水処理装置
【課題】より飲用に適した水をより安定して提供することのできる水処理装置を得る。
【解決手段】水処理装置1は、水供給部2と、吐水部3と、水供給部2から吐水部3に至る流路4に設けられる放電部5と、を備えている。そして、放電部5よりも下流側の流路4に、放電により生成される副生成物を無害化するための無害化手段6を設け、流路4に無害化手段6を制御する制御手段7を設けた。
【解決手段】水処理装置1は、水供給部2と、吐水部3と、水供給部2から吐水部3に至る流路4に設けられる放電部5と、を備えている。そして、放電部5よりも下流側の流路4に、放電により生成される副生成物を無害化するための無害化手段6を設け、流路4に無害化手段6を制御する制御手段7を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水処理装置では、導入した水を積極的に殺菌することでより安全な飲用水とすることができる。殺菌する手段としては、例えば、特許文献1に開示されたプラズマ発生装置を用いることが考えられる。
【0003】
このプラズマ発生装置では、絶縁体の両面に一対の電極材を配置した多層体に細孔を設け、一対の電極材間に電力を印加して放電することで、細孔を通過する気体をプラズマ化している。
【0004】
このようなプラズマ発生装置を水処理装置に用い、気体をプラズマ化することで、プラズマによりOHラジカルが生成され、このOHラジカルによって水を殺菌することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−289432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、かかる従来のプラズマ発生装置を水処理装置に用いた場合、OHラジカルによって水を殺菌することはできるが、OHラジカルが水や周囲に存在する窒素と反応して過酸化水素や硝酸などの副生成物を生成してしまう。そのため、得られる水が飲用水として不適なものとなるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、より飲用に適した水をより安定して提供することのできる水処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にあっては、水供給部と、吐水部と、前記水供給部から前記吐水部に至る流路に設けられる放電部と、を備える水処理装置であって、前記流路の前記放電部よりも下流側に配設され、放電により生成される副生成物を無害化するための無害化手段と、前記流路に配設され、前記無害化手段を制御する制御手段と、を備えることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、水供給部から吐水部に至る流路に放電部を設けたため、当該放電部を放電させることで生成される生成物により流路を流れる水を殺菌することができる。さらに、放電部よりも下流側の流路に無害化手段を配設することで、放電により生成された副生成物を無害化することができる。
【0010】
そのため、より飲用に適した水を得ることができる。
【0011】
また、水供給部から吐水部に至る流路に制御手段を設けたため、副生成物の生成の状況や放電部の放電状況等に応じて無害化手段を安定して動作させることができるようになる。
【0012】
したがって、本発明によれば、より飲用に適した水をより安定して提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかる水処理装置の基本構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態にかかる水処理装置の構成を概略的に示す図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態にかかる水処理装置の放電部を拡大して示す図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態にかかる水処理装置を制御するためのフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態にかかる水処理装置の基本構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態にかかる水処理装置の構成を概略的に示す図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態にかかる水処理装置を制御するためのフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の第3実施形態にかかる水処理装置の基本構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、本発明の第3実施形態にかかる水処理装置の構成を概略的に示す図である。
【図10】図10は、本発明の第3実施形態にかかる水処理装置を制御するためのフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の第4実施形態にかかる水処理装置の基本構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、本発明の第4実施形態にかかる水処理装置の構成を概略的に示す図である。
【図13】図13は、本発明の第4実施形態にかかる水処理装置を制御するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0015】
(第1実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置1は、図1のブロック図に示すように、水供給部2から吐水部3に至る主配管(流路)4を有しており、この主配管4の途中にはプラズマ発生装置(放電部)5が設けられている。また、プラズマ発生装置(放電部)5よりも下流側の主配管4には、放電により生成された副生成物を無害化するための無害化手段6が設けられている。そして、主配管4の適宜箇所には、プラズマ発生装置(放電部)5および無害化手段6を安定して動作するように制御する無害化安定手段(制御手段)7が設けられている。本実施形態では、主配管4のプラズマ発生装置(放電部)5よりも上流側(水供給部2側)に無害化安定手段(制御手段)7が設けられている。
【0016】
そして、プラズマ発生装置5には第1の電源部8から制御した電力が供給され、無害化手段6には第2の電源部9から制御した電力が供給されるようにしている。
【0017】
また、水処理装置1は、図2に示すように、水処理装置1の外郭をなすケース1hを有しており、このケース1h内に主配管4が略U字状に配索されている。
【0018】
そして、この主配管4の最上流部が水供給部2に接続されている。この水供給部2としては、一般の上水道や水を溜めたボトル等を用いることができる。また、主配管4の最下流部には、蛇口などのバルブ3aが設けられた吐水部3が接続されており、バルブ3aを開くと、主配管4を流れてきた水が外部に吐水し、バルブ3aを閉じると、止水するようになっている。なお、図2の矢印aは水の流れを示している。
【0019】
ここで、本実施形態では、主配管4の途中にプラズマ発生装置5が設けられており、このプラズマ発生装置5は、図3に示すように、細孔5Hが形成された絶縁板51の両面に、ドーナツ状の電極52、53を設けることで形成されている。具体的には、主配管4の下壁部を絶縁板51として用い、当該絶縁板51に細孔5Hを設け、細孔5Hの周囲を囲うように両側からドーナツ状の電極52、53を配置することで、プラズマ発生装置5を形成している。なお、細孔5Hの直径dは、1〜3mm程度となっている。また、両電極52、53は、細孔5Hおよびその周縁部を除く部位が絶縁材料で形成した電極カバー54で覆われている。
【0020】
また、電極52、53には第1の電源部8から電力が供給されるようになっており、一方の電極52にはケーブル81を介してプラスの電圧が、他方の電極53にはケーブル82を介してマイナスの電圧が印加されるようになっている。そして、電圧が数KVで電流が数mA程度の電力を第1の電源部8から供給するようにしている。
【0021】
一方、主配管4のプラズマ発生装置5が配設される側(図2の下側)には、空気ダクト10が設けられており、この空気ダクト10内に空気ポンプ11から空気を圧送するようにしている。そして、空気ダクト10内に圧送された空気は、プラズマ発生装置5の細孔5Hを通過して主配管4内に進入するようになっている。このように、空気ポンプ11は、空気ダクト10内の気体を細孔5Hを介して主配管4内へ圧送させる態様で、空気ダクト10内に少なくとも酸素を含む気体を供給する機能を有している。なお、本実施形態では、空気ダクト10側の圧力によって、主配管4内の水が細孔5Hから空気ダクト10側に漏出しないようになっている。また、図2の矢印bは空気の流れを示している。
【0022】
このように、本実施形態では、絶縁板51としての主配管4の下壁部が、空気が存在する空気ダクト10内の空間と液体が存在する主配管4の内部空間とを画成することになる。
【0023】
そして、プラズマ発生装置5が、空気ダクト10内にに配設された電極53と、電極53と距離を隔てられ、少なくとも電極53と対になる側の部分(電極53の表面との間に放電を生じさせる表面)が主配管4内の液体と接触するように配設された電極52と、を備えることになる。
【0024】
具体的には、ドーナツ状の電極53を、絶縁板51の空気ダクト10側の表面に、中心が細孔5Hとなるように配置している。なお、電極53の表面は、誘電体(図示せず)によって被覆されている。
【0025】
そして、電極52は、少なくとも電極53と対になる側の部分(電極53の表面との間に放電を生じさせる表面)が主配管4内の液体と接触するように、主配管4内に配置されている。この電極52も中心が細孔5Hとなるように配置している。すなわち、電極53と電極52とは、同心状に配置されている。
