説明

水への溶解性が低い物質の製剤を製造する方法

本発明は、溶融体の型温が40〜180℃で、製剤溶融体を射出成形することにより、製剤の成形が起こることを特徴とする、両親媒性コポリマー中に埋め込まれて存在する水への溶解性が低い有効成分の製剤から成形品を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水難溶性の有効成分が両親媒性コポリマー中に埋め込まれた、該有効成分の配合物に基づく投与形態用の成形品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
埋め込みは、押出成形で好ましくは水難溶性の物質の融点より高い温度で行われ、該物質は押し出された配合物中に非晶形で存在する。埋め込みはまた、難溶性の有効成分の融点より低い温度で行うこともできる。
【0003】
対応するコポリマーは、水難溶性の物質のための可溶化剤として適当である。
【0004】
特に生物活性物質の均一な配合物の製造において、疎水性の、すなわち水難溶性の物質の可溶化は、非常に大きな実用的意義を得てきた。
【0005】
可溶化は、界面活性化合物、すなわち可溶化剤による、特定の溶媒、特に水に難溶性又は不溶性の物質の可溶化を意味すると理解される。このような可溶化剤は、水難溶性又は水不溶性の物質を、これらの物質の化学構造を工程中で変化させることなく、透明な、せいぜい乳白色の水溶液に転換することができる。
【0006】
国際公開第2007/051743号は、医薬品用途、化粧品用途、食品技術用途、農薬用途又は他の産業用途のための可溶化剤としての、N-ビニルラクタム、酢酸ビニル及びポリエーテルの水溶性又は水分散性コポリマーの使用を開示している。対応するグラフトポリマーを、溶融体中で有効成分と共に加工することもできることが該文献中非常に一般的に記載されている。
【0007】
国際公開第2009/013202号は、N-ビニルラクタム、酢酸ビニル及びポリエーテルのこのようなグラフトポリマーを、押出機中で融解させ、粉末状又は液体有効成分と混合することができることを開示しており、押出成形は、有効成分の融点より著しく低い温度で記載されている。
【0008】
記載されていることは、典型的には、その後に錠剤にプレス加工することができる顆粒の製造である。しかしながら、組成によると、このような顆粒は、プレス加工が必ずしも容易とは限らない。さらに、プレス加工される錠剤の形態の種類は制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2007/051743号
【特許文献2】国際公開第2009/013202号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
溶解性が改善された配合物中の水難溶性の有効成分を成形品に加工する改善された方法を可能にすることが本発明の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、両親媒性コポリマー中に埋め込まれた水難溶性の有効成分の配合物から成形品を製造する方法であって、配合物の溶融体を射出成形することにより、配合物を成形するステップを含み、溶融体の型温が40〜180℃である方法が発見された。
【発明を実施するための形態】
【0012】
適当な両親媒性コポリマーは、特に、ポリエーテル、N-ビニルモノマー及びさらなるビニルモノマーのコポリマーである。
【0013】
ポリエーテルの存在下で酢酸ビニル及びN-ビニルラクタムの重合により得られるコポリマーが、優先的に適当である。
【0014】
対応するコポリマーは、成分i)、ii)及びiii)の合計は100重量%であるという条件で、
i)30〜80重量%のN-ビニルラクタム、
ii)10〜50重量%の酢酸ビニル、及び
iii)10〜50重量%のポリエーテル
の混合物のフリーラジカル開始重合により得られる。
【0015】
本発明の一実施形態では、
i)30〜70重量%のN-ビニルラクタム、
ii)15〜35重量%の酢酸ビニル、及び
iii)10〜35重量%のポリエーテル
から得られる好ましいコポリマーが使用される。
【0016】
特に好ましく使用されるコポリマーは、
i)40〜60重量%のN-ビニルラクタム、
ii)15〜35重量%の酢酸ビニル、及び
iii)10〜30重量%のポリエーテル
から得られる。
【0017】
極めて特に好ましく使用されるコポリマーは、
i)50〜60重量%のN-ビニルラクタム、
ii)25〜35重量%の酢酸ビニル、及び
