説明

気管内挿入管装置

患者の喉頭筋のEMG信号を監視するための装置は、外表面を有する気管内挿入管を含んでいる。気管内挿入管の外表面上には導電性インク電極が形成されている。導電性インク電極は、気管内挿入管が患者の気管に設置されているときに喉頭筋からのEMG信号を受信するように構成されている。導電性インク電極には少なくとも1つの導体が連結されており、導体は導電性インク電極によって受信されるEMG信号を処理装置へ搬送するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
[0001]本出願は、35U.S.C.第119条(e)項(1)の下に、2009年10月2日に「気管内挿入管装置」(Endotracheal Tube Apparatus)という名称で出願されている米国仮出願であって弁理士事件番号M190.350.101/P0035756.00を付定された米国仮特許出願第61/248,294号に対する優先権を主張し、その教示全体をここに参考文献として援用する。
【背景技術】
【0002】
[0002]気管内挿入管は、手術中、当該気管内挿入管が筋電図(EMG)監視デバイスに接続されているときに声帯のEMG監視をスムーズに運ぶべく患者の声帯に接触させるように設計されている電極を含んでいる。気管内挿入管は、患者の通気のための開通気道を提供し、挿入管を適切なEMGモニタに接続すれば固有喉頭筋肉組織のEMG活動の監視が行える。気管内挿入管は、外科的処置中に喉頭筋肉組織に分布する神経の継続的監視が行えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/248,294号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0003]1つの実施形態は、患者の喉頭筋のEMG信号を監視するための装置向けられている。装置は、外表面を有する気管内挿入管を含んでいる。気管内挿入管の外表面上には導電性インク電極が形成されている。導電性インク電極は、気管内挿入管が患者の気管に設置されているときに喉頭筋からのEMG信号を受信するように構成されている。導電性インク電極には少なくとも1つの導体が連結されていて、導体は導電性インク電極によって受信されるEMG信号を処理装置へ搬送するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】1つの実施形態による、押出成形ポリマーから作られたEMG気管内挿入管を示している。
【図2】1つの実施形態による、図1に示されている気管内挿入管の一部分を近接視した図を示している。
【図3】1つの実施形態による、PVCから作られたEMG気管内挿入管を示している。
【図4】1つの実施形態による、図3に示されている気管内挿入管の一部分を近接視した図を示している。
【図5】1つの実施形態による、挿入管上に印刷されている導電性インク電極を備えるEMG気管内挿入管を示している。
【図6】1つの実施形態による、図5に示されている気管内挿入管の一部分を近接視した図を示している。
【図7】1つの実施形態による、図5に示されている気管内挿入管の断面図を表す略図である。
【図8】1つの実施形態による、挿入管の周囲を廻って印刷されている複数対の導電性インク電極を備えるEMG気管内挿入管を示している。
【図9】1つの実施形態による、図8に示されている気管内挿入管の一部分を近接視した図を示している。
【図10】1つの実施形態による、図8に示されている気管内挿入管の断面図を表す略図である。
【図11】1つの実施形態による、一次カフと二次カフを備えるEMG気管内挿入管を示している。
【図12A】図11に示されている気管内挿入管の二次カフであって、1つの実施形態により導電性インク電極が印刷されている二次カフを示している。
【図12B】図11に示されている気管内挿入管の二次カフであって、別の実施形態による二次カフを示している。
【図13】1つの実施形態による、電極場所を追跡及び確認するための視覚標示を備えるEMG気管内挿入管を示している。
【図14】1つの実施形態による、図13に示されている気管内挿入管の一部分を近接視した図を示している。
【図15】1つの実施形態による、電極場所を追跡及び確認するための磁石標示を備えるEMG気管内挿入管を示している。
【図16】1つの実施形態による、図15に示されている気管内挿入管の一部分を近接視した図を示している。
【図17】図16と同じく、1つの実施形態による、図15に示されている気管内挿入管の一部分を近接視した図を示している。
【図18】1つの実施形態による、回転の自由を提供する連結アダプタを備えるEMG気管内挿入管を示している。
【図19】1つの実施形態による、図18に示されている気管内挿入管の一部分を近接視した図を示している。
【図20】1つの実施形態による、EMG電極の最上部と最下部にリブを備えるEMG気管内挿入管を示している。
【図21】1つの実施形態による、図20に示されている気管内挿入管の一部分を近接視した図を示している。
【図22】1つの実施形態による、EMG信号を記録するための導電性テープを挿入管の表面上に備えるEMG気管内挿入管を示している。
【図23】1つの実施形態による、図22に示されている気管内挿入管の一部分を近接視した図を示している。
【図24】1つの実施形態による、特注押出成形PVC管を備えるEMG気管内挿入管を示している。
【図25】1つの実施形態による、図24に示されている気管内挿入管の一部分を近接視した図を示している。
【図26】図25と同じく、1つの実施形態による、図24に示されている気管内挿入管の一部分を近接視した図を示している。
【図27】1つの実施形態による、患者の咽喉内に位置付けられたEMG気管内挿入管を示している。
【図28A】様々な実施形態の1つによる、表面積を広くした電極を備えるEMG気管内挿入管を示している。
【図28B】様々な実施形態の1つによる、表面積を広くした電極を備えるEMG気管内挿入管を示している。
【図28C】様々な実施形態の1つによる、表面積を広くした電極を備えるEMG気管内挿入管を示している。
【図28D】様々な実施形態の1つによる、表面積を広くした電極を備えるEMG気管内挿入管を示している。
【図29】1つの実施形態による、ヒトの咽喉の形状に整合するように湾曲している全体形状を有するEMG気管内挿入管を示している。
【図30】1つの実施形態による、回転による影響の受け易さを低減又は排除するように構成されている電極を備えるEMG気管内挿入管の断面図を示している。
【図31】別の実施形態による、回転による影響の受け易さを低減又は排除するように構成されている電極を備えるEMG気管内挿入管を示している。
【図32】1つの実施形態による、EMG気管内挿入管用のカフを示している。
【図33】1つの実施形態による、EMG気管内挿入管で使用されるように構成されている電極アレイの電気配線図を示している。
【図34】1つの実施形態による、EMG気管内挿入管で使用されるように構成されている可撓性の展開式電極を示している。
【図35A】1つの実施形態による、3つの電極を備えるEMG気管内挿入管の第1の側面図(後面)を示している。
【図35B】1つの実施形態による、図35Aに示されているEMG気管内挿入管の第2の側面図(図35Aに示されている図から90度回転)を示している。
【図35C】1つの実施形態による、図35A及び図35Bに示されている気管内挿入管の断面図を表す略図である。
【図36A】1つの実施形態による、4つの電極を備えるEMG気管内挿入管の第1の側面図(後面)を示している。
【図36B】1つの実施形態による、図36Aに示されているEMG気管内挿入管の第2の側面図(図36Aに示されている図から90度回転)を示している。
【図36C】1つの実施形態による、図36A及び図36Bに示されている気管内挿入管の断面図を表す略図である。
【図37A】別の実施形態による、4つの電極を備えるEMG気管内挿入管の第1の側面図(後面)を示している。
【図37B】1つの実施形態による、図37Aに示されているEMG気管内挿入管の第2の側面図(図37Aに示されている図から90度回転)を示している。
【図38】1つの実施形態による、複数のリング電極を備えるEMG気管内挿入管の側面図を示している。
【図39A】様々な実施形態の1つによる、挿入管設置マークを備えるEMG気管内挿入管を示している。
【図39B】様々な実施形態の1つによる、挿入管設置マークを備えるEMG気管内挿入管を示している。
【図39C】様々な実施形態の1つによる、挿入管設置マークを備えるEMG気管内挿入管を示している。
【図39D】様々な実施形態の1つによる、挿入管設置マークを備えるEMG気管内挿入管を示している。
【図39E】様々な実施形態の1つによる、挿入管設置マークを備えるEMG気管内挿入管を示している。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0047]図1は、押出成形ポリマーから作られているEMG気管内挿入管100を示している。図2は、図1に示されている気管内挿入管100の一部分を近接視した図を示している。気管内挿入管100は、ソリッドワイヤ102、管継手104、カフ膨張用導管106、押出成形ポリマー管110、ワイヤ電極112、及び一次カフ114を含んでいる。ソリッドワイヤ102は、相互接続部108でワイヤ電極112に接続されている。管110は、肺へ入る気体及び肺から出る気体を輸送する。管継手104は、肺へ空気を注入し肺から空気を抜き出すための呼吸機(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管106は、カフ114を膨らませるための圧縮空気の供給源(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管106は、管110の壁の中に設けられているルーメンと連通しており、当該ルーメンは一次カフ114と連通している。気管内挿入管100が患者の気管の中へ挿入された後、電極ワイヤ112がEMG信号を感知し、当該EMG信号は神経保全モニタ(nerve integrity monitor)(NIM)デバイス120のようなEMG処理機へソリッドワイヤ102を介して出力される。ダイカットテープを使用して管110を患者の口に貼り付けて固定し管を適切に位置付けられた状態に保つことができる。
【0007】
[0048]1つの実施形態では、NIM120は、電極112が声帯襞と接触状態にあるときを判定するように構成されており、且つそのような接触が失われたときには外科医に警報を発するように構成されている。1つの実施形態では、NIM120は、更に、電極112が筋肉又は組織と接触しているかどうかを受信される信号に基づいて判定するように構成されている。1つの実施形態では、EMG挿入管100は無線式にNIM120と通信するように構成されており、NIM120は無線式に電極112を監視するように構成されている。この実施形態の形態では、NIM120は無線式にエネルギーを電極112へ送信し、電極112は無線式にEMG信号をNIM120へ送信する。
【0008】
[0049]一部の既存の気管内挿入管は回転することができるが、回転すると電極が声帯襞から離れていってしまう。対照的に、管110は、声帯襞と接触するように構成されている可撓性のある管分節113を含んでおり、露出している電極112は可撓性のある管分節113に亘って形成されている。可撓性のある管分節113は、管110の残りよりも撓み易いか又は柔軟であり(例えば、低デュロメーター材料から製造)、そのおかげで電極112は声帯襞とより良好に対面した状態を維持でき、管110の並進運動及び回転運動を低減又は排除できる。1つの実施形態では、一次カフ114は、気管輪に宛がって輪郭が形成されるように粘着性の低デュロメーター材料から形成されており、管110の並進運動及び回転運動を低減又は排除するのを支援する。1つの実施形態では、電極112は、長さ約1.3インチ(約3.302cm)である。別の実施形態では、電極112は、長さ約1.9インチ(約4.826cm)である。電極112の長さを延ばせば、管110は頚部伸展による影響を受けにくくなる。