【0026】
このように、本実施形態にかかるプラズマ発生装置5では、空気ダクト10内にドーナツ状の電極53を配設することで、電極53が、主配管4内の液体に接触しないようにしている。
【0027】
一方、ドーナツ状の電極52を主配管4内に配設することで、電極52の少なくとも電極53と対になる側の部分(電極53の表面との間に放電を生じさせる表面)が、主配管4に導入される液体に接触するようにしている。
【0028】
そして、電極53および電極52は、それぞれケーブル82およびケーブル81を介して第1の電源部8に電気的に接続されており、この電極53と電極52との間に所定の電圧が印加されるようになっている。
【0029】
次に、上述したプラズマ発生装置5の動作ならびにOHラジカルの生成方法の一例について説明する。
【0030】
まず、空気ダクト10の気体を細孔5Hを介して主配管4へ圧送させる態様で空気(酸素を含む気体)を空気ダクト10に供給する。このとき、流量制御部を設け、供給する気体の供給流量を制御するようにするのが好ましい。
【0031】
そして、気体が空気ダクト10に供給されることで、空気ダクト10の圧力が大気圧よりも大きくなって陽圧状態になる。このように、空気ダクト10を陽圧とすることで、空気ダクト10から細孔5Hを経て主配管4へ向う気体の流れが形成される。なお、空気ダクト10を陽圧とすることによっても、主配管4に収容された液体が細孔5Hから空気ダクト10内に漏れ出てしまうのが抑制される。
【0032】
そして、上述したように酸素を含有した気体を供給することで、細孔5Hの主配管4側の開口端において酸素を含む気泡が成長する。
【0033】
次に、第1の電源部8によって、電極53と電極52に所定の電圧が印加され、電極53と電極52との間には、大気圧あるいはそれ以上の圧力の気体雰囲気のもとで放電が生じる。
【0034】
そして、この放電によって、主配管4の液体中の気体の領域においてプラズマが生成され、液体に含まれる水や気体に含まれる酸素によってOHラジカル等が生成される。
【0035】
本実施形態では、気泡内の気体(主配管4の液体中の気液境界面近傍の気体)に電位差を生じさせてプラズマを生成している。このように、OHラジカルが生成されやすい気液境界面の近傍(細孔5Hの液体に臨む開口端近傍)に電位差を生じさせることで、より多くのOHラジカル等を生成できるようになる。なお、本実施形態では、細孔5Hの液体に臨む開口端近傍の気泡だけでなく、主配管4へ送り出された気泡内でもOHラジカル等を生成することができる。
【0036】
こうして生成されたOHラジカル等は、上述した気体の流れに伴って、主配管4へ送り出され、気泡が開口端から液体中へ解き放たれ、このOHラジカル等により主配管4内の水を強力な酸化作用で殺菌することになる。
【0037】
なお、本実施形態では、上述したように、電極53を空気ダクト10に配設するとともに、電極52を、少なくとも電極53と対になる側の部分(電極53の表面との間に放電を生じさせる表面)が主配管4中の液体と接触するように配設している。そして、気体に接触する電極53の表面と液体に接触する電極52の表面との間に放電を発生させることで、主配管4中の液体内における気体の領域においてプラズマを生成し、液体に含まれる水および気体に含まれる酸素からOHラジカルを生成するようにしている。
【0038】
このような構成および方法によれば、液体の電気抵抗による影響をそれほど受けることなく電極53と電極52との間に放電を生じさせることができるため、気体をより確実にプラズマ化することができ、より安定してOHラジカル等を大量に生成することができるようになる。
【0039】
ところで、上述したように、プラズマ発生装置5では、プラズマ放電により殺菌性の強いOHラジカルを生成し、このOHラジカルにより主配管4内の水を強力な酸化作用で殺菌することになる。しかしながら、OHラジカルは、主配管4内の水や窒素と反応して、過酸化水素(主にラジカル由来)や硝酸(主に空気由来)等の人体に悪影響を及ぼすおそれのある副生成物を生成してしまうという問題がある。つまり、プラズマ発生装置5で殺菌はされているが副生成物を含んだ水が、主配管4から吐水部3へと供給されてしまうおそれがあった。
【0040】
そこで、本実施形態では、プラズマ発生装置5よりも下流側の主配管4に、副生成物を無害化する無害化手段6を配設した。なお、無害化とは、人体に悪影響を及ぼすおそれのある物質(副生成物)が吐水部3から吐水する水に存在しないようにすることである。
【0041】
具体的には、放電により生成されたOHラジカルによって生成された副生成物を中和や還元することで無害化している。副生成物を中和させる手段としては、アルカリ成分を生成する電極を利用することができる。また、副生成物を還元する手段としては、白金電極を利用することができる。本実施形態では、副生成物のうち硝酸については、中和させる手段によって中和させることで無害化し、過酸化水素については、還元する手段によって水に還元することで無害化するようにしている。
【0042】
無害化手段6は、第2の電源部9から電力が供給される一対の電極61、62を備えている。この電極61、62としては、上述したアルカリ成分を生成する電極や還元用の白金電極が用いられる。
【0043】
そして、一方の電極(陰極)61にはケーブル91を介してマイナスの電圧が、他方の電極(陽極)62にはケーブル92を介してプラスの電圧が印加されるようにしている。このとき、電圧が数Vで電流が数mA程度の電力を第2の電源部9から供給するようにしている。なお、無害化手段6の電極61、62は一対に限ることなく、複数対設置するようにしてもよい。
【0044】
さらに、本実施形態では、プラズマ発生装置5の上流側の主配管4に、無害化手段6が安定して動作するように制御する無害化安定手段(制御手段)7を設けている。この無害化安定手段7は、酸性度や流量などの水の状態を検知し、副生成物の生成の状況に応じて無害化手段6を制御し、副生成物を効率的かつ安定的に無害化するものである。なお、水の状態とは、水の化学的成分や物理的および電気的な性質等全般的な性質を意味し、それら各性質の少なくとも1つで水の状態を検知するようにすればよい。また、本実施形態では無害化安定手段7をプラズマ発生装置5の上流側に配設した場合を示したが、検知する水の状態によっては無害化安定手段7を無害化手段6の下流側に配置することもできる。
【0045】
次に、本実施形態にかかる水処理装置1の制御を図4に基づき説明する。
【0046】
まず、電源をONして水処理装置1の稼働を開始すると(ステップS1)、無害化安定手段7を駆動し(ステップS2)、プラズマ発生装置5の第1の電源部8および無害化手段6の第2の電源部9を駆動する(ステップS3)。これにより、プラズマ発生装置5によってOHラジカルを生成して主配管4内の水を殺菌しつつ、無害化手段6によってOHラジカルから生成された副生成物を無害化する。
【0047】
次に、無害化安定手段7が主配管4内を流れる水の状態を検知した結果に基づいて、無害化手段6の第2の電源部9の制御が必要かどうかを判断する(ステップS4)。制御が必要でない場合(NO)はステップS3にリターンし、制御が必要な場合(YES)は第2の電源部9の出力電圧を制御する(ステップS5)。
【0048】
その後、水処理装置1の電源がOFFされたかどうかを判断し(ステップS6)、継続して水処理装置1を稼働する場合はステップS3にリターンし、稼働を終了する場合は一連の制御を停止する(ステップS7)。
【0049】
かかる制御を行うことで、本実施形態にかかる水処理装置1は、以下のように動作することとなる。
【0050】
まず、水供給部2の原水を主配管4に導入し、第1の電源部8からプラズマ発生装置5の電極52、53に電圧を印加し、空気ポンプ11から空気ダクト10に空気を圧送する。これにより、細孔5Hを通過して主配管4内に流入する空気をプラズマ化してOHラジカルを生成し、このOHラジカルによって主配管4内の水を強力な殺菌作用で殺菌する。
【0051】
また、同時に第2の電源部9から無害化手段6の一対の電極61、62に電圧を印加し、プラズマにより生成した副生成物を無害化する。このとき、無害化安定手段7が、水の状態(副生成物の生成の状況)に応じて第2の電源部9を制御し、副生成物を効率的かつ安定的に無害化する。
【0052】
こうして、OHラジカルによって殺菌がなされ、OHラジカルから生成された副生成物が取り除かれた水が、主配管4から吐水部3へと供給される。すなわち、より飲用に適した水をより安定して得ることができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態では、水供給部2から吐水部3に至る主配管(流路)4の途中にプラズマ発生装置(放電部)5を設けたため、当該プラズマ発生装置(放電部)5を放電させることで生成されるOHラジカル(生成物)により主配管(流路)4を流れる水を殺菌することができる。さらに、プラズマ発生装置(放電部)5よりも下流側の主配管(流路)4に無害化手段6を配設することで、OHラジカルによって生成された副生成物(放電により生成された副生成物)を無害化することができる。
【0054】
そのため、より飲用に適した水を得ることができる。
【0055】
また、水供給部2から吐水部3に至る主配管(流路)4に無害化安定手段(制御手段)7を設けたため、副生成物の生成の状況やプラズマ発生装置(放電部)5の放電状況等に応じて無害化手段6を安定して動作させることができるようになる。すなわち、副生成物を効率的かつ安定的に無害化することができる。
【0056】
このように、本実施形態によれば、より飲用に適した水をより安定して提供することができるようになる。
【0057】
(第2実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置1Aは、基本的に上記第1実施形態の水処理装置1とほぼ同様の構成をしている。
