説明

気道の反応性亢進における気道の変動性を評価する方法

本発明は、患者の複数の呼吸周期の間に、単一の入力周波数または複数の入力周波数のいずれかを利用する強制振動技術によって抵抗(Rrs)変化量を測定し;この患者のRrsの統計学的変動性を計算し;そしてこの患者のRrsの統計学的変動性を、標準曲線と相関させて、この患者の喘息の程度を定量化することによって、気道の応答または喘息における気道の変動性を評価する方法に関する。本発明はまた、気管支活動因子の有効性を測定することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、患者の複数の呼吸周期の間に、単一の入力周波数または複数の入力周波数のいずれかを利用する強制振動技術(forced oscillation technique)によって抵抗(Rrs)の変化量を測定し;この患者のRrsの統計学的変動性を計算し;そしてこの患者のRrsの統計学的変動性を、標準曲線と相関させて、この患者の喘息の程度を定量化することによって、気道の応答または喘息における気道の変動性を評価する方法に関する。本発明はまた、気管支活動因子の有効性を測定することを可能にする。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
喘息は、世界中で1億人〜1億5千万人の人間が罹患する疾患であり、喘息によって年間180000人が死に至る[非特許文献1]。喘息は、全年齢層に罹患するが、多くの場合は幼児期において発症し、そして世界中で630万人の小児が罹患する最も一般的な慢性小児疾患である[非特許文献2]。喘息はまた、開発途上国世界において、より蔓延しており、小児における発生率が、米国において10年毎に約75%ずつ増加している[非特許文献3]。しかし、現在、6歳未満の小児において肺の機能を測定する、容易に受容される非侵襲的な方法は存在しない。
【0003】
より年上の小児および成人において使用される肺機能の標準的な尺度は、被験体の積極的な協力に依存する学問的施策(learned manoeuvre)である肺活量測定であり、従って、肺活量測定は、幼い小児(6歳未満)において、信頼に足りかつ再現性のある結果を生じない。乳児において使用される技術は、1歳以上の乳児に対して適切ではなく、そして通常は鎮静を必要とする[非特許文献4、非特許文献5]。強制振動技術は、患者の受動的な協力のみを必要とする、肺力学(lung mechanics)を評価する非侵襲法を提供する[非特許文献6、非特許文献7]。FOTはまた、成人に適用され得、そしてまた、肺活量測定が、困難であるか、非実用的であるかまたは実行不能である場合(例えば、高齢者、麻痺状態および無意識の患者の評価において、ならびに睡眠研究(sleep studies)において、そして患者および人工呼吸器を伴う患者の場合)に有用である。
【0004】
強制振動技術は、肺力学を特徴付ける方法として、1956年にDuboisおよびその同僚らによって最初に導入された[非特許文献8]。この技術において、低振幅の圧力振動は、自発呼吸の間に、患者の気道の開口部において適用され、患者の呼吸器系の力学的性質は、気道の開口部において記録される圧力および流量シグナルから得られる。呼吸器系のインピーダンス(Zrs)は、Zrsの実部および虚部が呼吸器系の抵抗(Rrs)およびリアクタンス(Xrs)である場合、圧力および流量のフーリエ変換の比である。呼吸器系のこれらの力学的性質は、気道閉塞を示す。FOTは、小児の性別、年齢および身長の関数として、固定された周波数において再現性のあるRrs値を提供することが示された[非特許文献9]。平均Rrsは、健康な小児、喘息の小児および嚢胞性線維症を有する小児において、再現性があり、かつ信頼に足る結果を提供することが見出された。これらの結果は、FEV1を実施し得る小児において、1秒間の努力呼気容積(FEV)と一致する[非特許文献10、非特許文献11、非特許文献12、非特許文献13、非特許文献14]。
【0005】
成人におけるFOT研究は、平均のRrsおよび平均の呼吸器系リアクタンス(Xrs)が、気道の口径の指標を提供し、そして喘息と慢性気管支炎と肺気腫との間を区別し得ることを示した[非特許文献15、非特許文献16、非特許文献17]。
【0006】
気道の反応性亢進は、多種多様な薬理学的アゴニストおよび非特異的な刺激因子(例えば、風邪、空気の乾燥および酸化剤ガス)による気道の負担に対する応答において生じる、ゆき過ぎた気道狭窄である[非特許文献18]。気道の反応性亢進の1つの標準的な測定は、メタコリンおよびヒスタミンを送達して、深い吸息を阻害し、そして用量の増加および各用量後のFEVの測定において気道の反応性亢進を増加させることによって行われる。喘息は、より低濃度によって示され、この濃度は、より大きい気道の反応性を示すFEVの測定される減少を誘発する[非特許文献19、非特許文献20]。より最近では、気道抵抗における変化(成人においてFOTによって測定されるRrsの標準偏差)の増加は、気道平滑筋の反応性、従って気管支の反応性亢進の有用な尺度であることが示された[非特許文献21]。気管支の反応性亢進における気流制限は、気道平滑筋の収縮によってほぼ決定される。気道直径は、呼吸周期中および短時間にわたって絶えず変化することが示された[非特許文献22]。このことは、呼吸周期にわたっても変化する呼吸器系の抵抗を生じ、この抵抗は、深い吸息によって低下され得る[非特許文献23]。深い吸息に起因する有意な気管支拡張または気管支保護(bronchoprotection)の欠如は、喘息を特徴付ける気道の口径の変動性に寄与し得る[非特許文献24、非特許文献25]。
【非特許文献1】インターネット、(URL:http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs206/en/)
【非特許文献2】インターネット、(URL:http://www.lungusa.org/asthma/ascpedfac99.html)