【0009】
[0050]1つの実施形態では、管110は、従来式の中実ポリマー管より撓み易く且つ捩れを低減する編組管である。1つの実施形態による管110は、編組ポリマー又はニチノールを薄壁管内に配して形成されており、管の近位部分を回転させられるようにしながらも声帯襞での管の回転を低減又は排除する。
【0010】
[0051]図3は、PVCから作られているEMG気管内挿入管300を示している。図4は、図3に示されている気管内挿入管300の一部分を近接視した図を示している。気管内挿入管300は、ソリッドワイヤ302、管継手304、カフ膨張用導管306、PVC管310、テープ貼り電極312、一次カフ314、及び電極ワイヤ316を含んでいる。ソリッドワイヤ302は、相互接続部308で電極ワイヤ316に接続されており、電極ワイヤ316は、テープ貼り電極312に接続されている。管310は、肺に入る気体及び肺から出る気体を輸送する。管継手304は、肺へ空気を注入し肺から空気を抜き出すための呼吸機(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管306は、カフ314を膨らませるための圧縮空気の供給源(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管306は、管310の壁の中に設けられているルーメンと連通しており、当該ルーメンは一次カフ314と連通している。気管内挿入管300が患者の気管の中へ挿入された後、テープ貼り電極312がEMG信号を感知し、当該EMG信号はEMG処理機(例えばNIMデバイス120)へソリッドワイヤ302を介して出力される。
【0011】
[0052]図5は、1つの実施形態による、挿入管上に印刷されている導電性インク電極を備えるEMG気管内挿入管500を示している。図6は、1つの実施形態による、図5に示されている気管内挿入管500の一部分を近接視した図を示している。気管内挿入管500は、ソリッドワイヤ502、管継手504、カフ膨張用導管506、PVC管510、導電性インク電極512、及び一次カフ514を含んでいる。ソリッドワイヤ502は、相互接続部508で導電性インク電極512に接続されている。管510は、肺に入る気体及び肺から出る気体を輸送する。管継手504は、肺へ空気を注入し肺から空気を抜き出すための呼吸機(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管506は、カフ514を膨らませるための圧縮空気の供給源(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管506は、管510の壁520の中に設けられているルーメン522(図7)と連通しており、当該ルーメン522は一次カフ514と連通している。気管内挿入管500が患者の気管の中へ挿入された後、導電性インク電極512がEMG信号を感知し、当該EMG信号はEMG処理機(例えばNIMデバイス120)へソリッドワイヤ502を介して出力される。
【0012】
[0053]図7は、1つの実施形態による、図5に示されている気管内挿入管500の断面図を表す略図である。図7に示されているように、ルーメン522は、カフ514を膨らませるために管510の壁520の中に設けられている。導電性インク電極512は、壁520の外側表面上に形成されている。1つの実施形態では、導電性インク電極512は、銀充填ポリマー導電性インク又は炭素導電性インクを管510上に敷き写すか又は印刷することによって形成されている。導電性インクは、銀、炭素、金、白金、パラジウム、銀‐タングステン、及び銀‐チタンのような、流動性を有する各種材料が選択枝として取り揃えられている。導電性インクは、PAD印刷、スクリーン印刷、インクジェット分注、デジタル印刷、マイクロペン分注、塗装、蒸着、及びプラズマスパッタリングのような、様々な既知の技術を使って、板上に堆積させることができる。導電性インクは、神経監視アプリケーションで刺激付与と記録取りの両方の目的に使用することができる。
【0013】
[0054]図8は、1つの実施形態による、挿入管の周囲を廻って印刷されている複数対の導電性インク電極を備えるEMG気管内挿入管800を示している。図9は、1つの実施形態による、図8に示されている気管内挿入管800の一部分を近接視した図を示している。気管内挿入管800は、管継手804、カフ膨張用導管806、PVC管810、導電性インク電極812、及び一次カフ814を含んでいる。管810は、肺に入る気体及び肺から出る気体を輸送する。管継手804は、肺へ空気を注入し肺から空気を抜き出すための呼吸機(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管806は、カフ814を膨らませるための圧縮空気の供給源(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管806は、管810の壁820の中に設けられているルーメン822(図10)と連通しており、当該ルーメン822は一次カフ814と連通している。気管内挿入管800が患者の気管の中へ挿入された後、導電性インク電極812がEMG信号を感知し、当該EMG信号はEMG処理機(例えばNIMデバイス120)へ、電極812に接続されているソリッドワイヤ(例えば、図5に示されているソリッドワイヤ502)を介して出力される。
【0014】
[0055]図10は、1つの実施形態による、図8に示されている気管内挿入管800の断面図を表す略図である。図10に示されているように、ルーメン822は、カフ814を膨らませるために管810の壁820の中に設けられている。複数対の導電性インク電極812は、管810が回転変位しても中断のないEMG記録取りを実現させるために、管810の周囲を廻って形成されている。1つの実施形態では、導電性インク電極812は、銀充填ポリマー導電性インクを管810上に敷き写すか又は印刷することによって形成されている。
【0015】
[0056]図11は、1つの実施形態による、一次カフ1114と二次カフ1130を備えるEMG気管内挿入管1100を示している。図12Aは、図11に示されている気管内挿入管の二次カフ1130において、1つの実施形態により導電性インク電極1132が印刷されている二次カフ1130を近接視した図を示している。図12Bは、図11に示されている気管内挿入管の二次カフ1130において、別の実施形態による二次カフ1130を近接視した図を示している。図12Aに示されている二次カフ1130の実施形態は、参照番号1130−1により識別されており、図12Bに示されている実施形態は、参照番号1130−2により識別されている。気管内挿入管1100は、PVC管1110、一次カフ1114、及び二次カフ1130を含んでおり、二次カフ上には導電性インク電極1132が形成されている。管1110は、肺に入る気体及び肺から出る気体を輸送する。少なくとも1つのカフ膨張用導管(不図示)が、カフ1114及び1130を膨らませるための圧縮空気の供給源(不図示)に接続されるように構成されている。気管内挿入管1100が患者の気管の中へ挿入された後、二次カフ1130が膨らまされると、導電性インク電極1132が声帯襞と接触して、声帯襞からのEMG信号を感知する。感知された信号は、EMG処理機(例えばNIMデバイス120)へ、電極1132に接続されているワイヤを介して出力される。1つの実施形態では、二次カフ1130は、伸展性又は半伸展性の材料で作られており、導電性インク電極1132は、銀充填ポリマー導電性インクを二次カフ1130上に敷き写すか又は印刷することによって形成されている。銀インクが印刷されている二次カフ1130は、声帯襞に亘って膨らまされると、更に良好な電極接触を確立させる支援をする。電極1132は、二次カフ1130又は管1110に吹き付けられていてもよいし、二次カフ1130の実質的に表面全体を覆っていてもよい。電極1132は、図12Aに示されている以外の様々な形状又は形態をとっていてもよく、例えば本開示の他の図面の何れかに示されている形状又は形態或いは他の形状のうちの何れかであってもよい。他の実施形態では、EMG挿入管1100は、3つ又はそれ以上のカフを含んでいてもよい。
【0016】
[0057]二次カフ1130は、更に、図12Bに示されている形状のような、図12Aに示されているのとは異なる形状を有していてもよい。図12Bに示されているように、二次カフ1130−2は、2つの丸い端部1133と1137が中央部分1135に向かって先細ってゆく扁平落花生形状を有している。1つの実施形態によるカフ1130−2の扁平落花生形状は、声帯襞の形状に適合するか又は声帯襞の形状に輪郭形成し、管1110の並進運動及び回転運動を低減又は排除するのを支援する。別の実施形態では、二次カフ1130は、図12Bに示されているもののように2つの丸い端部が中央部分に向かって先細ってゆく、エラストマー又は発泡体の枕から形成されている。この実施形態の1つの形態では、枕の両端部は、実質的に三角形の断面を有している。1つの実施形態では、二次カフ1130は、管1110の位置又は場所を監視する1つ又はそれ以上の位置センサを含んでいる。
【0017】
[0058]図13は、1つの実施形態による、電極の場所を追跡及び確認するための視覚標示1320を備えるEMG気管内挿入管1300を示している。図14は、1つの実施形態による、図13に示されている気管内挿入管1300の一部分を近接視した図を示している。気管内挿入管1300は、ソリッドワイヤ1302、管継手1304、カフ膨張用導管1306、PVC管1310、電極1312、一次カフ1314、及び視覚標示1320を含んでいる。ソリッドワイヤ1302は、電極1312に接続されている。管1310は、肺に入る気体及び肺から出る気体を輸送する。管継手1304は、肺へ空気を注入し肺から空気を抜き出すための呼吸機(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管1306は、カフ1314を膨らませるための圧縮空気の供給源(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管1306は、管1310の壁の中に設けられているルーメンと連通しており、当該ルーメンは一次カフ1314と連通している。気管内挿入管1300が患者の気管の中へ挿入された後、電極1312がEMG信号を感知し、当該EMG信号はEMG処理機(例えばNIMデバイス120)へソリッドワイヤ1302を介して出力される。
【0018】
[0059]1つの実施形態では、視覚標示1320は、明るく点灯させた発光ダイオード(LED)又は光ファイバ光源であって、それを使用して電極1312の場所が追跡及び確認される。視覚標示1320は、挿入管挿管後の電極の声帯襞に対する位置を識別するために、管1310の表面の電極1312付近に設置されている。使用者は、光点が前方を向いているのを認め、患者の皮膚上の光点に注目すればよい。別の実施形態では、視覚標示1320は、管1310の周囲の一部又は全部を取り囲んでいるLED帯である。
【0019】
[0060]図15は、1つの実施形態による、電極場所を追跡及び確認するための磁石標示1520を備えるEMG気管内挿入管1500を示している。図16と図17は、1つの実施形態による、図15に示されている気管内挿入管1500の一部分を近接視した図を示している。気管内挿入管1500は、ソリッドワイヤ1502、カフ膨張用導管1506、管1510、電極1512、一次カフ1514、及び磁石標示1520を含んでいる。ソリッドワイヤ1502は、電極1512に接続されている。管1510は、肺に入る気体及び肺から出る気体を輸送する。挿入管1500の管継手は、肺へ空気を注入し肺から空気を抜き出すための呼吸機(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管1506は、カフ1514を膨らませるための圧縮空気の供給源(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管1506は管1510の壁の中に設けられているルーメンと連通しており、当該ルーメンは一次カフ1514と連通している。気管内挿入管1500が患者の気管の中へ挿入された後、電極1512がEMG信号を感知し、当該EMG信号はEMG処理機(例えばNIMデバイス120)へ、ソリッドワイヤ1502を介して出力される。