iii)10〜20重量%のポリエーテル
から得られる。
【0018】
好ましい及び特に好ましい組成物についても、成分i)、ii)及びiii)の合計は100重量%に等しいという条件を適用する。
【0019】
有用なN-ビニルラクタムは、N-ビニルカプロラクタム若しくはN-ビニルピロリドン又はこれらの混合物である。N-ビニルカプロラクタムを使用するのが好ましい。
【0020】
使用されるグラフトベースは、ポリエーテルである。有用なポリエーテルは、好ましくはポリアルキレングリコールである。ポリアルキレングリコールは、1000〜100000Da[ダルトン]、好ましくは1500〜35000Da、より好ましくは1500〜10000Daの分子量を有し得る。分子量は、DIN53240に従って測定されるOH数から決定される。
【0021】
特に好ましいポリアルキレングリコールには、ポリエチレングリコールが含まれる。ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン又はポリブチレングリコールもさらに適当であり、2-エチルオキシラン又は2,3-ジメチルオキシランから得られる。
【0022】
適当なポリエーテルはまた、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドから得られるポリアルキレングリコールのランダム又はブロックコポリマー、例えばポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールブロックコポリマーである。ブロックコポリマーは、AB型又はABA型であり得る。
【0023】
好ましいポリアルキレングリコールには、一つ又は両方のOH末端基でアルキル化されたものも含まれる。有用なアルキル基には、分枝又は非分枝C1-〜C22-アルキル基、好ましくはC1-〜C18-アルキル基、例えばメチル、エチル、n-ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、トリデシル又はオクタデシル基が含まれる。
【0024】
本発明により使用されるコポリマーを調製する一般的方法は、それ自体は既知である。これらのコポリマーは、好ましくは溶液中、非水性有機溶媒中又は混合非水性/水性溶媒中における、フリーラジカル開始重合により調製される。適当な調製方法は、例えば国際公開第2007/051743号及び国際公開第2009/013202号に記載されており、その開示は、調製方法に関して明確に言及されている。
【0025】
本発明によると、両親媒性コポリマー中に埋め込まれた難溶性の有効成分の配合物は、射出成形により成形品に加工される。
【0026】
難溶性の有効成分を含む両親媒性コポリマーから構成される配合物が射出成形工程に使用されることが本方法の特徴である。この目的のために、適当な容器中で加熱することにより、混合物を溶融体に転換することができる。これはまた、必要とされる射出温度が確保されるように、射出成形装置用の温度制御貯蔵容器中で行われていてもよい。貯蔵容器の温度は、60〜260℃、好ましくは90〜200℃であり得る。
【0027】
この貯蔵容器から、溶融体を圧力下で適当な射出成形用金型中へ移す又は注入することができる。型温は、40〜180℃、好ましくは70〜140℃であり得る。射出成形用金型から射出成形品を取り出すために、射出操作後に金型を冷却しなければならない。
【0028】
射出成形用金型は、種々の形状であり得る。成形品を錠剤形態に射出成形することが可能である。例えば、錠剤化などのさらなる工程段階を要しない固体剤形は、射出成形工程を介して得られる。成形品は、円柱状、レンズ状、菱形、三角形、四角形、多角形、楕円形、卵円形、二重半径を有する卵円形、正方形、クッション形、カートリッジ形、矢形、樽形、アーモンド形、盾形、半月形、ハート形、テーラード形態又はこれらの形態の組合せであり得る。射出成形用金型が、対応する成形品に破断痕(break marks)を入れることもさらに可能である。
【0029】
本発明のさらなる実施形態では、溶融押出機により、ポリマー溶融体を製造することができる。この目的のために、単軸押出機又は二軸押出機を使用することが可能である。この場合、適当な計量装置により、ポリマー又はポリマー-有効成分混合物が、粉末形態で押出機中に計量される。粉末混合物は、ここで、スクリューにより押出機中に引き入れられる。その後、成分の混合物が融解される。次いで、溶融体が射出成形装置の貯蔵容器中に進む。押出機バレル中の温度は、吸気バレルを通過後、最適な押出温度が決定されるまで上昇する。好都合には、押出温度は、溶融体が工程中に均一な特性を有するよう、貯蔵容器及び射出装置の温度と等しい。適当な温度範囲は、60〜260℃、好ましくは90〜200℃である。
