説明

水位計測装置および水位計測方法

【課題】 たとえ被測定断面における流体の水面が波打っている場合であっても、その水面の水位を簡易的にかつ高精度に計測可能となる水位計測装置を提供する。
【解決手段】 水位計測装置(10)は、水路(90)を流れる流体における被測定断面の水位を計測する装置である。 水路(90)に対して水面近傍へ固定された基準スケール(11)と、 被測定断面における水面を横断するように連続的に被撮影光(32)を照射する照射装置(20)と、 その照射装置(20)が照射した被撮影光(32)と前記基準スケール(11)とを含むように水面を連続的に撮影するカメラ(80)と、 そのカメラ(80)による撮影画像データから水面の高さ位置を算出する算出手段(72)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定断面における流体の水面が波打っている場合であっても、その水面の水位を計測可能な水位計測装置および水位計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水力発電所の取水流量の管理は、当該発電所の設備の適切な運用に重要である。水力発電は水の流量によって発電機出力が変化するとともに下流への影響もあるため、その流量を適切に制御する必要がある。例えば、小型の水力発電では河川から分岐された水路にて取水し、その水路を流れる取水流量を管理している。なお、河川から分岐された水路は、「開水路」または「開渠」と称している。
【0003】
開渠にて流量計測する場合は、開渠の所定断面の流速分布を取得し、その流速分布データに対して開渠の断面積を乗算することによる。上記の流速計測には、一般的にプロペラ流速計などが用いられている。
一方、開渠断面の寸法計測には、設計図面を用いるのが最も簡単であるが、開渠から水を抜く、いわゆる抜水した際に実測した実測値を使用する場合もある。
【0004】
また、超音波を利用した寸法計測方法を採用する場合もある。その寸法計測方法は、超音波の伝播時間と水中音速から距離を算出する。その場合の流量計測は、超音波流速分布計(ADCP)の機能を用いる。
超音波を利用して水路の流量を測定する方法の例としては、特許文献1の超音波式流量計測方法が開示されている。この特許文献1では、水路内を、中央部と、その中央部より壁面または底面よりの周辺部と、壁面または底面に近い外縁部とに分ける。その上で、水路の周辺部の流速分布を超音波で測定する。水路の中央部の流速分布は、前記測定した周辺部の流速分布を用いて補間することによって水路全体の流量を求める、という技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−190775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、特許文献1に開示されている技術の目的は、大規模な水路全体の流量を簡略な設備にて測定することである。 すなわち、超音波を用いてドップラー法または相互相関法を利用して水の流速を計測する。 また、既知である水路形状および寸法と別の手段で計測した水位とから流水断面積を計算し、その流水断面積と計測した前記の流速とから流量を算出する。
したがって、大規模な水路全体の流量を簡略な設備にて測定するという目的を達成する点においては、既知である水路形状および寸法を利用することで十分である。
【0007】
しかし、正確な流量を算出したい、という目的で測定する場合には、超音波流量計にて計測の対象とする流水の断面形状の正確な把握が必要となる。その場合、開渠断面の寸法の正確な計測に基づく流水の断面形状の把握と、当該断面形状における上端を連続させた位置(水位)の把握とが必要となる。
たとえば、水力発電所の効率試験を行う場合の流量の計測精度は、高精度であることが求められるため、開渠の断面寸法も高精度に計測する必要がある。開渠の大きさにもよるが、数センチメートル程度の断面寸法の違いによって1%程度の流量差が生じる場合もあるからである。
【0008】
上記の点に鑑みると、特許文献1に開示された技術では不十分である。開渠断面の寸法の正確な計測に基づく流水の断面形状の把握も、当該断面形状における上端を連続させた位置(水位)の把握も、行えないからである。
市販の水位計とその水位データ継続記録手段などによって、水位の経時変化を計測することで対処可能である。 しかし、分岐直後などの流れの乱れが大きい箇所では、水面に凹凸が生じている。 したがって、開渠の断面方向の水位を計測しなければ、高精度な流水断面積計測ができない。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、流れ方向に垂直な水面の水位を計測可能な水位計測装置および水位計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(第一の発明)
本願における第一の発明は、 水路(90)を流れる流体における被測定断面の水位を計測する水位計測装置に係る。
