説明

水中生物付着防止塗料組成物及びそれを用いた水中構造物

【課題】長期間優れた防汚性能が発揮される水中生物付着防止塗料組成物、及びそれを用いた水中構造物を提供する。
【解決手段】(A)硬化性有機樹脂:100質量部、
(B)一分子中にポリエーテル基、長鎖アルキル基及びアラルキル基を含有するシリコーンオイル:1〜200質量部
を含有することを特徴とする水中生物付着防止塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期間良好な防汚性能を発揮し、特に、船舶、港湾施設、ブイ、パイプライン、橋梁、海底基地、海底油田掘削設備、発電所の導水路管、養殖網、定置網等(以下、「水中構造物」という)に塗装して、これらの表面への水生生物の付着・生育を防止するために好適な防汚塗膜を与える水中生物付着防止塗料組成物、及びそれを用いた水中構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
水中構造物が設置され又は就航すると、その飛沫部から没水部表面にわたって、海、河川等の水中に棲息しているフジツボ、ホヤ、セルプラ、ムラサキイガイ、カラスガイ、フサコケムシ、アオノリ、アオサ等の水生生物が付着・生育して種々の被害が発生する。例えば、船体に生物が付着した場合、水との摩擦抵抗が増大し、航行速度の低下が生じ、一定の速度を維持するためには燃料消費量が増加し、経済的に不利である。また、港湾施設等の水中又は水面に固定させておく構造物に生物が付着すると、これらが有する個々の機能を十分に発揮することが困難となり、基材を侵食することもある。更に、養殖網、定置網等に生物が付着すると網目が閉塞して魚類が死亡してしまうことがある。
【0003】
水中構造物への水生生物の付着・生育の防止対策としては、有機錫化合物、亜酸化銅等の毒性防汚剤を配合した防汚塗料を構造物に塗装して対応していたが、水生生物の付着・生育はほぼ防止できたものの、毒性防汚剤を用いているために、塗料の製造や塗装時において環境安全衛生上好ましくなく、しかも水中において塗膜から毒性の防汚剤が徐々に溶出し、長期的にみれば水域を汚染するおそれがあることから、その使用が法的に禁止されることとなった。
【0004】
一方、水生生物の付着・生育の防止効果があり、毒性防汚剤を含有しない塗料としては、塗膜の表面張力を低くして防汚性を付与させるものとして、室温硬化性シリコーンゴム組成物に流動パラフィン又はペトロラタムを配合した無毒性防汚塗料が提案されている(特開昭58−13673号公報、特開昭62−84166号公報:特許文献1,2)。また、反応硬化型シリコーン樹脂組成物の硬化に伴う体積収縮によって、相溶性が乏しく非反応性の極性基含有シリコーン樹脂が表面へにじみ出し、硬化性シリコーン樹脂のもつ低表面張力と相俟って防汚性を示す無毒性防汚塗料組成物(特許第2503986号公報、特許第2952375号公報:特許文献3,4)も提案されている。
【0005】
しかしながら、前記無毒性防汚塗料組成物は、相溶性が乏しく、非反応性の極性基含有シリコーン樹脂がSi原子にC−C結合を介してエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が付加しているポリオキシエチレン基を有するシリコーン樹脂、又はSi原子にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド基を介して分子末端にアルコキシ基が導入されたシリコーン樹脂をオイルブリードさせ、防汚塗膜における防汚性を発揮させており、シリコーンオイル等の成分が経時的に放出されることに多く依存しているため、これらの成分の放出が終わると防汚性が低下してしまい、長期間の防汚性の発揮は困難であった。
【0006】
【特許文献1】特開昭58−13673号公報
【特許文献2】特開昭62−84166号公報
【特許文献3】特許第2503986号公報
【特許文献4】特許第2952375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、長期間優れた防汚性能が発揮される水中生物付着防止塗料組成物、及びそれを用いた水中構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するために非反応性シリコーンオイルについて鋭意検討した。その結果、一分子中にポリエーテル基、長鎖アルキル基及びアラルキル基を含有するシリコーンオイルを含む塗料組成物は、低表面張力、撥水性、離型性を有することから、水中生物が付着し難い塗膜が形成でき、長期間にわたり優れた防汚性が得られることを見出した。
【0009】
即ち、本発明者は、防汚塗料用ブリードオイルとして非反応性シリコーンオイルの構造を鋭意検討した結果、長期間海水中に晒されても、その塗膜の表面状態を殆ど変化させないシリコーンオイルの構造を知見した。このシリコーンオイルは、一分子中にポリエーテル基、長鎖アルキル基及びアラルキル基を含有するものであり、ポリエーテル基による低表面張力、長鎖アルキル基による撥水性、アラルキル基による離型性を兼ね備えているため、これを用いることで、水中生物が付着し難くなる塗膜が得られ、更に好ましくは、バインダー樹脂(有機樹脂)として硬化性シリコーン樹脂を用いることにより、日光による劣化、海水による劣化も少なく、長期間、耐候性、耐水性に優れた塗膜が得られることを知見したものである。
更に、塗膜の表面状態は、生物付着性と大きな関係がある水との接触角で確認できること、特に海水に浸漬する前と浸漬した後の接触角の変化が少ない塗膜は、水中生物が付着し難いものであることを見出し、本発明をなすに至った。
【0010】
従って、本発明は、下記に示す水中生物付着防止塗料組成物及び水中構造物を提供する。
〔請求項1〕
(A)硬化性有機樹脂: 100質量部、
(B)一分子中にポリエーテル基、長鎖アルキル基及びアラルキル基を含有するシリコーンオイル: 1〜200質量部
を含有することを特徴とする水中生物付着防止塗料組成物。
〔請求項2〕
(B)成分のポリエーテル基、長鎖アルキル基、アラルキル基が下記構造のものである請求項1記載の水中生物付着防止塗料組成物。
ポリエーテル基;
−Ck2k−O−(C24O)m−(C36O)n−R1
(式中、kは1〜3の整数、m、nは0〜40の整数であって、m+nは1〜50の整数である。R1は水素原子、メチル基、ブチル基、アリル基、アセチル基から選ばれる基である。)
長鎖アルキル基;
−Ca2a+1
(式中、aは4〜20の整数である。)
アラルキル基;
【化1】

