説明

水切り乾燥システム

【課題】洗浄後のワークを粗水切りした上で本水切り溶液中に浸漬することで、該溶液中に含まれるアルコール系溶剤の濃度低下を遅延化させて水切り作業を効率的に行える水切り乾燥システムの提供。
【解決手段】洗浄後のワークを浸漬し、超音波振動を与えて付着水分を剥離して粗水切りする粗水切り溶液17をフッ素系溶剤単体として貯留する粗水切り装置12と、フッ素系溶剤とアルコール系溶剤とからなる本水切り溶液24を、これに含まれるフッ素系溶剤の沸点未達の温度で加温して貯留させ、粗水切り後のワークを再浸漬させて超音波振動を与えて残存水分をアルコール系溶剤に溶解させて最終水切りする本水切り装置22と、貯留させた本水切り溶液33をこれに含まれるフッ素系溶剤の沸点温度にまで加温してなるベーパー層35に最終水切り後のワークを配置してベーパー乾燥させるベーパー乾燥装置32とで少なくとも構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄済みのワークから付着水分を最終除去する際に用いられる本水切り溶液を長期にわたり安定的に継続使用できるようにした水切り乾燥システムに関する技術である。
【背景技術】
【0002】
電子部品、金属部品、精密機械部品およびガラスやレンズを含む光学部品等の各種精密部品(本明細書では、「ワーク」という。)は、無機質および/または有機質の種々の汚染物質が付着しており、該汚染物質を洗浄・除去した上で製品として出荷する必要がある。
【0003】
この場合、従前においては、洗浄を要するワークに付着している汚染物質を純水あるいは界面活性剤を含有させた水系洗浄剤などを用いて洗浄して洗浄済みのワークとした上で、該ワークをフロン系溶剤を貯留させた水切り槽内に浸漬して付着水分を水切りする処理が行われていた時期もあった。
【0004】
しかし、今日においては、オゾンホール問題や環境問題などに対する関心の高まりや、安全性確保の観点から、フロン系溶剤の使用が厳しく制限されるに至っている。
【0005】
このような背景もあって、洗浄済みのワークに付着している水分を水切りするためには、下記特許文献1,2に開示されているように、フロン系溶剤の代替溶剤である引火性のないフッ素系溶剤が主に用いられるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−290901号公報
【0007】
【特許文献2】特開2006−15214号公報
【0008】
これら先行技術文献のうち、上記特許文献1には、イソプロピルアルコールをフッ素系溶剤のひとつであるハイドロフルオロエーテル(以下、本明細書では、「HFE」と略称する。)と混合して得られる引火性のない混合液が貯留された洗浄槽と、該洗浄槽の液面上に形成されたHFEの蒸気槽とを備え、水分の付着した洗浄済みワークを水切り乾燥する水切り乾燥装置が開示されている。
【0009】
そして、上記特許文献1の水切り乾燥装置によれば、イソプロピルアルコールとHFEとの混合液中に水分の付着した洗浄済みのワークが浸漬されることで、混合液をHFEと水分を取り込んだイソプロピルアルコールとに分離することができる。
【0010】
つまり、水分の付着した洗浄済みのワークからは、イソプロピルアルコールの物性により水分が除去され、また、水分を取り込んだイソプロピルアルコールは、比重により前記混合液上に浮上させ、該浮上液をオバフローを介して分離槽に流下させることができることになる。
【0011】
一方、上記特許文献2には、フッ素系溶剤とアルコール系溶剤との混合溶液である水切り溶液を蓄える水切り槽と、該水切り槽からあふれ出た水切り溶液を蓄えつつ、該水切り溶液から水分濃度の高い分離液を浮上分離させるための分離槽と、パーベーパレーション膜を用いて分離液から水分を除去して濃縮させたアルコール系溶剤を回収するアルコール回収装置とを備える水切り乾燥装置が開示されている。
【0012】
そして、上記特許文献2の水切り乾燥装置によれば、水切り溶液を蓄える水切り槽内に洗浄済みのワークを浸漬することで、付着水分が水切り溶液との比重差で浮力を受けて剥離されて水切り槽の液面に浮上し、該水切り槽からあふれ出た水切り溶液とともに分離槽へと流下させることができる。
【0013】
該分離槽内に流下した剥離水分と水切り溶液とは、比重差により分離されて液面に水分濃度の高い分離液が浮上分離され、該分離液はアルコール回収装置へと送られ、パーベーパレーション膜を介して水分が除去され、アルコール濃度を高めて濃縮させたアルコール系溶剤として回収して水切り槽に戻すことができる。