【非特許文献3】インターネット、(URL:http://www.getasthmahelp.org/quickfacts.asp)
【非特許文献4】American Thoracic Society/European Respiratory Society、「Respiratory mechanics in infants:physiologic evaluation in health and disease」、Am Rev Respir Dis、1993年、第147巻、p.474−496
【非特許文献5】Sly PD、Hayden MJ、Petak F、Hantos Z、「Measurement of low frequency respiratory impedance in infants」、Am J Respir Crit Care Med、1996年、第154巻、p.161−166
【非特許文献6】Goldman MD、「Clinical application of forced oscillation」、Pulm Pharm & Therapeutics、2001年、第14巻、p.341−350
【非特許文献7】Navajas D、Farre R、「Forced oscillation technique:from theory to clinical applications」、Monaldi Arch Cheat Dis、2001年、第56巻、p.6,555−562
【非特許文献8】Dubois A、Brody A、Lewis D、およびBurgess B、「Oscillation mechanics of lungs and chest in man」、J Appl Physiol、1956年、第8巻、p.587−94
【非特許文献9】Ducharme FM、Davis GM、Ducharme GR、「Pediatric reference values for respiratory resistance measured by forced oscillation」、Chest、1998年、第113巻、p.1322−1328
【非特許文献10】Delacourt C、Lorino H、Herve−Guillot M、Reinert P、Harf A、Housset B、「Use of the forced oscillation technique to assess airway obstruction and reversibility in children」、Am J Respir Crit Care、2000年、第161巻、p.730−736
【非特許文献11】Lebecque P、Stanescu D、「Respiratory resistance by the forced oscillation technique in asthmatic children and cystic fibrosis patients」、Eur Respir J、1997年、第10巻、p.891−895
【非特許文献12】Mazurek HK、Marchal F、Derelle J、Hatahet R、Moneret−Vautrin D、Monin P、「Specificity and sensitivity of respiratory impedance in assessing reversibility of airway obstruction in children」、Chest、1995年、第107巻、p.996−1002
【非特許文献13】Delacourt C、Lorino H、Fuhrman C、Herve−Guillot M、Reinert R、Harf A、Housset B、「Comparison of the forced oscillation technique and the interrupter technique for assessing airway obstruction and its reversibility in children」、Am J Respir Crit Care Med、2001年9月15日、第164巻、第6号、p.965−72
【非特許文献14】Hellinckx J、De Boeck K、Demedts M、「No paradoxical bronchodilator response with forced oscillation in children with cystic fibrosis」、Chest、1998年、第113巻、第1号、p.55−59
【非特許文献15】Van Noord JA、Clement J、Van de Woestijne KP、Demedts M、「Total respiratory resistance and reactance in patients with asthma, chronic bronchitis and emphysema」、Am Rev Respir Dis、1991年、第143巻、p.922−927
【非特許文献16】Zerah F、Lorino A−M、Lorino H、Harf A、Macquin−Mavier I、「Forced oscillation technique vs.spirometry to assess bronchodilation in patients with asthma and COPD」、Chest、1995年、第108巻、p.41−47
【非特許文献17】Farre R、Peslin R、Rotger M、Barbera JA、Navajas D、「Forced oscillation total respiratory resistance and spontaneous breathing lung resistance in COPD patients」、Eur Respir J、1999年、第14巻、p.172−178
【非特許文献18】King TE Jr.、「A new look at the pathophysiology of asthma」、J Natl Med Assoc、1999年、第91巻、第8号、9S−15S
