説明

水処理装置

【課題】維持管理が容易な雨水貯留浸透設備を提供する。
【解決手段】硬質槽2の側面6に形成した通水開口36に、ポーラスコンクリートにて形成されたろ過壁37を硬質槽2の内側から取り付ける。硬質槽2の貯留空間10に入り込んだ雨水Aが通水開口36を介して弾性槽31の貯留空間32に流れ込むときに、雨水に混入している侵入物をろ過壁37にてろ過できる。弾性槽31に流れ込んだ雨水Aが通水開口36を介して硬質槽2に流れ出るときに、ろ過壁37にてろ過した侵入物を押し出して洗浄できる。硬質槽2および弾性槽31が長期間に亘って継続して機能する。維持管理を容易かつ軽減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設される水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の水処理装置である雨水貯留浸透設備は、地中に埋設されており、地表面に降る雨水を側溝や桝を介して排水管から強制的に取り込んで、雨水の流出抑制や、この雨水の有効利用を目的としている。そして、この種の雨水貯留浸透設備は、プラスチック製の単位部材を配列して貯留空間を確保し、その周囲を適切なシート類で覆ったものが知られている(例えば、特許文献1ないし3参照。)。
【0003】
さらに、この種の雨水貯留浸透設備としては、コンクリート製のボックスカルバートによるものや、コンクリート打ちで形成されたものなどが知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【0004】
また、この種の雨水貯留浸透設備である複合型雨水一時貯留槽としては、コンクリート製の第1貯留槽に接触させて、プラスチック製の多数の空間形成ブロックを縦横および上下に設置した第2の貯留槽が設けられた貯留空隙構造体の全体を遮水シートで覆って構成されている。そして、第1貯留槽には、越流口および流出口が設けられており、この流出口には、この流出口の上縁部に矩形板状の逆止弁の上縁部が蝶番を介して回動可能に取り付けられた構成が知られている(例えば、特許文献5参照。)。
【特許文献1】特開平9−112792号公報
【特許文献2】特開平10−252108号公報
【特許文献3】特開平11−222886号公報
【特許文献4】特開平7−166595号公報
【特許文献5】特開2005−179931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した雨水貯留浸透設備のうち、コンクリート製の第1貯留槽に、プラスチック製の多数の空間形成ブロックを縦横および上下に設置した第2の貯留槽を接触させた複合型雨水一時貯留槽では、この第1貯留槽の流出口に取り付けられている逆止弁が、上縁部が蝶番を介して流出口の上縁部に回動可能に取り付けられた矩形板状である。このため、この逆止弁の蝶番の部分などにごみなどが詰まるなどして正常に機能しなくするおそれがあるから、この逆止弁を定期的に点検する必要があり、維持管理が容易ではないという問題を有している。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、維持管理が容易な水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の水処理装置は、地中に埋設される水処理装置であって、内部に水が入り込む空間を備えコンクリートにて形成された第1の基体と、水が流通可能で前記第1の基体の剛性より小さな剛性を有する複数のブロック部材を配列して空間が形成された第2の基体とを具備し、前記第1の基体は、前記第2の基体に接触させて設けられ、前記第1の基体の前記第2の基体に接触する位置には、前記第1の基体の空間を前記第2の基体の空間に連通させる開口部が形成され、この開口部には、複数の連続した空隙を有する通水板が取り付けられているものである。
【0008】
請求項2記載の水処理装置は、請求項1記載の水処理装置において、第1の基体の空間は、第2の基体の空間より大きく形成され、通水板は、第1の基体の内側から開口部に取り付けられているものである。
【0009】
請求項3記載の水処理装置は、請求項1または2記載の水処理装置において、通水板は、開口部の上部の少なくとも一部を開口させた状態で、この開口部に取り付けられているものである。
【0010】
請求項4記載の水処理装置は、請求項1ないし3いずれか記載の水処理装置において、通水板は、ポーラスコンクリートにて形成されているものである。
【0011】
請求項5記載の水処理装置は、請求項1ないし4いずれか記載の水処理装置において、一対の第2の基体を具備し、第1の基体は、この第1の基体の両側に前記第2の基体が設けられているものである。
【0012】
請求項6記載の水処理装置は、請求項1ないし4いずれか記載の水処理装置において、一対の第1の基体を具備し、第2の基体は、この第2の基体の両側に前記第1の基体が設けられているものである。
【0013】
請求項7記載の水処理装置は、請求項1ないし4いずれか記載の水処理装置において、第2の基体は、前記第1の基体の上に設けられているものである。
【0014】
請求項8記載の水処理装置は、請求項1ないし4いずれか記載の水処理装置において、複数の第1の基体および第2の基体を具備し、これら複数の第1の基体および第2の基体は、交互に並べられて設けられているものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の水処理装置によれば、第1の基体の第2の基体に接触する位置に形成した開口部に、複数の連続した空隙を有する通水板を取り付けたことにより、第1の基体に入り込んだ水が開口部から第2の基体へ流れ込むときに、この水に混入している塵などの侵入物が通水板の空隙を通過する際に水から除去される。また、この侵入物は、第2の基体に流れ込んだ水が開口部から第1の基体に入り込むときに、この水が通水板の空隙を通過する際に押し出される。したがって、第1の基体に水とともに入り込んだ侵入物が第2の基体に流れ込むことを通水板にて防止できるとともに、この通水板の空隙の目詰まりを防止でき、点検作業を少なくできるため、維持管理を容易にできる。
【0016】
請求項2記載の水処理装置によれば、請求項1記載の水処理装置の効果に加え、第2の基体の空間より大きな空間の第1の基体の内側から通水板が開口部に取り付けられているので、この第1の基体の内側から通水板のメンテナンスや交換などの作業ができるので、この通水板の取り扱いを容易にできる。
【0017】
請求項3記載の水処理装置によれば、請求項1または2記載の水処理装置の効果に加え、開口部の上部の少なくとも一部を開口させた状態で、この開口部に通水板が取り付けられているので、この通水板の空隙を通過できない水を、開口部の上部の開口させた一部から流すことができるので、大量の水であっても対応できる。
【0018】
請求項4記載の水処理装置によれば、請求項1ないし3いずれか記載の水処理装置の効果に加え、ポーラスコンクリートにて通水板を形成したことにより、複数の連続した空隙を有する通水板をより簡略化できるので、この通水板の製造を容易にできる。
【0019】
請求項5記載の水処理装置によれば、請求項1ないし4いずれか記載の水処理装置の効果に加え、地震時に第1の基体に掛かる振動や圧力を、この第1の基体の両側に設けられた一対の第2の基体を形成する複数のブロック部材のそれぞれの変形と、これらブロック部材間のずれとで緩衝できるから、地震時にひびや亀裂がより生じにくく信頼性をより向上できるため、維持管理を容易にできる。
【0020】
請求項6記載の水処理装置によれば、請求項1ないし4いずれか記載の水処理装置の効果に加え、地震時に一対の第1の基体のそれぞれに掛かる振動や圧力を、これら一対の第1の基体の間に設けられた第2の基体を形成する複数のブロック部材のそれぞれの変形と、これらブロック部材間のずれとで緩衝できるから、これら一対の第1の基体それぞれの地震時のひびや亀裂を生じにくくでき、信頼性を向上できるため、維持管理を容易にできる。
【0021】
請求項7記載の水処理装置によれば、請求項1ないし4いずれか記載の水処理装置の効果に加え、第1の基体に掛かる土圧を、第2の基体を形成する複数のブロック部材のそれぞれの変形と、これらブロック部材間のずれとで緩衝できるとともに、一般的には第2の基体の密度が土砂より小さいことが多いので、この第1の基体の上に被覆させる土砂を第2の基体に置き換えることにより、この第1の基体の上方の荷重を小さくできるため、この第1の基体の破損や損傷を少なくでき、維持管理を容易にできる。
【0022】
請求項8記載の水処理装置によれば、請求項1ないし4いずれか記載の水処理装置の効果に加え、地震時に複数の第1の基体のそれぞれに掛かる振動や圧力を、これら複数の第1の基体と交互に並べて設置された各第2の基体を形成する複数のブロック部材のそれぞれの変形と、これらブロック部材間のずれとのそれぞれで緩衝できるから、地震時にひびや亀裂がより生じにくく、信頼性をより向上できるため、維持管理をより容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の水処理装置の第1の実施の形態を図1および図2を参照して説明する。
【0024】
図1において、1は水処理装置としての雨水貯留浸透設備であって、この雨水貯留浸透設備1は、地表面に降った雨水Aを貯留および浸透させる。ここで、この雨水Aには、河川へ流れ込んだ雨水を含む。
【0025】
