説明

水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電する方法とその装置

【課題】水流が循環する連結管路に配備した、ともにプロペラとプロペラ型水車で構成する発電用水力タービン1で発電を、発電で減少した水流のエネルギー量の補填をエネルギー補填用水力タービン12と発電用水力タービン1とでおこなうものであり、安定した発電量にするため水流のエネルギー量を常時同じ量に補填すること、併せて循環水流の水温を一定とし、水流の循環で上昇する水温による水流のエネルギー量の増加を防ぐこと。
【解決方法】水流のエネルギーの補填は、発電でエネルギーの減少した水流のエネルギーの一部を補填用水力タービン12で補填し発電用水力タービン1のプロペラ2に水流全体を集約し、プロペラ2の回転数で水流のエネルギー量を常時同じエネルギー量に補填。循環水流は、水温維持装置8により水流の一部を取出し冷却、冷却水を水流に戻し混合冷却で、水流を一定温度とし循環水流のエネルギー量を安定させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の循環する連結管にプロペラとプロペラ型水車で構成する発電用とエネルギー補填用の二つの水力タービンを配備し、発電により減少した水流のエネルギーをエネルギー補填用水力タービンと発電用水力タービンのプロペラで補填し、補填した水流のエネルギーで発電用水力タービンのプロペラ型水車を回転させ、発電機を駆動して発電をおこなう。発電により減少した水流のエネルギーは再び同じ方法で補填し、エネルギーを補填した水流で再び発電をおこなう水の循環する連結管に水力タービンを配置し発電をする方法とその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水力発電には、高落差で小流量の水流には衝動水車が使用され、中落差で大流量の水流には反動水車が使用される。これらの発電には衝動水車では水圧管が、また反動水車では貯水池が必要であり、発電コストを維持するために、これらの設備の築造に要する費用に見合う発電量が必要となり、施設の規模は大きくなる。
【0003】
水力発電は、炭化水素系燃料を使用せず二酸化炭素を発生しない地球温暖化防止のための有効な方法であり、風を待つ風力発電、あるいは太陽光を待つ太陽光発電と異なり安定的に電気を供給する方法である。しかしながら、発電に必要な落差と貯水池を築造できる地形は少なく、あったにしても水力発電に必要な落差と水量を確保できる河川や海の水面では、水利権や漁業権などの利水面からの利害が錯綜することが多く利用することは難しい。この状況下、地球温暖化防止のための有効な方法として、発電コストが安く容易に建設できる水力発電が望まれ、これまでにもこのための技術が公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
例えば、特許文献1は、水力発電において通例、施設毎に異なる水流の落差と流量に合わせて個別に製造される軸流水車発電装置を、同じ仕様の複数の量産型軸流水車発電装置に置き換え、量産効果で発電コストを下げようとするものである。
【0005】
特許文献1においては、個別に製造される軸流水車発電装置を複数個の量産型の軸流水車発電装置に置換えることにより、口径が小さくなり回転が速くなる軸流水車は、水車のブレードの水の流入する角度を大きくとり回転数を減少させる。これにより増える軸流水車の後流の残エネルギーは、同一軸線上に軸流水車を二個配備し、先の軸流水車で水流のエネルギーの一部を回収し、反転する後流に水の流入する角度を合わせた後の軸流水車で残エネルギーを回収、回転方向の異なる二つの軸流水車の出力は、二個の軸流水車の軸を二重の軸とし、各々で異なる軸の回転方向を歯車で整合し回収する。複数の量産型軸流水車発電装置の出力を一個の発電装置に伝達する場合はベルトもしくは歯車で伝達し、発電装置の量産効果により発電コストを下げようとするものである。
【0006】
また、特許文献2は、水流を起す二個の軸流水車であるプロペラと、起された水流で回転するプロペラ型水車で構成し水中の管路に配備した水力タービンで、発電コストの安い電力を供給しようとするものである。
【0007】
特許文献2においては、水中に配備した二個のプロペラとプロペラ型水車で構成する水力タービンの先プロペラのブレード先端部の水の流入する角度にプロペラの回転用動力として水を噴射し、プロペラを回転させ周辺の水を吸引加速し水流とする。この水流でより口径の大きな後プロペラを回転させながら、先プロペラと同じ方法で水を噴射し後プロペラを回転させ、口径の差で周辺の水を吸引加速し、より大きなエネルギーをもつ水流とし、この水流でプロペラ型水車を回転させ発電機を駆動し発電する。発電によりエネルギー量が減少し減速した水流は回収せず排出するものである。
