説明

水付着具及びそれを用いた水付着具セット

【課題】 飽きのくることがなく、しかも、容易にテンプレートに形成された像を転写することができる利便性に富む水付着具及びそれを用いた水付着具セットを提供する。
【解決手段】 内部に直接水を収容可能な筒状容器と、前記筒状容器の一端開口部に設けられるペン先と、前記容器の他端開口部に設けられる噴霧装置とからなる水付着具、前記水付着具と、ステンシルとからなる水付着具セット、水付着具と、ステンシルと、バインダー樹脂に分散状態に固着させた多孔質層を支持体表面に設けた、吸液状態と非吸液状態で前記多孔質層の透明性を異にする水変色性シート材とからなる水付着具セット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水付着具及びそれを用いた水付着具セットに関する。更には、筆記用ペン先と、噴霧用装置を備えた水付着具及びそれを用いた水付着具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、支持体上に低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、吸液状態と非吸液状態で透明性が異なる多孔質層を設けた知育玩具が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
前記知育玩具は、多孔質層が乾燥状態(非吸液状態)においては下層が隠蔽され、多孔質層に水を収容したペンを用いて水を吸液させると透明化して下層の色調による像を現出させることができるものである。
また、前記知育玩具には、所望の絵柄を形成するためにテンプレートを備えてなり、前記テンプレートを載置してペンでなぞり書きすることにより、該テンプレートの像を転写することができる。
前記知育玩具には水を付着させる水付着具としてペンが開示されているが、該ペンを用いて描画するのみでは飽きのくることがあり、しかも、テンプレートを載置してペンでなぞり書きすることは手間を有すると共に、幼児には困難な場合がある。
【特許文献1】実用新案登録第3096167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前記知育玩具に水を付着させる水付着具の不具合を解消しようとするものであって、飽きのくることがなく、しかも、容易にテンプレートに形成された像を知育玩具に転写することができる水付着具及びそれを用いた水付着具セットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、内部に直接水を収容可能な筒状容器と、前記筒状容器の一端開口部に設けられるペン先と、前記容器の他端開口部に設けられる噴霧装置とからなる水付着具を要件とする。
更には、前記ペン先は、ペン先の外周面を保持する筒状部材を介して前記ペン先を筒状容器の開口部に取り付けられること、前記噴霧装置は、筒状容器内の水を外部に放出する噴出口と、押圧部の操作で可動して前記容器内の水を噴出口から噴霧するポンプとからなる噴霧機構を備えてなること等を要件とする。
更には、前記水付着具と、ステンシルとからなる水付着具セット、前記水付着具と、ステンシルと、バインダー樹脂に分散状態に固着させた多孔質層を支持体表面に設けた、吸液状態と非吸液状態で前記多孔質層の透明性を異にする水変色性シート材とからなる水付着具セット等を要件とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、飽きのくることがなく、しかも、容易にテンプレートに形成された像を転写することができる利便性に富む水付着具及びそれを用いた水付着具セットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の水付着具は、内部に水を収容可能な筒状容器と、前記筒状容器の一端開口部にペン先を有し、且つ、容器の他端開口部には噴霧装置を有する。
前記筒状容器は、水を収容する円筒形等の筒状体であって、その一端にペン先が設けられ、筒状容器内の水を導出して水変色性シート材に所望の像を筆記により形成することができる。また、筒状容器の他端には噴霧装置が設けられ、筒状容器内の水を吸引して水変色性シート材に霧状の水を付着させることができる。
