説明

水分検知方法及びその応用システム

【課題】
小型、簡易、安価に実現できる水分検知方法の提案、および前記水分検知方法を応用しての排尿・排便の自動検知ができるおむつの実現。
【解決手段】
UHF帯あるいはマイクロ波帯のRFタグを用い、RFタグ周辺の水分による電波エネルギーの吸収の影響あるいは回路正常動作への影響によるRFタグ−リーダ・ライタ間送受信の異常発生をもってリーダライタ−RFタグ間の水分の存在を検知する。このRFタグをおむつ内に設置し、おむつ内の排尿・排便有無の検知を行う。
UHF帯、マイクロ波帯の電波使用による人体への影響の恐れがある場合は、水分を透過する電波遮蔽材で構成された電磁波防護シートを人体−RFタグ間に挿入して防護する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーダ・ライタおよびRFタグから構成されるRFID(Radio Frequency Idenntification、無線タグ)システムを用いた水分検知方法、およびそれを応用したおむつへの排尿・排便の検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来RFIDシステムを用いた液体検知方法としては、共振回路を形成するコイルとコンデンサ、および液体を吸収して縮小する部材からなるスイッチ、から液体センサを構成し、前記液体によって収縮するスイッチによって前記共振回路を短絡あるいは短絡解除することによって共振回路中の共振信号の有無を検出して検知する方法(特許文献1、特許文献2)、
あるいは液体の存在によってコンデンサの誘電率が変化しその誘電率変化による容量値変化が前記コンデンサを含むLC共振回路の共振周波数を変化させることを検知する方法(特許文献3)が提案されている。
【特許文献1】特開2001−289775
【特許文献2】特開2001−325865
【特許文献3】特開2004−085277
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、今後一層の微小化、低価格化が期待されるUHF帯、マイクロ波帯のRFタグを使用して、従来提案されている方式の大型、高価、等の問題を解決した水分検知方法を提供することによって、おむつに簡易に装着して、おむつ使用者である被介護者に排尿・排便検知システム使用の違和感を与えず、また介護者にも被介護者におむつを着用させる際の手数を省くとともに排尿・排便の始末をする際に、場合によってはRFタグを使用済みおむつとともに使い捨ても出来る、取り扱いの容易なシステムを提供しようとするものである。
【0004】
RFタグには受動型RFタグと能動型RFタグがある。受動型RFタグとは、リーダ・ライタから送られてきた電波の電力を利用して自らの有する情報をリーダ・ライタに送信する機能を備えたRFタグを言う。これに対して能動型RFタグとは自ら電源(電池)を有し、その電力をもって自らの有する情報を送信する機能を備えたRFタグである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
UHF帯、マイクロ波帯の電波は水分によって影響される。即ちその伝播路中に水分があるとそれによって電波が吸収され伝播損失が発生する。本発明はこの原理をUHF帯、マイクロ波帯のRFID(Radio Frequency Idenntification、無線タグ)システムに応用して水分検知あるいは排尿・排便検知を行おうとするものである。
【0006】
先ずRFタグとして受動型RFタグを用いた場合について述べる。受動型RFタグは、リーダ・ライタへの情報送信に際してリーダ・ライタからの送信電波から生成される電力を使うため能動型RFタグに比べて水分の影響を受けやすいこと、電池不要であるため取り扱いが容易であること、小型あるいは微小であるためおむつ使用者に装着時の違和感が少ないこと、システムとしてのコストが低く抑えられること、が能動型RFタグに比べての長所である。
【0007】
以下に本発明の基本原理を図1を用いて説明する。
UHF帯、マイクロ波帯等水分による影響を受けやすい電波を使ったRFIDシステムをリーダ・ライタ110および受動型RFタグ120で構成する。
【0008】