【0014】
つまり、上記特許文献2の水切り乾燥装置によれば、水切り溶液の排水中からアルコール系溶剤を効率よく回収することで、水切り溶液中に含まれるアルコール系溶剤の消費を抑制し、かつ、優れた水切り性を維持できることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、上記特許文献1,2に開示されているいずれの水切り乾燥装置を用いても、順次浸漬される洗浄済みのワークからの水切り処理を繰り返し行う場合には、付着水分が水切り溶液中のアルコール系溶剤に溶解して白濁し、該アルコール系溶剤の水切り性能を劣化させて使用することができなくなるという不都合があった。
【0016】
また、水切り溶液の水切り性能を劣化させないようにするためには、含有成分であるアルコール系溶剤の濃度を常にチェックしなければならず、そのための濃度チェックや濃度低下した際の新たなアルコール系溶剤の追加供給が必要になる結果、水切り作業を煩雑化する不具合もあった。
【0017】
本発明は、上記従来技術にみられた課題に鑑み、フッ素系溶剤とアルコール系溶剤との混合液である本水切り溶液中に洗浄後のワークを直に浸漬せずに、粗水切りした上で浸漬させることで、本水切り溶液中に含まれるアルコール系溶剤の濃度低下を遅延化させて水切り作業を効率的に行うことができる水切り乾燥システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記目的を達成すべくなされたものであり、洗浄が必要なワークを水系洗浄液で洗浄した際の水分を付着させた洗浄後の前記ワークを浸漬し、少なくとも超音波振動を与えて付着水分を前記ワークの表面から剥離して粗水切りする粗水切り溶液をフッ素系溶剤単体として貯留する粗水切り装置と、フッ素系溶剤とアルコール系溶剤とからなる本水切り溶液をこれに含まれる前記フッ素系溶剤の沸点未達の温度で加温しながら貯留させ、前記粗水切り装置から取り出された粗水切り後の前記ワークを再浸漬させて超音波振動を与えることで依然と付着している残存水分を前記アルコール系溶剤に溶解させて最終水切りする本水切り装置と、貯留させた本水切り溶液をこれに含まれるフッ素系溶剤の沸点温度にまで加温して発生させたベーパー層に前記本水切り装置から取り出された最終水切り後の前記ワークを配置してベーパー乾燥させるベーパー乾燥装置とを少なくとも含むことを最も主要な特徴とする。
【0019】
この場合、前記粗水切り装置は、貯留させた前記粗水切り溶液中に浸漬させた洗浄済みの前記ワークに対し噴流パイプから粗水切り溶液を噴出させて付着水分を剥離する噴流槽と、貯留されている粗水切り溶液中に前記噴流槽から取り出された前記ワークを再浸漬して超音波振動を与えてさらに付着水分を微小化して剥離する超音波振動槽との2段で形成するのが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、粗水切り装置内には、洗浄後のワークを粗水切りする粗水切り溶液が、多量の水分が持ち込まれても分離することができるフッ素系溶剤単体として貯留されているので、該粗水切り溶液中に浸漬して超音波振動を与えることで、該ワークに付着している水分のうちの90%程度を粗水切りすることができる。また、本水切り装置内では、付着水分の90%程度が粗水切りされたワークが本水切り溶液中に再浸漬され、かつ、超音波振動を与えることで、ワークの残存水分を確実に最終水切りすることができる。
【0021】
つまり、本発明によれば、洗浄後のワークを直ちに本水切りすることなく、付着水分量の90%程度を粗水切りする前処理を経てからワークの本水切りを行うことになるので、本水切り装置内の本水切り溶液中には、付着水分量が当初の1/10程度までに減じられたワークが持ち込まれることになる。
【0022】