【0020】
[0061]1つの実施形態では、磁石標示1520は極小磁石であり、それを使用して電極1512の場所が追跡及び確認される。磁石標示1520は、挿入管挿管後の電極の声帯襞に対する位置を識別するために、管1510の表面の電極1512付近に設置されている。使用者は、磁石ピックアップセンサを含んでいるデバイス1530(図17)を用いて患者内部の磁石を追跡し場所を突き止めることができる。
【0021】
[0062]以上に図13−図17に関連付けて説明されているLEDベース及び磁石ベースの技法に加え、他の実施形態では患者内の電極場所を割り出すのに他の技法を使用しており、そのような技法には次のもの、即ち、(1)解剖学的目印の場所探知、(2)自動式周期的刺激(APS)電極追跡、(3)ソナー/超音波(間柱探知機に類似)、(4)コイルを使用する外科的ナビゲーション、(5)刺激器と場所探知デバイスの併用及びLEDの照明とワンドの刺激器パルスの同期化、(6)加速度計(例えば、カフ上に配置)を使用して運動を監視、(7)振動センサと空気の流入流出を使用し、声帯襞を通過する空気の流れが振動を生じさせるとその振動を振動センサによって感知、(8)挿入管の中又は挿入管上の超音波振動子と体外の感知回路の使用、(9)位置感知及び回転感知のための共振回路の使用(パルスを提供するのに刺激器チャネルを使用することができるであろう);声帯襞組織共振付近の共鳴振動を使用;声帯襞の機械的インピーダンスを対周辺組織インピーダンス整合及びエネルギー伝達によって検出;表面音波又は他の機械的共振器を使用、(10)電極部位付近に声帯襞との係合を検出する圧力センサ又は圧力センサアレイ(例えば、挿入管のそれぞれの側面上の容量センサ付き圧力感知面)を使用、(11)無線インターフェースにリンクした無線センサ(例えば、挿入管は、リアルタイムで設置具合を視察するために外部モニタ(例えば、NIM上のピクチャ・イン・ピクチャ又はミニ画面)へ信号を送る無線ビデオチップを含んでいてもよい)、(12)温度センサ(温度は、声帯襞と接触しているときにはより高くなる)、(13)近位端の光源と電極付近の覗き窓を備える埋め込み型光ファイバビューワ(NIMには位置を識別するためのソフトウェア)、(14)挿入管の中又は挿入管上に組み込まれている1つ又はそれ以上のRF IDタグであって、信号が外部デバイス又はNIMへ送られて読み取り又は評価されるRF IDタグ、(15)挿入管の可撓性のある挿入管分節113(図1及び図2)のような1つ又はそれ以上の部分の運動を監視するための可撓性の圧電条片―可撓性のある管分節113の運動を監視することで間接的に声帯襞の運動が監視されることになる、(16)インピーダンスモニタを挿入管の挿入管分節113(図1及び図2)のような1つ又はそれ以上の部分を廻って設置し、声帯襞での挿入管の直径の変化を検出(そのようなインピーダンス監視は、EMG電位を記録しなくても声帯襞の運動を監視できるようにする)、及び(17)筋肉接触と非筋肉接触を区別する能力を備える電極を使用し、NIMが正しい位置及び接触を確保するのを支援する、が挙げられる。
【0022】
[0063]図18は、1つの実施形態による、回転の自由を提供する連結アダプタ1820を備えるEMG気管内挿入管1800を示している。図19は、1つの実施形態による、図18に示されている気管内挿入管1800の一部分を近接視した図を示している。気管内挿入管1800は、ソリッドワイヤ1802、管継手1804、カフ膨張用導管1806、PVC管1810、電極1812、一次カフ1814、及びプラスチック連結アダプタ1820を含んでいる。ソリッドワイヤ1802は、電極1812に接続されている。管1810は、肺に入る気体及び肺から出る気体を輸送する。管継手1804は、肺へ空気を注入し肺から空気を抜き出すための呼吸機(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管1806は、カフ1814を膨らませるための圧縮空気の供給源(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管1806は、管1810の壁の中に設けられているルーメンと連通しており、当該ルーメンは一次カフ1814と連通している。気管内挿入管1800が患者の気管の中へ挿入された後、電極1812がEMG信号を感知し、当該EMG信号はEMG処理機(例えばNIMデバイス120)へソリッドワイヤ1802を介して出力される。
【0023】
[0064]1つの実施形態では、気管内挿入管1800が患者の中へ挿入された後、挿入管は患者の口にテープ貼りされる。連結アダプタ1820は、(患者の口から離して)近位端に配置されていて、管1810の近位端が図19の矢印1830によって示されているように旋回できるようにしているので、患者の中で管1810の遠位部分が回転運動するのが最小限に抑えられる。1つの実施形態では、連結アダプタ1820は、何れの方向であれ30度の回転を許容する。別の実施形態では、気管内挿入管1800は、管の遠位部分の回転を防止しながらも管の近位部分を回転させられるようにする管内管構成を含んでいる。1つの実施形態では、一次カフ1814は、管の遠位部分を回転させないように支援する付着性又は粘着性の材料(例えば粘着性バルーン)から形成されている。
【0024】
[0065]図20は、1つの実施形態による、EMG電極2012の最上部と最下部にリブ2020を備えるEMG気管内挿入管2000を示している。図21は、1つの実施形態による、図20に示されている気管内挿入管2000の一部分を近接視した図を示している。気管内挿入管2000は、ソリッドワイヤ2002、管継手2004、カフ膨張用導管2006、管2010、電極2012、一次カフ2014、及びリブ2020を含んでいる。ソリッドワイヤ2002は、電極2012に接続されている。管2010は、肺に入る気体及び肺から出る気体を輸送する。管継手2004は、肺へ空気を注入し肺から空気を抜き出すための呼吸機(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管2006は、カフ2014を膨らませるための圧縮空気の供給源(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管2006は、管2010の壁の中に設けられているルーメンと連通しており、当該ルーメンは一次カフ2014と連通している。気管内挿入管2000が患者の気管の中へ挿入された後、電極2012がEMG信号を感知し、当該EMG信号はEMG処理機(例えばNIMデバイス120)へソリッドワイヤ2002を介して出力される。
【0025】
[0066]1つの実施形態によるリブ2020は挿管中に声帯襞を通過してゆくときの手応え感を提供し、また声帯襞の最上部と最下部に宛がわれたリブ2020が管2010を所定位置から抜けだせなくする。1つの実施形態では、リブ2020は、開口部の輪郭に整合する形状であり、伸展性又は半伸展性の材料で作られている。別の実施形態では、リブ2020は膨らませられるバルーンを用いて実装されている。
【0026】
[0067]図22は、1つの実施形態による、挿入管の表面上にEMG信号を記録するための導電性テープを備えるEMG気管内挿入管2200を示している。図23は、1つの実施形態による、図22に示されている気管内挿入管2200の一部分を近接視した図を示している。気管内挿入管2200は、管継手2204、カフ膨張用導管2206、管2210、電極2212、及び一次カフ2214を含んでいる。ソリッドワイヤは、電極2212に接続されている。管2210は、肺に入る気体及び肺から出る気体を輸送する。管継手2204は、肺へ空気を注入し肺から空気を抜き出すための呼吸機(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管2206は、カフ2214を膨らませるための圧縮空気の供給源(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管2206は、管2210の壁の中に設けられているルーメンと連通しており、当該ルーメンは一次カフ2214と連通している。気管内挿入管2200が患者の気管の中へ挿入された後、電極2212がEMG信号を感知し、当該EMG信号はEMG処理機(例えばNIMデバイス120)へ、電極2212に取り付けられているソリッドワイヤを介して出力される。
【0027】
[0068]図22及び図23に表されている実施形態では、電極2212は、管2210の表面に付着している導電テープの条片である。1つの実施形態では、導電テープは、織材料であり、一部の従来式の管に見られるソリッドワイヤ電極(2チャンネル又は複数対)に取って代わるものである。1つの実施形態では、図22と図23に示されている条片2212の1つ又はそれ以上は、管2210の運動を監視するための圧電条片を備えている。別の実施形態では、電極2212は、水分を吸収すると膨張しそれによって声帯襞との接触を改善する膨張性のある導電性発泡体で覆われている。
【0028】
[0069]図24は、1つの実施形態による、特注押出成形PVC管を備えるEMG気管内挿入管2400を示している。図25と図26は、1つの実施形態による、図24に示されている気管内挿入管2400の一部分を近接視した図を示している。気管内挿入管2400は、ソリッドワイヤ2402、管継手2404、カフ膨張用導管2406、管2410、電極2412、及び一次カフ2414を含んでいる。ソリッドワイヤ2402は、電極2412に接続されている。管2410は、肺に入る気体及び肺から出る気体を輸送する。管継手2404は、肺へ空気を注入し肺から空気を抜き出すための呼吸機(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管2406は、カフ2414を膨らませるための圧縮空気の供給源(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管2406は、管2410の壁の中に設けられているルーメンと連通しており、当該ルーメンは一次カフ2414と連通している。気管内挿入管2400が患者の気管の中へ挿入された後、電極2412がEMG信号を感知し、当該EMG信号はEMG処理機(例えばNIMデバイス120)へソリッドワイヤ2402を介して出力される。
【0029】
[0070]1つの実施形態では、管2410は、特注押出成形PVC管(剛性又は強化型)を備えており、PVCカフはシリコンカフのように付着性ではない。1つの実施形態による特注押出成形PVC管2410の寸法は、標準的な既製の気管内挿入管に近似する。
【0030】
[0071]ここに記載されているEMG気管内挿入管の実施形態の特徴には、(1)従来式の挿入管より設置許容度が大きい、(2)挿入管の設置を支援するのにNIMが使用されている、(3)定常接触を確約するべく電極が周期的にチェックされる、(4)挿入管を正しく挿入するべく的確な方向に意図的に曲げられる、(5)設置具合を皮膚を通して観察するために高輝度LEDを挿入管の中に含む、(6)挿入管が正しく設置されていることを感知するために外付けのホールセンサを挿入管の中の磁石と共に使用する、(7)挿入管を安定させるためのキットパックテープ、(8)EMG生成源と分流組織を検出するための改良された手段、(9)筋肉「アーチファクト」を、正しく設置されていることの指標として使用(挿入管の位置を調節することによってアーチファクトを最小化)、(10)光源又はカメラに接続されている光ファイバ束、(11)患者の解剖学的構造上で正しい向きに位置合わせするために挿入管の近位端にモールド成形されている「固定具」、(12)患者ボックスへ差し込むための改善されたやり方及びコネクタ、(13)コネクタ追加(ワイヤ追加ではない)又はNIM内のクロスポイントスイッチによる2チャンネルからの4チャンネルの創出、(14)NIMから信号を提供し、電極に接触している組織の抵抗と位相角度を測定してEMG生成源組織対分流組織が十分かどうかを決定する、(15)全体外径が縮小されたEMG挿入管、及び(16)標準的な既製の気管内挿入管を利用することによる、特注押出成形シリコン管材に係わる費用及び品質関連の問題の軽減化、が含まれる。追加の特徴及び情報は以下に述べられている。
