説明

水平射出成形機のための取り外し可能な回転板を備えた回転装置

本発明は、水平射出成形機のための回転装置であって、ベースプレート(18)が設けられていて、該ベースプレート上に、垂直な軸線を中心にして回転可能な回転板(21)が配置されており、該回転板を回転させるための駆動手段が設けられている形式のものに関する。本発明は、ベースプレートと回転板との間に軸受(22)が配置されていて、該軸受が、前記ベースプレートに対応配置された回動不能な軸受部分(51)と、前記回転板に対応配置された回動可能な軸受部分(52)とを有しており、前記回転板が、前記ベースプレート上に載っていて前記軸受が負荷解除されている上方位置と、前記回転板がベースプレートから持ち上げられていて、前記回動可能な軸受部分上で支えられている下方位置との間で、可動であることを特徴としている。この軸受は、回転中に負荷されていて、射出プロセス中に負荷されないようになっている。射出プロセス中、特に射出圧刻中に発生する横方向力は、ターンテーブルとベースプレートとが全面的な接触を介して機械台(1)に導入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載した形式の、水平射出成形機、特に射出成形工具の型半部のための回転装置、並びに請求項10及び12の上位概念部に記載した形式の、前記型締めプレート間に配置された、射出成形工具の型半部のための回転装置を備えた射出成形機に関する。
【0002】
国際公開第01/010624号明細書には、定置の型締めプレートと可動な型締めプレートとを備え、また型締めプレート間に配置され、かつ機械長手方向軸線に沿ってしゅう動可能で、垂直軸線を中心にして回動可能な、射出成形工具のための回転装置とを備えた2プレート型水平射出成形機が開示されている。回転装置は、第1の駆動手段によって機械長手方向にしゅう動可能なベースプレートを有しており、該ベースプレート上に、第2の駆動手段によって前記垂直軸線を中心にして回転可能である。このような形式の水平射出成形機は、回転装置が2つの型締めプレート間で走行可能な横桁若しくは支柱から完全に解除され、それによって回転装置が重量モーメントによって、また回転モーメントによっても負荷される、という利点を有している。これは特に2プレート型水平射出成形機においては重要である。何故ならば、2プレート型水平射出成形機においては、構造形式に応じて支柱が一緒に移動し、支柱間の相互の間隔の僅かな変化がこれらの支柱のうちの1つに不都合な影響を及ぼすからである。しかも、組み立てた状の射出成形工具に、両側から並びに上から自由にアクセス可能である。回転運動において、射出成形機の閉鎖ユニットの開放幅による以外は、組み込まれた射出成形工具の大きさに関する制限はない。
【0003】
国際公開第2005/035218号明細書によれば、型締めプレート間に配置され、かつ垂直軸線を中心にして回転可能な、射出成形工具のための回転装置を備えた、別の2プレート水平射出成形機が公知である。この公知の射出成形機においては、回転装置が、ベースプレートと、垂直軸線を中心にして回転可能な回転板とを有している。前記2プレート型水平射出成形機とは異なり、回転装置が軸方向に走行可能なのではなく、ベースプレートが機械台に堅固に結合されている。2つの外側の型締めプレートは、機械台上で走行可能であって、回転装置に向かって移動可能、また回転装置から遠ざかる方向に移動可能である。
【0004】
機械台に固定された、軸方向に走行不能な回転装置を備えたその他の水平射出成形機は、ヨーロッパ特許公開第1512512号明細書により公知である。この公知の回転装置は、中央部とも称呼されていて、機械台に固定された定置の部分と、この定置の部分に対して回転可能な部分とを有している。走行可能な外側の2つの型締めプレートは、機械台上にしゅう動可能に支えられていて、中央部とロック可能である桁材を有している。
【0005】
回動可能な中央部分又はいわゆる回転板を備えた前記水平射出成形機においては、左右非対称の成形部分の射出圧刻成型時に、工具半部から型締めプレートを介して機械台に導入され、かつこの機械台によって吸収されなければならない横方向力が形成される、という問題がある。この場合、横方向力は、回動可能な部分(回動可能な中央部、回動可能な型支持体又はターンテーブル)と、回動不能な部分との間の支承部によってガイドされ、この軸受をかなり強く負荷する。このような射出成形機によって射出圧刻も行うことができるようにするために、射出成形機は相応に内実に及びひいては比較的高価な軸受を必要とする。
【0006】