前記RFIDシステムにおいて、リーダ・ライタ110と受動型RFタグ120間の電波伝搬路中に水分がない場合には、リーダ・ライタ110から発せられた電波は大きく減衰することなく受動型RFタグ120に到達・受信され、そこで整流部122によって制御部123およびメモリ部124を駆動する電力を生成し、その電力をもって制御部123はメモリ部124に記憶されている情報を抽出してアンテナ121から前記情報で変調された電波をリーダ・ライタ110に送信する。受動型RFタグ120から送られた電波を受信したリーダ・ライタ110の制御部111では受信電波中から前記情報を抽出する。
【0009】
一方電波伝搬路中に水分があると、前記リーダ・ライタ110から受動型RFタグ120への送信電波は減衰し、そのため前記受動型RFタグ120中の整流部122における制御部123およびメモリ部124駆動のための電力生成が不十分になり、前記メモリ部124中からの情報の抽出あるいは抽出された情報での変調および前記変調された電波のアンテナ121からリーダ・ライタ110に向けての送信も正常に行なわれなくなる。また受動型RFタグ120中のアンテナ121からリーダ・ライタ110中のアンテナ112への送信電波も水分によって減衰することから最終的には受動型RFタグ120からリーダ・ライタ110への送受信は正常でなくなる。この異常状態を検出することによって水分の存在を検知する。
【0010】
前記水分の影響を出来るだけ明確に検知出来るようにするためには、リーダ・ライタ110の送信電力、アンテナ112特性、リーダ・ライタ110と受動型RFタグ120間距離等の相互の位置関係、受動型RFタグ120の設置場所・設置方法、アンテナ121特性等について水分検知用としての最適化が必要となる。
【0011】
また本検知方法をおむつに適用する場合においては、受動型RFタグ120は人体に接近して設置されることからリーダ・ライタ110から送信される電波の人体への影響も心配される。人体への影響を少なくするためにリーダ・ライタ110からの送信電力、送信時間幅、人体のリーダ・ライタ110からの距離、等を人体への影響が少なくなるように最小限に設定する必要がある。
【0012】
またリーダ・ライタ110−受動型RFタグ120間の距離、位置関係を正しく設定する方法として以下の方策が考えられる。
即ち、おむつ外側に受動型RFタグ120装着位置(厳密に言えば受動型RFタグ120のアンテナ121中心位置、以後X点という)および前記X点を中心とした直径Dの円を描いておく。ただし前記直径Dは D=αL の関係を有しているものとする。ここでL:リーダ・ライタ110−受動型RFタグ120間最適距離、α:比例定数 である。
【0013】
一方リーダ・ライタ110には、リーダ・ライタ110のアンテナ112位置に電波送信の向きと一致させてリーダ・ライタ110からの距離に比例したビーム直径(比例定数:α)を有する光ビームを照射するための光源を設ける。
介護者はリーダ・ライタ110からの前記光ビーム中心がおむつ外側に描かれたX点に、光ビーム直径がおむつ外側に描かれた直径Dの円と概略一致するように、リーダ・ライタ110の位置、角度等を設定することによってリーダ・ライタ110−受動型RFタグ120間の距離、位置関係を最適に設定することができる。
【0014】
リーダ・ライタ110−受動型RFタグ120間距離、位置関係を適切に設定してもまだリーダ・ライタ110からの送信電波が人体に影響する恐れがある場合には、おむつの人体接触側と受動型RFタグ120間に電波吸収あるいは電波遮蔽能力を持った部材をシート状にして挿入する、あるいはおむつそのものの一部に前記部材を織り込む等して使用する方法も考えられる。この場合前記部材は電波吸収あるいは電波遮蔽能力に加えて水分の透過性を有している必要がある。
【0015】
次にRFタグとして能動型RFタグを用いた場合について述べる。
この場合はRFタグの電源として電池を用いることから、受動型RFタグに比べて構成が大きくなる、取り扱いが多少面倒になること等の欠点はあるが、RFタグ動作のための電源をリーダ・ライタからの送信電波から生成する必要がなくなり、したがってリーダ・ライタからRFタグへの送信電波電力は微小で済むことになり、前記電磁波照射による人体への障害の恐れが大きく減少するという長所がある。
【0016】
上記説明においては、受動型RFタグ、能動型RFタグとも防水性を有し水分の存在の有無によるリーダ・ライタ−RFタグ間の電波伝搬特性の変化を利用して水分検知を行うものであるが、RFタグに特に防水特性は持たせず水分の存在によってRFタグ内回路が動作不良になることを利用しての水分検知も可能である。但しこの場合のRFタグは使い捨てとなる。
