説明

水分測定装置

【課題】本発明は、穀粒の水分値を測定する水分測定装置において、一対の電極ロールの間隔を変更させても、歯飛びが生じることなく、電極ロールへの回転の伝達をスムーズに行うことを課題とする。
【解決手段】回転により穀粒を圧砕して、圧砕物を介した電流の抵抗値を検出する一対の電極ロールと、一方の電極ロールを軸支する取付板11aと、取付板11aに軸支され、他方の電極ロールに回転を伝達する回転軸であるスクリュー軸15aと、スクリュー軸15aに回動可能に取付られ、他方の電極ロールのロール軸2aを軸支するロール軸支持部材70とを備えることにより、ロール軸支持部材70が回動して一対の電極ロールの間隔を変更しても、スクリュー軸15aとロール軸支持部材70に軸支されている電極ロールのロール軸2aとの距離が変わらない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物の水分値を測定する水分測定装置に関し、特に一対の電極ロールで穀粒圧砕しながら穀物の水分値を測定する水分測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水分測定装置として、通電性の金属材からなる一対の電極ロールを用い、一対の電極ロール間で穀粒を圧砕しながら一対の電極ロール間に流れる電流の抵抗値を検出することで、穀粒の水分値を測定する装置が知られている。このような水分測定装置で、大豆等の比較的粒径の大きい穀粒の水分値を測定する際には、穀粒の圧砕に大きな力が必要になる。従って、電極ロールを駆動するモータとして、負荷が大きく容量の大きいモータが必要になるが、石やボルト等の異物が電極ロール間に入ってきた場合には、水分測定装置本体が破損してしまう。
【0003】
そこで、板バネやコイルバネ等で電極ロールの逃げ機構を設け、石やボルト等の異物による破損を防止している。また、電極ロールの移動機構を設け、一対の電極ロール間の間隔を変更可能な水分測定装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。一対の電極ロール間の間隔を変更可能に構成することは、穀物の種類に応じて最適な位置に一対の電極ロールをセットすることが可能となると共に、石やボルト等の硬い異物によって一対の電極ロールの破損を防止する逃げ機構としても効果的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−334486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術のように、電極ロールの逃げ機構や、電極ロールの移動機構によって、一対の電極ロール間の間隔を広げることで、石やボルト等の硬い異物による電極ロールの破損を防止する場合には、移動した電極ロールのロール軸と、回転を伝達する回転軸との距離も変わってしまう。従って、歯車で回転を伝達している場合には、歯飛びによって動力を確実に伝達することができないという問題点があった。また、歯飛びを防止するためには、余計な歯車を設ける必要があり、回転伝達機構が複雑になり、コスト高になってしまう。
【0006】
このようなことから、一対の電極ロールの間隔を変更させても、余計な歯車を設けることなく歯飛びを防止するという課題がある。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、一対の電極ロールの間隔を変更させても、歯飛びが生じることなく、電極ロールへの動力の伝達を確実に行うことができる水分測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の水分測定装置は、穀物の水分値を測定する水分測定装置であって、回転により穀粒を圧砕して、当該圧砕物を介した電流の抵抗値を検出する一対の電極ロールと、一方の前記電極ロールを軸支する取付板と、該取付板に軸支され、他方の電極ロールに回転を伝達する回転軸と、前記回転軸に回動可能に取付られ、他方の前記電極ロールを軸支するロール軸支持部材とを具備し、前記回転軸に設けられた伝達歯車と、他方の前記電極ロールのロール軸に設けられた伝達歯車とが噛み合っていることを特徴とする。
