説明

水処理システム

【課題】給水待機時間が長い場合であっても、処理水の水質悪化を抑制することができる水処理システムを提供すること。
【解決手段】原水ラインL1と、濾過処理装置4と、処理水ラインL2と、処理水ブローラインL8と、処理水ブローバルブ24と、流通状態検出部としての流量計19と、制御装置30とを備える。制御装置30は、処理水W2が流通停止状態であると検出された場合に、処理水W2の流通停止時間を計測する流通停止時間計測部と、流通停止時間が第1の設定時間を経過したか否かを判定する設定時間経過判定部と、前記流通状態検出部による検出結果及び前記設定時間経過判定部による判定結果に基づいて処理水ブローバルブ24を開閉制御する処理水ブローバルブ制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原水に含まれる懸濁物質を濾材により捕捉して処理水を製造する濾過処理装置を備えた水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地下水等の原水に含まれる懸濁物質(例えば、微粒子、有機物、溶存鉄の酸化析出物等)濾材により捕捉して処理水を製造する濾過処理装置を備えた水処理システムが提供されている(例えば、特許文献1,2参照)。
このような水処理システムの濾過処理装置は、濾過塔等の濾過手段を備えている。濾過手段には、原水ラインを介して原水が供給されるようになっている。原水には、通常、濾過手段に供給される前の処理として、微粒子をフロック化するための凝集剤、溶存鉄を不溶化(懸濁物質化)するための酸化剤等、所定の薬剤が添加される。
薬剤が添加された原水は、濾過手段に導入され、原水に含まれる懸濁物質は、濾材によって捕捉され、清浄化される。そして、この清浄化された処理水は、上水や産業用水として、処理水ラインを介してユーザに供給されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−191014号公報
【特許文献2】特開2003−190973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ユーザによる処理水の使用態様は様々である。例えば、処理水が、工場等において産業用水として使用される場合、工場が稼働していない夜間や休日等においては、処理水の使用も長時間停止し、水処理システムにおける給水の待機時間も長くなる。
そのため、処理水が濾過塔内に長時間滞留するうちに、濾材の特性等によっては、処理水の水質が悪化する虞があった。
【0005】
しかし、上記特許文献1,2に記載の水処理システムは、工場の稼働再開時(水処理システムの給水開始時)に、濾過塔内で長時間滞留した処理水を、被供給設備等にそのまま供給する構成となっていた。そのため、ユーザによっては、処理水が所定の管理水質基準を満たさなくなる虞があった。
【0006】
本発明は、給水待機時間が長い場合でも、処理水の水質悪化を抑制することができる水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、原水が流通する原水ラインと、前記原水ラインの下流側の端部に設けられ、原水に含まれる懸濁物質を濾材により捕捉して処理水を製造する濾過処理装置と、前記濾過処理装置に接続され、該濾過処理装置によって製造された処理水が流通する処理水ラインと、前記処理水ラインに接続され、該処理水ラインを流通する処理水を系外に排出する処理水ブローラインと、前記処理水ブローラインに設けられ、該処理水ブローラインを開閉する処理水ブローライン開閉弁と、前記濾過処理装置及び前記処理水ラインにおける処理水の流通停止状態及び流通開始状態を検出する流通状態検出部と、前記流通状態検出部によって処理水が流通停止状態であると検出された場合に、処理水の流通停止時間を計測する流通停止時間計測部と、前記流通停止時間計測部によって計測された前記流通停止時間が所定の設定時間を経過したか否かを判定する設定時間経過判定部と、前記流通状態検出部による検出結果及び前記設定時間経過判定部による判定結果に基づいて前記処理水ブローライン開閉弁を開閉制御する処理水ブローライン開閉弁制御部と、を備える水処理システムに関する。
【0008】
また、前記処理水ブローライン開閉弁制御部は、前記流通状態検出部によって処理水の流通が開始されたと検出され、かつ、前記設定時間経過判定部によって前記流通停止時間が第1の設定時間を経過したと判定された場合に、前記処理水ブローライン開閉弁を開閉制御することが好ましい。
【0009】
また、前記処理水ブローライン開閉弁制御部は、前記設定時間経過判定部によって前記流通停止時間が第2の設定時間を経過したと判定される毎に、前記処理水ブローライン開閉弁を開閉制御することが好ましい。
【0010】
また、前記処理水ブローライン開閉弁制御部は、前記設定時間経過判定部によって前記流通停止時間が第2の設定時間を経過したと判定される毎に、前記処理水ブローライン開閉弁を開閉制御すると共に、前記流通状態検出部によって処理水の流通が開始されたと検出され、かつ、前記設定時間経過判定部によって前記流通停止時間が第1の設定時間を経過したと判定された場合に、前記処理水ブローライン開閉弁を開閉制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、給水待機時間が長い場合であっても、処理水の水質悪化を抑制することができる水処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態の水処理システム1を示す構成図である。
【図2】第1実施形態の水処理システム1の制御に係る機能ブロック図である。
【図3】第1実施形態の水処理システム1のブロー制御を示すタイムチャートである。
【図4】第1実施形態の水処理システム1のブロー制御を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態の水処理システム1のブロー制御を示すタイムチャートである。
【図6】第2実施形態の水処理システム1のブロー制御を示すフローチャートである。
【図7】第3実施形態の水処理システム1のブロー制御を示すタイムチャートである。
【図8】第3実施形態の水処理システム1のブロー制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1実施形態〕
以下に、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態の水処理システム1を示す構成図である。図2は、第1実施形態の水処理システム1の制御に係る機能ブロック図である。