このような問題を避けるために、ヨーロッパ特許公開第1561562号明細書及びドイツ連邦共和国特許公開第102005003566号明細書によれば、前記形式の射出成形機が公知である。この公知の射出成形機においては、2つの部分間にギャップを形成し、このギャップ内に同時に流体静力学的な軸受、空圧式の軸受又は磁気クッション式軸受を形成するために、中央部の回転可能な部分を、中央部の定置の部分に対して、液圧式、空圧式又は電磁式の手段によって上昇させることができる。これに対して選択的に、定置の部分と回動可能な部分との間で中間軸受として楔部材を侵入及び退出走行させることによって、前記ギャップを形成することもできる。この場合、ギャップ内に、滑り軸受又は転がり軸受が設けられ、この滑り軸受又は転がり軸受に、前記楔部材を取り除いてから回動可能な部分を載せ、この回動可能な部分が、回転運動中の中央部の回動可能な部分の負荷を吸収するようになっている。この実施例においては、中央部の回動可能な部分が、射出中に楔部材上だけで支承され、つまり点状に支えられる。これは中央部を垂直方向で安定的に整列させるためには不都合である。滑り軸受を使用した場合、ギャップを形成することができない。つまり中央部の回動可能な部分は定置の部分上に確実に載ることになる。このような構成は、長時間負荷される滑り軸受において、回転運動を生ぜしめことは、比較的高価なエネルギーコストに結びつく。
【0007】
本発明の課題は、軸受が負荷解除され、また転がり軸受が設けられている場合でも、回転装置の定置の部分に対して回転装置の回動可能な部分の安定した位置が保証されるような、水平射出成形機のための回転装置を提供することである。本発明のその他の課題は、このような形式の回転装置を備えた水平射出成形機を提供することである。
【0008】
この課題は、請求項1に記載した特徴を有する回転装置によって解決された。本発明の第2の課題は、請求項10及び請求項12の特徴を有する水平射出成形機によって解決された。
【0009】
ベースプレートと回転板との間に軸受が配置されていて、該軸受が、前記ベースプレートに対応配置された回動不能な軸受部分と、前記回転板に対応配置された回動可能な軸受部分とを有しており、前記回転板は、この回転板が前記ベースプレート上に載っていて前記軸受が負荷解除されている上方位置と、前記回転板がベースプレートから持ち上げられていて、前記回動可能な軸受部分上で支えられている下方位置との間で、可動であることによって、常に存在する軸受を設けることができ、この場合、軸受は、回転中に負荷され、射出プロセス中に負荷されることはない。これによって、射出プロセス中に発生する横方向力、特に射出圧刻時に発生する横方向力が、軸受を介して機械台に導入されるのではなく、主にターンテーブルがベースプレートと全面的に接触することによってのみ導入されることが保証される。
【0010】
回動可能な軸受部分は、ターンテーブルに固定されていて、軸受は全体的に垂直方向に移動可能である。このために、定置の軸受部分に昇降部材が固定されており、この昇降部材は、ベースプレートの切欠特に環状溝内に固定されていて、上方位置と下方位置との間で昇降運動可能となっているので、昇降部材は軸受の上下運動及びひいてはターンテーブルの上下運動を可能にする。昇降部材の下側と切欠の底部特に環状溝の底部との間に、ギャップが設けられていて、該ギャップ内に、昇降部材を操作するための圧力媒体が供給及び導出可能である。
【0011】
前記実施例に対して選択的に、前記回転板に昇降部材が設けられており、該昇降部材は、この昇降部材が回動可能な軸受部分に対して間隔を保ちかつ前記回転板が前記ベースプレート上に載っている上方位置と、前記昇降部材が前記回動可能な軸受部分上に載りかつ前記回転板が前記ベースプレートから持ち上がっている下方位置との間で、可動である。このために、前記昇降部材が前記回転板の下側の溝内に配置されていて、前記昇降部材の上側と前記溝との間にギャップが形成されていて、該ギャップ内に圧力媒体が導入可能、かつ該ギャップから圧力媒体が導出可能である。圧力媒体の供給時に、昇降部材が溝から退出走行し、回動可能な軸受部分にぶつかるようになっている。圧力媒体をさらに供給すると、ターンテーブルは、ベースプレートから持ち上がり、昇降部材を介して回動可能な軸受部分で支えられる。
【0012】
軸受として転がり軸受が設けられており、この場合、前記回動不能な軸受部分と前記回動可能な軸受部分との間に、転動体として構成された球又はローラが設けられている。軸受が、滑り軸受として構成されていてもよい。この場合、前記回動不能な軸受部分と前記回動可能な軸受部分との間に滑り面が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の1実施例による2プレート型水平射出成形機の一部を示す概略的な側面図である。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図である。