したがって、本発明によれば、本水切り溶液に含まれるアルコール系溶剤には、洗浄後のワークを直ちに本水切りする際の付着水分量の1/10程度にまで減じられた水分のみを溶解すれば足り、それだけアルコール系溶剤の濃度低下も遅くすることができるので、本水切り溶液を長持ちさせて効率よく、かつ、それだけメンテナンス作業も少なくしてワークの水切り作業を円滑に遂行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るシステム構成例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示す本発明に係るシステム構成例からも明らかなように、水切り乾燥システム11は、洗浄が必要なワーク(図示せず)を水系洗浄液で洗浄した際の水分を付着させた洗浄後の前記ワークを浸漬し、少なくとも超音波振動を与えて付着水分を前記ワークの表面から剥離して粗水切りする粗水切り溶液17をフッ素系溶剤単体として貯留する粗水切り装置12と、フッ素系溶剤とアルコール系溶剤とからなる本水切り溶液24をこれに含まれる前記フッ素系溶剤の沸点未達の温度で加温しながら貯留させ、粗水切り装置12から取り出された粗水切り後の前記ワークを再浸漬させて超音波振動を与えることで依然と付着している残存水分を前記アルコール系溶剤に溶解させて最終水切りする本水切り装置22と、貯留させた本水切り溶液33をこれに含まれる前記フッ素系溶剤の沸点温度にまで加温して発生させたベーパー層35に本水切り装置22から取り出された最終水切り後の前記ワークを配置してベーパー乾燥させるベーパー乾燥装置32とを少なくとも含んで、その全体が構成されている。
【0025】
この場合、粗水切り装置12は、貯留させた粗水切り溶液17中に浸漬させた洗浄済みの前記ワークに対し、噴流パイプ14からも粗水切り溶液17を噴出させて付着水分を剥離する噴流槽13と、貯留されている粗水切り溶液17中に噴流槽13から取り出された前記ワークを再浸漬して超音波振動を与えてさらに付着水分を細かく剥離する超音波振動槽15との2段で形成されている。この場合、粗水切り溶液17は、多量の水分が持ち込まれても分離することができるフッ素系溶剤(例えばHFEからなる旭硝子株式会社製の「アサヒクリンAE3000」)が単体として用いられているので、該粗水切り溶液17中に浸漬して超音波振動を与えることで、ワークに付着している水分のうちの90%程度を粗水切りすることができることになる。
【0026】
このうち、噴流槽13は、適宜の容積を備えて粗水切り溶液17をフッ素系溶剤単体として常温で貯留することができるようにして形成されており、その内側面には浸漬された洗浄済みのワークに向けてフッ素系溶剤単体である粗水切り溶液17を噴出させて付着水分を剥離するための噴流パイプ14が配設されている。
【0027】
また、超音波振動槽15は、適宜の容積を備えて粗水切り溶液17をフッ素系溶剤単体として常温で貯留することができるようにして形成されており、その内底面には浸漬された洗浄済みのワークに超音波振動を与えて付着水分を剥離するための超音波振動子16が配設されている。
【0028】
さらに、噴流槽13と超音波振動槽15とは、該超音波振動槽15側からオーバーフローした水分混じりの粗水切り溶液17を案内板18を介して噴流槽13側に流入させることができるようにして設置されている。
【0029】
しかも、噴流槽13側からオーバーフローした水分混じりの粗水切り溶液17は、冷却コイル20を備える第1水分分離槽19へと導入して水分が分離除去され、フッ素系溶剤単体からなる粗水切り溶液17として再生させた上で、噴流槽13と超音波振動槽15とに還流させて再使用することができるように配管されている。なお、図中の符号
【0030】
一方、本水切り装置22は、適宜の容積を備えてフッ素系溶剤とアルコール系溶剤とからなる本水切り溶液(例えばHFEに沸点78.23℃のエタノールを混合した旭硝子株式会社製の「アサヒクリンAE3100E」)24を、これに含まれるフッ素系溶剤の沸点未達の温度である例えば最低でも40℃にヒータ25を介して加温しながら貯留することができるようにして形成されており、その内底面には浸漬された粗水切り後のワークに超音波振動を与えて付着水分を剥離するための超音波振動子23が配設されている。
【0031】
また、ベーパー乾燥装置32は、適宜の容積を備えてフッ素系溶剤とアルコール系溶剤とからなる本水切り溶液(例えばHFEにエタノールを混合した旭硝子株式会社製の「アサヒクリンAE3100E」)33を、これに含まれるフッ素系溶剤の沸点の温度(本水切り溶液33が例えば旭硝子株式会社製の「アサヒクリンAE3100E」であれば53.7℃)にヒータ36を介して加温し、所定の液面33a位置を保持して貯留することができるようにフロート37を備えて形成されている。
【0032】
このため、ベーパー乾燥装置32は、貯留されている本水切り溶液33の上方に位置する空間部34内にベーパー層35を形成することができるので、該ベーパー層35内に最終水切り後のワークを配置することで、該ワークをベーパー乾燥することができる。
