説明

水中油型乳化組成物

従来の水中油型乳化組成物では乳化粒子径を小さく微細で均一な粒子とする事で乳化状態を安定化させていた。この為に風味的に平坦で、ぼやけた特徴のない風味となってしまう欠点があった。本発明は、大豆由来の水溶性多糖類を使用して乳化粒子のメジアン径を5〜100μmという比較的大きな粒径に調整された水中油型乳化組成物でかつ安定なものを得る技術である。これにより、油脂分由来の旨味とコクが得られつつ、経時的な安定性もある乳化組成物が得られる。大豆由来の水溶性多糖類は、大豆または大豆処理物から大豆蛋白の等電点より低いpHで、好ましくはpH2.4〜4.0、さらに好ましくはpH3.0〜3.5の酸性pHで、100℃を超える温度にて加熱抽出を行う事により得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用の乳化組成物に関し、中でも油脂由来のコクと旨味、まろやかさを得るとともに油っぽさが抑えられてすっきりとしたフレッシュな風味を有する水中油型乳化組成物に関するものである。更に言えば、大豆由来の水溶性多糖類を有効成分として含むことにより、乳化粒子のメジアン径が5〜100μmという比較的大きな粒子径であるにも拘らず、安定に乳化分散した水中油型乳化組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、食用の乳化物は、例えばドレッシング、タレ、エキス、スープ、クリーム、カスタードなどの食品において、食品の物性ならびにコク、旨味、まろやかさ等の風味を付ける為に油脂分を加えて水中油型乳化組成物とする事が行われている。
【0003】
しかし、例えばコーヒークリームのように油が分離しないように乳化剤および乳蛋白などで完全乳化をさせた水中油型乳化組成物では、乳化状態が安定になる反面、通常乳化粒子のメジアン径は2μm以下となり油のコク味が出ない何か物足りない味になる。一方、特に近年サラダ類、パスタ類等のデリカ食品類の需要拡大と共に、需要も急速に伸びているドレッシング類などでは、卵・卵黄に加えて、澱粉、キサンタンガムなどの安定剤などが使用されている。しかし、澱粉、キサンタンガムなどの安定剤を加えて調製したドレッシング類では水相側の粘度を上げる事で乳化状態の安定化を行っており、完全乳化できずに油滴が残る為に必要以上にオイリー感や酸味などを強く感じるようになり、また、安定剤由来の悪風味、雑味あるいは粘度による食感の低下が出るようになる。また、マヨネーズなどの卵・卵黄を使用した乳化物では乳化粒子のメジアン径は2〜5μmと比較的大きくなり、油のコク味を感じる用になるが、安定化させるために多量の油が必要となり近年の健康志向に反するものであるし、卵・卵黄にはコレステロールが多く含まれる事からも近年の健康志向に反するものである。
【0004】
上記の如く従来の水中油型乳化組成物では、油滴の粒子径が均一に微細化され経時的に安定ではあるが、風味的に平坦で、ぼやけた特徴のない風味となってしまうか、あるいは、乳化剤や安定剤に由来する雑味や粘度が加わって風味が損なわれ、味のめりはりや旨みの濃厚感が感じられずに単に脂っぽいものとなってしまう問題があり、改善が求められてきた。
【0005】
これらの改善策として、肉エキス中の蛋白成分で乳化を安定化させる方法(特許文献1)、卵を使用せずに酸発酵乳を使用する方法(特許文献2)、乳化剤を用いる方法(特許文献3)などが提案されているが、乳化の安定性と旨味を十分に引き出すには不十分な物であった。
【0006】
更に本発明者らは、既に大豆由来の水溶性多糖類を用いる水中油型乳化組成物に関する特許出願(特許文献4)をしているが、これらはいずれも安定な乳化物となすために、その乳化粒子径を小さくすることに努め、乳化粒子のメジアン径を5μm以下となるようにしたものに関してであった。なお、乳化剤を用いて、炒めご飯への添加用に乳化粒径の大きな乳化物が提案されているが、これは油分を少なくし、油っぽさを抑えるものである。(特許文献5)
【0007】
【特許文献1】特開2000−157199号公報
【特許文献2】特開平11−146769号公報
【特許文献3】特開平10−113145号公報
【特許文献4】特開平6−121922号公報