さらに請求項2記載の水分測定装置は、前記ロール軸支持部材を他方の前記電極ロールが一方の前記電極ロールに近づく方向に付勢する付勢手段と、該付勢手段によって付勢された前記ロール軸支持部材に当接して一対の前記電極ロールの間隔を設定する位置決め部材とを具備することを特徴とすることを特徴とする。
さらに請求項3記載の水分測定装置は、前記回転軸は、一対の前記電極ロールに穀粒を供給する供給スクリューのスクリュー軸であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水分測定装置は、回転により穀粒を圧砕して、圧砕物を介した電流の抵抗値を検出する一対の電極ロールと、一方の電極ロールを軸支する取付板と、取付板に軸支され、他方の電極ロールに回転を伝達する回転軸と、回転軸に回動可能に取付られ、他方の電極ロールを軸支するロール軸支持部材とを備えることにより、ロール軸支持部材が回動して一対の電極ロールの間隔を変更しても、回転軸とロール軸支持部材に軸支されている電極ロールとの距離が変わらないため、電極ロールに回転を伝達する伝達機構にずれが生じることなく、電極ロールへの回転の伝達をスムーズに行うことができるという効果を奏する。
【0010】
さらに、本発明の水分測定装置は、ロール軸支持部材を他方の電極ロールが一方の電極ロールに近づく方向に付勢する付勢手段と、付勢手段によって付勢されたロール軸支持部材に当接して一対の電極ロールの間隔を設定する位置決め部材とを備えることにより、一対の電極ロールの間隔を簡単な構成で設定できる。また、圧縮コイルバネ82による付勢力を調整することで、電極ロール1、2間に働く弾性力を簡単に調整することができ、穀粒に合わせた圧砕を行うことができる。
【0011】
さらに、本発明の水分測定装置は、一対の前記電極ロールに穀粒を供給する供給スクリューのスクリュー軸を回転軸として用いることにより、余計な回転軸を設ける必要がないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る水分測定装置の実施の形態が用いられる穀物乾燥機の構成を示す正面断面図である。
【図2】本発明に係る水分測定装置の実施の形態の構成を示す図であり、(a)はカバー可動部を閉じた状態での全体構成を示す斜視図、(b)はその拡大正面図である。
【図3】図2に示す水分測定装置が穀物乾燥機の昇降機に取付られた状態を示す断面図である。
【図4】図3に示す電極ロール、リンク機構、押圧部材及びこぼれ防止板の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る水分測定装置の実施の形態の裏面側の構成を示す斜視図である。
【図6】図5に示す各回転軸に取付られた歯車の構成を示す斜視図である。
【図7】図5に示す各回転軸に取付られた歯車の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
本実施の形態の水分測定装置10は、図1に示すような穀物乾燥機20に取付られて用いられる。穀物乾燥機20は、米、麦、大豆等の穀物Kの乾燥に用いることができる穀物乾燥機であり、直方体箱状を呈した機体20A内の上部に穀槽21を備え、下部には一対の排風路隔壁22を幅方向中央へ向けて漏斗状に下方傾斜させて備えている。排風路隔壁22の内側には、送風路23aを構成する風胴板23と、送風路23aの幅方向の両側で導風路24aを構成する一対の導風路隔壁24とが設けられている。
【0015】
風胴板23、導風路隔壁24と排風路隔壁22との間は、穀槽21内に貯留された穀物Kが流下する穀物流下路25となっている。送風路23a及び導風路24aには、張込運転、循環運転、又は排出運転の際に常温の外気が、乾燥運転時には図示しないバーナで生成された熱風が流入され、排風路隔壁22、風胴板23、及び導風路隔壁24に形成された開口を通して穀物流下路25内に送風される。
【0016】
排風路隔壁22の下方では、一対の張込流し板26が機体20Aの幅方向中央へ向けて漏斗状に下方傾斜して延びている。穀物流下路25の下端は、シャッタドラム27が回転することで循環、乾燥、排出の各運転時に開閉され、穀物流下路25内の穀物Kが下スクリューコンベヤ29内に排出される。
