよく知られている。また、シリカゲルは化学的にも安定であるので、食品や医薬品等の防湿や、ガス、液体の脱水、精製のほか、触媒の担体等として種々の産業分野において広く用いられている。
【0007】
このように、シリカゲル自体は化学的に不活性であると広く信じられてきたが、近年、高比表面積(500〜600m2/g)を有する非晶質シリカは紫外線(240〜265nm)を吸収し、440nm付近にブロードな発光スペクトルを与えることから、光触媒機能を有することが報告されている(非特許文献2参照)。実際、非晶質シリカを用いる光メタセシス反応について報告がされており、同時に、シリカ−アルミナ、アルミナ等の他の吸着剤についても、比較検討がなされているが、メタセシス反応以外の生成物が少量生成するのみであるので、特徴的にオレフィンのメタセシス反応が起こる非晶質シリカとの違いが論じられている(非特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2004−49992号公報
【非特許文献1】Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan, 12, 143-147 (2005)
【非特許文献2】J. Chem. Soc., Faraday Trans., 90 (14) 1994, 2107-2111
【非特許文献3】J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1995, 761
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、上述したように、シリカゲル自体が吸着性能と共に光触媒機能を有する点に注目して、鋭意、研究した結果、非晶質シリカのそれら性質を利用して、大気中の揮発性有機化合物を容易に低減することができることを見出して、本発明に至ったものである。 即ち、本発明は、非晶質シリカの吸着性能と光触媒機能を利用して、大気中の揮発性有機化合物を光酸化分解する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、気相中の揮発性有機化合物を非晶質シリカに吸着させ、これに紫外線を照射することを特徴とする揮発性有機化合物を光酸化分解する方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、大気中の揮発性有機化合物を非晶質シリカに吸着させ、これに紫外線を照射することによって、上記揮発性有機化合物を酸化分解することができ、かくして、大気中の揮発性有機化合物の濃度を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の方法において用いられる非晶質シリカは、特に、限定されるものではなく、例えば、珪砂から合成されるシリカゲル、四塩化珪素を燃焼させ、加水分解して得られるシリカゲル等が用いられる。本発明においては、このような非晶質シリカは、好ましくは、比表面積が200〜800m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.1〜5.0mL/gの範囲にあり、平均細孔径が1〜50nmの範囲にあるものが好ましい。非晶質シリカは、平均粒子径においては、特に限定されるものではないが、通常、0.1〜20μmの範囲にあるものが好ましく用いられる。更に、本発明においては、非晶質シリカは、予め、空気中で高温で焼成したものを用いてもよく、また、水分を含有させたものを用いてもよい。いずれも、同様に、揮発性有機化合物を吸着させ、紫外線を照射することによって、酸化分解することができる。
【0012】
特に、本発明によれば、トルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、テトラデカン等の脂肪族炭化水素、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノナナール等の脂肪族アルデヒド、酢酸エチル等の脂肪族カルボン酸アルキルエステル類、メチルイソブチルケトン等の脂肪族ケトン類、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、イソ吉草酸等の脂肪族カルボン酸類を酢酸及び/又は二酸化炭素を含む分解物にまで光酸化分解することができる。最終的には、これらの揮発性有機化合物を二酸化炭素にまで光酸化分解することができるとみられる。また、本発明によれば、トリメチルアミン等の脂肪族アミン類をも光酸化分解することができる。