すなわち、雨水貯留浸透設備1は、地中に埋設された状態で設置され、雨水Aを図示しない側溝や桝を介して排水管などで強制的に取り込んで貯留または浸透させる2重槽であるとともに小型ツインキャスト施設としての流入放流施設である。言い換えると、この雨水貯留浸透設備1は、雨水Aを貯留し、この貯留した雨水Aの流出量を調整したり、地中へ浸透させたりする流出抑制施設である。
【0026】
具体的に、この雨水貯留浸透設備1は、コンクリート製の第1の基体としての中心槽である硬質槽2を備えている。この硬質槽2は、予め形成されたボックスカルバートや現場打ち工法などで形成されている。また、この硬質槽2は、上面3、底面4および各側面5,6,7,8を有する中空な略直方体状に形成されており、内部に雨水Aが貯留される貯留空間10を有している。そして、この硬質槽2は、この硬質槽2の内部へと流入される雨水Aを貯留させる貯留槽としての機能を有するとともに、この雨水Aを周囲の土砂中に浸透させる浸透槽としての機能を有している。
【0027】
ここで、この硬質槽2は、プレキャストコンクリート製であって、流入用の流入部としての流入施設11を構成する断面略正方形状の貯留材である貯留カルバート部材12と、放流用の放流部としての放流施設13を構成する放流材としての断面長方形筒状の放流カルバート部材14とで構成されている。そして、この硬質槽2を構成する貯留カルバート部材12および放流カルバート部材14は、等しい幅寸法および長さ寸法に形成されている。また、貯留カルバート部材12は、放流カルバート部材14の高さ寸法より小さな高さ寸法に形成されている。
【0028】
具体的に、この硬質槽2は、水平に連通させて連結された複数、例えば2つの貯留カルバート部材12を備えている。そして、この連結された2つの貯留カルバート部材12の下流側には、水平に連通させて連結された複数、例えば2つの放流カルバート部材14の上流側が連結されている。
【0029】
ここで、これら放流カルバート部材14は、これら放流カルバート部材14の両側面5,6および上面3を貯留カルバート部材12の両側面5,6および上面3に沿わせて面一に連結されている。さらに、これら放流カルバート部材14は、これら放流カルバート部材14の底面4を貯留カルバート部材12の底面4より下方に位置させた状態で水平に連結されている。そして、これら放流カルバート部材14の底面4と上流端と、貯留カルバート部材12の底面4の下流端との間に設けられた開口である間隙部15には、これら底面4間を閉塞する細長矩形状の閉塞プレート16が垂直に取り付けられて閉塞されている。
【0030】
そして、これら放流カルバート部材14の間には、硬質槽2内を流れる雨水Aの量を調整するための越流板17が取り付けられている。この越流板17は、各放流カルバート部材14の底面4および両側面5,6間に連結され、これら放流カルバート部材14の上面3から所定の間隔を開けた位置までに亘って取り付けられている。さらに、この越流板17の下側には、この越流板17の厚さ方向に向けて貫通した断面円形状の流出口18が穿設されている。
【0031】
また、下流側に位置する放流カルバート部材14の下流側には、矩形平板状のプレキャストコンクリート製の板体である閉塞板21が取り付けられて閉塞されている。そして、この閉塞板21の下側には、硬質槽2内に貯留されている雨水Aを排出させて地中に浸透させる管状の排出管22が連通して突設されている。この排出管22は、側面視で越流板17の流出口18より下方に取り付けられている。
【0032】
そして、上流側に位置する貯留カルバート部材12の上面3には、作業員が硬質槽2の貯留空間10内に入り込んで点検したりメンテナンスしたりするための点検口としての侵入設備23が設けられている、そして、この貯留カルバート部材12の上流側には、この貯留カルバート部材12の上流側を閉塞する閉塞板24が取り付けられており、この閉塞板24の上側には、硬質槽2内へ雨水Aを流入させる管状の流入管25が連通して突設されている。
【0033】
さらに、この硬質槽2の側面6には、弾性変形可能なブロック部材としての単位部材30を配列して構成した第2の基体としての周囲槽である弾性槽31が接触させて設置されている。ここで、この弾性槽31を構成する単位部材30は、硬質槽2を構成するコンクリートが有する剛性より小さな剛性を有している。すなわち、これら単位部材30は、硬質槽2を構成するコンクリートよりも容易に弾性変形するように形成されている。具体的に、これら単位部材30は、コンクリートの地震時の衝撃を吸収できる材質、例えばポリプロピレン樹脂などのプラスチック樹脂や、ステンレススチールなどの金属等の所定の弾性を有する材質で形成されている。すなわち、この弾性槽31は、硬質槽2に加わる外力を吸収あるいは緩衝できるように、この硬質槽2を構成するコンクリートの剛性率よりも小さな剛性率を有する軟質な材質の単位部材30にて形成されている。
【0034】
ここで、これら単位部材30のそれぞれを、錆びる性質、すなわち錆性を有する金属などで形成した場合には、これら単位部材30それぞれの表面を必要に応じて防錆処理することが好ましい。
【0035】
また、弾性槽31は、単位部材30を配列させて構成され周囲の雨水Aが入り込んで貯留させる貯留空間32を形成させ、この貯留空間32へ流入してくる雨水Aを貯留させる貯留槽としての機能を有するとともに、この雨水Aを地中に浸透させる浸透槽としての機能を有している。ここで、この貯留空間32は、硬質槽2の貯留空間10よりも狭い空間に単位部材30によって仕切られており、作業者が入ることができない程度の小さな空間の集合体として構成されている。また、この弾性槽31は、硬質槽2の側面6を覆うように、この硬質槽2の側面6の水平方向に沿って接触させて設けられている。すなわち、この弾性槽31は、硬質槽2の側面6に接触させた状態で、この硬質槽2の側面6に連続して並べられて設けられている。
【0036】
また、この弾性槽31を構成する単位部材30は、雨水Aが挿通可能、すなわち流通可能な形状に形成されている。具体的に、この単位部材30は、例えばプラスチック製であって、図2に示すように、一端から他端に向けて拡径した截頭円筒状のパイプ部33を備えている。そして、このパイプ部33の拡径している側である他端側が、正方形板状の板状部34の一側面の中央部に連結されて、単位部材30が構成されている。さらに、弾性槽31は、単位部材30のパイプ部33の軸方向を上下方向に沿わせた状態で、これらパイプ部33の一端部同士または板状部34同士を重ね合わされて上下方向に積層されて形成されている。
【0037】
すなわち、これら単位部材30は、これら単位部材30の各パイプ部33の軸方向を上下方向に沿わせた状態で、上下方向および水平方向に連続して並べられ接着されて固定されることなく重ねられている。さらに、これら単位部材30は、互いに嵌め込まれるなどされて組み立てられている。また、これら単位部材30は、これら単位部材30が重ねられて組み合わされた状態で、例えば透水性を有するシート35で覆われて弾性槽31として形成され、この弾性槽31の各単位部材30それぞれの空間部が、雨水Aが流入して貯留される貯留空間32となる。
【0038】
ここで、この弾性槽31の少なくとも底部および周囲を覆うシート35の性質を調整して、透水性を有さない遮水性シートにすることにより、この弾性槽31を貯留槽にできる。ここで、このシート35として用いる遮水性シートとしては、例えば廃棄物処理場などの遮水に使用するゴムシートや塩化ビニルなどのシートを使用できる。
【0039】
さらに、このシート35を、透水性を有する透水性シートにすることにより、弾性槽31を浸透槽にできる。すなわち、この弾性槽31に浸透機能を持たせるためには、単位部材30を配列して得られた貯留空間32の少なくとも周囲および上部を透水性シートで覆うことで形成できる。さらに、この透水性シートの役割としては、貯留空間32内への土砂の侵入を防止する目的、および貯留空間32内に貯留された雨水Aを地中に浸透させる目的のために使用される。したがって、この透水性シートとしては、一般的な土水用に使用される不織布などのシート35を使用できる。
【0040】
一方、硬質槽2の各貯留カルバート部材12および上流側に位置する放流カルバート部材14それぞれの弾性槽31側に位置する側面6には、上下方向に沿った長手方向を有する長方形状の開口部としての通水開口36がそれぞれ開口形成されている。これら通水開口36は、各貯留カルバート部材12の側面6および放流カルバート部材14の側面6の水平方向である長さ方向の中央部にそれぞれ設けられている。したがって、これら通水開口36は、硬質槽2の長さ方向である奥行方向に沿って等間隔に離間させた位置に並べられて設けられている。さらに、これら通水開口は、硬質槽2の側面6に対して垂直な方向に向けて、この硬質槽2の貯留空間10を弾性槽31の貯留空間32に連通させる開口部である。
【0041】
そして、これら通水開口36には、例えば通水性および通気性を有するコンクリートであるポーラスコンクリートにて形成された通水板としての壁体である矩形平板状のろ過壁37がそれぞれ取り付けられている。ここで、このろ過壁37を構成するポーラスコンクリートは、例えばセメントペーストやモルタルなどのバインダである結合材と、例えば石材などの粗骨材とで構成されており、少なくとも厚さ方向に向けて連続して開口した複数の図示しない空隙を有するコンクリートである。
【0042】
すなわち、このろ過壁37は、硬質槽2の貯留空間10に貯留される雨水Aを弾性槽31の貯留空間32内に通過できるとともに、この雨水Aとともに硬質槽2の貯留空間10に流れ込んだ塵や土砂などの図示しない浸入物を、この雨水Aから物理的にろ過して分離して除去できる程度の大きさの複数の間隙が、少なくとも厚さ方向に向けて貫通して形成されているポーラスコンクリート製の板状体である。
