水を処理し、食物を洗浄するためのデバイス及び方法
水を迅速に供給するための小型デバイスを提供するために、本発明は水を処理し、且つ食物を洗浄するためのデバイス及び方法を提供する。当該デバイス1は容器2中に含有される水を処理し、当該デバイス1は前記容器2から前記デバイス1へと水を入力するための第1のユニット10と、前記入力水のpH値よりも高いpH値を有する第1の産出水、及び前記入力水のpH値よりも低いpH値を有する第2の産出水を、前記入力水から生成するための第2のユニット12と、第1の産出水又は第2の産出水を前記容器2へと戻すための第3のユニット14と、を有する。したがって、第1の産出水が前記容器へと戻され、当該処理が継続して一連のステップに従う場合、容器中の水のアルカリ度が次第に急速に増す。デバイスは小型で、且つ動作開始時からアルカリ水を提供する。あるアプリケーションでは、容器内に置かれた食物から農薬の残留物を除去するために本デバイス及び本方法が使用され、この作業が従来技術による洗浄デバイス及び洗浄方法と比較してより短時間で実行される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水の処理、特に台所で使用するアルカリ水の提供に関し、更に、このアルカリ水を使用して食物を洗浄するためのデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生鮮市場及びスーパーマーケットで購入された野菜及び果物などの食物は、しばしば、植付けの際に散布された農薬の残留部分を含み、短期間及び長期間の健康問題に至ることがある。食物を水に浸すことは食物の表面から埃を落すことができるが、農薬の残留部分を加水分解するためには長い時間を費やすことであろう。野菜をこすり洗いすることは、より短い時間で農薬の残留部分を取り除くことができるが、過剰なこすり洗いは食物に損傷を与えることであろう。
【0003】
食物から農薬を除去するための現時点での解決案は、水に溶かされたオゾンを使用することである。しかしオゾン・ガスは人間にとって有毒であり、溶かされたオゾンを含む水から当該ガスが漏れて、人間によって吸い込まれることがある。溶かされたオゾンを含有する現行の水製品は、推奨される値よりも非常に低い安全なレベルでオゾンを放出する。台所での農薬除去に関しては、危険な薬品を加えず、且つ自然環境へこれらの化学薬品を放出しないクリーンで安全な技術を使用することが必要である。
【0004】
大部分の農薬は、通常の水道水よりも非常に高い確率でアルカリ水中で加水分解されることができる。そしてアルカリ水は人間及び自然環境に対して無毒である。これ故、食物から農薬の残留部分を取り除くためにアルカリ水を使用することが有望である。食物を洗浄するための自動装置があった。例えば、国際特許公開公報WO 2009022987A1及び米国特許公開公報US 20070056610A1は、果物及び野菜の洗浄機を開示している。これらの機械では、洗浄される食物が機械の容器内に置かれ、水のスプレー、浸漬、又は気泡により洗浄される。しかしながら、これらの機械はアルカリ水の代わりに水道水を通常は使用する。アルカリ水を提供するために水道水を電気分解する電気分解デバイスがある。これらの現行のデバイスでは、水道水が電気分解デバイスのタンク内に連続的に注入され、予め規定されたpH値に達するようタンク内で電気分解され、同タンクから流出する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
予め規定されたpH値に達した場合にのみ、アルカリ水が出力されるとの事実に起因して、アルカリ水を提供するための現行のプロセスは比較的遅いことが理解される。加えて、水道水は通常Ca+イオン及びMg+イオンを含み、電気分解の際に(水に僅かに溶解するに過ぎない水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムを生成することによって)、これらのイオンは若干のヒドロオキシ基を消費する。したがって、Ca+イオン及びMg+イオンは、生成されたアルカリ水のアルカリ度を減少させる。Ca+イオン及びMg+イオンを有する水道水がデバイスに連続的に注入されるという事実に起因して、現行のデバイスの電気分解は、Ca+イオン及びMg+イオンによって常に影響を受けることが見て取れる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの懸念のうちの少なくとも一つにより良く対処するために、本発明の第1の態様では、容器に含有された水を処理するためのデバイスが提供される。当該デバイスは、
- 水を前記容器から前記デバイスに入力するための第1のユニットと、
- 入力された水よりも高いpH値を有する第1の産出水、及び入力された水よりも低いpH値を有する第2の産出水を入力された水から生成するための第2のユニットと、
- 第1の産出水又は第2の産出水を前記容器に戻すよう出力するための第3のユニットと、を有する。
【0007】
本発明の第2の態様では、デバイスを用いて容器内に含有された水を処理する方法が提供されており、当該方法は、
- 前記水を前記容器からデバイスへと入力するステップと、
- 入力された水よりも高いpH値を有する第1の産出水、及び入力された水よりも低いpH値を有する第2の産出水を入力された水から生成するステップと、
- 前記デバイスからの第1の産出水又は第2の産出水を前記容器に戻すよう出力するステップと、を含む。
【0008】
これら二つの態様は、本発明の概念として、容器内の水が容器から水のアルカリ度又は水の酸性度を増すためのデバイスへと供給され、次にアルカリ水又は酸性水を連続的に容器に戻すことを示している。言い換えれば本方法が繰り返し実行された場合、水のアルカリ度又は水の酸性度が予め規定されたレベルに達するまで、水は容器とデバイスとの間を循環する。したがって、アルカリ水又は酸性水が、このプロセスの初めから容器内に供給され、容器内の水のアルカリ度又は酸性水は連続的に増える。このプロセスは、アルカリ水及び酸性水を提供するために水道水を水の循環無しで使用するのに比較して、アルカリ水又は酸性水を供給するプロセスを加速する。
【0009】
好ましくは第2のユニットは、入力水よりも高いpH値を有する前記第1の産出水と、入力水よりも低いpH値を有する第2の産出水とを生成するために、前記入力水を電気分解するための電気分解ユニットを有する。言い換えれば、電気分解ユニットがアルカリ水及び酸性水を生成する。アルカリ水が容器へと出力され、酸性水が別の水タンクへと出力されるか又は直接排出された場合、容器内の水のアルカリ度は次第に急速に増す。同様に、酸性水が容器へと出力され、アルカリ水が別の水タンクへと出力されるか又は直接排出された場合、容器の水の酸性度は次第に急速に増大する。
【0010】
本発明の概念は容器内にアルカリ水を生成するために用いることができるが、容器内に酸性水を生成するために用いることもできる。
【0011】
この好ましい態様によって、Ca+イオン及びMg+イオンの負の影響は、アルカリ度のpH値が9又は多少高い値に達した場合にCa+イオン及びMg+イオンが実質的に消費されるという事実に起因して、生成プロセスの開始時にだけ発生する。この後、Ca+イオン及びMg+イオンは殆ど水中に存在せず、したがってpH値が加速的に増す。
【0012】
この好ましい態様によって、容器内の水のOH-の数の増加により、水の導電性は次第に増す。これ故、一定の電気分解電圧では、水の導電性が増加するにつれて電流はより大きくなる。したがって水の電気分解はますます激しくなる。電気分解の効率は、従来の方法と比べるとより高い。
【0013】
農薬及び埃が水道水中に比べてアルカリ水中において容易に加水分解されることができるので、本発明の第3の態様では、食物を洗浄するための装置が提供される。同装置は、
- 本発明の第1の態様によるデバイスと、
- アルカリ水及び洗浄される食物を含有する容器と、を有する。同装置はデバイス及び容器を1台の自立型の洗浄機に一体化しているが、容器がデバイスとは別の、二つの別々の部分のこともある。
【0014】
本発明の第4の態様によれば、容器中に在る生成されたアルカリ水を使用して容器内に置かれた食物を洗浄する方法が提供されており、本発明の第2の態様に従って水が処理され、当該水が本発明の第2の態様の方法に従って生成される。
【0015】
上記の第3の態様及び第4の態様によれば、水を処理する手順の前か又は同手順の開始時に、食物が容器に置かれることができる。容器中の水のアルカリ度が次第に増すという事実に起因して、農薬の残留部分を加水分解する手順が、アルカリ水を提供する手順と共に進行する。したがって、次第に増すアルカリ度を有する水を使用して食物を洗浄するプロセスは、アルカリ化の手順が完了した後にのみ始まるアルカリ水を使用する食物の洗浄プロセスよりも短い。
【0016】