【0013】
例えば、トルエンを平均細孔径2.5nmの非晶質シリカに吸着させ、これに紫外線を24時間照射した後、光酸化分解物をガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)装置によって分析したところ、残存トルエンと共に、主たる酸化分解物としてベンズアルデヒドが生成することが確認される。同様に、平均細孔径7nmの非晶質シリカにトルエンを吸着させ、これに紫外線を24時間照射すれば、残存トルエンと共に、主たる酸化分解物としてベンズアルデヒドと安息香酸が生成することが確認される。より長時間にわたって紫外線照射すれば、酢酸も生成することが確認される。
【0014】
トルエンに代えて、p−キシレンを上記と同様に光酸化する場合に、平均細孔径2.5nmの非晶質シリカを用いるときは、主たる酸化分解物として4−メチルベンズアルデヒドが生成し、少量ではあるが、酢酸も生成することが確認される。同様に、平均細孔径7nmの非晶質シリカを用いるときは、残存p−キシレン量が相対的に減少し、4−メチルベンズアルデヒドと4−ホルミル安息香酸に加えて、特徴的に4−メチル安息香酸の生成が多く見られる。更に、酢酸の生成量も増大する。
【0015】
このように、本発明によれば、非晶質シリカを触媒として用いる揮発性及び/又は臭気性有機化合物の光酸化反応においては、光酸化反応生成物は用いる非晶質シリカの平均細孔径に依存しており、平均細孔径が1〜20nmの範囲にあるとき、揮発性及び/又は臭気性有機化合物が最も効率的に酸化されることが理解される。このように、揮発性及び/又は臭気性有機化合物を非晶質シリカの細孔に吸着させることが光酸化反応生成物の生成に関与していることは、触媒として石英を粉砕した石英粉を用いて同様にp−キシレンを処理しても、光酸化反応生成物は何も生成しないことからも裏付けられる。
【0016】
また、非晶質シリカと同じ程度の平均細孔径(約10nm)を有する多孔質活性アルミナや、平均細孔径が1nm以下のマイクロ孔を有する結晶性ゼオライトを用いても、揮発性及び/又は臭気性有機化合物の光酸化反応は全く認められない。
【0017】
しかしながら、アルミナとシリカの複合酸化物であるシリカ−アルミナを用いて、p−キシレンについて同様に実験を行った場合、SiO2/Al2O3比が約500である所謂ハイシリカ−アルミナの場合には、若干の4−メチルベンズアルヂヒドの生成が認められるが、SiO2/Al2O3比が20以下になると、全く反応しなかったところから、本発明において、非晶質シリカが光触媒機能を有するためには、必ずしも、純シリカであることを必要としない。従って、本発明においては、非晶質シリカは、SiO2/Al2O3比が50以上である範囲において、アルミナを含んでいてもよい。
【0018】
本発明によれば、トルエンやp−キシレンの光酸化反応分解反応において、光酸化分解物として酢酸も生成する。しかし、トルエンやp−キシレンの場合と同様にして、酢酸を光酸化反応に供したところ、光反応後のシリカゲルのGC−MS分析によれば、酢酸の量の低減や消失は認められても、酢酸以外の光酸化分解物を検出することができない。しかし、反応容器内のガス成分を四重極型質量分析装置にて分析した結果、二酸化炭素が生成していることが確認され、同様に、p−キシレンの光酸化においても、二酸化炭素が生成していることが確認される。即ち、本発明の方法によれぱ、揮発性有機化合物は、酢酸を経て、最終的には二酸化炭素にまで分解するものとみられる。
【0019】
また、本発明によれば、乾燥させた非晶質シリカを用いて、同様にアセトアルデヒドに常温で光照射しても、光酸化分解物は観測されないが、水分を吸着させた非晶質シリカを用いて、同様に光照射を行なった場合には、光酸化分解物として二酸化炭素の生成が確認される。アセトアルデヒドは常温では蒸気圧が高いために、非晶質シリカに吸着されにくいが、水分には溶解しやすいので、水分を吸着させた非晶質シリカを用いた場合には、非晶質シリカに吸着された水分にアセトアルデヒドが溶解した結果、光照射によって光酸化分解が起こるものとみられる。
【0020】
本発明の方法は、悪臭防止法において定められた臭気性物質にも、好適に適用することができる。例えば、酢酸エチルを平均細孔径7nmの非晶質シリカに吸着させ、これに紫外線を24時間照射した後、光酸化分解物をGC−MS装置によって分析したところ、残存酢酸エチルと共に、主たる酸化分解物として酢酸が生成することが確認される。同様の実験をメチルイソブチルケトンに適用した場合は、残存メチルイソブチルケトンと共に、反応生成物として酢酸が生成することが確認される。トリメチルアミンの場合は、メチル基がアルデヒドに誘導された化合物が生成することが確認され、二量体の生成することも一部観測される。