(式中、R2は炭素数1〜4のアルキレン基である。)
〔請求項3〕
(A)成分が、それぞれ硬化性の塩化ビニル共重合樹脂、塩化ゴム樹脂、塩素化オレフィン樹脂、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、シリル(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリサルファイド樹脂、シリコーン樹脂から選ばれるものである請求項1又は2記載の水中生物付着防止塗料組成物。
〔請求項4〕
(A)成分が、室温硬化性シリコーン樹脂である請求項1又は2記載の水中生物付着防止塗料組成物。
〔請求項5〕
硬化被膜を海水に浸漬した前後の水との接触角の変化が20度以内である請求項1〜4のいずれか1項記載の水中生物付着防止塗料組成物。
〔請求項6〕
請求項1〜5のいずれか1項記載の塗料組成物でコーティングされた水中構造物。
【0011】
ここで、本発明において、硬化性有機樹脂とは、室温下又は加熱により架橋剤の存在又は不存在下に架橋するものと定義し、架橋剤がなくても架橋する有機樹脂であれば、硬化性有機樹脂は当該有機樹脂のみからなり、また架橋剤によって架橋する有機樹脂であれば、硬化性有機樹脂は、当該有機樹脂と架橋剤との組み合わせからなる。例えば、室温硬化性シリコーン樹脂であれば、室温硬化反応性基を有するオルガノポリシロキサンとこのオルガノポリシロキサンを架橋する架橋剤との組み合わせからなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明により得られた水中生物付着防止塗料組成物は、長期間優れた防汚性能が発揮される。特に水中構造物に塗装され、水中構造物の表面への水生生物の付着・生育を防止するために好適であり、その効果の持続性が良好である。
特に硬化性有機樹脂が室温硬化性シリコーン樹脂である場合、得られる塗膜は無毒であり、且つ、長期間にわたって水生生物の付着・生育を防止し、優れた防汚性を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の水中生物付着防止塗料組成物は、下記(A)及び(B)成分を含有するものである。
(A)硬化性有機樹脂
(B)一分子中にポリエーテル基、長鎖アルキル基及びアラルキル基を含有するシリコーンオイル
【0014】
本発明の水中生物付着防止塗料組成物は、室温(50℃未満)、加熱(50℃以上)、紫外線(あるいは電子線)等によって硬化する硬化性の樹脂組成物であり、好ましくは室温硬化性の樹脂組成物である。これらは1成分型のものでも、2成分型のものでも、多成分型のものであってもよい。
【0015】
[(A)成分]
本発明の(A)成分である硬化性有機樹脂は、バインダー成分であり、塗料塗膜を与える成分である。硬化性有機樹脂としては、従来塗料のバインダー成分として用いられているものであれば特に制限されないが、例えば、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル・ビニルイソブチルエーテル共重合樹脂、塩化ビニル・プロピオン酸ビニル共重合樹脂などの塩化ビニル共重合樹脂、塩化ゴム樹脂、塩素化オレフィン樹脂、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、シリルエステル化されたシリル(メタ)アクリル樹脂などのアクリル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリサルファイド樹脂、硬化性シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、耐候性、耐水性の面から硬化性シリコーン樹脂であることが好ましく、特に室温硬化性シリコーン樹脂が好ましい。
【0016】
上記硬化性シリコーン樹脂の主剤(ベースポリマー)は、1分子中に少なくとも2個の珪素原子に結合した硬化反応性基を有するオルガノポリシロキサンである。
このオルガノポリシロキサンが室温硬化性である場合の硬化反応性基としては、水酸基、加水分解性基が挙げられる。ここで、加水分解性基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜8のアルコキシ基;メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基等のアルコキシアルコキシ基;アセトキシ基、オクタノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基;ビニロキシ基、イソプロペニルオキシ基、1−エチル−2−メチルビニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基等のケトオキシム基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアミノ基;ジメチルアミノキシ基、ジエチルアミノキシ基等のアミノキシ基;N−メチルアセトアミド基、N−エチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基等のアミド基等が挙げられ、アルコキシ基が好ましい。
【0017】
また、上記硬化反応性基以外の基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α−,β−ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、F、Cl、Br等のハロゲン原子やシアノ基などで置換された基、例えば、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−シアノエチル基等を例示することができる。これらの中で、メチル基、エチル基、ビニル基、フェニル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0018】
オルガノポリシロキサンは、23℃における粘度が20〜1,000,000mPa・s、好ましくは100〜500,000mPa・s、より好ましくは1,000〜50,000mPa・sであるような重合度のものを用いることが好ましい。前記粘度が20mPa・s(23℃)未満であると、物理的・機械的強度に優れたコーティング塗膜を得ることが困難となる場合があり、逆に1,000,000mPa・s(23℃)を超えると組成物の粘度が高くなりすぎて使用時における作業性が悪くなる場合がある。なお、本発明において、粘度は回転粘度計により測定できる(以下、同じ)。
【0019】
上記オルガノポリシロキサンとしては、下記式のような両末端にシラノール基又は加水分解性基を有するシリル基(加水分解性基としては、上述したものが挙げられる)を有するジメチルポリシロキサン等のジオルガノポリシロキサンが好ましい。
【化2】