【図3】図1に示した2プレート型水平射出成形機の型半部24aを示す部分的な斜視図である。
【図4】ロータリ分配器26の詳細を示す概略的な断面図である。
【図5】ターンテーブル21の詳細を示す概略的な断面図である。
【図6】本発明の第1実施例による回転装置の一部の、射出成形中における拡大した断面図である。
【図7】図6に示した回転装置の、回転直前又は回転中における、ターンテーブル21が下降されてベースプレート18上に載った状態を示す断面図である。
【図8】本発明の第2実施例による回転装置の、ターンテーブル21がベースプレート18上に載っている状態を示す部分的な断面図である。
【図9】本発明の第3実施例による回転装置の、ターンテーブル21がベースプレート18上に下降されている状態を示す部分的な断面図である。
【図10】本発明の別の実施例による水平射出成形機の一部を示す概略的な側面図である。
【図11】図10の矢印に沿った断面図である。
【図12】図10に示した水平射出成形機の型半部24aを示す部分的な斜視図である。
【図13】本発明のさらに別の実施例による水平射出成形機の一部を示す概略的な側面図である。
【図14】図13の矢印に沿った断面図である。
【図15】図13に示した水平射出成形機の型半部24aを示す部分的な斜視図である。
【図16】ターンテーブル21の概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1実施例による中央に定置の回転装置を備えた2つのプレートを有する2プレート型水平射出成形機について、図1乃至図7を用いて説明する。2つの縦桁2並びに横桁4を備えた機械台1で滑りシュー3上に2つの型締めプレート5及び6が摺動可能に支えられている。2つの型締めプレート5,6は、互いに対角線状に配置された液圧式の調節駆動装置7(上側)及び8(下側)によって走行せしめられるようになっている。これらの調節駆動装置7,8は、一方(例えばシリンダ7a,8a)では、機械台に接続された支持ステー9a,9bに、また他方(例えばシリンダのピストンロッド7b,8b)では、型締めプレートに固定されている。型締めプレート自体は本来の型締めプレート6aとプレッシャプレート6bとから成っていて、この型締めプレート6aとプレッシャプレート6bとの間に、閉鎖圧力を与えるための圧力クッション10が設けられており、この場合、図1には、後ろ側の圧力クッションしか見えない。2つの型締めプレート間で上方及び下方に、一平面に位置する互いに平行なそれぞれ2つの上支柱11a,11b及び下支柱12a,12bが固定されており、これらの支柱のうちの図1には後ろ側の上支柱11a及び下支柱12aしか見えない。前記支柱11a,11b及び12a,12bは、図1で左側の型締めプレート5を貫通していて、その突き出した端部に溝13を有している。これらの溝13内にハーフシェル状のロック部材14,15が嵌め込まれるようになっている。図1に示した状態において、ロック部材14,15が嵌め込まれていて、閉鎖ユニットが錠止されている。機械台1上又は機械台1内に固定されたベースプレート18に、ターンテーブル21が、適当な支承部特に交差ころ軸受22によって支えられていて、垂直軸線を中心にして回転可能に支承されている。ターンテーブル21上に、図示の実施例ではいわゆる回転板として構成された型半部支持体23が固定され、2つの射出成形型24,25の型半部24a,25aを有している。対応し合う2つの型半部24b,25bは、型締めプレート5及び6a上に取り付けられている。
【0015】
回転板23の上側で、第1の滑りシュー17を介して前記回転板23に対して回転可能に支持桁16が支承されている。上支柱11a,11bは、前記縦材16に形成された適合する孔内に挿入された別の滑りブシュ19及び20を貫通してガイドされている。滑りブシュ17,19,20の配置に応じて、支持桁16の質量は、上支柱11a,11bによって又は回転板23によって支持される。第1の滑りブシュ17は、支持桁16の中央に形成された適合する切欠を通って延在していて、水、オイル、空気又はその他の媒体を回転板23及び型半部24a,25aに供給するロータリ分配器若しくはロータリブッシング26を貫通ガイドするために用いられる(ロータリ分配器26の詳細については図4参照)。内側部分26aは、回転板23に堅固に結合されていて、通路27を有しており、これらの通路27は、支持桁16の上部に形成された環状に延びる環状溝28で終わっていて、この環状溝28を介して所望の媒体が型半部に導入され、かつ型半部から導出される。外側部分26bは支持桁16上に固定されていて、上側及び下側の軸受29によって内側部分26に対して回転可能に支承されている。外側部分26内に接続通路30が設けられており、この接続通路30は内側部分26aの環状溝28内に開口していて、それぞれの媒体のための管路に接続することができる。