【0021】
本発明の方法を利用すれば、大気中に希薄な濃度で存在する揮発性有機化合物を非晶質シリカに吸着させ、紫外線を照射することによって、上記物質を二酸化炭素にまで酸化して、無害化することができる。従って、本発明の方法を用いれば、家屋内、病院や病室、クリーンルームや自動車、新幹線車両等の車両類や船舶内等、限られた空間の空気を容易に清浄化することができる。
【実施例】
【0022】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例1〜4、6〜10及び比較例1においては、非晶質シリカは市販品を用い、比較例2及び3においては、ゼオライトの市販品を用い、比較例4においては市販の活性アルミナを空気中、500℃で焼成したものを用いた。また、実施例5においては、非晶質シリカを空気中、500℃で焼成した後、水を張ったデシケータ中に24時間放置したものを用いた。
【0023】
実施例1
平均細孔径2.5nm、細孔容積0.44mL/g及び比表面積700m2/gの非晶質シリカ(以下、非晶質シリカAという。)0.01gを入れた開放サンプル瓶をテドラーバッグ内に置き、次に、このテドラーバッグ内にトルエンを入れた開放瓶を置き、テドラーバッグ内を密封し、一晩、放置して、テドラーバッグ内の空気にトルエンを飽和させた後、テドラーバッグ内でサンプル瓶をミニナートバルブで栓をした。テドラーバッグからサンプル瓶を取り出して、40℃の恒温槽中に保持しながら、これに水銀−キセノンランプ(SII社製UV−1(200W)、以下同じ)を用いて、紫外線を24時間照射して、トルエンを光酸化分解した。
【0024】
この後、紫外線照射後のサンプル瓶から非晶質シリカを取り出して、GC−MS装置のサンプルパンに入れ、昇温加熱して、非晶質シリカへの吸着成分を脱着させ、気化させながら、これをヒューレットパッカード社製のGC−MS装置(ガスクロマトグラフィー装置HP−6890と質量分析HP−5973)を用いて分析した。光酸化分解物のガスクロマトグラムを図1に示すように、主たる光酸化物としてベンズアルデヒドが生成したことが見出された。また、安息香酸が生成したことも見出された。
【0025】
実施例2
非晶質シリカとして,平均細孔径7nm、細孔容積0.8mL/g及び比表面積450m2/g(以下、非晶質シリカBという。)を用いた以外は、実施例1と同様にして、トルエンを光酸化分解し、生成した光酸化分解物を分析した。光酸化分解物のガスクロマトグラムを図2に示すように、光酸化分解物としてベンズアルデヒドと安息香酸が生成したことが見出された。少量ではあるが、酢酸が生成したことも見出された。
【0026】
実施例3
揮発性有機化合物としてp−キシレンを用いた以外は、実施例1と同様にして、これを光酸化分解して、生成した光酸化分解物を分析した。光酸化分解物のガスクロマトグラムを図3に示すように、主たる光酸化分解物として4−メチルベンズアルデヒドが生成すると共に、比較的少量の4−ホルミル安息香酸、4−メチル安息香酸、更に酢酸が生成したことが見出された。
【0027】
実施例4
非晶質シリカBを用いた以外は、実施例3と同様にして、p−キシレンを光酸化分解して、光酸化分解物を分析した。光酸化分解物のガスクロマトグラムを図4に示すように、p−キシレンが著しく減少し、光酸化分解物として4−メチル安息香酸が多く生成したことが特徴的に見出された。上記のほか、光酸化分解物として、4−メチルベンズアルデヒドと4−ホルミル安息香酸と酢酸が生成したことが見出された。
【0028】
実施例5
非晶質シリカBを空気中、500℃で焼成した後、水を張ったデシケーター中に24時間放置したもの(含水率約52重量%)を用いた以外は、実施例3と同様にして、p−キシレンを光酸化分解して、光酸化分解物を分析した。光酸化分解物のガスクロマトグラムを図5に示すように、p−キシレンと共に、光酸化分解物として、4−メチルベンズアルデヒド、4−メチル安息香酸及び酢酸が生成したことが見出された。
【0029】
実施例6
揮発性有機化合物として、トルエンに代えて、ノナナールを用いた以外は、実施例1と同様に処理して、これを光酸化分解した。光酸化分解物のガスクロマトグラムを図6に示すように、光酸化分解物として酢酸が生成したことが見出された。
【0030】
実施例7