上記式中、Rは上述した硬化反応性基以外の基として例示したものと同様のものが挙げられ、R’はメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基である。また、n,mは粘度が20〜1,000,000mPa・s(23℃)となる数であり、aは0又は1である。
【0020】
上記両末端にシラノール基又は加水分解性基を有するシリル基を有する室温硬化性のオルガノポリシロキサンを用いる場合、架橋剤として、加水分解性基を有するシラン及び/又はその部分加水分解縮合物を用いる。シラン及び/又はその部分加水分解縮合物は、その分子中に加水分解可能な基を少なくとも2個有するものであり、好適には加水分解可能な基を3個以上有することが好ましく、また、ケイ素原子には加水分解可能な基以外の基が結合していてもよく、更に、その分子構造はシラン又はシロキサン構造のいずれであってもよい。特に、シロキサン構造のものにあっては直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。
【0021】
加水分解可能な基としては、上記(A)成分のオルガノポリシロキサンの水酸基以外の加水分解性基として挙げたものが同様に例示されるが、アルコキシ基、ケトキシム基、イソプロペノキシ基が好ましい。
【0022】
加水分解可能な基以外の基は、非置換又は置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基が用いられ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、フェニル基、ビニル基が好ましい。
【0023】
架橋剤の具体例としては、例えば、エチルシリケート、プロピルシリケート、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリプロペノキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリ(メチルエチルケトキシム)シラン、ビニルトリ(メチルエチルケトキシム)シラン、フェニルトリ(メチルエチルケトキシム)シラン、プロピルトリ(メチルエチルケトキシム)シラン、テトラ(メチルエチルケトキシム)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリ(メチルエチルケトキシム)シラン、3−クロロプロピルトリ(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルトリ(ジメチルケトキシム)シラン、メチルトリ(ジエチルケトキシム)シラン、メチルトリ(メチルイソプロピルケトキシム)シラン、トリ(シクロへキサノキシム)シラン等及びこれらの部分加水分解縮合物が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0024】
架橋剤の配合量は、上記オルガノポリシロキサン100質量部に対して0.5〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量部である。前記配合量が0.5質量部未満であると架橋が不十分となる場合があり、また、逆に20質量部を超えると硬化物が硬くなりすぎ、経済的に不利となるという問題が発生する場合がある。
【0025】
[(B)成分]
本発明の(B)成分である一分子中にポリエーテル基、長鎖アルキル基及びアラルキル基を含有するシリコーンオイルは、水中生物付着防止性能を与えるために重要な成分である。ポリエーテル基、長鎖アルキル基、アラルキル基全てを一分子中に含有する必要がある。
これら置換基の効果は、ポリエーテル基による低表面張力、長鎖アルキル基による撥水性、アラルキル基による離型性であり、これらを兼ね備えることで水中生物が付着し難い塗膜が得られる。
【0026】
なお、一分子中にポリエーテル基、長鎖アルキル基及びアラルキル基から選ばれる1種又は2種の基を含むシリコーンオイルを2種以上組み合わせて、組成物中にポリエーテル基、長鎖アルキル基及びアラルキル基を含むように配合した組成物を用いても、相乗効果が認められず、水中生物が付着し難い塗膜を得ることができない。
【0027】
具体的に、ポリエーテル基としては、下記構造の置換基が好ましい。
ポリエーテル基;
−Ck2k−O−(C24O)m−(C36O)n−R1
(式中、kは1〜3の整数、好ましくは2又は3,特に好ましくは3、m、nは0〜40の整数であって、m+nは1〜50、好ましくは3〜40の整数である。R1は水素原子、メチル基、ブチル基、アリル基、アセチル基から選ばれる基である。)
【0028】
ポリエーテル基として、具体的には、下記に示す基が例示される。
【化3】