【0043】
さらに、このろ過壁37は、各通水開口36の水平方向である幅方向に沿った幅寸法より大きな幅寸法を有するとともに、これら各通水開口36の上下方向である高さ方向に沿った高さ寸法より若干小さな高さ寸法を有する細長矩形平板状に形成されている。さらに、このろ過壁37は、各通水開口36の上側の一部を開口させた状態で、これら各通水開口36を覆うように側面6の内側から取り付けられている。すなわち、このろ過壁37は、このろ過壁37の上下方向の底部より下方に通水開口36の底部を位置させた状態で、このろ過壁37にて通水開口36を覆った状態で取り付けられて固定されている。
【0044】
次に、上記第1の実施の形態の水処理装置の作用の作用を説明する。
【0045】
まず、雨水貯留浸透設備1を設置する場所の地面を掘って、この掘った部分に図示しない小石を堆積させてから、この部分の一側部に予め作成した貯留カルバート部材12や放流カルバート部材14を設置したり現場でコンクリートを打つなどする現場打ち工法したりして硬質槽2を設置する。
【0046】
次いで、この硬質槽2の各側面6に沿わせて単位部材30を上下方向および水平方向のそれぞれに向けて配列させてから、これら配列された単位部材30を覆うようにシート35を設置する。
【0047】
この状態で、これら硬質槽2および弾性槽31の周囲および上部に図示しない土砂をかけて覆土して埋めることにより雨水貯留浸透設備1が地中に設置される。
【0048】
そして、流入管25から雨水Aが硬質槽2内へ入り込んでくると、この硬質槽2の貯留空間10に雨水Aが貯留されるとともに、ろ過壁37を通過して弾性槽31内へ流入してきて各単位部材30の貯留空間32に貯留される。
【0049】
また、この弾性槽31の貯留空間32に貯留された雨水Aは、硬質槽2の通水開口36に取り付けられているろ過壁37を逆方向に通過して、この硬質槽2内の貯留空間10へ留出されて貯留される。
【0050】
さらに、この硬質槽2の貯留空間10に貯留された雨水Aは、この硬質槽2の流出口18を介して排出管22から地中へ排出されたり、他の図示しない貯水施設などへ供給されて有効利用されたりする。
【0051】
上述したように、上記第1の実施の形態によれば、硬質槽2の貯留カルバート部材12および放流カルバート部材14の側面6に形成した通水開口36に、ポーラスコンクリートにて形成されたろ過壁37を取り付けたことにより、硬質槽2の内部に入り込んだ雨水Aが通水開口36を介して弾性槽31の内部に流れ込むときに、この雨水Aに混入している塵や土砂などの侵入物がろ過壁37を通過する際にろ過されて雨水Aから除去できる。また、この侵入物は、弾性槽31に流れ込んだ雨水Aが通水開口36を介して硬質槽12に入り込むときに、この雨水Aがろ過壁37を通過する際に押し出さされるため、このろ過壁37が洗浄、すなわち逆洗される。
【0052】
したがって、このろ過壁37を通水開口36に取り付けたことにより、硬質槽2の内部へと雨水Aとともに侵入物が弾性槽31の内部に流れ込むことをろ過壁37によるろ過にて防止できるから、この弾性槽31への侵入物の流入を軽減できる。さらに、この弾性槽31から硬質槽2への雨水Aの流れ込みによってろ過壁37が逆に洗浄されるから、このろ過壁37の目詰まりを防止できる。したがって、これら硬質槽2および弾性槽31を長期間に亘って継続して機能できるので、これら硬質槽2および弾性槽31の点検作業を少なくできる。よって、雨水貯留浸透設備1の維持管理を容易にでき、この雨水貯留浸透設備1の維持管理を軽減できる。
【0053】
また、このろ過壁37を硬質槽2の貯留空間10の内側から通水開口36に取り付ける構成としたことにより、この硬質槽2の内側からろ過壁37のメンテナンスや交換などの作業ができるので、このろ過壁37の取り扱いを容易にできるとともに、雨水貯留浸透設備1の維持管理をより容易にできる。
【0054】
さらに、これら通水開口36の上側の一部を開口させてろ過壁37を取り付けたため、このろ過壁37を通過できない雨水Aを、通水開口36の上部の隙間から流すことができる。したがって、硬質槽2内にろ過壁37の高さを越える大量の雨水Aが入り込んだ場合に、この雨水Aをろ過壁37の上部の通水開口36の隙間から弾性槽31内へ越流できるので、大量の雨水Aであっても対応でき、雨水貯留浸透設備1の維持管理性をより向上できる。
【0055】
また、このろ過壁37を、連続した空隙を有するポーラスコンクリートにて形成したことにより、このろ過壁37の構成をより簡略化できるので、このろ過壁37の製造性を向上できる。
【0056】
さらに、コンクリート製の硬質槽2の側面6に接触させて、樹脂製あるいは金属製の弾性槽31を設置した。この結果、地震時に硬質槽2に掛かる衝撃力などの地震エネルギが、この硬質槽2より小さな剛性の弾性槽31を経由してから伝わる構成となる。
【0057】
よって、この硬質槽2に加わる地震エネルギを、弾性槽31を構成する各単位部材30それぞれの弾性変形と、これら単位部材30間のずれとのそれぞれで、吸収して軽減できる。
【0058】
したがって、地震時の硬質槽2の破壊や破損などの損傷をより効率よく確実に免れることができると同時に、この硬質槽2のひび、亀裂あるいは割れなどの発生を効率よく防止できるから、これらひび、亀裂あるいは割れなどによる硬質槽2の機能低下のおそれを低減できる。
【0059】
さらに、常時硬質槽2に掛かる水平方向の土圧や振動も、弾性槽31を経由してから硬質槽2に伝わるから、これら常時硬質槽2に掛かる水平方向の土圧や振動についても、弾性槽31を構成する各単位部材30の弾性変形と、これら単位部材30間のずれとで吸収できる。よって、地震時などの非常時および常時それぞれにおける雨水貯留浸透設備1の信頼性を向上できる。
【0060】
また、コンクリート製の槽として従来から要求されている強度については、弾性槽31にて吸収される地震エネルギを考慮することによって、硬質槽2自体の強度を低減できる。したがって、この硬質槽2に用いる資材の量を減少できるとともに、この硬質槽2の施工性を向上できる。
【0061】
次に、本発明の水処理装置の第2の実施の形態を図3ないし図5を参照して説明する。
【0062】
この図3ないし図5に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第1の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の硬質槽2の各貯留カルバート部材12の側面6にのみ通水開口36を形成し、これら通水開口36にろ過壁37を取り付けたコンクリート製の流入放流施設である。そして、この硬質槽2の各貯留カルバート部材12には、通水開口36が複数、例えば2つずつ設けられている。これら通水開口36は、各貯留カルバート部材12の長さ方向の中心位置から等間隔に離間させた位置に設けられている。
【0063】
一方、ろ過壁37は、各通水開口36の水平方向の幅寸法に等しい幅寸法を有するとともに、これら各通水開口36の上下方向である高さ方向に沿った高さ寸法より若干小さな高さ寸法を有する細長矩形平板状に形成されている。そして、これらろ過壁37は、これらろ過壁37の底部を各通水開口36の底部に接触させた状態で、これら通水開口36内に各貯留カルバート部材12の内側から嵌め込まれて、これら通水開口36の上部の一部を開口させた状態で取り付けられている。
【0064】
さらに、硬質槽2の上流側の放流カルバート部材14の弾性槽31側に位置する側面6には、円形状の通水孔38が開口形成されている。この通水孔38は、この通水孔38の上下方向の下部を通水開口36の下部より下方に位置させた状態で設けられている。さらに、この通水孔38には、弾性槽31内へ入り込んだ雨水Aを硬質槽2内へ流出させ、この硬質槽2内へ流出した雨水Aを弾性槽31内へ流入させない機能を有するフラップゲート40が取り付けられている。このフラップゲート40は、通水孔38を閉塞する大きさの弁体としての蓋体である円盤状の閉塞体41を備えており、この閉塞体41の上端縁が硬質槽2の貯留空間10内である内側から蝶番42を介して通水孔38の上端縁に回動可能に取り付けられて固定されている。
【0065】
また、この硬質槽2の越流板17の上流側には、この越流板17の流出口18を覆うように、この流出口18へ流れ込む雨水Aから塵や土砂などの浸入物をろ過して分離するための分離手段としてのスクリーン43が取り付けられている。このスクリーン43は、越流板17の高さ寸法に等しい高さ寸法に形成されており、一つの面を開口させて矩形平板状の網状体を箱状に連結させた多面体構造に形成されている。さらに、このスクリーン43は、このスクリーン43の開口している面を越流板17の上流側に接触させて、この越流板17の流出口18を覆う状態に取り付けられている。
【0066】
この結果、硬質槽2内に入り込んだ雨水Aの水位が弾性槽31内に流れ込んだ雨水Aの水位より高い場合には、この硬質槽2内の雨水Aの水圧が弾性槽31内の雨水Aの水圧より小さいので、この雨水Aの水圧差によってフラップゲート40の閉塞体41が硬質槽2の内側から通水孔38に押し付けられて閉塞されるから、この硬質槽2内の雨水Aが通水孔38から弾性槽31内へ流れない。これに対し、硬質槽2内に流れ込んだ雨水Aの水位が弾性槽31内に流れ込んだ雨水Aの水位より低い場合には、この硬質槽2内の雨水Aの水圧が弾性槽31内の雨水Aの水圧より大きいので、この雨水Aの水圧差によってフラップゲート40の閉塞体41が硬質槽2の内側へと押されて通水孔38が開口されるから、弾性槽31内の雨水Aが通水孔38から硬質槽2内へ流れ出る。