【0014】
図1に示すように、本発明の第1実施形態の水処理システム1は、地下水等の原水W1が流通する原水ラインL1と、原水ポンプ2と、原水バルブ3と、原水ラインL1の下流側の端部に設けられ、原水W1に含まれる懸濁物質を濾材(図示せず)により捕捉して処理水W2を製造する濾過処理装置4と、処理水W2が流通する処理水ラインL2と、処理水ラインL2を開閉する給水バルブ7と、処理水ラインL2の下流側の端部に設けられ、処理水W2を貯留する処理水タンク8と、処理水タンク8の処理水W2を需要箇所(図示せず)に配給する処理水配給ラインL3と、処理水配給ポンプ9と、逆洗水供給ラインL5と、処理水ブローラインL8と、バックアップ給水ラインLbと、薬剤添加装置11と、処理水用水質計18と、流通状態検出部としての流量計19と、制御装置30と、を主体に構成されている。
なお、本明細書でいう「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0015】
原水ラインL1の上流側の端部は、原水W1の供給源(図示せず)に接続されている。原水ラインL1の下流側の端部は、濾過処理装置4(後述のコントロールバルブ6)に接続されている。原水ポンプ2は、原水ラインL1に設けられている。原水ポンプ2は、地下水等の原水W1を濾過処理装置4に向けて送出する。原水ポンプ2は、制御装置30(後述)によって運転(駆動及び停止)を制御される。原水バルブ3は、原水ラインL1に設けられ、原水ラインL1を開閉する。原水バルブ3は、制御装置30(後述)によって開閉を制御される。
【0016】
また、原水ラインL1は、添加点J1において、薬剤添加装置11によって所定の薬剤が添加されるようになっている。薬剤添加装置11は、原水ラインL1の下流側に位置する濾過処理装置4(後述)において懸濁物質を除去するために、所定の薬剤を添加するものである。薬剤は、凝集剤や酸化剤であり、濾過処理装置4の濾過方法に応じて、適宜選択される。薬剤の詳細については、後述する。
【0017】
薬剤添加装置11は、薬剤貯留部11aと、薬剤添加ポンプ11bと、を備える。薬剤貯留部11aは、薬剤を貯留する。薬剤添加ポンプ11bは、原水ラインL1の添加点J1において、薬剤貯留部11aに貯留された薬剤を原水W1に送出し、添加する。薬剤添加ポンプ11bは、制御装置30(後述)によって運転(駆動及び停止)を制御される。
原水ラインL1の合流点J3には、逆洗水供給ラインL5(後述)が合流している。
【0018】
濾過処理装置4は、原水ラインL1の下流側の端部に設けられ、原水W1に含まれる懸濁物質を濾材(図示せず)により捕捉することにより処理水W2を製造するものである。濾過処理装置4は、内部に濾材を有する濾過塔5と、コントロールバルブ6と、排水ラインL4と、を備え、濾材を定期的に洗浄(逆洗浄工程及び水洗工程を実施)できるように構成されている。
【0019】
つまり、濾過処理装置4は、逆洗浄工程時には、逆洗水供給ラインL5(後述)を介して濾材に洗浄水(本実施形態においては、処理水W2である。以下、適宜、「逆洗水」ということもある)が供給され、濾材によって捕捉された懸濁物質が洗浄水と共に系外へ排出されるように構成されている。濾過処理装置4は、水洗工程時には、逆洗浄された濾材を濯ぐために、濾材に濯ぎ水(本実施形態においては、原水W1)が供給され、濾材を濯いだ濯ぎ水が系外へ排出されるように構成されている。
【0020】
濾過塔5は、懸濁物質を濾過するための濾材(図示せず)をその内部に有する。
コントロールバルブ6は、濾過塔5に対して流入又は流出する水(原水W1、処理水W2、濾材洗浄時の逆洗水や濯ぎ水等)の流路を制御する。コントロールバルブ6は、制御装置30(後述)によって開閉を制御される。
排水ラインL4は、コントロールバルブ6に接続され、後述する濾材洗浄時の逆洗水(処理水W2)や濾材水洗時の濯ぎ水(原水W1)等を系外に排出する。
【0021】
濾過処理装置4は、処理水タンク8から逆洗水供給ラインL5を介して供給される処理水W2(逆洗水)によって、逆洗浄可能に構成されている。逆洗水供給ラインL5は、上流側の端部が処理水タンク8に接続され、下流側の端部が原水ラインL1の合流点J3に合流している。
【0022】
逆洗水供給ラインL5には、逆洗水を送出する逆洗水供給ポンプ15と、逆洗水供給ラインL5を開閉する逆洗バルブ16と、が設けられている。逆洗水供給ポンプ15は、制御装置30(後述)と接続されており、制御装置30によって運転(駆動及び停止)を制御される。逆洗バルブ16は、制御装置30(後述)と接続されており、制御装置30によって開閉を制御される。
【0023】
濾過処理装置4は、原水W1中の除去対象物質に応じて種々選択される。濾過処理装置4の例として、例えば、次のような砂濾過装置、除鉄除マンガン装置及び活性炭濾過装置を挙げることができる。これらの装置は、いずれも原水W1に含まれる懸濁物質を濾材の篩効果により捕捉して除去可能なものである。
【0024】
砂濾過装置は、原水W1に含まれる微粒子等の懸濁物質を濾材(図示せず)により捕捉して除去するものである。砂濾過装置としては、例えば、硅石等の粗粒濾材と、アンスラサイト、濾過砂等の細粒濾材と、から形成された濾材層(図示せず)を有する塔式のものが挙げられる。濾過処理装置4として、砂濾過装置が使用される場合には、原水W1に含まれる懸濁物質を凝集(フロック化)させて除去し易くする必要がある。そのため、濾過塔の上流側に配置された薬剤添加装置11によって、凝集剤を添加する。凝集剤としては、例えば、無機系凝集剤を用いることができ、具体的には、ポリ塩化アルミニウム(PAC)や硫酸アルミニウム等が挙げられる。
【0025】
除鉄除マンガン装置は、原水W1に含まれる微粒子等の懸濁物質と共に、溶存鉄及び溶存マンガンを濾材(図示せず)により捕捉して除去するものであり、この濾材が充填された濾過塔を備えている。濾材には、通常、粒子状のマンガンシャモットやマンガンゼオライトが使用される。また、濾過処理装置4として除鉄除マンガン装置が使用される場合には、原水W1に含まれる溶存鉄及び溶存マンガンを酸化してから除去する。そのため、濾過塔の上流側に配置された薬剤添加装置11によって、酸化剤(例えば、次亜塩素酸ナトリウム)を添加する。
【0026】
具体的には、原水W1に含まれる溶存鉄は、上記酸化剤の作用により酸化され、不溶性の水酸化第一鉄を経て水酸化第二鉄へと変化(すなわち、懸濁物質化)し、上記濾材によって濾過される。原水W1に含まれる溶存マンガンは、上記酸化剤の作用により上記濾材と接触したときに、酸化が進行し、濾材によって吸着され、除去される。