好ましい実施例では、容器及びデバイスは互いに隔てられており、例えばデバイスは食物を洗浄するために設計され、容器は台所に普通に取り付けられたシンク(洗い桶)である。したがって、食物を洗浄するためのアルカリ水を得るために、及び食物を洗浄するために、ユーザは食物を洗い桶に置き、水道水を洗い桶に注入することができ、洗い桶内の水を処理するために、本発明によるデバイスを洗い桶のそばに配置することができよう。これはユーザにとって都合がよい。好都合にもデバイスは更に、洗浄プロセスの進行と共に洗い桶内の水が排水口から排出されるのを防ぐために、洗い桶の排水口に押し込まれることを目的とするプラグを有する。水が洗い桶から入力され、プラグを通して洗い桶へと出力されるよう、第1のユニット及び第3のユニットがプラグと接続している。この態様で、デバイスは、よりコンパクトで且つ視覚的に魅力的である。
【0017】
本発明のこれらの特徴及び他の特徴が、実施例の箇所において詳細に説明されることであろう。
【0018】
本発明の特徴、態様、及び長所が、限定されることのない以下の実施例の説明を添付の図面と共に読むことから明らかになるであろう。図において、同じ又は類似の参照番号は、同じ若しくは類似のステップ又は手段を指す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例による、水を処理するためのデバイスのブロック線図を示す。
【図2】本発明の一実施例に従うデバイスによって、水を処理する方法のフローチャートを示す。
【図3】電気分解ユニットの構造を概観的に示す。
【図4】本発明の一実施例による、水を処理するためのデバイスのスケッチである。
【図5】本発明の別の実施例による、水を処理するためのデバイスのスケッチである。
【図6】本発明の別の実施例による、デバイスに付随するプラグの斜視図のスケッチである。
【図7】本発明の別の実施例による、デバイスに付随するプラグの正面図のスケッチである。
【図8A】タンクとプラグとを有する、本発明の別の実施例の断面図を概観的に示す。
【図8B】プラグが抜かれた後、タンク内の水と洗い桶内の水とが混合されて排出される様子を示す。
【図8C】プラグの一断面図を示す。
【図8D】図8CのA-Aに沿った断面図を示す。
【図8E】図8A及び図8Bの水タンク及びプラグの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1及び図2を参照し、本発明の実施例によるデバイス及び方法を説明することによって、本発明の概念が解明されることであろう。
【0021】
デバイス1は水を処理するためにあり、水は容器2に含有されている。水は図1で破線により示されている。デバイス1は、
- 水を容器2からデバイス1へと入力するための第1のユニット10と、
- 入力された水よりも高いpH値を有する第1の産出水、及び入力された水よりも低いpH値を有する第2の産出水を入力された水から生成するための第2のユニット12と、
- 第1の産出水又は第2の産出水を前記容器2に戻すよう出力するための第3のユニット14と、を有する。また、デバイス1は更に第1のユニット10、第2のユニット12、及び第3のユニット14を制御するためのマイクロ制御ユニット(MCU)(図1には示されず)を有する。
【0022】
一実施例において、第1のユニット及び第3のユニットはパイプ及び揚水ポンプを有する。本発明の原理が説明された後に、この実施例が解説されることであろう。デバイスの電源はバッテリか、又はユーザの住宅の商用電力により提供されることができる。
【0023】
容器2に含有される水は、例えばユーザの住宅の水道菅からの水道水である。ステップS20において、第1のユニット10は水を容器2からデバイス1へと入力する。入力された水は、デバイス1の内部の流路を通して第1のユニット10から第2のユニット12へと流れる。
【0024】
ステップS26において、入力された水よりも高いpH値を有する第1の産出水、及び入力された水よりも低いpH値を有する第2の産出水を、第2のユニット12が入力された水から生成する。
【0025】
好ましい実施例では第2のユニット12は、第1の産出水及び第2の産出水を生成するために、入力された水を電気分解するための電気分解ユニットを有する。水の電気分解プロセスは、当業者にとっては普通の知識である。
【0026】
図3は電気分解ユニットの構造を示し、電気分解ユニットの動作が以下で簡潔に説明されよう。電気分解ユニットは電源Vと、水容器と、プラチナ又は他の不活性の金属から製造され、それぞれ電源Vの陽極及び陰極と接続している電極A及び同Cとを有する。薄膜が陽極A及び陰極Cが配置されている水の区画を隔てている。
【0027】
水処理手順の開始時は、入力された水は依然として中性である。入力された水が水容器に注入されたあと、それぞれ陽極A及び陰極Cの中を流れる二つの部分に分けられる。電源Vは陽極A及び陰極Cを介して電流を水に流す。陰極Cは電子を提供し、したがってOH-イオンが陰極Cに蓄積し、この結果、アルカリ水が生成される。アルカリ水の中の正に荷電されたイオンは、Na+、Ca+、Mg+などの金属イオンであり、これらはすでに水道水の中に存在する。陽極Aは電子を失い、したがって、H+イオンが陽極Aで蓄積し、この結果、酸性水が生成される。酸性水中の負に荷電したイオンは、Cl-などのイオンであり、これらはすでに水道水の中に存在する。薄膜がアルカリ水及び酸性水を隔てている。生成されたアルカリ水は出口01を通して容器から流出し、デバイス1内部の流路を通して第3のユニット14へと流れる。生成された酸性水は出口02を通して容器から流出する。
【0028】
水処理手順の開始の後、一定の時間が経過すると、これまでに生成されたアルカリ水が容器2に戻されるので、容器2内の中性の入力水はアルカリ性になる、アルカリ水を電気分解する電気分解ユニットの動作原理は、水道水を電気分解する動作原理と類似している。アルカリ水が電気分解ユニットを通して流れ、入力水のpH値よりも高いpH値を有する産出水が陰極Cで生成され、出口01を通して容器から流れ出る。入力水のpH値よりも低いpH値を有する水が陽極Aで生成され、出口02を通して容器から流れ出る。入力水のアルカリ度が増すにつれて、より低いpH値を有する水は、結果として僅かに酸性に、中性に、及び僅かにアルカリ性になることがある。
【0029】
本発明において、第1の産出水及び第2の産出水は第2のユニットによって入力水から生成された水を意味する。第1の産出水が更なる電気分解のために容器に送り返される場合、第1の産出水は常にpH値が連続的に増大するアルカリ水であろうし、第2の産出水は酸性の水、僅かに酸性の水、又は入力水のアルカリ度に応じて僅かにアルカリ性の水のことさえある。第2の産出水が更なる電気分解のために容器に送り返される場合、第2の産出水は常にpH値が連続的に減少する酸性の水であろうし、第1の産出水はアルカリ水、僅かにアルカリ性の水、及び入力水の酸性度に応じて僅かに酸性の水のことさえある。
【0030】
説明を簡単にするために、これ以降、本発明の範囲を限定することなく、容器2内にアルカリ水を生成する例を用いて説明がなされよう。即ち、より高いpH値を有する第1の産出水が第2のユニットから容器へと出力されることであろう。
【0031】
ステップS28において、第3のユニット14は容器2に産出水を戻すよう機能する。産出水は容器2内の水と混ざり、容器2の水のアルカリ度を増加させる。
【0032】
デバイス1は入力ステップS20、生成ステップS26、及び出力ステップS28を実行し続ける。水の流れに関しては、容器2内の水はデバイス1に連続的に入力され、入力水が電気分解されて入力水のアルカリ度が増した後に、容器へと送り返される。言い換えれば、水は容器2とデバイス1との間を循環する。この結果、容器2内の水のアルカリ度はますます高くなる。即ち、容器内の水は次第に増加したアルカリ度を有するアルカリ水となる。
【0033】
このプロセスを用いることによって、容器2内の水は水処理手順の始まりからアルカリ性であることができる。したがって、ユーザにとっては好都合である。
【0034】
また、アルカリ度のpH値が9か、僅かにより高い値に達したときに、Ca+イオン及びMg+イオンが消費されるとの事実に起因して、Ca+イオン及びMg+イオンの負の影響は、生成プロセスの開始時にのみ発生する。この後、Ca+イオン及びMg+イオンは殆ど水中に存在せず、結果として、pH値の増加の率はより急速になる。さらに、容器中の水のOH-の数の増加により、水の導電性は次第に増大する。これ故、一定の電解電圧の下では、水の導電性が増すにつれて電流はより大きくなる。したがって電気分解はますます激しくなる。これ故、アルカリ水を生成するために単に水道水を循環させずに使用するのと比較して、アルカリ性の水-生成プロセスを加速する。
【0035】
図1は、本発明の方法を使用して如何にアルカリ水を生成するかの例を示しているに過ぎず、同じ方法が酸性水を生成するために用いられることが可能である。この場合、生成された酸性水を容器2へと出力するために、出口02が第3のユニットと接続され、酸性水が容器2と電気分解ユニットとの間を循環することだろう。この結果、容器2内の水の酸性度は、より短い時間に予め規定されたレベルへと増加する。
【0036】
