説明

水圧測定装置

【課題】 複雑な圧力伝達機構を用いる必要がなく、簡単な構造のセンサを用いて感度よく測定することができる水圧測定装置を提供する。
【解決手段】 光ファイバ10の片側に光源11、他方側に光検出部12とを備え、光ファイバ10の中間領域に水圧を検出する水圧センサ部13が設けられ、水圧センサ部13は、光ファイバで形成される感圧部10aと、周期の溝面が形成され、溝面を感圧部の光ファイバに対し軸方向に沿って当接させる棒状の溝付き部材15と、感圧部10aが溝付き部材15の溝面に圧接されるように固定するファイバ圧接部材16とからなる光透過型のLPFGにより構成されるようにすることで、LPFGによる特定波長の減衰量を水圧に応じて変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば貯水池や各種液体タンク等で水圧を検出し、水深や水位を計測する水圧測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水圧を検出して水深や水位を測定する際に、水深センサ、水位センサ、水圧センサなどと呼ばれるセンサを液体中に入れて計測する水深測定装置や水圧測定装置や水位測定装置が利用されている。
これらのセンサは、基準とする圧力からの水圧変化を計測して水深、水圧、水位を計測するものであり、測定の基準とする基準圧力を大気圧にするか、ゼロ圧力にするか、さらに、液体のどの位置(水面近傍、水中)に取り付けて圧力を測定するかの違いであり、水圧変化量を測定する装置としては同じである。したがって、以下の説明では水圧測定装置として説明するが、基準圧力と液中の取り付け位置を変更すれば水深測定装置、水位測定装置になるので、水深測定装置、水位測定装置についても本発明の内容が及ぶ範囲に含まれる。
【0003】
一般に、水圧測定装置には、圧力を検出するための隔膜や水晶振動子を用いた圧力センサ(水圧センサ)が用いられ、水圧変化に対応した変位量(隔壁の変位や水晶振動子の振動周波数変化量)を変位信号として、これを電圧信号に変換して信号ケーブルで地上の水深測定装置の制御部まで伝送するようにして測定するようにしている。
【0004】
しかしながら、液中や液面近傍で電気(電圧)信号を扱うことは安全上あまり好ましくない。また、電磁誘導が生じるとノイズを受けるようになる。そこで、光ファイバによる光信号を用いた液体圧力測定センサを利用した水位測定装置が開示されている(特許文献1、特許文献2)。これらの文献によれば、液体圧力測定センサにブラッグ格子型光ファイバを用いている。
【0005】
ブラッグ格子型光ファイバは、測定光をブラッグ格子が形成された領域に入射させると、特定波長(ブラッグ波長)の光のみを選択的に反射する性質を有している。そしてブラッグ格子が形成された領域に対し、ファイバ軸方向に引張力または圧縮力を加えて光ファイバに歪を生じさせると、ブラッグ格子の格子定数が変化し、その特定波長が歪量に応じて波長シフトする特性を有している。
【0006】
したがって、上記特許文献1,2に記載された測定装置では、ブラッグ格子型光ファイバが形成された領域をケース内に入れて、ケースの一端側に受圧部を形成し、受圧部で受けた水圧をケース内に設けた複雑な圧力伝達機構により、光ファイバを軸方向に伸張または圧縮する力に変換して歪を与えるようにすることで、この歪量(すなわち水圧の変化に比例する変化量)が波長シフトとして検出できるようにしてある。
【0007】
一方、光ファイバを用いたデバイスの一つとして、出願人は、光弾性効果を利用した長周期ファイバグレーティングデバイスを開示しており、これを、水圧測定とは全く異なる技術である光フィルタや光増幅器用の利得平坦化器などの光伝送用のデバイスとして利用することを開示している(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−267557号公報
【特許文献2】特開2003−028698号公報
【特許文献3】特開2010−008900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したブラッグ格子型光ファイバを利用した水圧センサ(液体圧力測定センサ)では、ブラッグ反射による反射光を、光ファイバを介して伝送するので、液体に触れる部分には電気信号は与えられないため、安全で信頼性が高い。
しかしながら、水圧を受けるための受圧部(特許文献1,2ではベローズ)が必要になるとともに、受圧部で受けた水圧による変位を、光ファイバを軸方向に伸張、圧縮する力に変換するための複雑な圧力伝達機構が必要であり、しかも液体が圧力伝達機構や液体圧力センサ(水圧センサ)に直接触れないようにケース内に収納する必要があり、センサの構造はかなり複雑な構造になっていた。