【0058】
すなわち、水処理装置1Aは、水供給部2から吐水部3に至る主配管(流路)4を有しており、この主配管4の途中にはプラズマ発生装置(放電部)5が設けられている。また、プラズマ発生装置(放電部)5よりも下流側の主配管4には、放電により生成された副生成物を無害化するための無害化手段6が設けられている。そして、主配管4の適宜箇所には、プラズマ発生装置(放電部)5および無害化手段6を安定して動作するように制御する無害化安定手段(制御手段)7が設けられている。
【0059】
ここで、本実施形態の水処理装置1Aが上記第1実施形態の水処理装置1と主に異なる点は、図5のブロック図に示すように、無害化安定手段7を、センサ71と制御装置72とで構成したことにある。そして、センサ71で水の状態を検知した信号を制御装置72に入力し、この制御装置72で処理した制御信号を第1の電源部8および第2の電源部9に出力するようにしている。
【0060】
この制御装置72は、プログラムやデータを予め記憶したマイクロプロセッサを内蔵している。そして、センサ71の検出値に応じて、記憶したプログラムやデータに基づいて第2の電源部9を制御するようになっている。
【0061】
また、本実施形態では、図6に示すように、センサ71をプラズマ発生装置(放電部)5よりも上流側の主配管4に配設している。そして、このセンサ71の検出信号を制御装置72に送るようにしている。この制御装置72は、センサ71の検出信号に基づいて第2の電源部9を制御し、無害化手段6の電極61、62に印加する電圧を、副生成物を無害化するのに最適な値となるように制御する。なお、検知する水の状態によっては無害化安定手段7を無害化手段6の下流側に配置することも可能である。また、本実施形態にあっても、無害化手段6の電極61、62を複数対配置することができる。
【0062】
次に、本実施形態にかかる水処理装置1Aの制御を図7に基づき説明する。
【0063】
まず、電源をONして水処理装置1Aの稼働を開始すると(ステップS10)、センサ71の検出値を制御装置72で読み込む(ステップS11)。これと同時にプラズマ発生装置5の第1の電源部8および無害化手段6の第2の電源部9を駆動する(ステップS12)。これにより、上記第1実施形態と同様に、プラズマ発生装置5によってOHラジカルを生成して主配管4内の水を殺菌しつつ、無害化手段6によって副生成物を無害化する。
【0064】
次に、センサ71が主配管4内を流れる水の状態を検知した結果に基づいて、無害化手段6の第2の電源部9の制御が必要かどうかを判断する(ステップS13)。制御が必要でない場合(NO)はステップS12にリターンし、制御が必要な場合(YES)は第2の電源部9の出力電圧を制御する(ステップS14)。
【0065】
その後、水処理装置1の電源がOFFされたかどうかを判断し(ステップS15)、継続して水処理装置1を稼働する場合はステップS12にリターンし、稼働を終了する場合は一連の制御を停止する(ステップS16)。
【0066】
かかる制御を行うことで、本実施形態にかかる水処理装置1Aは、以下のように動作することとなる。
【0067】
まず、水供給部2の原水を主配管4に導入し、第1の電源部8からプラズマ発生装置5の電極52、53に電圧を印加し、空気ポンプ11から空気ダクト10に空気を圧送する。これにより、細孔5Hを通過して主配管4内に流入する空気をプラズマ化してOHラジカルを生成し、このOHラジカルによって主配管4内の水を強力な殺菌作用で殺菌する。
【0068】
また、同時に第2の電源部9から無害化手段6の一対の電極61、62に電圧を印加し、プラズマにより生成した副生成物を無害化する。このとき、無害化安定手段7が、水の状態(副生成物の生成の状況)に応じて第2の電源部9を制御し、副生成物を効率的かつ安定的に無害化する。特に、本実施形態では、無害化安定手段7をセンサ71と制御装置72とで構成しており、制御装置72には、予め制御しようとするプログラムやデータを記憶している。そのため、第2の電源部9を迅速に制御することができるようになる。
【0069】
こうして、OHラジカルによって殺菌がなされ、OHラジカルから生成された副生成物が取り除かれた水が、主配管4から吐水部3へと供給され、より飲用に適した水をより安定して得ることができるようになる。
【0070】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、無害化安定手段(制御手段)7をセンサ71と制御装置72とで構成している。そして、この制御装置72には、予め制御しようとするプログラムやデータを記憶している。そのため、第2の電源部9を迅速に制御することができ、不必要な過剰制御を抑制することができる。これにより、プラズマ発生装置5および無害化手段6の制御精度をより高めることができ、水の殺菌性能および副生成物の無害化性能をより一層向上させることができる。また、無駄なエネルギーの消費を抑制することができるようになるという利点もある。
【0072】
(第3実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置1Bは、基本的に上記第2実施形態の水処理装置1Aとほぼ同様の構成をしており、水供給部2から吐水部3に至る主配管(流路)4を有しており、この主配管4の途中にはプラズマ発生装置(放電部)5が設けられている。また、プラズマ発生装置(放電部)5よりも下流側の主配管4には、放電により生成された副生成物を無害化するための無害化手段6が設けられている。そして、主配管4の適宜箇所には、プラズマ発生装置(放電部)5および無害化手段6を安定して動作するように制御する無害化安定手段(制御手段)7が設けられている。
【0073】
ここで、本実施形態の水処理装置1Bが上記第2実施形態の水処理装置1Aと主に異なる点は、図8のブロック図に示すように、無害化安定手段7を、水の状態の1つである成分であるpHを検知するpHセンサ(成分センサ)71Aと制御装置72Aとで構成したことにある。
【0074】
また、本実施形態では、pHセンサ(成分センサ)71Aを無害化手段6よりも下流側の主配管4に配設している。
【0075】
なお、本実施形態では、成分センサ71Aとして水の酸性度を測定するpHセンサを用いているが、このpHセンサ71Aを用いることは、副生成物の生成量の増大に伴ってpH値が低下(酸性化)することに基づいている。
【0076】
そして、制御装置72Aには、上記第2実施形態の制御装置72と同様にプログラムやデータを予め記憶したマイクロプロセッサが内蔵されている。そして、pHセンサ71Aの検出値に応じて、記憶したプログラムやデータに基づいて第2の電源部9を制御するようになっている。
【0077】
また、本実施形態では、図9に示すように、pHセンサ71Aを無害化手段6よりも下流側の主配管4に配設している。そして、このpHセンサ71Aの検出信号を制御装置72Aに送るようにしている。この制御装置72Aは、上記第2実施形態と同様に、pHセンサ71Aの検出信号に基づいて第2の電源部9を制御し、無害化手段6の電極61、62に印加する電圧を、副生成物を無害化するのに最適な値となるように制御するものである。なお、本実施形態にあっても、無害化手段6の電極61、62を複数対配置することができる。
【0078】
次に、本実施形態にかかる水処理装置1Bの制御を図10に基づき説明する。
【0079】
まず、電源をONして水処理装置1Bの稼働を開始すると(ステップS20)、pHセンサ71Aの検出値を制御装置72Aで読み込む(ステップS21)。これと同時にプラズマ発生装置(放電部)5の第1の電源部8および無害化手段6の第2の電源部9を駆動する(ステップS22)。これにより、上記第1および第2実施形態と同様に、プラズマ発生装置5によってOHラジカルを生成して主配管4内の水を殺菌しつつ、無害化手段6によって副生成物を無害化する。
【0080】
次に、pHセンサ71Aが主配管4内を流れる水の状態を検知した結果に基づいて、制御装置72AはpHが規定値(例えば、水質基準であるpH値5.8)以下かどうかを判断する(ステップS23)。そして、pHが規定値以下、つまり酸性度が強いと判断した場合(YES)は、第2の電源部9の出力電圧を上げる方向に制御する(ステップS24)。これにより、無害化手段6の電極61、62に印加する電圧が高められ、アルカリ水の生成量が増大する。
【0081】
次に、制御装置72AによってpHが規定値の範囲内(ほぼ中性)にあるかどうかを判断し(ステップS25)、範囲内にあると判断した場合(YES)は、第2の電源部9を停止する(ステップS26)。これにより、無害化手段6の電極61、62には電圧が印加されない状態となり、無害化手段6でのアルカリ水の生成が停止される。
【0082】
その後、水処理装置1Bの電源がOFFされたかどうかを判断し(ステップS27)、継続して水処理装置1Bを稼働する場合はステップS22にリターンし、稼働を終了する場合は一連の制御を停止する(ステップS28)。
【0083】
なお、ステップS23でpHが規定値を超える場合、すなわち、酸性度が弱い場合には、ステップS25に進んでpHが規定値の範囲内(ほぼ中性)にあるかどうかを判断する。また、ステップS25でpHが規定値の範囲外にあると判断した場合、すなわち、酸性度が強いか若しくはアルカリ度が強いと判断した場合には、ステップS27に進んで電源の状態を判断する。
【0084】
かかる制御を行うことで、本実施形態にかかる水処理装置1Bは、以下のように動作することとなる。
【0085】
まず、水供給部2の原水を主配管4に導入し、第1の電源部8からプラズマ発生装置5の電極52、53に電圧を印加し、空気ポンプ11から空気ダクト10に空気を圧送する。これにより、細孔5Hを通過して主配管4内に流入する空気をプラズマ化してOHラジカルを生成し、このOHラジカルによって主配管4内の水を強力な殺菌作用で殺菌する。
【0086】