【0007】
前記ペン先は、プラスチック多孔体又は繊維加工体が用いられる。
なお、プラスチック多孔体又は繊維加工体は、適宜量の水を吸収し、吐出させるものであればよく、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、その他各種プラスチックの連続気孔体や繊維を集束させた毛筆状のもの、繊維の樹脂加工又は熱溶着加工によるもの、フェルト、不織布形態のものを挙げることができ、形状、寸法は目的に応じて任意に設定できる。
また、前記ペン先は、ペン先の外周面を保持する筒状部材を介して前記ペン先を筒状容器の開口部に着脱自在に設けることが好ましく、容器内への水の充填、補充を容易なものとすることができる。
【0008】
前記噴霧装置は、押圧部の操作によりポンプ機構を作動させ、容器内に収容された水を噴出口から噴霧する。
噴霧機構としては、水を霧状に吹き付け可能な機構であれば手動式、電動式に限定されないが、容器内に水を充填し、手動プッシュ機構で噴霧させるタイプのものが軽便性を満たす。
前記噴霧装置として具体的には、容器内の水を外部に放出する噴出口と、押圧部の操作で可動して前記容器内の水を噴出口から噴霧するポンプと、水を吸引するパイプとからなる噴霧機構が挙げられる。
【0009】
前記水変色性シート材は、バインダー樹脂に分散状態に固着させた多孔質層を支持体表面に設けた、吸液状態と非吸液状態で前記多孔質層の透明性を異にするシート材である。
前記支持体は印刷適性を備えた基材であれば全て有効であり、例えば、紙、合成紙、織物、編物、組物、不織布等の布帛、天然又は合成皮革、プラスチック、ガラス、陶磁器、金属、木材、石材等が用いられる。又、形状としては平面状のものが好ましいが、凹凸状の形態であってもよい。
【0010】
前記多孔質層は、低屈折率顔料をバインダー樹脂と共に分散状態に固着させた層であり、乾燥状態と吸液状態で透明性が異なる層である。
前記低屈折率顔料としては、珪酸及びその塩、バライト粉、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、タルク、アルミナホワイト、炭酸マグネシウム等が挙げられ、これらは屈折率が1.4〜1.8の範囲にあり、水を吸液すると良好な透明性を示すものである。
なお、前記珪酸の塩としては、珪酸アルミニウム、珪酸アルミニウムカリウム、珪酸アルミニウムナトリウム、珪酸アルミニウムカルシウム、珪酸カリウム、珪酸カルシウム、珪酸カルシウムナトリウム、珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウムカリウム等が挙げられる。
又、前記低屈折率顔料は2種以上を併用することもできる。
前記低屈折率顔料の粒径は特に限定されるものではないが、0.03〜10.0μmのものが好適に用いられる。
尚、好適に用いられる低屈折率顔料としては珪酸が挙げられる。
前記珪酸は、乾式法により製造させる珪酸であってもよいが、湿式法により製造される珪酸(以下、湿式法珪酸と称する)が特に効果的であり、この点を説明すると、珪酸は非晶質の無定形珪酸として製造され、その製造方法により、四塩化ケイ素等のハロゲン化ケイ素の熱分解等の気相反応を用いる乾式法によるもの(以下、乾式法珪酸と称する)と、ケイ酸ナトリウム等の酸による分解等の液相反応を用いる湿式法によるものとに大別され、乾式法珪酸と湿式法珪酸とでは構造が異なり、前記乾式法珪酸は珪酸が密に結合した三次元構造を形成するのに対して、湿式法珪酸は、珪酸が縮合して長い分子配列を形成した、所謂、二次元構造部分を有している。
従って、前記乾式法珪酸と比較して分子構造が粗になるため、湿式法珪酸を多孔質層に適用した場合、乾式法珪酸を用いる系と比較して乾燥状態における光の乱反射性に優れ、よって、常態での隠蔽性が大きくなるものと推察される。
又、前記多孔質層においては、水を吸液させるものであるから、湿式法珪酸は乾式法珪酸に比べて粒子表面にシラノール基として存在する水酸基が多く、親水性の度合いが大であり、好適に用いられる。
尚、前記多孔質層の常態での隠蔽性と吸液状態での透明性を調整するために、湿式法珪酸と共に、他の汎用の低屈折率顔料を併用することもできる。
【0011】