【0010】
そこで本発明は、光ファイバを用いた水圧センサ(液体圧力センサ)ではあるが、これまでとは異なる原理、異なる構造の水圧センサによる水圧測定装置を提供することを目的とする。
また、本発明はこれまでの光ファイバを用いた水圧センサに比べて、非常に簡単な構造のセンサを用いて感度よく測定することができる水圧測定装置を提供することを目的とする。特に受圧部と光ファイバとの間で複雑な圧力伝達機構を用いる必要がないようにした水圧センサを用いた水圧測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた本発明の水圧測定装置は、測定光を伝送する光ファイバと、光ファイバの一端から測定光を入射する光源と、光ファイバの他端にて光ファイバ内を透過した測定光を検出する光検出部とを備え、光ファイバの中間領域に水圧を検出する水圧センサ部が設けられている。水圧センサ部は、光ファイバで形成される感圧部と、外面に0.1mm〜1mmピッチの周期の溝面が形成され、当該溝面を感圧部の光ファイバに対し軸方向に沿って当接させる棒状の溝付き部材と、感圧部が溝付き部材の溝面に圧接されるように固定するファイバ圧接部材とからなる光透過型の長周期ファイバグレーティングデバイスにより構成されるようにしている。
【0012】
すなわち、本発明では、光ファイバを用いた水圧センサ部として、反射型のブラッグ格子型光ファイバを用いるのではなく、いわゆる光弾性効果を利用した透過型の長周期ファイバグレーティングデバイスを用いるようにし、水圧変化を特定波長の透過率の減衰量として検出するようにしている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水圧センサ部となる長周期ファイバグレーティングデバイスは、感圧部が光ファイバで形成され、外面に0.1mm〜1mmピッチの周期の溝面が形成された棒状の溝付き部材に当接するようにしてあり、さらに、ファイバ圧接部材によって感圧部が溝付き部材の溝面に圧接された構造にしてある。したがって、水圧センサ部には水圧を感圧部まで伝達するための複雑な圧力伝達機構は必要ではなくなり、収納ケースも必要ではなくなり、非常に簡単な構造の水圧センサ部とすることができる。
【0014】
上記発明において、感圧部は光ファイバ上で互いに離隔した位置に複数設定され、各感圧部は溝付き部材の溝面に当接され、ファイバ圧接部材は溝付き部材に対し各感圧部をまとめて圧接するようにして固定するようにしてもよい。
これによれば、複数の感圧部がそれぞれ同一ピッチの溝付き部材に圧接されるようになり、同一性能の長周期グレーティングデバイスが複数同時に作成されたことになる。そして、測定光は直列に接続されたそれぞれの長周期グレーティングデバイスを透過することで、透過率の減衰ピークが増幅された状態で検出されるので、感度の高い測定を行うことができるようになる。
【0015】
上記発明において、ファイバ圧接部材は熱収縮チューブからなるようにするのが好ましい。
これにより、熱収縮チューブの収縮力により圧接が可能になるので、水圧センサを簡単に作成することができる。
【0016】
上記発明において、感圧部と棒状の溝付き部材の溝面との当接面に対し、当該感圧部を挟んで反対側の位置で当該感圧部に接し、受けた水圧を当該感圧部に伝達するための平坦な加圧板をさらに設けるようにしてもよい。
これにより、感圧部よりも大きな表面積で加圧板を介して水圧を受けることで、感圧部への力の加わり方が均一になりマイクロベンディングに起因すると考えられるノイズ(後述する)を減らすことができるようになり、感度を高めることができるようになる。なお、加圧板としてはステンレスなどの錆びにくい金属板が好ましい。
【0017】
上記発明において、水圧センサ部の外周は、防水用の熱収縮チューブで覆われるとともに、水圧センサ部の両端は光ファイバを除いて防水用の樹脂で封入されるようにしてもよい。
これにより、外光の影響をなくすとともに、防水性能を高めて水圧センサ部の耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態である水圧測定装置の全体構成を示す図。
【図2】本発明で用いるLPFGセンサ(水圧センサ部)の構造の一例を示す図。
【図3】本発明で用いるLPFGセンサの他の実施形態を示す図。
【図4】加圧板を設けていない場合と設けた場合とにおける水深(水圧)とLPFGセンサの透過スペクトルとの関係を示す図。