【0027】
活性炭濾過装置は、原水W1に含まれる懸濁物質と共に、有機物、色度成分及び臭気成分等の不純物を吸着材からなる濾材で除去するものであり、この吸着材が充填された濾過塔を備えている。吸着材には、通常、粒子状又は繊維状の活性炭が使用される。
なお、活性炭濾過装置は、上記砂濾過装置及び/又は除鉄除マンガン装置と併用してもよい。その場合、活性炭濾過装置を、上記砂濾過装置及び/又は除鉄除マンガン装置の下流側に配置することが好ましい。このように配置することにより、例えば、除鉄除マンガン装置を通過した酸化剤由来の残留塩素を、活性炭濾過装置によって分解できるからである。
【0028】
以上のように構成された濾過処理装置4には、処理水ラインL2が接続されている。処理水ラインL2の上流側の端部は、濾過処理装置4(コントロールバルブ6)に接続されている。処理水ラインL2の下流側の端部は、処理水タンク8に接続されている。処理水ラインL2には、濾過処理装置4によって製造された処理水W2が流通する。
処理水ラインL2には、給水バルブ7が設けられている。給水バルブ7は、処理水ラインL2を開閉する。給水バルブ7は、制御装置30(後述)と接続されており、制御装置30によって開閉を制御される。
【0029】
また、処理水ラインL2には、計測点J5において、処理水用水質計18が接続されている。処理水用水質計18は、処理水ラインL2を流通する処理水W2の水質(例えば、濁度又は色度等)を計測するものである。処理水用水質計18は、制御装置30(後述)と接続されている。処理水用水質計18によって計測された信号は、制御装置30に入力され、この制御装置30によって処理水W2の水質が判定されるようになっている。
【0030】
また、処理水ラインL2には、計測点J6において、流量計19が接続されている。流量計19は、処理水ラインL2を流通する処理水W2の流量を計測するものであり、流通状態検出部として機能する。流量計19は、制御装置30(後述)と接続されている。流量計19によって計測された信号は、制御装置30に入力され、この制御装置30によって処理水W2の流量が算出されるようになっている。
【0031】
また、処理水ラインL2の分岐点J7からは、処理水ブローラインL8が分岐している。この分岐点J7は、処理水ラインL2における濾過処理装置4の下流側、かつ、給水バルブ7の上流側に位置している。
【0032】
処理水ブローラインL8は、処理水ラインL2の分岐点J7に接続され、濾過塔5内に滞留していた処理水W2を系外に排出するものである。以下、本明細書においては、所定の条件下において、処理水W2を系外に排出することを、適宜、「処理水W2のブローを実施する」という。
【0033】
処理水ブローラインL8には、処理水ブローライン開閉弁としての処理水ブローバルブ24が設けられている。処理水ブローバルブ24は、処理水ブローラインL8を開閉する。処理水ブローバルブ24は、制御装置30(後述)と接続されており、制御装置30によって開閉を制御される。
【0034】
処理水タンク8は、処理水ラインL2の下流側の端部に接続され、処理水ラインL2を介して導入された処理水W2を貯留するものである。
処理水タンク8は、水位計8aを備えている。水位計8aは、処理水タンク8に貯留された処理水W2の水位を計測する。水位計8aは、制御装置30(後述)と接続されている。水位計8aによって計測された信号は、制御装置30に入力される。この制御装置30によって、処理水タンク8の水位が算出されるようになっている。
【0035】
本実施形態の濾過処理装置4においては、処理水W2の配給要求時には、後述する処理水配給ポンプ9が稼働され、処理水タンク8内の処理水W2が需要箇所(図示せず)に配給される。そのため、制御装置30は、水位計8aによって処理水タンク8の減水及び満水を検出することによって、濾過工程時に、処理水W2の給水開始タイミング及び給水停止タイミング(すなわち、原水ポンプ2の駆動及び停止タイミング)を判断することができる。
【0036】
また、処理水タンク8には、バックアップ給水ラインLbが接続されている。バックアップ給水ラインLbは、処理水タンク8における処理水W2の貯留量が処理水W2の需要量に対して不足する場合等において、別系統の水処理システム等で製造された処理水や上水等からなるバックアップ水Wbを、処理水タンク8に供給するためのものである。
【0037】
バックアップ給水ラインLbには、バックアップ給水バルブ26が設けられている。バックアップ給水バルブ26は、バックアップ給水ラインLbを開閉する。バックアップ給水バルブ26は、制御装置30(後述)と接続されており、制御装置30によって開閉を制御される。
【0038】
処理水配給ラインL3は、処理水タンク8に貯留される処理水W2が流通可能に構成されている。処理水配給ラインL3の上流側の端部は、処理水タンク8に接続されている。処理水配給ラインL3の下流側の端部は、処理水W2の需要箇所(図示せず)に接続されている。処理水配給ラインL3には、処理水配給ポンプ9が設けられている。処理水配給ポンプ9は、処理水タンク8からの処理水W2を、下流側の需要箇所に送出する。処理水配給ポンプ9は、制御装置30(後述)と接続されており、制御装置30によって運転(駆動及び停止)を制御される。
【0039】
次に、図2を参照して、第1実施形態の水処理システム1の制御に係る機能について説明する。図2は、第1実施形態の水処理システム1の制御に係る機能ブロック図である。
制御装置30は、第1実施形態の水処理システム1における各部を制御する。図2に示すように、制御装置30は、例えば、原水ポンプ2、処理水配給ポンプ9、薬剤添加ポンプ11b、逆洗水供給ポンプ15、原水バルブ3、コントロールバルブ6、給水バルブ7、逆洗バルブ16、バックアップ給水バルブ26、及び処理水ブローバルブ24に電気的に接続される。
【0040】
また、制御装置30は、水処理システム1における各計測装置に電気的に接続され、各計測装置から計測情報を受信する。計測装置は、例えば、流量計19、水位計8a、及び処理水用水質計18である。
【0041】
制御装置30は、制御部31と、メモリ部45と、を備える。制御部31は、流通停止時間計測部32と、設定時間経過判定部33と、処理水ブローライン開閉弁制御部としての処理水ブローバルブ制御部34と、を備える。
【0042】