【0017】
穀物Kは、機体20Aの幅方向の側面で開放した張込ホッパ28から、張込運転時に機体20Aに張り込まれる。張込ホッパ28から張り込まれた穀物Kは、張込流し板26の下端間から下スクリューコンベヤ29の下搬送樋29a内に流下すると、下スクリュー29bで下搬送樋29a内を機体20Aの外に立設された昇降機30の下部に搬送される。
【0018】
昇降機30内では、一定間隔でバケット30aを取付られた無端ベルト30bが張込、循環、乾燥、排出の各運転時に回転をしており、昇降機30の下部に搬送された穀物Kをバケット30aで掬って上端まで持上搬送した後、上スクリューコンベヤ31の上搬送樋31aに流下させる。
【0019】
穀物Kは、上搬送樋31a内を上スクリュー31bで搬送されると穀物乾燥機20の前後方向のほぼ中央にある均分機32の上面に流下され、回転する均分機32の遠心力で穀槽21内へ均等に放散分配される。排出運転時には、上搬送樋31aの一端が排出管(不図示)に連通され、上搬送樋31aに流下した穀物Kが、排出管を経て穀物乾燥機20から排出される。
【0020】
昇降機30の側面板には、本実施の形態の水分測定装置10が取付られている。水分測定装置10は、穀物Kの水分値を測定するためのものであり、図2及び図3に示すように、外周面に搬送溝を備えた一対の供給スクリュー14、15を、取付枠体11内に左右に並べて備えている。水分測定装置10は、昇降機30の側面板に設けられた一対のレール(不図示)に取付枠体11の左右の縁部を差し込まれ、両レール間に位置する側面板に開口した開口部30cを覆うようにして、取付枠体11が側面板に図示しない螺子で固定されている。
【0021】
図3に示すように、水分測定装置10は、供給スクリュー14、15の先端を昇降機30に形成された開口部30cに向け、供給スクリュー14、15の先端が上方向に搬送されるバケット30aの近傍に位置するように、昇降機30に取付られている。これにより、上方向に搬送中にバケット30aから落下した穀物Kが両供給スクリュー14、15間の搬送路16に溜まり、溜まった穀物Kは、装置本体12(図2参照)に収納された駆動装置によって供給スクリュー14、15が回転されるに伴い、搬送路16を後方に移動される。
【0022】
図2及び図3に示すように、取付枠体11の内面には、仕切カバー13が取付られ、取付枠体11と仕切カバー13とで囲まれた空間が穀物Kの水分値を測定する測定領域17となっている。供給スクリュー14、15は、仕切カバー13に形成された貫通孔13aを通して仕切カバー13の前方に延び、供給スクリュー14、15の搬送溝に収容された穀物Kは、供給スクリュー14、15が回転するのに伴い、搬送路16を後方に移動され、貫通孔13aを通って測定領域17内に移動される。
【0023】
仕切カバー13には、図2及び図3を参照すると、搬送路16を移動する穀物Kの搬送量を規制する上部仕切りカバー18が設けられ、搬送路16と上部仕切りカバー18との間の開口部が測定領域17への入口部19となる。入口部19は、測定対象である穀物Kの粒径よりも僅かに大きい通過径に設定され、穀粒1粒が通過する大きさに形成されている。これにより、搬送路16を移動する穀物Kは、入口部19によって搬送量が規制され、穀粒が1粒ずつ測定領域17内に移動される。
【0024】
測定領域17内には、図3及び図4を参照すると、穀粒を圧砕する一対の電極ロール1、2が設けられている。一対の電極ロール1、2は、一対の供給スクリュー14、15の下方に配置され、搬送路16を移動して測定領域17内に移動された穀粒が、1粒ずつ一対の電極ロール1、2間に供給される。
【0025】
一対の電極ロール1、2は、通電性の金属材からなり、図示しない測定回路の一対の電極として機能する。また、一対の電極ロール1、2は、周面が所定のロール間隔で水平方向に対向するように配置され、それぞれの回転軸であるロール軸1a、2aは、開口部30cが形成されている昇降機30の側面板と平行な取付枠体11の面(以下、取付板11aと称す)に軸支されている。電極ロール1、2間の距離は、測定対象の穀粒の粒径よりも十分に小さく設定されており、電極ロール1、2の対向する上部周面で形成される解放端側(前方)から見て略V字状の領域(図4に矢印A示す領域)が、1粒ずつ供給される穀粒の受け部として機能する。