【特許文献5】特開2003−009807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の水中油型乳化組成物では乳化粒子径が5μm以下の微細で均一な粒子とする事で乳化状態を安定化させる為に風味的に平坦で、ぼやけた特徴のない風味となってしまうか、あるいは、乳化粒子径を大きくした場合には、安定化に用いた乳化剤や安定剤に由来する雑味や粘度が加わって風味が損なわれ、味のメリハリや旨みの濃厚感が感じられずに単に油っぽいものとなり、なおかつ、経時的に安定性が得られない等の問題点がある。本発明の目的は、油脂成分の旨みコクを備えていて、かつ油っぽさが強過ぎず雑味が少なくて安定な食用の乳化組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記問題点について鋭意研究の結果、意外にも大豆由来の水溶性多糖類を使用して乳化粒子のメジアン径を5〜100μmとすることで油脂分由来の旨味とコク、まろやかさが得られつつ、経時的な安定性も得られる知見を得た。本発明はかかる知見に基づいて完成された。
【0010】
即ち、本発明は大豆由来の水溶性多糖類を有効成分として含む、乳化粒子のメジアン径が5〜100μmに調製された水中油型乳化組成物、であり、該大豆由来の水溶性多糖類が、大豆又は大豆処理物から大豆蛋白の等電点より低いpHで100℃以上の温度で加熱抽出されたものであり、さらに言えば抽出のpHが、pH2.4から4.0の酸性域で行われたものである。そして得られる乳化組成物が食用油脂を5%以上含む事を特徴とする水中油型乳化組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水中油型乳化組成物は、大豆由来の水溶性多糖類を用いることによって従来困難とされてきた乳化粒子のメジアン径5〜100μmでの大きな粒子径での乳化の安定化が可能となり、その結果、油脂由来の旨味、コク、まろやかと味のメリハリがある乳化性食品が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の水中油型乳化組成物の説明をする。本発明によれば大豆由来の水溶性酸性多糖類を有効成分として含む、乳化粒子のメジアン径が5〜100μmに調製された水中油型乳化組成物が提供される。
【0013】
本発明の大豆由来の水溶性多糖類(以下、大豆水溶性多糖類とする)は、大豆または大豆処理物から大豆蛋白の等電点より低いpHで、好ましくはpH2.4〜4.0、さらに好ましくはpH3.0〜3.5の酸性pHで、100℃を超える温度にて加熱抽出を行う事により得られる。
【0014】
一方、本発明の水中油型乳化組成物とは、マヨネーズ風調味料、イタリアン、サウザンドアイランド、フレンチ、ゴマ、シーザーなどのドレッシング類、タレ類、エキス類等の所謂調味剤をはじめ、スープ類、カスタードなどのフラワーペースト類、ホイップクリーム、コーヒークリーム、調理用クリームなどのクリーム類などが挙げられる。
【0015】
水中油型乳化組成物の油相を構成する油脂としては、大豆油、コーン油、綿実油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ナタネ油、落花生油、米糠油、カカオ脂バター、乳脂肪、牛脂、ラード、バター等の動植物性油脂及びそれらの硬化、エステル交換、分別等の処理を施して得られる加工油脂等が挙げられる。また乳化組成物中の油脂量は特に限定はないが、油脂分の旨味やコクの発現ということでは油分の多い系、乳化組成物中の5%以上が油分である乳化物が特に有効である。
【0016】
本発明における水中油型乳化組成物は弱アルカリ性域から酸性域に到る広いpH領域において使用可能である。水中油型乳化組成物のpH値を酸性域に至らしめる酸性物質としては、乳酸、クエン酸、リン酸、酒石酸、アスコビン酸、酢酸等の有機酸、又はコーヒー、果汁、ジャム、ピューレ、又は醗酵乳、チーズ、サワークリーム等の酸性乳製品、又は別途調整した乳酸菌醗酵液等のうち1種又は2種以上が使用される。
【0017】
また、本発明における水中油型乳化組成物は耐塩性も有しており、食塩の他、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カルシウムなどの有機酸塩類、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムなどのリン酸塩類などの食品に使用可能な塩類全般の併用が可能である。