【0029】
長鎖アルキル基としては、下記に示す基が好ましい。
−Ca2a+1
(式中、aは4〜20の整数である。)
長鎖アルキル基として、具体的には、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、オクタデシル基等が例示される。
【0030】
アラルキル基としては、下記に示す炭素数7〜10のアラルキル基が好ましい。
【化4】

(式中、R2は炭素数1〜4のメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基であり、直鎖状でも分岐していてもよい。)
【0031】
アラルキル基として、具体的には、下記に示す基が例示される。
【化5】

【0032】
これらポリエーテル基、長鎖アルキル基、アラルキル基は、いずれも一分子中に1個以上含有するものであり、好ましくは、ポリエーテル基を1〜20個、長鎖アルキル基を1〜50個、アラルキル基を1〜20個含有するものである。
また、これら置換基は一分子中に含有されていればよく、ポリマー側鎖あるいは末端といった位置は特定されない。
【0033】
(B)成分のシリコーンオイルとして、特に好ましくは下記構造式で示される化合物が例示される。
【化6】

(式中、Meはメチル基であり、R3
【化7】

であり、R4は−C36O(C24O)9−COCH3であり、R5は−(CH27CH3である。但し、各繰り返し単位は平均値を示し、これら繰り返し単位の配列はランダムである。)
【0034】
また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子量は250〜100,000であることが好ましく、より好ましくは500〜60,000である。数平均分子量が250未満であると防汚性が劣る場合があり、100,000より大きいと組成物の粘度が高すぎて使用しにくい場合がある。
【0035】
更に、23℃における粘度は20〜30,000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは30〜10,000mPa・sである。23℃における粘度が20mPa・s未満であると防汚性が劣る場合があり、30,000mPa・sより高いと組成物の粘度が高すぎて使用しにくい場合がある。
【0036】
本発明においては、このようなシリコーンオイルのうちのいずれか1種又は2種以上が、(A)成分100質量部に対して1〜200質量部、好ましくは5〜150質量部、特に好ましくは10〜100質量部の量で含有されているものである。このシリコーンオイルの量が上記範囲にあると、例えば、防汚塗料として用いた場合に、防汚性、塗膜強度共に優れた(防汚)塗膜が得られるものであり、上記範囲より少ないと防汚性が低下し、また上記範囲より多いと塗膜強度が低下する。
【0037】
[その他の配合成分]
本発明の組成物には、次に挙げるような防汚塗料のブリードオイルとして公知のシリコーンオイルを併用してもよい。ジメチルシリコーンオイル、これらのジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部がフェニル基に置換されたメチルフェニルシリコーンオイル、モノアミン、ジアミン又はアミノ・ポリエーテル基に置換されたアミノ変性シリコーンオイル、エポキシ、脂環式エポキシ、エポキシ・ポリエーテル又はエポキシ・アラルキル基に置換されたエポキシ変性シリコーンオイル、カルビノール基に置換されたカルビノール変性シリコーンオイル、メルカプト基に置換されたメルカプト変性シリコーンオイル、カルボキシル基に置換されたカルボキシル変性シリコーンオイル、メタクリル基に置換されたメタクリル変性シリコーンオイル、ポリエーテルに置換されたポリエーテル変性シリコーンオイル、長鎖アルキル又は長鎖アルキル・アラルキル基に置換された長鎖アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル基に置換された高級脂肪酸変性シリコーンオイル、フロロアルキル基に置換されたフロロアルキル変性シリコーンオイル等が挙げられ、なかでもメチルフェニルシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、長鎖アルキル変性シリコーンオイル等を併用することができる。
【0038】
上記ブリードオイルを配合する場合、(A)成分100質量部に対して好ましくは1〜200質量部、より好ましくは5〜150質量部添加することができる。