【図5】本発明で用いるLPFGセンサのさらに他の実施形態を示す図。
【図6】直列接続したLPFGの段数を変化したときの透過スペクトルを示す図。
【図7】直列接続したLPFGの段数と透過率の減衰量との関係を示した図。
【図8】LPFGの透過スペクトルの一例を示す図。
【図9】圧接力をパラメータとした透過率スペクトルを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の水圧測定装置の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、既述のように、水面(大気圧)を基準にして測定する場合は、水深測定装置とすることができ、タンクなどで満水状態では液中になり液面が下がったときは液面より上方となる位置に取り付けたときは水位測定装置とすることができる。したがって、本発明の水圧測定装置には、水深測定装置や水位測定装置も含まれる。
【0020】
(長周期ファイバグレーティングによる水圧センサの原理)
始めに、長周期ファイバグレーティング(以下ではLPFGと略す)による測定原理について説明する。
LPFGは、0.1mm〜1mmのピッチで屈折率が周期的に変化するコアと、コアを囲むクラッドとを備えたファイバ型の素子である。
屈折率が上述した範囲のピッチで周期変化するLPFGでは、コアを正の方向に導波するコアモードと、クラッドを正の方向に導波するクラッドモードとを光学的に結合させることにより、特定波長の光を損失させることができる性質を有している。
【0021】
一般に、長周期ファイバグレーティングのコアモードとクラッドモードとの結合によって損失される波長は、以下の式(1)で与えられる。
λ=Λ(ne−co−ne−cl) ・・・(1)
ここで、
λ: 損失ピークの中心波長
Λ: グレーティング(屈折率)の周期(0.1mm〜1mm)
e−co: コアモードの等価屈折率
e−cl: クラッドモードの等価屈折率(mはクラッドモードの次数)

【0022】
上記式(1)により、コアモードと、各次数のクラッドモードとの結合によって、複数の損失ピークが形成され、例えば図8に示すように、特定波長に減衰が生じた透過スペクトルが得られる。
【0023】
光ファイバに対し、0.1mm〜1mmのピッチで屈折率を周期的に変化させる方法はいくつかあるが、その一つである光弾性効果を利用する方法では、例えばネジのような一定周期(Λ)で溝が形成された棒材を、光ファイバに圧接することで、当接部分の屈折率が周期的に変化するようになり、それだけでLPFGデバイス(長周期ファイバグレーティングデバイス)を形成することができる。
【0024】
そして、溝付きの棒材が光ファイバに接する圧接力を増大させると、これに応じてLPFGの減衰量は増大していく現象が生じる。図9は圧接力をパラメータとした透過率スペクトルである。圧接力の増大に応じて、各特定波長の減衰ピークが大きくなっている。
このように、圧接力に応じて透過光の減衰量が変化することを利用して、水圧を圧接力として作用させることで、水圧センサを構成することができる。
【0025】
(実施形態)
図1は本発明の水圧測定装置の全体構成を示す図である。水圧測定装置1は、光ファイバ10と、光源11と,パワーメータ12(光検出部)と、光ファイバ10上の一部に設けられたLPFGセンサ13(水圧センサ部)とからなる。スペクトラムアナライザをパワーメータとして用いてもよい。光ファイバ10の両端近傍は、水上で光信号を伝送する部分であり、LPFGセンサ13は水圧を受ける必要があるため、光ファイバ10の両端近傍を除いた中間領域に設けられる。
光ファイバ10は、全体を1本のファイバ線で構成するのが好ましいが、長距離計測を行う場合などでは、測定光が伝送できるようにコネクタで接続すれば、つなぎ合わせてもよい。
【0026】
光源11は光ファイバ10の一端から測定光を入射する。光源としては光弾性効果による透過光の減衰ピークの計測ができる波長の光を含むものであれば特に限定されない。例えば1350nm〜1650nmの赤外光の光源を利用することができる。
【0027】
パワーメータ12は、光ファイバ10の他端に取り付けられ、入射光に応じて出射される測定光の波長範囲を検出できるものが用いられる。光弾性効果による減衰ピークを計測するには、透過スペクトルとして減衰ピークが現れる波長範囲を測定してもよいが、測定する波長を、特定波長に固定して計測すればよいので、例えば図9のようなスペクトルの場合は1次ピークである1380nmや2次ピークである1450nmあたりにおける測定光のパワーを計測すればよい。