【0018】
本発明は、大豆由来の水溶性多糖類の単独使用により成されるが、既存の乳化剤と併用する事により特性が改善される効果がさらに上がる事がある。併用される乳化剤としては、レシチン、酵素処理レシチン、脂肪酸とグリセリンのエステル及びその誘導体(グリセリン脂肪酸エステル、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル等)、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル(シュガーエステル)のうち1種又は2種以上組み合わせたものが使用される。
【0019】
大豆由来の水溶性多糖類は単独で使用する事が可能であり、添加量は水中油型乳化組成物全量に対し0.02〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%が好適である。使用量が少なすぎると乳化状態が不安定となり、多すぎると粘度が上がり食感が損なわれる。なお、既存の安定剤である各種ガム剤、蛋白質、糊剤と併用することにより、より効果を増すことができる場合がある。
【0020】
既存のガム剤としては、例えば、寒天、カラギーナン、ファーセレラン、タマリンド種子多糖類、タラガム、カラヤガム、ペクチン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、トラガカントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、プルラン、ジェランガム、アラビアガム、各種澱粉等が挙げられる。また、蛋白質としては、大豆蛋白質、トウモロコシ蛋白質、小麦蛋白質、エンドウ豆蛋白質等の植物由来の蛋白質はもちろん、カゼイン、卵黄、卵白アルブミン、乳清蛋白質、ゼラチン、アクチン、ミオシン、絹蛋白質等の動物性蛋白質でも良く、さらにポリペプチド、ペプチドおよびアミノ酸等、蛋白質または蛋白質の加水分解物であればいずれも使用できる。さらに、半合成糊剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、アルギン酸プロピレングリコールエステルおよび可溶性澱粉に代表される化工澱粉等が例示でき、合成糊剤としてはポリビニルアルコールやポリアクリル酸ナトリウム等が例示できる。
【0021】
本発明における水中油型乳化組成物は、上記する各種乳化剤、安定剤の一種または二種以上と併用することにより一層特性効果が向上する場合があり、各種乳化剤、安定剤の欠点を補うことができる。
【0022】
また、水相に蔗糖や水飴等のいわゆる糖類や、グリセリン、D−ソルビトール、プロピレングリコールなどの多価アルコール類や、例えば、乳酸、食酢、クエン酸、りんご酸等の酸味料等を添加すれば、安定性が向上する場合がある。更に、L−アスコルビン酸、その誘導体、アミノカルボニル反応生成物、ソルビン酸カリウムなどの退色防止剤や防腐剤等の添加物を入れることができる。
【0023】
本発明の水中油型乳化組成物は従来公知の一般的な乳化物の製造方法で製造することができる。すなわち、上記油溶性物質を含む油相と水溶性物質を含む水相とを通常の装置、例えばコロイドミル、高圧ホモジナイザー、ミキサーなどを用いて調製される。
【0024】
以下、実施例により本発明の実施態様を説明するが、これは例示であって本願発明の精神がこれらの例示によって制限されるものではない。なお、例中、部および%は何れも重量基準を意味する。
【実施例】
【0025】
[製造例1]水溶性大豆多糖類の調製
分離大豆蛋白製造工程において得られた生オカラに2倍量の水を加え、塩酸にてpHを3.0に調整し、120℃で1.5時間加熱抽出した。冷却後の加熱抽出スラリーpHは2.98であった。回収したスラリーのpHを5.0に調整した後に遠心分離し(10000G×30分)、上澄と沈澱部に分離した。こうして分離した沈澱部を更に等重量の水で水洗し、遠心分離し、この上澄を先の上澄と一緒にしてから電気透析による脱塩処理を行い、その後に乾燥して水溶性大豆多糖類を得た。
【0026】
[実施例1]乳化タイプドレッシング