【0008】
【特許文献1】特開2001―221141号公報
【特許文献2】特開2008―19879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された発明において、水流の落差と流量に合わせ個別に製造された軸流水車発電装置から、量産型の軸流水車発電装置への置き換えは、複数の軸流水車発電装置の出力を発電装置に伝達するベルトもしくは歯車などの出力伝達装置や、複数個の軸流水車装置を配備するための止水区画工事などの水流の流路の変更のための付帯土木工事が必要となること。また、量産効果から軸流水車発電装置単体で使用することも考えられるが、この場合は規模の大きな土木工事を必要としない既存の貯水池や河川や海面を利用することになり、水利権や漁業権などの利水面から立地の制約があり、ともに発電コストを下げることは難しい。
【0010】
また、上述の特許文献2に開示された発明においては、プロペラが前方からの水流で回転し、これに回転用動力を与えれば水流を加速し、回転用動力をプロペラのブレード先端部の水の流入する角度に水を噴射する方法で与えれば、プロペラの遠心加速力により、少ない動力量でプロペラを回転させることができる。これにより前プロペラと、より口径の大きい後プロペラの二個のプロペラを回転軸で連結せず直列に並べ、前プロペラをブレード先端部の水の流入する角度に水を噴射する方法で回転させ水流を起し、この水流の回転方向に合わせ後プロペラのブレードの水の流入する角度に水流を受け回転させる。さらに後プロペラを前プロペラと同じ水を噴射する方法で回転用動力を与え回転させることにより、大きなエネルギー量の水流をつくり出すことができる。この水流でプロペラ型水車を回転させ、発電機を駆動し発電しようとするものである。しかしながら発電後の水流はエネルギーの減少で減速するとはいえ拡散する回転水流であり、発電量が大きいほど排出量は増え水流の影響を緩和するには広い水面が必要となり、水利権や漁業権などの利水面からの調整で立地が制約される。
【0011】
本発明は、水流を管路に循環させ利水面からの制約のない水力発電をおこなおうとするものであり、発電量を安定させるため、発電で減少した水流のエネルギーを常時同じエネルギー量に補填し発電用水力タービンのプロペラ型水車に吹き込むこと、併せて水の循環による蓄積熱量で上昇する水温により水が膨張し、水流のエネルギー量が増えることを防ぐため、水流を常時一定の温度とし、水流のエネルギー量を安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電する方法は、循環する水流を発電用水力タービンのプロペラで加速し、発電に必要な常時同じエネルギー量にした水流により、発電用水力タービンのプロペラ型水車を回転させ水流のエネルギーを発電エネルギーに転換する発電の工程と、水流の循環により時間の経過とともに蓄積する熱量で温度が上昇する水流の一部を管路から取り出し冷却、冷却した水を管路の水流に戻し混合冷却することにより水流を常時一定の温度に保つ水温維持工程と、発電によりエネルギー量が減少し減速され大きな管路を流れる水流の一部を、エネルギー補填用水力タービンで加速し残りの水流を捲き込み集合、発電用水力タービンのプロペラに水流を集約するために水流のエネルギーの一部を補填する工程で構成し、この水流を発電の工程に送ることにより水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電する作用を有する。
【0013】
前記発電の工程では、水流を常時一定の温度に保つ工程からの水流の一部をエネルギー補填用水力タービンで加速し、水流全体を発電用水力タービンのプロペラに集約する。この水流で発電用水力タービンのプロペラを回転させながら、さらに水の噴流でプロペラを回転させ水流を加速。水の噴流量でプロペラの回転数を設定し水流の速度を一定とすることにより、水流のエネルギーを発電に必要な常時同じエネルギー量とし、プロペラ型水車を回転させ発電機を駆動、水流のエネルギーを発電エネルギーに転換し発電する作用を有する。
【0014】
前記水温維持工程では、水流の循環で蓄積した熱量により温度が上昇する水を、設定温度に冷却した水と混合し元の温度に戻すため、水流と混合で水流を元の温度に戻すことのできる量の水を水流から取り出し、これを設定温度に冷却し同じ量の水を再び水流に戻し混合することにより、水流の温度を常時一定の温度に保ち、水温の上昇による水流のエネルギー量の増加を防ぐ作用を有する。
【0015】