また、同時に第2の電源部9から無害化手段6の一対の電極61、62に電圧を印加し、プラズマにより生成した副生成物を無害化する。このとき、無害化安定手段7が、水の状態(副生成物の生成の状況)に応じて第2の電源部9を制御し、副生成物を効率的かつ安定的に無害化する。特に、本実施形態では無害化安定手段7をpHセンサ71Aと制御装置72Aとで構成している。そして、pH値によって無害化手段6を制御するようにしている。すなわち、pH値に応じて無害化手段6の制御量を多くしたり少なくしたりして、余分なエネルギーを使用することなく副生成物を効率良く無害化できるようにしている。そして、pH値が酸性の水質基準から外れる場合は、無害化手段6の第2の電源部9を制御し、pHが中性の場合はその電源部9の出力を停止する等、pHに応じて最適な制御を行うようにしている。また、上記第2実施形態と同様、制御装置72Aには予め制御しようとするプログラムやデータが記憶されており、第2の電源部9を迅速に制御することができるようになっている。
【0087】
以上の本実施形態によっても、上記第2実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、無害化安定手段7をpHセンサ71Aと制御装置72Aとで構成している。これにより、無害化手段6の制御を水のpH値に応じて制御することができるため、より精度のよい制御が可能となり、より水質の安定した水を得ることができる。
【0089】
なお、本実施形態では、水の成分を検知するセンサとしてpHセンサ71Aを用いたが、これ以外にも各種センサを用いることができる。例えば、硝酸センサ、過酸化水素センサ、酸化還元電位(ORP)センサ、溶存水素センサ、溶存酸素センサ等を用いることができ、これらを用いても本実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
【0090】
(第4実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置1Cは、基本的に上記第2実施形態の水処理装置1Aとほぼ同様の構成をしており、水供給部2から吐水部3に至る主配管(流路)4を有しており、この主配管4の途中にはプラズマ発生装置(放電部)5が設けられている。また、プラズマ発生装置(放電部)5よりも下流側の主配管4には、放電により生成された副生成物を無害化するための無害化手段6が設けられている。そして、主配管4の適宜箇所には、プラズマ発生装置(放電部)5および無害化手段6を安定して動作するように制御する無害化安定手段(制御手段)7が設けられている。
【0091】
ここで、本実施形態の水処理装置1Cが上記第2実施形態の水処理装置1Aと主に異なる点は、図11のブロック図に示すように、無害化安定手段7を、水の状態の1つである通過流量を検知する流量センサ71Bと制御装置72Bとで構成したことにある。また、本実施形態では、流量センサ71Bを放電部(プラズマ発生装置)5よりも上流側の主配管4に配設している。なお、流量センサ71Bを用いることは、主配管4を流れる水量によって副生成物の量を予測できることに基づいている。また、本実施形態では、流量センサ71Bとして、水の移動によって回転する羽根車を有し、その羽根車の回転数によって流量を測定できる羽根車式のものを用いている。
【0092】
本実施形態においても、制御装置72Bには、上記第2実施形態の制御装置72と同様、プログラムやデータが予め記憶されており、流量センサ71Bの検出値に応じて、記憶したプログラムやデータに基づいて第2の電源部9を制御するようになっている。
【0093】
また、本実施形態では、図12に示すように、流量センサ71Bをプラズマ発生装置5よりも上流側の主配管4に配設している。そして、この流量センサ71Bの検出信号を制御装置72Bに送るようにしている。この制御装置72Bは、上記第2実施形態と同様に、流量センサ71Bの検出信号に基づいて第2の電源部9を制御し、無害化手段6の電極61、62に印加する電圧を、副生成物を無害化するのに最適な値となるように制御するものである。なお、本実施形態にあっても、無害化手段6の電極61、62を複数対配置することができる。
【0094】
次に、本実施形態にかかる水処理装置1Cの制御を図13に基づき説明する。
【0095】
まず、電源をONして水処理装置1Cの稼働を開始すると(ステップS30)、流量センサ71Bの検出値を制御装置72Bで読み込む(ステップS31)。これと同時にプラズマ発生装置(放電部)5の第1の電源部8および無害化手段6の第2の電源部9を駆動する(ステップS32)。これにより、上記第1〜第3実施形態と同様に、プラズマ発生装置5によってOHラジカルを生成して主配管4内の水を殺菌しつつ、無害化手段6によって副生成物を無害化する。
【0096】
次に、流量センサ71Bが主配管4内を流れる流量を検知した結果に基づいて、制御装置72Bで流量が規定値以下であるかどうかを判断する(ステップS33)。そして、流量が規定値以下、すなわち、少ない水量のため副生成物の濃度が高いと判断した場合(YES)は、第2の電源部9の出力電圧を上げる方向に制御する(ステップS34)。これにより、無害化手段6の電極61、62に印加する電圧が高められ、アルカリ水の生成量が増大して中性化が促進される。
【0097】
次に、制御装置72Bによって流量が規定値以上であるかどうかを判断し(ステップS35)、規定値以上であると判断した場合(YES)は、十分な水量によって副生成物が薄められていることになる。このため、第2の電源部9の出力電圧を下げる(ステップS36)。これにより、無害化手段6によるアルカリ水の生成量を減少して節電することができる。
【0098】
その後、水処理装置1Cの電源がOFFされたかどうかを判断し(ステップS37)、継続して水処理装置1Cを稼働する場合はステップS32にリターンし、稼働を終了する場合は一連の制御を停止する(ステップS38)。
【0099】
なお、ステップS33で流量が規定値を超える場合(NO)、すなわち、水量が十分に有る場合はステップS35に進む。また、ステップS35で流量が規定値を超えない場合、すなわち、副生成物の濃度が高い傾向にあると判断した場合は、ステップS37に進んで電源の状態を判断する。
【0100】
かかる制御を行うことで、本実施形態にかかる水処理装置1Cは、以下のように動作することとなる。
【0101】
まず、水供給部2の原水を主配管4に導入し、第1の電源部8からプラズマ発生装置5の電極52、53に電圧を印加し、空気ポンプ11から空気ダクト10に空気を圧送する。これにより、細孔5Hを通過して主配管4内に流入する空気をプラズマ化してOHラジカルを生成し、このOHラジカルによって主配管4内の水を強力な殺菌作用で殺菌する。
【0102】
また、同時に第2の電源部9から無害化手段6の一対の電極61、62に電圧を印加し、プラズマにより生成した副生成物を無害化する。このとき、無害化安定手段7が、水の状態(副生成物の生成の状況)に応じて第2の電源部9を制御し、副生成物を効率的かつ安定的に無害化する。特に、本実施形態では無害化安定手段7を流量センサ71Bと制御装置72Bとで構成している。そして、流量値によって無害化手段6を制御するようにしている。すなわち、流量値に応じて無害化手段6の制御量を多くしたり少なくしたりして、余分なエネルギーを使用することなく副生成物を効率良く無害化できるようにしている。なお、制御装置72Bには予め制御しようとするプログラムやデータが記憶されており、第2の電源部9を迅速に制御できるようになっている。
【0103】
以上の本実施形態によっても、上記第2実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0104】
また、本実施形態によれば、無害化安定手段7を流量センサ71Bと制御装置72Bとで構成している。そして、無害化手段6を制御する流量センサ71Bが羽根車式となっている。そのため、流量センサ71Bを簡単な構造としてコストダウンを図ることができるようになる。
【0105】
ところで、本実施形態において、無害化手段6の電極61、62を複数対設けた場合には、対をなす電極61、62の数を制御することにより副生成物の無害化を制御するようにすることが可能である。例えば、流量が多くて羽根車の回転数が高い場合は使用する電極61、62の数を多くし、逆に、流量が少なくて羽根車の回転数が低い場合は使用する電極61、62の数を減らすようにすることが可能である。
【0106】
なお、本実施形態では、流量センサ71Bとして羽根車式のものを例示したが、これ以外の流量センサ、例えば、超音波ドップラー式、差圧式、熱線式、電磁式、コリオリ式、その他の流量センサを用いることも可能である。
【0107】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0108】
例えば、主配管(流路)やプラズマ発生装置(放電部)、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)を適宜に変更することができる。
【符号の説明】
【0109】
1、1A、1B、1C 水処理装置
2 水供給部
3 吐水部
4 主配管(流路)
5 プラズマ発生装置(放電部)
6 無害化手段
7 無害化安定手段(制御手段)
71 センサ
71A pHセンサ(成分センサ)
71B 流量センサ
72、72A、72B 制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水処理装置では、導入した水を積極的に殺菌することでより安全な飲用水とすることができる。殺菌する手段としては、例えば、特許文献1に開示されたプラズマ発生装置を用いることが考えられる。
【0003】
このプラズマ発生装置では、絶縁体の両面に一対の電極材を配置した多層体に細孔を設け、一対の電極材間に電力を印加して放電することで、細孔を通過する気体をプラズマ化している。
【0004】