【0031】
[0072]1つの実施形態によるEMG気管内挿入管電極は、EMG生成源(横紋筋)と分流組織(EMG信号は生成しないが、但し実際に通電し、その結果、増幅器が利用できるEMG信号を分流(減少)させる導電性組織)の両方に接触していてもよい。「高品質の挿入管設置」では、EMG生成源組織対分流組織の比が高い。
【0032】
[0073]本明細書に記載されているEMG気管内挿入管の実施形態は、電極112(図1)のような電極を被覆する導電性ヒドロゲルを含んでいてもよい。電極に導電性ヒドロゲルを被覆すると、電極の接触面が広くなり、声帯襞との接触を失うことなくEMG挿入管の回転を大きくでき、その結果、信号の記録取りが改善される。幾つかの実施形態は、披裂部(arytenoids)及び後輪状披裂筋(posterior cricoarytenoid)(PCA)の監視を含めた後方及び前方監視のためのパドル電極を使用してもよい。
【0033】
[0074]既存のEMG気管内には、(1)挿入管の外部側のリッジが組織を刺激してしまう、(2)手術中に挿入管が回転変位してしまう、及び(3)挿入管の壁が薄すぎる、といったような幾つかの問題がある。これらの問題は1つの実施形態では次のようなやり方で解決が図られており、即ち、(1)非シリコン材料である例えばペバックス(pebax)とテフロン(Teflon)を一体に挿入管に使用して挿入管を滑動させ易くする(並進変位防止を支援するべく高摩擦材料をカフに使用してもよい)、(2)ワイヤ用のバンプを挿入管の内径(ID)上に設置する、(3)異なった管材部片(それぞれはおそらくは異なった断面形状を有する)を、患者の解剖学的構造により密に整合するより最適な断面幾何学形状が得られるように、長さに沿って一体に重ね継ぐというやり方であって、例えば、近位端付近には回転させられるように円形の断面を有する第1の管部分そして声帯襞付近には三角形の断面を有する第2の管部分(例えば、円形の内径を備えるもの又は三角形の内径を備えるもの)を使うなど、(4)電極の直上に、低壁厚領域を加えて、上側区間を下側区間から分断する、及び(5)ばねコイル強化管から編組管への切り替えにより挿入管の近位端を遠位端から分断する、というやり方で解決が図られている。
【0034】
[0075]図27は、1つの実施形態による、患者の咽喉内に位置付けられたEMG気管内挿入管2700を示している。気管内挿入管2700は、管継手2704、管2710、電極2712、一次カフ2714、食道伸張部2720、及び食道電極2722を含んでいる。図27に示されている患者の解剖学的構造の諸部分には、舌2730、気管2732、及び食道2734が含まれる。管2710は、肺に入る気体及び肺から出る気体を輸送する。管継手2704は、肺へ空気を注入し肺から空気を抜き出すための呼吸機(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管は、カフ2714を膨らませるための圧縮空気の供給源に接続されるように構成されている。気管内挿入管2700が患者の気管2732の中へ挿入された後、電極2712がEMG信号を感知し、当該EMG信号はEMG処理機(例えばNIMデバイス120)へ、電極2712に接続されているソリッドワイヤを介して出力される。
【0035】
[0076]図27に示されているように、食道伸張部2720が、管2710から離れて患者の食道2734の中へ伸張している。伸張部2720上に形成されている食道電極2722は、食道2734から、声帯襞の裏側の筋肉からの信号を感知する。1つの実施形態による電極2722は、喉頭の後ろの喉頭筋のEMG信号を記録するのに使用される。1つの実施形態では、電極2722は、手術中、輪状軟骨の後ろに位置付けられている。反回神経(recurrent laryngeal nerve)(RLN)に神経支配されている筋肉の殆どは、喉頭の後ろ及び後外側である(例えば、披裂部(arytenoids)、後輪状披裂筋(posterior cricoarytenoid)(PCA)、及び外側輪状披裂筋(lateral cricoarytenoid)(LCA))。電極2722を輪状軟骨の後ろに位置付けることで、優良なEMG信号がもたらされる。1つの実施形態では、食道伸張部2720は、管2710の挿入深さと角度の付いた設置の両方を設定するのにも使用される。
【0036】
[0077]図28Aは、1つの実施形態による、表面積を広くした電極を備えるEMG気管内挿入管2800Aを示している。挿入管2800Aは、挿入管2800Aの周囲を廻って延びていて山と谷が挿入管2800Aの長手方向に広がる正弦波の形状を有する電極2802Aを含んでいる。
【0037】
[0078]図28Bは、別の実施形態による、表面積を広くした電極を備えるEMG気管内挿入管2800Bを示している。挿入管2800Bは、挿入管2800Bの周囲を廻って形成されていて挿入管2800Bの長手方向に延びている電極2802Bを含んでいる。電極2802Bでは、電極の第1のセット2802B−1を電極の第2のセット2802B−2と交互に且つ長手方向に電極の第2のセット2802B−2と位置をずらして配置させている。電極2802B−1は、電極2802B−2に比べて、より挿入管2800Bの近位端に近接して配置されており、電極2802B−2は、電極2802B−1に比べて、より挿入管2800Bの遠位端に近接して配置されている。
【0038】
[0079]図28Cは、別の実施形態による、表面積を広くした電極を備えるEMG気管内挿入管2800Cを示している。挿入管2800Cは、それぞれが挿入管2800Cの長さの一部分に沿って延びていて山と谷が挿入管2800Cの横方向に広がる正弦波の形状を有する電極2802C−1と2802C−2を含んでいる。
【0039】
[0080]図28Dは、別の実施形態による、表面積を広くした電極を備えるEMG気管内挿入管2800Dを示している。挿入管2800Dは、複数の水平方向電極2802D−1及び2802D−2と複数の垂直方向電極2802D−3及び2802D−4を含んでいて格子模様を形成している電極アレイ2802Dを含んでいる。水平方向電極2802D−1と2802D−2は、横方向に挿入管2800Dの周囲を廻って延び、垂直方向電極2802D−3及び2802D−4は、長手方向に挿入管2800Dの長さの一部分に沿って延びている。
【0040】
[0081]図28A−図28Dに示されている電極構成は、挿入管の回転による影響の受け易さを低減又は排除するのを支援する。1つの実施形態では、電極の形状は、分流問題が回避されるように声帯襞に一致している。
【0041】
[0082]図29は、1つの実施形態による、ヒトの咽喉の形状に整合するように湾曲している全体形状を有するEMG気管内挿入管2900を示している。気管内挿入管2900は、管継手2904、管2910、電極2912、及び一次カフ2914を含んでいる。管2910は、肺に入る気体及び肺から出る気体を輸送する。管継手2904は、肺へ空気を注入し肺から空気を抜き出すための呼吸機(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管が、カフ2914を膨らませるための圧縮空気の供給源(不図示)に接続されるように構成されている。気管内挿入管2900が患者の気管の中へ挿入された後、電極2912がEMG信号を感知し、当該EMG信号はEMG処理機(例えばNIMデバイス120)へ、電極2912に接続されているソリッドワイヤを介して出力される。
【0042】
[0083]図29に示されているように、管2910は、直線状の管ではなく、むしろ管2910の長さに沿って少なくとも1か所が屈曲又は湾曲しており、その結果、管2910はヒトの咽喉の形状に整合するか又は実質的に整合する自然な形状を有している。管2910の湾曲形状は、患者の中に正しく設置するための感触を提供する。
【0043】
[0084]図30は、1つの実施形態による、回転による影響の受け易さを低減又は排除するように構成されている電極を備えるEMG気管内挿入管3000の断面図を示している。管3004上には4つの電極3002A−3002Dが配置されており、それらは長手方向に管3004の長さの一部分に沿って(即ち、図30の紙面の奥と手前に向けて)延びている。図示の実施形態では、4つの電極3002A−3002Dは、管3004の周囲に沿って等間隔に離間されている。電極3002Aは、チャネル1+とチャネル3+に対応している。電極3002Bは、チャネル2+とチャネル4−に対応している。電極3002Cは、チャネル1−とチャネル4+に対応している。電極3002Dは、チャネル2−とチャネル3−に対応している。
【0044】
[0085]図30に示されているように、4電極型挿入管を使用すれば、対角方向の電極対をチャネル3と4として使用することによって4つのチャネルを創出することができる。この電極構成は、確実に、挿入管が回転とは無関係に常に2つの良好な監視チャネルを持てるようにするのを支援し、それによって、管の回転による影響の受け易さを低減又は排除するのを支援する。更に4電極型挿入管を使用して(例えば、上2つの電極をチャネル5として使用し、下2つの電極をチャネル6として使用することによって)6つのチャネルを創出することができる。1つの実施形態では、NIM120(図1)は、4つ又は6つのチャネル全てを表示するように構成されている。別の実施形態では、NIM120は、4つ又は6つのチャネルのどれが最適信号を提供しているかを判定し、最適な1つ又は複数のチャネルだけを表示するように構成されている。1つの実施形態では、管3004は、NIM120をマルチチャネルモードに切り替わらせる識別構成要素(例えば、レジスタ、RF、磁石、デジタル)を含んでいる。挿入管は、挿入管の挿入深さを確認するのに1つ又はそれ以上のLEDを含んでいてもよい。回転による影響の受け易さは、多数の電極対を多重化することによっても低減又は排除することができるであろう。
【0045】
[0086]図31は、別の実施形態による、回転による影響の受け易さを低減又は排除するように構成されている電極を備えるEMG気管内挿入管3100を示している。EMG気管内挿入管3100は、管3110、一次カフ3114、及び電極キャリア3120Aと3120Bを含んでいる。電極キャリア3120Aと3120Bのそれぞれは、ドーナツ形状をしていて、管3110の周囲を取り囲んでいる。電極キャリア3120Aと3120Bは、管3110の長さに沿って互いから離間されている。電極キャリア3120A上には電極3112Aが形成され、電極キャリア3120B上には電極3112Bが形成されている。電極3112Aと3112Bのそれぞれは、キャリア3120Aと3120Bそれぞれの周囲を廻って延びていて山と谷が管3110の長手方向に広がる正弦波の形状を有している。1つの実施形態では、電極3112Aは負電極であり、電極3112Bは正電極である。図31に示されている電極構成は、EMG気管内挿入管3100の回転による影響の受け易さを低減又は排除するのを支援する。
【0046】
[0087]別の実施形態では、EMG気管内挿入管3100は、たった1つのドーナツ形状の電極キャリ3120Aしか含んでおらず、キャリア3120Aは、長手方向に管3110の長さに沿って上下に滑動できるように、管3110に滑動可能に連結されている。この実施形態の1つの形態では、キャリア3120Aを選択的に拡げて滑動を許容したり窄めて滑動を阻止したりする制御部材がキャリア3120Aに取り付けられていてもよい。例えば、キャリア3120Aが声帯に位置付けられたら制御部材はキャリア3120Aを拡げ、すると、キャリア3120Aは当該場所に留まったままで、管3110がキャリア3120Aを通って滑動できるようになる。1つの実施形態では、キャリア3120Aと3120Bの一方又は両方は、円形断面形状を有していてもよいし、非円形断面形状(例えば、三角形の形状)を有していてもよい。