【0039】
また、本発明の組成物には、次に挙げる防汚剤を併用してもよい。
防汚剤は、無機系、有機系のいずれであってもよく、無機系防汚剤としては、従来公知のものを使用でき、銅、無機銅化合物が好ましい。また、有機系防汚剤としては、下記式(i):
【化8】

(式中、R6〜R9はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン化アルキル基を示し、Mは、Cu、Zn、Na、Mg、Ca、Ba、Pb、Fe、Al等の金属原子を示し、nは価数を示す。)
で示される金属−ピリチオン類、テトラメチルチウラムジサルファイド、カーバメート系の化合物(例えば、ジンクジメチルジチオカーバメート、マンガン−2−エチレンビスジチオカーバメート)、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3(2H)イソチアゾリン、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピル−s−トリアジン等が挙げられる。
【0040】
上記有機系防汚剤では、銅ピリチオン(式(i)中、M=Cu)、ジンクピリチオン(式(i)中、M=Zn)、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピル−s−トリアジン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルが好ましい。
これらの有機系防汚剤は、金属ピリチオン類及び/又は4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチゾリン−3−オンがより好ましく、更にはこれらを併用すると防汚性能が優れるので好ましく、特に銅ピリチオン及び/又は4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを用いることが好ましく、これらを併用することが一層好ましい。
【0041】
上記有機系防汚剤を配合する場合、通常、組成物全体の0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%の量を添加することが望ましい。また、無機系防汚剤を配合する場合、通常、組成物全体の1〜200質量%、特に5〜100質量%の量を添加することが好ましい。
【0042】
本発明の組成物には、上記(A)成分が室温硬化性オルガノポリシロキサンの場合、硬化をより促進させるための触媒を添加してもよい。このような硬化用触媒としては、縮合硬化型の室温硬化性組成物に使用されている種々のものを使用することができ、具体例として、鉛−2−エチルオクトエート、ジブチルすずジオクトエート、ジブチルすずアセテート、ジブチルすずジラウレート、ブチルすず−2−エチルヘキソエート、鉄−2−エチルヘキソエート、コバルト−2−エチルヘキソエート、マンガン−2−エチルヘキソエート、亜鉛−2−エチルヘキソエート、カプリル酸第1すず、ナフテン酸すず、オレイン酸すず、ブタン酸すず、ナフテン酸チタン、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛等の有機カルボン酸の金属塩;テトラブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、トリエタノールアミンチタネート、テトラ(イソプロペニルオキシ)チタネート等の有機チタン酸エステル;オルガノシロキシチタン、β−カルボニルチタン、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラ(アセチルアセトナート)等の有機チタン化合物、有機チタンキレート;アルコキシアルミニウム化合物、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン等のアミノアルキル基置換アルコキシシラン;ヘキシルアミン、リン酸ドデシルアミン等のアミン化合物及びその塩;酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、臭酸リチウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩;ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のジアルキルヒドロキシルアミン;下記式:
【化9】