【0016】
別のロータリ分配器26′が回転板23の下に設けられていて、図5に詳しく示されている。この別のロータリ分配器26′は、回転板23の上に配置された前記ロータリ分配器26と同じ形式のものである。内側部分26′aは、ターンテーブル21又は回転板23に堅固に結合され、外側部分26′bはベースプレート18に堅固に結合されていて、内側部分に対して複数の軸受若しくは支承部によって回転可能に支承されている。
【0017】
図6及び図7には、本発明による回転装置の第1実施例の拡大した部分図が示されている。図6は、射出成形中の状態、つまりターンテーブル21が下降されてベースプレート18上に載った状態を示しており、これに対して図7は、回転直前又は回転中の状態、つまりターンテーブル21がベースプレート18から持ち上げられた状態を示している。交差ころ軸受は、回動不能な軸受部分51と回動可能な軸受部分52とを有しており、これらの軸受部分51と52との間にローラ53が配置されている。回動可能な軸受部分51はねじ34によってターンテーブル21に固定されており、これに対して回動不能な軸受部分51とターンテーブル21との間には小さい間隔が存在しているので、ターンテーブル21は、前記回動不能な軸受部分51の傍らを自由に移動することができる。回動不能な軸受部分5の下側に、環状の昇降部材54がねじ31によって固定されていて、ベースプレート18に形成された環状溝内に突入する。この場合、環状溝から上方に突き出す、昇降部材54の上部領域32は、その外側に外側縁部32aを有しており、この外側縁部32aの下側とベースプレートの上側との間に常にギャップ37が残っている。組み付けの際に、外側縁部32aはベースプレート18上に載せられる。昇降部材54の上部領域32は、ストッパ面32bを備えた段部を有している。ベースプレートの環状溝の深さは、ターンテーブル21がベースプレート18上に載った時に、昇降部材54の下にギャプ33が形成されるように、構成されている。このギャプ内に、圧力媒体例えば液圧オイル又は圧縮空気が、詳しく示されていない管路を介して導入及び導出される。前記環状溝から圧力媒体が漏れ出るのを避けるために、シールリング36が昇降部材54の相応の溝内に嵌め込まれている。圧力媒体がギャプ33内に導入されると、昇降部材54は、その当接面32bがストッパ35に当接するまでの1区間だけ上昇せしめられる。昇降部材54がその下方位置にある時、ターンテーブル21は全面的にベースプレート18上に載り、交差ころ軸受22は、完全に負荷解除されている(図6)。ターンテーブル21と、このターンテーブル21上に固定された、射出成形工具の型半部とを回転させるために、まず圧力媒体がギャップ33内に導入され、昇降部材54が上方に移動せしめられ、この際にターンテーブル21はベースプレート18から持ち上げられ、図7に示した位置を占める。図示の実施例では、2mmの上昇が行われる。次いで回転運動が実施され、ターンテーブル21はこのターンテーブルのすべての構造部と共に、垂直軸線を中心にして回転せしめられる。所望に位置に達すると直ちに、例えば180°回転した後で、圧力媒体はギャップ33から導出され、ターンテーブル21はベースプレート18上に載せられるので、図6に示した位置が再び得られる。これによって軸受22は、回転運動中にだけ負荷され、本来の射出プロセス中又は射出圧刻プロセス中は負荷されない。図16に示されているように、周方向におけるターンテーブル21の位置を固定するために複数のピン38が設けられており、これらのピン38は、これらのピン38とターンテーブル21との間で形状結合(形状による束縛)を形成し、周方向におけるターンテーブルの位置を固定するために、ピストン・シリンダユニット55によって、ターンテーブル21の外周部に設けられた対応する開口39内に侵入せしめられ、かつこの開口39から退出せしめられるようになっている。ベースプレートからターンテーブルを持ち上げた後の垂直軸線の安定化は、ターンテーブルに固定された型半部支持体23が、滑りブシュ17及びロータリ分配器26を介して支持桁16内において位置固定されていることによって得られる。従って、昇降部材54を少ししか環状溝内に侵入させることができない場合に、例えばベースプレート18を厚くし過ぎることがなく、ひいては不必要に重くしないために、環状溝が限定的な深さしか有することができない場合でも、ターンテーブルが傾くことはない。