【非特許文献19】O’Byrne PM、Inman MD、「New considerations about measuring airway hyperresponsiveness」、J Asthma、2000年、第37巻、第4号、p.293−302
【非特許文献20】Brusasco V、Crimi E、Barisione C、Spanevello A、Rodarte JR、Pellegrino R、「Airway responsiveness to methacholine:effects of deep inhalations and airway inflammation」、J Appl Physiol、1999年、第87巻、p.567−573
【非特許文献21】Que CL、Kenyon CM、Olivenstein R、Maklem PT、Maksym GN、「Homeokinesis and short−term variability of human airway caliber」、J Appl Physiol、2001年、第91巻、p.1131−1141
【非特許文献22】Cauberghs M、Van de Woestijine K、「Changes of respiratory input impedance during breathing in humans」、J Appl Physiol、1992年、第73巻、p.2355−2362
【非特許文献23】Nadel JA、Tiemey DF、「Effect of a previous deep inspiration on airway resistance in man」、J Appl Physiol、1961年、第16巻、p.717−719
【非特許文献24】Skloot G、Permutt S、Togias A、「Airway hyperresponsiveness in asthma:a problem of limited smooth muscle relaxation with inspiration」、J Clin Invest、1995年、第96巻、p.2393−2403
【非特許文献25】Kapsali T、Permutt S、Laube B、Scichilone N、Togias A、「Potent bronchoprotective effect of deep inspiration and its absence in asthma」、Am Rev Resp Dis、1987年、第135巻、p.591−596
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明に従って、気道の応答または喘息における気道の変動性を評価する方法が提供され、この方法は、患者の複数の呼吸周期の間に、単一の入力周波数または複数の入力周波数のいずれかを利用する強制振動技術によって抵抗(Rrs)変化量を測定する工程;この患者のRrsの統計学的変動性を計算する工程;およびこの患者のRrsの統計学的変動性を、標準曲線と相関させて、この患者の気道の応答または喘息の程度を定量化する工程、を包含する。
【0008】
代替的な実施形態に従って、本発明はまた、薬理学的アゴニストまたは薬理学的アンタゴニストの有効性を決定する方法であって、以下の工程を包含する方法を提供する:
患者の複数の呼吸周期の間に、単一の入力周波数または複数の入力周波数のいずれかを利用する強制振動技術によって抵抗(Rrs)変化量を測定する工程;
薬理学的アゴニストまたは薬理学的アンタゴニストを投与されている患者の複数の呼吸周期の間に、複数の入力周波数を利用する強制振動技術によって抵抗(Rrs)変化量を測定する工程;
最初の2つの工程の各々について、患者のRrsの統計学的変動性を計算する工程;および
Rrsの統計学的変動性を比較して、薬理学的アゴニストまたは薬理学的アンタゴニストの有効性を決定する工程。
【0009】
別の実施形態に従って、本発明は、気道直径の変動性を変更することに対する、薬理学的アゴニストまたは薬理学的アンタゴニストの有効性を決定する方法であって、以下の工程を包含する方法を提供する:
薬理学的アゴニストまたは薬理学的アンタゴニストの投与前および投与後の両方で、患者の複数の呼吸周期の間に、複数の入力周波数を利用する強制振動技術によってリアクタンス(Xrs)変化量を測定する工程;
投与前および投与後の各々の段階について患者のXrsを計算する工程;および
Xrsを比較して、薬理学的アゴニストまたは薬理学的アンタゴニストの有効性を決定する工程。
【0010】
抵抗(Rrs)の変化量のベースライン値、リアクタンス(Xrs)における変化量のベースライン値、および抵抗の標準偏差(SDRrs)のベースライン値、ならびに気管支活動因子に対する応答におけるこれらの値の変化を決定するための方法であって、この方法は、以下の工程を包含する:
閉鎖インピーダンス(closed impedance)(Zc)を測定し、そして記憶する工程;
開放インピーダンス(open impedance)(Zo)を測定し、そして記憶する工程;
ベースラインの被験体インピーダンスZm(t)をいくつかのサイクルわたって測定し、そして補正して、Zrs(t)を決定する工程;
Rrs、XrsならびにRrsおよびXrsにおける変化量を測定し、そして比較する工程;
患者に気管支活動因子を投与する工程;
投薬(drug)後のインピーダンスZmを測定し、そして補正して、Zrsを決定する工程;
Rrs、Xrs、ならびにRrsおよびXrsにおける投薬前および投薬後の変化量を計算する工程;
Rrs、Xrs、ならびにRrsおよびXrsにおける投薬前および投薬後の変化量の値を、標準値と比較して、このRrs、このXrs、ならびにRrsおよびXrsにおけるこの変化量が正常であるかまたは異常であるかを決定する工程。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(発明の詳細な説明)