【0030】
射出成形中での両親媒性ポリマーへの難溶性の有効成分の組込みの一つの利点は、通常の押出工程中にある場合に、難溶性の有効成分が、得られる基質中に非晶形又は固溶体で存在することである。射出成形による最終的な錠剤をもたらすためのさらなる加工は、工程を完全に連続的な製造工程にする。
【0031】
有効成分に加えて、配合物は、例えば、ガラス転移温度及び融解粘度を調節するためのポリマー、崩壊剤、さらなる可溶化剤、可塑剤、染料、香味剤、甘味剤、抗酸化剤などの安定剤、保存剤又は湿潤剤を含み得る。結晶化阻害剤、例えばKollidon 30の添加は、固溶体の安定性を増加させることを可能にする。
【0032】
さらに、融解粘度及び従って押出温度を低下させる界面活性剤を配合物中に組み込むこともさらに可能である。これらの物質はまた、起こりうる結晶化に積極的に影響を及ぼし得る。適当な物質は、例えば、Solutol HS 15、Tween 80、Cremophor RH40、ドクサートナトリウム又はラウリル硫酸ナトリウムである。
【0033】
本発明による方法により得られる成形品は、原則として、水難溶性又は水不溶性の有効成分のみが水性配合物中に使用されるか又は水性媒体中でその作用を示すことが予定される全分野で使用することができる。
【0034】
本発明によると、「水難溶性の」という用語はまた、実質的に不溶性の物質を含み、20℃の水中の物質の溶液については、物質1g当たり少なくとも水30〜100gが必要とされることを意味する。実質的に不溶性の物質の場合、物質1g当たり少なくとも水10000gが必要とされる。
【0035】
本発明の文脈では、水難溶性の物質は、好ましくは、ヒト及び動物用の有効医薬品成分、有効化粧品若しくは農薬成分、又は栄養補助食品若しくは有効栄養成分などの生物活性物質を意味すると理解される。
【0036】
さらに、可溶化される有用な難溶性の物質には、無機又は有機顔料などの染料も含まれる。
【0037】
本発明によると、有用な生物活性物質には、原則として、コポリマーの押出条件下での分解点よりも低い融点を有する全ての固体有効成分が含まれる。コポリマーは、一般的に、260℃以下の温度で押し出すことができる。下限温度は、各々の場合で、押し出される混合物の組成及び加工される難溶性の物質により導かれる。
【0038】
使用される有効医薬品成分は、水不溶性物質又は水溶性が低い物質である。DAB 9(Deutsches Arzneimittelbuch、German Pharmacopeia)によると、有効医薬品成分の溶解性は、以下のように分類される:低溶解性(30〜100部の溶媒に可溶);難溶性(100〜1000部の溶媒に可溶);実質的に不溶性(10000部を超える溶媒に可溶)。有効成分は、任意の効能部門に由来し得る。
【0039】
ここでの例には、ベンゾジアゼピン、降圧剤、ビタミン、細胞増殖抑制剤-特に、タキソール(taxol)、麻酔剤、神経遮断剤、抗うつ剤、抗ウイルス剤、例えば抗HIV薬、抗生物質、抗真菌剤、抗痴呆剤、殺菌剤、化学療法剤、泌尿器薬(urologics)、栓球凝集抑制剤、スルホンアミド、鎮痙剤、ホルモン、免疫グロブリン、血清、甲状腺治療剤、向精神剤、パーキンソン病薬及び他の抗多動剤(antihyperkinetics)、眼薬、神経障害製剤、カルシウム代謝調節剤、筋肉弛緩剤、麻酔薬、脂質低下薬、肝臓治療剤、冠状動脈薬(coronary drugs)、強心薬、免疫治療剤、調節ペプチド及びその抑制剤、催眠剤、鎮静剤、婦人科薬(gynecologicals)、痛風治療剤、線維素溶解薬、酵素製剤及び輸送タンパク質、酵素阻害剤、催吐剤、血行促進剤、利尿剤、診断剤、コルチコイド、コリン作動薬、胆管治療剤、抗喘息剤、気管支拡張剤、ベータ受容体遮断薬、カルシウムアンタゴニスト、ACE阻害剤、動脈硬化症薬、抗炎症薬、抗凝血剤、抗低血圧症剤、抗低血糖症剤、抗高血圧症剤、抗線維素溶解薬、抗てんかん剤、抗嘔吐剤、解毒剤、抗糖尿病剤、抗不整脈剤、抗貧血剤、抗アレルギー剤、駆虫剤、鎮痛剤、興奮剤、アルドステロンアンタゴニスト及び痩身剤が含まれる。
【0040】
上記医薬配合物の中で、経口投与可能な配合物が特に好ましい。
【0041】
医薬配合物中の両親媒性コポリマーの含量は、有効成分に依存し、1〜75重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは5〜50重量%の範囲にある。