前記水流のエネルギーの一部を補填する工程では、発電によりエネルギー量が減少し減速により管径の大きな管路を流れる水流の一部で、管路より管径の小さいエネルギー補填用水力タービンのプロペラを回転させながら、さらに水の噴流でプロペラを回転させ、次の工程でのプロペラ型水車の回転により減速しても管路の水流より速い速度の水流になるよう水流の一部を加速する。この水流でプロペラ型水車を回転させ水流を減速し拡散させ、前の工程のプロペラの回転で反転した水流を、管路とエネルギー補填用水力タービンの間を流れる水流と同じ回転方向とし、これを捲き込み水流を集合し発電用水力タービンのプロペラに水流を集約する。水流の集約により発電用水力タービンのプロペラは回転数を設定することで、発電に必要な常時同じエネルギー量をもつ水流となり発電用水力タービンのプロペラ型水車に吹き込み安定的に発電をおこなう作用を有する。
【0016】
本発明による水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電する装置は、発電に必要な常時同じエネルギー量をもつ水流をつくるプロペラと、この水流で回転し、水流のエネルギーを発電エネルギーに転換する発電機に連結したプロペラ型水車よりなる発電用水力タービン装置と、水流の循環で蓄積する熱量により温度が上昇する水流の一部を管路から取り出す取出管と、取り出した水を冷却する冷却槽と、冷却水を再び管路に圧入し水流と混合冷却し水流を一定の温度にする圧入管よりなる水温維持装置と、発電でエネルギーが減少し減速され管径の大きな管路を流れる水流の一部を加速、水流のエネルギーの一部を補填し発電用水力タービン装置のプロペラに水流を集約するための管路より管径の小さいプロペラとプロペラ型水車よりなるエネルギー補填用水力タービン装置で構成し、集約した水流を発電用水力タービン装置のプロペラで、常時同じエネルギー量をもつ水流とすることにより、水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電する作用を有する。
【0017】
前記発電用水力タービン装置では、エネルギー補填用水力タービンで集約し回転する水流で、水流の回転方向に合わせ設定したプロペラブレードの水の流入する角度で水流を受けプロペラを回転させながら、さらにプロペラ回転用動力装置でプロペラのブレード先端部の水の流入する角度に向けて、水の噴流を吹込み回転させることにより水流を加速し、発電に必要な常時同じエネルギー量の水流とする。集約で流量は一定となり、水流はプロペラの回転数で加速され、回転数は水の噴流量により設定されることから、水の噴流量でプロペラの回転数を設定すれば、発電に必要な常時同じエネルギー量の水流となり、プロペラ型水車を回転させ発電機を駆動し安定的に発電する作用を有する。
【0018】
前記水温維持装置では、水流の循環で温度が上昇する水流に冷却した水を混合し水流の温度を元に戻すため、発電エネルギーへの転換でエネルギーが減少し減速により拡散する管路の水流から、設定した冷却温度で水流の水温を元の水温に戻すことのできる水量を、取出管で管路から冷却槽に取り出し設定冷却温度に冷却、同じ水量の冷却した水を圧入管で管路に圧入することにより、水流を常時一定の温度に保つ作用を有する。
【0019】
前記エネルギー補填用水力タービン装置では、水流のエネルギー式=(1/2)×(流量)×(流速)2から、発電によるエネルギーの減少で減速し大きな管路を流れる水流をプロペラで加速しエネルギーを補填する。補填は水流の一部を管路より管径の小さいエネルギー補填用水力タービン装置で受け、水流の回転方向に合わせプロペラブレードの水の流入する角度で水流を受けプロペラを回転させながら、さらにプロペラ回転用動力装置で噴流をプロペラブレードの水の流入する角度に向け吹込みプロペラを回転させ、次の工程のプロペラ型水車の回転による水流の減速によっても水流を集約できる速度に水流を加速し、水流のエネルギーを一部補填する。この水流でプロペラ型水車を回転させ水流を減速し拡散させるとともに、管路とエネルギー補填用水力タービン装置の間の水流と同じ回転方向とし、この水流を捲き込み集合し水流全体を発電用水力タービン装置のプロペラに集約する。水流全体の集約と水温維持装置で水流を常時一定の温度に保つことにより、発電用水力タービンのプロペラの回転数を一定に設定し、発電に必要な常時同じエネルギー量をもつ水流にする作用を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の連結した管路の水流は、発電用水力タービンのプロペラ型水車、エネルギー補填用水力タービンのプロペラ、プロペラ型水車、発電用水力タービンのプロペラの順で反転しながら回転し循環する。この回転する水流の回転方向に合わせ設けた個々プロペラブレードの水の流入する角度で水流を受け回転させながら、さらにプロペラブレードの水の流入する角度に向け水の噴流を吹き込むことにより、プロペラの遠心加速力で少ない回転用動力によりプロペラを回転させ水流のエネルギーを補填することができる。また、前方からの回転流はブレード幅が狭くブレード枚数の少ないプロペラにより水流のエネルギーを補填し、補填した水流のエネルギーを水流で伝達する簡素な機構にすることができる。