【0018】
図示の交差ころ軸受の代わりに、別の適当な軸受、例えば玉軸受又は滑り軸受を設けてもよい。回転駆動装置として、図示していない公知の回転駆動装置を設けてもよい。例えば、ターンテーブルの外周面にリングギヤを設け、このリングギヤ内に、電動モータ又は油圧モータによって駆動可能な歯車が噛み合うようになっていてもよい。
【0019】
図8には、ターンテーブル21がベースプレート18上に載っている状態における、本発明による回転装置の第2実施例が示されている。軸受例えば交差ころ軸受は、回動不能な軸受部分51と回動可能な軸受部分52とを有しており、これらの軸受部分51と52との間にローラ53が配置されている。回動可能な軸受部分52は、ターンテーブル21の下側に対してギャップを形成している。回動可能な軸受部分52とターンテーブル21との間の1つ又は複数の位置に、周方向に亘って複数の歯列56が設けられている。これによって一方では周方向に、回動可能な軸受部分52とターンテーブル21との間の形状結合(形状による束縛)的な接続が得られ、垂直方向で、回動可能な軸受部分52とターンテーブル21との間の相対運動が可能である。回動不能な軸受部分51は、前記第1実施例におけるように、環状溝内で上下運動可能な昇降部材54に固定されている。この実施例でも、相対回動不能な軸受部分51とベースプレート18との間の外周面の1つ又は複数の位置に複数の歯列56が設けられており(もっぱら相対回動不能な軸受部分51とストッパ35との間)、これらの歯列56は、周方向で形状結合的な接続を形成し、垂直方向で、相対回動不能な軸受部分51とベースプレート18との間の相対運動を可能にする。図8に示した軸受の下降した位置を基点として、圧力媒体がギャップ33内に導入され、これによって軸受が上昇せしめられ、ターンテーブル21の下側と接触せしめられる。圧力媒体をさらに供給すると、軸受はターンテーブル21と一緒にさらに上方に移動せしめられ、ターンテーブルはベースプレート18から持ち上げられる。この垂直運動は、第1実施例におけるように、ストッパ35によって制限されている。この上昇した位置で、ターンテーブル21の回転が実施される。ターンテーブル21の回転が終了すると、圧力媒体が前記ギャプ33から導出されるので、軸受はターンテーブルと一緒に、ターンテーブルが再びベースプレート上に載るまで、下方に移動せしめられる。昇降部材54を下方にさらに移動させることによって、つまり圧力媒体をギャプ33からさらに排出させることによって、軸受は、ターンテーブルの下側に対して再びギャプが形成され、ひいては負荷解除されるまで、ターンテーブルから離れる方向に移動せしめられる。負荷解除された状態において、射出プロセス又は射出圧刻プロセスが実施される。図8に示した実施例では、前記ギャプは2mmである。
【0020】
図9は、本発明による回転装置の第3実施例の、ターンテーブル21がベースプレート18上に下降されている状態を示す。軸受例えば交差ころ軸受は、回動不能な軸受部分51と回動可能な軸受部分52とを有しており、これらの軸受部分51と52との間にローラ53が配置されている。回動不能な軸受部分51は、ねじ31によってベースプレート18にねじ固定されている。ターンテーブル21の下側において、T字形横断面を有する環状の昇降部材54が環状の環状溝内に嵌め込まれていて、環状溝の底部に対してギャップ33を形成している。ストッパ35は、圧力媒体が前記ギャプ33内に導入されると、昇降部材54が環状溝から下方へ移動できる区間を規定する。図9に示した、ターンテーブル21の下降位置を基点として、圧力媒体が前記ギャプ33内に導入され、これによって昇降部材54は、回動可能な軸受部分52上に載るまで下方に移動せしめられる。圧力媒体がさらに供給されると、前記ギャプ33は増大され、ターンテーブル21は下方に移動せしめられ、ベースプレート18から持ち上げられる。この垂直方向運動は前記ストッパ35によって制限されている。この上昇された状態において、ターンテーブル21を回転させることができる。ターンテーブル21の回転が終了すると、圧力媒体は前記ギャプ33から導出され、それによってターンテーブルは、再びベースプレート上に載るまで、下方に移動せしめられる。昇降部材54をさらに上方へ移動させることによって、昇降部材54は、回動可能な軸受部分52に対して再びギャップを形成し、それによって軸受が負荷解除されるまで、回動可能な軸受部分52から上方へ移動せしめられる。この負荷解除された状態で、射出プロセス又は射出圧刻プロセスを実施することができる。この図9に示した実施例では前記ギャプは2mmである。図9に示した実施例では、ターンテーブル21を上昇させるための媒体(液圧、電気、空圧)をターンテーブル21内に導入する必要がある。これは、ロータリ分配器26′を設ける場合に考慮される。場合によっては、昇降部材54の下側と回動可能な軸受部52の上側との間に滑動が生じる危険性を避けるために、付加的な手段を介在させることができる。例えば昇降部材54内に、回動可能な軸受部分52の対応する垂直な孔内でしゅう動可能であるピンを嵌め込んでもよい。