本発明に従って、患者研究は、強制振動技術(FOT)によって呼吸器系の抵抗(Rrs)における統計学的変化量を測定するために実施された。この研究は、気管支の活動のベースラインの尺度を提供し、そしてこれによって気道平滑筋の活動を提供し、この研究は、最適な周波数の測定、喘息の小児とコントロールの小児との間を区別する感度、および喘息の小児とコントロールの小児との間を区別し得る喘息患者における気管支拡張剤(BD)の効果の尺度に関する。この研究はまた、患者のリアクタンスを測定して、気道平滑筋の活動の変化によってもたらされる気道の硬直の変化および気道の閉鎖の程度を決定し、この研究は、測定の最適な周波数、喘息の小児とコントロールの小児との間を区別する感度および喘息患者における気管支拡張剤(BD)の効果の尺度に関し、これらのことはまた、喘息の小児とコントロールの小児との間を区別し得る。
【実施例】
【0012】
(実験)
本研究は、a)喘息の小児およびb)喘息でない小児の4Hzと34Hzとの間の数種の周波数において、Rrs中央値、Rrsの標準偏差(SDRrs)およびXrsを、気管支拡張剤前および気管支拡張剤後の両方で実施される肺活量測定法を使用して、FOTによって測定した。
【0013】
仮説。喘息を有する小児は、コントロールの小児と比較して、Rrs中央値およびRrsの標準偏差の両方のより大きい値を有し、そしてこれらの両方は、FEV測定と負の相関関係があり得る。気管支拡張剤の投与は、Rrs中央値およびRrsの標準偏差を減少させる。気管支拡張剤の投与は、Xrsを増加させる。
【0014】
プロトコール。医師に診断された44人の喘息の小児(7歳と13歳との間の年齢)が、測定された。それぞれの小児に付随する試験プロトコールは、図1に示される。
【0015】
呼吸困難の履歴を有さない同年齢層において、約30人のコントロールの小児がまた、測定された。コントロールの小児の半数は、気管支拡張剤の代わりにプラセボが与えられた。
【0016】
流量−容量曲線は、FEVおよびFEF25−75%を決定するために携帯型の呼吸気流計ベースのスパイロメーター(PrestoFlash,Burdick,Inc.,Milton,WI)によって記録された。このスパイロメーターは、容積測定用のシリンジによって毎日較正された。流量−容量曲線の許容性は、国際的判断基準「Standardization of Spirometry,1994 Update.American Thoracic Society.Am J Respir Crit Care Med 152:1107−1136,1995」に従った。予測される値の%は、この年齢群についての参照値(Knudsonら、The maximal expiratory flow−volume curve.Normal standards,variability,and effects of age.Am Rev.Respir Dis.113:587−600,1976)に基づいて計算された。
【0017】
それぞれの強制振動(FO)測定は、Dalhousie Universityにおいて構築された特注のFOTデバイスを使用して行われた。このFOTデバイスは、呼吸管上の圧力トランスデューサーおよび流量トランスデューサー、ならびに4〜34Hzの範囲の複数の周波数で低振幅の圧力振動(約±1cm HO)を発生するためのシステムを備える。圧力振動を駆動するシグナルは、1秒間の振動期間内の4Hz、6Hz、10Hz、14Hz、22Hz、26Hz、および34Hzの周波数成分から構成され、これらは連続的に繰り返される。異なる振動期間の持続時間は、振動周波数に依存して選択され得る一方で、この振動期間が全振動周波数の逆数の整数の倍数である限り、1秒間が、全ての場合に使用された。各患者は、1分間の持続時間を有する3つの記録期間に、鼻にクリップを付けられ、そして頬を支持されて、呼吸管を介して呼吸することを依頼された。1分間の記録期間の各々の間には約10秒間の休憩が与えられ、この間に患者は必要に応じて嚥下し得る。圧力データおよび流量データは、データ獲得システムを使用して700Hzにて収集された。FO測定の各秒に対して、Rrs中央値、Rrsの標準偏差、Xrs中央値およびXrsの標準偏差は、4Hz、6Hz、10Hz、14Hz、22Hz、26Hzおよび34Hzにて測定された。バイアスファン(bias fan)は、1分間あたり約12Lの新鮮な空気を、長い硬い壁で囲まれた可撓性チューブを通して提供し、そしてこの被験体は、マウスピースおよびフィルターを介して呼吸した。
【0018】
患者の呼吸器系のインピーダンス(Zrs)は、式:
【0019】
【化1】

に従って、圧力シグナルおよび流量シグナルから得られ、ここで、P(f)およびV(f)は、1つ以上の振動期間の圧力および流量のそれぞれのフーリエ変換であり;ZcおよびZoは、大気に対して閉じたFOTデバイスシステム(Zc)および大気に対して開いたFOTデバイスシステム(Zo)によって得られる較正されたインピーダンスであり、Zmは、測定されたインピーダンスの時系列である。方程式(1)および方程式(2)は、繰り返される各振動期間に適用され、振動期間の数と等しい長さの、ZmおよびZrsの時系列を形成する。複数の振動期間の圧力および流量が、方程式(1)のフーリエ変換において使用される場合、ZmおよびZrsの長さは、これらの複数の期間に対応して減少する。ZcおよびZoは、代表的に、1分間までの記録から計算されるか、または干渉性が0.95を超えるまで計算される。このシステムのインピーダンスによるZmの補正は、「Schuessler TF and Bates JH.A computer−controlled research ventilator for small animals:design and evaluation.IEEE Trans Biomed Eng 42:860−866,1995」に記載されるように、この測定デバイスおよび患者用アタッチメントにおける任意のフィルターにおける、抵抗性かつ反作用的な損失を補正する。
【0020】