すなわち、水路(90)に対して水面近傍へ固定された基準スケール(11)と、 被測定断面における水面に対して流れ方向を横断するように連続的に被撮影光(32)を照射する照射装置(20)と、 その照射装置(20)が照射した被撮影光(32)と前記基準スケール(11)とを含むように水面を連続的に撮影するカメラ(80)と、 そのカメラ(80)による撮影画像データから水面の高さ位置を算出する算出手段(72)とを備えた水位計測装置(10)に係る。
【0011】
(用語説明)
「流体」とは、川の水であることが一般的であるが、「水」に限られない。
カメラ(80)に関して、「連続的に撮影」とは、動画像としての撮影の他、静止画像の多数撮影も含まれる。
算出手段(72)に関して、「撮影画像データから水面の高さ位置を算出する」とは、被撮影光(32)の位置を基準スケール(11)に対してどこになるかを画像処理するものである。
【0012】
(作用)
照射装置(20)によって、水路(90)を流れる流体における被測定断面の水面を横断するように連続的に被撮影光(32)を照射する。被撮影光(32)は水面にて反射して反射光となる。カメラ(80)は、水面における被撮影光(32)の反射光と基準スケール(11)とを含むように水面を連続的に撮影する。
算出手段(72)は、基準スケール(11)が含まれるように撮影した撮影画像データから水面の高さ位置を算出する。
例えば、被測定断面における水面に照射した被撮影光(32)の反射光における高さ位置を算出する。
それによって、たとえ水路(90)を流れる流体における被測定断面の水面が波打っている場合であっても、その水面の水位を簡易的にかつ高精度に計測可能となる。
【0013】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のようなバリエーションを提供することもできる。
すなわち、 前記照射装置(20)は、被撮影光(32)を水路(90)と平行な方向に対して連続的に変化させる水平方向変化手段(50)を備えることとしてもよい。
【0014】
(作用)
水面はある一定周期で変動しているが、その水面の変動周期があまりに長いために、適切に水位計測ができない場合がある。その場合は、水平方向変化手段(50)によって被撮影光(32)を水平方向に対して連続的に変化させると、水面に照射した被撮影光(32)の反射光を画像取得する数が増える。それによって適切に水位を計測することができる。
【0015】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、以下のようなバリエーションを提供することもできる。
すなわち、 前記のカメラ(80)は、前記の被撮影光(32)を異なる複数の場所から同時撮影するステレオカメラとし、 前記の算出手段(72)は、複数のカメラ(80)における同期させた撮影画像を用いて画像処理を実行することとしてもよい。
【0016】
(作用)
前記のカメラ(80)をステレオカメラとすると、三次元の画像で表示することが可能となる。それによって、水面の乱れに応じた詳細なデータを取得し、よりいっそう高精度の水位を計測することができる。
【0017】
(第二の発明)
本願における第二の発明は、 水路(90)を流れる流体の水面に対して流れ方向を横断するように連続的に被撮影光(32)を照射する照射手順と、 水路(90)に対して水面近傍へ固定された基準スケール(11)と前記被撮影光(32)とを含むようにカメラ(80)にて水面を連続的に撮影する撮影手順と、 その撮影手順による撮影画像データから水面の高さ位置を算出する水位算出手順とを実行することによる水位計測方法に係る。
【0018】
(作用)
たとえば、水路(90)を流れる流体における被測定断面の水面が波打っている場合であっても、その水面の水位を計測可能である。
【発明の効果】
【0019】
本願発明によれば、流れ方向に垂直な水面の水位を計測可能な水位計測装置および水位計測方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態を示す概略的な斜視図である。
【図2】被測定断面を測定するときの開渠の断面図である。
【図3】照射装置の概略的な分解斜視図である。
【図4】照射装置においてレーザ光を発射するレーザヘッド部の揺動動作を説明する動作説明図である。
【図5】遮蔽板からヘッドノズルに向かって視た部分的な正面図である。
【図6】遮蔽板からヘッドノズルに向かって視た正面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る水位計測装置の機能ブロック図である。
【図8】ステレオ撮影を実行する実施形態の概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る水位計測装置10は、図1および図2に示すように、基準スケール11と照射装置20とカメラ80と制御装置60とを備えている。なお、本実施形態では開渠90を流れる流体における被測定断面の水位を計測することを例とする。
【0022】
前記照射装置20から発射する被撮影光としては、レーザ光32の他、流体の色と明確に区別可能な色彩をなす光でなければならない。
上記の基準スケール11は、図1に示すように開渠90に対して水面近傍へ固定されたもので、水位を目視で計測するためのスケールである。
【0023】
前記照射装置20は、被撮影光であるレーザ光32を発射するヘッドノズル31を含むレーザヘッド部30と、被測定断面における水面を横断するように前記レーザ光32を連続的に移動する被撮影光移動装置40と、を備えている。
【0024】
さらに、前記レーザ光32を水平方向に対して連続的に変化させる水平方向変化装置50を備えることもできる。
前記照射装置20は、その一例として図1および図3に示すように箱型形状の装置本体21が例えば三脚23にて所望の場所へ設置可能な台座22の上に設けられる。
【0025】
前記被撮影光移動装置40は、前記装置本体21に設けられる。その装置本体21の一側面に、円弧状長孔のガイド孔部41が形成される。さらに、可動支持部材42が前記ガイド孔部41へ挿入された状態でそのガイド孔部41によって案内されて移動する構成である。 つまり、前記可動支持部材42の一端側は装置本体21の外側へ突出し、前記可動支持部材42の他端側は装置本体21の内部へ挿入されている。
【0026】
また、前記装置本体21の内部の下部には、円板状の回転部45がモータや回転ギヤなどからなる回転駆動機構44にて例えば一方向へ回転するように設けられている。
その上で、前記可動支持部材42の他端は、前記回転部45の外周縁近くの一点と、ピストンなどの連動部材43にて回転自在に連結されている。
【0027】
前記レーザヘッド部30は、前記装置本体21の外側へ突出した可動支持部材42の一端側へ固定されている。 さらに、前記レーザヘッド部30にはその上部にヘッドノズル31が取り付けられていることに加えて、その下部には前記の水平方向変化装置50が設けられている。
【0028】
その水平方向変化装置50は、前記ヘッドノズル31と同じ側のレーザヘッド部30の側面へ固定したモータなどの回転駆動部51と、その回転駆動部51の回転軸の先端へ固定した遮蔽板52aとを備えている。 その遮蔽板52aには、複数のレーザ光通過孔53が前記ヘッドノズル31から発射されるレーザ光32を遮断する位置に対して回転同心円上に設けられている。
【0029】
前記ヘッドノズル31から発射されるレーザ光32は、遮蔽板52aにて遮蔽される。しかし、遮蔽板52aが回転することによってレーザ光通過孔53を通過する。その時、レーザ光32は幅と広がりを有しているので、レーザ光通過孔53がレーザ光32に対して例えば左から右へ移動する際、図5(a)から図5(e)に示すようにレーザ光32が通過する幅の位置が左から右へ変化する。
後続するレーザ光通過孔53によっても、上記と同じようにレーザ光32が左から右へ変化する。以下、その動作を繰り返すことになる。
その結果、遮蔽板52aを回転させると、前記レーザ光32がレーザ光通過孔53によって断続的に通過するとともに水平方向へ変化することになる。
【0030】
前述した遮蔽板52aとは異なる例として、図6(a)から図6(d)に示す遮蔽板52bは、その外周側に扇状形のレーザ光通過切欠き部54を設けている。なお、図6(a)〜図6(d)は遮蔽板52bからヘッドノズル31に向かって視た正面図である。
遮蔽板52bが矢印方向へ回転すると、図6(a)ではレーザ光32がレーザ光通過切欠き部54を通過して幅と広がりをもって照射する。
【0031】
図6(b)ではレーザ光32がレーザ光通過切欠き部54の右側の遮蔽板52bによって右側から遮蔽されるので、レーザ光32の幅が左側へ移動して照射される。
図6(c)ではレーザ光32が遮蔽板52bによって完全に遮断される。
【0032】
図6(d)では遮蔽板52bにて遮断されていたレーザ光32がレーザ光通過切欠き部54によって右側から開放されるので、レーザ光32の幅が右側へ移動して照射される。
その結果、遮蔽板52bを回転させると、前記レーザ光32はレーザ光通過切欠き部54によって断続的に通過するとともに水平方向へ変化することになる。
【0033】
なお、水平方向変化装置50は上記の図5および図6の方法には限定されない。レーザ光32を水平方向へ変化させる装置の構成であればよい。
また、被撮影光移動装置40の動作は、例えば、図4(a)から図4(d)に示すように円板状の回転部45が矢印方向へ一回転すると、前記可動支持部材42が連動部材43を介して円弧状長孔のガイド孔部41によって案内されながら一往復する。
その結果、前記レーザヘッド部30は、図2に示すようにレーザ光32が被測定断面における水面を横断して連続的に照射するように角度変化することになる。
【0034】
前記の水平方向変化装置50の動作がさらに加わることによって、図1および図2に示すように水面へ照射されるレーザ光32が断続的にしかも水平方向へ変化することになる。すなわち、レーザ光32は水面にて反射して反射光33となる。
【0035】
前記カメラ80は、前記の照射装置20が照射したレーザ光32の反射光33と、前記の基準スケール11とを含むように水面を連続的に撮影するものである。
また、前記カメラ80は、図8に示すように前記のレーザ光32を異なる複数の場所から同時撮影するステレオカメラとすることができる。そのステレオカメラによって、三次元の画像で表示することが可能となる。 それによって水面の乱れに応じた詳細なデータを取得し、よりいっそう高精度の水位を計測することができる。
【0036】
制御装置60は、例えばパソコンなどの測定端末器を使用する。その測定端末器は、制御部70と記憶部61と表示部62と操作部63とを含んで構成される。
前記の制御部70は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により測定端末器を管理および制御する。 記憶部61は、ROM、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成され、制御部70で処理されるプログラムや取得データなどを記憶する。
【0037】
表示部62は、液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)、PDP(Plasma Display Panel)等で構成され、記憶部61に記憶されたアプリケーションのGUI(Graphical User Interface)を表示する。操作部63は、キーボード、十字キー、ジョイスティック等の複数のキー(スイッチ)およびマウスから構成され、ユーザの操作入力をするものである。
【0038】
さらに、上記の制御部70は、画像処理装置71、演算部72(算出手段)、指令部73を含んで構成されている。
前記画像処理装置71は、カメラ80によって撮影された画像をデジタル信号に変換するものである。本実施形態では、照射装置20にて照射された水面上のレーザ光32の反射光33と、基準スケール11とを含むように撮影された画像をデジタル信号に変換する。
【0039】
前記演算部72は、カメラ80から画像処理装置71を経て得た撮影画像データから、被測定断面における水面を横断して断続的に照射された各レーザ光32と、基準スケール11とを比較して、各レーザ光32における反射光33の高さ位置を算出する。その各反射光33の高さ位置の平均値を水位として算出する。
【0040】
前記指令部73は、ケーブルを介して前記照射装置20におけるレーザヘッド部30に対してヘッドノズル31からレーザ光32を発射する指令を与える。 それとともに前記被撮影光移動装置40に対してレーザ光32が被測定断面における流体の流れの水面を横切るように移動する指令を与える。 また、水平方向変化装置50に対してレーザ光32を水平方向に対して連続的に変化させる指令を与える。
【0041】
次に、上記の水位計測装置10における作用、すなわち本発明に係る水位計測方法について説明する。
例えば開渠90の被測定断面における水位を計測する場合について説明する。まず、図1に示すように、照射装置20が開渠90の被測定断面における流体の流れの水面を横切るようにしてレーザ光32を連続的に移動するように設置される。
【0042】
照射装置20のレーザヘッド部30においてヘッドノズル31からレーザ光32が発射される。 その時、レーザ光32が被撮影光移動装置40によって開渠90の被測定断面における水面を横切るようにして発射される。それに加えて、水平方向変化装置50によって水面へ照射されるレーザ光32が、図1および図2に示すように断続的にしかも水平方向へ変化する。
【0043】
上記のように水面へ照射されたレーザ光32の反射光33は、基準スケール11を含むようにカメラ80によって連続的に撮影される。
【0044】
制御装置60では、カメラ80から画像処理装置71を経て得た撮影画像データから、被測定断面における水面を横断して断続的に照射された各レーザ光32の反射光33と、基準スケール11とを比較して、各反射光33の高さ位置が演算部72にて算出される。その各反射光33の高さ位置の平均値が水位として算出される。
【0045】
以上のようにして、レーザ光32が開渠90の被測定断面における流体の流れの水面を横切るように連続的に照射されるとともに、その水面上のレーザ光32の反射光33と基準スケール11が含むようにカメラ80によって撮影される。 その得られた画像データ情報から被測定断面における水面の全体の水位が計測することができる。したがって、たとえ開渠90を流れる流体における被測定断面の水面が波打っている場合であっても、その水面の水位を計測可能となる。
【0046】
照射装置20が単数の場合は、計測したい開渠90における被測定断面に沿って前記レーザ光32をトラバースすればよい。
一方、複数の照射装置20を用いることができる場合は、例えば、開渠90の側壁91の近くから複数のレーザ光32を扇状に水面へ照射し、その多くのレーザ光32の反射光33を画像取得すればよい。