【0067】
したがって、この弾性槽31内の雨水Aの水位を硬質槽2内の雨水Aの水位より高くなることを簡単な構成で確実に防止できるので、これら硬質槽2および弾性槽31の維持管理をより容易にできる。また、仮りに通水開口36に取り付けたろ過壁37が侵入物により目詰まりして、これらろ過壁37を介して弾性槽31内の雨水Aが硬質槽2内へ流れ出なくなった場合であっても、この弾性槽31内の雨水Aをフラップゲート40を介して硬質槽2へ流出できるので、これらろ過壁37が詰まった場合の処置をフラップゲート40にて救済できる。
【0068】
次に、本発明の水処理装置の第3の実施の形態を図6および図7を参照して説明する。
【0069】
この図6および図7に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第2の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の硬質槽2の放流カルバート部材14を無くし、下流側に位置する貯留カルバート部材12の下流側を閉塞板21にて閉塞したコンクリート製の流入放流施設である。この結果、この雨水貯留浸透設備1は、貯留カルバート部材12にて構成された流入施設11と、放流カルバート部材14にて構成された放流施設26とを、別個の施設として分けて設置できるとともに、この雨水貯留浸透設備1のどの位置に、これら流入施設11や放流施設26を設置することもできる。
【0070】
次に、本発明の水処理装置の第4の実施の形態を図8を参照して説明する。
【0071】
この図8に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第2の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の硬質槽2を大型化したものである。すなわち、この硬質槽2は、一対の側板部材44の間に平板状の底板部材45と蓋部材46とを連結させて構成された貯留カルバート部材12を長手方向および幅方向に連結させて構成されている。さらに、これら貯留カルバート部材12を構成する各側板部材44の幅方向の一側部には、側面視凹状の通水凹部47が設けられている。そして、これら側板部材44は、互いの通水凹部47を向かい合わせた状態で連結されて、これら側板部材44の間の一対の通水凹部47にて通水孔38を形成させる。
【0072】
さらに、これら貯留カルバート部材12にて構成された硬質槽2の弾性槽31に接する側であって下流側から2番目に位置する側板部材44の下部には、円形状の通水孔38が開口されており、この通水孔38にフラップゲート40が取り付けられている。さらに、この硬質槽2の弾性槽31に接する側であってフラップゲート40が取り付けられた側板部材44の上流側に位置する各側板部材44には、通水開口36がそれぞれ形成されている。そして、これら各側板部材44の通水開口36には、これら側板部材44の内側、すなわち硬質槽2の貯留空間10の内側からろ過壁37が取り付けられている。
【0073】
したがって、雨水貯留浸透設備1の硬質槽2を、一対の側板部材44の間に底板部材45と蓋部材46とを連結させて構成された貯留カルバート部材12を組み合わせて大型化する場合であっても、この硬質槽2に通水開口36を設けてろ過壁37にて覆うとともに、この硬質槽2に通水孔38を設けてフラップゲート40を取り付けることにより、弾性槽31への塵や土砂などの侵入物の流入頻度を少なくできるから、雨水貯留浸透設備1の維持管理を容易にできる。
【0074】
すなわち、硬質槽2を大型のプャストコンクリート製の貯留施設とし、この硬質槽2と弾性槽31とを組み合わせることによって、大型の下水道施設としても使用できる。
【0075】
次に、本発明の水処理装置の第5の実施の形態を図9ないし図11を参照して説明する。
【0076】
この図9および図10に示す雨水貯留浸透設備1は、硬質槽2の周囲に弾性槽31が設けられたものである。具体的に、この硬質槽2は、上面3、底面4および各側面5,6,7,8のそれぞれが正方形状の中空な立方体状であって、この硬質槽2の各側面5,6,7,8には、この硬質槽2内へと強制的に流入された雨水Aを周囲の土砂中に浸漬させる複数の通水孔が設けられている。さらに、この硬質槽2には、周囲の雨水Aを内部に流入させる図示しない流入管や、溢流管、沈砂地、オリフィスなどの付帯設備が必要に応じて取り付けられている。
【0077】
さらに、この硬質槽2の各側面5,6,7,8それぞれの周囲に弾性槽31が設置されている。また、この弾性槽31は、硬質槽2の各側面5,6,7,8のそれぞれを覆うように、この硬質槽2を水平方向に周囲に亘って覆うように設けられている。すなわち、この弾性槽31は、硬質槽2の各側面5,6,7,8に接触させた状態で、この硬質槽2の側面5,6,7,8に連続して並べられて設けられている。
【0078】
また、この弾性槽31を構成する単位部材30は、雨水Aが挿通可能な形状に形成されている。具体的に、この単位部材30は、図11に示すように、複数、例えば4本の円筒状のパイプ材48を平面視で四角形の頂点に位置するように等間隔に間隔を空けて水平に並べられ、これら各パイプ材48の両端部を一対の矩形平板状の板状体49間に連結させた形状に形成されている。そして、これら単位部材30は、これら単位部材30の各パイプ材48の軸方向を上下方向に沿わせた状態で、上下方向および水平方向に連続して並べられ接着されて固定されることなく重ねられている。
【0079】
次に、上記第5の実施の形態の水処理装置の作用の作用を説明する。
【0080】
まず、雨水貯留浸透設備1を設置する場所の地面を掘って、この掘った部分に小石Bを堆積させてから硬質槽2を設置する。
【0081】
次いで、この硬質槽2の各側面5,6,7,8を取り囲むように単位部材30を配列させてから、これら配列された単位部材30を覆うようにシート35を設置する。
【0082】
この状態で、これら硬質槽2および弾性槽31の周囲および上部を覆土して雨水貯留浸透設備1を地中に設置する。
【0083】
そして、地表から雨水Aが地中へ染み込んでくると、この雨水貯留浸透設備1の周囲の雨水Aは、弾性槽31のシート35を透過して弾性槽31内へ流入してきて各単位部材30の貯留空間32に貯留される。
【0084】
また、この弾性槽31の貯留空間32に貯留された雨水Aは、硬質槽2の側面5,6,7,8に形成されている通水孔38を通過して、この硬質槽2内の貯留空間10へ流入して貯留される。
【0085】
そして、この硬質槽2の貯留空間10に貯留された雨水Aは、この硬質槽2の貯留空間10内で地中へ浸透したり、この硬質槽2の底面4上を流れて所定の場所へ排出されたりする。
【0086】
この結果、コンクリート製の硬質槽2の周囲に弾性槽31を設置したことにより、上記第1の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。
【0087】
さらに、例えばプラスチック樹脂や金属などの所定の弾性を有する材質で単位部材30を形成し、これら単位部材30を積み重ねて弾性槽31を形成したことにより、一般的に、この弾性槽31の内部に作業者が入るスペース、すなわち空間がない場合が多い。したがって、この弾性槽31内に雨水Aが流入するときに、この雨水Aとともに混入する土砂や枯葉などのごみが弾性槽31内に堆積してしまった場合には、この弾性槽31内に堆積したごみを除去できない。
【0088】
そこで、上記第5の実施の形態に示すように、コンクリート製の硬質槽2の周囲に弾性槽31を設置したことにより、この硬質槽2に雨水Aを流入させて、この雨水Aとともに混入してくるごみを硬質槽2内で堆積させてから、この雨水Aを弾性槽31に流入させることにより、この雨水Aとともに混入するごみの除去が可能となる。さらに、一般的に硬質槽2内には作業者が入るスペースが存在する場合が多いので、この硬質槽2内に作業者が入って、この硬質槽2内に堆積したごみを除去できるとともに、この硬質槽2を介して弾性槽31内をメンテナンスできるので、この弾性槽31の維持管理を容易にできる。
【0089】
次に、本発明の水処理装置の第6の実施の形態を図12を参照して説明する。
【0090】
この図12に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第5の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の硬質槽2を、この硬質槽2の底面4が弾性槽31の下方に位置する底面39より上方、すなわち浅い位置となるように設置させたものである。すなわち、この弾性槽31は、この弾性槽31の底面39が、硬質槽2の基礎部である底面4より深い位置に位置するように設置されている。
【0091】
この結果、コンクリート製の硬質槽2を覆うように樹脂製あるいは金属製の弾性槽31が設置されているので、上記第5の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。さらに、この硬質槽2を弾性槽31より浅い位置に設置したことにより、この弾性槽31の底部に一定量の雨水Aが溜まる構成となる。よって、この弾性槽31から硬質槽2内へ流入してくる雨水Aの流量を調整できると同時に、この硬質槽2内が雨水Aで満たされて満水状態になることを防止できる。
【0092】
次に、本発明の水処理装置の第7の実施の形態を図13を参照して説明する。
【0093】