本方法の首尾のよい適用は、Zrsの測定がこのデバイス(デバイスと患者との間の任意のチュービングまたはフィルターを含む)のインピーダンスのための補正を含んで計算されることを必要とした。このデバイスのインピーダンスは、測定されたZrsのうちの有意な量であり、そしてこのインピーダンスは、Zrsを正確に決定するためにZmから除かれるべきである。これは、振動性の圧力シグナルを提供して振動性の流量シグナルを生じ(上に記載されるような単一の周波数または周波数の範囲のいずれかからなる)、そしてこのデバイスの開口部での患者なしのインピーダンス(Zm)(すなわち、開放インピーダンスすなわちZo)の測定、およびストッパーによって漏れがないように閉じられる患者用アタッチメントを備えたインピーダンスの別の測定(すなわち、閉鎖インピーダンスすなわちZc)を記録することによって、実施される。良好な干渉性(>0.95)でZoおよびZcを得る工程の後に、次いで患者のZrs(従って、RrsおよびXrs)は、Zmが患者から記録される場合に、上記の方程式1および2から正確に計算され得る。従って、Zrsは、1分間の記録期間の3つの連結から、振動期間(1秒間)につき1回計算される通常長さ180点までの時系列を形成するZm、ZcおよびZoから計算され、そして不適切な干渉性またはシグナル対ノイズ比を含む周期は、除外される。
【0021】
RrsおよびXrs(図2)は、それぞれ、Zrsの実部および虚部である。Rrs、XrsおよびRrsにおける変化量は、喘息の小児およびコントロールの小児において、肺活量測定前および肺活量測定後の両方で実施されるBDの前およびBDの後に、異なる周波数にて分析された。
【0022】
これは、Zrsの時系列から計算されるRrs中央値、Rrsにおける変化量およびXrs中央値が、4〜34Hzの範囲の周波数にわたって検査され得、喘息の小児および喘息でない小児の呼吸器系の力学的性質に対するBDの効果が評価され得、コントロールの患者および喘息の患者の呼吸器系の力学的性質における違いが決定され得、そして肺活量測定法の有効性および感度、FOT Rrs中央値、FOT Rrsの標準偏差、ならびにFOT Xrs中央値が評価されることを可能にする。
【0023】
(結果)
喘息患者(表1)は、医師によって診断され、そしてそのほとんどが、慣習的な抗炎症薬物療法を受けていた。
【0024】
【表1】

喘息のコホートにおいて、Rrs中央値は、FEVと負の相関関係があり、このRrs中央値は、低周波数、中程度の周波数、および高周波数の振動において0.561、0.546および0.563の相関係数を有し、低周波数は、4Hzおよび6Hzでの平均測定値を含み、中程度の周波数は、10Hzおよび14Hzの平均を含み、そして高周波数は、22Hz、26Hzおよび34Hzの平均を含む(図3、左側のパネル、菱形)。
【0025】
40人の小児のうちの38人は、気管支拡張剤の投与後に、FEVまたはRrs値の臨床的に有意な変化を示さなかった(p>0.05)。このことは、これらの小児のほとんどが慣習的な抗炎症薬物療法を受けていたことに起因する可能性が高いようである。FEV中央値の増加は3.5±0.7%であり、そしてRrsの減少の中央値は、低周波数、中程度の周波数、および高周波数において16.9±2.8%、14.2±2.1%および5.4±1.3%であり、これらのことは、図3の左側のパネルおよび図4におけるベースラインから気管支拡張剤後の値へのわずかな上方移行かつ左方移行として見られ、菱形は、各被験体から得たベースライン値であり、そして四角は、各被験体から得た気管支拡張剤後の値である。しかし、Rrsの標準偏差は、気管支拡張剤の投与後に有意に減少し(p<0.05)、この減少は、低周波数、中程度の周波数、および高周波数において、40.1±5.8%、36.0±6.5%および56.2±2.1%であり、これらのことは、図3の右側のパネルにおけるベースライン(菱形)から気管支拡張剤後の値(四角)へのわずかな上方移行かつ大きな左方移行、および図4におけるベースライン(菱形)から気管支拡張剤後の値(四角)への下方移行として見られる。
【0026】
Rrs測定値の変化量係数は、周波数が増加するにつれて減少した。このことは、呼吸によって導かれる低周波数のノイズ混入に起因し得る(図5)。
【0027】
シュミレーションシステムは、異なる型のノイズを測定値に加える効果を決定するために作製された。ガウス雑音(ノイズ)を加えることは、一定の比率でRrsの標準偏差を増加させた(図6)。しかし、測定値の間に呼吸によって導入されるノイズと同様の型のノイズを付加すること(1/周波数の曲線に従う)は、低周波数においてより高い標準偏差を有するRrsの計算値を生じる(図6)。このことは、実際の測定値において見られるRrsの標準偏差のパターンと同様であった(図5)。このことは、20Hz未満の測定値が、呼吸に影響される可能性がより高く、そしてより高い周波数において測定された測定値より信頼性が低くあり得ることを示す。
【0028】
結論として、気管支拡張剤の投与は、喘息において、抵抗およびFEVの中央値をわずかに減少させるのみであるが、気道の抵抗における変動性を有意に減少させる。従って、呼吸のノイズに影響されない周波数(代表的に、10Hzより高い)でのFOTによるRrsの測定は、伝統的な肺機能測定(例えば、喘息を有する小児における肺活量測定法)によって検出されないRrsの変化量を測定することによって、気道平滑筋の活動の有用な尺度を提供し得る。このことはまた、成人において有用であり、これは、学問的施策を必要としない。
【0029】
さらに、Xrs(特に、より高い周波数において測定される)は、図14〜18において見られるように、気管支拡張剤の効果の高感度な尺度であることがまた、見出された。より具体的には、図14は、低周波数、中程度の周波数、および高周波数にて、気管支拡張剤前(菱形)および気管支拡張剤後(四角)の小児から得た、予測されるFEV1% 対 Xrs中央値を示す。
【0030】
図15は、喘息の小児における気管支拡張剤前および気管支拡張剤後の中央値リアクタンス 対 周波数を示す。
【0031】