【0021】
本発明の別の実施例は、図10〜図12に示されている。前記実施例に対する相違点は、型締めプレートのうちの1つ(特に左側の型締めプレート)が機械台1に堅固に取り付けられていて、回転装置が機械長手方向軸線に沿って走行可能であるという点にある。機械台1上に定置の型締めプレート50が固定されていて、可動な型締めプレート60が、滑りシュー3及び適当なリニアガイド42上にしゅう動に支えられている。可動な型締めプレート60は、互いに対角線状に配置された液圧式の調節駆動装置70,80によって走行せしめられるようになっている。これらの調節駆動装置70,80は、一方では(例えばシリンダ70a,80aによって)機械台に結合された支持ステー90a及び90bに固定されていて、他方では(例えばそのピストンロッド70b,80bによって)可動な型締めプレート60に固定されている。型締めプレート60aは、前記実施例と同様に、本来の型締めプレート60aとプレッシャプレート60bとから成っており、型締めプレート60aとプレッシャプレート60bとの間に、閉鎖力を与えるための4つの圧力クッション10が設けられている。この場合、図面には後の圧力クッションだけしか設けられていない。可動な型締めプレート60の上方及び下方には、それぞれ2つの互いに平行な、及び一平面内に位置する上支柱110a,110b及び下支柱120a,12bが固定されており、これらの支柱のうちの、図10には後方の上支柱110a及び下支柱120aだけが見えている。これらの支柱は、定置の型締めプレート50を貫通していて、その突き出した端部に溝13が形成されており、これらの溝13にロック部材14,15が係合するようになっている。別のリニアガイド40及び41に沿って、回転装置のベースプレート18が液圧式の調節駆動装置43及び44によって機械長手方向軸線に対して平行に走行可能である。回転装置のその他の構造は、図1乃至図9の実施例と同じである。
【0022】
回転板23の上側には支持桁16が第1の滑りブシュ17を介して回転板23に対して回転可能に支承されている。上支柱110a,110bは、別の滑りブシュ19及び20を介在して支持桁16の対応する孔を通って貫通ガイドされている。滑りブシュ17,19及び20の配置に応じて、支持桁16の重量は上支柱110a,110bによって又は回転板23によって支えられる。第1の滑りブシュ17は、支持桁16の中央に形成された切欠を通って延在していて、水、油、電流又はその他の媒体を供給するためにロータリ分配器26を貫通ガイドするために用いられる。ロータリ分配器26は、図1乃至図5の実施例によるロータリ分配器と同じである。支持桁16に取り付けられた牽引ケーブル45によって、ロータリ分配器の接続通路30に通じる、媒体のための図示していない供給管路を、回転方向でフレキシブルに走行運動させることができる。支持桁16と定置の型締めプレート50との間に、ロータリ分配器26に対して間隔を保って液圧式の2つの調節駆動装置270及び280が設けられている。ベースプレート18の回転板23の下側に作用する調節駆動装置43及び44と協働して、共通の回転装置を、始動及び制動時に傾倒させる危険性なしに機械長手方向軸線に沿って走行させることができる。従ってリニアガイド40,41に、傾倒モーメントを吸収する特別な横断面例えば蟻継ぎ横断面を設ける必要はない。
【0023】
前記実施例による2プレート型平射出成形機の変化実施例は、図13〜図15に示されている。この変化実施例では、回転装置は、ベースプレートに作用する調節駆動装置43及び44だけによって走行せしめられ、支持桁16と定置の型締めプレート50との間に調節駆動装置は設けられていない。この場合、機械の大きさに応じて、リニアガイド40及び41が蟻継ぎ横断面又はこれと類似のものを有していれば有利である。その他の相違点は、可動な型締めプレート60の走行運動が、互いに対角線状に配置された2つの液圧式の調節駆動装置46及び47によって実現される、という点にある。これら2つの調節駆動装置46及び47は、一方では定置の型締めプレート50に固定されていて、他方では可動な型締めプレート60において舌片49に固定されている。この2プレート型水平射出成形機の、その他の構造及び作用形式は、図10乃至図12に示したものと同じである。