このようなプラズマ発生装置を水処理装置に用い、気体をプラズマ化することで、プラズマによりOHラジカルが生成され、このOHラジカルによって水を殺菌することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−289432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、かかる従来のプラズマ発生装置を水処理装置に用いた場合、OHラジカルによって水を殺菌することはできるが、OHラジカルが水や周囲に存在する窒素と反応して過酸化水素や硝酸などの副生成物を生成してしまう。そのため、得られる水が飲用水として不適なものとなるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、より飲用に適した水をより安定して提供することのできる水処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にあっては、水供給部と、吐水部と、前記水供給部から前記吐水部に至る流路に設けられる放電部と、を備える水処理装置であって、前記流路の前記放電部よりも下流側に配設され、放電により生成される副生成物を無害化するための無害化手段と、前記流路に配設され、前記無害化手段を制御する制御手段と、を備えることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、水供給部から吐水部に至る流路に放電部を設けたため、当該放電部を放電させることで生成される生成物により流路を流れる水を殺菌することができる。さらに、放電部よりも下流側の流路に無害化手段を配設することで、放電により生成された副生成物を無害化することができる。
【0010】
そのため、より飲用に適した水を得ることができる。
【0011】
また、水供給部から吐水部に至る流路に制御手段を設けたため、副生成物の生成の状況や放電部の放電状況等に応じて無害化手段を安定して動作させることができるようになる。
【0012】
したがって、本発明によれば、より飲用に適した水をより安定して提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかる水処理装置の基本構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態にかかる水処理装置の構成を概略的に示す図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態にかかる水処理装置の放電部を拡大して示す図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態にかかる水処理装置を制御するためのフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態にかかる水処理装置の基本構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態にかかる水処理装置の構成を概略的に示す図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態にかかる水処理装置を制御するためのフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の第3実施形態にかかる水処理装置の基本構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、本発明の第3実施形態にかかる水処理装置の構成を概略的に示す図である。
【図10】図10は、本発明の第3実施形態にかかる水処理装置を制御するためのフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の第4実施形態にかかる水処理装置の基本構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、本発明の第4実施形態にかかる水処理装置の構成を概略的に示す図である。
【図13】図13は、本発明の第4実施形態にかかる水処理装置を制御するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0015】
(第1実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置1は、図1のブロック図に示すように、水供給部2から吐水部3に至る主配管(流路)4を有しており、この主配管4の途中にはプラズマ発生装置(放電部)5が設けられている。また、プラズマ発生装置(放電部)5よりも下流側の主配管4には、放電により生成された副生成物を無害化するための無害化手段6が設けられている。そして、主配管4の適宜箇所には、プラズマ発生装置(放電部)5および無害化手段6を安定して動作するように制御する無害化安定手段(制御手段)7が設けられている。本実施形態では、主配管4のプラズマ発生装置(放電部)5よりも上流側(水供給部2側)に無害化安定手段(制御手段)7が設けられている。
【0016】
そして、プラズマ発生装置5には第1の電源部8から制御した電力が供給され、無害化手段6には第2の電源部9から制御した電力が供給されるようにしている。
【0017】
また、水処理装置1は、図2に示すように、水処理装置1の外郭をなすケース1hを有しており、このケース1h内に主配管4が略U字状に配索されている。
【0018】
そして、この主配管4の最上流部が水供給部2に接続されている。この水供給部2としては、一般の上水道や水を溜めたボトル等を用いることができる。また、主配管4の最下流部には、蛇口などのバルブ3aが設けられた吐水部3が接続されており、バルブ3aを開くと、主配管4を流れてきた水が外部に吐水し、バルブ3aを閉じると、止水するようになっている。なお、図2の矢印aは水の流れを示している。
【0019】
ここで、本実施形態では、主配管4の途中にプラズマ発生装置5が設けられており、このプラズマ発生装置5は、図3に示すように、細孔5Hが形成された絶縁板51の両面に、ドーナツ状の電極52、53を設けることで形成されている。具体的には、主配管4の下壁部を絶縁板51として用い、当該絶縁板51に細孔5Hを設け、細孔5Hの周囲を囲うように両側からドーナツ状の電極52、53を配置することで、プラズマ発生装置5を形成している。なお、細孔5Hの直径dは、1〜3mm程度となっている。また、両電極52、53は、細孔5Hおよびその周縁部を除く部位が絶縁材料で形成した電極カバー54で覆われている。
【0020】
また、電極52、53には第1の電源部8から電力が供給されるようになっており、一方の電極52にはケーブル81を介してプラスの電圧が、他方の電極53にはケーブル82を介してマイナスの電圧が印加されるようになっている。そして、電圧が数KVで電流が数mA程度の電力を第1の電源部8から供給するようにしている。
【0021】
一方、主配管4のプラズマ発生装置5が配設される側(図2の下側)には、空気ダクト10が設けられており、この空気ダクト10内に空気ポンプ11から空気を圧送するようにしている。そして、空気ダクト10内に圧送された空気は、プラズマ発生装置5の細孔5Hを通過して主配管4内に進入するようになっている。このように、空気ポンプ11は、空気ダクト10内の気体を細孔5Hを介して主配管4内へ圧送させる態様で、空気ダクト10内に少なくとも酸素を含む気体を供給する機能を有している。なお、本実施形態では、空気ダクト10側の圧力によって、主配管4内の水が細孔5Hから空気ダクト10側に漏出しないようになっている。また、図2の矢印bは空気の流れを示している。
【0022】
このように、本実施形態では、絶縁板51としての主配管4の下壁部が、空気が存在する空気ダクト10内の空間と液体が存在する主配管4の内部空間とを画成することになる。
【0023】
そして、プラズマ発生装置5が、空気ダクト10内にに配設された電極53と、電極53と距離を隔てられ、少なくとも電極53と対になる側の部分(電極53の表面との間に放電を生じさせる表面)が主配管4内の液体と接触するように配設された電極52と、を備えることになる。
【0024】
具体的には、ドーナツ状の電極53を、絶縁板51の空気ダクト10側の表面に、中心が細孔5Hとなるように配置している。なお、電極53の表面は、誘電体(図示せず)によって被覆されている。
【0025】
そして、電極52は、少なくとも電極53と対になる側の部分(電極53の表面との間に放電を生じさせる表面)が主配管4内の液体と接触するように、主配管4内に配置されている。この電極52も中心が細孔5Hとなるように配置している。すなわち、電極53と電極52とは、同心状に配置されている。
【0026】
このように、本実施形態にかかるプラズマ発生装置5では、空気ダクト10内にドーナツ状の電極53を配設することで、電極53が、主配管4内の液体に接触しないようにしている。
【0027】
一方、ドーナツ状の電極52を主配管4内に配設することで、電極52の少なくとも電極53と対になる側の部分(電極53の表面との間に放電を生じさせる表面)が、主配管4に導入される液体に接触するようにしている。
【0028】
そして、電極53および電極52は、それぞれケーブル82およびケーブル81を介して第1の電源部8に電気的に接続されており、この電極53と電極52との間に所定の電圧が印加されるようになっている。
【0029】
次に、上述したプラズマ発生装置5の動作ならびにOHラジカルの生成方法の一例について説明する。
【0030】
まず、空気ダクト10の気体を細孔5Hを介して主配管4へ圧送させる態様で空気(酸素を含む気体)を空気ダクト10に供給する。このとき、流量制御部を設け、供給する気体の供給流量を制御するようにするのが好ましい。
【0031】