【0047】
水面は時々刻々と変化しているため、必ずしも水面からの反射光33を定常的に画像取得することができない。 しかし、水面はある一定周期で変動しているので、その周期を十分にカバーできるような画像計測時間を設定すれば、水面からの反射光33を画像取得することができる。
【0048】
前記の水面の変動周期があまりに長いために、適切に水位計測ができない場合は、レーザ光32を開渠90における流体の流れ方向へ微振動させることによって、前記反射光33を画像取得する数を増やすことができる。 つまり、前記の水平方向変化装置50を用いてレーザ光32が流体の流れ方向の水平方向へ変動することによって、レーザ光32を流体の流れ方向へ微振動させることができる。
【0049】
水面からの反射光33を画像取得することに関しては、反射光33の計測周期に応じてビデオカメラやハイスピードカメラなどの各種カメラ80を選択することができる。その際、レーザ光32だけを選択的に取得するために、使用するレーザ光32の周波数帯フィルタを用いることが望ましい。
【0050】
水位はある一定時間の平均値として求めればよいので、ビデオカメラによる画像取得ではなく、デジタルカメラによる画像取得でも可能である。 例えば、撮影時間中はデジタルカメラのシャッターを開けておき、反射光33を撮影し続ける。そのようにして計測した画像を処理することによって、反射光33の水位の平均値を求めることができる。
【0051】
以上のことから、本実施形態の水位計測装置および水位計測方法では、レーザ光32などの被撮影光による照射と、カメラ80を用いた画像計測とを組み合わせることによって、たとえ開渠90を流れる流体における被測定断面の水面が波打っている場合であっても、その水位を計測することができた。
【0052】
水位の計測結果を用いて、その水位を含む断面形状での超音波流量計であれば、開渠90を流れる流体の流量を、水位の変化を無視して流体流量を計測する場合に比べて高精度に計測することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、超音波流量計の製造業、河川などの水量を測量するための測量サービス業、河川の浚渫工事や開渠の修繕の必要性を判断するためのデータ測定やデータ収集を行う情報サービス業などにおいて、利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0054】
10 水位計測装置 11 基準スケール
20 照射装置 21 装置本体
22 台座 23 三脚
30 レーザヘッド部 31 ヘッドノズル
32 レーザ光(被撮影光) 33 反射光
40 被撮影光移動装置 41 ガイド孔部
42 可動支持部材 43 連動部材
44 回転駆動機構 45 回転部
50 水平方向変化装置(水平方向変化手段)
51 回転駆動部 52a 遮蔽板
52b 遮蔽板 53 レーザ光通過孔
54 レーザ光通過切欠き部
60 制御装置 61 記憶部
62 表示部 63 操作部
70 制御部 71 画像処理装置
72 演算部(算出手段) 73 指令部
80 カメラ
90 開渠(水路;被測定断面) 91 側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路を流れる流体における被測定断面の水位を計測する水位計測装置であって、
水路に対して水面近傍へ固定された基準スケールと、
被測定断面における水面に対して流れ方向を横断するように連続的に被撮影光を照射する照射装置と、
その照射装置が照射した被撮影光と前記基準スケールとを含むように水面を連続的に撮影するカメラと、
そのカメラによる撮影画像データから水面の高さ位置を算出する算出手段とを備えた水位計測装置。
【請求項2】
前記照射装置は、被撮影光を水路と平行な方向に対して連続的に変化させる水平方向変化手段を備えた請求項1に記載の水位計測装置。
【請求項3】
前記のカメラは、前記の被撮影光を異なる複数の場所から同時撮影するステレオカメラとし、
前記の算出手段は、複数のカメラにおける同期させた撮影画像データを用いて画像処理を実行することした請求項1または請求項2のいずれかに記載の水位計測装置。
【請求項4】
水路を流れる流体の水面に対して流れ方向を横断するように連続的に被撮影光を照射する照射手順と、
水路に対して水面近傍へ固定された基準スケールと前記被撮影光とを含むように、カメラにて水面を連続的に撮影する撮影手順と、
その撮影手順による撮影画像データから水面の高さ位置を算出する水位算出手順と、 を実行することとした水位計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−202794(P2012−202794A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67127(P2011−67127)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】