【0026】
一対の電極ロール1、2は、図4に矢印で示す方向、すなわち電極ロール1、2の対向する周面が下方向に移動する方向に回転駆動されており、電極ロール1の回転数は、電極ロール2の回転数よりも多く、例えば2倍になるように設定されている。また、電極ロール1、2のそれぞれの周面には、図示しない微細な凹凸形状が形成されており、供給スクリュー14、15から1粒ずつ供給された穀粒は、電極ロール1、2の相互間の周速差により擦り潰すように圧砕され、その圧砕物を介して一対の電極ロール1、2間に流れる電流の抵抗値を検出することで、穀粒の水分値が測定される。
【0027】
電極ロール1の周面には、対向する周面が反対方向に移動する回転ブラシ3が当接しており、周面に付着した圧砕物を取り除く構成になっている。また、電極ロール2の周面には、固定型のブラシ付きスクレーパー4が当接しており、周面に付着した圧砕物を取り除く構成になっている。なお、電極ロール1に対して、ブラシ付きスクレーパー4よりも除去能力の大きい回転ブラシ3を用いたが、除去能力に問題がなければ、電極ロール1に対してブラシ付きスクレーパー4を用いても良く、またコスト的に問題がなければ、電極ロール2に対して回転ブラシ3を用いても良い。
【0028】
また、測定領域17内には、図3及び図4を参照すると、穀粒を一対の電極ロール1、2間に向けて押圧する押圧部材5と、穀粒が一対の電極ロール1、2間からこぼれるのを防止するこぼれ防止板6と、電極ロール1の回転を用いて押圧部材5及びこぼれ防止板6を移動させるリンク機構が設けられている。
【0029】
押圧部材5を移動させるリンク機構は、電極ロール1の解放端のロール軸1aから偏心した位置に立設されたクランクピン51と、電極ロール2のロール軸2aを中心に回転するクランク52と、クランクピン51とクランク52の解放端側とを連結する連結リンク53とからなる。これにより、電極ロール1の1回転に対して、クランク52が左右に揺動運動される。
【0030】
電極ロール1、2間の距離は、測定対象の穀粒に応じて調整でき、例えば、測定対象の穀粒が大豆である場合には、最小で0.3mm程度に設定され、圧砕時に粒径・硬さにより適宜拡幅して設定できるように構成すると良い。
【0031】
電極ロール2は、図4に矢印Bで示す方向、すなわち電極ロール1から離間する方向に移動可能に構成されている。この構成によって、電極ロール1、2間に、夾雑物として石やボルト等の硬い異物や、想定している堅さ以上に硬化した穀粒が一対の進入した場合に、一対の電極ロール1、2の破損を防止できるようになっている。
【0032】
図5から図7は、本実施の形態の水分測定装置の裏面側、すなわち取付板11aにおける測定領域17との接面とは反対面側の構成を示しており、図5には、各回転軸から回転の伝達手段である歯車を取り除いた状態が、図6及び図7には、各回転軸に取付られた歯車の構成がそれぞれ示されている。図5を参照すると、電極ロール1の回転軸であるロール軸1aは、軸受1bを介して取付板11aに軸支されていると共に、電極ロール2の回転軸であるロール軸2aは、スクリュー軸15aに軸受71を介して回動可能に取付られているロール軸支持部材70に、軸受2bを介して軸支されている。なお、取付板11aには、ロール軸2aが貫通する開口が形成されており、当該開口は、ロール軸支持部材70の回動に伴ってロール軸2aが移動しても干渉しないような大きさで形成されている。また、供給スクリュー14、15のそれぞれの回転軸であるスクリュー軸14a、15aは、取付板11aにそれぞれ軸受14b、15bを介して軸支されている。さらに、回転ブラシ3の回転軸であるブラシ軸3aは、軸受3bを介して取付板11aに軸支されている。
【0033】