そして、気体が空気ダクト10に供給されることで、空気ダクト10の圧力が大気圧よりも大きくなって陽圧状態になる。このように、空気ダクト10を陽圧とすることで、空気ダクト10から細孔5Hを経て主配管4へ向う気体の流れが形成される。なお、空気ダクト10を陽圧とすることによっても、主配管4に収容された液体が細孔5Hから空気ダクト10内に漏れ出てしまうのが抑制される。
【0032】
そして、上述したように酸素を含有した気体を供給することで、細孔5Hの主配管4側の開口端において酸素を含む気泡が成長する。
【0033】
次に、第1の電源部8によって、電極53と電極52に所定の電圧が印加され、電極53と電極52との間には、大気圧あるいはそれ以上の圧力の気体雰囲気のもとで放電が生じる。
【0034】
そして、この放電によって、主配管4の液体中の気体の領域においてプラズマが生成され、液体に含まれる水や気体に含まれる酸素によってOHラジカル等が生成される。
【0035】
本実施形態では、気泡内の気体(主配管4の液体中の気液境界面近傍の気体)に電位差を生じさせてプラズマを生成している。このように、OHラジカルが生成されやすい気液境界面の近傍(細孔5Hの液体に臨む開口端近傍)に電位差を生じさせることで、より多くのOHラジカル等を生成できるようになる。なお、本実施形態では、細孔5Hの液体に臨む開口端近傍の気泡だけでなく、主配管4へ送り出された気泡内でもOHラジカル等を生成することができる。
【0036】
こうして生成されたOHラジカル等は、上述した気体の流れに伴って、主配管4へ送り出され、気泡が開口端から液体中へ解き放たれ、このOHラジカル等により主配管4内の水を強力な酸化作用で殺菌することになる。
【0037】
なお、本実施形態では、上述したように、電極53を空気ダクト10に配設するとともに、電極52を、少なくとも電極53と対になる側の部分(電極53の表面との間に放電を生じさせる表面)が主配管4中の液体と接触するように配設している。そして、気体に接触する電極53の表面と液体に接触する電極52の表面との間に放電を発生させることで、主配管4中の液体内における気体の領域においてプラズマを生成し、液体に含まれる水および気体に含まれる酸素からOHラジカルを生成するようにしている。
【0038】
このような構成および方法によれば、液体の電気抵抗による影響をそれほど受けることなく電極53と電極52との間に放電を生じさせることができるため、気体をより確実にプラズマ化することができ、より安定してOHラジカル等を大量に生成することができるようになる。
【0039】
ところで、上述したように、プラズマ発生装置5では、プラズマ放電により殺菌性の強いOHラジカルを生成し、このOHラジカルにより主配管4内の水を強力な酸化作用で殺菌することになる。しかしながら、OHラジカルは、主配管4内の水や窒素と反応して、過酸化水素(主にラジカル由来)や硝酸(主に空気由来)等の人体に悪影響を及ぼすおそれのある副生成物を生成してしまうという問題がある。つまり、プラズマ発生装置5で殺菌はされているが副生成物を含んだ水が、主配管4から吐水部3へと供給されてしまうおそれがあった。
【0040】
そこで、本実施形態では、プラズマ発生装置5よりも下流側の主配管4に、副生成物を無害化する無害化手段6を配設した。なお、無害化とは、人体に悪影響を及ぼすおそれのある物質(副生成物)が吐水部3から吐水する水に存在しないようにすることである。
【0041】
具体的には、放電により生成されたOHラジカルによって生成された副生成物を中和や還元することで無害化している。副生成物を中和させる手段としては、アルカリ成分を生成する電極を利用することができる。また、副生成物を還元する手段としては、白金電極を利用することができる。本実施形態では、副生成物のうち硝酸については、中和させる手段によって中和させることで無害化し、過酸化水素については、還元する手段によって水に還元することで無害化するようにしている。
【0042】
無害化手段6は、第2の電源部9から電力が供給される一対の電極61、62を備えている。この電極61、62としては、上述したアルカリ成分を生成する電極や還元用の白金電極が用いられる。
【0043】
そして、一方の電極(陰極)61にはケーブル91を介してマイナスの電圧が、他方の電極(陽極)62にはケーブル92を介してプラスの電圧が印加されるようにしている。このとき、電圧が数Vで電流が数mA程度の電力を第2の電源部9から供給するようにしている。なお、無害化手段6の電極61、62は一対に限ることなく、複数対設置するようにしてもよい。
【0044】
さらに、本実施形態では、プラズマ発生装置5の上流側の主配管4に、無害化手段6が安定して動作するように制御する無害化安定手段(制御手段)7を設けている。この無害化安定手段7は、酸性度や流量などの水の状態を検知し、副生成物の生成の状況に応じて無害化手段6を制御し、副生成物を効率的かつ安定的に無害化するものである。なお、水の状態とは、水の化学的成分や物理的および電気的な性質等全般的な性質を意味し、それら各性質の少なくとも1つで水の状態を検知するようにすればよい。また、本実施形態では無害化安定手段7をプラズマ発生装置5の上流側に配設した場合を示したが、検知する水の状態によっては無害化安定手段7を無害化手段6の下流側に配置することもできる。
【0045】
次に、本実施形態にかかる水処理装置1の制御を図4に基づき説明する。
【0046】
まず、電源をONして水処理装置1の稼働を開始すると(ステップS1)、無害化安定手段7を駆動し(ステップS2)、プラズマ発生装置5の第1の電源部8および無害化手段6の第2の電源部9を駆動する(ステップS3)。これにより、プラズマ発生装置5によってOHラジカルを生成して主配管4内の水を殺菌しつつ、無害化手段6によってOHラジカルから生成された副生成物を無害化する。
【0047】
次に、無害化安定手段7が主配管4内を流れる水の状態を検知した結果に基づいて、無害化手段6の第2の電源部9の制御が必要かどうかを判断する(ステップS4)。制御が必要でない場合(NO)はステップS3にリターンし、制御が必要な場合(YES)は第2の電源部9の出力電圧を制御する(ステップS5)。
【0048】
その後、水処理装置1の電源がOFFされたかどうかを判断し(ステップS6)、継続して水処理装置1を稼働する場合はステップS3にリターンし、稼働を終了する場合は一連の制御を停止する(ステップS7)。
【0049】
かかる制御を行うことで、本実施形態にかかる水処理装置1は、以下のように動作することとなる。
【0050】
まず、水供給部2の原水を主配管4に導入し、第1の電源部8からプラズマ発生装置5の電極52、53に電圧を印加し、空気ポンプ11から空気ダクト10に空気を圧送する。これにより、細孔5Hを通過して主配管4内に流入する空気をプラズマ化してOHラジカルを生成し、このOHラジカルによって主配管4内の水を強力な殺菌作用で殺菌する。
【0051】
また、同時に第2の電源部9から無害化手段6の一対の電極61、62に電圧を印加し、プラズマにより生成した副生成物を無害化する。このとき、無害化安定手段7が、水の状態(副生成物の生成の状況)に応じて第2の電源部9を制御し、副生成物を効率的かつ安定的に無害化する。
【0052】
こうして、OHラジカルによって殺菌がなされ、OHラジカルから生成された副生成物が取り除かれた水が、主配管4から吐水部3へと供給される。すなわち、より飲用に適した水をより安定して得ることができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態では、水供給部2から吐水部3に至る主配管(流路)4の途中にプラズマ発生装置(放電部)5を設けたため、当該プラズマ発生装置(放電部)5を放電させることで生成されるOHラジカル(生成物)により主配管(流路)4を流れる水を殺菌することができる。さらに、プラズマ発生装置(放電部)5よりも下流側の主配管(流路)4に無害化手段6を配設することで、OHラジカルによって生成された副生成物(放電により生成された副生成物)を無害化することができる。
【0054】
そのため、より飲用に適した水を得ることができる。
【0055】
また、水供給部2から吐水部3に至る主配管(流路)4に無害化安定手段(制御手段)7を設けたため、副生成物の生成の状況やプラズマ発生装置(放電部)5の放電状況等に応じて無害化手段6を安定して動作させることができるようになる。すなわち、副生成物を効率的かつ安定的に無害化することができる。
【0056】
このように、本実施形態によれば、より飲用に適した水をより安定して提供することができるようになる。
【0057】
(第2実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置1Aは、基本的に上記第1実施形態の水処理装置1とほぼ同様の構成をしている。
【0058】
すなわち、水処理装置1Aは、水供給部2から吐水部3に至る主配管(流路)4を有しており、この主配管4の途中にはプラズマ発生装置(放電部)5が設けられている。また、プラズマ発生装置(放電部)5よりも下流側の主配管4には、放電により生成された副生成物を無害化するための無害化手段6が設けられている。そして、主配管4の適宜箇所には、プラズマ発生装置(放電部)5および無害化手段6を安定して動作するように制御する無害化安定手段(制御手段)7が設けられている。
【0059】
ここで、本実施形態の水処理装置1Aが上記第1実施形態の水処理装置1と主に異なる点は、図5のブロック図に示すように、無害化安定手段7を、センサ71と制御装置72とで構成したことにある。そして、センサ71で水の状態を検知した信号を制御装置72に入力し、この制御装置72で処理した制御信号を第1の電源部8および第2の電源部9に出力するようにしている。
【0060】
この制御装置72は、プログラムやデータを予め記憶したマイクロプロセッサを内蔵している。そして、センサ71の検出値に応じて、記憶したプログラムやデータに基づいて第2の電源部9を制御するようになっている。
【0061】