【0021】
水流のエネルギーを水流で伝達することで、エネルギー補填用水力タービンによる水流の一部のエネルギーの補填と水流の回転方向の整合により、水流全体を集約し発電用水力タービンに吹込むことを可能とする。発電用水力タービンは水流全体を受けることでプロペラの回転数を一定とし、発電量に対応したエネルギーをもつ水流としてプロペラ型水車に吹き込むことができる。一方、水流の循環は水温上昇により水を膨張させ水量を増やし、水流のエネルギー量を増加させる。水温維持装置で水温を一定にすれば水温による水流のエネルギー量の増加はなく、個々プロペラを一定の回転数とすることが可能になり、安定的に発電をおこなう水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電する方法とその装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態にかかる水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電 する方法のフロー図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電 する装置の構成図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電 する装置のうちプロペラへ回転用の動力を与えるプロペラ回転用動力装置の 構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、水流が循環する連結した管路にプロペラとプロペラ型水車で構成する発電用水力タービンとエネルギー補填用水力タービンを配置し、水流を循環させながら発電用水力タービンのプロペラで発電に必要なエネルギー量をもつ水流とし、プロペラ型水車を回転させ発電機を駆動し発電をおこなう。発電によるエネルギーの減少で減速し管径の大きな管路を流れる水流は、その一部を取り出し、水流の循環で上昇する水温による水流のエネルギー量の増加を防ぐため、設定温度に冷却し管路に戻し水流と混合することにより水流を一定水温とする。一定の温度で元の水量に戻った水流は、その一部を管路より管径の小さいエネルギー補填用水力タービンで加速し、発電用水力タービンのプロペラに水流を集約する。集約した水流は再び発電用水力タービンのプロペラの回転で発電に必要なエネルギー量をもつ水流とし、プロペラ型水車を回転させ発電をおこなうものである。
【実施例1】
【0024】
図1の実施例は、本発明の実施形態にかかる水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電する方法のフロー図である。図1においてステップS―1は、循環してきた水流を発電用水力タービンのプロペラの回転で発電に必要な常時同じエネルギー量をもつ水流とし、プロペラ型水車を回転させ発電機を駆動し発電する工程である。ステップS―2は、発電によりエネルギー量が減少し、大きな管径の管路を流れる減速した水流から、水流の一部を取り出し、水流の循環による蓄積熱量で水温が上昇し水流のエネルギーが増加することを防ぐため、設定温度に冷却し管路に戻し入れ水流と混合し水流を一定の水温にする工程である。S―3は、一定の温度とし、元の水量に戻した水流の一部を、管路より口径の小さいエネルギー補填用水力タービンで加速し、水流全体を発電用水力タービンのプロペラに集約する工程である。全体を集約した水流は再び発電用水力タービンのプロペラの回転により発電に必要な常時同じエネルギー量をもつ水流とし、プロペラ水車を回転させ発電をおこなうものである。
【実施例2】
【0025】
図2の実施例は、本発明の実施形態にかかる水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電する装置の構成図である。図2において水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電する装置は、発電用水力タービン装置1、プロペラ2、プロペラ回転用動力装置3、プロペラ型水車4、発電機5、循環用拡大管路6、循環管路7、水温維持装置8、冷却用水取出管9、冷却槽10、冷却水圧入管11、エネルギー補填用水力タービン12、タービン外殻13、プロペラ14、プロペラ回転用動力装置15、プロペラ型水車16、循環用縮小管路17で構成する。