【符号の説明】
【0024】
1 機械台、 2 縦桁、 3 滑りシュー、 4 横桁、 5,6 型締めプレート、 6a 型締めプレートの前プレート(本来の型締めプレート)、 6b プレッシャプレート、 7,8 液圧式の調節駆動装置、 7a,8a 液圧シリンダ(ハイドロリックシリンダ)、 9a,9b 支持ステー、 10 圧力クッション、 11a,11b 上支柱、 12a,12b 下支柱、 13 溝、 14,15 ロック部材、 16 支持桁、 17 第1の滑りブシュ、 18 ベースプレート、 19,20 支柱における滑りブシュ、 21 ターンテーブル、 22 交差ころ軸受、 23 型半部支持体若しくは回転板、 24 第1の射出成形工具、 24a,24b 第1の射出成形工具の型半部、 25 第2の射出成形工具、 25a,25b 第2の射出成形工具の型半部、 26 上側のロータリ分配器、 26a 上側のロータリ分配器の一緒に回転する内側部分、 26b 上側のロータリ分配器の定置の外側部分、 26′ 下側のロータリ分配器、 26′a 下側のロータリ分配器の内側部分、 26′b 下側のロータリ分配器の外側部分、 27 通路、 28 環状溝、 29 軸受、 30 接続通路、 31 ねじ、 32 昇降部材の上部領域、 32a 昇降部材の上部領域32の外側縁部、 32b 昇降部材の上部領域32の傾斜面、 33 ギャップ、 34 ねじ、 35 ストッパ、 36 シールリング、 37 軸受若しくは昇降部材とベースプレートの間のギャプ、 38 ピン、 39 切欠(開口)、 40,41 ベースプレートのためのリニアガイド、 42 可動な型締めプレートのためのリニアガイド、 43,44 液圧式の調節駆動装置、 45 牽引ケーブル、 46,47 液圧式の調節駆動装置、 49 固定舌片、 50 定置の型締めプレート、 51 回動不能な軸受部分、 52 回動可能な軸受部分、 53 ローラ、 54 昇降部材、 55 ピストン・シリンダユニット、 56 歯列、 60 可動な型締めプレート、 60a 本来の型締めプレート、 60b プレッシャプレート、 70,80 液圧式の調節駆動装置、 70a,80a 液圧シリンダ、 70b,80b ピストンロッド、 90a,90b 支持ステー、 110a,b 上支柱、 120a,b 下支柱、 270 液圧式の調節駆動装置、 280 液圧式の調節駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平射出成形機のための回転装置であって、ベースプレートが設けられていて、該ベースプレート上に、垂直な軸線を中心にして回転可能な回転板が配置されており、該回転板を回転させるための駆動手段が設けられている形式のものにおいて、
前記ベースプレートと前記回転板との間に軸受が配置されていて、該軸受が、前記ベースプレートに対応配置された回動不能な軸受部分と、前記回転板に対応配置された回動可能な軸受部分とを有しており、前記回転板は、この回転板が前記ベースプレート上に載っていて前記軸受が負荷解除されている上方位置と、前記回転板がベースプレートから持ち上げられていて、前記回動可能な軸受部分上で支えられている下方位置との間で、可動であることを特徴とする、水平射出成形機のための回転装置。
【請求項2】
前記回動可能な軸受部分が前記回転板に固定されていて、前記軸受が垂直方向で可動である、請求項1記載の回転装置。
【請求項3】
前記回動不能な軸受部分に昇降部材が固定されていて、該昇降部材が、前記ベースプレートの切欠、とりわけ環状溝内に固定されていて、上方位置と下方位置との間で昇降運動可能となっている、請求項2記載の回転装置。
【請求項4】
前記昇降部材の下側と、切欠の底部、とりわけ環状の底部との間に、ギャップが形成されていて、該ギャップ内に圧力媒体が供給可能及び導出可能である、請求項3記載の回転装置。
【請求項5】
前記回転板に昇降部材が設けられており、該昇降部材は、この昇降部材が前記回動可能な軸受部分に対して間隔を保ちかつ前記回転板が前記ベースプレート上に載っている上方位置と、前記昇降部材が前記回動可能な軸受部分上に載りかつ前記回転板が前記ベースプレートから持ち上がっている下方位置との間で、可動である、請求項1記載の回転装置。
【請求項6】
前記昇降部材が前記回転板の下側の溝内に配置されていて、前記昇降部材の上側と前記溝との間にギャップが形成されていて、該ギャップ内に圧力媒体が導入可能、かつ該ギャップから圧力媒体が導出可能である、請求項5記載の回転装置。
【請求項7】