好ましくは、例えば安全性又は効率上の理由で、水、例えば食物を洗浄するための水のアルカリ度が予め規定された値に達したかどうかを調べることが必要である。斯様な場合、好ましい実施例ではデバイス1は更に検出器16を有する。ステップ20、同22、及び同24の反復に関連して、ステップS20の後のステップS22において、検出器16は入力水のpH値を検出する。当該検出器16はpHセンサ、pH計、又は他の手段のこともある。一例では、検出器16はpHガラスの電極又は半導体センサである。この場合、検出器16は、入力水が電気分解ユニットへと搬送される流路に取り付けられることができ、同流路に沿って流れる入力水のpH値を測定する。
【0037】
代替の実施例では、検出器16は入力水の一部のpH値を検出するために、化学的なインジケータを使用する。検出器16は例えば入力水のアルカリ度を変化させることによって、又は食用に適しない化学物質を加えることによって、入力水の検出部分を汚染する。容器2内の水を汚染するのを回避するために、この水の部分が容器2へ流れ戻ってはならない。入力水の検出された部分をデバイスから排出させるための第5のユニット、例えばパイプP4(図に示されない)をデバイス1は更に有する。
【0038】
別の実施例では、pH値の検出が水の導電率(EC)をモニタすることにより実行される。導電率は水中に溶かされた全てのイオンの濃度を反映する。通常の場合の水道水、即ちpH値7の前後の水道水では水のイオン化能力は非常に小さい。ほんの僅かのH+及びOH-イオンのみが水中に存在する。Ca2+、Mg2+、Na+、HC03-、及びCl-のような他のイオンが優勢であり、水の導電性に主に寄与している。
【0039】
電気分解の発生に伴ってH+イオンが排出され、OH-イオンが増して水の導電率に寄与する。これ故、EC値の変化はアルカリ水のpH値の変化を反映する。したがって、アルカリ水のpH値が、初期のEC値及びEC値の変化により算出されることができる。EC値対pH値モデルのパラメータは、電気分解システムの設定条件に従ってダイナミックに決定される。
【0040】
本実施例では、検出器16はECセンサと、ECの検出値に従ってpH値を算出するための計算機とを有する。ECセンサは例えば複数の電極とECメータとを有する。どのように溶液中のECを検出するかは従来技術にて十分に知られており、これ故詳細な説明がここでは与えられないであろう。
【0041】
ステップS24において、検出された結果に応じてデバイス1はステップS20、同S26、及び同S28 の繰り返しを停止するか又は再開する。例えば、検出された入力水のpH値が閾値と等しいか又は閾値以上であるとMCUが判断した場合、これは即ち、予め規定されたアルカリ度の水が得られたことを意味し、MCUは第1のユニット10、第2のユニット12、及び第3のユニット14の動作を止めるよう制御をおこなう。アルカリ水がしばらくの間使用され、同水のアルカリ度が下がった後、入力水の検出されたpH値が閾値以下であるとMCUが判断した場合、これは即ち、アルカリ水のアルカリ度が予め規定されたアルカリ度よりも低いことを意味し、MCU 18は第1のユニット10、第2のユニット12、及び第3のユニット14が上記のステップS20、同S26、及び同S28 の繰り返しを再開するよう制御をおこなう。
【0042】
この好ましい実施例では、デバイス1の動作を制御するためにpH値がモニタされ、この結果、水の安全性が保障される。即ち、水のpH値がユーザの肌を害するほど高くなることはないであろう。pH値の検出、及び検出されたpH値に応じたデバイス1の制御は、本発明では必ずしも必要とされるステップではないことに留意されたい。タイミングなどの他のパラメータも容器2内の水のアルカリ度を制御するために使うことができる。
【0043】
ステップS26で生成された酸性水及び弱酸性水など、より低いpH値をもつ第2の産出水に関して、これらは第3の管P3を通してデバイス1から放出される。別の実施例においては、第2の産出水がデバイス内のタンクTに貯蔵され、したがって後ほどユーザが使用するための第2の産出水が得られる。例えば、食物を洗浄するための本発明の以下の実施例では、タンクTに集められた第2の産出水は酸性水であることが予想されるので、食物の農薬残留物がアルカリ水によって取り除かれる前後にこれらの酸性水が食物を消毒し殺菌するために使われることができる。
【0044】
第1の産出水が容器2へと戻される場合、タンクTは第2の産出水を貯蔵するために使用され、第2の産出水が容器2へと戻される場合、タンクTは第1の産出水を貯蔵するために使用されることを理解されたい。
【0045】
上記の複数の実施例が本発明の概念を明らかにしている。以下の開示が本発明のより実際的な複数の実施例を明らかにすることであろう。図4は、本発明の一実施例による水を処理するためのデバイス1の概略である。容器2は台所の洗い桶である。水道の蛇口3が洗い桶2に水を注いだ。図4では洗い桶2内の水が波状の破線にて示されている。第1のユニットは洗い桶2から水を汲み上げるためのポンプ(図示されず)を有し、第1の管P1は水を洗い桶2から第2のユニットへと流すことができる。第1の管P1の入口は洗い桶2の水中に没しており、第1の管P1の出口は電気分解ユニットの入口Iと接続している。第3のユニットは第2の管P2を有し、第2のユニットと接続しており、生成された第1の産出水又は第2の産出水を第2のユニットから洗い桶2へと流すことができる。第1の産出水、即ちアルカリ水が洗い桶2へと戻されねばならない場合、第2の管P2の入口が電気分解ユニットの出口01と接続され、第2の管P2の出口が洗い桶2の水中に沈められる。第1の産出水が第2の管P2を経由して容器2へと戻される場合、前記第2のユニットと接続された第3の管P3は、第2の産出水がデバイス1から流れ出すことを可能にする。また、第2の産出水が第2の管P2を経由して容器2へと戻される場合、第3の管P3は、第1の産出水がデバイス1から流れ出すことを可能にする。
【0046】
出口から出力された水の中のOH-イオンが洗い桶の水中に分散することができ、全体的に洗い桶中の水のアルカリ度を増すために、第1の管P1の入口及び第2の管P2の出口は、同入口を通じて再度デバイスへと直接入力されるのではなく、好ましくは異なる方向を向く。
【0047】
過剰な配管を回避し、デバイスをよりコンパクトにして魅力的な外観とするために、第1の管P1と第2の管P2とがより大きなパイプP0に束ねられることができ、第1の管P1と第2の管P2とはパイプP0よりも少し長く、同パイプP0から延在する。
【0048】
上の実施例に基づく好ましい実施例では、図5に示すように、洗い桶2は自身の底部に排出口21をもち、当該排出口21は洗い桶2から水を排出するために、台所の下水管の排出パイプと接続されている。洗浄が進行中は洗い桶2中の水が排出口21から排出されるのを防ぐために、デバイス1は更に当該排出口21を塞ぐよう意図されたプラグ11を有する。洗い桶2中の水が当該洗い桶2からプラグ11の第1の流路に沿って第1の管P1へと流れることができるよう、第1の管P1がプラグ11と接続されている。図6に示すように、第1の流路はプラグ11の側壁にある穴H1から始まり、プラグ11の内側を延在し、第1の管P1の入口と接続している。第1の産出水又は第2の産出水が第2の管P2からプラグ11の第2の流路に沿って洗い桶へと流れることができるよう、第2の管P2がプラグ11と接続している。第2の流路は第2の管P2の出口から始まり、プラグ11の内側を延在し、プラグ11の側壁にある穴H2に到達する。
【0049】
第1の産出水が第2の管P2を経由して洗い桶2へと戻される場合は第2の産出水が第3の管P3からプラグ11の第3の流路に沿って排出口21へと流れることができるよう、又は第2の産出水が第2の管P2を経由して洗い桶2へと戻される場合は第1の産出水が第3の管P3からプラグ11の第3の流路に沿って排出口21へと流れることができるよう、好ましくは、第3の管P3がプラグ11と接続されている。
【0050】
好ましくは第3の管P3 も、第1の管P1及び第2の管P2と共にパイプP0内に束ねられる。
【0051】
入力水の検出部分を検出器16が汚染してしまう場合は、入力水の当該部分をデバイスから排出するために、汚染水をパイプP4 から穴H3を通して下水管の排出パイプへと排出口13中を流すことができるよう、パイプP4もパイプP0内の第1の管P1と第2の管P2とに束ねられ、プラグ11と接続される。代替的にはパイプP4は省略され、入力水の検出部分はより低いpH値をもつ水と混合され、パイプP3を経由して排出される。
【0052】
図8A乃至図8Eは本発明の別の実施例を示している。
【0053】
図8A及び図8Bに示すように、第1の産出水又は第2の産出水を貯蔵するためのタンクTが洗い桶2の底に置かれるよう設計される。デバイス1はプラグ82も有する。タンクTはプラグ82を収容するための穴86をもっており、タンクTが洗い桶2の底に置かれた場合、当該穴86は洗い桶2の排出口21と同じ位置にあることができる。好ましくは、穴86はタンクTの中央にある。
【0054】
図8C及び図8Dに示すように、プラグ82は穴H4、同H5、同H6を有する。洗い桶2内の水が当該桶2からプラグ82の第1の流路83中を第1の管P1へと流れることができるよう、第1の管P1がプラグ82と接続されている。図8Dに示されているように、第1の流路83はプラグ82の側壁にある穴H4から始まり、プラグ82の内側を延在し、第1の管P1の入口と接続している。