【0033】
しかも、本水切り装置22側からオーバーフローした水分混じりの本水切り溶液24は、冷却コイル27を備える第2水分分離槽26へと導入して水分が分離除去され、フッ素系溶剤とアルコール系溶剤とからなる本水切り溶液24,33として再生させた上で、本水切り装置22とベーパー乾燥装置32とに還流させて再使用することができるように配管されている。なお、図中の符号28は、アルコール濃度計を、29は、ポンプをそれぞれ示す。
【0034】
また、ベーパー乾燥装置32は、ベーパー層35を冷却して結露させるための冷却コイル37を備えている。また、結露させて回収した液滴は、第3水分分離槽39へと導入することで、該液滴から水分を分離除去して本水切り溶液24として再生させ、再び使用することができるようになっている。なお、図中の符号42,43,44は、システム内に発生するベーパーを結露させるために必要な冷却コイルを、52,53,54は、濾過用のフィルターをそれぞれ示す。
【0035】
次に、このようにして構成されている本発明の作用・効果を説明すれば、まず、水系洗浄液で洗浄して水分を付着させた状態にある洗浄後のワークは、粗水切り装置12を構成している噴流槽13が貯留している粗水切り溶液17中に浸漬させる。
【0036】
噴流槽13は、粗水切り溶液17中に浸漬されているワークに対し噴流パイプ14を介して粗水切り溶液17を噴出させることができるので、浸漬ワークの表面から付着水分を剥離することで初段の粗水切りを行う。
【0037】
このようにして初段の粗水切りが行われたワークは、噴流槽13から取り出されて超音波振動槽15の粗水切り溶液17中に浸漬され、超音波振動槽17の内底面に備えている超音波振動子16が生成する超音波振動を浸漬ワークに与え、依然として表面に付着している水分を微細化して剥離することで次段の粗水切りを行った上で、超音波振動槽17から取り出される。
【0038】
洗浄後にワークに付着していた水分は、このような初段の粗水切りと次段の粗水切りとを経ることで、その量の9割程度をワーク表面から剥離させて粗水切りすることができる。粗水切り装置12内には、洗浄後のワークを粗水切りする粗水切り溶液17が、多量の水分が持ち込まれても分離することができるフッ素系溶剤単体として貯留されているので、該粗水切り溶液17中に浸漬して超音波振動を与えることで、該ワークに付着している水分のうちの90%程度を粗水切りすることができる。また、本水切り装置12内では、付着水分の90%程度が粗水切りされたワークが本水切り溶液中に再浸漬され、かつ、超音波振動を与えることで、ワークの残存水分を確実に最終水切りすることができる。
【0039】
このようにワーク表面から付着水分量の9割程度が粗水切りされたワークは、本水切り装置22の本水切り溶液24中に浸漬される。つまり、本水切り溶液24中には、洗浄後に付着していた水分量の9割程度が粗水切りされた状態でワークが浸漬されることから、洗浄後の付着水分量の1/10程度の量が本水切り溶液24中に持ち込まれることになる。
【0040】
しかも、本水切り装置22は、本水切り溶液24に含まれるフッ素系溶剤の沸点未達の温度である例えば最低でも40℃程度にまで加温した本水切り溶液24を貯留し、かつ、粗水切り後のワークに対し超音波振動を与える超音波振動子23を備えているので、ワーク表面に依然と付着している残存水分を微細化して剥離しながら本水切り溶液24中に含まれるアルコール系溶剤に溶解させて最終水切りすることができる。
【0041】
このようにして最終水切りされたワークは、本水切り装置22から取り出された後、ベーパー乾燥装置32内へと運び込まれ、液面33a上方に位置する空間部34内のベーパー層35内に配置してワークに付着している本水切り溶液24をベーパー乾燥した後、製品として取り出されることになる。
【0042】
このため、本発明によれば、粗水切り装置12内には、洗浄後のワークを粗水切りする粗水切り溶液17が、多量の水分が持ち込まれても分離することができるフッ素系溶剤単体として貯留されているので、該粗水切り溶液17中にワークを浸漬して超音波振動を与えることで、該ワークに付着している水分のうちの90%程度を粗水切りすることができる。
【0043】
また、本水切り槽22内では、付着水分の90%程度が粗水切りされたワークが本水切り溶液24中に再浸漬され、かつ、超音波振動子23が発する超音波振動を与えることができるので、ワークから微小化して剥離された残存水分を本水切り溶液24中に含まれるアルコール系溶剤に溶解させて最終水切りすることができる。