この図13に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第5の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の硬質槽2の底面4を取り除いて開口させて、この硬質槽2内へ流入してくる雨水Aを硬質槽2の底部から地中に浸透させる浸透型である。そして、この硬質槽2の底部は、弾性槽31の底面39の高さ位置と同じ高さ位置に設置されている。
【0094】
この結果、コンクリート製の硬質槽2を覆うように樹脂製あるいは金属製の弾性槽31が設置されているので、上記第5の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。さらに、この硬質槽2の底部を開口させたことにより、この硬質槽2内へ流入してくる雨水Aを硬質槽2内でより効率よく確実に地中に浸透できる。
【0095】
次に、本発明の水処理装置の第8の実施の形態を図14および図15を参照して説明する。
【0096】
この図14および図15に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第5の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の硬質槽2の幅方向において互いに対向する一対の側面5,6を水平方向に沿って延出させて第1の基体としての水路状の硬質水路51にするとともに、この硬質水路51の両側に位置する一対の側面5,6に接触させて第2の基体としての周囲水路である水路状の一対の弾性水路52を形成した2重水路である。
【0097】
具体的に、硬質水路51は、硬質槽2と同じコンクリートにて形成され、この硬質水路51へ流入してくる雨水Aを流出させる流出用水路である。すなわち、この硬質水路51は、一対の弾性水路52にて挟まれた状態で、これら一対の弾性水路52の間に接触させた状態で長手方向に沿って設けられている。言い換えると、これら硬質水路51および一対の弾性水路52は、弾性水路52、硬質水路51および弾性水路52の順に互いに接触させた状態で連続して並べられて設けられている。
【0098】
さらに、弾性水路52は、弾性槽31と同じ樹脂製あるいは金属製の単位部材30を配列させてシートで覆って形成されている。そして、この弾性水路52もまた、硬質水路51の長手方向に沿った水路状に形成されている。
【0099】
よって、硬質水路51へ流入した雨水Aを流出させる流出用水路であっても、コンクリート製の硬質水路51の両側を覆うように樹脂製または金属製の弾性水路52が設置されているので、上記第5の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。
【0100】
なお、硬質水路51の両端部を閉塞して、この硬質水路51を細長い貯留用の水槽として使用することもできる。また、弾性水路52を流出用の水路として用いる場合は、この弾性水路52が単位部材30を配列して形成されていることから、硬質水路51を流れる雨水Aの流速よりも、弾性水路52を流れる雨水Aの流速が遅くなる可能性がある。
【0101】
したがって、弾性水路52を流れる水の流速を、硬質水路51を流れる雨水Aの流速よりも遅くすることにより、これら硬質水路51および弾性水路52のそれぞれに貯留されている水が一度に排出されることを防止できる。また、これら弾性水路52を流れる水の流速と、硬質水路51を流れる雨水Aの流速とを変化させることにより、これら硬質水路51および弾性水路52を流れる雨水Aの流量を変化させることができる。
【0102】
次に、本発明の水処理装置の第9の実施の形態を図16を参照して説明する。
【0103】
この図16に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第8の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の硬質水路51を、この硬質水路の底面4が弾性水路52の底面39より上方、すなわち浅い位置となるように設置させたものである。
【0104】
よって、コンクリート製の硬質水路51を覆うように樹脂製あるいは金属製の弾性水路52が設置されているから、上記第8の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。さらに、硬質水路51を弾性水路52より浅い位置に設置したことにより、弾性水路52から流入する雨水Aの硬質水路51内での流量を調整できる。
【0105】
次に、本発明の水処理装置の第10の実施の形態を図17を参照して説明する。
【0106】
この図17に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第8の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の硬質水路51の底面4を取り除いて開口させて、この硬質水路51内へ流入してくる雨水Aを硬質水路51の底部から地中に浸透させる浸透型の水路である。この硬質水路51の底部は、弾性水路52の底面39の高さ位置と同じ高さ位置に設置されている。
【0107】
したがって、コンクリート製の硬質水路51を覆うように樹脂製あるいは金属製の弾性水路52が設置されているので、上記第8の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。さらに、この硬質水路51の底部を開口させたことにより、この硬質水路51内へ流入してくる雨水Aを硬質水路51でより広い範囲に亘ってより効率よく確実に地中に浸透できる。
【0108】
次に、本発明の水処理装置の第11の実施の形態を図18および図19を参照して説明する。
【0109】
この図18および図19に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第8の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の硬質水路51を、複数、例えば3列設置し、これら各硬質水路51の間および両側のそれぞれに弾性水路52を接触させて連続して設置させた多重水路としての流出水路である。すなわち、これら3列の硬質水路51は、等間隔に離間させた状態で水平に繰り返し並べられて設置されており、これら硬質水路51の間と、両側に位置する硬質水路51の外側とのそれぞれに連続して弾性水路52がそれぞれ設けられている。
【0110】
言い換えると、これら弾性水路52は、複数、例えば4列設置されており、これら弾性水路52の長手方向を平行にした状態で、等間隔に離間させて水平に並べられている。そして、これら弾性水路52は、これら各弾性水路52の間のそれぞれに硬質水路51が長手方向に沿って連続して設けられている。したがって、これら3列の硬質水路51および4列の弾性水路52は、交互に並べられて設置されている。具体的に、これら3列の硬質水路51および4列の弾性水路52は、弾性水路52、硬質水路51、弾性水路52、硬質水路51、弾性水路52、硬質水路51、弾性水路52の順に互いに接触させた状態で平行に並べられている。
【0111】
この結果、硬質水路51と弾性水路52とを交互に繰り返して並べた多重水路であっても、コンクリート製の各硬質水路51の両側を覆うように樹脂製あるいは金属製の弾性水路52が設置されているので、上記第8の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。
【0112】
次に、本発明の水処理装置の第12の実施の形態を図20を参照して説明する。
【0113】
この図20に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第11の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の各硬質水路51の底面4を取り除いて開口させて、これら硬質水路51内へ流入してくる雨水Aを各硬質水路51の底部から地中に浸透させた浸透水路である。
【0114】
この場合も、コンクリート製の各硬質水路51を覆うように樹脂製あるいは金属製の弾性水路52がそれぞれ設置されているので、上記第11の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。さらに、これら硬質水路51それぞれの底部が開口しているから、これら硬質水路51内の雨水Aをより効率よく確実に地中に浸透できる。
【0115】
次に、本発明の水処理装置の第13の実施の形態を図21および図22を参照して説明する。
【0116】
この図21および図22に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第11の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の硬質水路51の両端部を連結させて、平面視正方形枠状に構成した硬質槽2を有する浸透槽である。この硬質槽2は、複数、例えば2つ設けられており、一方の平面視矩形状の硬質槽2内側に、他方の平面視矩形状の硬質槽2が設けられた多重槽として形成されている。さらに、これら硬質槽2の間、内側および外側のそれぞれには、これら硬質槽2の周囲を水平方向に沿って囲んで覆うように弾性槽31が長手方向に沿って連続して設けられている。
【0117】
よって、これら弾性槽31は、複数、例えば3つ設けられており、各硬質槽2の間、内側および外側のそれぞれ設けられている。具体的に、これら弾性槽31のうち、最も内側である中心部に位置する弾性槽31は、内側に位置する硬質槽2にて囲まれた領域内に設けられて、平面視正方形状に形成されている。