【0047】
[0088]図32は、1つの実施形態による、EMG気管内挿入管用のカフ3200を示している。カフ3200は、展開可能なカフ部分3202と引張部材3204を含んでいる。カフ3200は、更に、カフ3200を貫いて延びていてカフ3200を気管内挿入管上へ滑らせられるようにしている円筒形状の開口部3206を含んでいる。引張部材3204は、カフ部分3202の展開を許容するが、捩れに抵抗し、カフ3200と気管内挿入管の回転を最小限に抑えるのを支援する。1つの実施形態では、引張部材3204は、自己展開式であり、ニチノールのような形状記憶材料から形成されている。1つの実施形態では、引張部材3204はニチノールの骨組又は籠であり、カフ3200にはその上に電極が形成されている。この実施形態の1つの形態では、カフ3200は、外傷を生じさせることなく声帯襞の形状に一致するように構成されている。
【0048】
[0089]図33は、1つの実施形態による、EMG気管内挿入管で使用されるように構成されている電極アレイの電気配線図を示している。電極アレイは、5つの電極3302が共通ノード3304を共有している星型配列の電極3302を含んでいる。正極端子3306が共通ノード3304に接続されている。アレイは更に端子3308を含んでいる。1つの実施形態では、端子3306と電極3302は、挿入管上に置かれ、端子3308は挿入管の一次カフ又は二次カフ上に置かれている。図33に示されている電極構成は、EMG気管内挿入管の回転による影響の受け易さを低減又は排除するのを支援する。回転による影響の受け易さは、同様に、管の周囲2か所を取り巻く2つのリング電極を(例えば、一方のリング電極を声帯襞に、第2のリング電極を挿入管の一次カフ又は二次カフ上に)使用することによって低減又は排除することもできるであろう。
【0049】
[0090]図34は、1つの実施形態による、EMG気管内挿入管で使用されるように構成されている可撓性の展開式電極を示している。図34に示されているように、一対の離間されている保定リング3422と3424は、それぞれ、管3410の周囲を取り囲んでいる。リング3422と3424は、可撓性電極3412を、両リングの間の所定の位置に保持している。電極3412は、長手方向に管3410の長さの一部分に沿って延びている。リング3422と3424が管3410に沿って互いに向かってより近接に配置されるほど、電極3412は管3410からより遠く離れて張り出す。リング3422が管3410に沿って互いからより離れて配置されるほど、電極3412は管3410により近接する。電極3412は、声帯を機械的に刺激するのに使用することができるであろう。声帯襞は、可撓性の電極3412を内向きに管3410に向かって押すであろう。
【0050】
[0091]手術中にEMG気管内挿入管が動くことがあったなら、挿入管のEMG電極は、標的筋肉との接触を失い、最適なEMG応答を提供し損なうかもしれない。1つの実施形態は、管の運動(回転方向及び垂直方向)による影響に鈍感であるか又は実質的に鈍感であるEMG気管内挿入管を提供しており、挿入管が手術中に患者内部で回転方向又は垂直方向に動いたとしても中断のないEMG記録取りを行えるようにする。この実施形態の1つの形態は、3つの電極を備える挿入管であり、そのうち2つの電極は声帯襞より上方に位置付けられるように構成され、1つの電極は声帯襞より下方に位置付けられるように構成されている。この実施形態の別の形態は、4つの電極を備える挿入管であり、そのうち2つの電極は声帯襞より上方に位置付けられるように構成され、2つの電極は声帯襞より下方に位置付けられるように構成されていて、それら電極は等角度に配列されている。これらの実施形態のための電極構成は、声帯襞のレベルの上方と下方で異なっており、活性化した筋肉群と不活動領域との間での信号の差異が最大化される。声帯襞のレベルより上方と下方の電極は、反回神経(又は非反回神経)及び上喉頭神経外枝に神経支配されている喉頭の筋肉からの筋電図(EMG)信号の監視を改善する。声帯襞のレベルより上方の電極と下方の電極は、咽頭の後方、側方、及び前方監視、例えば、左右の声帯筋、披裂部、甲状披裂筋、後輪状披裂筋、外側輪状披裂筋、及び輪状甲状筋の監視が行えるようにする。挿入管位置による影響に実質的に鈍感な実施形態は、以下に図35−図37に関連付けて更に詳細に説明されている。
【0051】
[0092]図35Aは、1つの実施形態による、3つの電極を備えるEMG気管内挿入管3500の第1の側面図(後面)を示している。図35Bは、1つの実施形態による、図35Aに示されているEMG気管内挿入管3500の第2の側面図(図35Aに示されている図から90度回転)を示している。図35Cは、1つの実施形態による、図35A及び図35Bに示されている気管内挿入管3500の断面図を表す略図である。図35A−図35Cに示されているように、気管内挿入管3500は、管3510、電極3512、及び一次カフ3514を含んでいる。管3510は、肺に入る気体及び肺から出る気体を輸送する。管3510の近位端(図35Aでは左端)は、肺へ空気を注入し肺から空気を抜き出すための呼吸機(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管(不図示)が、カフ3514を膨らませるための圧縮空気の供給源(不図示)に接続されるように構成されている。気管内挿入管3500が患者の気管の中へ挿入された後、電極3512がEMG信号を感知し、当該EMG信号はEMG処理機(例えばNIMデバイス120)へ出力される。
【0052】
[0093]電極3512は、管3510の周囲を廻って形成されていて管3510の長手方向に延びている3つの電極3512A−3512Cを含んでいる。電極3512Bは、全体が管3510の後面に配置されており、ここでは後部電極3512Bとも呼称される。電極3512Aと3512Cは、主として管3510の前面に配置されており、前部電極3512A及び3512Cとも呼称される。管3510の前面は、図35Cに示されている管3510の下半分であり、管3510の後面は、図35Cに示されている管3510の上半分である。電極3512A−3512Cのそれぞれは、各々のトレース3524A−3524Cに連結されている(図ではトレース3524Aは見えない)。トレース3524A−3524Cは、管3510の防護(マスク)領域3528に配置されている。後部電極3512Bは、管3510の露出(非マスク)領域3526Aに配置されている。前部電極3512Aと3512Cは、管3510の露出(非マスク)領域3526Bに配置されている。
【0053】
[0094]1つの実施形態では、電極3512A−3512Cのそれぞれは、約1インチ(約2.54cm)の長さを有し、横方向に管の周囲を廻って約90度の角度3522に対応する距離を延びている(即ち、電極3512A−3512Cのそれぞれは、管の全周の約25パーセントの幅を有している)。電極3512A−3512Cは、横方向に管の周囲を廻って約30度の角度3520に対応する距離だけ離間されている(即ち、電極3512A−3512C同士の間の横方向の空きは、管の全周の約8.333パーセントである)。別の実施形態では、電極3512A−3512Cのそれぞれは、横方向に管の周囲を廻って約60度の角度3522に対応する距離を延びており、電極3512A−3512Cは、横方向に管の周囲を廻って約60度の角度3520に対応する距離だけ離間されている。更に別の実施形態では、電極3512A−3512Cは、横方向に管の周囲を廻って約15度より大きい角度3520に対応する距離だけ離間されている。1つの実施形態では、電極の管の周囲を廻る電極3512A−3512Cのうちの1つの中心から隣接する電極の中心までの距離は約110度から220度である。後部電極3512Bは、横方向には2つの前部電極3512Aと3512Cの間に配置されており、長手方向には前部電極3512A及び3512Bからオフセットされているか又は位置をずらされている。後部電極3512Bは、前部電極3512A及び3512Cに比べて、より管3510の遠位端(図35A及び図35Bでは右端)に近接して配置されており、前部電極3512Aと3512Cは、後部電極3512Bに比べて、より管3510の近位端(図35A及び図35Bでは左端)に近接して配置されている。
【0054】
[0095]管3510は、後部電極3512Bの近位部分が長手方向に前部電極3512A及び3512Cの遠位部分と重複する重複領域3530を含んでいる。電極3512は、横方向に互いからオフセットされているので物理的には重なり合わない。1つの実施形態では、重複領域3530は長さ約0.1インチ(約0.254cm)であり、前部電極3512A及び3512Cの近位端から後部電極3512Bの遠位端までの全体としての長さは、約1.9インチ(約4.826cm)である。別の実施形態では、重複領域3530は、長さ約0.2インチ(約0.508cm)であり、前部電極3512A及び3512Cの近位端から後部電極3512Bの遠位端までの全体としての長さは、約1.8インチ(約4.572cm)である。管3510は、患者の声帯襞が重複領域3530に入るようにして位置付けられるように構成されている。従って、声帯襞より上方の電極3512の構成は、声帯襞より下方の構成とは異なっている。単一の後部電極3512Bは、主として声帯襞より下方に位置付けられるように構成されており、2つの前部電極3512Aと3512Cは、主として声帯襞より上方に位置付けられるように構成されている。最大応答は前面の声帯襞より約0.5インチ(約1.27cm)上方にもたらされることが判明している。1つの実施形態では、電極3512Aと3512Bは第1のEMGチャネルとして使用され、電極3512Cと3512Bは第2のEMGチャネルとして使用される。
【0055】
[0096]図36Aは、1つの実施形態による、4つの電極を備えるEMG気管内挿入管3600の第1の側面図(後面)を示している。図36Bは、1つの実施形態による、図36Aに示されているEMG気管内挿入管3600の第2の側面図(図36Aに示されている図から90度回転)を示している。図36Cは、1つの実施形態による、図36A及び図36Bに示されている気管内挿入管3600の断面図を表す略図である。図36A−図36Cに示されているように、気管内挿入管3600は、管3610、電極3612、及び一次カフ3614を含んでいる。管3610は、肺に入る気体及び肺から出る気体を輸送する。管3610の近位端(図36Aでは左端)は、肺へ空気を注入し肺から空気を抜き出すための呼吸機(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管(不図示)が、カフ3614を膨らませるための圧縮空気の供給源(不図示)に接続されるように構成されている。気管内挿入管3600が患者の気管の中へ挿入された後、電極3612がEMG信号を感知し、当該EMG信号はEMG処理機(例えばNIMデバイス120)へ出力される。
【0056】
[0097]電極3612は、管3610の周囲を廻って形成されていて管3610の長手方向に延びている4つの電極3612A−3612Dを含んでいる。電極3612Aと3612Bは、全体が管3610の後面に配置されており、ここでは後部電極3612A及び3612Bとも呼称される。電極3612Cと3612Dは、全体が管3610の前面に配置されており、前部電極3612C及び3612Dとも呼称される。管3610の前面は、図36Cに示されている管3610の下半分であり、管3610の後面は、図36Cに示されている管3610の上半分である。電極3612A−3612Dのそれぞれは、各々のトレース3624A−3624Dに連結されている(図ではトレース3624Dは見えない)。トレース3624A−3624Dは、管3610の防護(マスク)領域3628に配置されている。後部電極3612Aと3612Bは、管3610の露出(非マスク)領域3626Aに配置されている。前部電極3612Cと3612Dは、管3610の露出(非マスク)領域3626Bに配置されている。