前記軸受が転がり軸受として構成されており、前記回動不能な軸受部分と前記回動可能な軸受部分との間に、転動体として構成された球又はローラが設けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載の回転装置。
【請求項8】
前記軸受が滑り軸受として構成されており、前記回動不能な軸受部分と前記回動可能な軸受部分との間に滑り面が設けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載の回転装置。
【請求項9】
前記回動可能な軸受部分と前記回転板との間に、形状結合的な及び/又は摩擦結合的な接続が形成されているか、若しくは回転運動を実施するために形状結合的な及び/又は摩擦結合的な接続を形成することができる、請求項1から8までのいずれか1項記載の回転装置。
【請求項10】
機械台上で機械長手方向軸線に沿って走行可能な2つの型締めプレートを有する水平射出成形機において、
請求項1から9までのいずれか1項記載の回転装置が外側の前記2つの型締めプレートの間に配置されていることを特徴とする、2つの型締めプレートを有する水平射出成形機。
【請求項11】
前記水平射出成形機が、少なくとも2つの上支柱を有しており、これら2つの上支柱上に、切欠を備えた1つの支持桁が配置されており、回転板上に、射出成形工具の型半部を受容するための型半部支持体が固定されており、前記型半部支持体の上側にピボットが設けられていて、該ピボットが前記支持桁の切欠内に回転可能に受容されている、請求項10記載の水平射出成形機。
【請求項12】
定置の型締めプレートと、機械長手方向軸線に沿って可動な型締めプレートとを備えた水平射出成形機において、
請求項1から9までのいずれか1項記載の回転装置が、前記2つの型締めプレート間に配置され、かつ機械長手方向軸線に対して平行に走行可能に設けられていることを特徴とする、水平射出成形機。
【請求項13】
水平射出成形機が、少なくとも2つの上支柱を有しており、これらの上支柱に切欠を備えた支持桁が配置されていて、該支持桁が機械長手方向軸線に沿って走行可能であって、前記回転板上に、射出成形工具の型半部を受容するための型半部支持体が固定されており、前記型半部支持体の上側にピボットが設けられていて、該ピボットが前記支持桁の前記切欠内に受容されている、請求項12記載の水平射出成形機。
【請求項14】
前記支持桁の重量が、前記2つの上支柱及び/又は前記型半部によって支えられており、前記支持桁と前記上支柱との間に、及び/又は前記支持桁と前記型半部との間に滑り軸受又は転がり軸受が設けられている、請求項11又は13記載の水平射出成形機。
【請求項15】
水平射出成形機が2プレート型水平射出成形機であって、前記上支柱が、前記型締めプレートの開放運動時及び閉鎖運動時に一緒に移動するようになっている、請求項10から14までのいずれか1項記載の水平射出成形機。
【請求項16】
水平射出成形機が2プレート型水平射出成形機であって、前記上支柱が、前記型締めプレートの開放運動時及び閉鎖運動時に一緒に移動しないようになっている、請求項10から14までのいずれか1項記載の水平射出成形機。

【図1】
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【図2(A−A)】
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【図3】
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【図4−5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2010−505648(P2010−505648A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530832(P2009−530832)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059738
【国際公開番号】WO2008/043641
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(508050211)クラウスマッファイ テヒノロギース ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (17)
【氏名又は名称原語表記】KraussMaffei Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Krauss−Maffei Strasse 2, D−80997 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】