【0026】
発電用水力タービン装置1は管路を外殻に、プロペラ2、プロペラ回転用動力装置3、プロペラ型水車4、発電機5で構成する。プロペラ2はエネルギー補填用水力タービン12からの水流の回転方向に合わせたプロペラブレードの水の流入する角度で水流を受け回転する。これに併せてこの水流からプロペラ回転用動力装置3の噴流用の水を電動ポンプで吸引し加圧、プロペラブレードの水の流入する角度に向け噴射し、さらにプロペラを回転させ水流を加速する。設定された口径での水流のエネルギー量は水流の速度により、水流の速度はプロペラの回転数により、プロペラの回転数は噴流の量によることから、水流のエネルギー量は噴流量で設定される。噴流量で設定されたプロペラの回転数により発電に必要な常時同じエネルギー量をもつ水流とし、発電機5の発電量に応じて設定した口径のプロペラ型水車4を回転させ、連結した発電機5を駆動し発電をおこなう。発電により発電エネルギーに転換されエネルギーの減少した水流は減速する。
【0027】
減速した水流は流量に合わせ拡大した口径の循環用拡大管路6とこれに接続する循環管路7を流れる。循環する水流は時間とともに熱量を蓄積し、上昇する水温で膨張し水量が増え水流のエネルギー量が増加する。水温の上昇による水流のエネルギー量の増加を防止するため、水温維持装置8により循環する水流から、設定温度に冷却し循環する水流に戻し混合冷却することで水流を一定の温度にできる量の水を取出し冷却後、循環する水流に戻し循環する水流を一定の温度とする。水温維持装置8は冷却用水取出管9、冷却槽10、冷却水圧入管11で構成し、冷却用水取出管9で循環管路7の水流の回転方向から設定量の水をバルブで調整し冷却槽10に取出し冷却、設定温度に冷却した水を冷却水圧入管11で循環管路7の水流の回転方向に電動ポンプで設定量を圧入、混合し冷却する。
【0028】
水温維持装置8で水温を一定にした循環管路7の水流は、エネルギー補填用水力タービン12により水流のエネルギーの一部を補填することによって、循環用縮小管路17で発電用水力タービン装置1のプロペラ2に集約する。エネルギー補填用水力タービン12は循環管路7より管径の小さいタービン外殻13に、プロペラ14、プロペラ回転用動力装置15、プロペラ型水車16で構成する。プロペラ14は循環管路7の水流を、設定した口径に応じた量で、水流の回転方向に合わせたプロペラブレードの水の流入する角度に受け回転する。これに併せて循環管路7からプロペラ回転用動力装置15の噴流用水を電動ポンプで吸引し加圧、プロペラブレードの水の流入する角度に向け噴射しプロペラ14を回転させ、次の工程のプロペラ型水車16の回転による水流の減速によっても水流を集約できる速度に加速し、水流のエネルギーの一部を補填する。水流のエネルギーの一部を補填した水流は、プロペラ14と同じ口径のプロペラ型水車16で受け、水流の回転方向を循環用縮小管路17とエネルギー補填用水力タービン12の間の水流と同じ回転方向とし、水流を減速拡散することで循環用縮小管路17とエネルギー補填用水力タービン12の間の水流を捲き込み集合し、循環用縮小管路17で発電用水力タービン装置1のプロペラ2の口径に集約する。
【0029】
水温維持装置8により一定水温とし、エネルギー補填用水力タービン12により集約した循環する水流の量は一定となる。この水流を発電用水力タービン装置1のプロペラ2は、水流の回転方向に合わせたプロペラブレードの水の流入する角度に受け回転する。これに併せて循環用縮小管路17からプロペラ回転用動力装置3の噴流用水を電動ポンプで吸引し加圧、プロペラブレードの水の流入する角度に向け噴射しプロペラ2を回転させる。水量は一定でありプロペラ回転用動力装置3の噴流量でプロペラ2の回転数を定めれば、水流のエネルギー量は常時同じ量となる。よって、プロペラ2の回転数とプロペラ型水車4の口径の調整で、水流を発電機5の発電量に対応する水流のエネルギー量とし、プロペラ型水車4を回転させ、連結した発電機5を駆動し発電をおこなう。
【0030】
図3の実施例は、本発明の実施形態にかかる水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電する装置のうちプロペラへ回転用の動力を与えるプロペラ回転用動力装置の構成図である。図3においてプロペラへ回転用の動力を与えるプロペラ回転用動力装置は、用水吸引管18、電動ポンプ19、噴流管20で構成する。プロペラは、通例プロペラブレードの水の流入する角度と直角に発生する揚力が、水の流入する角度の延長線上に発生する抗力より大きくなるよう回転軸から動力を与え回転させるが、これはプロペラブレードの水の流入する角度に水を吹込むに等しく、遠心加速力の大きいブレード先端部に吹込めば、より少ない動力でプロペラを回転させることができる。