【0057】
[0098]1つの実施形態では、電極3612A−3612Dのそれぞれは、約1インチ(約2.54cm)の長さを有し、横方向に管の周囲を廻って約60度の角度3622に対応する距離を延びている(即ち、電極3612A−3612Dのそれぞれは、管の全周の約16.666パーセントの幅を有している)。それら電極は、横方向に管の周囲を廻って約30度の角度3620に対応する距離だけ離間されている(即ち、電極3612A−3612D同士の間の横方向の空きは、管の全周の約8.333パーセントである)。後部電極3612Aと3612Bは、長手方向には前部電極3612C及び3612Dからオフセットされているか又は位置をずらされている。後部電極3612Aと3612Bは、前部電極3612C及び3612Dに比べて、より管3610の遠位端(図36A及び図36Bでは右端)に近接して配置されており、前部電極3612Cと3612Dは、後部電極3612A及び3612Bに比べて、より管3610の近位端(図36A及び図36Bでは左端)に近接して配置されている。
【0058】
[0099]管3610は、後部電極3612A及び3612Bの近位部分が長手方向に前部電極3612C及び3612Dの遠位部分と重複する重複領域3630を含んでいる。電極3612は、横方向に互いからオフセットされているので物理的には重なり合わない。1つの実施形態では、重複領域3630は長さ約0.1インチ(約0.254cm)であり、前部電極3612C及び3612Dの近位端から後部電極3612A及び3612Bの遠位端までの全体としての長さは、約1.9インチ(約4.826cm)である。別の実施形態では、重複領域3630は、長さ約0.2インチ(約0.508cm)であり、前部電極3612C及び3612Dの近位端から後部電極3612A及び3612Bの遠位端までの全体としての長さは、約1.8インチ(約4.572cm)である。管3610は、患者の声帯襞が重複領域3630に入るようにして位置付けられるように構成されている。従って、声帯襞より上方の電極3612の構成は、声帯襞より下方の構成とは異なっている。後部電極3612Aと3612Bは、主として声帯襞より下方に位置付けられるように構成されており、前部電極3612Cと3612Dは、主として声帯襞より上方に位置付けられるように構成されている。1つの実施形態では、電極3612Aと3612Cは第1のEMGチャネルとして使用され、電極3612Bと3612Dは第2のEMGチャネルとして使用される。別の実施形態では、電極3612Aと3612Dが第1のEMGチャネルとして使用され、電極3612Bと3612Cが第2のEMGチャネルとして使用される。
【0059】
[0100]図37Aは、別の実施形態による、4つの電極を備えるEMG気管内挿入管3700の第1の側面図(後面)を示している。図37Bは、1つの実施形態による、図37Aに示されているEMG気管内挿入管3700の第2の側面図(図37Aに示されている図から90度回転)を示している。図37A及び図36Bに示されているように、気管内挿入管3700は、管3710、電極3712、及び一次カフ3714を含んでいる。管3710は、肺に入る気体及び肺から出る気体を輸送する。管3710の近位端(図37Aでは左端)は、肺へ空気を注入し肺から空気を抜き出すための呼吸機(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管(不図示)が、カフ3714を膨らませるための圧縮空気の供給源(不図示)に接続されるように構成されている。気管内挿入管3700が患者の気管の中へ挿入された後、電極3712がEMG信号を感知し、当該EMG信号はEMG処理機(例えばNIMデバイス120)へ出力される。
【0060】
[0101]電極3712は、管3710の周囲を廻って形成されていて管3710の長手方向に延びている4つの電極3712A−3712Dを含んでいる。電極3712A−3712Dのそれぞれは、各々のトレース3724A−3724Dに連結されている(図ではトレース3724Aと3724Dは見えない)。トレース3724A−3724Dは、管3710の防護(マスク)領域3728に配置されている。電極3712Cと3712Dは、管3710の露出(非マスク)領域3726Aに配置されている。電極3712Aと3712Bは、管3710の露出(非マスク)領域3726Bに配置されている。
【0061】
[0102]1つの実施形態では、電極3712A−3712Dのそれぞれは、約1インチ(約2.54cm)の長さを有している。1つの実施形態では、電極3712Aと3712Bのそれぞれは、横方向に管の周囲を廻って約140度の角度に対応する距離を延びている(即ち、電極3712Aと3712Bのそれぞれは、管の全周の約38.888パーセントの幅を有している)。1つの実施形態では、電極3712CAと3712Dのそれぞれは、横方向に管の周囲を廻って約110度の角度に対応する距離を延びている(即ち、電極3712Cと3712Dのそれぞれは、管の全周の約30.555パーセントの幅を有している)。電極3712Aと3712Bは、横方向に管の周囲を廻って互いから約40度の角度に対応する距離だけ離間されている(即ち、電極3712Aと3712Bの間の横方向の空きは、管の全周の約11.111パーセントである)。電極3712Cと3712Dは、横方向に管の周囲を廻って互いから約70度の角度に対応する距離だけ離間されている(即ち、電極3712Cと3712Dの間の横方向の空きは、管の全周の約19.444パーセントである)。電極3712Aと3712Bは、長手方向には電極3712C及び3712Dからオフセットされているか又は位置をずらされている。電極3712Cと3712Dは、電極3712A及び3712Bに比べて、より管3710の遠位端(図37A及び図37Bでは右端)に近接して配置されており、電極3712Aと3712Bは、電極3712C及び3712Dに比べて、より管3710の近位端(図37A及び図37Bでは左端)に近接して配置されている。
【0062】
[0103]管3710は、電極3712C及び3712Dの近位端が長手方向に電極3712A及び3712Bの遠位端から隔てられている離隔領域3730を含んでいる。1つの実施形態では、離隔領域3730は長さ約0.1インチ(約0.254cm)であり、電極3712A及び3712Bの近位端から電極3712C及び3712Dの遠位端までの全体としての長さは、約2.1インチ(約5.334cm)である。別の実施形態では、離隔領域3730は、長さ約0.2インチ(約0.508cm)であり、電極3712A及び3712Bの近位端から電極3712C及び3712Dの遠位端までの全体としての長さは、約2.2インチ(約5.588cm)である。管3710は、患者の声帯襞が離隔領域3730に入るようにして位置付けられるように構成されている。従って、声帯襞より上方の電極3712の構成は、声帯襞より下方の構成とは異なっている。電極3712Cと3712Dは、主として声帯襞より下方に位置付けられるように構成されており、電極3712Aと3712Bは、主として声帯襞より上方に位置付けられるように構成されている。
【0063】
[0104]図38は、1つの実施形態による、複数のリング電極を備えるEMG気管内挿入管3800の側面図を示している。図38に示されているように、気管内挿入管3800は、管3810、電極3812、及び一次カフ3814を含んでいる。管3810は、肺に入る気体及び肺から出る気体を輸送する。管3810の近位端(図38では左端)は、肺へ空気を注入し肺から空気を抜き出すための呼吸機(不図示)に接続されるように構成されている。カフ膨張用導管(不図示)が、カフ3814を膨らませるための圧縮空気の供給源(不図示)に接続されるように構成されている。気管内挿入管3800が患者の気管の中へ挿入された後、電極3812がEMG信号を感知し、当該EMG信号はEMG処理機(例えばNIMデバイス120)へ出力される。
【0064】
[0105]電極3812は、複数のリング電極3812Aを含んでいる。1つの実施形態では、リング電極3812Aのそれぞれは、管3810の周囲を完全に取り囲んでいる。1つの実施形態では、電極3812は、管の長さに沿って長手方向に互いから約0.05インチ(約0.127cm)の距離だけ離間されている16個のリング電極3812Aであって、16個全体で管の長手方向に約1.55インチ(約3.937cm)の長さを有するリング電極3812Aを含んでいる。
【0065】
[0106]図39A−図39Eは、様々な実施形態による、挿入管設置マークを備えるEMG気管内挿入管を示している。1つの実施形態では、図39A−図39Eに示されている挿入管マークは、放射線不透過性材料から形成されている。
【0066】
[0107]図39Aに示されているように、EMG気管内挿入管3900Aは、3つの帯3902、3904、及び3906と、垂直方向線分3908を含んでいる。帯3902、3904、及び3906と垂直方向線分3908は、挿入管3900Aの電極領域上に配置されていて、挿入管3900Aの電極を長手方向及び回転方向に患者の解剖学的構造に対して正しく位置付けるのをやり易くする。帯3902、3904、及び3906は、帯3904を帯3902と3906の間に配し、互いに隣接して配置されている。1つの実施形態では、帯3902、3904、及び3906のそれぞれは、挿入管3900Aの周囲又は挿入管3900Aの周囲の一部分を取り囲んでおり、帯3902、3904、及び3906は、挿入管3900Aの長手方向軸に沿った全体としての長さが、挿入管3900Aの電極の長さと同じか又は実質的に同じである。1つの実施形態では、帯3902と3906は、実質的に同じ長さを有しており、当該長さは帯3904の長さの約2倍である。帯3902、3904、及び3906は、1つの実施形態では、ベタ色の帯であり、3つの帯に少なくとも2つの異なった色が使用されている。1つの実施形態では、帯3902、3904、及び3906は、それぞれが、他の帯と異なった色を有するベタ色の帯である(即ち、3つの帯に3つの異なったベタ色が使用されている)。この実施形態の1つの形態では、帯3902は緑色帯であり、帯3904は白色帯であり、帯3906は青色帯である。色は、1つの実施形態では、帯を血液及び周囲組織から見分けられるように選択されている。垂直方向線分3908は、長手方向に挿入管3900Aに沿って延びており、帯3902、3904、及び3906の全体としての長さと同じか又は実質的に同じ長さを有している。
【0067】
[0108]図39Bに示されているように、EMG気管内挿入管3900Bは、帯3910と、垂直方向線分3914と、水平方向線分3916、3918、及び3920を含んでいる。帯3910と線分3914、3916、3918、及び3920は、挿入管3900Bの電極領域上に配置されていて、挿入管3900Bの電極を長手方向及び回転方向に患者の解剖学的構造に対して正しく位置付けるのをやり易くする。1つの実施形態では、帯3910は、挿入管3900Bの周囲を取り囲んでいて挿入管3900Bの長手方向軸に沿った長さが挿入管3900Bの電極の長さと同じか又は実質的に同じである。帯3910は、1つの実施形態では、ベタ色の帯である。1つの実施形態では、帯3910は、白色帯である。別の実施形態では、帯3910は、青色帯である。色は、1つの実施形態では、帯を血液及び周囲組織から見分けられるように選択されている。
【0068】
[0109]垂直方向線分3914は、長手方向に挿入管3900Bに沿って延びており、帯3910の長さと同じか又は実質的に同じ長さを有している。水平方向線分3916、3918、及び3920のそれぞれは、垂直方向線分3914を横切り、横方向に挿入管3900Bの周囲の一部分を廻って延びている。水平方向線分3916、3918、及び3920は、それぞれ、中心が垂直方向線分3914上に置かれており、挿入管3900Bの長手方向軸に沿って互いから離間されている。水平方向線分3918は、線分3916と3920の間に配置されている。水平方向線分3916と3920は、1つの実施形態では、同じ長さを有しており、当該長さは線分3918の長さより短い。1つの実施形態では、線分3918は、線分3916と3920のそれぞれの長さの少なくとも約2倍の長さを有している。