また、本実施形態では、図6に示すように、センサ71をプラズマ発生装置(放電部)5よりも上流側の主配管4に配設している。そして、このセンサ71の検出信号を制御装置72に送るようにしている。この制御装置72は、センサ71の検出信号に基づいて第2の電源部9を制御し、無害化手段6の電極61、62に印加する電圧を、副生成物を無害化するのに最適な値となるように制御する。なお、検知する水の状態によっては無害化安定手段7を無害化手段6の下流側に配置することも可能である。また、本実施形態にあっても、無害化手段6の電極61、62を複数対配置することができる。
【0062】
次に、本実施形態にかかる水処理装置1Aの制御を図7に基づき説明する。
【0063】
まず、電源をONして水処理装置1Aの稼働を開始すると(ステップS10)、センサ71の検出値を制御装置72で読み込む(ステップS11)。これと同時にプラズマ発生装置5の第1の電源部8および無害化手段6の第2の電源部9を駆動する(ステップS12)。これにより、上記第1実施形態と同様に、プラズマ発生装置5によってOHラジカルを生成して主配管4内の水を殺菌しつつ、無害化手段6によって副生成物を無害化する。
【0064】
次に、センサ71が主配管4内を流れる水の状態を検知した結果に基づいて、無害化手段6の第2の電源部9の制御が必要かどうかを判断する(ステップS13)。制御が必要でない場合(NO)はステップS12にリターンし、制御が必要な場合(YES)は第2の電源部9の出力電圧を制御する(ステップS14)。
【0065】
その後、水処理装置1の電源がOFFされたかどうかを判断し(ステップS15)、継続して水処理装置1を稼働する場合はステップS12にリターンし、稼働を終了する場合は一連の制御を停止する(ステップS16)。
【0066】
かかる制御を行うことで、本実施形態にかかる水処理装置1Aは、以下のように動作することとなる。
【0067】
まず、水供給部2の原水を主配管4に導入し、第1の電源部8からプラズマ発生装置5の電極52、53に電圧を印加し、空気ポンプ11から空気ダクト10に空気を圧送する。これにより、細孔5Hを通過して主配管4内に流入する空気をプラズマ化してOHラジカルを生成し、このOHラジカルによって主配管4内の水を強力な殺菌作用で殺菌する。
【0068】
また、同時に第2の電源部9から無害化手段6の一対の電極61、62に電圧を印加し、プラズマにより生成した副生成物を無害化する。このとき、無害化安定手段7が、水の状態(副生成物の生成の状況)に応じて第2の電源部9を制御し、副生成物を効率的かつ安定的に無害化する。特に、本実施形態では、無害化安定手段7をセンサ71と制御装置72とで構成しており、制御装置72には、予め制御しようとするプログラムやデータを記憶している。そのため、第2の電源部9を迅速に制御することができるようになる。
【0069】
こうして、OHラジカルによって殺菌がなされ、OHラジカルから生成された副生成物が取り除かれた水が、主配管4から吐水部3へと供給され、より飲用に適した水をより安定して得ることができるようになる。
【0070】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、無害化安定手段(制御手段)7をセンサ71と制御装置72とで構成している。そして、この制御装置72には、予め制御しようとするプログラムやデータを記憶している。そのため、第2の電源部9を迅速に制御することができ、不必要な過剰制御を抑制することができる。これにより、プラズマ発生装置5および無害化手段6の制御精度をより高めることができ、水の殺菌性能および副生成物の無害化性能をより一層向上させることができる。また、無駄なエネルギーの消費を抑制することができるようになるという利点もある。
【0072】
(第3実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置1Bは、基本的に上記第2実施形態の水処理装置1Aとほぼ同様の構成をしており、水供給部2から吐水部3に至る主配管(流路)4を有しており、この主配管4の途中にはプラズマ発生装置(放電部)5が設けられている。また、プラズマ発生装置(放電部)5よりも下流側の主配管4には、放電により生成された副生成物を無害化するための無害化手段6が設けられている。そして、主配管4の適宜箇所には、プラズマ発生装置(放電部)5および無害化手段6を安定して動作するように制御する無害化安定手段(制御手段)7が設けられている。
【0073】
ここで、本実施形態の水処理装置1Bが上記第2実施形態の水処理装置1Aと主に異なる点は、図8のブロック図に示すように、無害化安定手段7を、水の状態の1つである成分であるpHを検知するpHセンサ(成分センサ)71Aと制御装置72Aとで構成したことにある。
【0074】
また、本実施形態では、pHセンサ(成分センサ)71Aを無害化手段6よりも下流側の主配管4に配設している。
【0075】
なお、本実施形態では、成分センサ71Aとして水の酸性度を測定するpHセンサを用いているが、このpHセンサ71Aを用いることは、副生成物の生成量の増大に伴ってpH値が低下(酸性化)することに基づいている。
【0076】
そして、制御装置72Aには、上記第2実施形態の制御装置72と同様にプログラムやデータを予め記憶したマイクロプロセッサが内蔵されている。そして、pHセンサ71Aの検出値に応じて、記憶したプログラムやデータに基づいて第2の電源部9を制御するようになっている。
【0077】
また、本実施形態では、図9に示すように、pHセンサ71Aを無害化手段6よりも下流側の主配管4に配設している。そして、このpHセンサ71Aの検出信号を制御装置72Aに送るようにしている。この制御装置72Aは、上記第2実施形態と同様に、pHセンサ71Aの検出信号に基づいて第2の電源部9を制御し、無害化手段6の電極61、62に印加する電圧を、副生成物を無害化するのに最適な値となるように制御するものである。なお、本実施形態にあっても、無害化手段6の電極61、62を複数対配置することができる。
【0078】
次に、本実施形態にかかる水処理装置1Bの制御を図10に基づき説明する。
【0079】
まず、電源をONして水処理装置1Bの稼働を開始すると(ステップS20)、pHセンサ71Aの検出値を制御装置72Aで読み込む(ステップS21)。これと同時にプラズマ発生装置(放電部)5の第1の電源部8および無害化手段6の第2の電源部9を駆動する(ステップS22)。これにより、上記第1および第2実施形態と同様に、プラズマ発生装置5によってOHラジカルを生成して主配管4内の水を殺菌しつつ、無害化手段6によって副生成物を無害化する。
【0080】
次に、pHセンサ71Aが主配管4内を流れる水の状態を検知した結果に基づいて、制御装置72AはpHが規定値(例えば、水質基準であるpH値5.8)以下かどうかを判断する(ステップS23)。そして、pHが規定値以下、つまり酸性度が強いと判断した場合(YES)は、第2の電源部9の出力電圧を上げる方向に制御する(ステップS24)。これにより、無害化手段6の電極61、62に印加する電圧が高められ、アルカリ水の生成量が増大する。
【0081】
次に、制御装置72AによってpHが規定値の範囲内(ほぼ中性)にあるかどうかを判断し(ステップS25)、範囲内にあると判断した場合(YES)は、第2の電源部9を停止する(ステップS26)。これにより、無害化手段6の電極61、62には電圧が印加されない状態となり、無害化手段6でのアルカリ水の生成が停止される。
【0082】
その後、水処理装置1Bの電源がOFFされたかどうかを判断し(ステップS27)、継続して水処理装置1Bを稼働する場合はステップS22にリターンし、稼働を終了する場合は一連の制御を停止する(ステップS28)。
【0083】
なお、ステップS23でpHが規定値を超える場合、すなわち、酸性度が弱い場合には、ステップS25に進んでpHが規定値の範囲内(ほぼ中性)にあるかどうかを判断する。また、ステップS25でpHが規定値の範囲外にあると判断した場合、すなわち、酸性度が強いか若しくはアルカリ度が強いと判断した場合には、ステップS27に進んで電源の状態を判断する。
【0084】
かかる制御を行うことで、本実施形態にかかる水処理装置1Bは、以下のように動作することとなる。
【0085】
まず、水供給部2の原水を主配管4に導入し、第1の電源部8からプラズマ発生装置5の電極52、53に電圧を印加し、空気ポンプ11から空気ダクト10に空気を圧送する。これにより、細孔5Hを通過して主配管4内に流入する空気をプラズマ化してOHラジカルを生成し、このOHラジカルによって主配管4内の水を強力な殺菌作用で殺菌する。
【0086】
また、同時に第2の電源部9から無害化手段6の一対の電極61、62に電圧を印加し、プラズマにより生成した副生成物を無害化する。このとき、無害化安定手段7が、水の状態(副生成物の生成の状況)に応じて第2の電源部9を制御し、副生成物を効率的かつ安定的に無害化する。特に、本実施形態では無害化安定手段7をpHセンサ71Aと制御装置72Aとで構成している。そして、pH値によって無害化手段6を制御するようにしている。すなわち、pH値に応じて無害化手段6の制御量を多くしたり少なくしたりして、余分なエネルギーを使用することなく副生成物を効率良く無害化できるようにしている。そして、pH値が酸性の水質基準から外れる場合は、無害化手段6の第2の電源部9を制御し、pHが中性の場合はその電源部9の出力を停止する等、pHに応じて最適な制御を行うようにしている。また、上記第2実施形態と同様、制御装置72Aには予め制御しようとするプログラムやデータが記憶されており、第2の電源部9を迅速に制御することができるようになっている。
【0087】
以上の本実施形態によっても、上記第2実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、無害化安定手段7をpHセンサ71Aと制御装置72Aとで構成している。これにより、無害化手段6の制御を水のpH値に応じて制御することができるため、より精度のよい制御が可能となり、より水質の安定した水を得ることができる。