【0042】
さらに特に好ましい実施形態は、有効成分及びコポリマーが固溶体として存在する医薬配合物に関する。この場合、溶媒の除去及び有効成分の組込みを一工程段階で行うことができる。ここでのコポリマーと有効成分の重量比は、好ましくは1:1〜4:1であるが、100:1以下、特に15:1以下であり得る。唯一の因子は、最終的な剤形に使用される場合、第一に有効量の有効成分が剤形中に存在し、第二に経口剤形の場合には形態が大きくなりすぎないことである。
【0043】
化粧品及び薬学での使用に加えて、本発明により製造される成形品は、食品部門での使用、例えば、水難溶性の若しくは水不溶性の栄養素、助剤又は添加物、例えば、脂溶性ビタミン又はカロテノイドの組込みにも適している。例としては、カロテノイドで着色された飲料が挙げられる。
【0044】
農薬における本発明により得られる配合物の使用には、殺有害生物剤、除草剤、殺菌剤又は殺虫剤を含む配合物、及び特に、噴霧又は灌水用配合物として使用される作物保護組成物の配合物も含まれる。
【0045】
本発明による方法を用いて、単純な方法で、難溶性の物質を含むいわゆる固溶体から種々の成形品を得ることが可能である。固溶体は、本発明によると、難溶性の物質の結晶成分が観察されない系を指す。
【0046】
安定な固溶体の視覚的評価をすると、非晶成分は明らかでない。視覚的評価は、40倍率で、偏光フィルターを備えた又は備えていない光学顕微鏡を使用して行うことができる。
【0047】
さらに、XRD(X線回折)及びDSC(示差走査熱量測定)を用いて、配合物の結晶化度及び非晶質性を調査することもできる。
【0048】
本発明による方法により得られる配合物は、上記のとおり、非晶形で存在し、これは生物活性物質の結晶成分が5重量%未満であることを意味する。非晶状態は、好ましくはDSC又はXRDにより確認される。このような非晶状態はまた、X線非晶状態とも呼ばれ得る。
【0049】
本発明による方法は、高い有効成分担持及び難溶性の物質の非晶状態に関して優れた安定性を有する安定な配合物の製造を可能にする。
【0050】
使用されるポリマーが比較的高分子量であることを考慮すると、成形品を単純で信頼できる方法で射出成形により得ることができることは予想外であった。
【実施例】
【0051】
両親媒性ポリマーの調製
攪拌装置中、供給2からの部分を含まない初期装入物をN2雰囲気下で77℃に加熱した。内部温度が77℃に達したら、供給2からの部分を添加し、15分間部分重合させた。その後、供給1を5時間以内及び供給2を2時間以内に計り入れた。いったん全供給を計り入れたら、反応混合物をさらに3時間重合させた。さらなる重合後、溶液を、50重量%の固体含量に調節した。
【0052】
初期装入:酢酸エチル25g
PEG6000 104.0g
供給2 1.0g
供給1:酢酸ビニル240g
ビニルカプロラクタム456g
酢酸エチル240g
供給2:tert-ブチルパーピバレート(脂肪族混合物中75重量%)10.44g
酢酸エチル67.90g
その後、噴霧工程により溶媒を除去して、粉末状生成物を得た。エタノール中1重量%溶液で測定すると、K値は36であった。
【0053】
成形品の製造
円錐形二軸押出機:
Haake MiniLab、Thermo Fisher、Karlsruhe、ドイツ
射出成形装置:
HAAKE MiniJet System、Thermo Fisher、Karlsruhe、ドイツ
バイパスオプションを作動させずに50rpmで二軸押出機を操作した。射出成形装置の射出圧力は、8バールで一定に保った。成形品を取り出す前に、射出成形用金型を常に室温まで冷却した。射出成形用金型は、円柱状成形品:直径4cm、平均厚さ3mmが得られるように設計した。
【0054】
以下の装置及び条件を使用して、製造した成形品の結晶化度及び非晶質性をXRD及びDSCにより分析した。
【0055】
XRD
機器:9チューブサンプルチェンジャーを備えたD8 Advance回折計(Bruker/AXS製)
測定方法:反射におけるθ-θ幾何学
角度範囲2θ:2〜80°
ステップ幅:0.02°
角度ステップ当たりの測定時間:4.8秒
発散スリット:0.4mmの挿入開口部を有するGobelミラー
発散防止スリット:Sollerスリット
検出器:Sol-X検出器
温度:室温
発生装置設定:40kV/50mA
DSC
TA Instruments製DSC Q 2000
パラメータ:
出発重量約8.5mg