【0069】
[0110]図39Cに示されているように、EMG気管内挿入管3900Cは、帯3922と、垂直方向線分3926と、水平方向線分3928と、対角方向線分3930及び3932を含んでいる。帯3922と線分3926、3928、3930、及び3932は、挿入管3900Cの電極領域上に配置されており、挿入管3900Cの電極を長手方向及び回転方向に患者の解剖学的構造に対して正しく位置付けるのをやり易くする。1つの実施形態では、帯3922は、挿入管3900Cの周囲を取り囲んでいて挿入管3900Cの長手方向軸に沿った長さが挿入管3900Cの電極の長さと同じか又は実質的に同じである。帯3922は、1つの実施形態では、ベタ色の帯である。1つの実施形態では、帯3922は、白色帯である。別の実施形態では、帯3922は、青色帯である。色は、1つの実施形態では、帯を血液及び周囲組織から見分けられるように選択されている。
【0070】
[0111]線分3926、3928、3930、及び3932は全て共通の点3924で交差している。垂直方向線分3926は、長手方向に挿入管3900Cに沿って延びており、帯3922の長さと同じか又は実質的に同じ長さを有している。水平方向線分3928は、中心が垂直方向線分3926上に置かれており、横方向に挿入管3900Cの周囲の一部分を廻って延びている。対角方向線分3930と3932は、長手方向及び横方向に挿入管3900Cに沿って延びており、互いに共通の点3924で交差してX型のマークを形成している。
【0071】
[0112]図39Dに示されているように、EMG気管内挿入管3900Dは、帯3934と、三角形のマーク3936及び3940と、垂直方向線分3942を含み、それらは、挿入管3900Dの電極領域上に配置されており、挿入管3900Dの電極を長手方向及び回転方向に患者の解剖学的構造に対して正しく位置付けるのをやり易くする。1つの実施形態では、帯3934は、挿入管3900Dの周囲を取り囲んでいて挿入管3900Dの長手方向軸に沿った長さが挿入管3900Dの電極の長さと同じか又は実質的に同じである。帯3934は、1つの実施形態では、ベタ色の帯である。1つの実施形態では、帯3934は、白色帯である。
【0072】
[0113]1つの実施形態による三角形のマーク3936と3940のそれぞれは、実質的に、二等辺三角形の形状を有している。三角形のマーク3936と3940のそれぞれは、横方向に挿入管3900Dの周囲の一部分を廻って延びている底辺線分と、底辺線分から離れて延び三角形の頂点で交わっている2つの等しい辺を有している。三角形のマーク3936と3940の頂点は、共通の点3938を共有している。三角形のマーク3936と3940のそれぞれは、1つの実施形態では、ベタ色のマークである。1つの実施形態では、マーク3936の色は、マーク3940の色と異なっている。この実施形態の1つの形態では、マーク3936は緑色マークであり、マーク3940は青色マークである。色は、1つの実施形態では、マークを血液及び周囲組織から見分けられるように選択されている。
【0073】
[0114]垂直方向線分3942は、長手方向に挿入管3900Dに沿って三角形のマーク3936の底辺線分の中央から三角形のマーク3936の底辺線分の中央まで延び、共通の点3938を横切っている。垂直方向線分3942は、帯3934の長さと同じか又は実質的に同じ長さを有している。
【0074】
[0115]図39Eに示されているように、EMG気管内挿入管3900Eは、帯3950と、垂直方向の線又は条片3952と、水平方向の線又は条片3954を含んでおり、それらは、挿入管3900Eの電極領域上に配置されており、挿入管3900Eの電極を長手方向及び回転方向に患者の解剖学的構造に対して正しく位置付けるのをやり易くする。1つの実施形態では、帯3950は、挿入管3900Eの周囲を取り囲んでいる。帯3950は、1つの実施形態では、ベタ色の帯である。
【0075】
[0116]垂直方向条片3952は、長手方向に挿入管3900Eに沿って延びており、挿入管3900Eの電極の長さと同じ又は実質的に同じ長さを有している。垂直方向条片3952は、中央部分3952Bによって隔てられた2つの端部分3952Aと3952Cを含んでいる。1つの実施形態では、端部分3952Aと3952Cは、実質的に等しい長さを有しており、当該長さは、中央部分3952Bの長さより約4倍長い。帯3950は、垂直方向条片端部分3952Aの下端から垂直方向条片中央部分3952Bの上端まで延びている。
【0076】
[0117]水平方向条片3954は、中央部分3952Bのところで垂直方向条片3952を横切り、横方向に挿入管3900Eの周囲の少なくとも一部分を廻って延びている。1つの実施形態では、帯3950はベタ色の帯(例えば灰色)であり、水平方向条片3954はベタ色の条片(例えば白色)である。1つの実施形態では、垂直方向条片部分3952Aと3952Cは、同じベタ色で垂直方向条片部分3952Bのベタ色(例えば白色)とは異なっているベタ色(例えば青色)から形成されている。色は、1つの実施形態では、帯を血液及び周囲組織から見分けられるように選択されている。
【0077】
[0118]1つの実施形態は、患者の喉頭筋のEMG信号を監視するための装置に向けられている。本装置は、外表面と当該外表面上に形成されている導電性インク電極を有する気管内挿入管を含んでいる。導電性インク電極は、気管内挿入管が患者の気管に設置されているときに喉頭筋からのEMG信号を受信するように構成されている。導電性インク電極には少なくとも1つの導体が連結されており、導体は導電性インク電極によって受信されるEMG信号を処理装置へ搬送するように構成されている。
【0078】
[0119]1つの実施形態による導電性インク電極は、銀充填ポリマー導電性インク又は炭素導電性インクを備えている。1つの実施形態では、導電性インク電極は、長手方向に挿入管の長さに沿って延びていて気管内挿入管の周囲を取り囲むように離間されている少なくとも6つの導電性インク電極を含んでいる。1つの実施形態による装置は、気管内挿入管に接続されている膨らませることのできるカフと、当該膨らませることのできるカフ上に形成されていて患者の声帯襞からのEMG信号を感知するように構成されている少なくとも1つの導電性インク電極を含んでいる。1つの実施形態では、気管内挿入管上には導電性インク電極付近に光源と磁石のうち少なくとも一方が配置されている。
【0079】
[0120]本装置の1つの実施形態は、気管内挿入管の近位端を気管内挿入管の遠位端に対して回転させられるように構成されている連結アダプタを含んでいる。1つの実施形態では、本装置は、気管内挿入管を取り囲んでいて当該気管内挿入管上の導電性インク電極の上方に配置されている第1リブと、気管内挿入管を取り囲んでいて当該気管内挿入管上の導電性インク電極の下方に配置されている第2リブを含んでいる。1つの実施形態では、気管内挿入管上に少なくとも1つの自動式周期的刺激(automatic periodic stimulation)(APS)電極が形成されており、処理装置は、気管内挿入管の位置を、少なくとも1つのAPS電極によって生成される信号に基づいて確定するように構成されている。1つの実施形態では、電極上には導電性ヒドロゲルと膨張性のある導電性発泡体のうちの少なくとも一方が形成されている。
【0080】
[0121]気管内挿入管は、1つの実施形態では、編組型の気管内挿入管を備えている。1つの実施形態では、電極は4つの電極を含み、少なくとも1つの導体は少なくとも4つの導体対を含み、それぞれの導体対は4つの電極の異なった対に連結されて、4つの電極からのEGM信号の少なくとも4つのチャネルを提供している。この実施形態の1つの形態では、処理装置は、EMG信号の4つのチャネルを分析し、分析に基づいて当該4つのチャネルの表示させるべきサブセットを識別するように構成されている。1つの実施形態では、気管内挿入管上に少なくとも1つの無線センサが提供されており、当該少なくとも1つの無線センサは無線式に情報を処理装置へ送信するように構成されている。1つの実施形態では、電極のそれぞれは、長さが少なくとも約1.9インチ(約4.826cm)である。それら電極は、少なくとも2つの水平方向電極と少なくとも2つの垂直方向電極を用いて電極格子を形成している。1つの実施形態では、装置は、温度感知要素、光ファイバ要素、及びビデオ要素のうちの少なくとも1つを含んでいる。1つの実施形態では、装置は、歪み測定要素、加速度測定要素、及び圧電要素のうちの少なくとも1つを含んでいる。
【0081】
[0122]別の実施形態は、患者の喉頭筋のEMG信号を監視する方法に向けられている。本方法は、外表面と外表面上に形成されている導電性インク電極を有する気管内挿入管を提供する段階を含んでいる。気管内挿入管が患者の気管に設置されているとき、喉頭筋からのEMG信号は、導電性インク電極を用いて感知される。導電性インク電極によって感知されたEMG信号は、処理装置へ出力される。
【0082】
[0123]別の実施形態は、患者の喉頭筋のEMG信号を監視するための装置に向けられている。装置は、外表面を有する気管内挿入管を含んでいる。気管内挿入管の外表面上には、4つの電極が形成されている。4つの電極は、気管内挿入管が患者の気管に設置されているときに喉頭筋からのEMG信号を受信するように構成されている。4つの電極には少なくとも4つの導体対が連結されており、導体対は電極によって受信されるEMG信号を処理装置へ搬送するように構成されている。それぞれの導体対は4つの電極の異なった対に連結されて、4つの電極からのEGM信号の少なくとも4つのチャネルを提供している。
【0083】
[0124]ここに記載されている実施形態はEMG気管内挿入管の観点から説明されているが、本技法は、他型式のデバイスにも適用することができ、例えば患者の肛門括約筋や尿道括約筋を監視するための挿入管などにも適用できることが理解されるであろう。
【0084】
[0125]本開示は好適な実施形態に関連付けて説明されているが、当業者には、形態及び詳細においては本開示の精神及び範囲から離れることなく変更が成され得ることが認識されるであろう。
【符号の説明】
【0085】
100 EMG気管内挿入管
102 ソリッドワイヤ
104 管継手
106 カフ膨張用導管
108 相互接続部
110 押出成形ポリマー管
112 ワイヤ電極
113 可撓性のある管分節
114 一次カフ
120 神経保全モニタ(NIM)デバイス
300 EMG気管内挿入管
302 ソリッドワイヤ
304 管継手
306 カフ膨張用導管
308 相互接続部
310 押出成形ポリマー管
312 テープ貼り電極
314 一次カフ
316 電極ワイヤ
500 EMG気管内挿入管
502 ソリッドワイヤ
504 管継手
506 カフ膨張用導管
508 相互接続部
510 PVC管
512 導電性インク電極
514 一次カフ
520 管の壁
522 ルーメン
800 EMG気管内挿入管
804 管継手
806 カフ膨張用導管
810 PVC管
812 複数対の導電性インク電極
814 一次カフ
820 管の壁
822 ルーメン
1100 EMG気管内挿入管
1110 PVC管
1114 一次カフ
1130、1130−1、1130−2 二次カフ
1132 導電性インク電極
1133、1137 二次カフの端部
1135 二次カフの中央部分
1300 EMG気管内挿入管
1302 ソリッドワイヤ
1304 管継手
1306 カフ膨張用導管
1310 PVC管
1312 電極
1314 一次カフ
1320 視覚標示
1500 EMG気管内挿入管
1502 ソリッドワイヤ
1506 カフ膨張用導管
1510 管
1512 電極
1514 一次カフ
1520 磁石標示
1530 磁石ピックアップセンサを含むデバイス
1800 EMG気管内挿入管
1802 ソリッドワイヤ
1804 管継手
1806 カフ膨張用導管
1810 PVC管
1812 電極
1814 一次カフ
1820 連結アダプタ