製造例1で調製された水溶性大豆多糖類0.8部と食塩3.3部、グルタミン酸ナトリウム0.3部、砂糖3部を水39.6部に溶解して、さらに食酢18部を加え家庭用ミキサー(三洋電機(株)製;SM−58型ミキサー)に入れた。このミキサーに精製キャノーラ油35部を徐々に加えて乳化し、ドレッシングを得た。このドレッシングの乳化粒子メジアン径をレーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所(株)製;SALD−2000A)にて測定したところ20.0μmと大きく、良好な風味とコクを示した。さらに、3ケ月間冷蔵保存しても乳化粒子メジアン径は22.3μmとほぼ変化がなく安定であった。
【0027】
[実施例2]マヨネーズ風ドレッシング
製造例1で調製された水溶性大豆多糖類1部と食塩2.5部、グルタミン酸ナトリウム0.5部を水14部に溶解して、さらに食酢12.5部を加え家庭用ミキサー(三洋電機(株)製;SM−58型ミキサー)に入れた。このミキサーに精製キャノーラ油70部を徐々に加えて乳化し、マヨネーズ風ドレッシングを得た。このマヨネーズ風ドレッシングの乳化粒子メジアン径をレーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所(株)製;SALD−2000A)にて測定したところ5.2μmであり、良好な風味とコクを示した。さらに、3ケ月間冷蔵保存しても乳化粒子メジアン径は7.0μmとほぼ変化がなく安定であり、さらに状態の変化もなかった。
【0028】
[実施例3]カスタードクリーム
製造例1で調製された水溶性大豆多糖類1.5部と砂糖13.5部、小麦粉5部とを粉体混合して牛乳62部、卵黄15部を混ぜた液にダマにならないように加えて、とろみがでるまで湯煎で加熱溶解した。とろみが出たらバター3部を加えて木べらで強く撹拌しながらさらに加熱を行った。加熱後、粘り気が一定になったところで火からおろし、こし器で濾して平たいバットに流して、ラップで表面を覆い冷却した。このカスタードクリームの乳化粒子メジアン径をレーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所(株)製;SALD−2000A)にて測定したところ89.9μmと大きくバターの風味とコクが良好に感じられた。さらに、このカスタードクリームを用いて作ったクリームパンは、クリームの口どけが良好で、バターのフレッシュな風味が強く感じられるものであった。
【0029】
[実施例4]クリーム
製造例1で調製された水溶性大豆多糖類2部と脱脂粉乳4.5部、ショ糖脂肪酸エステル(商品名DKエステルF−160;第一工業製薬(株))0.05部を粉体混合して水51部に溶解後に、67℃に加温してレシチン0.01部を含む硬化ナタネ油40部、バター2.3部を加えてホモミキサー(特殊機化(株)製;TKミキサー)で15分予備乳化後に、高圧ホモゲナイザー70kg/cm2で均質化処理し、5分間殺菌したのち、再度60kg/cm2で均質化処理し、次に5℃まで冷却し、一晩冷蔵でエージング後、乳化粒子メジアン径をレーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所(株)製;SALD−2000A)にて測定したところ9.6μmのクリームを得た。
【0030】
[実施例5]ホイップクリーム
実施例4のクリーム100部に、グラニュー糖10部を加えた。この混合物をケンウッドミキサーでホイップしたところ、ポイップ時間2分30秒で最適なホイップ状態に達し、オーバーラン140%のホイップクリームが得られた。このクリームは風味が良く、口どけも非常に良好で、さらに、15℃で型崩れせず保形性も良好であった。
【0031】
[実施例6]耐酸性ホイップクリーム
次に、実施例4の配合および方法にて得られたクリーム(乳化粒子メジアン粒子径9.6μm)100部にクランベリーピューレ30部、グラニュー糖10部、チェリーブランデー3部を加えた。この混合物はpH値4.0で、ケンウッドミキサーでホイップしたところ、ホイップ時間1分49秒で最適起泡状態に達し、オーバーラン150%の酸性ホイップクリームが得られた。この水中油型乳化組成物は風味が良く、15℃で型崩れせず保形性良好であった。
【0032】
[実施例7]コーヒークリーム