【0017】
RFタグを使い捨てにする場合、あるいは繰り返しおむつに装着して使用する場合においては、他端につまみやすいように付け札の付いた取り外し用の紐をRFタグに結び付けておき、おむつ使用後それをひっぱることによってRFタグをおむつから取り外し、RFタグが使い捨ての場合は所定の廃棄方法で廃棄する、再利用する場合は洗浄後他の新しいおむつに装着して再利用する方法が有効である。
【0018】
またリーダ・ライタはその使用形態によって固定設置式あるいは介護者が手に持って使うハンディ式のいずれにも構成は可能である。
【発明の効果】
【0019】
以上述べた如く、受動型RFタグ使用の場合は小型で安価で且つ電池不要の水分検知方法が実現可能になり、たとえば被介護者用おむつの排尿・排便検知に最適な部位に本発明による受動型RFタグを装着して、あるいはおむつと一体化して装着して、尿・便の検知を行うことによって、被介護者は受動型RFタグの存在に気が付かない状態でおむつを使用でき、また介護者にとっては排尿・排便の検知が容易となりさらに受動型RFタグは場合によっては使い捨ても可能であることから、被介護者・介護者双方の利便性・快適性の向上を図ることができる。
【0020】
また、能動型RFタグ使用の場合も受動型RFタグ使用の場合に比べて電池使用の分RFタグの全体寸法は大きくなりまたその取り扱いも多少面倒となるが、リーダ・ライタからの送信電波電力は微小となるため人体への電磁波照射による障害の恐れを大幅に減少することができる点が大きな長所となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
リーダ・ライタからの電磁波照射量が人体に対して問題にならないくらい軽微にすることが可能であれば受動型RFタグを使用する方式が、その小型、安価、取り扱いの容易さ等から望ましい。しかし電波照射量が無視できない場合には電池を用いなければならない欠点はあっても能動型RFタグ方式を採用すべきである。
いずれの方式においても水分検知の確度を向上させるためおむつ内の異なる部位に複数個のRFタグを装着しそのうちの1〜2個のRFタグとリーダ・ライタ間の送受信異常をもって排尿・排便を検知する方法が有効である。
【実施例1】
【0022】
以下に本発明の受動型RFタグを使用した場合の実施例を示す。図1は本発明の水分検知方法をおむつに適用した場合の排尿・排便検知システムの構成例、図2は図1に示す排尿・排便検知システム構成例におけるリーダ・ライタ110の動作手順例である。
【0023】
図1において、
110は、後述の制御部111、アンテナ112、および音声/表示出力部113、から構成されるリーダ・ライタ、
120は、後述のアンテナ121、整流部122、制御部123、およびメモリ部124、から構成される受動型RFタグ、
であり、リーダ・ライタ110とおむつ内の排尿・排便の検知に最適な部位に装着された受動型RFタグ120から水分検知の応用システムである排尿・排便検知システムを構成する。
【0024】
111は、介護者のリーダ・ライタリスタート操作でアンテナ112から受動型RFタグ120に向けて電波を送信するとともに、受動型RFタグ120からの応答電波をアンテナ112で受信しその受信電波から受動型RFタグ120からの応答情報を検出する制御部であり、応答情報が正常に検出された場合は受動型RFタグ120周辺に水分はないと、また応答情報が正常に検出されない場合は受動型RFタグ120周辺に水分が存在する、即ち排尿あるいは排便がなされたとしてその旨を音声あるいは表示出力を行うよう音声/表示出力部113に指示する、
【0025】
112は前記制御部111の制御によって受動型RFタグ120に向けて所定の電波を送信するとともに、受動型RFタグ120からの応答電波を受信するアンテナ、
【0026】
113は、制御部111によって受動型RFタグ120からの応答電波中の情報が解析された結果、情報内容が正常ではなかった場合受動型RFタグ120がおかれた環境に水分があるとして制御部111の指示によって音声あるいは表示出力をもって介護者にそれを通報する音声/表示出力部、
である。
【0027】
121は、リーダ・ライタ110から送信される電波を受信するとともに、制御部123の制御によってメモリ部124に記憶されているID情報等を含む応答電波をリーダ・ライタ110に向けて送信するアンテナ、