【0044】
つまり、洗浄後のワークは、直ちに本水切りすることなく、付着水分量の90%程度を粗水切りする前処理を経た後に本水切りが行われることから、本水切り装置22内の本水切り溶液24中には、付着水分量が当初の1/10程度までに減じられた状態のワークが持ち込まれることになる。
【0045】
したがって、本水切り溶液24に含まれるアルコール系溶剤には、洗浄後のワークを直ちに本水切りする際の付着水分量の1/10程度にまで減じられた水分のみを溶解すれば足り、それだけアルコール系溶剤の濃度低下も遅くすることができるので、本水切り溶液24を長持ちさせて効率よく、かつ、それだけメンテナンス作業も少なくしてワークの水切り作業を円滑に遂行することができることになる。
【0046】
以上は、本発明を図面に即して説明したものであり、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。例えば、図示例では、粗水切り装置12を噴流槽13と超音波振動槽15との2段で構成した例が示されているが、所望により噴流槽13のみや超音波振動槽15のみで形成することもできる。また、本発明に用いるフッ素系溶剤としては、メーカーの如何を問わずHFEを好適に用いることができるが、所望によりハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン等を主成分とする単一溶剤または複合溶剤を用いることもできる。さらに、本水切り溶液24に含まれるアルコール系溶剤は、エタノールのほか、例えば沸点82.4℃のイソプロピルアルコール等の水溶解度の高い溶剤を用いることもできる。
【符号の説明】
【0047】
11 水切り乾燥システム
12 粗水切り装置
13 噴流槽
14 噴流パイプ
15 超音波振動槽
16 超音波振動子
17 粗水切り溶液
18 案内板
19 第1水分分離槽
20 冷却コイル
21 ポンプ
22 本水切り装置
23 超音波振動子
24 本水切り溶液
25 ヒータ
26 第2水分分離槽
27 冷却コイル
28 アルコール濃度計
29 ポンプ
32 ベーパー乾燥装置
33 本水切り溶液
33a 液面
34 空間部
35 ベーパー層
36 ヒータ
37 フロート
38 冷却コイル
39 第3水分分離槽
42,43,44 冷却コイル
52,53,54 フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄が必要なワークを水系洗浄液で洗浄した際の水分を付着させた洗浄後の前記ワークを浸漬し、少なくとも超音波振動を与えて付着水分を前記ワークの表面から剥離して粗水切りする粗水切り溶液をフッ素系溶剤単体として貯留する粗水切り装置と、
フッ素系溶剤とアルコール系溶剤とからなる本水切り溶液をこれに含まれる前記フッ素系溶剤の沸点未達の温度で加温しながら貯留させ、前記粗水切り装置から取り出された粗水切り後の前記ワークを再浸漬させて超音波振動を与えることで依然と付着している残存水分を前記アルコール系溶剤に溶解させて最終水切りする本水切り装置と、
貯留させた本水切り溶液をこれに含まれるフッ素系溶剤の沸点温度にまで加温して発生させたベーパー層に前記本水切り装置から取り出された最終水切り後の前記ワークを配置してベーパー乾燥させるベーパー乾燥装置とを少なくとも含むことを特徴とする水切り乾燥システム。
【請求項2】
前記粗水切り装置は、貯留させた前記粗水切り溶液中に浸漬させた洗浄済みの前記ワークに対し噴流パイプから粗水切り溶液を噴出させて付着水分を剥離する噴流槽と、貯留されている粗水切り溶液中に前記噴流槽から取り出された前記ワークを再浸漬して超音波振動を与えてさらに付着水分を微小化して剥離する超音波振動槽との2段で形成した請求項1に記載の水切り乾燥システム。

【図1】
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【公開番号】特開2010−279866(P2010−279866A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133585(P2009−133585)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(505368139)株式会社エー・エスー・ケー (4)
【Fターム(参考)】