実施例4の配合および方法にて得られたクリーム(乳化粒子メジアン粒子径9.6μm)10部を淹れ立てのレギュラーコーヒー(90℃、pH4.84)100部に加えたが、フェザリングなどの乳化破壊は観察されず、マイルドでフレッシュな風味のコーヒーが得られた。
【0033】
[実施例8]耐塩性調理クリーム
実施例4の配合および方法にて得られたクリーム(乳化粒子メジアン粒子径9.6μm)10部を市販のミートソース(カゴメ(株)、食塩含量1.5%)100部に加えて加熱調理しスパゲッティに絡めたが、凝集、オイルオフなどの乳化破壊は観察されず、コクのあるスパゲッティミートソースが得られた。
【0034】
[実施例9]スープ
製造例1で調製された水溶性大豆多糖類5部と本醸造濃口醤油26部、肉エキス26部、精製ラード3部、調味油10部、食塩3部、砂糖1.5部、グルタミン酸ナトリウム0.3部、野菜エキス10部、白ペッパー0.1部、おろしニンニク0.3部、レモン汁5部、水9.8部を混合し、67℃に加温してホモミキサー(特殊機化(株)製;TKミキサー)で8000回転、15分間処理して液状調味料を得た。得られた液状調味料の顕微鏡による粒度確認を行ったところ乳化粒子径10〜100μm程度の粒子が大半を占めており、乳化粒子の合一現象などは観察されなかった。さらに、得られた液状調味料15gに熱湯200mlを加えて白湯スープとしたところ、外観、風味が非常に良いものとなった。
【0035】
[実施例10]チャーハン
製造例1で調製された水溶性大豆多糖類2部とゴマ油40部を混合し、水58部に徐々に加えながら67℃に加温してホモミキサー(特殊機化(株)製;TKミキサー)で8000回転、30分間処理して乳化粒子メジアン粒子径11.3μmの乳化ゴマ油を得た。得られた乳化ゴマ油を用いてチャーハンを作ったところ、油っぽくならずにゴマの風味が良好に感じられ、大変に美味しい物となった。
【0036】
[比較例1]乳化タイプドレッシング
実施例1の配合において、水溶性大豆多糖類をキサンタンガムに変えた以外は実施例1と同様にしてドレッシングを得たところ、油の乳化が十分にできず乳化粒子の測定ができないばかりか、油っこい風味となり、また、酸味も強く感じられた。
【0037】
[比較例2]コーヒークリーム
実施例4の配合において、水溶性大豆多糖類を使用せずにショ糖脂肪酸エステル(商品名DKエステルF−160;第一工業製薬(株))0.5部、レシチン0.1部使用に変えた以外は実施例4と同様にしてクリームを得たところ、乳化粒子メジアン径をレーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所(株)製;SALD−2000A)にて測定したところ1.54μmと細かくなったが風味がぼやけており、実施例6と同様にレギュラーコーヒーに添加しても良好な風味は感じられなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆由来の水溶性多糖類を有効成分として含み乳化粒子のメジアン径が5〜100μmに調製された水中油型乳化組成物。
【請求項2】
大豆由来の水溶性多糖類が、大豆又は大豆処理物から大豆蛋白の等電点より低いpHで100℃以上の温度で加熱抽出される事を特徴とする請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の等電点より低いpHが、pH2.4から4.0の酸性域である請求項1乃至2に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項4】
食用油脂を5%以上含む事を特徴とする請求項1乃至3に記載の水中油型乳化組成物。

【国際公開番号】WO2005/027648
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【発行日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514035(P2005−514035)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013407
【国際出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000236768)不二製油株式会社 (386)
【Fターム(参考)】