【0118】
また、この弾性槽31の外側に位置する弾性槽31は、内側に位置する硬質槽2と外側に位置する硬質槽2とにて囲まれた領域に設けられて、両端部が連結された平面視正方形枠状に形成されている。さらに、この弾性槽31の外側に位置する弾性槽31は、最も外側に位置する硬質槽2の外側を囲むように設けられて、両端部が連結された平面視正方形枠状に形成されている。
【0119】
この結果、硬質槽2と弾性槽31とを交互に繰り返して並べた多重槽であっても、コンクリート製の硬質槽2の両側を覆うように樹脂製あるいは金属製の弾性槽31が設置されているので、上記第11の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。
【0120】
次に、本発明の水処理装置の第14の実施の形態を図23を参照して説明する。
【0121】
この図23に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第13の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の各硬質槽2の底面4を取り除いて開口させて、これら各硬質槽2内へ流入してくる雨水Aを各硬質槽2の底部から地中に浸透させた浸透槽である。
【0122】
この場合も、コンクリート製の各硬質槽2を覆うように樹脂製あるいは金属製の弾性槽31がそれぞれ設置されているので、上記第13の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。さらに、これら各硬質槽2それぞれの底部が開口しているから、これら硬質槽2内の雨水Aをより効率よく確実に地中に浸透できる。
【0123】
次に、本発明の水処理装置の第15(11)の実施の形態を図24および図25を参照して説明する。
【0124】
この図24および図25に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第5の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の弾性槽31を囲んで覆うように硬質槽2を平面視正方形枠状にした2重槽である。この場合も、硬質槽2に連続して弾性槽31が設けられているので、弾性槽31を介して硬質槽2に加わる地震エネルギや土圧および振動を、弾性槽31の各単位部材30の弾性変形と、単位部材30間のずれとで吸収して軽減できる。
【0125】
さらに、弾性槽31を覆うように硬質槽2が設置されているので、樹脂製あるいは金属製の単位部材30を用いて形成した弾性槽31に対して通常時および地震時にかかる水平方向の土圧や振動を、コンクリート製の硬質槽2で支えることができる。したがって、この弾性槽31にかかる水平方向の土圧や振動を硬質槽2で吸収して抑制できる。
【0126】
また、弾性槽31を樹脂または金属などの弾性を有する素材で形成したことにより、深い場所に埋設した場合に掛かる土圧や水圧などに弾性槽31だけで十分に対抗できない場合は、この弾性槽31をコンクリート製の硬質槽2で囲んだり挟んだりすることによって、この弾性槽31に掛かる水平圧を硬質槽2で受け止めることができるから、このような場所でも弾性槽31が施工可能となる。
【0127】
次に、本発明の水処理装置の第16の実施の形態を図26を参照して説明する。
【0128】
この図26に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第15の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の硬質槽2を、この硬質槽2の底面4が弾性槽31の底面39より上方、すなわち浅い位置となるように設置させた2重槽である。
【0129】
この場合も、弾性槽31の両側に硬質槽2が設置されているので、上記第15の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。また、この硬質槽2が弾性槽31より浅い位置に設置されているので、上記第2の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。
【0130】
次に、本発明の水処理装置の第17の実施の形態を図27を参照して説明する。
【0131】
この図27に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第15の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の硬質槽2の底面4を取り除いて開口させて、この硬質槽2内へ流入してくる雨水Aを硬質槽2内で地中に浸透させる浸透型の2重槽である。
【0132】
この場合も、弾性槽31の両側に硬質槽2が設置されているので、上記第15の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。また、硬質槽2の底部が開口しているから、この硬質槽2内の雨水Aを、この硬質槽2内でより効率よく確実に地中に浸透できる。
【0133】
次に、本発明の水処理装置の第18の実施の形態を図28および図29を参照して説明する。
【0134】
この図28および図29に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第8の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の弾性水路52の両側に硬質水路51をそれぞれ形成した2重水路である。具体的に、弾性水路52は、一対の硬質水路51にて挟まれた状態で長手方向に沿って設置されており、これら一対の硬質水路51の間に接触させた状態で設けられている。言い換えると、これら弾性水路52および一対の硬質水路51は、硬質水路51、弾性水路52および硬質水路51の順に互いに接触させた状態で連続して並べられて設けられている。
【0135】
この場合も、硬質水路51に連続して弾性水路52が設けられているので、上記第8の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。さらに、弾性水路52の両側を覆うように硬質水路51がそれぞれ設置されていることから、樹脂製あるいは金属製の弾性水路52に対して通常時および地震時にかかる水平方向の土圧を、コンクリート製の硬質水路51で支えて抑制できる。
【0136】
次に、本発明の水処理装置の第19の実施の形態を図30を参照して説明する。
【0137】
この図30に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第18の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の硬質水路51を、この硬質水路51の底面4が弾性水路52の底面39より上方、すなわち浅い位置となるように設置させた2重水路である。
【0138】
この場合も、弾性水路52の両側に硬質水路51が設置されているので、上記第18の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。また、硬質水路51が弾性水路52より浅い位置に設置されているので、上記第16の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。
【0139】
次に、本発明の水処理装置の第20の実施の形態を図31を参照して説明する。
【0140】
この図31に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第18の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の硬質水路51の底面4を取り除いて開口させて、この硬質水路51内へ流入してくる雨水Aを硬質水路51で地中に浸透させる浸透型の2重水路である。
【0141】
この場合も、弾性水路52の両側に硬質水路51が設置されているので、上記第18の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。また、硬質水路51の底部が開口しているから、この硬質水路51内の雨水Aを、この硬質水路51内でより効率よく確実に地中に浸透できる。
【0142】
なお、上記第15ないし第20の実施の形態の硬質槽2および弾性槽31、あるいは硬質水路51および弾性水路52をさらに多重に繰り返して拡充して設置させて、4重の槽や水路、あるいは6重の槽あるいは水路などとすることもできる。
【0143】
次に、本発明の水処理装置の第21の実施の形態を図32および図33を参照して説明する。
【0144】
この図32および図33に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第8の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の硬質槽2上に弾性槽31を接触させて重ねて設置させた2段槽である。この弾性槽31は、硬質槽2の幅寸法に等しい幅寸法を有しており、この硬質槽2の上面に弾性槽31の下面を当接させて接触させた状態で、この硬質槽2上に長手方向に沿って連続して設けられている。
【0145】
さらに、この弾性槽31が樹脂あるいは金属で形成され、硬質槽2がコンクリートにて形成されていることにより、弾性槽31は硬質槽2よりも単位体積当たりの質量、すなわち密度が小さく構成されている。
【0146】