図16は、BDに応答した、FEV1%、Rrs中央値、抵抗の標準偏差(SDRrs)およびXrs中央値の比較を示す。これは、SDRrsおよびXrs中央値が、喘息を有する6〜9歳の小児において、FEV1またはRrs中央値のどちらかよりも高感度な気管支拡張剤の効果の尺度であることを示す。
【0032】
図17は、喘息を有する小児における気管支拡張剤の前(菱形)および気管支拡張剤の後(四角)の、SDRrsとXrsとの間の関連性を示す。それぞれの点は、個体から得たXrsおよびSDRrsを表し、そして高いSDRrsを有する個体がまた、低いXrsを有するような、気管支拡張剤の前または後のいずれかにおいてXrsとSDRrsとの間に適度な依存性が存在することを示す。従って、XrsおよびSDRrsの尺度は、喘息を診断し、そしてモニタリングするために、組み合わせて使用され得る。
【0033】
図18は、喘息を有する小児における、気管支拡張剤によるSDRrsの変化%と気管支拡張剤によるXrsの変化との間の関連性を示す。それぞれの点は、個体から得たXrsおよびSDRrsを表す。通常、Xrsの増加につれて(特に、中程度の周波数において)SDRrsの減少が見られるようである。従って、これらの尺度は一緒に使用されて、特定の気管支拡張剤の効力を決定し得る。
【0034】
(プラセボによるコントロールのデータ)
気管支拡張剤の代わりにプラセボを受容した半数によるコントロールのデータが、収集された。
【0035】
気管支拡張剤を受容した半数によるコントロールのデータが、収集された。
【0036】
これらのコントロール(表2)は、全て、呼吸器の病歴を有さない小児であった。
【0037】
【表2】

Rrs中央値は、FEVと負の相関関係があり、このRrs中央値は、低周波数、中程度の周波数、および高周波数の振動において0.531、0.555および0.436の相関係数を有した。
【0038】
プラセボの投与によるFEVの有意な変化は存在せず、これは、1.3±0.13%増加の平均増加率を有した。プラセボの投与によるRrs中央値およびRrsの標準偏差の有意な変化もまた、存在しなかった。
【0039】
コントロールの小児および喘息の小児において測定されたベースラインFEVにおける有意な差異(7.62%、p>0.05)は、存在しなかった。喘息患者の抵抗の中央値は、26Hz以下の周波数においてコントロールより有意(p<0.05)に高く、この中央値は、4Hzおよび6Hzにおいて、それぞれ、28.9%および31.1%の違いの%を有した(図7)。このことは、4Hzまたは6Hzにて測定されたRrs中央値が、小児における喘息の指標としてFEVより約4倍高感度であることを示す。
【0040】
Rrsの標準偏差は、4Hzでのコントロールと比較して、喘息患者においてより高く、88.65%であったが、測定された他の周波数において有意な違い(p>0.05)はなかった(図8)。本発明者らは、低周波数の測定値がノイズによって混入されたと考える。なぜならこのことは、ノイズがこの喘息患者においてより大きかったことを示し得るからである。
【0041】
コントロールの小児において、気管支拡張剤の投与による14Hz未満の低周波数でのRrs中央値のわずかな変化が存在したが、より高い周波数では存在しなかった(図9)。
【0042】
コントロールの小児において、プラセボの投与または気管支拡張剤の投与のいずれかによる任意の周波数でのRrsの標準偏差の有意な変化は存在しなかった(図10)。
【0043】
図16に示されるように、コントロールの被験体において、BDによって見出される有意な違いは、存在しなかった。従って、気管支拡張剤によって生じる呼吸のノイズに影響されない周波数でのFOTによる抵抗の変化量の減少は、喘息において生じる気道平滑筋活動の上昇についての有用な尺度を提供し得る。
【0044】
図11は、圧力シグナル(円)と流量シグナル(十字)との間の干渉性のプロットであり、図12は、フーリエ変換された圧力シグナルおよび流量シグナルのプロットであり、そして図13は、各振動数に対する圧力シグナル(円)および流量シグナル(四角)に関して、シグナル対ノイズ比のプロットである。シグナル対ノイズは、振動周波数付近の周波数に存在するノイズを、ノイズ振幅の尺度として使用して、各振動周波数に対する周波数領域において計算された。シグナルは、それらの干渉性が0.9より大きい場合に妥当であると見なされ、そしてまた、20より大きい、高いシグナル対ノイズ比は、良好なシグナルの質を示すことが推測された。
【0045】
図19に関して、Rrs、XrsおよびSDRsのベースライン値、ならびに気管支活動因子に応答するこれらの値の変化を決定するための方法が、記載される。この実施形態では、工程1において、閉鎖インピーダンスZcが、測定され、そして記憶される。工程2において、開放インピーダンスZoが、測定され、そして記憶される。工程3において、いくつかの周期にわたるベースラインの被験体インピーダンスZm(t)が測定され、そしていくつかの周期に対して補正されて、Zrs(t)が決定される。工程4において、Rrs、XrsならびにRrsおよびXrsにおける変化量が測定され、そして必要に応じて、予測される%が算出され、Rrs、XrsならびにRrsおよびXrsにおける変化量が正常であるかまたは異常であるかを決定するために標準値と比較される(工程10)。工程5において、気管支活動因子が患者に投与され得る。工程6において、薬物後インピーダンスZmが測定され、そして補正されて、Zrsが決定される。工程7において、Rrs、XrsならびにRrsおよびXrsにおける変化量が計算される。工程8において、Rrs、XrsならびにRrsおよびXrsにおける変化量の、薬物後の値および薬物前の値が測定される。必要に応じて、薬物用量が増加されるか、または工程9において繰り返される場合、工程6〜8が繰り返される。
【0046】