122は、アンテナ121で受信した電波を整流して制御部123およびメモリ部124の電源電力とする整流部、
【0028】
123は、リーダ・ライタ110からの送信電波を受信してのち、メモリ部124に記憶されている情報、たとえば受動型RFタグ120のID情報等、を読み出してアンテナ121からリーダ・ライタ110に送信するための制御を行う制御部、
である。
【0029】
次に、リーダ・ライタ110の動作手順を図2を用いて説明する。
図2において、
201は、リーダ・ライタ110の動作手順開始点、
202は、音声/表示出力部113での出力停止あるいは制御部111の状態をスタート状態に戻す等のリーダ・ライタ110全体の動作開始準備を行うリーダ・ライタリスタート処理、
【0030】
203は、リーダ・ライタ110から受動型RFタグ120にむけて一定時間Tおきに電波を送信するための制御部111中に設けられているタイマ(図示せず)のリスタート処理、
204は、リーダ・ライタ110が受動型RFタグ120向けての電波送信のタイミングに達したか否かの判定を行う一定時間T経過判定処理であり、一定時間Tに達していない場合は達するまで待つ。
【0031】
205は、一定時間T経過判定処理204の結果一定時間T経過と判定した場合は、リーダ・ライタ110から受動型RFタグ120に向けて電波送信を行うとともに、その電波送信に応じての受動型RFタグ120側からの応答電波を受信する送信/受信処理、
【0032】
206は、受動型RFタグ120からの応答電波中の情報が正常であったか否か、即ち受動型RFタグ120からの電波が正常に受信されたか否か、受信された場合その情報が正しい内容であったか否か、を判定しおむつ内の受動型RFタグ120設置環境に一定レベル以上の水分が存在するか否か即ち排尿・排便が行われたか否かを判定する水分検知判定処理であり、受信が正常に行われた即ち受動型RFタグ120のおかれたおむつ内には一定レベル以上の水分はない即ち排尿・排便は行われていないと判定した場合は処理203に戻る。
【0033】
207は、処理206において受動型RFタグ120からの送信を正常に受信できない即ち受動型RFタグ120の置かれたおむつ内に一定レベル以上の水分が存在する、即ちおむつに排尿あるいは排便がなされた、と判定した場合には、制御部111から音声/表示出力部113に音声あるいは表示によってその旨の出力を行うよう指示する、おむつ要交換出力処理、
【0034】
208は、介護者が音声/表示出力部113の出力から「おむつ要交換」を検知し、リーダ・ライタ110に対してその旨の操作即ち出力リセット操作を行ったか否かを検知する出力リセット判定処理であり、出力リセット操作を行ったと判定した場合は音声/表示出力部113の出力は停止する。
【0035】
209は、介護者が処理208で「おむつ要交換」を検知して出力リセット操作をした後おむつ交換作業を終了させ、その後リーダ・ライタ110にその旨の操作すなわちリーダ・ライタリスタート操作を行ったか否かを判定するリーダ・ライタリスタート判定処理、である。
【0036】
以上の構成・動作により、UHF帯あるいはマイクロ波体の電波を利用したRFIDシステムは水分検知システムとして、あるいはその応用システムとしてのおむつ用排尿・排便検知システムとしての応用が可能となる。
上記においてはリーダ・ライタからの電波送信は一定時間毎に自動的に行うとしたが、介護者が任意に手動操作で行う方法もある。
【0037】
以上、本発明の受動型RFタグを用いた場合について述べたが、能動型RFタグを用いた場合においてもリーダ・ライタからの送信電波電力が微小で済むこと、RFタグからの自らのID情報等を含む電波送信は自ら所有する電池の電力を用いて行われること、以外は本発明の基本的考え方は受動型RFタグを用いた場合に同一であるので説明は省略する。
【実施例2】
【0038】
本実施例は受動型RFタグを用いた場合のおむつ内の電磁波防護シートに関するものである。
図3にリーダ・ライタ、受動型RFタグ、おむつ、およびおむつ内の電磁波防護シートの概念的配置例を示す。
110,120は各々図1と同様のリーダ・ライタ、受動型RFタグである。
300は301、302、303、304の各シートから構成されるおむつであり、図3はおむつの断面部の一部を示したものである。301はおむつ300の人体側シート、302は電磁波防護機能を有するシート、303は受動型RFタグを装着したシート、304はおむつ300の外側シートである。