加熱速度:20K/分
有効成分の放出は、USP(パドル法)2、37℃、50rpm(BTWS 600、Pharmatest)に従って測定した。放出された有効成分は、UV分光計(Lamda-2、Perkin Elmer)により検出した。
【0056】
実施例
実施例1
ポリマー10g及びシンナリジン(cinnarizine)(融点122℃)4gを、乳鉢及び乳棒を使用して手動で予混合した。
【0057】
混合物を、以下のパラメータで加工した:
押出機温度:140℃
スクリュー回転数50rpm
貯蔵容器温度:140℃
型温:120℃
成形品をXRD及びDSCにより分析すると、非晶質であることが分かった。最終成形品も、さらに調製することなく放出に使用した。0.1規定HCl中で1時間後、100%の有効成分が放出された。
【0058】
実施例2
ポリマー10g及びフェノフィブラート(fenofibrate)(融点81℃)4gを、乳鉢及び乳棒を使用して手動で予混合した。
【0059】
混合物を、以下のパラメータで加工した:
押出機温度:120℃
スクリュー回転数50rpm
貯蔵容器温度:120℃
型温:95℃
成形品をXRD及びDSCにより分析すると、非晶質であることが分かった。最終成形品も、さらに調製することなく放出に使用した。脱塩水中で1時間後、95%の有効成分が放出された。
【0060】
実施例3
ポリマー10g及びイトラコナゾール(itraconazole) (融点166℃)4g及びLutrol F68 2gを、乳鉢及び乳棒を使用して手動で予混合した。
【0061】
混合物を、以下のパラメータで加工した:
押出機温度:170℃
スクリュー回転数50rpm
貯蔵容器温度:170℃
型温:130℃
成形品をXRD及びDSCにより分析すると、非晶質であることが分かった。最終成形品も、さらに調製することなく放出に使用した。0.1規定HCl中で0.5時間後、40%の有効成分が放出された。
【0062】
実施例4
ポリマー8g及びダナゾール(danazol) (融点225℃)3g及びラウリル硫酸ナトリウム2gを、乳鉢及び乳棒を使用して手動で予混合した。
【0063】
混合物を、以下のパラメータで加工した:
押出機温度:180℃
スクリュー回転数50rpm
貯蔵容器温度:180℃
型温:150℃
成形品をXRD及びDSCにより分析すると、非晶質であることが分かった。最終成形品も、さらに調製することなく放出に使用した。pH7リン酸緩衝液中で0.5時間後、50%の有効成分が放出された。
【0064】
実施例5
ポリマー10g及びカルバマゼピン(carbamazepine)(融点192℃)5g及びPEG 1500 5gを、乳鉢及び乳棒を使用して手動で予混合した。
【0065】
混合物を、以下のパラメータで加工した:
押出機温度:165℃
スクリュー回転数50rpm
貯蔵容器温度:165℃
型温:120℃
成形品をXRD及びDSCにより分析すると、非晶質であることが分かった。最終成形品も、さらに調製することなく放出に使用した。0.1規定HCl中で1時間後、73%の有効成分が放出された。
【0066】
実施例6
ポリマー10g及びクロトリマゾール(clotrimazole) (融点145℃)3gを、乳鉢及び乳棒を使用して手動で予混合した。
【0067】
混合物を、以下のパラメータで加工した:
押出機温度:160℃
スクリュー回転数50rpm
貯蔵容器温度:160℃
型温:120℃
成形品をXRD及びDSCにより分析すると、非晶質であることが分かった。最終成形品も、さらに調製することなく放出に使用した。脱塩水中で1時間後、65%の有効成分が放出された。
【0068】
実施例7
ポリマー12g及びピロキシカム(piroxicam) (融点199℃)4.5gを、乳鉢及び乳棒を使用して手動で予混合した。
【0069】
混合物を、以下のパラメータで加工した:
押出機温度:170℃
スクリュー回転数50rpm
貯蔵容器温度:170℃
型温:140℃
成形品をXRD及びDSCにより分析すると、非晶質であることが分かった。最終成形品も、さらに調製することなく放出に使用した。pH4.5酢酸緩衝液中で0.5時間後、55%の有効成分が放出された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両親媒性コポリマー中に埋め込まれた水難溶性の有効成分の配合物から成形品を製造する方法であって、配合物の溶融体を射出成形することにより、配合物を成形するステップを含み、溶融体の型温が40〜180℃である方法。
【請求項2】