1830 挿入管近位端の旋回方向
2000 EMG気管内挿入管
2002 ソリッドワイヤ
2004 管継手
2006 カフ膨張用導管
2010 PVC管
2012 EMG電極
2014 一次カフ
2020 リブ
2200 EMG気管内挿入管
2204 管継手
2206 カフ膨張用導管
2210 管
2212 電極
2214 一次カフ
2400 EMG気管内挿入管
2402 ソリッドワイヤ
2404 管継手
2406 カフ膨張用導管
2410 管
2412 電極
2414 一次カフ
2700 EMG気管内挿入管
2704 管継手
2710 管
2712 電極
2714 一次カフ
2720 食道伸張部
2722 食道電極
2730 舌
2732 気管
2734 食道
2800A EMG気管内挿入管
2802A 電極
2800B EMG気管内挿入管
2802B 電極
2802B−1 電極の第1セット
2802B−2 電極の第2セット
2800C EMG気管内挿入管
2802C−1、2802C−2 電極
2800D EMG気管内挿入管
2802D 電極アレイ
2802D−1、2802D−2 水平方向電極
2802D−3、2802D−4 垂直方向電極
2900 EMG気管内挿入管
2902 ソリッドワイヤ
2904 管継手
2910 管
2912 電極
2914 一次カフ
3000 EMG気管内挿入管
3002A、3002B、3002C、3002D 電極
3004 管
3100 EMG気管内挿入管
3110 管
3112A、3112B 電極
3114 一次カフ
3120A、3120B 電極キャリア
3200 カフ
3202 展開可能なカフ部分
3204 引張部材
3302 電極
3304 共通ノード
3306 正極端子
3308 端子
3410 管
3412 可撓性電極
3422、3424 一対の保持リング
3500 EMG気管内挿入管
3510 管
3512 電極、
3512A、3512C 前部電極
3512B 後部電極
3514 一次カフ
3520 電極の管周囲方向の距離
3522 電極同士の管周囲方向の離間距離
3524A、3524B、3524C トレース
3526A、3526B 露出(非マスク)領域
3528 防護(マスク)領域
3530 電極重複領域
3600 気管内挿入管
3610 管
3612 電極
3612A、3612B 後部電極
3612C、3612D 前部電極
3614 一次カフ
3620 電極の管周囲方向の距離
3622 電極同士の管周囲方向の離間距離
3624A、3624B、3624C、3624D トレース
3626A、3626B 露出(非マスク)領域
3628 防護(マスク)領域
3630 電極重複領域
3700 EMG気管内挿入管
3710 管
3712、3712A、3712B、3712C、3712D 電極
3714 一次カフ
3724A、3724B、3724C、3724D トレース
3726A、3726B 露出(非マスク)領域
3728 防護(マスク)領域
3730 電極離隔領域
3800 EMG気管内挿入管
3810 管
3812、3812A 電極、リング電極
3814 一次カフ
3900A EMG気管内挿入管
3902、3904、3906 帯
3908 垂直方向線分
3900B EMG気管内挿入管
3910 帯
3914 垂直方向線分
3916、3918、3920 水平方向線分
3900C EMG気管内挿入管
3922 帯
3924 共通の点
3926 垂直方向線分
3928 水平方向線分
3930、3932 対角方向線分
3900D EMG気管内挿入管
3934 帯
3936、3940 三角形のマーク
3938 共通の点
3942 垂直方向線分
3900E EMG気管内挿入管
3950 帯
3952 垂直方向の線又は条片
3952A、3952C 垂直方向条片の端部分
3952B 垂直方向条片の中央部分
3954 水平方向の線又は条片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の喉頭筋のEMG信号を監視するための装置において、
外表面を有する気管内挿入管と、
前記気管内挿入管の前記外表面上に形成されている導電性インク電極であって、当該気管内挿入管が患者の気管に設置されているときに喉頭筋からの前記EMG信号を受信するように構成されている導電性インク電極と、
前記導電性インク電極に連結されていて、当該導電性インク電極によって受信される前記EMG信号を処理装置へ搬送するように構成されている少なくとも1つの導体と、を備えている、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記導電性インク電極は、銀充填ポリマー導電性インクを備えている、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、
前記導電性インク電極は、炭素導電性インクを備えている、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、
前記導電性インク電極は、長手方向に前記挿入管の長さに沿って延びていて前記気管内挿入管の周囲を取り囲むように離間されている少なくとも6つの導電性インク電極を含んでいる、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、
前記気管内挿入管に接続されている膨らませることのできるカフと、
前記膨らませることのできるカフ上に形成されている少なくとも1つの導電性インク電極と、を更に備えている、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、
前記膨らませることのできるカフ上に形成されている前記少なくとも1つの導電性インク電極は、患者の声帯襞からのEMG信号を感知するように構成されている、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、
前記気管内挿入管上には前記導電性インク電極付近に光源と磁石のうちの少なくとも一方が配置されて更に備えられている、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、
前記気管内挿入管の近位端を当該気管内挿入管の遠位端に対して回転させられるように構成されている連結アダプタを更に備えている、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、
前記気管内挿入管を取り囲んでいて当該気管内挿入管上の前記導電性インク電極の上方に配置されている第1リブと、
前記気管内挿入管を取り囲んでいて当該気管内挿入管上の前記導電性インク電極の下方に配置されている第2リブと、を更に備えている、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、
前記気管内挿入管上に形成されている少なくとも1つの自動式周期的刺激(APS)電極を更に備えており、前記処理装置は、前記気管内挿入管の位置を前記少なくとも1つのAPS電極によって生成される信号に基づいて確定するように構成されている、装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置において、
前記電極上には導電性ヒドロゲルと膨張性のある導電性発泡体のうちの少なくとも一方が形成されて更に備えられている、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置において、
前記気管内挿入管は、編組型の気管内挿入管を備えている、装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置において、
前記電極は4つの電極を含み、前記少なくとも1つの導体は少なくとも4つの導体対を含み、それぞれの導体対は前記4つの電極の異なった対に連結されて、当該4つの電極からのEGM信号の少なくとも4つのチャネルを提供している、装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置において、
前記処理装置は、前記EMG信号の4つのチャネルを分析し、前記分析に基づいて当該4つのチャネルの表示させるべきサブセットを識別するように構成されている、装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置において、
前記気管内挿入管上に少なくとも1つの無線センサを更に備えており、前記少なくとも1つの無線センサは無線式に情報を前記処理装置へ送信するように構成されている、装置。
【請求項16】
請求項1に記載の装置において、
前記電極のそれぞれは長さが少なくとも約1.9インチ(約4.826cm)である、装置。
【請求項17】
請求項1に記載の装置において、
前記電極は、少なくとも2つの水平方向電極と少なくとも2つの垂直方向電極を用いて電極格子を形成している、装置。
【請求項18】
請求項1に記載の装置において、
温度感知要素、光ファイバ要素、及びビデオ要素のうちの少なくとも1つを更に備えている、装置。
【請求項19】
請求項1に記載の装置において、
歪み測定要素、加速度測定要素、及び圧電要素のうちの少なくとも1つを更に備えている、装置。
【請求項20】
患者の喉頭筋のEMG信号を監視する方法において、
外表面と前記外表面上に形成されている導電性インク電極を有する気管内挿入管を提供する段階と、
前記気管内挿入管を患者の気管に設置しておいて、喉頭筋からの前記EMG信号を前記導電性インク電極を用いて感知する段階と、
前記導電性インク電極によって感知される前記EMG信号を処理装置へ出力する段階と、を備えている方法。
【請求項21】
患者の喉頭筋のEMG信号を監視するための装置において、
外表面を有する気管内挿入管と、
前記気管内挿入管の前記外表面上に形成されている4つの電極であって、当該気管内挿入管が患者の気管に設置されているときに喉頭筋からの前記EMG信号を受信するように構成されている4つの電極と、
前記4つの電極に連結されていて当該電極によって受信される前記EMG信号を処理装置へ搬送するように構成されている少なくとも4つの導体対であって、それぞれの導体対は前記4つの電極の異なった対に連結されて、当該4つの電極からのEGM信号の少なくとも4つのチャネルを提供している、装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28A】
image rotate

【図28B】
image rotate

【図28C】
image rotate

【図28D】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35A】
image rotate

【図35B】
image rotate

【図35C】
image rotate

【図36A】
image rotate

【図36B】
image rotate

【図36C】
image rotate

【図37A】
image rotate

【図37B】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39A】
image rotate

【図39B】
image rotate

【図39C】
image rotate

【図39D】
image rotate

【図39E】
image rotate


【公表番号】特表2013−506507(P2013−506507A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532355(P2012−532355)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/051132
【国際公開番号】WO2011/041684
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
3.ペバックス(pebax)
【出願人】(504101304)メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】