【0031】
よって、プロペラ回転用動力装置は管路の水流の回転方向から用水吸引管18で電動ポンプ19により吹込用の水を吸引し加圧、噴流管20でプロペラブレードの水の流入する角度に水を噴射しプロペラを回転させる。エネルギー補填用水力タービン12においては、循環管路7からプロペラ回転用動力装置15の噴流用水を電動ポンプで吸引し加圧、プロペラブレードの水の流入する角度に向け噴射しプロペラ14を回転させる。発電用水力タービン装置1においては、循環用縮小管路17からプロペラ回転用動力装置3の噴流用水を電動ポンプで吸引し加圧、プロペラブレードの水の流入する角度に向け噴射しプロペラ2を回転させる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、連結した管路にプロペラとプロペラ型水車で構成する二台の水力タービンを配置し、水流を循環させながら一方の水力タービンで発電で減少した水流のエネルギーの一部補填と発電を、もう一方の水力タービンで発電で減少した水流のエネルギーの一部補填をおこない、再び発電をおこなうものである。水流を循環させることで利水面からの立地の制約がなく、電力需要発生個所で水を流動駆体とし必要な電力を低コストで供給する発電機構となる。気体に比べ密度の高い水を循環させることで、規模は気体に比べ大きくなるが、発電量を大きくすることができる。また、本発明によるコストの安い電力は、現状その殆どを炭化水素系燃料に依存する加熱燃料を、需要発生個所で水の電気分解による水素に変え燃焼させることによって、二酸化炭素を発生を抑制し地球の温暖化を防止することができる。
【符号の説明】
【0033】
1:発電用水力タービン装置
2:プロペラ
3:プロペラ回転用動力装置
4:プロペラ型水車
5:発電機
6:循環用拡大管路
7:循環管路
8:水温維持装置
9:冷却用水取出管
10:冷却槽
11:冷却水圧入管
12:エネルギー補填用水力タービン
13:タービン外殻
14:プロペラ
15:プロペラ回転用動力装置
16:プロペラ型水車
17:循環用縮小管路
18:用水吸引管
19:電動ポンプ
20:噴流管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水流が循環する連結管路にプロペラとプロペラ型水車で構成する発電用とエネルギー補填用の二個の水力タービンを配備し、循環する水流を発電用水力タービンのプロペラの回転で、発電に必要な常時同じエネルギー量に補填した水流で、発電用水力タービンのプロペラ型水車を回転させ、発電機を駆動し発電する発電の工程と、水流の循環で蓄積する熱量により温度が上昇する水流の一部を、管路から取り出し冷却、冷却水を管路に戻し混合冷却することにより水流を常時一定の温度に保つ水温維持工程と、発電によりエネルギーが減少し減速により大きな管路を流れる水流の一部を、エネルギー補填用水力タービンで加速しエネルギーの一部を補填、残りの水流を捲込み集合し発電用水力タービンのプロペラに水流を集約する水流のエネルギーの一部を補填する工程よりなることを特徴とする水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電する方法。
【請求項2】
前記発電の工程では、集約した水流で発電用水力タービンのプロペラを回転させながら、さらに水の噴流をプロペラブレードの水の流入する角度に吹込みプロペラを回転させ、プロペラの回転数を水の噴流量で設定し、水流のエネルギー量が発電に必要な常時同じエネルギー量になるよう補填、この水流でプロペラ型水車を回転させ発電機を駆動し、発電する工程を有することを特徴とする請求項1記載の水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電する方法。
【請求項3】
前記水温維持工程では、水流の循環で蓄積した熱量により温度が上昇する水流に、冷却した水を混合し元の温度に戻すため、設定温度に冷却した水との混合冷却で水流を元の温度に戻す量の水を水流から取り出し設定温度に冷却、同じ水量の冷却した水を再び水流に戻すことにより、水流の温度を常時一定の温度に保ち、水温の上昇による水流のエネルギー量の増加を防ぐ工程を有することを特徴とする請求項1記載の水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電する方法。