【0089】
なお、本実施形態では、水の成分を検知するセンサとしてpHセンサ71Aを用いたが、これ以外にも各種センサを用いることができる。例えば、硝酸センサ、過酸化水素センサ、酸化還元電位(ORP)センサ、溶存水素センサ、溶存酸素センサ等を用いることができ、これらを用いても本実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
【0090】
(第4実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置1Cは、基本的に上記第2実施形態の水処理装置1Aとほぼ同様の構成をしており、水供給部2から吐水部3に至る主配管(流路)4を有しており、この主配管4の途中にはプラズマ発生装置(放電部)5が設けられている。また、プラズマ発生装置(放電部)5よりも下流側の主配管4には、放電により生成された副生成物を無害化するための無害化手段6が設けられている。そして、主配管4の適宜箇所には、プラズマ発生装置(放電部)5および無害化手段6を安定して動作するように制御する無害化安定手段(制御手段)7が設けられている。
【0091】
ここで、本実施形態の水処理装置1Cが上記第2実施形態の水処理装置1Aと主に異なる点は、図11のブロック図に示すように、無害化安定手段7を、水の状態の1つである通過流量を検知する流量センサ71Bと制御装置72Bとで構成したことにある。また、本実施形態では、流量センサ71Bを放電部(プラズマ発生装置)5よりも上流側の主配管4に配設している。なお、流量センサ71Bを用いることは、主配管4を流れる水量によって副生成物の量を予測できることに基づいている。また、本実施形態では、流量センサ71Bとして、水の移動によって回転する羽根車を有し、その羽根車の回転数によって流量を測定できる羽根車式のものを用いている。
【0092】
本実施形態においても、制御装置72Bには、上記第2実施形態の制御装置72と同様、プログラムやデータが予め記憶されており、流量センサ71Bの検出値に応じて、記憶したプログラムやデータに基づいて第2の電源部9を制御するようになっている。
【0093】
また、本実施形態では、図12に示すように、流量センサ71Bをプラズマ発生装置5よりも上流側の主配管4に配設している。そして、この流量センサ71Bの検出信号を制御装置72Bに送るようにしている。この制御装置72Bは、上記第2実施形態と同様に、流量センサ71Bの検出信号に基づいて第2の電源部9を制御し、無害化手段6の電極61、62に印加する電圧を、副生成物を無害化するのに最適な値となるように制御するものである。なお、本実施形態にあっても、無害化手段6の電極61、62を複数対配置することができる。
【0094】
次に、本実施形態にかかる水処理装置1Cの制御を図13に基づき説明する。
【0095】
まず、電源をONして水処理装置1Cの稼働を開始すると(ステップS30)、流量センサ71Bの検出値を制御装置72Bで読み込む(ステップS31)。これと同時にプラズマ発生装置(放電部)5の第1の電源部8および無害化手段6の第2の電源部9を駆動する(ステップS32)。これにより、上記第1〜第3実施形態と同様に、プラズマ発生装置5によってOHラジカルを生成して主配管4内の水を殺菌しつつ、無害化手段6によって副生成物を無害化する。
【0096】
次に、流量センサ71Bが主配管4内を流れる流量を検知した結果に基づいて、制御装置72Bで流量が規定値以下であるかどうかを判断する(ステップS33)。そして、流量が規定値以下、すなわち、少ない水量のため副生成物の濃度が高いと判断した場合(YES)は、第2の電源部9の出力電圧を上げる方向に制御する(ステップS34)。これにより、無害化手段6の電極61、62に印加する電圧が高められ、アルカリ水の生成量が増大して中性化が促進される。
【0097】
次に、制御装置72Bによって流量が規定値以上であるかどうかを判断し(ステップS35)、規定値以上であると判断した場合(YES)は、十分な水量によって副生成物が薄められていることになる。このため、第2の電源部9の出力電圧を下げる(ステップS36)。これにより、無害化手段6によるアルカリ水の生成量を減少して節電することができる。
【0098】
その後、水処理装置1Cの電源がOFFされたかどうかを判断し(ステップS37)、継続して水処理装置1Cを稼働する場合はステップS32にリターンし、稼働を終了する場合は一連の制御を停止する(ステップS38)。
【0099】
なお、ステップS33で流量が規定値を超える場合(NO)、すなわち、水量が十分に有る場合はステップS35に進む。また、ステップS35で流量が規定値を超えない場合、すなわち、副生成物の濃度が高い傾向にあると判断した場合は、ステップS37に進んで電源の状態を判断する。
【0100】
かかる制御を行うことで、本実施形態にかかる水処理装置1Cは、以下のように動作することとなる。
【0101】
まず、水供給部2の原水を主配管4に導入し、第1の電源部8からプラズマ発生装置5の電極52、53に電圧を印加し、空気ポンプ11から空気ダクト10に空気を圧送する。これにより、細孔5Hを通過して主配管4内に流入する空気をプラズマ化してOHラジカルを生成し、このOHラジカルによって主配管4内の水を強力な殺菌作用で殺菌する。
【0102】
また、同時に第2の電源部9から無害化手段6の一対の電極61、62に電圧を印加し、プラズマにより生成した副生成物を無害化する。このとき、無害化安定手段7が、水の状態(副生成物の生成の状況)に応じて第2の電源部9を制御し、副生成物を効率的かつ安定的に無害化する。特に、本実施形態では無害化安定手段7を流量センサ71Bと制御装置72Bとで構成している。そして、流量値によって無害化手段6を制御するようにしている。すなわち、流量値に応じて無害化手段6の制御量を多くしたり少なくしたりして、余分なエネルギーを使用することなく副生成物を効率良く無害化できるようにしている。なお、制御装置72Bには予め制御しようとするプログラムやデータが記憶されており、第2の電源部9を迅速に制御できるようになっている。
【0103】
以上の本実施形態によっても、上記第2実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0104】
また、本実施形態によれば、無害化安定手段7を流量センサ71Bと制御装置72Bとで構成している。そして、無害化手段6を制御する流量センサ71Bが羽根車式となっている。そのため、流量センサ71Bを簡単な構造としてコストダウンを図ることができるようになる。
【0105】
ところで、本実施形態において、無害化手段6の電極61、62を複数対設けた場合には、対をなす電極61、62の数を制御することにより副生成物の無害化を制御するようにすることが可能である。例えば、流量が多くて羽根車の回転数が高い場合は使用する電極61、62の数を多くし、逆に、流量が少なくて羽根車の回転数が低い場合は使用する電極61、62の数を減らすようにすることが可能である。
【0106】
なお、本実施形態では、流量センサ71Bとして羽根車式のものを例示したが、これ以外の流量センサ、例えば、超音波ドップラー式、差圧式、熱線式、電磁式、コリオリ式、その他の流量センサを用いることも可能である。
【0107】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0108】
例えば、主配管(流路)やプラズマ発生装置(放電部)、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)を適宜に変更することができる。
【符号の説明】
【0109】
1、1A、1B、1C 水処理装置
2 水供給部
3 吐水部
4 主配管(流路)
5 プラズマ発生装置(放電部)
6 無害化手段
7 無害化安定手段(制御手段)
71 センサ
71A pHセンサ(成分センサ)
71B 流量センサ
72、72A、72B 制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水供給部と、吐水部と、前記水供給部から前記吐水部に至る流路に設けられる放電部と、を備える水処理装置であって、
前記流路の前記放電部よりも下流側に配設され、放電により生成される副生成物を無害化するための無害化手段と、
前記流路に配設され、前記無害化手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記流路を流れる水の状態を検知するセンサと、当該センサの検出信号に応じて前記無害化手段を制御する制御装置と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項1】
水供給部と、吐水部と、前記水供給部から前記吐水部に至る流路に設けられる放電部と、を備える水処理装置であって、
前記流路の前記放電部よりも下流側に配設され、放電により生成される副生成物を無害化するための無害化手段と、
前記流路に配設され、前記無害化手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記流路を流れる水の状態を検知するセンサと、当該センサの検出信号に応じて前記無害化手段を制御する制御装置と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−217917(P2012−217917A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85932(P2011−85932)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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