前記多孔質層中の低屈折率顔料は、粒子径、比表面積、吸油量等の性状に左右されるが、常態での隠蔽性と吸液状態での透明性を共に満足するためには、塗布量が1〜30g/mであることが好ましく、より好ましくは、5〜20g/mである。1g/m未満では、常態で十分な隠蔽性を得ることが困難であり、又、30g/mを越えると吸液時に十分な透明性を得ることが困難である。
前記低屈折率顔料はバインダー樹脂を結合剤として含むビヒクル中に分散され、支持体に塗布した後、揮発分を乾燥させて多孔質層を形成する。
前記バインダー樹脂としては、ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、及び前記各樹脂エマルジョン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
前記低屈折率顔料とこれらのバインダー樹脂の混合比率は、低屈折率顔料の種類及び性状に左右されるが、好ましくは、低屈折率顔料1重量部に対してバインダー樹脂固形分0.5〜2重量部であり、より好ましくは、0.8〜1.5重量部である。低屈折率顔料1重量部に対してバインダー樹脂固形分が0.5重量部未満の場合には、前記多孔質層の実用的な皮膜強度を得ることが困難であり、2重量部を越える場合には、前記多孔質層内部への水の浸透性が悪くなる。
前記多孔質層は、一般的な塗膜と比較して着色剤に対するバインダー樹脂の混合比率が小さいため、十分な皮膜強度が得られ難い。そこで、耐擦過強度を高めるために、前記のバインダー樹脂のうち、ナイロン樹脂又はウレタン系樹脂を用いると効果的である。
前記ウレタン系樹脂としては、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂等があり、2種以上を併用することもできる。又、前記樹脂が水に乳化分散したウレタン系エマルジョン樹脂や、イオン性を有するウレタン樹脂(ウレタンアイオノマー)自体のイオン基により乳化剤を必要とすることなく自己乳化して、水中に溶解乃至分散したコロイド分散型(アイオノマー型)ウレタン樹脂を用いることもできる。
尚、前記ウレタン系樹脂は水性ウレタン系樹脂又は油性ウレタン系樹脂のいずれを用いることもできるが、本発明においては水性ウレタン系樹脂、殊に、ウレタン系エマルジョン樹脂やコロイド分散型ウレタン系樹脂が好適に用いられる。
前記ウレタン系樹脂は単独で用いることもできるが、支持体の種類や皮膜に必要とされる性能に応じて、他のバインダー樹脂を併用することもできる。ウレタン系樹脂以外のバインダー樹脂を併用する場合、実用的な皮膜強度を得るためには、前記多孔質層のバインダー樹脂中にウレタン系樹脂を固形分重量比率で30%以上含有させることが好ましい。
前記バインダー樹脂において、架橋性のものは任意の架橋剤を添加して架橋させることにより、さらに皮膜強度を向上させることができる。
前記バインダー樹脂には、水との親和性に大小が存在するが、これらを組み合わせることにより、多孔質層中への浸透時間、浸透度合い、浸透後の乾燥の遅速を調整することができる。更には、適宜分散剤や界面活性剤を添加して前記調整をコントロールすることができる。
【0012】
前記多孔質層は、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等により形成できる。
前記多孔質層の上層、下層、近傍には着色層を配設して様相変化を更に多様化させることができる。
【0013】
前記水付着具は、一端に設けたペン先を用いて水変色性シート材に筆記して所望の文字や絵柄を形成できる。
一方、水付着具の他端に設けた噴霧装置を用いて水変色性シート材に水を吹き付けることにより、大面積の変色を可能とする他、ステンシル(テンプレート)を水変色性シート材に載置してステンシルの抜き部分に噴霧装置で水を吹き付けることにより、瞬時にステンシルと同じ内容の文字や絵柄を形成することができる。
【0014】
前記のようにして得られる水付着具と、ステンシルとを組み合わせることにより、簡易にステンシルによる像をシート材に転写できる水付着具セットが得られる。
更に、前記水付着具と、ステンシルと、バインダー樹脂に分散状態に固着させた多孔質層を支持体表面に設けた、吸液状態と非吸液状態で前記多孔質層の透明性を異にする水変色性シート材とを組み合わせることにより、携帯性に優れると共に簡易にステンシルによる像をシート材に転写できる水付着具セットが得られる。
更に、前記水付着具と共にスタンプ形態の水付着具、例えば、平面状の印面を有するスタンプ具、円筒状の印面を有するローラー形態のスタンプ具を組み合わせて水付着具セットを得ることもできる。
【実施例】
【0015】
実施例1(図1参照)
水付着具1について以下に説明する。
プラスチック製の円筒状容器2の一端に、繊維束の樹脂加工体からなるペン先3をホルダー4を介して着脱自在に設けてなる。
前記容器2は、先端に水の注入孔が開口されてなり、且つ、容器先端の外面と、ホルダー4の内面は螺合される。
一方、円筒状容器2の他端には、噴霧装置5を嵌着してなる。
噴霧装置5は、押圧部51及び噴出口52が設けられており、装置の下部には、パイプ53が配設されている。更に、装置にはポンプが内蔵されており、前記押圧部を押圧することで筒状容器内に収容された水6を噴出口から噴霧できる。
【0016】
前記水付着具のペン先側を用いて、水変色性シート材に筆記すると、文字や絵柄を描くことができ、噴霧装置側を用いて水変色性シート材に噴霧すると、シート材の大面積を変色させることができた。
また、水変色性シート材に花の絵柄の抜き像を有するステンシルを載置してステンシル上から噴霧すると、瞬時に花の絵柄をシート材に転写することができた。
なお、前記水変色性シート材は、支持体として白色ナイロンタフタ生地の上面に、紫色、青色、緑色、黄色、オレンジ色、赤色の各非変色性インキを用いて、2cm幅の屈曲した帯状の像が互いに近接配置された波模様の着色層を形成し、前記着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて多孔質層を形成したシート材である。
【0017】
前記水付着具と、ステンシルを組み合わせて水付着具セットを得た。
前記水付着具セットは、所望の文字や絵柄を描くことができると共に、簡易にステンシルによる像をシート材に転写できるものであった。
【0018】
前記水付着具と、ステンシルと、水変色性シート材を組み合わせて水付着具セットを得た。
前記水付着具セットは、水変色性シート材に所望の文字や絵柄を描くことができると共に、簡易にステンシルによる像をシート材に転写できる携帯性に優れたものであった。
【0019】
実施例2(図2参照)
水付着具1について以下に説明する。
内部に仕切り壁21を有するプラスチック製の円筒状容器2の一端に、繊維束の棒状の樹脂加工体からなるペン先3がホルダー4を介して着脱自在に設けてなる。
前記容器2は、一端に水の注入孔が開口されてなり、且つ、容器先端の外面と、ホルダー4の内面は螺合される。
なお、前記容器2の開口部先端には空気交替を行なうための切り溝を設けてなる。
一方、円筒状容器2の他端には、噴霧装置5を設けてなる。
前記容器2は、他端に水の注入孔が開口されてなり、且つ、容器先端の外面と、噴霧装置の内面は螺合される。
噴霧装置5は、押圧部51及び噴出口52が設けられており、装置の下部には、パイプ53が配設されている。更に、装置にはポンプが内蔵されており、前記押圧部を押圧することで筒状容器内に収容された水6を噴出口から噴霧できる。
【0020】
前記水付着具のペン先側を用いて、水変色性シート材に筆記すると、文字や絵柄を描くことができ、噴霧装置側を用いて水変色性シート材に噴霧すると、シート材の大面積を変色させることができた。
また、水変色性シート材に蝶の絵柄の抜き像を有するステンシルを載置してステンシル上から噴霧すると、瞬時に蝶の絵柄をシート材に転写することができた。
なお、前記水変色性シート材は、支持体として白色ナイロンタフタ生地上面に、黄色、ピンク色、青色、赤色、オレンジ色、紫色の各非変色性インキを用いて、1.5cm幅の屈曲した帯状の像が互いに近接配置された波模様の着色層を形成し、前記着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて多孔質層を形成したシート材である。
【0021】
前記水付着具と、ステンシルを組み合わせて水付着具セットを得た。
前記水付着具セットは、所望の文字や絵柄を描くことができると共に、簡易にステンシルによる像をシート材に転写できるものであった。