【0055】
第1の産出水又は第2の産出水が第2の管P2からプラグ82の第2の流路84を通じて洗い桶へと流れることができるよう、第2の管P2がプラグ82と接続している。第2の流路84は第2の管P2の出口から始まり、プラグ82の内側を延在し、プラグ82の側壁にある穴H5に到達する。
【0056】
第1の産出水が第2の管P2を経由して容器2へと戻される場合は第2の産出水が前記第3の管P3からプラグ82の第3の流路85に沿ってタンクTへと流れることができるよう、又は第2の産出水が第2の管P2を経由して容器2へと戻される場合は第1の産出水が前記第3の管P3からプラグ82の第3の流路に沿ってタンクTへと流れることができるよう、第3の管P3がプラグ82と接続されている。
【0057】
第3の流路85は第3の管P3の出口から始まり、プラグ82の内側を延在し、プラグ82の側壁にある穴H6に到達する。
【0058】
図8Eに示されるように、タンクTが、排水口21と嵌合する当該タンクの穴86を用いて洗い桶2の底に設置され、且つプラグ82がタンクTの穴へと挿入された場合、洗い桶2内の水が当該洗い桶の排出パイプへと排出されるのを防ぎ、タンクT内の水もタンクTから排出されるのを防ぐよう、タンクTの穴86及びプラグ82が設計される。
【0059】
図8Aに示されるように、野菜の洗浄を始める場合、ユーザはプラグ82をタンクTへ挿入する。酸性水のパイプP3及びアルカリ水のパイプP2が、酸性水をタンクTへと、アルカリ水を洗い桶2へとそれぞれ放出する。タンクT内の空気は空気出口を通じて圧出されることができる。
【0060】
アルカリ水で野菜を洗浄した後、ユーザはプラグ82を穴86から引き抜き、洗い桶2内のアルカリ水とタンクT内の酸性水とが両方とも同時に排出口21へと流れ、両者が排出口21で合流したとき、洗い桶2からのアルカリ水とタンクTからの酸性水とが混合し、中和現象を生じることであろう。次に、図8Bに示すように、混合された排水が下水管へと直接放出される。この結果、斯様に排出された水は自然環境に対して安全である。図8A及び図8Bにおいて、矢印の線が水の流れる方向を示している。
【0061】
これまでに本発明の複数の実施例が詳細に説明されたが、上で説明した実施例は例示目的に過ぎず、本発明を限定するものとして解釈されてはならないことを留意されたい。本発明がこれらの実施例に限定されることはない。
【0062】
例えば、第2のユニットがナトリウムの水酸化物の粉末又はアルカリ液を貯蔵する箱若しくは容器でもよい。入力水のアルカリ度を増すために、第2のユニットが当該粉末又はアルカリ液を入力水に入れて、より高いpH値をもつ産出水を得ることもできる。入力水から当該入力水のpH値よりも高いpH値をもつ水を生成できるあらゆるユニットが、本発明の請求項の保護範囲に分類されることを留意されたい。
【0063】
これまでの説明、図面、及び添付の請求項を学習することによって、当業者は開示された実施例を理解し、同実施例に対する改変を具現化することが出来よう。本発明の意図から逸脱することなく、すべての斯様な改変が添付の請求項の範囲に含まれるよう意図されている。用語「有する」が、請求項又は説明中に羅列されてはいないエレメント又はステップの存在を排除することはない。エレメントに先行する用語「a」又は[an]が、斯様なエレメントの複数の存在を排除することはない。本発明を実施する際に、請求項中の複数の技術的な特徴が一つのコンポーネントによって具体化されることができる。請求項において、括弧内に置かれたどのような参照符号も当該請求項を限定するものとして解釈されてはならない。
【技術分野】
【0001】
本発明は水の処理、特に台所で使用するアルカリ水の提供に関し、更に、このアルカリ水を使用して食物を洗浄するためのデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生鮮市場及びスーパーマーケットで購入された野菜及び果物などの食物は、しばしば、植付けの際に散布された農薬の残留部分を含み、短期間及び長期間の健康問題に至ることがある。食物を水に浸すことは食物の表面から埃を落すことができるが、農薬の残留部分を加水分解するためには長い時間を費やすことであろう。野菜をこすり洗いすることは、より短い時間で農薬の残留部分を取り除くことができるが、過剰なこすり洗いは食物に損傷を与えることであろう。
【0003】
食物から農薬を除去するための現時点での解決案は、水に溶かされたオゾンを使用することである。しかしオゾン・ガスは人間にとって有毒であり、溶かされたオゾンを含む水から当該ガスが漏れて、人間によって吸い込まれることがある。溶かされたオゾンを含有する現行の水製品は、推奨される値よりも非常に低い安全なレベルでオゾンを放出する。台所での農薬除去に関しては、危険な薬品を加えず、且つ自然環境へこれらの化学薬品を放出しないクリーンで安全な技術を使用することが必要である。
【0004】
大部分の農薬は、通常の水道水よりも非常に高い確率でアルカリ水中で加水分解されることができる。そしてアルカリ水は人間及び自然環境に対して無毒である。これ故、食物から農薬の残留部分を取り除くためにアルカリ水を使用することが有望である。食物を洗浄するための自動装置があった。例えば、国際特許公開公報WO 2009022987A1及び米国特許公開公報US 20070056610A1は、果物及び野菜の洗浄機を開示している。これらの機械では、洗浄される食物が機械の容器内に置かれ、水のスプレー、浸漬、又は気泡により洗浄される。しかしながら、これらの機械はアルカリ水の代わりに水道水を通常は使用する。アルカリ水を提供するために水道水を電気分解する電気分解デバイスがある。これらの現行のデバイスでは、水道水が電気分解デバイスのタンク内に連続的に注入され、予め規定されたpH値に達するようタンク内で電気分解され、同タンクから流出する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
予め規定されたpH値に達した場合にのみ、アルカリ水が出力されるとの事実に起因して、アルカリ水を提供するための現行のプロセスは比較的遅いことが理解される。加えて、水道水は通常Ca+イオン及びMg+イオンを含み、電気分解の際に(水に僅かに溶解するに過ぎない水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムを生成することによって)、これらのイオンは若干のヒドロオキシ基を消費する。したがって、Ca+イオン及びMg+イオンは、生成されたアルカリ水のアルカリ度を減少させる。Ca+イオン及びMg+イオンを有する水道水がデバイスに連続的に注入されるという事実に起因して、現行のデバイスの電気分解は、Ca+イオン及びMg+イオンによって常に影響を受けることが見て取れる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの懸念のうちの少なくとも一つにより良く対処するために、本発明の第1の態様では、容器に含有された水を処理するためのデバイスが提供される。当該デバイスは、
- 水を前記容器から前記デバイスに入力するための第1のユニットと、
- 入力された水よりも高いpH値を有する第1の産出水、及び入力された水よりも低いpH値を有する第2の産出水を入力された水から生成するための第2のユニットと、
- 第1の産出水又は第2の産出水を前記容器に戻すよう出力するための第3のユニットと、を有する。
【0007】
本発明の第2の態様では、デバイスを用いて容器内に含有された水を処理する方法が提供されており、当該方法は、
- 前記水を前記容器からデバイスへと入力するステップと、
- 入力された水よりも高いpH値を有する第1の産出水、及び入力された水よりも低いpH値を有する第2の産出水を入力された水から生成するステップと、
- 前記デバイスからの第1の産出水又は第2の産出水を前記容器に戻すよう出力するステップと、を含む。
【0008】
これら二つの態様は、本発明の概念として、容器内の水が容器から水のアルカリ度又は水の酸性度を増すためのデバイスへと供給され、次にアルカリ水又は酸性水を連続的に容器に戻すことを示している。言い換えれば本方法が繰り返し実行された場合、水のアルカリ度又は水の酸性度が予め規定されたレベルに達するまで、水は容器とデバイスとの間を循環する。したがって、アルカリ水又は酸性水が、このプロセスの初めから容器内に供給され、容器内の水のアルカリ度又は酸性水は連続的に増える。このプロセスは、アルカリ水及び酸性水を提供するために水道水を水の循環無しで使用するのに比較して、アルカリ水又は酸性水を供給するプロセスを加速する。
【0009】
好ましくは第2のユニットは、入力水よりも高いpH値を有する前記第1の産出水と、入力水よりも低いpH値を有する第2の産出水とを生成するために、前記入力水を電気分解するための電気分解ユニットを有する。言い換えれば、電気分解ユニットがアルカリ水及び酸性水を生成する。アルカリ水が容器へと出力され、酸性水が別の水タンクへと出力されるか又は直接排出された場合、容器内の水のアルカリ度は次第に急速に増す。同様に、酸性水が容器へと出力され、アルカリ水が別の水タンクへと出力されるか又は直接排出された場合、容器の水の酸性度は次第に急速に増大する。
【0010】
本発明の概念は容器内にアルカリ水を生成するために用いることができるが、容器内に酸性水を生成するために用いることもできる。
【0011】
この好ましい態様によって、Ca+イオン及びMg+イオンの負の影響は、アルカリ度のpH値が9又は多少高い値に達した場合にCa+イオン及びMg+イオンが実質的に消費されるという事実に起因して、生成プロセスの開始時にだけ発生する。この後、Ca+イオン及びMg+イオンは殆ど水中に存在せず、したがってpH値が加速的に増す。
【0012】
この好ましい態様によって、容器内の水のOH-の数の増加により、水の導電性は次第に増す。これ故、一定の電気分解電圧では、水の導電性が増加するにつれて電流はより大きくなる。したがって水の電気分解はますます激しくなる。電気分解の効率は、従来の方法と比べるとより高い。
【0013】
農薬及び埃が水道水中に比べてアルカリ水中において容易に加水分解されることができるので、本発明の第3の態様では、食物を洗浄するための装置が提供される。同装置は、
- 本発明の第1の態様によるデバイスと、
- アルカリ水及び洗浄される食物を含有する容器と、を有する。同装置はデバイス及び容器を1台の自立型の洗浄機に一体化しているが、容器がデバイスとは別の、二つの別々の部分のこともある。
【0014】
本発明の第4の態様によれば、容器中に在る生成されたアルカリ水を使用して容器内に置かれた食物を洗浄する方法が提供されており、本発明の第2の態様に従って水が処理され、当該水が本発明の第2の態様の方法に従って生成される。
【0015】
上記の第3の態様及び第4の態様によれば、水を処理する手順の前か又は同手順の開始時に、食物が容器に置かれることができる。容器中の水のアルカリ度が次第に増すという事実に起因して、農薬の残留部分を加水分解する手順が、アルカリ水を提供する手順と共に進行する。したがって、次第に増すアルカリ度を有する水を使用して食物を洗浄するプロセスは、アルカリ化の手順が完了した後にのみ始まるアルカリ水を使用する食物の洗浄プロセスよりも短い。
【0016】
好ましい実施例では、容器及びデバイスは互いに隔てられており、例えばデバイスは食物を洗浄するために設計され、容器は台所に普通に取り付けられたシンク(洗い桶)である。したがって、食物を洗浄するためのアルカリ水を得るために、及び食物を洗浄するために、ユーザは食物を洗い桶に置き、水道水を洗い桶に注入することができ、洗い桶内の水を処理するために、本発明によるデバイスを洗い桶のそばに配置することができよう。これはユーザにとって都合がよい。好都合にもデバイスは更に、洗浄プロセスの進行と共に洗い桶内の水が排水口から排出されるのを防ぐために、洗い桶の排水口に押し込まれることを目的とするプラグを有する。水が洗い桶から入力され、プラグを通して洗い桶へと出力されるよう、第1のユニット及び第3のユニットがプラグと接続している。この態様で、デバイスは、よりコンパクトで且つ視覚的に魅力的である。
【0017】
本発明のこれらの特徴及び他の特徴が、実施例の箇所において詳細に説明されることであろう。
【0018】
本発明の特徴、態様、及び長所が、限定されることのない以下の実施例の説明を添付の図面と共に読むことから明らかになるであろう。図において、同じ又は類似の参照番号は、同じ若しくは類似のステップ又は手段を指す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例による、水を処理するためのデバイスのブロック線図を示す。
【図2】本発明の一実施例に従うデバイスによって、水を処理する方法のフローチャートを示す。
【図3】電気分解ユニットの構造を概観的に示す。
【図4】本発明の一実施例による、水を処理するためのデバイスのスケッチである。
【図5】本発明の別の実施例による、水を処理するためのデバイスのスケッチである。
【図6】本発明の別の実施例による、デバイスに付随するプラグの斜視図のスケッチである。
【図7】本発明の別の実施例による、デバイスに付随するプラグの正面図のスケッチである。
【図8A】タンクとプラグとを有する、本発明の別の実施例の断面図を概観的に示す。
【図8B】プラグが抜かれた後、タンク内の水と洗い桶内の水とが混合されて排出される様子を示す。
【図8C】プラグの一断面図を示す。
【図8D】図8CのA-Aに沿った断面図を示す。
【図8E】図8A及び図8Bの水タンク及びプラグの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1及び図2を参照し、本発明の実施例によるデバイス及び方法を説明することによって、本発明の概念が解明されることであろう。
【0021】
デバイス1は水を処理するためにあり、水は容器2に含有されている。水は図1で破線により示されている。デバイス1は、
- 水を容器2からデバイス1へと入力するための第1のユニット10と、
- 入力された水よりも高いpH値を有する第1の産出水、及び入力された水よりも低いpH値を有する第2の産出水を入力された水から生成するための第2のユニット12と、
- 第1の産出水又は第2の産出水を前記容器2に戻すよう出力するための第3のユニット14と、を有する。また、デバイス1は更に第1のユニット10、第2のユニット12、及び第3のユニット14を制御するためのマイクロ制御ユニット(MCU)(図1には示されず)を有する。
【0022】
一実施例において、第1のユニット及び第3のユニットはパイプ及び揚水ポンプを有する。本発明の原理が説明された後に、この実施例が解説されることであろう。デバイスの電源はバッテリか、又はユーザの住宅の商用電力により提供されることができる。
【0023】
容器2に含有される水は、例えばユーザの住宅の水道菅からの水道水である。ステップS20において、第1のユニット10は水を容器2からデバイス1へと入力する。入力された水は、デバイス1の内部の流路を通して第1のユニット10から第2のユニット12へと流れる。
【0024】
ステップS26において、入力された水よりも高いpH値を有する第1の産出水、及び入力された水よりも低いpH値を有する第2の産出水を、第2のユニット12が入力された水から生成する。
【0025】
好ましい実施例では第2のユニット12は、第1の産出水及び第2の産出水を生成するために、入力された水を電気分解するための電気分解ユニットを有する。水の電気分解プロセスは、当業者にとっては普通の知識である。
【0026】
図3は電気分解ユニットの構造を示し、電気分解ユニットの動作が以下で簡潔に説明されよう。電気分解ユニットは電源Vと、水容器と、プラチナ又は他の不活性の金属から製造され、それぞれ電源Vの陽極及び陰極と接続している電極A及び同Cとを有する。薄膜が陽極A及び陰極Cが配置されている水の区画を隔てている。
【0027】
水処理手順の開始時は、入力された水は依然として中性である。入力された水が水容器に注入されたあと、それぞれ陽極A及び陰極Cの中を流れる二つの部分に分けられる。電源Vは陽極A及び陰極Cを介して電流を水に流す。陰極Cは電子を提供し、したがってOH-イオンが陰極Cに蓄積し、この結果、アルカリ水が生成される。アルカリ水の中の正に荷電されたイオンは、Na+、Ca+、Mg+などの金属イオンであり、これらはすでに水道水の中に存在する。陽極Aは電子を失い、したがって、H+イオンが陽極Aで蓄積し、この結果、酸性水が生成される。酸性水中の負に荷電したイオンは、Cl-などのイオンであり、これらはすでに水道水の中に存在する。薄膜がアルカリ水及び酸性水を隔てている。生成されたアルカリ水は出口01を通して容器から流出し、デバイス1内部の流路を通して第3のユニット14へと流れる。生成された酸性水は出口02を通して容器から流出する。
【0028】
水処理手順の開始の後、一定の時間が経過すると、これまでに生成されたアルカリ水が容器2に戻されるので、容器2内の中性の入力水はアルカリ性になる、アルカリ水を電気分解する電気分解ユニットの動作原理は、水道水を電気分解する動作原理と類似している。アルカリ水が電気分解ユニットを通して流れ、入力水のpH値よりも高いpH値を有する産出水が陰極Cで生成され、出口01を通して容器から流れ出る。入力水のpH値よりも低いpH値を有する水が陽極Aで生成され、出口02を通して容器から流れ出る。入力水のアルカリ度が増すにつれて、より低いpH値を有する水は、結果として僅かに酸性に、中性に、及び僅かにアルカリ性になることがある。
【0029】
本発明において、第1の産出水及び第2の産出水は第2のユニットによって入力水から生成された水を意味する。第1の産出水が更なる電気分解のために容器に送り返される場合、第1の産出水は常にpH値が連続的に増大するアルカリ水であろうし、第2の産出水は酸性の水、僅かに酸性の水、又は入力水のアルカリ度に応じて僅かにアルカリ性の水のことさえある。第2の産出水が更なる電気分解のために容器に送り返される場合、第2の産出水は常にpH値が連続的に減少する酸性の水であろうし、第1の産出水はアルカリ水、僅かにアルカリ性の水、及び入力水の酸性度に応じて僅かに酸性の水のことさえある。
【0030】
説明を簡単にするために、これ以降、本発明の範囲を限定することなく、容器2内にアルカリ水を生成する例を用いて説明がなされよう。即ち、より高いpH値を有する第1の産出水が第2のユニットから容器へと出力されることであろう。
【0031】
ステップS28において、第3のユニット14は容器2に産出水を戻すよう機能する。産出水は容器2内の水と混ざり、容器2の水のアルカリ度を増加させる。
【0032】
デバイス1は入力ステップS20、生成ステップS26、及び出力ステップS28を実行し続ける。水の流れに関しては、容器2内の水はデバイス1に連続的に入力され、入力水が電気分解されて入力水のアルカリ度が増した後に、容器へと送り返される。言い換えれば、水は容器2とデバイス1との間を循環する。この結果、容器2内の水のアルカリ度はますます高くなる。即ち、容器内の水は次第に増加したアルカリ度を有するアルカリ水となる。
【0033】
このプロセスを用いることによって、容器2内の水は水処理手順の始まりからアルカリ性であることができる。したがって、ユーザにとっては好都合である。
【0034】
また、アルカリ度のpH値が9か、僅かにより高い値に達したときに、Ca+イオン及びMg+イオンが消費されるとの事実に起因して、Ca+イオン及びMg+イオンの負の影響は、生成プロセスの開始時にのみ発生する。この後、Ca+イオン及びMg+イオンは殆ど水中に存在せず、結果として、pH値の増加の率はより急速になる。さらに、容器中の水のOH-の数の増加により、水の導電性は次第に増大する。これ故、一定の電解電圧の下では、水の導電性が増すにつれて電流はより大きくなる。したがって電気分解はますます激しくなる。これ故、アルカリ水を生成するために単に水道水を循環させずに使用するのと比較して、アルカリ性の水-生成プロセスを加速する。
【0035】
図1は、本発明の方法を使用して如何にアルカリ水を生成するかの例を示しているに過ぎず、同じ方法が酸性水を生成するために用いられることが可能である。この場合、生成された酸性水を容器2へと出力するために、出口02が第3のユニットと接続され、酸性水が容器2と電気分解ユニットとの間を循環することだろう。この結果、容器2内の水の酸性度は、より短い時間に予め規定されたレベルへと増加する。
【0036】
好ましくは、例えば安全性又は効率上の理由で、水、例えば食物を洗浄するための水のアルカリ度が予め規定された値に達したかどうかを調べることが必要である。斯様な場合、好ましい実施例ではデバイス1は更に検出器16を有する。ステップ20、同22、及び同24の反復に関連して、ステップS20の後のステップS22において、検出器16は入力水のpH値を検出する。当該検出器16はpHセンサ、pH計、又は他の手段のこともある。一例では、検出器16はpHガラスの電極又は半導体センサである。この場合、検出器16は、入力水が電気分解ユニットへと搬送される流路に取り付けられることができ、同流路に沿って流れる入力水のpH値を測定する。
【0037】
代替の実施例では、検出器16は入力水の一部のpH値を検出するために、化学的なインジケータを使用する。検出器16は例えば入力水のアルカリ度を変化させることによって、又は食用に適しない化学物質を加えることによって、入力水の検出部分を汚染する。容器2内の水を汚染するのを回避するために、この水の部分が容器2へ流れ戻ってはならない。入力水の検出された部分をデバイスから排出させるための第5のユニット、例えばパイプP4(図に示されない)をデバイス1は更に有する。
【0038】
別の実施例では、pH値の検出が水の導電率(EC)をモニタすることにより実行される。導電率は水中に溶かされた全てのイオンの濃度を反映する。通常の場合の水道水、即ちpH値7の前後の水道水では水のイオン化能力は非常に小さい。ほんの僅かのH+及びOH-イオンのみが水中に存在する。Ca2+、Mg2+、Na+、HC03-、及びCl-のような他のイオンが優勢であり、水の導電性に主に寄与している。
【0039】
電気分解の発生に伴ってH+イオンが排出され、OH-イオンが増して水の導電率に寄与する。これ故、EC値の変化はアルカリ水のpH値の変化を反映する。したがって、アルカリ水のpH値が、初期のEC値及びEC値の変化により算出されることができる。EC値対pH値モデルのパラメータは、電気分解システムの設定条件に従ってダイナミックに決定される。
【0040】
本実施例では、検出器16はECセンサと、ECの検出値に従ってpH値を算出するための計算機とを有する。ECセンサは例えば複数の電極とECメータとを有する。どのように溶液中のECを検出するかは従来技術にて十分に知られており、これ故詳細な説明がここでは与えられないであろう。
【0041】
ステップS24において、検出された結果に応じてデバイス1はステップS20、同S26、及び同S28 の繰り返しを停止するか又は再開する。例えば、検出された入力水のpH値が閾値と等しいか又は閾値以上であるとMCUが判断した場合、これは即ち、予め規定されたアルカリ度の水が得られたことを意味し、MCUは第1のユニット10、第2のユニット12、及び第3のユニット14の動作を止めるよう制御をおこなう。アルカリ水がしばらくの間使用され、同水のアルカリ度が下がった後、入力水の検出されたpH値が閾値以下であるとMCUが判断した場合、これは即ち、アルカリ水のアルカリ度が予め規定されたアルカリ度よりも低いことを意味し、MCU 18は第1のユニット10、第2のユニット12、及び第3のユニット14が上記のステップS20、同S26、及び同S28 の繰り返しを再開するよう制御をおこなう。
【0042】
この好ましい実施例では、デバイス1の動作を制御するためにpH値がモニタされ、この結果、水の安全性が保障される。即ち、水のpH値がユーザの肌を害するほど高くなることはないであろう。pH値の検出、及び検出されたpH値に応じたデバイス1の制御は、本発明では必ずしも必要とされるステップではないことに留意されたい。タイミングなどの他のパラメータも容器2内の水のアルカリ度を制御するために使うことができる。
【0043】
ステップS26で生成された酸性水及び弱酸性水など、より低いpH値をもつ第2の産出水に関して、これらは第3の管P3を通してデバイス1から放出される。別の実施例においては、第2の産出水がデバイス内のタンクTに貯蔵され、したがって後ほどユーザが使用するための第2の産出水が得られる。例えば、食物を洗浄するための本発明の以下の実施例では、タンクTに集められた第2の産出水は酸性水であることが予想されるので、食物の農薬残留物がアルカリ水によって取り除かれる前後にこれらの酸性水が食物を消毒し殺菌するために使われることができる。
【0044】
第1の産出水が容器2へと戻される場合、タンクTは第2の産出水を貯蔵するために使用され、第2の産出水が容器2へと戻される場合、タンクTは第1の産出水を貯蔵するために使用されることを理解されたい。
【0045】
上記の複数の実施例が本発明の概念を明らかにしている。以下の開示が本発明のより実際的な複数の実施例を明らかにすることであろう。図4は、本発明の一実施例による水を処理するためのデバイス1の概略である。容器2は台所の洗い桶である。水道の蛇口3が洗い桶2に水を注いだ。図4では洗い桶2内の水が波状の破線にて示されている。第1のユニットは洗い桶2から水を汲み上げるためのポンプ(図示されず)を有し、第1の管P1は水を洗い桶2から第2のユニットへと流すことができる。第1の管P1の入口は洗い桶2の水中に没しており、第1の管P1の出口は電気分解ユニットの入口Iと接続している。第3のユニットは第2の管P2を有し、第2のユニットと接続しており、生成された第1の産出水又は第2の産出水を第2のユニットから洗い桶2へと流すことができる。第1の産出水、即ちアルカリ水が洗い桶2へと戻されねばならない場合、第2の管P2の入口が電気分解ユニットの出口01と接続され、第2の管P2の出口が洗い桶2の水中に沈められる。第1の産出水が第2の管P2を経由して容器2へと戻される場合、前記第2のユニットと接続された第3の管P3は、第2の産出水がデバイス1から流れ出すことを可能にする。また、第2の産出水が第2の管P2を経由して容器2へと戻される場合、第3の管P3は、第1の産出水がデバイス1から流れ出すことを可能にする。
【0046】
出口から出力された水の中のOH-イオンが洗い桶の水中に分散することができ、全体的に洗い桶中の水のアルカリ度を増すために、第1の管P1の入口及び第2の管P2の出口は、同入口を通じて再度デバイスへと直接入力されるのではなく、好ましくは異なる方向を向く。
【0047】
過剰な配管を回避し、デバイスをよりコンパクトにして魅力的な外観とするために、第1の管P1と第2の管P2とがより大きなパイプP0に束ねられることができ、第1の管P1と第2の管P2とはパイプP0よりも少し長く、同パイプP0から延在する。
【0048】
上の実施例に基づく好ましい実施例では、図5に示すように、洗い桶2は自身の底部に排出口21をもち、当該排出口21は洗い桶2から水を排出するために、台所の下水管の排出パイプと接続されている。洗浄が進行中は洗い桶2中の水が排出口21から排出されるのを防ぐために、デバイス1は更に当該排出口21を塞ぐよう意図されたプラグ11を有する。洗い桶2中の水が当該洗い桶2からプラグ11の第1の流路に沿って第1の管P1へと流れることができるよう、第1の管P1がプラグ11と接続されている。図6に示すように、第1の流路はプラグ11の側壁にある穴H1から始まり、プラグ11の内側を延在し、第1の管P1の入口と接続している。第1の産出水又は第2の産出水が第2の管P2からプラグ11の第2の流路に沿って洗い桶へと流れることができるよう、第2の管P2がプラグ11と接続している。第2の流路は第2の管P2の出口から始まり、プラグ11の内側を延在し、プラグ11の側壁にある穴H2に到達する。
【0049】
第1の産出水が第2の管P2を経由して洗い桶2へと戻される場合は第2の産出水が第3の管P3からプラグ11の第3の流路に沿って排出口21へと流れることができるよう、又は第2の産出水が第2の管P2を経由して洗い桶2へと戻される場合は第1の産出水が第3の管P3からプラグ11の第3の流路に沿って排出口21へと流れることができるよう、好ましくは、第3の管P3がプラグ11と接続されている。
【0050】
好ましくは第3の管P3 も、第1の管P1及び第2の管P2と共にパイプP0内に束ねられる。
【0051】
入力水の検出部分を検出器16が汚染してしまう場合は、入力水の当該部分をデバイスから排出するために、汚染水をパイプP4 から穴H3を通して下水管の排出パイプへと排出口13中を流すことができるよう、パイプP4もパイプP0内の第1の管P1と第2の管P2とに束ねられ、プラグ11と接続される。代替的にはパイプP4は省略され、入力水の検出部分はより低いpH値をもつ水と混合され、パイプP3を経由して排出される。
【0052】
図8A乃至図8Eは本発明の別の実施例を示している。
【0053】
図8A及び図8Bに示すように、第1の産出水又は第2の産出水を貯蔵するためのタンクTが洗い桶2の底に置かれるよう設計される。デバイス1はプラグ82も有する。タンクTはプラグ82を収容するための穴86をもっており、タンクTが洗い桶2の底に置かれた場合、当該穴86は洗い桶2の排出口21と同じ位置にあることができる。好ましくは、穴86はタンクTの中央にある。
【0054】
図8C及び図8Dに示すように、プラグ82は穴H4、同H5、同H6を有する。洗い桶2内の水が当該桶2からプラグ82の第1の流路83中を第1の管P1へと流れることができるよう、第1の管P1がプラグ82と接続されている。図8Dに示されているように、第1の流路83はプラグ82の側壁にある穴H4から始まり、プラグ82の内側を延在し、第1の管P1の入口と接続している。
【0055】
第1の産出水又は第2の産出水が第2の管P2からプラグ82の第2の流路84を通じて洗い桶へと流れることができるよう、第2の管P2がプラグ82と接続している。第2の流路84は第2の管P2の出口から始まり、プラグ82の内側を延在し、プラグ82の側壁にある穴H5に到達する。
【0056】
第1の産出水が第2の管P2を経由して容器2へと戻される場合は第2の産出水が前記第3の管P3からプラグ82の第3の流路85に沿ってタンクTへと流れることができるよう、又は第2の産出水が第2の管P2を経由して容器2へと戻される場合は第1の産出水が前記第3の管P3からプラグ82の第3の流路に沿ってタンクTへと流れることができるよう、第3の管P3がプラグ82と接続されている。
【0057】
第3の流路85は第3の管P3の出口から始まり、プラグ82の内側を延在し、プラグ82の側壁にある穴H6に到達する。
【0058】
図8Eに示されるように、タンクTが、排水口21と嵌合する当該タンクの穴86を用いて洗い桶2の底に設置され、且つプラグ82がタンクTの穴へと挿入された場合、洗い桶2内の水が当該洗い桶の排出パイプへと排出されるのを防ぎ、タンクT内の水もタンクTから排出されるのを防ぐよう、タンクTの穴86及びプラグ82が設計される。
【0059】
図8Aに示されるように、野菜の洗浄を始める場合、ユーザはプラグ82をタンクTへ挿入する。酸性水のパイプP3及びアルカリ水のパイプP2が、酸性水をタンクTへと、アルカリ水を洗い桶2へとそれぞれ放出する。タンクT内の空気は空気出口を通じて圧出されることができる。
【0060】
アルカリ水で野菜を洗浄した後、ユーザはプラグ82を穴86から引き抜き、洗い桶2内のアルカリ水とタンクT内の酸性水とが両方とも同時に排出口21へと流れ、両者が排出口21で合流したとき、洗い桶2からのアルカリ水とタンクTからの酸性水とが混合し、中和現象を生じることであろう。次に、図8Bに示すように、混合された排水が下水管へと直接放出される。この結果、斯様に排出された水は自然環境に対して安全である。図8A及び図8Bにおいて、矢印の線が水の流れる方向を示している。
【0061】
これまでに本発明の複数の実施例が詳細に説明されたが、上で説明した実施例は例示目的に過ぎず、本発明を限定するものとして解釈されてはならないことを留意されたい。本発明がこれらの実施例に限定されることはない。
【0062】
例えば、第2のユニットがナトリウムの水酸化物の粉末又はアルカリ液を貯蔵する箱若しくは容器でもよい。入力水のアルカリ度を増すために、第2のユニットが当該粉末又はアルカリ液を入力水に入れて、より高いpH値をもつ産出水を得ることもできる。入力水から当該入力水のpH値よりも高いpH値をもつ水を生成できるあらゆるユニットが、本発明の請求項の保護範囲に分類されることを留意されたい。
【0063】
これまでの説明、図面、及び添付の請求項を学習することによって、当業者は開示された実施例を理解し、同実施例に対する改変を具現化することが出来よう。本発明の意図から逸脱することなく、すべての斯様な改変が添付の請求項の範囲に含まれるよう意図されている。用語「有する」が、請求項又は説明中に羅列されてはいないエレメント又はステップの存在を排除することはない。エレメントに先行する用語「a」又は[an]が、斯様なエレメントの複数の存在を排除することはない。本発明を実施する際に、請求項中の複数の技術的な特徴が一つのコンポーネントによって具体化されることができる。請求項において、括弧内に置かれたどのような参照符号も当該請求項を限定するものとして解釈されてはならない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に含有される水を処理するためのデバイスであって、
- 前記容器から前記デバイスへと水を入力するための第1のユニットと、
- 前記入力された水から、当該入力水よりも高いpH値をもつ第1の産出水、及び当該入力水よりも低いpH値をもつ第2の産出水を生成するための第2のユニットと、
- 前記第1の産出水又は前記第2の産出水を前記容器へと戻すための第3のユニットと、
を有する、デバイス。
【請求項2】
前記第2のユニットが、
- 前記第1の産出水及び前記第2の産出水を生成するために、前記入力水を電気分解するための電気分解ユニット、
を有することを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1のユニットが、
- 前記容器から前記水を吸い上げるためのポンプと、
- 前記容器から前記第2のユニットへと水を流すことが出来る第1の管と、
を有し、前記第3のユニットが、
- 前記第2のユニットと接続され、前記第1の産出水又は第2の産出水を前記第2のユニットから前記容器へと流すことが出来る第2の管、
を有することを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デバイスが更に、
- 前記第2のユニットと接続された第3の管、
を有し、
前記第1の産出水が前記第2の管を経由して前記容器へと戻される場合は当該第3の管は前記第2の産出水が前記デバイスから流れ出ることを可能にし、
前記第2の産出水が前記第2の管を経由して前記容器へと戻される場合は当該第3の管は前記第1の産出水が前記デバイスから流れ出ることを可能にする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記容器が水を排出するための排出口を有し、前記デバイスが更に
- 前記容器内の水が前記排出口から排出されるのを防ぐために、当該排出口を塞ぐよう意図されたプラグ、
を有することを特徴とし、
前記容器内の水が同容器から前記プラグの第1の流路に沿って前記第1の管へと流れることが出来るよう、前記第1の管が前記プラグと接続されており、
前記第1の産出水又は前記第2の産出水が前記第2の管から前記プラグの第2の流路に沿って前記容器へと流れることが出来るよう、前記第2の管が前記プラグと接続されていることを特徴とする、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1の産出水が前記第2の管を経由して前記容器へと戻される場合、前記第2の産出水が前記第3の管から前記プラグの第3の流路に沿って前記排出口へと流れることが出来るか、又は
前記第2の産出水が前記第2の管を経由して前記容器へと戻される場合、前記第1の産出水が前記第3の管から前記プラグの第3の流路に沿って前記排出口へと流れることが出来るよう、前記第3の管が前記プラグと接続されていることを特徴とする、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記デバイスが更に、
- タンク、
を有し、
前記第1の産出水が前記容器へと戻される場合は当該タンクが前記第2の産出水を貯蔵するために使われ、
前記第2の産出水が前記容器へと戻される場合は当該タンクが前記第1の産出水を貯蔵するために使われる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
- 前記入力水のpH値を検出するための検出器、
を更に有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記検出器が前記入力水のpH値を検出するために同入力水の一部を使用することを特徴とし、前記デバイスが更に、
- 前記入力水の検出された部分を当該デバイスから排出するための第5のユニット、
を有することを特徴とする、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載のデバイスと、食物を入れるための容器とを有する、食物を洗浄するための装置。
【請求項11】
容器中に含有される水をデバイスによって処理する方法であって、当該方法は、
- 水を前記容器から前記デバイスへと入力するステップと、
- 前記入力水よりも高いpH値をもつ第1の産出水、及び当該入力水よりも低いpH値をもつ第2の産出水を、前記入力水から生成するステップと、
- 前記第1の産出水又は前記第2の産出水を前記デバイスから前記容器へと出力するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記第1の産出水及び前記第2の産出水を生成するために、前記生成ステップが前記入力水を電気分解するステップを含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項11に記載の三つのステップが繰り返され、更に
- 前記入力水のpH値を検出するステップと、
- 検出された結果に応じて、前記三つのステップの繰り返しを中止又は再開するステップと、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記検出ステップが前記入力水の導電度を検出するステップを含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項11乃至14の何れか一項に記載の方法によって前記水が処理されることを特徴とする、前記容器内の水を用いて当該容器内に置かれた食物を洗浄する方法。
【請求項1】
容器内に含有される水を処理するためのデバイスであって、
- 前記容器から前記デバイスへと水を入力するための第1のユニットと、
- 前記入力された水から、当該入力水よりも高いpH値をもつ第1の産出水、及び当該入力水よりも低いpH値をもつ第2の産出水を生成するための第2のユニットと、
- 前記第1の産出水又は前記第2の産出水を前記容器へと戻すための第3のユニットと、
を有する、デバイス。
【請求項2】
前記第2のユニットが、
- 前記第1の産出水及び前記第2の産出水を生成するために、前記入力水を電気分解するための電気分解ユニット、
を有することを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1のユニットが、
- 前記容器から前記水を吸い上げるためのポンプと、
- 前記容器から前記第2のユニットへと水を流すことが出来る第1の管と、
を有し、前記第3のユニットが、
- 前記第2のユニットと接続され、前記第1の産出水又は第2の産出水を前記第2のユニットから前記容器へと流すことが出来る第2の管、
を有することを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デバイスが更に、
- 前記第2のユニットと接続された第3の管、
を有し、
前記第1の産出水が前記第2の管を経由して前記容器へと戻される場合は当該第3の管は前記第2の産出水が前記デバイスから流れ出ることを可能にし、
前記第2の産出水が前記第2の管を経由して前記容器へと戻される場合は当該第3の管は前記第1の産出水が前記デバイスから流れ出ることを可能にする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記容器が水を排出するための排出口を有し、前記デバイスが更に
- 前記容器内の水が前記排出口から排出されるのを防ぐために、当該排出口を塞ぐよう意図されたプラグ、
を有することを特徴とし、
前記容器内の水が同容器から前記プラグの第1の流路に沿って前記第1の管へと流れることが出来るよう、前記第1の管が前記プラグと接続されており、
前記第1の産出水又は前記第2の産出水が前記第2の管から前記プラグの第2の流路に沿って前記容器へと流れることが出来るよう、前記第2の管が前記プラグと接続されていることを特徴とする、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1の産出水が前記第2の管を経由して前記容器へと戻される場合、前記第2の産出水が前記第3の管から前記プラグの第3の流路に沿って前記排出口へと流れることが出来るか、又は
前記第2の産出水が前記第2の管を経由して前記容器へと戻される場合、前記第1の産出水が前記第3の管から前記プラグの第3の流路に沿って前記排出口へと流れることが出来るよう、前記第3の管が前記プラグと接続されていることを特徴とする、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記デバイスが更に、
- タンク、
を有し、
前記第1の産出水が前記容器へと戻される場合は当該タンクが前記第2の産出水を貯蔵するために使われ、
前記第2の産出水が前記容器へと戻される場合は当該タンクが前記第1の産出水を貯蔵するために使われる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
- 前記入力水のpH値を検出するための検出器、
を更に有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記検出器が前記入力水のpH値を検出するために同入力水の一部を使用することを特徴とし、前記デバイスが更に、
- 前記入力水の検出された部分を当該デバイスから排出するための第5のユニット、
を有することを特徴とする、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載のデバイスと、食物を入れるための容器とを有する、食物を洗浄するための装置。
【請求項11】
容器中に含有される水をデバイスによって処理する方法であって、当該方法は、
- 水を前記容器から前記デバイスへと入力するステップと、
- 前記入力水よりも高いpH値をもつ第1の産出水、及び当該入力水よりも低いpH値をもつ第2の産出水を、前記入力水から生成するステップと、
- 前記第1の産出水又は前記第2の産出水を前記デバイスから前記容器へと出力するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記第1の産出水及び前記第2の産出水を生成するために、前記生成ステップが前記入力水を電気分解するステップを含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項11に記載の三つのステップが繰り返され、更に
- 前記入力水のpH値を検出するステップと、
- 検出された結果に応じて、前記三つのステップの繰り返しを中止又は再開するステップと、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記検出ステップが前記入力水の導電度を検出するステップを含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項11乃至14の何れか一項に記載の方法によって前記水が処理されることを特徴とする、前記容器内の水を用いて当該容器内に置かれた食物を洗浄する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【公表番号】特表2013−521115(P2013−521115A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555522(P2012−555522)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050796
【国際公開番号】WO2011/107913
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050796
【国際公開番号】WO2011/107913
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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