揮発性有機化合物として、トルエンに代えて、メチルイソブチルケトンを用いた以外は、実施例2と同様に処理して、これを光酸化分解し、生成物を分析した。そのガスクロマトグラムを図7に示すように、主たる光酸化分解物として酢酸が生成したことが見出された。そのほかには、光酸化分解物として、ギ酸とイソ吉草酸が検出された。また、イソブチルメチルケトンの生成も見出された。
【0031】
実施例8
揮発性有機化合物として、トルエンに代えて、酢酸エチルを用いた以外は、実施例2と同様に処理して、これを光酸化分解して、生成物を分析した。そのガスクロマトグラムを図8に示すように、主たる光酸化分解物は酢酸とメチルエチルケトンであった。
【0032】
実施例9
揮発性有機化合物として、トルエンに代えて、トリメチルアミンを用いた以外は、実施例2と同様に処理して、これを光酸化分解して、生成物を分析した。ガスクロマトグラムを図9に示すように、光酸化分解物として種々のアルデヒド誘導体や二量体が生成したことが見出された。
【0033】
実施例10
揮発性及び/又は臭気性有機化合物として、トルエンに代えて、吉草酸を用いた以外は、実施例2と同様に、これを光酸化分解して、生成物を分析した。そのガスクロマトグラムを図10に示すように、光酸化分解物として酪酸、プロピオン酸、酢酸等が生成したことが見出された。
【0034】
実施例11
図11に示すように、300mL容量の反応容器1内部の中央部に冷水ジャケット2を備えた100W高圧水銀ランプ3を据え付け、その周囲に平均細孔径10nm、細孔容積1.0mL/g、比表面積350m2/g及び粒径1.70〜4.00mmのシリカゲル4を封入した。反応容器内のシリカゲルに紫外線を照射しながら、入口管5から反応容器の底部に乾燥空気を24時間導入して、出口管6からの排気に二酸化炭素が検出されないことを確認した。
【0035】
この後、反応容器内のシリカゲルに紫外線を照射しながら、入口管からトルエン100ppmを含有する乾燥空気を10mL/分の割合で反応容器の底部に導入し、シリカゲル層を経て、出口管から排出される排気中の二酸化炭素とトルエンの濃度を測定した。その結果、紫外線を照射し始めて1時間後及び2時間後の排気中の二酸化炭素濃度はそれぞれ、100ppmであり、3時間後は200ppmであり、3時間後は300ppmであった。この間、排気中にトルエンは検出されなかった。
【0036】
実施例12
500mL容量のサンプル瓶に酢酸を入れ、40℃で一晩、放置した後、その瓶内の酢酸を含む空気4mLを採取して、非晶質シリカA0.01gを入れた開放サンプル瓶内に注入し、このサンプル瓶を40℃の恒温槽中に保持しながら、これに水銀−キセノンランプを用いて紫外線を24時間照射した。実施例1と同様にして、光照射後の成分を分析したところ、有機物質は何も観測されず、かくして、酢酸が完全に光酸化分解されたことが確認された。
【0037】
実施例13
揮発性有機化合物として酢酸を用いた以外は、実施例1と同様にして、紫外線を24時間照射した。この後、サンプル瓶のヘッドスペースからガス成分を抜取り、質量分析−ガス分析装置(アネルバ社製四重極型M−100−QA−W) にて上記ガス成分中の二酸化炭素量を測定した結果、0.44%であった。
【0038】
比較のために、上記において、テドラーバッグからサンプル瓶を取出して、紫外線を照射することなく、暗所に24時間放置した後、サンプル瓶のヘッドスペースからガス成分を抜き取り、上記と同様にして、ガス成分中の二酸化炭素量を測定した結果、0.32%であった。従って、酢酸に光照射することによって、二酸化炭素が生成することが確認された。
【0039】
また、揮発性有機化合物としてp−キシレンを用いた以外は、実施例1と同様にして、紫外線を24時間照射した後、サンプル瓶のヘッドスペースからガス成分を抜取り、上記質量分析−ガス分析装置にて二酸化炭素量を測定した結果、0.44%であった。これに対して、上記において、光照射しなかった場合には、二酸化炭素量は0.28%%であった。従って、p−キシレンの光酸化分解によっても、二酸化炭素が生成することが確認された。
【0040】
実施例14
非晶質シリカAを空気中500℃で焼成した後、水を張ったデシケーター中に24時間放置したもの(含水率49重量%)を用いると共に、揮発性及び/又は臭気性有機化合物としてアセトアルデヒドを用いた以外は、実施例1と同様にして、紫外線照射をした。この後、サンプル瓶のヘッドスペースからガス成分を抜取り、前記と同じ質量分析−ガス分析装置にて上記ガス成分中の二酸化炭素量を測定した。分子量44に相応するピーク面積は0.58であり、紫外線を照射した場合のピーク面積は2.23であった。