【0028】
図2はLPFGセンサ13の構造を示す図であり、図2(a)は軸方向と垂直な面での断面図、図2(b)は斜視図である。図2(b)では一部を破断して内部を示している。LPFGセンサ13は、光ファイバ10の一部を感圧部10aとして使用する。感圧部10aは水圧を受けることができるように光ファイバ10の中間領域に設定される。
LPFGセンサ13は全周にネジ溝が刻まれた円柱状の棒材15が設けられている。ネジ溝のピッチは100μm〜1mmが好ましく、本例では500μmとしてある。棒材15の軸方向の長さは、2cm〜8cm程度が好ましい。この長さがあまりに長すぎたり、短すぎたりすると、コアモードとクラッドモードとの光学的結合ができなくなってLPFGの特徴である特定波長の損失が発生しなくなる。棒材15の径は3mm〜5mm程度にしてある。
感圧部10aは棒材15のネジ溝に当接してあり、熱収縮チューブ16の収縮力により感圧部10aが棒材15のネジ溝に圧接されるようにしてある。棒材15の両端は樹脂17で固められ、感圧部10aに続く光ファイバ10が樹脂17から突き出すようにしてある。そして熱収縮チューブ16と樹脂17とによって内部が防水されるようにしてある。
【0029】
図3は、本発明の水圧センサ部に用いる他の実施形態のLPFGセンサ20を示す図であり、図3(a)は軸方向と垂直な面での断面図、図3(b)は斜視図である。図3(b)では一部を破断して内部を示している。なお、図2と同じ構成要素については同符号を付すことにより、説明の一部を省略する。本実施形態では、図2のLPFGセンサ13において感圧部10aとネジ溝が刻まれた棒材15とを圧接させる熱収縮チューブ16の外側に、ステンレスなどの金属からなる円弧状の加圧板21が感圧部10aを間に挟んで囲むように取り付けられる。感圧部10aは棒材15のネジ溝と接するとともに、感圧部10aを挟んで反対側で、加圧板21と接するようにしてある。加圧板21との接触面は平坦にしてある。
さらに加圧板21の外側と棒材15とを覆うように熱収縮チューブ22が取り付けられ、これにより、加圧板21を介して感圧部10aが棒材15のネジ溝に圧接されるようにしてある。なお、熱収縮チューブ22を設けているので、これにより感圧部10aと棒材15とを圧接させる作用も引き起こすことができ、この場合はこれがファイバ圧接部材として機能することとなる。内側の熱収縮チューブ16は必ずしも必要ではなくなるが、LPFGセンサ20を製造する際に都合がよいのでそのまま残しておいてもよい。
【0030】
次に、上述した水圧測定装置により計測した結果について説明する。
図4は、加圧板を設けていない場合(図2のLPFGセンサ13)と、設けた場合(図3のLPFGセンサ20)とにおける水深(水圧)とLPFGセンサの透過スペクトルとの関係を示す図である。
加圧板21の有無に係らず、水深(水圧)が増すにつれて、透過スペクトルの減衰ピークでの減衰量が増大するようになっている。図示は省略するが、減衰ピークのピーク強度をプロットすると、水深(水圧)と減衰量(dB単位)とは比例していることがわかった。
さらに、加圧板21を設けることにより、小さなノイズが消えてSN比が向上し、感度を高めることができるようになった。これは感圧部よりも大きな表面積で加圧板を介して水圧を受けることで、感圧部は安定かつ均等化された水圧を受けるようになり、マイクロベンディングが軽減されたためと考えられる。
【0031】
次に、水圧センサ部の高感度化を図った実施形態について説明する。図5は本発明の水圧センサ部に用いるさらに他の実施形態のLPFGセンサ30を示す図であり、図5(a)はセンサ中央における軸方向と垂直な面での断面図、図5(b)は斜視図である。また、図5(c)は光ファイバ10だけを取り出して示した図である。なお、図2、図3と同じ構成要素については同符号を付すことにより、説明の一部を省略する。
【0032】
本実施形態では、4つの感圧部10a、10b、10c、10dが光ファイバ10上で互いに離隔した位置に設定される。各感圧部10a〜10dは、全周にネジ溝が刻まれた1本の棒材15の溝面に当接させるために、隣接する感圧部の間の離隔領域10kで湾曲させてある。各感圧部10a〜10dは棒材15の溝面に当接させた状態で熱収縮チューブ16によりまとめて圧接されるようにしてある。
なお、隣接する感圧部の間の離隔領域10kの長さがあまり短いと、隣接する感圧部どうしが光学的に分離せずに一体化し、コアモードとクラッドモードとの光学的結合ができなくなってLPFGの特徴である特定波長の損失が発生しなくなる場合があるので、それぞれの感圧部が確実に独立した感圧部となるように離隔領域10kの長さを確保してある。