【0022】
前記水付着具と、ステンシルと、水変色性シート材を組み合わせて水付着具セットを得た。
前記水付着具セットは、水変色性シート材に所望の文字や絵柄を描くことができると共に、簡易にステンシルによる像をシート材に転写できる携帯性に優れたものであった。
【0023】
実施例3(図3参照)
水付着具1について以下に説明する。
プラスチック製の円筒状容器2の一端に、繊維束の棒状の樹脂加工体からなるペン先3がホルダー4を介して接着されてなる。
一方、円筒状容器2の他端には、噴霧装置5を設けてなり、容器先端の外面と、噴霧装置の内面は螺合される。
噴霧装置5は、押圧部51及び噴出口52が設けられており、装置の下部には、パイプ53が配設されている。更に、装置にはポンプが内蔵されており、前記押圧部を押圧することで筒状容器内に収容された水6を噴出口から噴霧できる。
【0024】
前記水付着具のペン先側を用いて、水変色性シート材に筆記すると、文字や絵柄を描くことができ、噴霧装置側を用いて水変色性シート材に噴霧すると、シート材の大面積を変色させることができた。
また、水変色性シート材に水玉の絵柄の抜き像を有するステンシルを載置してステンシル上から噴霧すると、瞬時に水玉の絵柄をシート材に転写することができた。
なお、前記水変色性シート材は、支持体として白色ナイロンタフタ生地の上面に、青色の非変色性インキを用いて着色層を形成し、前記着色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて多孔質層を形成したシート材である。
【0025】
前記水付着具と、ステンシルを組み合わせて水付着具セットを得た。
前記水付着具セットは、所望の文字や絵柄を描くことができると共に、簡易にステンシルによる像をシート材に転写できるものであった。
【0026】
前記水付着具と、ステンシルと、水変色性シート材を組み合わせて水付着具セットを得た。
前記水付着具セットは、水変色性シート材に所望の文字や絵柄を描くことができると共に、簡易にステンシルによる像をシート材に転写できる携帯性に優れたものであった。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の水付着具の一実施例を示す縦断面図である。
【図2】本発明の水付着具の他の実施例を示す縦断面図である。
【図3】本発明の水付着具の他の実施例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 水付着具
2 筒所容器
21 仕切り壁
3 ペン体
4 ホルダー
5 噴霧装置
51 押圧部
52 噴出口
53 パイプ
6 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に直接水を収容可能な筒状容器と、前記筒状容器の一端開口部に設けられるペン先と、前記容器の他端開口部に設けられる噴霧装置とからなる水付着具。
【請求項2】
前記ペン先は、ペン先の外周面を保持する筒状部材を介して前記ペン先を筒状容器の開口部に取り付けられる請求項1記載の水付着具。
【請求項3】
前記噴霧装置は、筒状容器内の水を外部に放出する噴出口と、押圧部の操作で可動して前記容器内の水を噴出口から噴霧するポンプとからなる噴霧機構を備えてなる請求項1又は2記載の水付着具。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水付着具と、ステンシルとからなる水付着具セット。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水付着具と、ステンシルと、バインダー樹脂に分散状態に固着させた多孔質層を支持体表面に設けた、吸液状態と非吸液状態で前記多孔質層の透明性を異にする水変色性シート材とからなる水付着具セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−28285(P2009−28285A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195284(P2007−195284)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】