流通停止時間計測部32は、濾過処理装置4及び処理水ラインL2において、流量計19によって、処理水W2が流通停止状態(処理水W2の流量がゼロ)であると検出された場合に、処理水W2が流通停止状態であると判定し、処理水W2の流通停止時間tを計測(計算)するものである。
【0043】
処理水W2の「流通停止時間」とは、処理水W2が濾過塔5内に滞留している「滞留時間」を意味する。換言すると、処理水W2の「流通停止時間」とは、濾過処理が行われることなく、濾過処理装置4が処理水W2の供給を待機している「待機時間」を意味し、流量計19によって処理水W2の流通停止が検出された後、再び流量計19によって処理水W2の流通開始が検出されるまでの時間を指す。従って、「待機時間」には、濾過処理装置4が後述する洗浄工程を行っている時間も含まれる。
【0044】
設定時間経過判定部33は、流通停止時間計測部32によって計測された流通停止時間tが、第1の設定時間t1(図3参照)を経過したか否かを判定するものである。この第1の設定時間t1は、上記滞留時間の閾値であり、かつ、処理水W2の流通開始と同時にブローを実施するように設定される時間である。第1の設定時間t1は、処理水W2が所定の水質を維持できる滞留時間の上限閾値を勘案して設定される。また、上記滞留時間(待機時間)には、洗浄工程の時間も含まれるため、第1の設定時間t1は、洗浄工程の合計時間よりも大きくなるように設定される。
【0045】
処理水ブローバルブ制御部34は、流量計19による計測情報(流通停止状態及び流通開始状態を示す検出結果)及び設定時間経過判定部33による判定結果に基づいて、処理水ブローバルブ24を開閉制御するものである。具体的な制御方法については、後述する。
【0046】
メモリ部45は、水処理システム1の制御に必要な制御プログラムや各種データ等を記憶する。具体的には、メモリ部45は、水処理システム1の制御に必要な各種機能を動作させる制御プログラム、前記各計測装置によって計測された各種計測データ(例えば、流量計19による流量データ、処理水用水質計18による水質データ等)、各種閾値(例えば、第1の設定時間t1等)、各種計算値(例えば、処理水W2の流通停止時間t)等を記憶する。
【0047】
次に、第1実施形態の水処理システム1の基本動作について、図1を参照しながら説明する。先ず、処理水ブローラインL8から処理水W2のブローを実施しない、通常運転時の動作について説明する。処理水W2のブローに係る制御(以下、適宜、「ブロー制御」ともいう)については、後述する。
【0048】
通常運転時の濾過工程の場合、濾過処理装置4のコントロールバルブ6が濾過工程用の流路に設定されていると共に、処理水ブローラインL8の処理水ブローバルブ24は、閉弁されている。処理水W2の配給要求があると、制御装置30によって処理水配給ポンプ9が稼働されることにより、処理水タンク8に貯留された処理水W2が下流側の需要箇所に送出される(配給開始)。そして、水位計8aにより処理水タンク8の減水が検出されると、制御装置30によって、原水ラインL1における原水ポンプ2及び薬剤添加ポンプ11bが稼働されると共に、原水バルブ3が開弁される。また、制御装置30によって、処理水ラインL2の給水バルブ7が開弁される。なお、この場合、逆洗水供給ラインL5における逆洗水供給ポンプ15は、稼働されず、逆洗バルブ16は閉弁されたままとなっている。
【0049】
原水W1は、原水ポンプ2によって原水ラインL1に供給される。そして、添加点J1において、薬剤添加装置11によって所定の薬剤が添加される。
薬剤が添加された原水W1は、濾過処理装置4のコントロールバルブ6を介して濾過塔5内に導入される。濾過塔5においては、原水W1が上記濾材層に対して下降するように流される。これにより、原水W1に含まれる懸濁物質が濾材により捕捉され、処理水W2が製造される。製造された処理水W2は、コントロールバルブ6を介して処理水ラインL2に流通され、処理水タンク8に貯留される。
【0050】
処理水ラインL2においては、処理水用水質計18によって処理水W2の水質が計測されると共に、流量計19によって処理水W2の流量が計測される。これらの計測情報は、制御装置30に受信される。
処理水W2の配給要求がなくなると、制御装置30によって処理水配給ポンプ9が停止される(配給停止)。続いて、水位計8aにより処理水タンク8の満水が検出されると、制御装置30によって、原水ラインL1における原水ポンプ2及び薬剤添加ポンプ11bが停止されると共に、原水バルブ3が閉弁される。また、制御装置30によって、処理水ラインL2の給水バルブ7が閉弁される。
【0051】
なお、制御装置30によって、処理水タンク8における処理水W2の水位が所定の下限値になったと判定された場合には、制御装置30によって、バックアップ給水ラインLbのバックアップ給水バルブ26が開弁される。これにより、バックアップ水Wbが、処理水タンク8に補給される。
【0052】
次に、濾過処理装置4の洗浄工程(逆洗浄工程及び水洗工程)について説明する。
逆洗浄工程時には、制御装置30によって、原水ラインL1における原水ポンプ2が停止されると共に、原水バルブ3が閉弁され、かつ、濾過処理装置4のコントロールバルブ6が逆洗浄工程用の流路に設定される。また、制御装置30によって、処理水ラインL2の給水バルブ7が閉弁されると共に、逆洗水供給ラインL5における逆洗水供給ポンプ15が稼働され、逆洗バルブ16が開弁される。これにより、濾過塔5において、処理水W2が上記濾材層に対して上昇するように流され、濾材が展開される。洗浄後の逆洗水は、排水ラインL4を介して、系外に排出される。
【0053】
また、水洗工程時には、制御装置30によって、原水ラインL1における原水ポンプ2が稼働されると共に、原水バルブ3が開弁され、かつ、濾過処理装置4のコントロールバルブ6が水洗工程用の流路に設定される。また、制御装置30によって、処理水ラインL2の給水バルブ7が閉弁状態を維持されると共に、逆洗水供給ラインL5における逆洗水供給ポンプ15が停止され、逆洗バルブ16が閉弁される。これにより、濾過塔5において、濯ぎ水としての原水W1が上記濾材層に対して下降するように流され、濾材が濯がれる。水洗後の濯ぎ水は、排水ラインL4を介して、系外に排出される。
【0054】
次に、第1実施形態の水処理システム1における処理水W2のブロー制御について、図3及び図4を参照しながら説明する。図3は、第1実施形態の水処理システム1のブロー制御を示すタイムチャートである。図4は、第1実施形態の水処理システム1のブロー制御を示すフローチャートである。
【0055】
本実施形態の制御方法は、例えば、工場等の操業が休止され、処理水W2の需要箇所への配給が停止されている夜間等の時間帯においては、処理水W2のブローを実施せず、朝、最初に処理水W2が配給される時にブローを実施するようにしたものである。
【0056】
図3において、符号t1は、第1の設定時間(後述)であり、処理水W2の滞留時間(待機時間)の閾値を示す。符号ta(<t1)は、第1の設定時間t1経過後の水処理システム1の経過時間を示す。符号tbは、処理水W2のブローが実施されているブロー時間(期間)を示す。符号T1、T2、T3及びT4は、時刻(時間)を示す。具体的には、T1は、処理水W2の流通停止状態を検出した時刻を示す。T2は、第1の設定時間t1が経過した時刻を示す。T3は、処理水W2の流通開始状態を検出した時刻であり、かつ、ブローの実施開始時刻を示す。T4は、ブローの実施終了時刻を示す。
【0057】
つまり、図3は、例えば、工場等の操業が休止され、処理水W2の配給が停止されている夜間等の時間帯(時刻T1から時刻T3の間)においては、処理水W2のブローを実施せず、朝、最初に処理水W2が配給される時(時刻T3)にブローを実施する場合のタイムチャートを示している。
【0058】
次に、本実施形態の制御方法について詳しく説明する。図4に示すように、ステップST1において、流通停止時間計測部32は、流量計19からの計測情報に基づいて、処理水W2が流通停止状態であるか否かを判定する。つまり、流通停止時間計測部32は、処理水W2の流通状態(流通停止状態及び流通開始状態)を判定する。
【0059】
処理水W2の配給停止又は洗浄工程の実施によって濾過処理が中断され、処理水W2が流通停止状態である(YES)場合(図3において、時刻T1以降に対応)には、ステップST2へ進む。処理水W2の配給のために濾過処理中であり、処理水W2が流通停止状態でない(NO)場合(図3において、時刻T1以前に対応)には、処理水W2が流通停止状態となるまで待機する(ステップST1を繰り返す)。
【0060】
ステップST2において、流通停止時間計測部32は、処理水W2の流通停止時間(滞留時間)tを計測し、ステップST3へ進む。
【0061】
ステップST3において、流通停止時間計測部32は、流量計19からの計測情報に基づいて、処理水W2が流通開始状態か否か(濾過処理が再開されたか否か)を判定する。
処理水W2が流通開始状態である(YES)場合(図3において、時刻T3の場合に対応)には、ステップST4へ進む。一方、処理水W2が流通開始状態でない(NO)場合(図3において、時刻T2から時刻T3の期間(待機時間ta)に対応)には、ステップST2に戻り、処理水W2の流通開始状態が検出されるまで、流通停止時間tの計測を継続する。
【0062】
ステップST4において、設定時間経過判定部33は、流通停止時間計測部32によって計測された流通停止時間tが、第1の設定時間t1(図3参照)を経過(t≧t1)したか否かを判定する。
【0063】
第1の設定時間t1は、処理水W2が所定の水質を維持できなくなる時間であって、かつ、処理水W2の配給が停止されている期間(時刻T1から時刻T3の間)よりも短い時間として、予め設定される。また、この第1の設定時間t1は、濾過塔5内に滞留する処理水W2が基準温度(例えば、25℃)以内にある場合の設定値である。
【0064】
流通停止時間tが第1の設定時間t1を経過した(YES)場合(図3において、時刻T2に対応)には、処理水W2が所定の水質を維持できないので、直ちに濾過処理を中断し、ステップST5へ進む。一方、流通停止時間tが第1の設定時間t1を経過していない(NO)場合(図3において、時刻T1から時刻T2の期間に対応)には、処理水W2が所定の水質を維持できるので、濾過処理を継続し、ステップST6へ進む。
【0065】
ステップST5において、処理水ブローバルブ制御部34は、処理水ブローバルブ24を一定のブロー時間tb(図3において、時刻T3から時刻T4までの期間に対応)開弁した後、再び閉弁することにより、処理水W2のブローを実施してから濾過処理に復帰し、ステップST6へ進む。
【0066】
処理水W2のブローを実施する場合、濾過塔5内において、第1の設定時間t1以上滞留していた古い処理水W2を、処理水ブローラインL8から系外に排出すると共に、その排出量に相当する新たな処理水W2を製造して、濾過塔5内に補充する必要がある。つまり、古い処理水W2を、新たな処理水W2によって置換する必要がある。
【0067】
従って、処理水W2のブローを実施する場合、具体的には、次のように制御する。
先ず、原水ポンプ2を稼働する共に、原水バルブ3を開弁し、給水バルブ7を閉弁する。同時に、薬剤添加装置11による薬剤の添加を実施する。また、処理水ブローバルブ24を開弁し、濾過処理装置4による濾過工程を実施しながら、処理水ブローラインL8を介して古い処理水W2を系外に排出する。
【0068】
ブロー時間tbは、濾過塔5内に滞留していた古い処理水W2が、処理水ブローラインL8から系外に完全に排出されるように、予め設定される。これにより、濾過塔5内に所定時間滞留していた古い処理水W2を、新たな処理水W2によって十分に置換することができ、水質が悪化した虞のある処理水W2を供給しないようにすることができる。
【0069】
ステップST6において、流通停止時間計測部32は、計測した流通停止時間tをリセットし、制御を終了する。
【0070】
以上に説明した第1実施形態の水処理システム1によれば、以下に示す各効果が奏される。
第1実施形態の水処理システム1においては、原水ラインL1と、濾過処理装置4と、処理水ラインL2と、処理水ブローラインL8と、処理水ブローバルブ24と、流量計19と、処理水W2が流通停止状態であると検出された場合に、処理水W2の流通停止時間tを計測する流通停止時間計測部32と、流通停止時間tが所定の設定時間を経過したか否かを判定する設定時間経過判定部33と、流量計19による検出結果及び設定時間経過判定部33による判定結果に基づいて処理水ブローバルブ24を開閉制御する処理水ブローバルブ制御部34と、を備える。
【0071】
そのため、濾過塔5内に滞留していた古い処理水W2を、処理水ブローラインL8から系外に排出することができ、水質が悪化した虞のある処理水W2を供給しないようにすることができる。従って、給水待機時間が長い場合であっても、処理水W2の水質悪化を抑制することができる。
【0072】
また、第1実施形態の水処理システム1においては、処理水ブローバルブ制御部34は、流量計19によって処理水W2の流通が開始されたと検出され、かつ、設定時間経過判定部33によって流通停止時間tが第1の設定時間t1を経過したと判定された場合に、処理水ブローバルブ24を開閉制御するように構成される。
【0073】
そのため、第1の設定時間t1を、処理水W2の配給が停止されている期間(既知の期間)よりも予め短く設定することにより、処理水W2の配給が停止されている夜間等の時間帯においては、処理水W2のブローを実施せず、朝、最初に処理水W2が配給される時(濾過処理が再開される時)にのみ、ブローを実施することができる。
従って、処理水W2のブローの実施回数を最小限(1回)に抑制することができ、水資源の節約と造水コストの低減を実現することができる。
【0074】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。他の実施形態については、主として、第1実施形態の制御方法とは異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。他の実施形態において特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用又は援用される。
【0075】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態の水処理システム1の制御方法について、図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、第2実施形態の水処理システム1のブロー制御を示すタイムチャートである。図6は、第2実施形態の水処理システム1のブロー制御を示すフローチャートである。
第2実施形態の水処理システム1の基本構成は、前記第1実施形態の水処理システム1の基本構成と同様である。第2実施形態は、制御に係る構成が前記第1実施形態と異なる。
【0076】
本実施形態は、例えば、工場等の操業が休止され、処理水W2の配給が停止されている夜間等の時間帯において、定期的(例えば、4時間毎)に処理水W2のブローを実施するようにしたものである。
【0077】
図5において、符号t2は、第2の設定時間t2(後述)を示す。符号tc(<t2)は、2回目のブローの実施終了後における水処理システム1の待機時間(処理水W2の滞留時間)を示す。符号T5、T6、T7、T8及びT9は、時刻(時間)を示す。具体的には、T5は、第2の設定時間t2が経過した時刻であり、かつ、1回目のブローの実施開始時刻を示す。T6は、1回目のブローの実施終了時刻を示す。T7は、1回目のブローの実施終了後において、第2の設定時間t2が経過した時刻であり、かつ、2回目のブローの実施開始時刻を示す。T8は、2回目のブローの実施終了時刻を示す。T9は、処理水W2の配給要求時刻であり、かつ、処理水W2の流通開始状態を検出した時刻を示す。
【0078】
つまり、図5は、例えば、工場等の操業が休止され、処理水W2の配給が停止されている夜間等の時間帯(時刻T1から時刻T9の間)において、第2の設定時間t2(例えば、4時間)の経過毎に、処理水W2のブローを実施する場合のタイムチャートを示している。
【0079】
次に、本実施形態の制御方法について詳しく説明する。図6に示すように、ステップST11において、流通停止時間計測部32は、流量計19からの計測情報に基づいて、処理水W2が流通停止状態であるか否かを判定する。
【0080】
処理水W2の配給停止又は洗浄工程の実施によって濾過処理が中断され、処理水W2が流通停止状態である(YES)場合(図5において、時刻T1以降に対応)には、ステップST12へ進む。処理水W2の配給のために濾過処理中であり、処理水W2が流通停止状態でない(NO)場合(図5において、時刻T1以前に対応)には、処理水W2が流通停止状態となるまで待機する(ステップST11を繰り返す)。
【0081】
ステップST12において、流通停止時間計測部32は、処理水W2の流通停止時間(滞留時間)tを計測し、ステップST13へ進む。
【0082】
ステップST13において、設定時間経過判定部33は、流通停止時間計測部32によって計測された流通停止時間tが、第2の設定時間t2(図5参照)を経過(t≧t2)したか否かを判定する。
【0083】
第2の設定時間t2は、処理水W2が所定の水質を維持できなくなる時間であって、かつ、処理水W2の配給が停止されている夜間等の期間(時刻T1から時刻T9の期間であり、例えば10時間)よりも短い時間として予め設定される。すなわち、第2の設定時間t2は、ブロー時間tbのブローを少なくとも1回以上実施できるように設定される(例えば、4時間)。本実施形態においては、この第2の設定時間t2は、2回のブローを実施できるように設定されている。また、この第2の設定時間t2は、濾過塔5内に滞留する処理水W2が基準温度(例えば、25℃)以内にある場合の設定値である。
【0084】
ステップST13において、流通停止時間tが第2の設定時間t2を経過していない(NO)場合(図5において、時刻T1から時刻T5の期間に対応)には、ステップST12に戻り、流通停止時間tが第2の設定時間t2を経過するまで待機する(ステップST12を繰り返す)。
【0085】
ステップST13において、流通停止時間tが第2の設定時間t2を経過した(YES)場合(図5において、時刻T5に対応)には、ステップST14へ進み、処理水W2の1回目のブローを実施する。
【0086】
具体的には、ステップST14において、処理水ブローバルブ制御部34は、処理水ブローバルブ24を一定のブロー時間tb(図5において、時刻T5から時刻T6までの期間に対応)開弁した後、再び閉弁することにより、処理水W2の1回目のブローを実施し、ステップST15へ進む。
【0087】
ステップST15において、流通停止時間計測部32は、計測した流通停止時間tをリセットし、ステップST16へ進む。
【0088】
ステップST16において、流通停止時間計測部32は、流量計19からの計測情報に基づいて、処理水W2が流通開始状態か否か(濾過処理が再開されたか否か)を判定する。
処理水W2が流通開始状態である(YES)場合(図5において、時刻T9の場合に対応)には、制御を終了する。
【0089】
ステップST16において、処理水W2が流通停止状態である(NO)場合(図5において、時刻T6から時刻T7の期間に対応)には、ステップST12に戻り、処理水W2の2回目のブローの実施に備える。
【0090】
そして、前述したように、ステップST13において、流通停止時間tが第2の設定時間t2を経過した(YES)場合(図5において、時刻T7に対応)には、ステップST14へ進み、処理水W2の2回目のブローを実施する。その後は、前述した場合と同様に制御され、ステップST16において、処理水W2が流通開始状態である(YES)と判断された場合(図5において、時刻T9の場合に対応)には、制御を終了する。
【0091】
以上に説明した第2実施形態の水処理システム1によれば、前記第1実施形態の水処理システム1の制御方法と同様の効果が奏されると共に、以下に示す各効果が奏される。
第2実施形態の水処理システム1においては、処理水ブローバルブ制御部34は、設定時間経過判定部33によって、流通停止時間tが第2の設定時間t2を経過したと判定される毎に、処理水ブローバルブ24を開閉制御するように構成される。
【0092】
そのため、第2実施形態の水処理システム1によれば、例えば、工場等の操業が休止され、処理水W2の配給が停止されている夜間等の時間帯において、第2の設定時間t2の経過毎に、処理水W2のブローを定期的に実施することができる。
【0093】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態の水処理システム1の制御方法について、図7及び図8を参照しながら説明する。図7は、第3実施形態の水処理システム1のブロー制御を示すタイムチャートである。図8は、第3実施形態の水処理システム1のブロー制御を示すフローチャートである。
【0094】
本実施形態は、例えば、工場等の操業が休止され、処理水W2の配給が停止されている休日(例えば、土曜及び日曜日等)において、定期的(例えば、24時間毎)に処理水W2のブローを実施すると共に、休日明けの朝、最初に処理水W2が配給される時に、ブローを実施するようにしたものである。
【0095】
図7において、符号t1(<t2)は、第1の設定時間(後述)を示し、符号t2は、第2の設定時間(後述)を示す。また、符号td(t1<td<t2)は、2回目のブローの実施終了後における水処理システム1の待機時間(処理水W2の滞留時間)を示す。
【0096】
また、符号T10からT16は、時刻(時間)を示す。具体的には、T10は、第2の設定時間t2が経過した時刻であり、かつ、1回目のブローの実施開始時刻を示す。T11は、1回目のブローの実施終了時刻を示す。T12は、第2の設定時間t2が経過した時刻であり、かつ、2回目のブローの実施開始時刻を示す。T13は、2回目のブローの実施終了時刻を示す。T14は、2回目のブローの実施終了後において、第1の設定時間t1が経過した時刻である。T15は、処理水W2の配給要求時刻であり、処理水W2の流通開始状態を検出した時刻を示すと共に、3回目のブローの実施開始時刻を示す。T16は、3回目のブローの実施終了時刻を示す。
【0097】
つまり、図7は、例えば、工場等の操業が休止され、処理水W2の配給が停止されている休日(例えば、土曜及び日曜日等における時刻T1から時刻T15の間)において、第2の設定時間t2(例えば、24時間)の経過毎に、処理水W2のブローを定期的に実施すると共に、休日明けの朝、最初に処理水W2が配給される時(時刻T15)にブローを実施する場合のタイムチャートを示している。
【0098】
ここで、第1の設定時間t1は、前記第1実施形態の場合と同様に、滞留時間tの閾値であり、かつ、処理水W2の流通開始と同時にブローを実施するように設定される時間である。また、この第1の設定時間t1は、濾過塔5内に滞留する処理水W2が基準温度(例えば、25℃)以内にある場合の設定値である。本実施形態においては、第1の設定時間t1は、例えば、4時間として設定することができる。
【0099】
また、第2の設定時間t2は、例えば、処理水W2の配給が停止されている休日期間(例えば、土曜及び日曜日等における時刻T1から時刻T15の間)よりも短い時間として予め設定される時間である。本実施形態においては、第2の設定時間t2は、2回のブローを実施できるように設定されている。また、この第2の設定時間t2は、濾過塔5内に滞留する処理水W2が基準温度(例えば、25℃)以内にある場合の設定値である。第2の設定時間t2は、例えば、24時間として設定することができる。
【0100】
次に、本実施形態の制御方法について詳しく説明する。図8に示すように、ステップST21において、流通停止時間計測部32は、流量計19からの計測情報に基づいて、処理水W2が流通停止状態であるか否かを判定する。
【0101】
処理水W2の配給停止又は洗浄工程の実施によって濾過処理が中断され、処理水W2が流通停止状態である(YES)場合(図8において、時刻T1以降に対応)には、ステップST22へ進む。一方、処理水W2の配給のために濾過処理中であり、処理水W2が流通停止状態でない(NO)場合(図7において、時刻T1以前に対応)には、処理水W2が流通停止状態となるまで待機する(ステップST21を繰り返す)。
【0102】
ステップST22において、流通停止時間計測部32は、処理水W2の流通停止時間(滞留時間)tを計測し、ステップST23へ進む。
【0103】
ステップST23において、流通停止時間計測部32は、流量計19からの計測情報に基づいて、処理水W2が流通開始状態か否か(濾過処理が再開されたか否か)を判定する。
処理水W2が流通開始状態でない(NO)場合(図7において、時刻T1から時刻T10の期間に対応)には、ステップST27へ進む。
【0104】
ステップST27において、設定時間経過判定部33は、流通停止時間計測部32によって計測された流通停止時間tが、第2の設定時間t2(図7参照)を経過(t≧t2)したか否かを判定する。
【0105】
ステップST27において、流通停止時間tが第2の設定時間t2を経過していない(NO)場合(図7において、1回目のブロー前においては、時刻T1から時刻T10の期間に対応)には、ステップST22に戻り、流通停止時間tが第2の設定時間t2を経過するまで待機する(ステップST22からステップST23までの制御を繰り返す)。
【0106】
ステップST27において、流通停止時間tが第2の設定時間t2を経過した(YES)場合(図7において、時刻T10に対応)には、ステップST28へ進み、処理水W2の1回目のブローを実施する。
【0107】
具体的には、ステップST28において、処理水ブローバルブ制御部34は、処理水ブローバルブ24を一定のブロー時間tb(図7において、時刻T10から時刻T11までの期間に対応)開弁した後、再び閉弁することにより、処理水W2の1回目のブローを実施し、ステップST29へ進む。
【0108】