で表されるグアニジル基含有シラン及びシロキサン等を挙げることができる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0043】
上記硬化用触媒を用いる場合、その使用量は特に制限されず、触媒としての有効量でよいが、通常、(A)成分の室温硬化性オルガノポリシロキサン100質量部に対して0.01〜20質量部であることが好ましく、特に0.1〜10質量部であることが好ましい。この触媒を用いる場合、この触媒の含有量が上記範囲の下限未満の量であると、架橋剤の種類によっては得られる組成物の硬化性が不十分となるおそれがあり、一方、上記範囲の上限を超えると、得られる組成物の貯蔵安定性が低下するおそれがある。
【0044】
また、本発明の組成物には、補強又は増量の目的で充填剤を用いてもよい。このような充填剤としては、例えば、煙霧状シリカ、石英、けいそう土、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化鉛、酸化鉄、カーボンブラック、ベントナイト、グラファイト、炭酸カルシウム、マイカ、クレイ、ガラスビーズ、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、ガラス繊維、ポリ塩化ビニルビーズ、ポリスチレンビーズ、アクリルビーズ等を挙げることができる。
【0045】
上記充填剤を用いる場合、その使用量は特に制限されるものではないが、通常、(A)成分100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、特に5〜30質量部であることが好ましい。これらの充填剤を用いる場合、この充填剤の含有量が上記範囲の下限未満の量であると、硬化後のゴム物性が低下するおそれがあり、一方、上記範囲の上限を超えると、組成物の粘度が高くなりすぎて混合及び施工時の作業性が悪くなるおそれがある。
【0046】
更に、本発明の組成物には、必要に応じて可塑剤、顔料等の着色剤、難燃性付与剤、チキソトロピー剤、防菌・防バイ剤、アミノ基、エポキシ基、チオール基等を有する、いわゆるカーボンファンクショナルシラン(例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやアミノプロピルトリエトキシシランなど)等の接着向上剤等の所定量を、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜添加配合することは何ら差し支えない。
【0047】
なお、本発明の組成物の粘度は、23℃における粘度が50,000mPa・s以下、特に30,000mPa・s以下であることがコーティング性から好ましい。
【0048】
本発明の組成物は、船舶、港湾施設、ブイ、パイプライン、橋梁、海底基地、海底油田掘削設備、発電所の導水路管、養殖網、定置網等の水中構造物にコーティングすることができ、該組成物の硬化塗膜は無毒であり、環境面において何らの問題もなく、且つ、長期間にわたって水生生物の付着・生育を防止し、優れた防汚性を示すものとなり得る。
【0049】
本発明の組成物の水中構造物へのコーティング量としては特に限定されるものではないが、硬化膜厚が10〜1,000μm、特に50〜500μmとなる量とすることが好ましい。なお、本発明の組成物は、室温(常温)にて塗布後、室温(50℃未満)、加熱(50℃以上)、紫外線(あるいは電子線)等によって硬化させればよく、特には室温(常温)で塗布、硬化させることが好ましい。
【0050】
得られた硬化被膜は、海水に浸漬する前と0〜60℃の海水に浸漬して12ヶ月経過後の、水との接触角の変化が20度以内、特に15度以内であることが好ましい。得られた硬化被膜の水との接触角は、生物付着性と大きな関係があり、特に海水に浸漬する前と浸漬した後の接触角の変化が少ない硬化被膜は水中生物が付着し難いものである。なお、本発明において、接触角は、接触角計DropMaster500(協和界面科学(株)製)を使用して測定した値である。
【実施例】
【0051】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、部は質量部を示し、粘度は回転粘度計を用いて測定した23℃における値を示したものである。
【0052】
[実施例1]
粘度が1,500mPa・sのα,ω−ジヒドロキシ−ジメチルポリシロキサン100部、BET法による比表面積が110m2/gの煙霧状シリカ10部を均一に混合し、150℃で2時間加熱減圧混合した。これに、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン12部と、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1部、下記式(1)で示されるポリエーテル・長鎖アルキル・アラルキル変性シリコーンオイルA10部を減圧下で均一になるまで混合して組成物を調製した。
【0053】
【化10】

(式中、Meはメチル基であり、R3
【化11】

であり、R4は−C36O(C24O)9−COCH3であり、R5は−(CH27CH3である。また、各繰り返し単位は平均値を示し、これら繰り返し単位の配列はランダムである。)
【0054】
[実施例2]
実施例1のポリエーテル・長鎖アルキル・アラルキル変性シリコーンオイルAを50部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製した。
【0055】
[実施例3]
実施例1のポリエーテル・長鎖アルキル・アラルキル変性シリコーンオイルAを下記式(2)で示されるポリエーテル・長鎖アルキル・アラルキル変性シリコーンオイルBに変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製した。
【0056】
【化12】

(式中、Meはメチル基であり、R3
【化13】

であり、R4は−C36O(C24O)9−COCH3であり、R5は−(CH27CH3である。また、各繰り返し単位は平均値を示し、これら繰り返し単位の配列はランダムである。)
【0057】
[実施例4]
塩化ビニルイソブチルエーテル共重合体(商品名:ラロフレックス、BASF JAPAN(株)製)100部、亜鉛華25部、BET法による比表面積が110m2/gの煙霧状シリカ5部、タルク25部、キシレン20部、メチルイソブチルケトン20部に実施例1で用いたポリエーテル・長鎖アルキル・アラルキル変性シリコーンオイルA20部を均一になるまで混合して組成物を調製した。
【0058】
[実施例5]
撹拌機、温度計、還流冷却器、N2ガス導入管及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコに、キシレン40部を仕込み、N2ガスを導入しながら、90℃に昇温した後、以下の混合物(X)を滴下ロートにより3時間かけて滴下した。
混合物(X);
トリス(トリメチルシロキシ)−γ−メタクリロイルオキシプロピルシラン20部、メタクリル酸メチル50部、アクリル酸ブチル30部、アゾビスイソブチロニトリル1部
混合物(X)の滴下終了後、キシレン30部を滴下した。滴下終了後、90℃で4時間熟成させた後、冷却し、シリコーン含有アクリル樹脂を得た。この樹脂100部に実施例1で用いたポリエーテル・長鎖アルキル・アラルキル変性シリコーンオイルA20部を均一になるまで混合して組成物を調製した。
【0059】
[比較例1]
実施例1のポリエーテル・長鎖アルキル・アラルキル変性シリコーンオイルAを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして組成物を調製した。
【0060】
[比較例2]
実施例1のポリエーテル・長鎖アルキル・アラルキル変性シリコーンオイルAを250部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製した。
【0061】
[比較例3]
実施例1のポリエーテル・長鎖アルキル・アラルキル変性シリコーンオイルAをアラルキル変性オイル(商品名:KF410、粘度:900mPa・s、信越化学工業(株)製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製した。
【0062】
[比較例4]
実施例1のポリエーテル・長鎖アルキル・アラルキル変性シリコーンオイルAを長鎖アルキル変性オイル(商品名:KF414、粘度:100mPa・s、信越化学工業(株)製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製した。
【0063】
[比較例5]
実施例1のポリエーテル・長鎖アルキル・アラルキル変性シリコーンオイルAをポリエーテル変性オイル(商品名:KF351A、粘度:70mPa・s、信越化学工業(株)製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製した。
【0064】
[比較例6]
実施例1のポリエーテル・長鎖アルキル・アラルキル変性シリコーンオイルAを長鎖アルキル・アラルキル変性オイル(商品名:X−22−1877、粘度:850mPa・s、信越化学工業(株)製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製した。
【0065】
[比較例7]
実施例1のポリエーテル・長鎖アルキル・アラルキル変性シリコーンオイルAをポリエーテル変性オイル(商品名:KF351A、粘度:70mPa・s、信越化学工業(株)製)10部と、長鎖アルキル・アラルキル変性オイル(商品名:X−22−1877、粘度:850mPa・s、信越化学工業(株)製)10部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製した。
【0066】
<性能試験>
得られた組成物を用いて、下記に示す方法により各種試験(硬化前物性、硬化後物性、接触角、防汚性)を行った。これらの試験結果を表1,2に示した。
【0067】
[試験方法]
(A)硬化前物性(タックフリー、粘度):
タックフリー:JIS K6249に準じて行った。
粘度:JIS K6249に準じて行った。
【0068】
(A)硬化後物性(硬さ、伸び、引張強さ):
2mm厚のシートを成形し、23℃,50%RHで7日間硬化させ、JIS K6249に準じてゴム物性を測定した。
【0069】
(B)水との接触角:
(A)で作製したシートの純水との接触角を接触角計DropMaster500(協和界面科学(株)製)を使用して測定した。また、シートを50℃の海水中に浸漬し、一定時間経過後、同様に接触角を測定した。
【0070】
(C)防汚性:
エポキシ系防食塗料(膜厚200μm)を用いて予め塗装した被塗板に、硬化膜厚が300μmになるように塗装して試験塗板とした。このように作製した試験塗板を、23℃,50%RHの条件で7日間かけて硬化させた。硬化後の試験塗板を神奈川県海岸の沖合いに1.5mの深さで24ヶ月間にわたって懸垂試験を行った。フジツボ等の貝類、海藻類の付着状況を観察した。
【0071】
付着状況の判別
A:海中生物の付着面積が0%
B:海中生物の付着面積が0%を超え10%未満
C:海中生物の付着面積が10〜25%未満
D:海中生物の付着面積が25〜50%未満
E:海中生物の付着面積が50〜100%
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)硬化性有機樹脂: 100質量部、
(B)一分子中にポリエーテル基、長鎖アルキル基及びアラルキル基を含有するシリコーンオイル: 1〜200質量部
を含有することを特徴とする水中生物付着防止塗料組成物。
【請求項2】
(B)成分のポリエーテル基、長鎖アルキル基、アラルキル基が下記構造のものである請求項1記載の水中生物付着防止塗料組成物。
ポリエーテル基;
−Ck2k−O−(C24O)m−(C36O)n−R1
(式中、kは1〜3の整数、m、nは0〜40の整数であって、m+nは1〜50の整数である。R1は水素原子、メチル基、ブチル基、アリル基、アセチル基から選ばれる基である。)
長鎖アルキル基;
−Ca2a+1
(式中、aは4〜20の整数である。)
アラルキル基;
【化1】

(式中、R2は炭素数1〜4のアルキレン基である。)
【請求項3】
(A)成分が、それぞれ硬化性の塩化ビニル共重合樹脂、塩化ゴム樹脂、塩素化オレフィン樹脂、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、シリル(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリサルファイド樹脂、シリコーン樹脂から選ばれるものである請求項1又は2記載の水中生物付着防止塗料組成物。
【請求項4】
(A)成分が、室温硬化性シリコーン樹脂である請求項1又は2記載の水中生物付着防止塗料組成物。
【請求項5】
硬化被膜を海水に浸漬した前後の水との接触角の変化が20度以内である請求項1〜4のいずれか1項記載の水中生物付着防止塗料組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の塗料組成物でコーティングされた水中構造物。

【公開番号】特開2010−13591(P2010−13591A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176496(P2008−176496)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】