この結果、硬質槽2に連続して弾性槽31が設けられているので、上記第5の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。さらに、弾性槽31は樹脂製あるいは金属製であることから、この弾性槽31が満水状態の場合であっても、この弾性槽31の密度は水の密度と余り変わらない。
【0147】
したがって、硬質槽2上に弾性槽31を設けてから覆土する場合には、この硬質槽2上のすべてを覆土する場合に比べ、この硬質槽2上の土砂を、一般的に土砂より密度が小さい弾性槽31に置き換えることにより、この硬質槽2の上方の荷重を小さくできる。よって、地震時による鉛直荷重は、地震時の振動の加速度と質量との積に比例するため、硬質槽2上に弾性槽31を設置することにより、地震時に硬質槽2に加わる鉛直荷重を弾性槽31にて大幅に小さくできる。
【0148】
次に、本発明の水処理装置の第22の実施の形態を図34を参照して説明する。
【0149】
この図34に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第21の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の硬質槽2の底面4を取り除いて開口させて、この硬質槽2内へ流入してくる雨水Aを硬質槽2で地中に浸透させる浸透型の2重槽である。
【0150】
この場合も、硬質槽2上に弾性槽31が設置されているので、上記第21の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。さらに、硬質槽2の底部が開口しているから、この硬質槽2内の雨水Aをより効率よく確実に地中に浸透できる。
【0151】
ここで、上記第21および22の実施の形態では、硬質槽2上に弾性槽31を接触させて連続して設けたが、硬質槽2に掛かる垂直荷重を弾性槽31で吸収できる構成であれば、硬質槽2と弾性槽31との間に他の槽や土砂などを介在させた状態であってもよい。
【0152】
次に、本発明の水処理装置の第23の実施の形態を図35を参照して説明する。
【0153】
この図35に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第1の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の硬質槽2を一対とし空間貯留槽として用いたものである。そして、これら一対の硬質槽2は、弾性槽31の両側に接触させて挟むよう設けられている。さらに、これら硬質槽2は、複数、例えば4個の貯留カルバート部材12を軸方向に同心状に連通させて並べて形成されている。さらに、これら硬質槽2を構成する各貯留カルバート部材12の弾性槽31に接触している側の側面5,6には、上下方向に沿って等間隔に通水孔38が複数設けられている。
【0154】
この結果、プラスチック製の弾性槽31の両側にプレキャストコンクリート製の硬質槽2が設置されているので、上記第15の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。さらに、弾性槽31の両側に位置する硬質槽2を空間貯留槽としたことにより、この弾性槽31の点検路を確保できるとともに、この弾性槽31の維持管理を容易にできる。
【0155】
次に、本発明の水処理装置の第24の実施の形態を図36を参照して説明する。
【0156】
この図36に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第1の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の弾性槽31を挟んだ硬質槽2の反対側に、複数、例えば4つの貯留カルバート部材12を連結させて構成された硬質槽2を接触させて設けたプレキャストコンクリート製の水路とした流入放流設備付雨水施設である。そして、2つの貯留カルバート部材12と2つの放流カルバート部材14を連結させて構成された弾性槽31の下流側に位置する貯留カルバート部材12の側面5には、流入管25が連通して突設されている。この流入管25は、この流入管25の下端縁を越流板17の上端縁に沿わせた状態で取り付けられている。
【0157】
また、この弾性槽2の上流側に位置する放流カルバート部材14および各貯留カルバート部材12の弾性槽31に接する側の側面6には、複数の通水孔38が形成されている。これら通水孔38は、上流側に位置する放流カルバート部材14および各貯留カルバート部材12の側面6の水平方向の中央部から等間隔に離間された位置に上下方向に沿って設けられている。
【0158】
この場合も、プラスチック製の弾性槽31の両側にプレキャストコンクリート製の硬質槽2が設置されているので、上記第15の実施の形態と同じの作用効果を奏することができる。さらに、弾性槽31の両側にプレキャストコンクリート製の硬質槽2を設けて水路としたことにより、これら硬質槽2に雨水Aを流入させたり放流させたりする設備の他、泥を溜める設備や、これら硬質槽2に図示しない点検孔などを設けるなどが可能となる。
【0159】
次に、本発明の水処理装置の第25の実施の形態を図37を参照して説明する。
【0160】
この図37に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第23の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の弾性槽31の両側に位置している一対の硬質槽2をプレキャストコンクリート製の浸透貯留槽とした雨水浸透施設である。そして、これら硬質槽2それぞれの幅方向の両側面5,6には、これら硬質槽2内へ流入してくる雨水Aを周囲の土壌へ浸透させるための浸透孔となる複数の通水孔38が上下方向に亘って設けられている。これら通水孔38は、例えば平面視菱形あるいは平面視丸形に形成されている。
【0161】
この場合も、プラスチック製の弾性槽31の両側にプレキャストコンクリート製の硬質槽2が設置されているので、上記第15の実施の形態と同じの作用効果を奏することができる。さらに、弾性槽31の両側にプレキャストコンクリート製の硬質槽2を設けて浸透貯留槽としたことにより、弾性槽31の点検や維持管理を容易にできるとともに、各硬質槽2への雨水Aの流入操作を容易にできる。さらに、これら硬質槽2の通水孔38の目詰まりなどを防止できるから、雨水貯留浸透設備1の長期的な施設効果を期待できる。
【0162】
次に、本発明の水処理装置の第26の実施の形態を図38を参照して説明する。
【0163】
この図38に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第12の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の硬質槽2の上面3上に弾性槽31を接触させて重ねて設置させた2段槽としての雨水貯留施設である。そして、この硬質槽2の各貯留カルバート部材12それぞれの蓋部材46には、幅方向に沿った細長矩形状の通水孔38が形成されている。
【0164】
この結果、プレキャストコンクリート製の硬質槽2上にプラスチック製の弾性槽31が接触して重ねて設置されているので、上記第21の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。また、地面自体に耐力がない場合は、硬質槽2を小さくして弾性槽31を大きくするなどして雨水貯留浸透設備1全体の質量を小さくすることで対応できる。この逆に、硬質槽2を大きくして弾性槽31を小さくするなどして雨水貯留浸透設備1全体の質量を大きくすることにより、この雨水貯留浸透設備1の地中内での浮き上がり、すなわち浮力対策にも対応できるので、種々の使用方法に応用できる。
【0165】
次に、本発明の水処理装置の第27の実施の形態を図39を参照して説明する。
【0166】
この図39に示す雨水貯留浸透設備1は、上記第26の実施の形態の雨水貯留浸透設備1の硬質槽2の上面3および各側面5,6,7,8のそれぞれを弾性槽31で覆った耐震雨水貯留施設である。この硬質槽2は、この硬質槽2の上面3と各側面5,6,7,8とのそれぞれが弾性槽31にて囲まれて覆われている。
【0167】
この結果、プレキャストコンクリート製の硬質槽2上にプラスチック製の弾性槽31が重なっていることにより、上記第26の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。さらに、プレキャストコンクリート製の硬質槽2の上面3と各側面5,6,7,8とのそれぞれがプラスチック製の弾性槽31で囲まれていることにより、地震時に生じる地震エネルギを弾性槽31で吸収できるから、地震時の硬質槽2の変形や損傷を防止できる。したがって、この硬質槽2の破損や損傷を長期的に亘って防止できるから、雨水貯留浸透設備1の経済的な設計が可能となる。
【0168】
ここで、図40に示す第28の実施の形態のように、弾性槽31または弾性水路52を構成する単位部材30としては、図2に示す単位部材30の板状体49の各周縁部に、複数の矩形状の貫通孔61が形成された矩形板状の側面体62の縁部をそれぞれ連結させるとともに、これら側面体62同士を連結させて矩形筒状にしたものを用いることもできる。
【0169】
また、図41に示す第29の実施の形態のように、弾性槽31または弾性水路52を構成する単位部材30としては、外周面の一部に周方向に沿って拡径した拡径部63が形成され、これら拡径部63が軸方向に向けて間隔を空けて並べて設けられた略円筒状のものを用いることもできる。
【0170】