ステップST29において、流通停止時間計測部32は、計測した流通停止時間tをリセットし、ステップST22へ戻る。ステップST22の以降は、ステップST23において処理水W2が流通開始状態であると判断されるまで、2回目のブローが上記1回目のブローと同様に実施される。
【0109】
前述したステップST23において、処理水W2が流通開始状態である(YES)場合(図7において、2回目のブローが実施され、待機時間tdが経過した時刻T15に対応)には、ステップST24へ進む。
本実施形態における第1の設定時間t1及び第2の設定時間t2の設定例においては、図7に示すように、2回目のブローが実施された後に、ステップST24へ進むこととなる。
【0110】
ステップST24において、設定時間経過判定部33は、流通停止時間計測部32によって計測された流通停止時間tが、第1の設定時間t1(図7参照)を経過(t≧t1)したか否かを判定する。
【0111】
流通停止時間tが第1の設定時間t1を経過した(YES)場合(図7において、時刻T14に対応)には、処理水W2が所定の水質を維持できないので、直ちに濾過処理を中断し、ステップST25へ進む。一方、流通停止時間tが第1の設定時間t1を経過していない(NO)場合(図7において、時刻T13から時刻T14の期間に対応)には、処理水W2が所定の水質を維持できるので、濾過処理を継続し、ステップST26へ進む。
【0112】
ステップST25において、処理水ブローバルブ制御部34は、処理水ブローバルブ24を一定のブロー時間tb(図7において、2回目のブローが実施された後の時刻T15から時刻T16までの期間に対応)開弁した後、再び閉弁することにより、処理水W2の3回目のブローを実施してから濾過処理に復帰する。そして、ステップST26において、計測した流通停止時間tをリセットしてから、制御を終了する。
【0113】
以上に説明した第3実施形態の水処理システム1によれば、前記第1実施形態の水処理システム1と同様の効果が奏されると共に、以下に示す各効果が奏される。
第3実施形態の水処理システム1においては、処理水ブローバルブ制御部34は、設定時間経過判定部33によって、流通停止時間tが第2の設定時間t2を経過したと判定される毎に、処理水ブローバルブ24を開閉制御すると共に、前記流通状態検出部によって処理水W2の流通が開始されたと検出され、かつ、設定時間経過判定部33によって流通停止時間tが第1の設定時間t1を経過したと判定された場合に、処理水ブローバルブ24を開閉制御する処理水ブローバルブ制御部34と、を備える。
【0114】
そのため、第1の設定時間t1及び第2の設定時間t2を組み合わせることによって、処理水W2のブローを実施するタイミングを自由に選択することができる。従って、水質管理の厳しいユーザに対しても、高品質の処理水W2を提供することができる。
【0115】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態においては、第1の設定時間t1及び第2の設定時間t2を例示したが、これに制限されない。また、第1の設定時間t1及び第2の設定時間t2の大小関係も任意である。
【0116】
また、前記実施形態においては、第1の設定時間t1及び第2の設定時間t2は、処理水W2が基準温度(例えば、25℃)以内にある場合の設定値であるとして説明したが、これに制限されない。第1の設定時間t1及び/又は第2の設定時間t2に対して、処理水W2の温度に応じて、所定の係数を乗じて設定してもよい。
【符号の説明】
【0117】
1 水処理システム
4 濾過処理装置
8a 水位計
19 流量計(流通状態検出部)
24 処理水ブローバルブ
30 制御装置
32 流通停止時間計測部
33 設定時間経過判定部
34 処理水ブローバルブ制御部(処理水ブローライン開閉弁制御部)
L1 原水ライン
L2 処理水ライン
L8 処理水ブローライン
W1 原水
W2 処理水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水が流通する原水ラインと、
前記原水ラインの下流側の端部に設けられ、原水に含まれる懸濁物質を濾材により捕捉して処理水を製造する濾過処理装置と、
前記濾過処理装置に接続され、該濾過処理装置によって製造された処理水が流通する処理水ラインと、
前記処理水ラインに接続され、該処理水ラインを流通する処理水を系外に排出する処理水ブローラインと、
前記処理水ブローラインに設けられ、該処理水ブローラインを開閉する処理水ブローライン開閉弁と、
前記濾過処理装置及び前記処理水ラインにおける処理水の流通停止状態及び流通開始状態を検出する流通状態検出部と、
前記流通状態検出部によって処理水が流通停止状態であると検出された場合に、処理水の流通停止時間を計測する流通停止時間計測部と、
前記流通停止時間計測部によって計測された前記流通停止時間が所定の設定時間を経過したか否かを判定する設定時間経過判定部と、
前記流通状態検出部による検出結果及び前記設定時間経過判定部による判定結果に基づいて前記処理水ブローライン開閉弁を開閉制御する処理水ブローライン開閉弁制御部と、
を備える水処理システム。
【請求項2】
前記処理水ブローライン開閉弁制御部は、前記流通状態検出部によって処理水の流通が開始されたと検出され、かつ、前記設定時間経過判定部によって前記流通停止時間が第1の設定時間を経過したと判定された場合に、前記処理水ブローライン開閉弁を開閉制御する請求項1に記載の水処理システム。
【請求項3】
前記処理水ブローライン開閉弁制御部は、前記設定時間経過判定部によって前記流通停止時間が第2の設定時間を経過したと判定される毎に、前記処理水ブローライン開閉弁を開閉制御する請求項1に記載の水処理システム。
【請求項4】
前記処理水ブローライン開閉弁制御部は、前記設定時間経過判定部によって前記流通停止時間が第2の設定時間を経過したと判定される毎に、前記処理水ブローライン開閉弁を開閉制御すると共に、
前記流通状態検出部によって処理水の流通が開始されたと検出され、かつ、前記設定時間経過判定部によって前記流通停止時間が第1の設定時間を経過したと判定された場合に、前記処理水ブローライン開閉弁を開閉制御する請求項1に記載の水処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−173101(P2011−173101A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40891(P2010−40891)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】