【請求項4】
前記水流のエネルギーの一部を補填する工程では、発電によりエネルギー量が減少し減速により管径の大きな管路を流れる水流の一部を、管路より管径の小さいエネルギー補填用水力タービンで受け、水流の回転方向にプロペラブレードの水の流入する角度を合わせプロペラを回転させながら、さらに水の噴流をプロペラブレードの水の流入する角度に吹込みプロペラを回転させ、次の工程でプロペラ型水車の回転により減速しても大きな管路の水流より速い速度になるよう水流の一部を加速し、この水流でプロペラ型水車を回転させ管路とエネルギー補填用水力タービンとの間を流れる水流と同じ回転方向とし、水流を減速し拡散させることで、この水流を捲き込み集合し発電用水力タービンのプロペラに水流を集約する工程により、発電用水力タービンのプロペラの回転数を一定とし、発電に必要な常時同じエネルギー量をもつ水流を、発電用水力タービンのプロペラ型水車に吹き込むことを特徴とする請求項1記載の水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電する方法。
【請求項5】
水流が循環する連結管路に、発電に必要な常時同じエネルギー量をもつ水流にするプロペラと、この水流で回転し発電機に連結したプロペラ型水車よりなる発電用水力タービン装置と、水流の循環で蓄積する熱量により温度が上昇する水流の一部を、管路から取り出す取出管と、取出した水を冷却する冷却槽と、冷却水を管路に圧入し水流を一定の温度にする圧入管よりなる水温維持装置と、発電でエネルギーが減少し減速により管径の大きな管路を流れる水流の一部のエネルギーを補填し加速、残りの水流を捲込み集合し発電用水力タービン装置のプロペラに水流を集約するための管路より管径の小さいプロペラとプロペラ型水車よりなるエネルギー補填用水力タービン装置を配置し、集約した水流を発電用水力タービン装置に送る手段を設けたことを特徴とする水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電する装置。
【請求項6】
前項の発電用水力タービン装置では、エネルギー補填用水力タービン装置で集約され回転する水流の回転方向にプロペラブレードの水の流入する角度を合わせプロペラを回転させながら、さらにプロペラブレード先端部の水の流入する角度に向けて水の噴流を吹込み回転させることにより、水流のエネルギー量が発電に必要な常時同じエネルギー量になるよう、プロペラの回転数を水の噴流量で設定し、この水流でプロペラ型水車を回転させ発電機を駆動し発電する手段を設けたことを特徴とする請求項5記載の水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電する装置。
【請求項7】
前項の水温維持装置では、水流の循環で温度が上昇する水流に冷却した水を混合し水流の温度を元に戻すため、発電エネルギーへの転換でエネルギーが減少し減速により拡散する管路の水流から、設定した冷却温度で水流の水温を元の水温に戻すことのできる量の水を、取出管で管路から冷却槽に取り出し設定温度に冷却し、同じ水量の冷却した水を圧入管で管路に圧入、水流を常時一定の温度に保ち、水温の上昇による水流のエネルギー量の増加を防ぐ手段を設けたことを特徴とする請求項5記載の水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電する装置。
【請求項8】
前項のエネルギー補填用水力タービン装置では、発電によるエネルギーの減少で減速し大きな管路を流れる水流の一部を、管路より管径の小さいエネルギー補填用水力タービン装置で受け、水流の回転方向にプロペラブレードの水の流入する角度を合わせプロペラを回転させながら、さらに水の噴流をプロペラブレードの水の流入する角度に吹込みプロペラを回転させ、次の工程でプロペラ型水車の回転により水流が減速しても大きな管路の水流より速い速度になるよう水流の一部を加速し、この水流でプロペラ型水車を回転させ管路とエネルギー補填用水力タービン装置との間を流れる水流と同じ回転方向とし、水流を減速し拡散させることで、管路とエネルギー補填用水力タービン装置との間の水流を捲き込み集合し発電用水力タービン装置のプロペラに水流を集約、この水流の集約と水温維持装置により水流を常時一定の温度に保つことで、発電用水力タービン装置のプロペラを口径に応じて一定の回転数とし、発電に必要な常時同じエネルギー量をもつ水流をつくる手段を設けたことを特徴とする請求項5記載の水の循環する連結管に水力タービンを配備し発電する装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate