説明

水中油型エマルション消泡剤組成物

【課題】優れた消泡効果を有するとともに、乳化剤として第二級アルコールのエチレンオキシド付加物を用いても十分な保存安定性が確保できない配合に対して、優れた保存安定性を有し、貯蔵中にほとんど増粘することのない水中油型エマルション消泡剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)炭素数12〜30の高級脂肪族アルコールを含む油相成分及び(B)分岐アルキル基を有する第一級アルコールの炭素数2〜4のアルキレンオキシド付加物を含有することを特徴とする水中油型エマルション消泡剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型エマルション消泡剤組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、優れた消泡効果を有するとともに、貯蔵中にほとんど増粘することのない水中油型エマルション消泡剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水中油型エマルション消泡剤は、抄紙工程を始めとする各種の製造工程や、排水処理工程における発泡抑制剤などとして広く用いられている。水中油型エマルション消泡剤の中で、優れた効果を示すものとして、高級アルコール成分を含有する組成物が知られている(特許文献1)。しかしながら、この消泡剤は貯蔵期間中に激しく増粘してクリーム状に固化するために、取り扱い性が極めて悪くなるという課題を有している。このような課題を解決する方法として、本発明者らは、乳化剤として第二級アルコールのエチレンオキシド付加物を用いた消泡剤組成物を開発した(特許文献2)。しかし、この消泡剤組成物でも、経時的な粘度の安定性において、不十分な場合も存在することが明らかとなった。
【0003】
高級脂肪族アルコールを含む水中油型エマルションは、連続相である水相中に液晶又はゲルが生成し、増粘して系が安定化することが知られている(非特許文献1)。高級脂肪族アルコールを含む水中油型エマルション消泡剤が貯蔵中に増粘するのは、このような液晶又はゲルの生成によるものと推察される。乳化剤として第二級アルコールのエチレンオキシド付加物を用いることにより、この液晶又ゲルの生成をかなりの確率で回避することができるが、完璧に回避することはできない。
【0004】
一般に、液体製品においては、長期間保存しても粘度などの物性が安定していて、貯蔵容器から速やかに取り出すことができ、簡便な薬注ポンプで安定した吐出量が得られるなどの簡便な取り扱い性が要求される。そこで、第二級アルコールのエチレンオキシド付加物では経時的な増粘を十分に抑えることができない配合組成で、長期間保存しても増粘のない水中油型エマルション消泡剤の開発が望まれていた。
【特許文献1】特開昭48−62683号公報(第1頁)
【特許文献2】特開2001−62204号公報(第2頁)
【非特許文献1】乳化・分散技術応用ハンドブック、サイエンスフォーラム刊行(1987年)、第131頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、優れた消泡効果を有するとともに、乳化剤として第二級アルコールのエチレンオキシド付加物を用いても十分な保存安定性が確保できない配合に対して、優れた保存安定性を有し、貯蔵中にほとんど増粘することのない水中油型エマルション消泡剤組成物を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、乳化剤として第二級アルコールのエチレンオキシド付加物を用いても十分な保存安定性が確保できない配合に対して、分岐アルキル基を有する第一級アルコールのエチレンオキシド付加物を乳化剤として用いることにより、経時的な増粘を防止し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)(A)炭素数12〜30の高級脂肪族アルコールを含む油相成分及び(B)分岐アルキル基を有する第一級アルコールの炭素数2〜4のアルキレンオキシド付加物を含有することを特徴とする水中油型エマルション消泡剤組成物、
(2)(B)分岐アルキル基を有する第一級アルコールの炭素数2〜4のアルキレンオキシド付加物のHLBが、13〜19である(1)記載の水中油型エマルション消泡剤組成物、及び、
(3)分岐アルキル基の炭素数が、6〜15である(1)又は(2)記載の水中油型エマルション消泡剤組成物、
を提供するものである。
【0008】
さらに、本発明の好ましい態様として、
(4)(A)炭素数12〜30の高級脂肪族アルコールを含む油相成分の含有量が、5〜50重量%である(1)記載の水中油型エマルション消泡剤組成物、及び、
(5)油相成分中の炭素数12〜30の高級脂肪族アルコールの含有量が、40〜85重量%である(1)記載の水中油型エマルション消泡剤組成物、
を挙げることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水中油型エマルション消泡剤組成物は、優れた消泡効果を有するとともに、製品貯蔵中にほとんど増粘することがなく、経時安定性にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の水中油型エマルション消泡剤組成物は、(A)炭素数12〜30の高級脂肪族アルコールを含む油相成分及び(B)分岐アルキル基を有する第一級アルコールの炭素数2〜4のアルキレンオキシド付加物を含有する。本発明組成物においては、(A)炭素数12〜30の高級脂肪族アルコールを含む油相成分が、(B)分岐アルキル基を有する第一級アルコールの炭素数2〜4のアルキレンオキシド付加物を乳化剤としてエマルション化されている。
【0011】
本発明組成物において、(A)炭素数12〜30の高級脂肪族アルコールを含む油相成分の含有量は、5〜50重量%であることが好ましく、15〜40重量%であることがより好ましい。炭素数12〜30の高級脂肪族アルコールを含む油相成分の含有量が5重量%未満であると、消泡効果が十分に発現しないおそれがある。炭素数12〜30の高級脂肪族アルコールを含む油相成分の含有量が50重量%を超えると、得られる水中油型エマルション消泡剤組成物の粘度が高くなって取り扱い性が低下するとともに、経時安定性も低下するおそれがある。
【0012】
本発明組成物において、油相成分中の炭素数12〜30の高級脂肪族アルコールの含有量は、40〜85重量%であることが好ましく、45〜70重量%であることがより好ましい。油相成分中の炭素数12〜30の高級脂肪族アルコールの含有量が40重量%未満であると、消泡効果が低下するおそれがある。油相成分中の炭素数12〜30の高級脂肪族アルコールの含有量が85重量%を超えると、水中油型エマルション消泡剤組成物が経時的に増粘しやすくなるおそれがある。
【0013】
本発明組成物に用いる炭素数12〜30の高級脂肪族アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、テトラコシルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどを挙げることができる。これらの高級脂肪族アルコールは、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、高級脂肪族アルコールとして、天然動植物油脂由来のアルコールを用いることができ、合成アルコールを用いることもでき、さらに、合成アルコールの粗精製物を用いることもできる。これらの中で、炭素数16〜24の高級脂肪族アルコールを特に好適に用いることができる。脂肪族アルコールの炭素数が12未満であっても、30を超えても、消泡剤組成物の消泡性が低下するおそれがある。
【0014】
本発明組成物において、油相成分中の高級脂肪族アルコール以外の成分としては、例えば、炭素数1〜22の1〜3価アルコールと炭素数12〜22の脂肪酸とのエステル、鉱物油やパラフィンワックスなどの炭化水素などを挙げることができる。油相成分中の高級脂肪族アルコール以外の成分の含有量は、15〜60重量%であることが好ましく、30〜55重量%であることがより好ましい。
【0015】
本発明組成物において、(B)分岐アルキル基を有する第一級アルコールの炭素数2〜4のアルキレンオキシド付加物の含有量は、0.3〜5重量%であることが好ましく、0.6〜2重量%であることがより好ましい。分岐アルキル基を有する第一級アルコールのアルキレンオキシド付加物の含有量が0.3重量%未満であると、消泡剤組成物中の乳化分散が不十分となり、粒子径の増大や粒子凝集をおこすおそれがある。分岐アルキル基を有する第一級アルコールのアルキレンオキシド付加物の含有量は、5重量%以下で消泡剤組成物の十分な乳化安定性が得られ、5重量%を超えると乳化粒子の過剰な微細化および遊離乳化剤が多くなることから粘度が上昇しやすくなる。
【0016】
本発明組成物に用いる分岐アルキル基を有する第一級アルコールとしては、例えば、イソヘキシルアルコール、イソヘプチルアルコール、イソオクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、プロピレンの三量体から合成される分岐ノニルアルコール、イソデシルアルコール、イソウンデシルアルコール、イソドデシルアルコール、ヘキシルアルコールのゲルベ反応により得られる2−ブチルオクチルアルコール、プロピレンの四量体から合成される分岐ドデシルアルコール、イソトリデシルアルコール、ブテンの三量体をヒドロホルミル化し、水素化して得られる分岐トリデシルアルコール、イソテトラデシルアルコール、イソペンタデシルアルコールなどを挙げることができる。これらの第一級アルコールは、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。工業的に製造される分岐アルキル基を有する第一級アルコールの多くは異性体などの混合物であり、これらの混合物は分離することなくそのままアルキレンオキシドを付加することができる。分岐アルキル基を有する第一級アルコールのアルキレンオキシド付加物は、直鎖アルキル基を有する第一級アルコールのアルキレンオキシド付加物に比べて乳化力が強く、安定性に優れた水中油型エマルション消泡剤組成物を得ることができる。
【0017】
本発明組成物において、炭素数2〜4のアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,3−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシドなどを挙げることができる。これらの中で、エチレンオキシドを特に好適に用いることができる。分岐アルキル基を有する第一級アルコールに炭素数3〜4のアルキレンオキシドを付加するときは、エチレンオキシドとの共重合鎖となるように付加することが好ましい。エチレンオキシドと炭素数3〜4のアルキレンオキシドとの共重合鎖は、ランダム状とすることができ、あるいは、ブロック状とすることもできる。本発明組成物において、分岐アルキル基を有する第一級アルコールへのエチレンオキシドの付加モル数に特に制限はないが、第一級アルコール1モルに対してエチレンオキシド5〜100モルであることが好ましく、第一級アルコール1モルに対してエチレンオキシド10〜50モルであることがより好ましい。
【0018】
本発明組成物においては、(B)分岐アルキル基を有する第一級アルコールの炭素数2〜4のアルキレンオキシド付加物のHLBが、13〜19であることが好ましく、15〜18.5であることがより好ましい。アルキレンオキシド付加物のHLBが13未満であっても、19を超えても、油相成分の乳化転相が困難になるとともに、得られる水中油型エマルション消泡剤組成物の安定性が低下するおそれがある。HLBの値は、グリフィンの式により求めることができ、親水基がポリエチレンオキシドのみの場合は、
HLB = (エチレンオキシド単位の重量%)/5
にしたがって算出することができる。
【0019】
得られるアルキレンオキシド付加物の乳化力および乳化安定性を高く保つ観点から、本発明組成物においては、第一級アルコールの分岐アルキル基の炭素数が、6〜15であることが好ましく、8〜13であることがより好ましい。
【0020】
本発明の水中油型エマルション消泡剤組成物の製造方法に特に制限はなく、水中油型エマルションの製造において慣用されている公知の方法を用いることができる。例えば、(A)炭素数12〜30の高級脂肪族アルコールを含む油相成分と(B)分岐アルキル基を有する第一級アルコールの炭素数2〜4のアルキレンオキシド付加物を混合して加熱溶融し、撹拌しつつ熱水を添加することにより乳化転相して水中油型エマルション消泡剤組成物を得ることができる。本発明組成物において、水中油型エマルション中の油相成分の微粒子の平均粒子径は2〜15μmであることが好ましく、4〜10μmであることがより好ましい。油相成分の微粒子の平均粒子径が2μm未満であると、貯蔵時に増粘しやすくなるおそれがある。油相中の微粒子の平均粒子径が15μmを超えると、貯蔵時に相分離が発生するおそれがある。
【0021】
本発明組成物には、必要に応じて高分子多糖類を含有させることができる。高分子多糖類としては、例えば、ウェランガム、ランザンガム、ザンサンガム、サクシノグリカン、キサンタンガム、グァーガム、カラギーナンなどを挙げることができる。高分子多糖類を含有させることにより、油相成分の微粒子の凝集を抑制して、消泡剤組成物を安定化することができる。
【0022】
本発明組成物は、抄紙や塗工などの製紙工程を始めとする各種生産工程、活性汚泥や放流などの各種廃水処理工程など、発泡が問題となるあらゆる工程に適用することができるが、特に、抄紙工程や、活性汚泥などの廃水処理工程における発泡抑制剤として好適に用いることができる。本発明の消泡剤組成物の添加量に特に制限はないが、通常は処理液に対し0.1〜1,000mg/Lを添加することが好ましく、1〜100mg/Lを添加することがより好ましい。本発明の水中油型エマルション消泡剤組成物は、優れた消泡効果を有するとともに、製品保存中にほとんど増粘することがないので、経時的な品質劣化に対して特別に配慮することなく安定して使用することができる。
【実施例】
【0023】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、消泡剤組成物の消泡効果及び経時粘度変化は、下記の方法により測定した。
(1)消泡効果
図1は、消泡効果の評価に用いる装置の概略図である。消泡剤組成物4mg/Lを添加した新聞用紙の抄紙白水500mLを、内径70mm、容量1Lの目盛付きガラス製円筒容器1に入れ、循環ポンプ2により流量計3を経由して1,000mL/分の流量で循環させ、円筒容器中の水面から50cmの高さから円筒容器内に落下させる。試験は30℃で行い、循環開始後、1分、2分、3分、4分及び5分後の目盛付きガラス製円筒容器内の発泡量を読み取る。
(2)経時粘度変化
消泡剤組成物(製造直後のもの、10℃、20℃、30℃、40℃で30日間保存したもの)を、25℃の恒温水槽中に静置し、B型粘度計と2号スピンドルを用いて、スピンドル回転数30rpmで、30℃で粘度を測定する。
【0024】
実施例1
炭素数18〜22の脂肪族アルコールの混合物[SASOL社、Stenol 1822]20重量部、固形パラフィン[関東化学(株)、融点68〜70℃]4重量部、オレイン酸トリグリセリド[不二製油(株)、ハイオール]6重量部及び乳化剤として平均炭素数約11の分岐アルキル基を有する第一級アルコールのエチレンオキシド35モル付加物水溶液[花王(株)、エマルゲン1135S−70、HLB17.9、濃度70重量%]1.5重量部を混合し、溶融したのち、この溶融物を73℃にてタービン翼で周速5.2m/sで撹拌しながら、73℃の熱水68.5重量部を添加して乳化転相を行った。次いで、ウェランガム[(株)三晶、K1C376]0.1重量部を添加したのち、18時間かけて73℃から30℃まで冷却し、水中油型エマルション消泡剤組成物を得た。
消泡試験において、発泡量は、1分後10mL、2分後11mL、3分後14mL、4分後16mL、5分後17mLであった。経時増粘試験において、粘度は、製造直後220mPa・s、10℃、20℃、30℃、40℃で30日間保存したものは、それぞれ218mPa・s、223mPa・s、220mPa・s、228mPa・sであった。
【0025】
比較例1
乳化剤として、平均炭素数約11の分岐アルキル基を有する第一級アルコールのエチレンオキシド35モル付加物[花王(株)、エマルゲン1135S−70、HLB17.9]1.1重量部の代わりに、炭素数12〜14で3〜7位の炭素にヒドロキシル基を有する第二級アルコールのエチレンオキシド30モル付加物[(株)日本触媒、ソフタノール300、HLB17.4]0.8重量部を混合し、73℃の熱水69.2重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして、水中油型エマルション消泡剤組成物を調製した。
消泡試験において、発泡量は、1分後10mL、2分後11mL、3分後13mL、4分後16mL、5分後18mLであった。経時増粘試験において、粘度は、製造直後228mPa・s、10℃、20℃、30℃、40℃で30日間保存したものは、それぞれ226mPa・s、1,160mPa・s、1,060mPa・s、1,140mPa・sであった。
【0026】
比較例2
乳化剤として、平均炭素数約11の分岐アルキル基を有する第一級アルコールのエチレンオキシド35モル付加物[花王(株)、エマルゲン1135S−70、HLB17.9]1.1重量部の代わりに、炭素数12〜14で3〜7位の炭素にヒドロキシル基を有する第二級アルコールのエチレンオキシド20モル付加物[(株)日本触媒、ソフタノール200、HLB16.3]0.8重量部を混合し、73℃の熱水69.2重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして、水中油型エマルション消泡剤組成物を調製した。
消泡試験において、発泡量は、1分後10mL、2分後12mL、3分後14mL、4分後17mL、5分後19mLであった。経時増粘試験において、粘度は、製造直後245mPa・s、10℃、20℃、30℃、40℃で30日間保存したものは、それぞれ2,208mPa・s、278mPa・s、253mPa・s、251mPa・sであった。
実施例1及び比較例1〜2の水中油型エマルション消泡剤組成物の配合組成を第1表に、消泡試験の結果を第2表に、経時増粘試験の結果を第3表に示す。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
【表3】

【0030】
第2表に見られるように、炭素数18〜22の脂肪族アルコールを含む油相成分を乳化した実施例1及び比較例1〜2の水中油型エマルション消泡剤組成物を抄紙白水に4mg/L添加すると、消泡効果試験において発泡量が少なく、これらの消泡剤組成物はいずれも優れた消泡効果を有している。
第3表に見られるように、分岐アルキル基を有する第一級アルコールのエチレンオキシド35モル付加物を乳化剤とする実施例1の水中油型エマルション消泡剤組成物は、10〜40℃で30日保存した後も粘度変化はほとんどなく、優れた保存安定性を示している。これに対して、実施例1と同じ油相成分であっても、第二級アルコールのエチレンオキシド30モル付加物を乳化剤とする比較例1の水中油型エマルション消泡剤組成物は、20〜40℃で30日保存すると粘度が上昇し、第二級アルコールのエチレンオキシド20モル付加物を乳化剤とする比較例2の水中油型エマルション消泡剤組成物は、10℃で30日保存すると粘度が上昇する。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の水中油型エマルション消泡剤組成物は、優れた消泡効果を有するのみならず、10〜40℃で30日保管したのちも粘度変化はほとんどなく、製造直後と同様に取り扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】消泡効果の評価に用いる装置の概略図である。
【符号の説明】
【0033】
1 目盛付きガラス製円筒容器
2 循環ポンプ
3 流量計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)炭素数12〜30の高級脂肪族アルコールを含む油相成分及び(B)分岐アルキル基を有する第一級アルコールの炭素数2〜4のアルキレンオキシド付加物を含有することを特徴とする水中油型エマルション消泡剤組成物。
【請求項2】
(B)分岐アルキル基を有する第一級アルコールの炭素数2〜4のアルキレンオキシド付加物のHLBが、13〜19である請求項1記載の水中油型エマルション消泡剤組成物。
【請求項3】
分岐アルキル基の炭素数が、6〜15である請求項1又は請求項2記載の水中油型エマルション消泡剤組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2006−130405(P2006−130405A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322026(P2004−322026)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】