【0039】
実施例1においては被介護者のおむつ周辺部位はリーダ・ライタ110からの電波照射にさらされる。この照射が人体に影響を及ぼさないようリーダ・ライタ110の出力電力、アンテナ指向性、出力時間幅、リーダ・ライタ設置位置等には最大限の配慮をもってシステムの設計および使用されるわけであるが、それらの配慮に加えておむつ300の人体に接する側のシート301と受動型RFタグ120の装着されたシート303の間に電磁波防護用シート302を挿入する。
【0040】
ここで電磁波防護用シート302はおむつと別に準備されていておむつ使用時におむつ内に挿入されるものであっても、またおむつの構成要素としてはじめからおむつと一体に構成されているものであっても良い。
またおむつの構成を変えて、受動型RFタグ装着シートを電磁波防護材で構成し受動型RFタグと電磁波防護シートと一体化してもてもよい。但し受動型タグと電磁波防護シートの一体化に際しては電磁波防護シートがリーダ・ライタ−受動型RFタグ間の電波送受を妨げないよう配慮する必要がある。
【0041】
上記の如く電磁波防護シートを用いた場合、リーダ・ライタ110からの電波は受動型RFタグ120には照射されるが人体は電磁波防護シート302で防護される。但し上記電磁波防護シートは電波は吸収あるいは遮蔽するとともに水分は透過できるものでなければならない。
【実施例3】
【0042】
本実施例はリーダ・ライタ110とおむつ内に装着された受動型RFタグの最適位置関係設定方法およびそのためのツールに関するものである。
図4を用いて説明する。ここで本実施例においては受動型RFタグはおむつ内に1個用いられている場合について説明しているが複数個用いる場合も複数個の受動型RFタグ装着位置の中心を前記X点と想定して1個の場合と同様な考え方で実施できる。
図4において、110はリーダ・ライタ、410はリーダ・ライタ110と被介護者に装着されたおむつ300との最適位置関係設定のための設定ツールであり位置関係設定を行うときは図4に示す如く光ビーム412発生のための光源411がリーダ・ライタ110のアンテナ112位置に来るようにリーダ・ライタ110にかぶせて使用する。
【0043】
前記光源411による光ビーム412をおむつ300に照射し、おむつ300外側に描かれた受動的RFタグ120位置(X点)を示す印311に光ビーム412の中心が来るように、また光ビーム412の外周がおむつ300外側に描かれた直径D(但し D=αL、α:比例定数)の円312に概略一致するようにリーダ・ライタ110の向きおよびおむつ300からの距離を設定する。この設定が済んだ後はリーダ・ライタ110と受動型RFタグ120装着位置間距離はLとなる。この後はリーダ・ライタ110−おむつ300の位置関係をそのまま固定して設定ツール410をリーダ・ライタ110からはずすことによってリーダ・ライタ110から送信される電波はおむつ300内の受動型RFタグ120に最適条件で照射されることになる。
【0044】
またリーダ・ライタ110をおむつ300即ち受動型RFタグ120装着位置からの距離Lに設置した場合のおむつ300におけるリーダ・ライタ110の送信電波ビーム直径は前記おむつ300に書かれた円312の直径Dに概略一致することが望ましい。なぜなら、このように設定することによりリーダ・ライタ110送信電波ビームのおむつ300装着している部位以外の人体への照射を最小限に抑えることができるからである。
【実施例4】
【0045】
また、実施例1においては音声/表示部113出力は受動型RFタグ120側からの応答電波の受信不能あるいは異常受信時においてのみ出力されたが、これに加えて被介護者が排尿・排便を自覚した場合あるいはおむつの具合を介護者に再確認して欲しい等の意向を介護者に知らしめるために被介護者自らが手動で出力することができるよう被介護者用スイッチをリーダ・ライタ110に接続することも実用上有効である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明によるRFIDシステムを用いた排尿・排便検知システム構成例
【図2】図1に示すRFIDシステムを用いた排尿・排便検知システム構成例中のリーダ・ライタの動作手順例
【図3】本発明によるリーダ・ライタ、受動型RFタグ、おむつ、およびおむつ内の電磁波防護シートの概念的配置例