取付板11aには、ロール軸支持部材70がロール軸1aに近づく方向への回動を規制する位置決め部材81が設けられている。ロール軸支持部材70には、位置決め部材81に当接する当接片72が延出して形成され、当接片72が圧縮コイルバネ82によって位置決め部材81に向けて付勢されている。圧縮コイルバネ82によって当接片72が位置決め部材81に向けて付勢され、当接片72が位置決め部材81に当接している状態で、電極ロール1、2間の距離が、測定対象の粒径よりも十分に小さい所定のロール間隔(例えば0.3mm程度)に位置決めされる。
【0034】
図6及び図7を参照すると、スクリュー軸14aには、伝達歯車61、62からなる2段歯車が設けられている。なお、図7には、スクリュー軸14aから伝達歯車61を取り外した状態が示されている。スクリュー軸14aの開放端側に設けられている伝達歯車61は、図示しないモータの回転軸に設けられた駆動歯車60と噛み合っており、スクリュー軸14aにモータから回転が伝達される。また、伝達歯車62は、スクリュー軸15aに設けられている伝達歯車63と、ブラシ軸3aに設けられている伝達歯車64とに噛み合っており、モータからスクリュー軸14aを介してスクリュー軸15aとブラシ軸3aとに回転が伝達される。従って、供給スクリュー14、15は、互いに反対方向に回転され、穀粒は、解放端側から根元側に搬送される。
【0035】
図6を参照すると、ロール軸1aには、スクリュー軸14aに設けられている2段歯車の伝達歯車61と噛み合っている伝達歯車65が設けられている。これにより、ロール軸1aには、モータからスクリュー軸14aを介して回転が伝達される。また、図7を参照すると、ロール軸2aには、スクリュー軸15aに設けられている伝達歯車63と噛み合っている伝達歯車66が設けられている。また、先に説明したようにスクリュー軸15aは、モータからスクリュー軸14aを介して回転が伝達される。これにより、ロール軸1aには、モータからスクリュー軸14aとスクリュー軸15aとを介して回転が伝達される。すなわち、スクリュー軸15aは、電極ロール2に回転を伝達する回転軸として機能する。
【0036】
ここで、夾雑物として石やボルト等の硬い異物や、想定している堅さ以上に硬化した穀粒が一対の電極ロール1、2間に進入してしまった場合には、電極ロール2が図4に示す矢印Bで示す方向、すなわち電極ロール1から離間する方向に移動され、一対の電極ロール1、2の破損が防止される。すなわち、夾雑物が圧砕されることなく一対の電極ロール1、2間に進入してしまった場合には、一対の電極ロール1、2に対して離間する方向に力が作用するため、ロール軸支持部材70が圧縮コイルバネ82の付勢力に抗して図5に示す矢印Bで示す方向に回動され、電極ロール2が電極ロール1から離間する方向に移動されることになる。なお、どの程度の力が作用すると電極ロール2が電極ロール1から離間するかは、圧縮コイルバネ82の付勢力を調整することで設定できる。
【0037】
スクリュー軸15aは、ロール軸支持部材70の回動軸であると共に、ロール軸2aは、ロール軸支持部材70に軸支されているため、ロール軸支持部材70が回動してもスクリュー軸15aとロール軸2aとの距離が変化することがない。従って、スクリュー軸15aに取付られた伝達歯車63と、ロール軸2aに取付られた伝達歯車66とを噛み合わせて、スクリュー軸15aを電極ロール2に回転を伝達する回転軸として機能させることで、ロール軸支持部材70が回動してもスムーズに回転が伝達され、歯飛びが生じることがない。
【0038】
なお、本実施の形態では、位置決め部材81を固定的に設けたが、位置決め部材81の位置を左右、すなわち電極ロール1、2が離接する方向に移動可能に構成すると、一対の電極ロール1、2の間隔を調整することが可能になり、好適である。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態によれば、回転により穀粒を圧砕して、圧砕物を介した電流の抵抗値を検出する一対の電極ロール1、2と、電極ロール1を軸支する取付板11aと、取付板11aに軸支され、電極ロール2に回転を伝達する回転軸であるスクリュー軸15aと、スクリュー軸15aに回動可能に取付られ、電極ロール2を軸支するロール軸支持部材70とを備えることにより、ロール軸支持部材70が回動して一対の電極ロール1、2の間隔を変更しても、スクリュー軸15aとロール軸支持部材70に軸支されている電極ロール2との距離が変わらないため、電極ロール2に回転を伝達する伝達機構にずれが生じることなく、電極ロール2への回転の伝達をスムーズに行うことができるという効果を奏する。