さらに、図42に示す第30の実施の形態のように、弾性槽31または弾性水路52を構成する単位部材30としては、一枚の細長矩形状の板体64を幅方向に沿って交互に屈曲させた形状のものを用いることもできる。
【0171】
また、図43に示す第31の実施の形態のように、弾性槽31または弾性水路52を構成する単位部材30としては、上方が開口した箱状の箱状体65が水平に複数連結され、これら箱状体65の底部および開口縁のそれぞれに側面視凹状の段部66がそれぞれ設けられた形状のものを用いることもできる。
【0172】
すなわち、弾性槽31を構成する樹脂製あるいは金属製の単位部材30としては、雨水Aの流出抑制のために貯留槽あるいは浸透槽の材料として使用でき雨水Aを挿通可能な形状であればどのような形状であっても良い。さらに、この単位部材30としては、この単位部材30を構成する材質自体が硬質槽2より小さな剛性を有する場合であっても、この単位部材30の形状によって各単位部材30が硬質槽2より小さな剛性を有する構成であっても良い。
【0173】
次いで、図44に示す第1の比較例の雨水貯留浸透設備1は、上記第1の実施の形態の樹脂製あるいは金属製の単位部材30を配列して形成された貯留空間32を有する弾性槽31のみで構成された貯留槽であって、この弾性槽31を構成する配列された単位部材30の外周面と底面39とのそれぞれがシート35で覆われている。
【0174】
また、図45に示す第2の比較例の雨水貯留浸透設備1は、上記第1の実施の形態の樹脂製あるいは金属製の単位部材30を配列して形成された貯留空間32を有する弾性槽31のみで構成された浸透槽であって、この弾性槽31を構成する配列された単位部材30の外周面のみが周方向に亘ってシート35で覆われている。
【0175】
したがって、これら第1および第2の比較例の雨水貯留浸透設備1に比べ、上記第1ないし第27の実施の形態の雨水貯留浸透設備1では、弾性槽31の長手方向に沿って硬質槽2が設置されているので、弾性槽31に通常時および地震時にかかる水平方向の土圧を、コンクリート製の硬質槽2で支えて抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】本発明の第1の実施の形態の水処理装置を示す一部を切り欠いた斜視図である。
【図2】同上水処理装置のブロック部材を示す斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態の水処理装置を示す一部を切り欠いた平面図である。
【図4】同上水処理装置の一部を示す断面図である。
【図5】同上水処理装置の一部を示す断面綱である。
【図6】本発明の第3の実施の形態の水処理装置を示す一部を切り欠いた平面図である。
【図7】同上水処理装置の一部を示す断面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態の水処理装置を示す一部を切り欠いた斜視図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態の水処理装置の設置状態を示す断面図である。
【図10】同上水処理装置を示す平面図である。
【図11】同上水処理装置のブロック部材を示す斜視図である。
【図12】本発明の第6の実施の形態の水処理装置の設置状態を示す断面図である。
【図13】本発明の第7の実施の形態の水処理装置の設置状態を示す断面図である。
【図14】本発明の第8の実施の形態の水処理装置の設置状態を示す断面図である。
【図15】同上水処理装置を示す平面図である。
【図16】本発明の第9の実施の形態の水処理装置の設置状態を示す断面図である。
【図17】本発明の第10の実施の形態の水処理装置の設置状態を示す断面図である。
【図18】本発明の第11の実施の形態の水処理装置を示す断面図である。
【図19】同上水処理装置を示す平面図である。
【図20】本発明の第12の実施の形態の水処理装置を示す平面図である。
【図21】本発明の第13の実施の形態の水処理装置を示す平面図である。
【図22】同上水処理装置を示す断面図である。
【図23】本発明の第14の実施の形態の水処理装置を示す断面図である。
【図24】本発明の第15の実施の形態の水処理装置の設置状態を示す断面図である。
【図25】同上水処理装置を示す平面図である。
【図26】本発明の第16の実施の形態の水処理装置の設置状態を示す断面図である。
【図27】本発明の第17の実施の形態の水処理装置の設置状態を示す断面図である。
【図28】本発明の第18の実施の形態の水処理装置の設置状態を示す断面図である。
【図29】同上水処理装置を示す平面図である。
【図30】本発明の第19の実施の形態の水処理装置の設置状態を示す断面図である。
【図31】本発明の第20の実施の形態の水処理装置の設置状態を示す断面図である。
【図32】本発明の第21の実施の形態の水処理装置を示す断面図である。
【図33】同上水処理装置を示す側面図である。
【図34】本発明の第22の実施の形態の水処理装置を示す断面図である。
【図35】本発明の第23の実施の形態の水処理装置を示す一部を切り欠いた斜視図である。
【図36】本発明の第24の実施の形態の水処理装置を示す一部を切り欠いた斜視図である。
【図37】本発明の第25の実施の形態の水処理装置を示す一部を切り欠いた斜視図である。
【図38】本発明の第26の実施の形態の水処理装置を示す一部を切り欠いた斜視図である。
【図39】本発明の第27の実施の形態の水処理装置を示す一部を切り欠いた斜視図である。
【図40】本発明の第28の実施の形態の水処理装置のブロック部材を示す斜視図である。
【図41】本発明の第29の実施の形態の水処理装置のブロック部材を示す斜視図である。
【図42】本発明の第30の実施の形態の水処理装置のブロック部材を示す斜視図である。
【図43】本発明の第31の実施の形態の水処理装置のブロック部材を示す斜視図である。
【図44】第1の比較例の水処理装置を示す斜視図である。
【図45】第2の比較例の水処理装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0177】
1 水処理装置としての雨水貯留浸透設備
2 第1の基体としての硬質槽
10 空間としての貯留空間
30 ブロック部材としての単位部材
31 第2の基体としての弾性槽
32 空間としての貯留空間
36 開口部としての通水開口
37 通水板としてのろ過壁
51 第1の基体としての硬質水路
52 第2の基体としての弾性水路
A 水としての雨水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設される水処理装置であって、
内部に水が入り込む空間を備えコンクリートにて形成された第1の基体と、
水が流通可能で前記第1の基体の剛性より小さな剛性を有する複数のブロック部材を配列して空間が形成された第2の基体とを具備し、
前記第1の基体は、前記第2の基体に接触させて設けられ、
前記第1の基体の前記第2の基体に接触する位置には、前記第1の基体の空間を前記第2の基体の空間に連通させる開口部が形成され、
この開口部には、複数の連続した空隙を有する通水板が取り付けられている
ことを特徴とした水処理装置。
【請求項2】
第1の基体の空間は、第2の基体の空間より大きく形成され、
通水板は、第1の基体の内側から開口部に取り付けられている
ことを特徴とした請求項1記載の水処理装置。
【請求項3】
通水板は、開口部の上部の少なくとも一部を開口させた状態で、この開口部に取り付けられている
ことを特徴とした請求項1または2記載の水処理装置。
【請求項4】
通水板は、ポーラスコンクリートにて形成されている
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか記載の水処理装置。
【請求項5】
一対の第2の基体を具備し、
第1の基体は、この第1の基体の両側に前記第2の基体が設けられている
ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか記載の水処理装置。
【請求項6】
一対の第1の基体を具備し、
第2の基体は、この第2の基体の両側に前記第1の基体が設けられている
ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか記載の水処理装置。
【請求項7】
第2の基体は、前記第1の基体の上に設けられている
ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか記載の水処理装置。
【請求項8】
複数の第1の基体および第2の基体を具備し、
これら複数の第1の基体および第2の基体は、交互に並べられて設けられている
ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか記載の水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2008−253977(P2008−253977A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−135727(P2007−135727)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(596136235)株式会社シンシンブロック (2)
【出願人】(391034499)鶴見コンクリート株式会社 (15)
【出願人】(000162216)共和コンクリート工業株式会社 (44)
【出願人】(000174943)三井住友建設株式会社 (346)
【Fターム(参考)】