【図4】本発明によるリーダ・ライタと受動型RFタグの最適位置関係設定方法およびそのための設定ツール説明図
【符号の説明】
【0047】
図1、図3、図4において、
110:リーダ・ライタ
111:制御部
112:アンテナ
113:音声/表示出力部
120:受動型RFタグ
121:アンテナ
122:整流部
123:制御部
124:メモリ部
【0048】
図2において、
201:動作手順開始点
202:リーダ・ライタリスタート処理
203:タイマリスタート処理
204:一定時間T経過判定処理
205:送信/受信処理
206:水分検知判定処理
207:おむつ要交換出力処理
208:出力リセット判定処理
209:リーダ・ライタリスタート判定処理
【0049】
図3において、
300:おむつ
301:おむつの人体側シート
302:おむつ内に挿入された電磁波防護シート
303:受動型RFタグを装着したシート
304:おむつの外側シート
【0050】
図4において、
311:おむつ内の受動型RFタグ装着位置を表す表示
312:リーダ・ライタ−受動型RFタグ位置関係最適化用表示
410:リーダ・ライタ−受動型RFタグ位置関係最適化用設定ツール
411:光源位置
412:光ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーダ・ライタとRFタグから構成されたRFIDシステムにおいて、リーダ・ライタとRFタグ間で正常に情報の送受ができるか否かによってリーダ・ライタとRFタグ間の電波伝搬路中あるいはRFタグ周辺に一定レベル以上の水分の存在の無/有を検知することを特徴とする水分検知方法。
【請求項2】
おむつ外に設置されたリーダ・ライタとおむつ内に設置されたRFタグで構成され、リーダ・ライタとRFタグ間で正常に情報の送受ができるか否かによっておむつ内への排尿・排便の無/有を検知することを特徴とする請求項1記載の水分検知方法応用システム。
【請求項3】
おむつ内にはRFタグが複数個設置され、それら複数個のRFタグのうちいずれかがリーダ・ライタとの間で送受信が正常に行われない場合、おむつ内に排尿・排便があるとすることを特徴とする請求項2記載の水分検知方法応用システム。
【請求項4】
おむつ内に装着されたRFタグをおむつ使用後取り外しやすくするため、RFタグに、あるいは複数のRFタグが装着されたシートに、一端が固定され他端には付け札がついた紐を有することを特徴とする請求項2または3記載の水分検知方法応用システム。
【請求項5】
おむつの人体接触側シートとRFタグの間に、水分を透過する電波吸収材あるいは電波遮蔽材で構成された電磁波防護シートが用いられていること、あるいはおむつ装着に際して前記部材から構成された電磁波防護シートを追加挿入して使用すること、を特徴とする請求項2または請求項3記載の水分検知方法応用システム。
【請求項6】
RFタグは、水分を透過する電波吸収材あるいは電波遮蔽材で構成された電磁波防護シートと一体化して構成されていることを特徴とする請求項5記載の水分検知方法応用システム。
【請求項7】
おむつ外側にRFタグ装着位置および前記RFタグ装着位置を中心とした直径D(ただし、D=αL 、L:リーダ・ライタ−受動型RFタグ間最適距離、α:比例定数)の円を表示し、またリーダ・ライタにはリーダ・ライタのアンテナ位置に電波送信の向きと一致させてリーダ・ライタからの距離に比例したビーム直径(比例定数:α)を有する光ビームを照射する光源を設け、前記光源から光ビームをおむつに向けて照射し、前記光ビーム中心が前記おむつ外側に表示されたRFタグ装着位置に、また光ビーム外周が前記おむつ外側に表示された直径Dの円と概略一致するように、リーダ・ライタの位置、向き等を設定することによってリーダ・ライタ−RFタグ間の距離、位置関係を最適に設定することを特徴とする請求項2または請求項3記載の水分検知方法応用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−85817(P2007−85817A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−273284(P2005−273284)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(301001199)
【Fターム(参考)】