図20に関して、Rrs、XrsおよびSDRsのベースライン値、ならびに気管支活動因子に応答するこれらの値の変化を決定するための代替方法が、記載される。この方法では、工程20において、閉鎖インピーダンスZcが、干渉性および各周波数におけるシグナル対ノイズ比が受容可能になるまで測定され、そして記憶される。工程21において、開放インピーダンスZoが、干渉性および各周波数におけるシグナル対ノイズ比が受容可能になるまで測定され、そして記憶される。工程22において、ベースラインの被験体インピーダンスZm(t)が測定され、そして各周波数におけるZmが、摂動波形(perturbation waveform)の期間につき1回計算される。工程23において、Zmが、ZoおよびZcを用いて補正されて、ベースラインZrsが計算される。工程24において、Zrsの期間は、干渉性および/またはシグナル対ノイズ比が低かった場合に除外される。工程25において、Rrs、XrsならびにRrsおよびXrsにおける変化量が、計算され、そして必要に応じて、予測される%を算出して、Rrs、XrsならびにRrsおよびXrsにおける変化量が、正常であるか、または異常であるかを決定するために標準値と比較される(工程31)。工程26において、気管支活動因子が、投与され得る。工程27において、薬物後インピーダンスZmが、測定され、そして補正されて、Zrsが決定される。工程28において、Rrs、XrsならびにRrsおよびXrsにおける変化量が、計算される。工程29において、Rrs、XrsおよびならびにRrsおよびXrsにおける変化量のベースライン値が、薬物後の値と比較される。工程30において、薬物用量を増加されるか、または繰り返す場合、増加した薬物用量が投与され、そして工程27〜29が繰り返される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明は、添付の図面に対する参照と共に記載される。
【図1】図1は、試験プロトコルの概略図をであり、FOは、強制振動測定であり、BDは、薬理学的アゴニストまたは薬理学的アンタゴニストの投与である。
【図2】図2は、喘息の小児における4Hzおよび34Hzにて1秒間につき1回計算された、時間に対するFOTのRrsを示す上部のパネル、および喘息の小児において180秒間から計算された喘息の小児における周波数に対するFOTのRrs中央値およびFOTのXrs中央値を示す下部のパネルからなる2つのプロットである。
【図3】図3は、気管支拡張剤の前(菱形)および気管支拡張剤の後(四角)に、低周波数、中程度の周波数および高周波数にて喘息の小児から得た、予測されるFEV1の% 対 Rrs中央値および予測されるFEV1の% 対 Rrsの標準偏差を示すプロットであり、1つの菱形および1つの四角は各々の被験体に由来する。
【図4】図4は、各々の喘息の小児から得た気管支拡張剤前(菱形)および気管支拡張剤後(四角)の、低周波数、中程度の周波数および高周波数におけるRrsの標準偏差 対 Rrs中央値の、3つのプロットである。
【図5】図5は、全ての喘息の被験体における、Rrsの変化量係数 対 周波数のプロットであり、それぞれの線は、異なる患者から得たものである。
【図6】図6は、Rrs値に対するシュミレーションされたノイズ効果のプロットである。
【図7】図7は、喘息の小児およびコントロールの小児におけるRrs中央値のプロットである。
【図8】図8は、喘息の小児およびコントロールの小児におけるRrs標準偏差のベースラインのプロットである。
【図9】図9は、気管支拡張剤(bronchrodilator)または偽薬(sham)の生理食塩水用量の、投与前および投与後におけるコントロールの小児のRrs中央値のプロットである。
【図10】図10は、気管支拡張剤または偽薬の生理食塩水用量の、投与前および投与後における、コントロールの小児のRrs標準偏差 対 周波数のプロットである。
【図11】図11は、その振動周波数において2人の異なる代表的な被験体から得た、圧力のシグナル(円)と流量のシグナル(十字)との間で計算された干渉性のプロットである。
【図12】図12は、使用された振動周波数(4Hz、10Hz、14Hz、22Hz、26Hz、34Hz)および低周波数における呼吸のノイズを示す、高速フーリエ変換された圧力のシグナルの大きさおよび流量のシグナルの大きさ 対 周波数の代表的な例である。
【図13】図13は、各振動周波数に対する圧力のシグナル(円)および流量のシグナル(四角)に関して、図12のデータから算出されたシグナル対ノイズ比 対 周波数の、代表的なプロットである。
【図14】図14は、低周波数、中程度の周波数および高周波数にて、気管支拡張剤の前(菱形)および気管支拡張剤の後(四角)に喘息を有する小児から得た、予測されるFEV1の% 対 Xrs中央値のプロットである。
【図15】図15は、喘息の小児における気管支拡張剤前および気管支拡張剤後のXrs中央値 対 周波数のプロットである。
【図16】図16は、BDに応答した、FEV1の%、Rrs中央値、SDRrsおよびXrs中央値の比較を示すプロットであり、このプロットは、標準誤差を示す誤差のバーを伴う。
【図17】図17は、喘息を有する小児における気管支拡張剤の前(菱形)および気管支拡張剤の後(四角)の、SDRrsとXrsとの間の関連性のプロットである。
【図18】図18は、喘息を有する小児における、気管支拡張剤によるSDRrsの変化の%と、気管支拡張剤によるXrsの変化との間の関連性のプロットである。
【図19】図19は、ベースラインのRrs、XrsおよびSDRs、ならびに気管支活動因子に応答するこれらの値の変化を決定する方法のフローチャートである。
【図20】図20は、Rrs、XrsおよびSDRsのベースライン値、ならびに気管支活動因子に応答するこれらの値の変化を決定する方法のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気道の応答または喘息における気道の変動性を評価する方法であって、以下の工程:
患者の複数の呼吸周期の間に、単一の入力周波数または複数の入力周波数のいずれかを利用する強制振動技術によって抵抗(Rrs)変化量を測定する工程;
該患者のRrsの統計学的変動性を計算する工程;および
該患者のRrsの統計学的変動性を、標準曲線と相関させて、該患者の喘息の程度を定量化する工程
を包含する、方法。