【0040】
さらに、本実施の形態によれば、電極ロール2が電極ロール1に近づく方向に、ロール軸支持部材70を付勢する圧縮コイルバネ82と、圧縮コイルバネ82によって付勢されたロール軸支持部材70に当接して一対の電極ロール1、2の間隔を設定する位置決め部材81とを備えることにより、一対の電極ロール1、2の間隔を簡単な構成で設定できる。また、圧縮コイルバネ82による付勢力を調整することで、電極ロール1、2間に働く弾性力を簡単に調整することができ、穀粒に合わせた圧砕を行うことができる。
【0041】
さらに、本実施の形態によれば、一対の電極ロール1、2に穀粒を供給する供給スクリュー15のスクリュー軸15aを回転軸として用いることにより、余計な回転軸を設ける必要がないという効果を奏する。
【0042】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0043】
1、2 電極ロール
1a、2a ロール軸
1b、2b 軸受
3 回転ブラシ
3a ブラシ軸
3b 軸受
4 ブラシ付きスクレーパー
5 押圧部材
6 こぼれ防止板
10 水分測定装置
11 取付枠体
11a 取付板
12 装置本体
13 仕切カバー
13a 貫通孔
14、15 供給スクリュー
14a、15a スクリュー軸
14b、15b 軸受
16 搬送路
17 測定領域
18 上部仕切りカバー
19 入口部
20 穀物乾燥機
20A 機体
21 穀槽
22 排風路隔壁
23 風胴板
23a 送風路
24 導風路隔壁
24a 導風路
25 穀物流下路
26 張込流し板
27 シャッタドラム
28 張込ホッパ
29 下スクリューコンベヤ
29a 下搬送樋
29b 下スクリュー
30 昇降機
30a バケット
30b 無端ベルト
30c 開口部
31 上スクリューコンベヤ
31a 上搬送樋
31b 上スクリュー
32 均分機
51 クランクピン
52 クランク
53 連結リンク
60 駆動歯車
61、62、63、64、65、66 伝達歯車
70 ロール軸支持部材
71 軸受
72 当接片
81 位置決め部材
82 圧縮コイルバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物の水分値を測定する水分測定装置であって、
回転により穀粒を圧砕して、当該圧砕物を介した電流の抵抗値を検出する一対の電極ロールと、
一方の前記電極ロールを軸支する取付板と、
該取付板に軸支され、他方の電極ロールに回転を伝達する回転軸と、
前記回転軸に回動可能に取付られ、他方の前記電極ロールを軸支するロール軸支持部材とを具備し、
前記回転軸に設けられた伝達歯車と、他方の前記電極ロールのロール軸に設けられた伝達歯車とが噛み合っていることを特徴とする水分測定装置。
【請求項2】
前記ロール軸支持部材を他方の前記電極ロールが一方の前記電極ロールに近づく方向に付勢する付勢手段と、
該付勢手段によって付勢された前記ロール軸支持部材に当接して一対の前記電極ロールの間隔を設定する位置決め部材とを具備することを特徴とする請求項1記載の水分測定装置。
【請求項3】
前記回転軸は、一対の前記電極ロールに穀粒を供給する供給スクリューのスクリュー軸であることを特徴とする請求項1又は2記載の水分測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−185085(P2012−185085A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49334(P2011−49334)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000144898)株式会社山本製作所 (144)
【Fターム(参考)】