【0041】
二酸化炭素とアセトアルデヒは分子量が同じであるので、ピークは同じ位置に現れるが、紫外線を照射していない場合が(空気中の二酸化炭素とアセトアルデヒドの量の和)と考えれば、紫外線照射した場合に3.8倍のピークが検出されたので、この結果、水分存在下にアセトアルデヒドを光酸化したときに二酸化炭素が生成することが確認された。
【0042】
しかし、上記において、含水させた非晶質シリカAに代えて、500℃で焼成した非晶質シリカAを用いて、アセトアルデヒドを実施例1と同様に処理した場合には、二酸化炭素の生成は検出されなかった。乾燥したシリカゲルにアセトアルデヒドが吸着されないので、光分解反応が起こらなかったとみられる。
【0043】
比較例1
非晶質シリカA0.01gを入れた開放サンプル瓶をテドラーバッグ内に置き、次に、このテドラーバッグ内に酢酸を入れた開放瓶を置き、テドラーバッグ内を密封し、一晩、放置して、テドラーバッグ内の空気に酢酸を飽和させた後、テドラーバッグ内でサンプル瓶をミニナートバルブで栓をした。テドラーバッグからサンプル瓶を取り出して、紫外線を照射することなく、24時間放置した後、実施例1と同様にして、サンプル瓶内の成分を分析したところ、酢酸のみが検出された。
【0044】
比較例2
非晶質シリカAに代えて、平均細孔径0.5nmのゼオライト5Aを用いた以外は、実施例1と同様にして、トルエンに紫外線を照射して、生成物を分析したが、光酸化分解物の生成は認められなかった。
【0045】
比較例3
非晶質シリカAに代えて、平均細孔径1.0nmのゼオライト13Xを用いた以外は、実施例1と同様にして、トルエンに紫外線を照射して、生成物を分析したが、光酸化分解物の生成は認められなかった。
【0046】
比較例4
非晶質シリカに代えて、平均細孔径10nm、細孔容積0.18〜0.21mL/g及び比表面積240〜280m2/gの活性アルミナを用いた以外は、実施例1と同様にして、トルエンに紫外線を照射して、生成物を分析したが、光酸化分解物の生成は認められなかった。
【0047】
比較例5
非晶質シリカに代えて、石英の粉砕粉を用いた以外は、実施例1と同様にして、トルエンに紫外線を照射して、生成物を分析したが、光酸化分解物の生成は認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に従って、平均細孔径2.5nmの非晶質シリカにトルエンを吸着させ、これに紫外線を24時間照射して、光酸化分解したときの分解物のガスクロマトグラムである。
【図2】本発明に従って、平均細孔径7nmの非晶質シリカにトルエンを吸着させ、これに紫外線を24時間照射して、光酸化分解したときの分解物のガスクロマトグラムである。
【図3】本発明に従って、平均細孔径2.5nmの非晶質シリカにp−キシレンを吸着させ、これに紫外線を24時間照射して、光酸化分解したときの分解物のガスクロマトグラムである。
【図4】本発明に従って、平均細孔径7nmの非晶質シリカにp−キシレンを吸着させ、これに紫外線を24時間照射して、光酸化分解したときの分解物のガスクロマトグラムである。
【図5】本発明に従って、水分を含む平均細孔径7nmの非晶質シリカにp−キシレンを吸着させ、これに紫外線を24時間照射して、光酸化分解したときの分解物のガスクロマトグラムである。
【図6】本発明に従って、平均細孔径2.5nmの非晶質シリカにノナナールを吸着させ、これに紫外線を24時間照射して、光酸化分解したときの分解物のガスクロマトグラムである。
【図7】本発明に従って、非晶質シリカにメチルイソブチルケトンを吸着させ、これに紫外線を照射して得られた光酸化分解物のガスクロマトグラムである。
【図8】本発明に従って、非晶質シリカに酢酸エチルを吸着させ、これに紫外線を照射して得られた光酸化分解物のガスクロマトグラムである。
【図9】本発明に従って、非晶質シリカにトリメチルアミンを吸着させ、これに紫外線を照射して得られた光酸化分解物のガスクロマトグラムである。
【図10】本発明に従って、非晶質シリカに吉草酸を吸着させ、これに紫外線を照射して得られた光酸化分解物のガスクロマトグラムである。
【図11】シリカゲルにトルエンを吸着させ、これに紫外線を照射したときの二酸化炭素の生成量を測定するための装置構成を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1…反応容器
2…冷水ジャケット
3…高圧水銀ランプ
4…シリカゲル
5…入口管