【請求項2】
前記Rrsの統計学的変動性を計算する工程が、Rrsの標準偏差または高/低Rrsの測定値の、組み合わせまたはいずれか1つの計算である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
気道直径の変動性を変更することに対する、薬理学的アゴニストまたは薬理学的アンタゴニストの有効性を決定する方法であって、以下の工程:
患者の複数の呼吸周期の間に、複数の入力周波数を利用する強制振動技術によって抵抗(Rrs)変化量を測定する工程;
薬理学的アゴニストまたは薬理学的アンタゴニストを投与された患者の複数の呼吸周期の間に、複数の入力周波数を利用する強制振動技術によって抵抗(Rrs)変化量を測定する工程;
該最初の2つの工程の各々について、該患者の該Rrsの統計学的変動性を計算する工程;および
該Rrsの統計学的変動性を比較して、該薬理学的アゴニストまたは該薬理学的アンタゴニストの有効性を決定する工程
を包含する、方法。
【請求項4】
前記薬理学的アゴニストまたは前記薬理学的アンタゴニストが、気管支拡張剤である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記薬理学的アゴニストまたは前記薬理学的アンタゴニストが、気管支収縮剤である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
気道直径の変動性を変えることに対する、薬理学的アゴニストまたは薬理学的アンタゴニストの有効性を決定する方法であって、以下の工程:
該薬理学的アゴニストまたは該薬理学的アンタゴニストの投与前および投与後の両方で、患者の複数の呼吸周期の間に、複数の入力周波数を利用する強制振動技術によってリアクタンス(Xrs)の変化量を測定する工程;
該投与前および該投与後の各々について該患者の該Xrsを計算する工程;および
該Xrsを比較して、該薬理学的アゴニストまたは該薬理学的アンタゴニストの有効性を決定する工程、
を包含する、方法。
【請求項7】
前記薬理学的アゴニストまたは前記薬理学的アンタゴニストが、気管支拡張剤である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記薬理学的アゴニストまたは前記薬理学的アンタゴニストが、気管支収縮剤である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
測定デバイスのインピーダンスが、補正アルゴリズムによって除去される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記薬理学的アゴニストの有効性または前記薬理学的アンタゴニストの有効性が、該薬理学的アゴニストまたは該薬理学的アンタゴニストの、投与前と投与後との間の患者における、Rrsの標準偏差または高/低Rrs測定値またはXrs測定値の、組み合わせまたはいずれか1つを比較することによって決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
ノイズレベルおよび気道抵抗の変動性の評価に寄与するシグナル対ノイズ比を、圧力振動の各振動周波数に対して決定する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法であって、以下:
圧力シグナルと流量シグナルとの干渉性を得る工程;
複数周期の圧力のフーリエ変換および複数周期の流量のフーリエ変換を得る工程;
各々の振動周波数における該圧力シグナルおよび該流量シグナルの絶対値を得る工程;
任意の振動周波数を含まない該振動周波数付近の周波数領域について、該圧力シグナルおよび該流量シグナルの絶対値の平均を得る工程であって、圧力または流量のいずれかに対するシグナル対ノイズ比は、該ノイズによって除算される該シグナルの比であり、該シグナルは該振動周波数における圧力または流量の大きさとして決定され、該ノイズは任意の振動周波数を含まない該振動周波数付近の周波数領域における該圧力の大きさまたは流量の大きさとして決定される、工程、
を包含する、方法。
【請求項12】
抵抗(Rrs)の変化量のベースライン値、リアクタンス(Xrs)における変化量のベースライン値、および抵抗の標準偏差(SDRrs)のベースライン値、ならびに気管支活動因子に対する応答におけるこれらの値の変化を決定するための方法であって、以下の工程:
(a)閉鎖インピーダンス(Zc)を測定し、そして記憶する工程;
(b)開放インピーダンス(Zo)を測定し、そして記憶する工程;
(c)ベースラインの被験体インピーダンスZm(t)をいくつかの周期にわたって測定し、そして補正して、Zrs(t)を決定する工程;
(d)Rrs、XrsならびにRrsおよびXrsにおける変化量を測定し、そして比較する工程;
(e)患者に気管支活動因子を投与する工程;
(f)投薬後のインピーダンスZmpを測定し、そして補正して、Zrspを決定する工程;
(g)Rrs、Xrs、ならびにRrsおよびXrsにおける投薬前および投薬後の変化量を計算する工程;
(h)Rrs、Xrs、ならびにRrsおよびXrsにおける投薬前および投薬後の変化量の値を、標準値と比較して、該Rrs、該Xrs、ならびに該RrsおよびXrsにおける該変化量が、正常であるか、または異常であるかを決定する工程、
を包含する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2007−536026(P2007−536026A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511798(P2007−511798)
【出願日】平成17年5月3日(2005.5.3)
【国際出願番号】PCT/CA2005/000664
【国際公開番号】WO2005/104944
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(506367238)ダルハウジー ユニバーシティー (4)
【Fターム(参考)】