【0033】
本実施形態では感圧部は4つにしているが、棒材15の溝面に圧接できれば数は特に限られない。ただし、複数の感圧部を、円柱状の棒材15の周囲に当接させるときには、中心対称となるように配置する方が熱収縮チューブ16による圧接力が各感圧部に有効かつ均等に作用するようになる。
【0034】
このようにして、光ファイバ10上で複数の感圧部を、離隔領域10kを挟みながら接続するようにしたので、同一特性のLPFGを直列に多段に並べたLPFGセンサ30(水圧センサ部)が形成されるようになる。
【0035】
図6は直列接続したLPFGの段数を変化したときの透過スペクトルを示す図である。各ラインは段数が1,2,3,4と増加するにつれて、1次ピーク、2次ピーク、3次ピークのいずれについても透過パワーの減衰量が増大する。
【0036】
図7は直列接続したLPFGの段数と透過率の減衰量との関係を、3つのピーク(1次ピーク;1383nm、2次ピーク;1450nm、3次ピーク;1568nm)それぞれについて示した図である。各ピークとも段数が増加するにつれて、減衰量は比例的に減少している。
したがって、LPFGの段数を複数にして直列接続することで、LPFGセンサとしての感度を向上させることができるようになる。
なお、本実施形態では加圧板は使用していないが、図4と同様の加圧板を取り付けてもよいことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、水圧測定装置、水深測定装置、水位測定装置などの水圧を検出する測定装置として用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
10: 光ファイバ
10a〜10d: 感圧部
10k: 離隔領域
11: 光源
12: パワーメータ(光検出部)
13: LPFGセンサ(水圧センサ部)
15: ネジ溝付き棒材(溝付き部材)
16: 熱収縮チューブ(ファイバ圧接部材)
17: 樹脂
20: LPFGセンサ(水圧センサ部)
21: 加圧板
30: LPFGセンサ(水圧センサ部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定光を伝送する光ファイバと、前記光ファイバの一端から測定光を入射する光源と、前記光ファイバの他端にて前記光ファイバ内を透過した測定光を検出する光検出部とを備え、前記光ファイバの中間領域に水圧を検出する水圧センサ部が設けられた水圧測定装置であって、
前記水圧センサ部は、光ファイバで形成される感圧部と、外面に0.1mm〜1mmピッチの周期の溝面が形成され、当該溝面を前記感圧部の光ファイバに対し軸方向に沿って当接させる棒状の溝付き部材と、前記感圧部が前記溝付き部材の溝面に圧接されるように固定するファイバ圧接部材とからなる光透過型の長周期ファイバグレーティングデバイスにより構成されることを特徴とする水圧測定装置。
【請求項2】
前記感圧部は光ファイバ上で互いに離隔した位置に複数設定され、各感圧部は前記溝付き部材の溝面に当接され、前記ファイバ圧接部材は前記溝付き部材に対し各感圧部をまとめて圧接するようにして固定する請求項1に記載の水圧測定装置。
【請求項3】
前記ファイバ圧接部材は熱収縮チューブからなる請求項1または請求項2のいずれかに記載の水圧測定装置。
【請求項4】
前記感圧部と前記棒状の溝付き部材の溝面との当接面に対し、当該感圧部を挟んで反対側の位置で当該感圧部に接し、受けた水圧を当該感圧部に伝達するための平坦な加圧板をさらに設けた請求項1〜請求項3のいずれかに記載の水圧測定装置。
【請求項5】
前記水圧センサ部の外周は、防水用の熱収縮チューブで覆われるとともに、水圧センサ部の両端は光ファイバを除いて防水用の樹脂で封入される請求項1〜請求項4のいずれかに記載の水圧測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−163376(P2012−163376A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22174(P2011−22174)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人科学技術振興機構、研究成果最適展開支援事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)
【Fターム(参考)】