6…出口管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相中の揮発性有機化合物を非晶質シリカに吸着させ、これに紫外線を照射することを特徴とする揮発性有機化合物を光酸化分解する方法。
【請求項2】
揮発性有機化合物が芳香族炭化水素類、脂肪族アルデヒド類、脂肪族カルボン酸類、脂肪族カルボン酸アルキルエステル類、脂肪族ケトン類及び脂肪族アミン類から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
芳香族炭化水素類がトルエン、キシレン、エチルベンゼン及びスチレンから選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
脂肪族アルデヒド類がホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド及びノナナールから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
脂肪族カルボン酸が酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸及びイソ吉草酸から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
脂肪族カルボン酸アルキルエステル類が酢酸エチルである請求項2に記載の方法。
【請求項7】
脂肪族ケトン類がメチルイソブチルケトンである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
揮発性有機化合物を酢酸及び/又は二酸化炭素を含む分解物まで分解する請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
脂肪族アミン類がトリメチルアミンである請求項1に記載の方法。
【請求項1】
気相中の揮発性有機化合物を非晶質シリカに吸着させ、これに紫外線を照射することを特徴とする揮発性有機化合物を光酸化分解する方法。
【請求項2】
揮発性有機化合物が芳香族炭化水素類、脂肪族アルデヒド類、脂肪族カルボン酸類、脂肪族カルボン酸アルキルエステル類、脂肪族ケトン類及び脂肪族アミン類から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
芳香族炭化水素類がトルエン、キシレン、エチルベンゼン及びスチレンから選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
脂肪族アルデヒド類がホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド及びノナナールから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
脂肪族カルボン酸が酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸及びイソ吉草酸から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
脂肪族カルボン酸アルキルエステル類が酢酸エチルである請求項2に記載の方法。
【請求項7】
脂肪族ケトン類がメチルイソブチルケトンである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
揮発性有機化合物を酢酸及び/又は二酸化炭素を含む分解物まで分解する請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
脂肪族アミン類がトリメチルアミンである請求項1に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−260668(P2007−260668A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43550(P2007−43550)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(302069734)本荘ケミカル株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(302069734)本荘ケミカル株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
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