コポリマーが、成分i)、ii)及びiii)の合計が100重量%であるという条件で、
i)30〜80重量%のN-ビニルラクタム、
ii)10〜50重量%の酢酸ビニル、及び
iii)10〜50重量%のポリエーテル
の混合物のフリーラジカル開始重合により得られ、
難溶性の物質が、難溶性の物質の融点より高い温度でコポリマー中に埋め込まれている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
i)30〜70重量%のN-ビニルラクタム、
ii)15〜35重量%の酢酸ビニル、及び
iii)10〜35重量%のポリエーテル
から得られるコポリマーが使用される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
成分i)としてN-ビニルピロリドン若しくはN-ビニルカプロラクタム又は混合物を使用して得られるコポリマーが使用される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
成分i)としてN-ビニルカプロラクタムを使用して得られるコポリマーが使用される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
成分ii)としてポリエチレングリコールを使用して得られるコポリマーが使用される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
成分ii)として1000ダルトン〜10000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールを使用して得られるコポリマーが使用される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
10〜60のK値を有するコポリマーが使用される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
15〜40のK値を有するコポリマーが使用される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
溶融体の型温が70〜140℃である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
溶融体が、貯蔵容器を介して射出成形装置に供給される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
貯蔵容器の温度が60〜260℃である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
貯蔵容器の温度が90〜200℃である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
障害を治療するための医薬製剤を製造するための、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
化粧品配合物を製造するための、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
栄養補助食品又は栄養組成物を製造するための、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
染料の配合物を製造するための、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
配合物の溶融体が、溶融押出機の中で製造される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
埋め込みが260℃以下の温度で行われる、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
有効成分の再結晶化を阻止する作用剤が添加される、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2013−505210(P2013−505210A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529209(P2012−529209)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063090
【国際公開番号】WO2011/032860
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】